(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
音声メッセージを発する音声報知手段又は表示により報知を行う表示報知手段を備え、音声報知手段又は表示報知手段により報知を行う故障状態用処置を実行することを特徴とする請求項1記載の調理器。
請求項1又は2記載の調理器が緊急信号を送信する送信手段を備えると共に、前記調理器の外部に前記緊急信号を受信する受信手段を備え燃料通路を遮断する機能を有する外部機器を設置し、調理器が送信した緊急信号を外部機器が受信した時に燃料通路を遮断して調理器への燃料の供給を停止する故障状態用処置を実行することを特徴とする調理器の安全システム。
請求項1又は2記載の調理器が緊急信号を送信する送信手段を備えると共に、前記緊急信号を受信する受信手段を備え他の場所に設置される監視センター等の通信所に緊急信号を送信する送信手段を備えた通信機器を設置し、調理器が送信した緊急信号を通信機器が受信した時に通信所に緊急信号を送信する故障状態用処置を実行することを特徴とする調理器の安全システム。
請求項1又は2記載の調理器が緊急信号を送信する送信手段を備えると共に、前記緊急信号を受信する受信手段を備え室内の空気を換気する換気手段を備えた換気装置を設置し、調理器が送信した緊急信号を換気装置が受信した時に室内の空気を換気する故障状態用処置を実行することを特徴とする調理器の安全システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このものにあっては、二つの流量制御弁が同時に故障している場合、安全を確保するための適切な処置を講じることができないものであった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、燃料通路に直列に
三つ以上設けられた閉止機能を有する流量制御弁の二つが同時に故障しても、安全を確保するための適切な処置を講じることができる調理器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の調理器は、以下のような構成とする。
【0008】
燃焼検出手段を備えたバーナに燃料を供給するための燃料通路と、前記燃料通路に直列に
三つ以上設けられてそれぞれ前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁と、前記流量制御弁を駆動する駆動手段及び前記駆動手段を駆動するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記バーナを燃焼停止状態から燃焼状態へと移行させる時には前記流量制御弁の全てを開弁し、前記バーナを燃焼状態から燃焼停止状態へと移行させる時には、前記流量制御弁のうちの一流量制御弁以外の流量制御弁の開弁を維持すると共に前記一流量制御弁を閉弁して、前記一流量制御弁を閉弁してから燃焼検出手段が所定時間内に燃焼の停止を検出しない場合に前記一流量制御弁が故障している第一の故障状態であると判定する第一のチェックモードを実行し、前記第一の故障状態と判定された場合には、前記制御部は、前記流量制御弁のうち故障していると判定された前記一流量制御弁以外の他の一流量制御弁を閉弁して、前記他の一流量制御弁を閉弁してから燃焼検出手段が所定時間内に燃焼の停止を検出しない場合に前記他の一流量制御弁が故障している第二の故障状態であると判定する第二のチェックモードを更に実行し、第二のチェックモード実行後に流量制御弁の全ての開弁を禁止すると共に、第二の故障状態であると判定された場合には故障状態用処置を実行することを特徴とする。
【0009】
これにより、
三つ以上の流量制御弁の
うちの二つが同時に故障しても、故障状態用処置を実行することができて、安全を確保するための適切な処置を講じることが可能となる。
【0010】
また請求項2に係る調理器は、請求項1に係る調理器において、音声メッセージを発する音声報知手段又は表示により報知を行う表示報知手段を備え、音声報知手段又は表示報知手段により報知を行う故障状態用処置を実行することを特徴とする。
【0011】
これにより、二つの流量制御弁が同時に故障しても、例えば燃料通路の元栓を閉止したり、室内の空気を換気したり、避難したりすることを促すことができて、より一層の安全を確保できる。
【0012】
