(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746497
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20150618BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20150618BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
H05K7/20 G
B60K35/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-273469(P2010-273469)
(22)【出願日】2010年12月8日
(65)【公開番号】特開2012-123167(P2012-123167A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2013年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100166110
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】小林 信宏
【審査官】
小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−017766(JP,A)
【文献】
特開2010−175662(JP,A)
【文献】
特開平11−119691(JP,A)
【文献】
実開平04−120324(JP,U)
【文献】
特開2010−127832(JP,A)
【文献】
特開平11−237259(JP,A)
【文献】
特開平10−301501(JP,A)
【文献】
特開2004−251722(JP,A)
【文献】
特開2005−297795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
B60K 35/00−37/06
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、前記表示器を収容する正面に開口が設けられたケースと、前記表示器よりも正面側に配置され、前記表示器を露出するための露出穴が設けられた前記ケースの正面開口を塞ぐ見返しと、前記見返しの正面側を覆う表ガラスと、を備え、前記ケースに放熱用の放熱孔が設けられた表示装置において、
前記表示器の正面側の全縁部と前記見返しの背面側において前記露出穴の全縁部との間に設けた弾性のパッキンをさらに備えた
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ケースには、所定の意匠が設けられた表示板が前記表示器と並べて収容され、
前記表示板の縁部が、前記パッキンよりも正面側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係り、特に、表示器と、前記表示器を収容する正面に開口が設けられたケースと、前記表示器よりも正面側に配置され、前記表示器を露出する露出穴が設けられた前記ケースの正面開口を塞ぐ見返しと、前記見返しの正面側を覆う表ガラスと、を備え、前記ケースに放熱用の放熱孔が設けられた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のインストルメントパネルには、運転者に対して各種情報を表示するメータ(表示装置)が設けられている。近年、デザイン、表示情報の多様化に適用するために、
図1に示すように、大型のLCD2(液晶ディスプレイ)を用いて、メータ1を実現することが考えられている(特許文献1)。
【0003】
上述した大型のLCD2を用いたメータ1の断面図を
図5に示す。同図に示すように、メータ1は、大型のLCD2と、このLCD2やLCD2が搭載される配線板5を収容する正面に開口が設けられたケース7と、を備えている。上記LCD2は、
図1に示すように、速度計2a、水温計2d、燃料計2eなどをグラフィック表示する。
【0004】
上記ケース7は、正面及び背面に開口が設けられたケース本体71と、ケース本体71の背面を覆う裏カバー72と、から構成されている。また、メータ1は、LCD2を露出する露出穴81が設けられたケース7の正面開口を塞ぐ見返し8と、見返し8の正面側を覆う図示しない表ガラスと、をさらに備えている。
【0005】
上述した大型のLCD2には、複数のLEDからの光をバックライトとして入射して情報を表示させている。このため、LEDによる大きな消費電力が発生するため、熱対策が必要になる。そこで、メータ1の裏カバー72に多数の放熱孔72cを設ける必要がある。上記LEDなどから発生した熱は、矢印Y1に示すように、放熱孔72cを通じて外部に放熱される。
【0006】
しかしながら、その放熱孔72cからケース7内に異物が入ることが懸念される。そして、ケース7内に進入した異物は、矢印Y2に示すように、LCD2と見返し8との隙間を通ってLCD2正面の表示面まで進入する恐れがある。大型のLCD2の場合、LCD2正面の表示面に異物が進入してしまう確率は、一般的なLCD2の場合より、かなり大きく表示品質に与える影響も少なくない。
