特許第5746551号(P5746551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5746551ランプ状態検出装置及びランプ状態検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746551
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】ランプ状態検出装置及びランプ状態検出方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 11/00 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   B60Q11/00 625A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-100547(P2011-100547)
(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公開番号】特開2012-232613(P2012-232613A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2014年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】赤嶺 初志
(72)【発明者】
【氏名】梅原 英正
【審査官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−057023(JP,A)
【文献】 特開2007−246017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方又は後方に配置された複数のメインランプと、前記メインランプよりも駆動電流が小さい1つのサブランプと、前記メインランプ及び前記サブランプに対して間欠的に駆動電流を供給してこれらランプを同時に点滅させるランプ駆動手段と、前記ランプ駆動手段による点滅中に前記複数のメインランプの状態を検出する状態検出手段と、を備えたランプ状態検出装置において、
前記複数のメインランプ及び前記サブランプに流れる駆動電流の合計を検出する電流検出手段をさらに備え、
前記状態検出手段が、通常時において前記メインランプ及び前記サブランプの点灯開始から所定時間経過後に設定された断線検出タイミングに前記電流検出手段により検出された電流値が判定値未満のときに前記メインランプの断線を検出し、断線検出時において前記メインランプ及び前記サブランプの点灯開始から所定時間経過後に設定された復帰検出タイミングに前記電流検出手段により検出された電流値が復帰判定値以上のときに前記メインランプの断線復帰を検出し、
前記判定値が、前記複数のメインランプに流れる駆動電流の合計より小さく、かつ、前記複数のメインランプの1つを除いた残りのメインランプと前記サブランプとに流れる駆動電流の合計よりも大きい値に設定され、
前記復帰判定値が、前記複数のメインランプに流れる駆動電流の合計より大きく、かつ、前記複数のメインランプと前記サブランプに流れる駆動電流の合計よりも小さい値に設定されている
ことを特徴とするランプ状態検出装置。
【請求項2】
車両の前方又は後方に配置された複数のメインランプ、及び、前記メインランプよりも駆動電流が小さい1つのサブランプ、に対して間欠的に駆動電流を供給してこれらランプを同時に点滅させ、点滅中に前記複数のメインランプの状態を検出するランプ状態検出方法において、
前記複数のメインランプ及び前記サブランプに流れる駆動電流の合計を検出し、
通常時において前記メインランプ及び前記サブランプの点灯開始から所定時間経過後に設定された断線検出タイミングに検出された前記駆動電流の合計が判定値未満のときに前記メインランプの断線を検出し、断線検出時において前記メインランプ及び前記サブランプの点灯開始から所定時間経過後に設定された復帰検出タイミングに検出された前記駆動電流の合計が復帰判定値以上のときに前記メインランプの断線復帰を検出し、
前記判定値が、前記複数のメインランプに流れる駆動電流の合計より小さく、かつ、前記複数のメインランプの1つを除いた残りのメインランプと前記サブランプに流れる駆動電流の合計よりも大きい値に設定され、