また請求項3に係る調理器の安全システムは、請求項1又は2記載の調理器が緊急信号を送信する送信手段を備えると共に、前記調理器の外部に前記緊急信号を受信する受信手段を備え燃料通路を遮断する機能を有する外部機器を設置し、調理器が送信した緊急信号を外部機器が受信した時に燃料通路を遮断して調理器への燃料の供給を停止する故障状態用処置を実行することを特徴とする。
【0013】
これにより、二つの流量制御弁が同時に故障しても、調理器の外部の燃料通路を外部機器により遮断することで、燃料が調理器から漏れるのが阻止され、より一層の安全を確保できる。
【0014】
また請求項4に係る調理器の安全システムは、請求項1又は2記載の調理器が緊急信号を送信する送信手段を備えると共に、前記緊急信号を受信する受信手段を備え他の場所に設置される監視センター等の通信所に緊急信号を送信する送信手段を備えた通信機器を設置し、調理器が送信した緊急信号を通信機器が受信した時に通信所に緊急信号を送信する故障状態用処置を実行することを特徴とする。
【0015】
これにより、二つの流量制御弁が同時に故障しても、通信所に通信して警備員や緊急の作業者が急行して元栓を閉止したり、調理器の外部の燃料通路を直接又は遠隔操作により遮断したり等の適切な処置を講じることができて、より一層の安全を確保できる。
【0016】
また請求項5に係る調理器の安全システムは、請求項1又は2記載の調理器が緊急信号を送信する送信手段を備えると共に、前記緊急信号を受信する受信手段を備え室内の空気を換気する換気手段を備えた換気装置を設置し、調理器が送信した緊急信号を換気装置が受信した時に室内の空気を換気する故障状態用処置を実行することを特徴とする。
【0017】
これにより、二つの流量制御弁が同時に故障しても、換気装置により室内の空気を換気することができて、燃料が室内に充満するのが阻止され、より一層の安全を確保できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、流量制御弁の二つが同時に故障しても、故障状態用処置を実行することができて、安全を確保するための適切な処置を講じることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0021】
調理器としてのガスこんろ1は、
図1に示すように、上方に開口する箱状をした筐体10と、筐体10の上方への開口を閉塞しガスこんろ1の天面部となるガラス製のトッププレート11と、で外殻が構成される。
【0022】
トッププレート11にはこんろバーナ25を備えた加熱部2が複数設けてある。
図1に示す実施形態では、加熱部2として、標準バーナ2a、小バーナ2b、高火力バーナ2cの計三個のこんろバーナ25が設けてある。
図1中の符号21は五徳である。
【0023】
ガスこんろ1内にはグリルバーナを備えたグリル庫が設けてあり、グリル庫の前開口は、ガスこんろ1の前面に設けたグリル扉12によって開閉自在に閉塞される。
【0024】
また、各加熱部2には、被加熱物検知手段22が設けてある。被加熱物検知手段22は、五徳21に被加熱物が載置された状態にあるか否か、即ち、各こんろバーナ25上に被加熱物が配置された状態にあるか否かを検知するものである。
【0025】
ガスこんろ1の前面部を構成する前面パネル13には、各加熱部2を操作するためのつまみダイヤル装置からなる操作部14がそれぞれ設けてある。
【0026】
各操作部14は手動で操作されて対応するこんろバーナ25の点火及び消火の切り替えや火力調節を指令するものであり、これを受けて制御部が各こんろバーナ25の点消火の切り替えや火力調節を行う。
【0027】
前面パネル13の各操作部14の下側には対応するこんろバーナ25の調理の設定を指令するための設定手段を構成する設定入力パネル15が設けてあり、この設定入力パネル15を操作することで、こんろバーナ25毎に、調理タイマーモード、湯沸しモード、炊飯モード等の自動調理モードを設定できるようになっている。
【0028】
また、前面パネル13における向かって左側の部位には、グリルバーナの点火及び消火の切り替えや火力調整を指令するための設定入力パネル16が設けてある。
【0029】
上記設定入力パネル15、16によるモード設定なしの状態で調理を行う場合、前面に設けた電源スイッチ17をONにした後、操作部14を押し操作して制御部に点火の指令を送る。この指令を受けると制御部は、後述するガス供給路26の元電磁弁27を開き、且つ任意のこんろバーナ25又はグリルバーナに対応する流量制御弁3を所定開度で開くと共に点火プラグ24をスパークさせ、こんろバーナ25又はグリルバーナを点火する。これにより、こんろバーナ25の炎により対応する五徳21上に載置した被加熱物を加熱したり、グリルバーナの炎によりグリル庫内の肉や魚を焼くことができる。