【0007】
そこで、放熱孔72cからLCD2正面への異物進入を防止するために、例えば、放熱孔72cの数を減らしたり、放熱孔72cの周辺に壁を設けるなどが考えられるが、いずれも補熱効果が劣化する恐れがある。また、放熱孔72cを無くして裏カバー72に放熱板を設けたり、放熱孔72cを特殊なフィルターで覆うことも考えられるが、部品追加量が大きく、作業性も劣化する、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−240355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、作業性、放熱性を維持したまま、表示器正面の表示面への異物進入を防止できるようになり、表示品位を向上させた表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、表示器と、前記表示器を収容する正面に開口が設けられたケースと、前記表示器よりも正面側に配置され、前記表示器を露出するための露出穴が設けられた前記ケースの正面開口を塞ぐ見返しと、前記見返しの正面側を覆う表ガラスと、を備え、前記ケースに放熱用の放熱孔が設けられた表示装置において、前記表示器の正面側の
全縁部と前記見返しの背面側において前記露出穴の
全縁部との間に設けた弾性のパッキンをさらに備えたことを特徴とする表示装置に存する。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記ケースには、所定の意匠が設けられた表示板が前記表示器と並べて収容され、前記表示器の縁部が、前記パッキンよりも正面側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置に存する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、表示器の正面側の縁部と見返しの背面側において露出穴の縁部との間にパッキンが設けられているので、放熱孔からケース内部に異物が侵入したとしても、パッキンにより表示器と見返しとの間の隙間が塞がれているため、その異物が表示器正面の表示面への進入を防止することができる。従って、作業性、放熱性を維持したまま、表示器正面の表示面への異物進入を防止できるようになり、表示品位を向上させることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、表示板の縁部が、パッキンよりも正面側に配置されているので、パッキンのめくれを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の表示装置としてのメータの正面図である。
【
図3】
図1のメータから見返しを外した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の表示装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の表示装置としてのメータの正面図である。
図2は、
図1のA−A線断面図である。
図3は、
図1のメータから見返しを外した状態の正面図である。
図4は、
図3のX部の部分拡大斜視図である。
【0016】
図1に示すように、メータ1は、表示器としての液晶表示器(以下、LCD)2と、このLCD2の左右に並べて設けられたウォーニング表示器3、4と、を備えている。上記LCD2は、メータ1の中央部に配置された大型の周知の液晶表示器であり、その中央にアナログの速度計2aをグラフィック表示する。また、LCD2は、速度計2a内にシフトインジケータ2b及びオド・トリップ計2cをグラフィック表示し、速度計2aの左右にアナログの水温計2d、燃料計2e、ターンL2f、ターンR2gをグラフィック表示する。
【0017】
上記ウォーニング表示器3、4は、複数のウォーニング意匠がそれぞれ形成された表示板としてのウォーニング板31、41(
図3)と、これらウォーニング意匠の背面に配置された複数の図示しないウォーニング用LEDと、から構成されている。ウォーニング板31、41は、例えば透明基板から構成されていて、正面又は背面にウォーニング意匠が切り抜かれた黒色印刷が施されている。以上の構成により、ウォーニング用LEDが点灯すると、その正面のウォーニング意匠が光輝して視認される。
【0018】
また、メータ1は、
図2などに示すように、配線板5と、配線板5の背面を覆うシールド6と、これらLCD2、ウォーニング表示器3、4や配線板5、シールド6を収容する正面に開口が設けられた樹脂製のケース7と、上記LCD2、ウォーニング表示器3、4よりも正面側に配置され、これらLCD2、ウォーニング表示器3、4を露出する露出穴81〜83が設けられたケース7の正面開口を塞ぐ見返し8と、見返し8の正面側を覆う図示しない表ガラスと、を備えている。
【0019】