前記復帰判定値が、前記複数のメインランプに流れる駆動電流の合計より大きく、かつ、前記複数のメインランプと前記サブランプに流れる駆動電流の合計よりも小さい値に設定されている
ことを特徴とするランプ状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ状態検出装置及びランプ状態検出方法に係り、特に、車両の前方又は後方に配置された複数のメインランプの状態を検出するランプ状態検出装置及びランプ状態検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両(自動車)には左、右のターンシグナルランプそれぞれが複数設けられている。これらのターンシグナルランプは、通常、いわゆる電球(白熱球、ハロゲン球等)で形成され、方向指示レバーを左に回動すると、左の各ランプに間欠的に駆動電流が供給されて左の各ランプが同時に点滅し、方向指示レバーを右に回動すると、右の各ランプに間欠的に駆動電流が供給されて右の各ランプが同時に点滅する。
【0003】
ところで、上記各ターンシグナルランプは、経時劣化等によって断線(球切れ)が発生する。そこで、各ターンシグナルランプに供給される駆動電流が減少したとき断線を検出し、断線を検出するとランプの点滅周期を高速にして、断線を報知するランプ状態検出装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
この特許文献1に示すランプ状態検出装置の詳細な動作について図5を参照して説明する。図中、実線αは例えば3つのターンシグナルランプ(=3つのメインランプ)が断線してない通常時の電流変化を示し、実線βは3つのターンシグナルランプのうち何れか1つが断線しているときの電流変化を示している。また、図5中のT1は通常時の点灯期間、T2(<T1)は断線時の点灯期間である。
【0005】
同図に示すように、ランプ状態検出装置は、通常時に点灯期間T1の終了間近に設定された断線検出タイミングt1において検出した3つのターンシグナルランプに流れる駆動電流の合計が判定値Ith1以下のときにターンシグナルランプの断線を検出して、点灯期間をT1からT2に切り替える。その後、ランプ状態検出装置は、点灯期間T2の終了間近に設定された復帰検出タイミングt2において検出した3つのターンシグナルランプに流れる駆動電流の合計が復帰判定値Ith2以上のときにターンシグナルランプの断線復帰を検出して、点灯期間をT2からT1に切り替える。
【0006】
上記判定値Ith1は、図5の実線αに沿って低下する駆動電流の断線検出タイミングt1における電流値Iα(t1)より十分に小さく、かつ、図5の実線βに沿って低下する駆動電流の断線検出タイミングt1における電流値Iβ(t1)よりも十分大きい値に設定されている(Iβ(t1)<Ith1<Iα(t1))。
【0007】
上記復帰判定値Ith2は、図5の実線βに沿って低下する駆動電流の復帰検出タイミングt2における電流値Iβ(t2)より十分大きく、かつ、図5の実線αに沿って低下する駆動電流の復帰検出タイミングt2における電流値Iα(t2)より十分小さい値に設定されている(Iβ(t2)<Ith2<Iα(t2))。
【0008】
上記ターンシグナルランプは、一般的な電球と同様、電流のばらつきが大きく、点灯開始に近くなる程、ラッシュ電流の影響によりばらつきの影響が大きくなる。上記ランプ状態検出装置によれば、点灯期間T1、T2の終了間近に断線検出タイミングt1や復帰検出タイミングt2を設定することにより、電流のばらつきの影響を十分に抑えて、断線、断線復帰の誤検出を防止している。
【0009】
ところで、上記ランプ状態検出装置は、断線検出タイミングt1や復帰検出タイミングt2では駆動電流を所定回数検出して、その平均値と、判定値Ith1や復帰判定値Ith2とを比較している。このため、上述したように点灯期間T1、T2の終了間近に断線検出タイミングt1、復帰検出タイミングt2を設定すると、所定回数の駆動電流の検出ができないうちに点灯が終了してしまう。そうすると、次の点灯期間で残りを検出する必要があり、断線や復帰を検出するタイミングが遅れてしまう、という問題があった。
【0010】