【0030】
調理器には、マイクロコンピュータからなる制御部が設けられる。制御部には、各バーナ(こんろバーナ25、グリルバーナ)に設けてある燃焼検出手段としての熱電対23(
図2参照)の起電力が入力され、制御部は入力された起電力が所定値(例えば3.5mV)以上になったときに、設定入力パネル15、16又は/及びトッププレート11に設けてある表示部に備える燃焼ランプ(それぞれのバーナに対応する燃焼ランプ)を点灯させる。
【0031】
各こんろバーナ25及びグリルバーナには、燃料を供給するための燃料通路が接続されるもので、本実施形態では燃料通路として、都市ガス等の燃料ガスを供給するガス供給路26からそれぞれ分岐する分岐路26aが接続されている。
【0032】
また、前記燃料通路を通過する燃料の量を制御すると共に、前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁3と、前記流量制御弁3を駆動する駆動手段が設けられる。本実施形態では駆動手段として、燃料ガスの供給量の調節を行うためステッピングモータ30が設けられ、このステッピングモータ30により駆動されて後述するスライド閉子34の開度位置の微調整がなされる。なお、駆動手段はステッピングモータ30ではないモータでもよく、特に限定されない。また、前記スライド閉子34の開度位置を検出する位置検出手段4が設けられ、これらについては後で詳述する。更に、各分岐路26aに通電により開弁が保持され、前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁(但し上記流量制御弁3とは異なる)としての元電磁弁27が設けられる。このように、前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁は、上記流量制御弁3と元電磁弁27とが直列に設けられており、更に別の流量制御弁が直列に設けられてもよい。
【0033】
元電磁弁27と、流量制御弁3を駆動するステッピングモータ30とは、制御部により制御が行われ、位置検出手段4における検出情報は制御部に読み込み処理される。また、流量制御弁3は、対応するこんろバーナ25が使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように閉止される。
【0034】
流量制御弁3について説明する。
図3に示すように、流量制御弁3の本体31内には空洞31aが形成され、空洞31aの内面の一部に本体31外に連通するガス入口32が形成されると共に該ガス入口32とは別の箇所にガス出口33が形成され、空洞31aは燃料通路の一部となる。前記空洞31aには、スライド閉子34と流量チップ35と付勢部材36とが設けられる。また元電磁弁27は、ガス入口32を開放したり閉塞したりするものである。
【0035】
スライド閉子34は、連通用孔34aが貫通形成されて、空洞31aのガス出口33の周囲の内面(出口近傍面という)に当接しこの面に沿ってスライド自在となるように設けられる。スライド閉子34がスライドすることで、前記空洞31aのガス出口33が連通用孔34aに連通したりスライド閉子34により閉塞されたりする。
【0036】
流量チップ35は板状をしたもので、その板面の面積は少なくともスライド閉子34の連通用孔34aよりも大きく、また、板面に略垂直に貫通する複数の流量制御孔(図示せず)が穿設されている。流量チップ35は、スライド閉子34の出口近傍面に当接する面と反対側の面に当接し、コイルばね等からなる付勢部材36によって付勢される。付勢部材36は、流量チップ35のスライド閉子34に当接する面と反対側の面と、空洞31aの出口近傍面と対向する面と、の間に圧縮された状態で配設され、スライド閉子34を出口近傍面に圧接させている。スライド閉子34には、前記空洞31aの出口近傍面に沿ってスライドする方向の一端部にスピンドル37が接続される。
【0037】
スピンドル37は、前記空洞31aの側壁の一部に穿設されたスピンドル挿通孔を介して空洞31aの内外に挿通されるもので、形状は特に限定されないが、本実施形態では概ね棒状をしたものである。そして、棒状をしたスピンドル37の長手方向の一端は空洞31aの内側に位置してスライド閉子34が接続され、他端は空洞31aの外側に位置して雌ねじ部37aが形成される。またスピンドル37は、スピンドル挿通孔を通して長手方向にスライド自在となり、スピンドル挿通孔とスピンドル37外面との間には隙間を閉塞するグリースが充填されてシールがなされる。
