特許第5746481号(P5746481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コスモ工機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5746481-管接続手段 図000002
  • 特許5746481-管接続手段 図000003
  • 特許5746481-管接続手段 図000004
  • 特許5746481-管接続手段 図000005
  • 特許5746481-管接続手段 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746481
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】管接続手段
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/04 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   F16L41/04
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-113100(P2010-113100)
(22)【出願日】2010年5月17日
(65)【公開番号】特開2011-241873(P2011-241873A)
(43)【公開日】2011年12月1日
【審査請求日】2013年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一
(74)【代理人】
【識別番号】100089336
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 佳直
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 芳則
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−340865(JP,A)
【文献】 特開平06−017986(JP,A)
【文献】 特開2006−242323(JP,A)
【文献】 特開2002−039485(JP,A)
【文献】 特開2004−278593(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/050115(WO,A1)
【文献】 特開2006−207747(JP,A)
【文献】 特開2011−106572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管に略同軸に接続され管路の一部を形成する管路部と、前記管路部の流体通路から略直交して分岐した分岐部と、前記管路部と分岐部との間を開閉可能に設けた開閉弁と、から構成された管接続手段であって、
前記開閉弁は、前記管路部内の流体通路の側方近傍に於いて配設され該管路部内の流体通路に沿って移動可能な弁体と、前記弁体と前記管路部の管頂部との間に於いて回動可能に枢支され、該弁体を移動操作可能に端部が突設された操作軸と、から成り、前記弁体は前記操作軸の操作により前記管路部内の流体通路の側方において該管路部内の流体通路に沿ってスライド移動して、前記管路部の流体通路から略直交して分岐した前記分岐路を開閉することを特徴とする管接続手段。
【請求項2】
前記操作軸は、前記管路部内の流体通路の外方に於いて配設されていることを特徴とする請求項1に記載の管接続手段。
【請求項3】
前記分岐部は、前記管路部内の流体圧に抗して前記弁体を支持する支持壁を備え、該支持壁と前記弁体との間にシール部材が介設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の管接続手段。
【請求項4】
前記分岐部に、該分岐部内を被覆する蓋部材が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の管接続手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管に略同軸に接続され管路の一部を形成する管路部と、前記管路部から分岐した分岐部と、前記管路部と分岐部との間を開閉可能に設けた開閉弁と、から構成された管接続手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管接続手段は、流体管の管壁に形成された開口部に、この開口部を開閉可能とする開閉弁を設置することで、開口部を介し流体管からの分岐路を形成するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−17986号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、開口部近傍に設置された開閉弁が、流体管内の流体通路内を一部侵食するため、流下断面を十分に確保できないばかりか、開閉弁の弁体が流体管の管頂上方に向けて開放動作する構造であるため、管接続手段の形状が流体管の管頂上方に張出し大型化してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、流体管の流下断面を確保でき、且つ形状の小型化を達成した管接続手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の管接続手段は、