このタイミング遅れを防止するには、復帰検出タイミングt2を点灯終了間近ではなく、点灯開始してラッシュ電流が落ち着いてからすぐのばらつきの大きい時間に設定する必要がある。しかしながら、従来の復帰判定値は、3つのターンシグナルランプが通常点灯しているときの駆動電流と3つのターンシグナルランプの1つが断線しているときの駆動電流との間に設定しているため、復帰判定値を十分に大きく設定することができない。特に、ターンシグナルランプの点滅し始めは通常よりも高いラッシュ電流が流れるため、上述したように点灯開始してラッシュ電流が落ち着いてからすぐのばらつきの大きい時間に復帰検出タイミングt2を設定してしまうと、断線しているにも係わらず復帰判定値を超えて、誤検出してしまう恐れがある、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−246017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、復帰判定値を十分に大きくすることができ、断線復帰の誤検出を防止できるランプ状態検出装置及びランプ状態検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、車両の前方又は後方に配置された複数のメインランプと、前記メインランプよりも駆動電流が小さい1つのサブランプと、前記メインランプ及び前記サブランプに対して間欠的に駆動電流を供給してこれらランプを同時に点滅させるランプ駆動手段と、前記ランプ駆動手段による点滅中に前記複数のメインランプの状態を検出する状態検出手段と、を備えたランプ状態検出装置において、前記複数のメインランプ及び前記サブランプに流れる駆動電流の合計を検出する電流検出手段をさらに備え、前記状態検出手段が、通常時において前記メインランプ及び前記サブランプの点灯開始から所定時間経過後に設定された断線検出タイミングに前記電流検出手段により検出された電流値が判定値未満のときに前記メインランプの断線を検出し、断線検出時において前記メインランプ及び前記サブランプの点灯開始から所定時間経過後に設定された復帰検出タイミングに前記電流検出手段により検出された電流値が復帰判定値以上のときに前記メインランプの断線復帰を検出し、前記判定値が、前記複数のメインランプに流れる駆動電流の合計より小さく、かつ、前記複数のメインランプの1つを除いた残りのメインランプと前記サブランプとに流れる駆動電流の合計よりも大きい値に設定され、前記復帰判定値が、前記複数のメインランプに流れる駆動電流の合計より大きく、かつ、前記複数のメインランプと前記サブランプに流れる駆動電流の合計よりも小さい値に設定されていることを特徴とするランプ状態検出装置に存する。
【0014】
請求項2記載の発明は、車両の前方又は後方に配置された複数のメインランプ、及び、前記メインランプよりも駆動電流が小さい1つのサブランプ、に対して間欠的に駆動電流を供給してこれらランプを同時に点滅させ、点滅中に前記複数のメインランプの状態を検出するランプ状態検出方法において、前記複数のメインランプ及び前記サブランプに流れる駆動電流の合計を検出し、通常時において前記メインランプ及び前記サブランプの点灯開始から所定時間経過後に設定された断線検出タイミングに検出された前記駆動電流の合計が判定値未満のときに前記メインランプの断線を検出し、断線検出時において前記メインランプ及び前記サブランプの点灯開始から所定時間経過後に設定された復帰検出タイミングに検出された前記駆動電流の合計が復帰判定値以上のときに前記メインランプの断線復帰を検出し、前記判定値が、前記複数のメインランプに流れる駆動電流の合計より小さく、かつ、前記複数のメインランプの1つを除いた残りのメインランプと前記サブランプに流れる駆動電流の合計よりも大きい値に設定され、前記復帰判定値が、前記複数のメインランプに流れる駆動電流の合計より大きく、かつ、前記複数のメインランプと前記サブランプに流れる駆動電流の合計よりも小さい値に設定されていることを特徴とするランプ状態検出方法に存する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように請求項1及び2記載の発明によれば、復帰判定値が、複数のメインランプに流れる駆動電流の合計より大きく、かつ、複数のメインランプとサブランプに流れる駆動電流の合計よりも小さい値に設定されているので、復帰判定値を十分に大きい値に設定することができ、断線復帰の誤検出を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のランプ状態検出装置の一実施形態を示す構成図である。