【0038】
また、スピンドル37が空洞31a(流量制御弁3の本体31)に対して相対的に長手方向廻りに回転しないように回り止め手段が設けられる。例えば、図示しないが、スピンドル挿通孔を円形以外の例えば矩形等の形状に形成し、スピンドル37のスピンドル挿通孔に挿通される部分の断面形状をスピンドル挿通孔と同様の形状に形成して、回り止め手段を構成してもよい。
【0039】
空洞31aの外側には、スピンドル37及びスライド閉子34をスライドさせるステッピングモータ30が、流量制御弁3に対して位置が固定された状態で設けられる。ステッピングモータ30の出力軸は、その先端部の外面に雄ねじ部30aが形成され、この雄ねじ部30aがスピンドル37の雌ねじ部37aに螺入されている。なお、スピンドル37の他端部の外面に雄ねじ部30aが形成されると共に、出力軸の先端部に雌ねじ部37aが形成されてもよい。
【0040】
ステッピングモータ30の出力軸が回転するとその雄ねじ部30aが回転するが、回り止め手段によりスピンドル37の回り止めがなされているため雌ねじ部37aは出力軸と共に回転せず、螺合位置が変化することでスピンドル37の長手方向へのスライド及びスライド閉子34のスライドがなされる。また、スライド閉子34がスライドした際に流量チップ35がスライド方向に動かないようにするためのスライド阻止手段(図示せず)が設けられる。スライド阻止手段は、例えばスライド閉子34と流量チップ35との摺動面に潤滑材を塗布したり、流量チップ35を流量制御弁3の本体31に連結したりすることで構成される。
【0041】
スライド閉子34のスライドにより連通用孔34aとガス出口33とが連通した状態においては、連通用孔34aと流量チップ35の流量制御孔との連通面積に応じて、空洞31aからガス出口33外へと流出するガスの流量が制御される。
図3に示すスライド閉子34の位置が、前記ガスの流量が最大となる位置(ガス流量最大位置)であり、スライド閉子34がスピンドル37側へスライドすることで、連通用孔34aと流量制御孔との連通面積が小さくなってガスの流量が減少し、連通用孔34aとガス出口33とが連通しない位置(閉塞位置)になると燃料通路が遮断されガスの流量が零になる。
【0042】
また、スピンドル37の位置検出手段4が設けられ、位置検出手段4によりスピンドル37の位置及びスライド閉子34の位置が検出されることで、連通用孔34aとガス出口33との連通の有無・連通用孔34aと流量制御孔との連通面積が分かり、ガスの流量が間接的に検出可能となる。本実施形態では、スピンドル37に設けられる位置検出用ブラシ41と、流量制御弁3の本体31に固定される位置検出部42と、で位置検出手段4が構成される。
【0043】
電源スイッチ17の操作と制御部への電源の供給との関係について
図4に基づいて説明する。
図4の電源回路において、本実施形態では電源部Bに電池を用いている。またスイッチS1はタクトスイッチにて構成され、使用者が電源スイッチ17を押し操作(以下「電源入操作」という)している間だけスイッチS1がONとなり、押し操作をやめるとスイッチS1がOFFとなる。
【0044】
ダイオードD1のカソードは制御部の電源供給端子Vdに接続され、制御部のGND端子が電源部Bの負極に接続され、電源部Bの正極から、トランジスタTR1のエミッタ−コレクタ、ダイオードD1、制御部の電源供給端子Vd、GND端子、電源部Bの負極に至る電源供給回路が形成される。また制御部は、V1及びV2の二つの入力端子と、Vcontの出力端子と、を備えている。
【0045】
電源入操作によりTR3にベース電流が流れTR3がONしTR3のコレクタ電流が流れると、TR1にベース電流が流れTR1がONして制御部に電源が供給される。一旦制御部に電源が供給されると、制御部はVcontからHigh信号を出力しTR5にベース電流が供給される。電源入操作完了に伴い電源スイッチ17の押し操作をやめるとスイッチS1はOFFしTR3にはベース電流が流れなくなりTR3はOFFするが、TR5にベース電流が供給されることによりTR5がONしTR5のコレクタ電流が流れTR1のベース電流が供給されるから、TR1のコレクタ電流が流れ続けることにより、制御部への電源の供給は継続する。
【0046】