流体管に略同軸に接続され管路の一部を形成する管路部と、前記管路部の流体通路から略直交して分岐した分岐部と、前記管路部と分岐部との間を開閉可能に設けた開閉弁と、から構成された管接続手段であって、
前記開閉弁は、前記管路部内の流体通路の側方近傍に於いて配設され該管路部内の流体通路に沿って移動可能な弁体と、前記弁体と前記管路部の管頂部との間に於いて回動可能に枢支され、該弁体を移動操作可能に端部が突設された操作軸と、から成り、前記弁体は前記操作軸の操作により前記管路部内の流体通路の側方において該管路部内の流体通路に沿ってスライド移動して、前記管路部の流体通路から略直交して分岐した前記分岐路を開閉することを特徴としている。
この特徴によれば、弁体が管路部の流体通路を阻むことなく流下断面を確保できるばかりか、操作軸が管頂部と弁体との間にて枢支されているため、弁体や操作軸の端部が管頂上方若しくは管側方など流体管外方に突出し過ぎることを抑え、管接続手段を小型化できる。
【0007】
本発明の管接続手段は、
前記操作軸は、前記管路部内の流体通路の外方に於いて配設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、操作軸も、弁体と同様に管路部の流体通路を阻むことがなく、操作軸及び弁体を構成する開閉弁により流下断面が侵食されずに流体の流通を維持できる。
【0008】
本発明の管接続手段は、
前記分岐部は、前記管路部内の流体圧に抗して前記弁体を支持する支持壁を備え、該支持壁と前記弁体との間にシール部材が介設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、管路部内の流体圧を利用して、シール部材が介設された支持壁に向け弁体を押圧することで、支持壁と弁体との間のシールを容易に達成できる。
【0009】
本発明の管接続手段は、
前記分岐部に、該分岐部内を被覆する蓋部材が着脱可能に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、分岐部に蓋部材を取付けることで、分岐部内に異物が進入する虞を回避できるばかりか、蓋部材を取外すだけで容易に分岐部に別段の分岐部材を接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1における管接続手段を示す平面図である。
図2図1と同じく正面図である。
図3図2のB−B断面図である。
図4図1のA−A断面図である。
図5】実施例2における図4と同じ方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る管接続手段を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
実施例1に係る管接続手段につき、図1から図4を参照して説明する。先ず図1の符号1は、本発明の適用された管接続手段としての分岐短管である。
【0013】
図1及び図2に示されるように、分岐短管1は、上水管である流体管Pに対し略同軸に接続され、略水平方向に延びる管路の一部を形成する管路部2と、管路部2から略直交方向に分岐し略水平方向に延びる分岐部3と、管路部2と分岐部3との間を開閉可能に設けた開閉弁4と、から主として構成される。
【0014】
図3に示されるように、管路部2は、略直管状に延び内部に略円筒状の流体通路10が形成されており、一方(図示左方)の端部が受口部2aとして構成されるとともに、他方(図示右方)の端部が挿口部2bとして構成されている。受口部2aの内周部について詳述すると、流体管Pの先端部に係合するための環状のロックリング11が配設され、ロックリング11の外周に沿って芯出し用のゴム部材12が設けられる。ロックリング11よりも受口部2aの開口端寄りには、受口部2aの内周面と流体管Pの外周面との間を密封するための弾性材から成るゴム輪13が配設されている。更にゴム輪13よりも開口端寄りには、内径側に固定用ゴム14を配した屈曲防止リング15が周方向に沿って所定数設けられ、屈曲防止リング15は、受口部2aの管壁を径方向に貫通した貫通孔2cに螺合したセットボルト16を内径方向に螺入することで、流体管Pに固定され、流体管Pの屈曲を防止するように成っている。
【0015】
また挿口部2bの先端外周部は、流体管Pに配設された図示しないロックリングに係合するべく外径方向に膨出した膨出部2dに形成されている。
【0016】
次に、分岐部3は、内部に管路部2の流体通路10に略直交して連通した比較的短寸の分岐路20を有し、端部に図示しない分岐管と水密に接続可能なフランジ3aが設けられる。図1及び図2に示されるように、フランジ3aには平板状の蓋部材17がボルト18により着脱可能に取付けられている。この蓋部材17に貫通形成された空気抜き用の小孔には着脱自在のプラグ19が水密に螺合している。また図3に示されるように、分岐部3は、管路部2内の流体圧に抗して後述する開閉弁4の弁体6を支持する支持壁3bを備えている。
【0017】
図4に示されるように、開閉弁4は、管路部2内の流体通路10の側方(図示左方)近傍に於いて配設された弁体6と、弁体6と管路部2の管頂部との間において枢支された操作軸5と、弁体6が流体通路10に沿って移動可能に凹設された凹溝4a(図3参照)と、から主として構成される。
【0018】