図2図1に示すメインランプ及びサブランプを取り付けた車両の概略図である。
図3】右ランプ群に供給される電流のタイムチャートである。
図4図1に示すマイコンの断線検出処理手順を示すフローチャートである。
図5】従来のランプ状態検出装置の動作を説明するための3つのターンシグナルランプに流れる駆動電流の合計のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のランプ状態検出方法を実施したランプ状態検出装置について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明のランプ状態検出装置の一実施形態を示す構成図である。図2は、図1に示すメインランプ及びサブランプを取り付けた車両の概略図である。同図に示すように、ランプ状態検出装置1は、車両の右側に配置された右ランプ群2と、車両の左側に配置された左ランプ群3と、バッテリ電圧+Bと右ランプ群2及び左ランプ群3との間に設けられたハイサイドスイッチ4と、ハイサイドスイッチ4のオンオフを制御するマイクロコンピュータ(以下マイコンと略記)5と、電源部6と、を備えている。
【0018】
上記右ランプ群2は、図2に示すように、車両の右前方及び右後方に配置された例えば21ワットの2つのメインランプ2a、2bと、車両の右側面に配置された例えば5ワットの1つのサブランプ2cと、から構成されている。これらメインランプ2a、2b及びサブランプ2cは、互いに並列に接続され、一端がグランドに接続され、他端がハイサイドスイッチ4を介してバッテリ電源+Bに接続されている。ワット数からも明らかなようにサブランプ2cは、2つのメインランプ2a、2bよりも駆動電流が小さい。
【0019】
上記左ランプ群3は、図2に示すように、車両の左前方及び左後方に配置された例えば21ワットの2つのメインランプ3a、3bと、車両の左側面に配置された例えば5ワットの1つのサブランプ3cと、から構成されている。これらメインランプ3a、3b及びサブランプ3cは、互いに並列に接続され、一端がグランドに接続され、他端がハイサイドスイッチ4を介してバッテリ電源+Bに接続されている。ワット数からも明らかなようにサブランプ3cは、2つのメインランプ3a、3bよりも駆動電流が小さい。
【0020】
上記ハイサイドスイッチ4は、バッテリ電源+Bと右ランプ群2との間に設けられた右ハイサイドスイッチと、バッテリ端子+Bと左ランプ群3との間に設けられた左ハイサイドスイッチ(何れも図示せず)と、から構成されている。ハイサイドスイッチ4は、例えばパワーMOSFETなどの半導体スイッチから構成され、そのゲートがインタフェース(以下I/F)7を介してマイコン5に接続されている。
【0021】
また、このハイサイドスイッチ4は、自身に流れる電流の1/nの電流値が出力されるセンス端子が設けられていて、そのセンス端子がI/F7を介してマイコン5に接続されている。即ち、右ハイサイドスイッチのセンス端子からは、右ランプ群2を構成する2つのメインランプ2a、2b及びサブランプ2cに流れる駆動電流の合計が出力される。左ハイサイドスイッチのセンス端子からは、左ランプ群3を構成する2つのメインランプ3a、3b及びサブランプ3cに流れる駆動電流の合計が出力される。以上のことから明らかなように、ハイサイドスイッチ4が電流検出手段に相当する。
【0022】
上記マイコン5は、I/F8を介してターンスイッチSW1、ハザードスイッチSW2が接続されている。方向指示レバーが右側に回動されターンスイッチSW1の接点が右端子TRに接続されると、マイコン5は、右ハイサイドスイッチを間欠的にオンオフ制御して右ランプ群2に対して間欠的に駆動電流を供給し、右ランプ群2を同時に点滅させる。
【0023】
方向指示レバーが左側に回動されターンスイッチSW1の接点が左端子TLに接続されると、マイコン5は、左ハイサイドスイッチを間欠的にオンオフ制御して左ランプ群3に対して間欠的に駆動電流を供給し、左ランプ群3を同時に点滅させる。ハザードスイッチSWがオンすると、マイコン5は、右ランプ群2及び左ランプ群3に接続された右及び左ハイサイドスイッチを間欠的にオンオフ制御して右ランプ群2及び左ランプ群3の両者に対して間欠的に駆動電流を供給し、右ランプ群2及び左ランプ群3を同時に点滅させる。以上のことから明らかなように、マイコン5は、ランプ駆動手段として働く。
【0024】