TR4は制御部への電源供給状態における電源スイッチ17の押し操作を検出するためのトランジスタである。制御部への電源供給状態において電源スイッチ17が押し操作されると、スイッチS1がONしTR4にベース電流が供給されてTR4がONし、TR4がONすることにより制御部の入力V1は、HighからLowに変化する。また、電源スイッチ17が押し操作を終了すると、スイッチS1がOFFしTR4のベース電流が遮断されてTR4がOFFしTR4がOFFすることにより制御部の入力V1は、LowからHighに変化する。
【0047】
ガスこんろ1の使用中に、前面に設けた電源スイッチ17が操作されたときには、制御部が制御部への通電状態において入力V1の立下り(HighからLowへの変化)を検出し、電源がONの状態でスイッチS1がONしたので電源をOFFする操作がなされたと判断し、電源OFF処理を実行する。
【0048】
電源OFF処理の一つ目は、前状態検出部がケース取り出し前状態を検出した場合にモータを駆動して燃料通路を閉止する流量制御弁閉止処理である。
【0049】
電源OFF処理の二つ目は、制御部における内部情報を制御部に備える不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に格納する処理である。制御部における内部情報には、ガスこんろ1の累積使用回数、および、こんろバーナ25やグリルバーナの累積使用時間が含まれる。ガスこんろ1の累積使用回数、および、こんろバーナ25やグリルバーナの累積使用時間を不揮発性メモリに格納することで、電池の交換時に制御部への電源が遮断されても、ガスこんろ1の累積使用回数、および、こんろバーナ25やグリルバーナの累積使用時間についての情報を制御部に保持することができ、保持した情報はガスこんろ1の累積使用回数やこんろバーナ25やグリルバーナの累積使用時間が所定値以上になったときに使用者にメンテナンスを促がす表示などの報知を行うことに使用できる。
【0050】
電源OFF処理の三つ目は、制御部への通電を停止する処理であり、制御部は、電源スイッチ17が操作されたときに制御部への通電を停止するための処理をつぎのように実行する。
【0051】
一旦制御部への電源の供給が開始された後は、前述のように、VcontからHigh信号を出力しTR5にベース電流が供給されることによりTR5がONしTR5のコレクタ電流が流れTR1のベース電流が供給され、TR1のコレクタ電流が流れ続けることにより、制御部への電源の供給は継続されているが、制御部が制御部への通電状態において入力V1の立下り(HighからLowへの変化)を検出した後に、入力V1の立上り(LowからHighへの変化)を検出した時には、スイッチS1がONの後にOFFした、すなわち、使用者は電源スイッチ17による電源OFF操作を終了したと判断し、VcontをHighからLowに変化させる。
【0052】
ただし、前述の制御部における内部情報を制御部に備える不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に格納する処理、または、流量制御弁閉止処理が完了していない場合は、前述の制御部における内部情報を制御部に備える不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に格納する処理、および、流量制御弁閉止処理の両方共に完了してからVcontをHighからLowに変化させる。
【0053】
流量制御弁閉止処理の完了により全ての流量制御弁3が全閉となる上、電源OFF時には通電により開弁が保持されていた元電磁弁27が閉弁することで、全てのバーナへのガス供給流路が元電磁弁27およびそれぞれのバーナ用の流量制御弁3により2重に燃料通路が遮断され、安全である。
【0054】
VcontをHighからLowに変化させることにより、前述のTR5によりTR1のベース電流の供給が停止するからTR1はOFFし制御部への通電が停止する。
【0055】
上記のように、前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁は、前記燃料通路に直列に複数(本実施形態では元電磁弁27及び流量制御弁3の二つ)設けられているが、この流量制御弁が二つ故障すると安全性が損なわれる。
【0056】
そこで本発明においては、バーナを燃焼状態から燃焼停止状態へと移行させる時には、複数の流量制御弁のうちの一流量制御弁が故障しているか否かを判定する第一のチェックモードを実行し、第一のチェックモードで故障していると判定された場合には、他の一の流量制御弁が故障しているか否かを判定する第二のチェックモードを実行し、両方の流量制御弁が故障していると判定されると、故障状態用処置を実行するもので、以下に、元電磁弁27と流量制御弁3の二つの流量制御弁が設けられた実施形態において