弁体6は、分岐路20を遮断可能な板状体から構成され、分岐部3の支持壁3b側の略全面に亘り弾性材料から成るシール部材7を備えている。操作軸5は、分岐短管1の上部に於いて、管路部2と分岐部3とにボルト9により架設された軸受部材8に水密に枢支され、より詳しくは管路部2の管頂部よりも弁体6側に於いて上下方向を向く軸回りに回転可能に設けられる。操作軸5は、その上端部が分岐短管1の外方に若干突出し周知の回転工具等に嵌合可能な操作部5aとして構成されるとともに、下端部にピニオン5bが固着されている。ピニオン5bは、弁体6の管路部側の面に設けられたラック6aに噛合している。
【0019】
すなわち弁体6は、操作軸5の操作部5aに接続した図示しない回転工具等を用いた回転操作により、ピニオン5b、そしてラック6aを介して流体通路10の側方(外方)において流体通路10に沿ってスライド移動し、分岐路20を開閉する構造と成っている。また、本実施例のピニオン5bを備えた操作軸5は、管路部2の流体通路10の外方に於いて配設されている。
【0020】
上述した構成の分岐短管1を予め管路の適所で流体管Pに接続しておくことで、例えば、常時は弁体6を閉状態として管路部2のみに流体を流通させるとともに、配管工事等の場合は分岐部3に図示しない分岐管を接続し弁体6を開状態として分岐部3及び前記分岐管に流体を迂回させることができる。
【0021】
以上説明した管接続手段としての分岐短管1の構成によれば、開閉弁4が、管路部2内の流体通路10の側方近傍に於いて配設され流体通路10に沿って移動可能な弁体6と、弁体6と管路部2の管頂部との間に於いて回動可能に枢支され、弁体6を移動操作可能に操作部5aが突設された操作軸5と、から成ることにより、弁体6が管路部2の流体通路を阻むことなく流下断面を確保できるばかりか、操作軸5が管頂部と弁体6との間にて枢支されているため、弁体6や操作軸5の操作部5aが管頂上方若しくは管側方など流体管P外方に突出し過ぎることを抑え、分岐短管1を小型化できる。
【0022】
特に、分岐短管1を小型化できるため、常時は弁体6を閉状態として管路部2のみに流体を流通させ、比較的頻度の低い配管工事等の場合に弁体6を開状態として流体を分岐させる用途で分岐短管1を使用しても、取扱いに煩わしさがない。
【0023】
また操作軸5が、管路部2内の流体通路10の外方に於いて配設されていることにより、操作軸5も、弁体6と同様に管路部2の流体通路を阻むことがなく、操作軸5及び弁体6を構成する開閉弁4により流下断面が侵食されずに流体の流通を維持できる。
【0024】
また分岐部3が、管路部2内の流体圧に抗して弁体6を支持する支持壁3bを備え、支持壁3bと弁体6との間にシール部材7が介設されていることにより、管路部2内の流体圧を利用して、シール部材7が介設された支持壁3bに向け弁体6を押圧することで、支持壁3bと弁体6との間のシールを容易に達成できる。
【0025】
更に分岐部3に、分岐部3内を被覆する蓋部材17が着脱可能に設けられていることにより、分岐部3に蓋部材17を取付けることで、分岐部3内に異物が進入する虞を回避できるばかりか、蓋部材17を取外すだけで容易に分岐部3に別段の分岐部材を接続できる。
【実施例2】
【0026】
次に、実施例2に係る管接続手段につき、図5を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0027】
本実施例の分岐短管21における分岐部23の支持壁23bには、分岐路20に連通する開口の周囲に亘り溝部23cが設けられるとともに、この溝部23cに比較的小断面の環状のシール部材27が配置されている。このようにすることで、弁体26と支持壁23bとの間のシール性を維持したままシール部材27の小型化を達成できる。
【0028】
また本実施例の操作軸25は、前記実施例1よりも若干大径に形成されているため、操作部25aによる回転トルクを比較的大きく弁体26に伝達することができる。
【0029】
また、弁体26の上端面と軸受部材28の下端面との間に、樹脂若しくは金属など比較的摩擦係数の低い低摩擦材料から成る摺動部材30が介設されており、このような構成に依れば、前記した上下両端面間が摺動し易く、摩擦を減じて弁体26の開閉を容易にできるという効果を奏する。更に開閉弁24の凹溝24aに、前記した低摩擦材料から成る当接部31が設けられるとともに、弁体26の下端部に穿設された孔部26bに、当接部31に当接する転動部32aを備えた摺動ネジ32が螺合しており、このような構成に依れば、転動部32aが摺動ネジ32本体に付勢されながら当接部31に対し転動し易く、上述と同様に摩擦を減じて弁体26の開閉を容易にできるという効果を奏する。
【0030】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0031】
例えば、前記実施例1では、流体管Pが上水管として構成されているが、流体管内を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管にも適用可能である。
【0032】
また例えば、前記実施例1では、開閉弁4の操作軸5と弁体6とが、ピニオン5bとラック6aとの噛合により接続され、弁体6が、操作軸5の回転操作によりスライド移動するように構成されていたが、操作軸と弁体とは、周知の歯車部材等の組合せにより接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 分岐短管(管接続手段)
2 管路部
3 分岐部
3b 支持壁
4 開閉弁
5 操作軸
6 弁体
7 シール部材
10 流体通路
17 蓋部材
21 分岐短管
23 分岐部
23b 支持壁
24 開閉弁
25 操作軸
26 弁体
27 シール部材
図1
図2
図3
図4
図5