配線板5は、上述したLCD2やウォーニング板31、41の背面に配置されていて、LCD2などを制御するための電子部品やLCD2を照明するLCD用LED、上記ウォーニング用LEDなどが搭載されている。シールド6は、金属などの導電性部材から受け皿状に構成されていて、配線板5の背面に取り付けられている。このシールド6により、配線板5からのノイズが外部に出ることを防ぐと共に、他の電子機器からのノイズが配線板5に進入することを防ぐことができる。
【0020】
上記ケース7は、正面と背面とに開口が設けられたケース本体71と、このケース本体71の背面を塞ぐ裏カバー72と、で構成されている。上記ケース本体71には、上述したLCD2、ウォーニング表示器3、4、配線板5及びシールド6が収容されている。上記裏カバー72は、ケース本体71の背面開口を覆う底壁72aと、この底壁72aの縁部から立設する周壁72bと、から構成されている。
【0021】
この底壁72aには、配線板5に接続された外接コネクタ9が突出して外部に露出されている。また、この周壁72bに、多数の放熱孔72cが設けられていて、この放熱孔72cからLCD2や配線板5からの熱が外部に放出される。
【0022】
上記見返し8は、
図1に示すように、上述したようにLCD2、ウォーニング表示器3、4を露出する露出穴81〜83が設けられ、ケース7の正面開口を塞いで不必要な部分を隠す。上記露出穴81は、LCD2の外縁よりも少し小さめに設けられていて、LCD2を露出する。上記露出穴82、83は、ウォーニング板31、32よりも少し小さめに設けられていて、ウォーニング板31、32を露出する。また、この見返し8の周縁からは周壁84が立設している。そして、この見返し8の正面には、図示しない表ガラスが取り付けられており、正面からゴミなどが入らないようになっている。
【0023】
また、上記メータ1には、
図2〜
図4に示すように、ゴムなどの弾性部材から構成されたパッキン10がさらに備えられている。上記パッキン10は、リング状に形成されていて、LCD2の正面側の全縁部と見返し8の背面側において露出穴81の全縁部との間に設けられている。そして、
図3及び
図4に示すように、ウォーニング板31、32の縁部がこのパッキン10よりも正面側に配置されている。
【0024】
また、上記パッキン10は、
図4に示すように、LCD2正面の縁部からはみ出るように設けられていて、そのはみ出た部分には、ケース本体71に突設した位置決めボス71aが挿入される位置決め穴10aが設けられている。これにより、位置決め穴10aを位置決めボス71a内に挿入するようにパッキン10を取り付ければよく、パッキン10の取付性向上を図ることができる。
【0025】
次に、上述したメータ1の組み立て手順について説明する。まず、ケース本体71内にLCD2、配線板5、シールド6を収容した後に、ケース本体72の背面側開口に裏カバー72を取り付ける。その後、LCD2の正面側縁部にパッキン10を取り付けるこのとき、パッキン10に設けた位置決め穴10aにケース本体71に設けた位置決めボス71aが挿入するように取り付ける。
【0026】
次に、ウォーニング板31、32をケース本体71にネジ止めなどにより取り付ける。このとき、ウォーニング板31、32の縁部が、パッキン10よりも正面側に配置される。その後、見返し8をケース本体71に取り付け、表ガラス9を見返し8に取り付けて完成する。
【0027】
上述したメータ1によれば、LCD2の正面側の縁部と見返し8の背面側において露出穴81の縁部との間にパッキン10が設けられているので、放熱孔72cからケース7内に異物が侵入したとしても、パッキン10によりLCD2と見返し8との間の隙間が塞がれているため、その異物がLCD2正面の表示面への進入を防止することができる。従って、作業性、放熱性を維持したまま、LCD2正面の表示面への異物進入を防止できるようになり、表示品位を向上させることができる。
【0028】
また、上述したメータ1によれば、ウォーニング板31、32の縁部が、パッキン10よりも正面側に配置されているので、パッキン10のめくれを防止できる。
【0029】
なお、上述した実施形態によれば、ウォーニング板31、32をパッキン10よりも正面側に配置していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、LCD2の左右に指針表示器を並べる場合は、その指針表示器の文字板をウォーニング板31、32の代わりにパッキン10の正面側に配置して、パッキン10めくれを防止するようにしてもよい。
【0030】
また、上述した実施形態によれば、ウォーニング板31、32をパッキン10よりも正面側に配置していたが、本発明はこれに限ったものではない。LCD2にウォーニング板31、32をパッキン10の正面側に配置しなくてもよい。
【0031】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 メータ(表示装置)
2 LCD(表示器)
7 ケース
8 見返し
10 パッキン
31 ウォーニング板(表示板)
32 ウォーニング板(表示板)
72c 放熱孔
81 露出穴