図5を参照しながら説明する。
【0057】
制御部は、バーナを燃焼停止状態から燃焼状態へと移行させる時に、全流量制御弁(すなわち元電磁弁27及び流量制御弁3)を開弁する。そして、バーナが(S1)の燃焼状態において、操作部14が押し操作されて制御部に消火が指令され(S2)、燃焼停止状態へと移行させる時に、制御部が第一のチェックモードを実行する(S3)。
【0058】
第一のチェックモードは、前記流量制御弁のうちの一流量制御弁(元電磁弁27)以外の流量制御弁(流量制御弁3)の開弁を維持すると共に一流量制御弁(元電磁弁27)を閉弁して(S4)、燃焼検出手段が燃焼の停止を検出したか否かを判定する(S5)。調理器は計時手段(制御部が備えるタイマー機能等でもよい)を備え、(S5)において燃焼検出手段が燃焼の停止を検出していない場合に、計時手段により所定時間(例えば10秒)が経過したか否かが判定され(S6)、所定時間が経過したと判定されると(S8)に移行し、所定時間が経過していないと判定されると(S5)に戻る。そして、(S5)において所定時間が経過する前に燃焼の停止を検出すると一流量制御弁(元電磁弁27)は故障していないと判定し(S7)、終了する。
【0059】
所定時間内に燃焼の停止を検出しない場合には、一流量制御弁(元電磁弁27)が故障している第一の故障状態であると判定し(S8)、エラーレベル1を不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に格納して(S9)、第二のチェックモードを実行する(S10)。
【0060】
第二のチェックモードは、前記全流量制御弁のうち故障していると判定された一流量制御弁(元電磁弁27)以外の他の一流量制御弁(流量制御弁3)を閉弁して(S11)、燃焼検出手段が燃焼の停止を検出したか否かを判定する(S12)。(S12)において燃焼検出手段が燃焼の停止を検出していない場合に、計時手段により所定時間(例えば10秒)が経過したか否かが判定され(S13)、所定時間が経過したと判定されると(S14)に移行し、所定時間が経過していないと判定されると(S12)に戻る。そして、(S12)において所定時間が経過する前に燃焼の停止を検出すると他の一流量制御弁(流量制御弁3)は故障していないと判定し(S15)、以降の全流量制御弁の開弁を禁止し(S18)、終了する。
【0061】
所定時間内に燃焼の停止を検出しない場合には、他の一流量制御弁(流量制御弁3)が故障している第二の故障状態であると判定し(S14)、エラーレベル2を不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に格納して(S16)、故障状態用処置を実行すると共に(S17)、以降の全流量制御弁の開弁を禁止し(S18)、終了する。
【0062】
(S18)において以降の全流量制御弁(元電磁弁27及び流量制御弁3)の開弁が禁止されると、制御部は不揮発性メモリに格納されているエラーレベルが1又は2である限り、継続して開弁が禁止される。そして、専用のメンテナンス用の端末により制御部の前記不揮発性メモリに格納されているエラーレベル(1又は2)を消去することで、全流量制御弁(元電磁弁27及び流量制御弁3)の開弁の禁止が解除される。なお、前記専用のメンテナンス用の端末は、使用者は所持しておらず、業者等のメンテナンス者でなければ全流量制御弁(元電磁弁27及び流量制御弁3)の開弁の禁止を解除できない。
【0063】
以下、故障状態用処置について
図3を参照しながら説明する。故障状態用処置は、二つの流量制御弁(元電磁弁27及び流量制御弁3)が故障している場合に、全流量制御弁(元電磁弁27及び流量制御弁3)の開弁の禁止に加えて行なわれるもので、このような処置を行ってより一層の安全を確保しようとするものである。
【0064】
まず、第一の故障状態用処置について説明する。調理器としてのガスこんろ1は、外部に設置される機器(以下、外部機器5という)に緊急信号を送信する送信手段(図示せず)を備えるもので、制御部が送信手段としての機能を備えてもよい。外部機器5としては、内部の燃料通路を遮断する機能を有する機器で、特に限定されないが、例えばガスメータが好適に挙げられる。外部機器5は、緊急信号を受信する受信手段(図示せず)を備えている。ガスこんろ1の送信手段と外部機器5の受信手段とは、有線又は無線により通信が行われる。
【0065】
ガスこんろ1の送信手段が送信した緊急信号を外部機器5の受信手段が受信すると、外部機器5の制御部(図示せず)は、ガスこんろ1の外部の上流側の燃料通路に設けてある電磁弁等の遮断手段を駆動させて、内部の燃料通路を遮断してガスこんろ1への燃料の供給を停止する。
【0066】
これにより、元電磁弁27及び流量制御弁3の両方が故障している場合、燃料通路が閉止されず燃料がガスこんろ1から漏れる惧れがあるところ、ガスこんろ1の外部の上流側の燃料通路を外部機器5により遮断することで、燃料がガスこんろ1から漏れるのが阻止され、より一層の安全を確保できる。
【0067】
次に、第二の故障状態用処置について説明する。ガスこんろ1は、送信手段によりガスメータ等の外部機器5ではなく通信機器6に緊急信号を送信するもので、送信手段を備える点や制御部が送信手段としての機能を備えてもよい点は第一の故障状態用処置の場合と同様である。通信機器6は、緊急信号を受信する受信手段(図示せず)と、緊急信号を送信する送信手段(図示せず)とを備え、前記送信手段により他の場所に設置される監視センター等の通信所61に緊急信号を送信する。ガスこんろ1の送信手段と通信機器6の受信手段とは、有線又は無線により通信が行われ、通信機器6の送信手段と通信所61の受信手段も、有線又は無線により通信が行われる。また、通信機器6の送信手段が送信する緊急信号は、受信手段が受信する緊急信号と同一でもよいし異なってもよい。
【0068】
通信所61は、緊急信号を受信すると、警備員や緊急の作業者がガスこんろ1の設置されている住居に急行して対処したり、ガスこんろ1への燃料通路の上流側の箇所に設けてある電磁弁等の遮断手段を直接又は遠隔操作により駆動させて、内部の燃料通路を遮断してガスこんろ1への燃料の供給を停止したりする。
【0069】
これにより、元電磁弁27及び流量制御弁3の両方が故障している場合、燃料通路が閉止されず燃料がガスこんろ1から漏れている惧れがあるため、警備員や緊急の作業者が急行して元栓を閉止したり、ガスこんろ1の外部の上流側の燃料通路を直接又は遠隔操作により遮断したり等の適切な処置を講じることができて、より一層の安全を確保できる。
【0070】
次に、第三の故障状態用処置について説明する。ガスこんろ1は、送信手段により外部機器5や通信機器6ではなく換気装置7に緊急信号を送信するもので、送信手段を備える点や制御部が送信手段としての機能を備えてもよい点は第一及び第二の故障状態用処置の場合と同様である。
【0071】
換気装置7は、緊急信号を受信する受信手段(図示せず)と、換気によりガスこんろ1が設置されている室内の空気を換気する換気手段(特に図示せず)とを備えている。
【0072】
これにより、元電磁弁27及び流量制御弁3の両方が故障している場合、燃料通路が閉止されず燃料がガスこんろ1から漏れて室内に充満している惧れがあるところ、換気装置7により室内の空気を換気することができて、燃料が室内に充満するのが阻止され、より一層の安全を確保できる。
【0073】
次に、第四の故障状態用処置について説明する。ガスこんろ1は、例えば音声メッセージを発する音声報知手段8a(制御部が備える音声報知機能であってもよい)か、又は、例えばランプの点灯や文字・図形・記号等の表示により報知を行う表示報知手段8bを備えている。
【0074】
制御部は、第四の故障状態用処置として、音声報知手段8aに、「ガスの元栓を閉めて下さい」等の燃料の供給の遮断を促す旨や、「換気して下さい」等の換気を促す旨や、「逃げて下さい」等の避難を促す旨の報知を行わせてもよいし、表示報知手段8bとしての燃焼ランプを激しく点滅させて異常を報知するようにしたり、液晶パネル等の文字表示ディスプレイに「ガスの元栓を閉めて下さい」等の燃料の供給の遮断を促す旨の表示を行なわせてもよい。
【0075】
これにより、元電磁弁27及び流量制御弁3の両方が故障して燃料がガスこんろ1から漏れている惧れがあるところ、燃料通路の元栓を閉止したり、室内の空気を換気したり、避難したりすることを促すことができて、より一層の安全を確保できる。
【0076】
また、第一〜第四の故障状態用処置を任意に組み合わせてもよい。組み合わせは、第一及び第二、第一及び第三、第一及び第四、第二及び第三、第二及び第四、第三及び第四、第一・第二・第三、第一・第二・第四、第一・第三・第四、第二・第三・第四、第一・第二・第三・第四、の11通りある。
【0077】
また、調理器の燃料としてはガスに限定されず、石油系燃料をはじめとする他の燃料であってもよく特に限定されない。