また、上述したマイコン5は、状態検出手段として働き、A/D変換器が内蔵されていて、ハイサイドスイッチ4のセンス端子から入力した電流値をA/D変換して取り込むことができる。マイコン5は、この取り込んだ電流値に基づいてメインランプ2a、2b、3a及び3bの状態を検出する。
【0025】
次に、上述した構成のランプ状態検出装置1の動作について図3及び図4を参照して説明する。図3は、図1に示すマイコンの断線検出処理手順を示すフローチャートである。図4は右ランプ群に供給される電流のタイムチャートである。図4中、実線αは、2つのメインランプ2a、2b及び1つのサブランプ2cの何れも断線していないときに右ランプ群2に流れる駆動電流を示す。実線βは、2つのメインランプ2a、2bの一方のみが断線し1つのサブランプ2cが断線していないときに右ランプ群2に流れる駆動電流を示す。実線γは、2つのメインランプ2a、2bが断線しておらず、1つのサブランプ2cのみが断線したときの右ランプ群2に流れる駆動電流を示す。なお、ここでは説明を簡単にするために右ランプ群2の断線、断線復帰の検出について説明し、左ランプ群3についての説明は同様であるため省略する。
【0026】
マイコン5は、車両のイグニッションオンに応じて動作を開始する。まず、マイコン5は、ターンスイッチSW1の接点が右端子TRに接続されるか、ハザードスイッチSW2がオンされるのを待って(ステップS1でY)次のステップS2に進む。ステップS2においてマイコン5は、既に断線が検出され断線フラグがオンしているか否かを判定する。
【0027】
断線フラグがオフであれば(ステップS2でN)、マイコン5は、右ハイサイドスイッチを通常周期でオンオフさせて、右ランプ群2を通常周期で点滅させる(ステップS3)。その後、マイコン5は、図4に示すように、右ランプ群2の点灯開始から所定時間経過後に設定された断線検出タイミングt1になると(ステップS4でY)、右ハイサイドスイッチのセンス端子からの出力を間欠的に所定回数取り込み、その平均値を右ランプ群2に流れる電流値として検出する(ステップS5)。
【0028】
次に、マイコン5は、検出した電流値と判定値Ith1とを比較して、検出した電流値が判定値Ith1未満のときに(ステップS6でY)、断線を検出して断線フラグをオンすると共に右ランプ群2の点滅周期を通常周期から通常周期よりも早いハイフラッシャー(以下ハイフラ)周期に変更した後(ステップS7)、ステップS8に進む。一方、マイコン5は、検出した電流値が判定値Ith1以上のとき(ステップS6でN)、正常であるとしステップS7に進むことなく直ちにステップS8に進む。
【0029】
上記ステップS8において、マイコン5は、ターンスイッチSW1、ハザードスイッチSW2がオフされると(ステップS8でY)、右ハイサイドスイッチをオフにして右ランプ群2をオフした後(ステップS9)、ステップS1に戻る。これに対して、マイコン5は、ターンスイッチSW1、ハザードスイッチSW2がオフされていなければ(ステップS8でN)、直ちにステップS2に戻る。
【0030】
一方、断線フラグがオンであれば(ステップS2でY)、マイコン5は、右ハイサイドスイッチをハイフラ周期でオンオフさせて、右ランプ群2をハイフラ周期で点滅させる(ステップS10)。その後、マイコン5は、図4に示すように、右ランプ群2の点滅開始から所定時間経過後に設定された復帰検出タイミングt2(=t1)になると(ステップS11でY)、右ハイサイドスイッチのセンス端子からの出力を間欠的に所定回数取り込み、その平均値を右ランプ群2に流れる電流値として検出する(ステップS12)。
【0031】
次に、マイコン5は、検出した電流値と復帰判定値Ith2とを比較して、検出した電流値が復帰判定値Ith2以上のときに(ステップS13でY)、断線復帰(正常に戻ったこと)を検出して断線フラグをオフすると共に右ランプ群2の点滅周期をハイフラ周期から通常周期に変更した後(ステップS14)、ステップS8に進む。一方、マイコン5は、検出した電流値が復帰判定値Ith2未満のとき(ステップS13でN)、断線のままであるとして、ステップS14に進むことなく直ちにステップS8に進む。
【0032】
次に、上述した判定値Ith1、復帰判定値Ith2の設定について図4を参照して説明する。図4に示すように、右ランプ群2に流れる電流は、点灯開始時は大きなラッシュ電流が流れ、そのラッシュ電流が減少し定常駆動電流になるとほぼ一定になる。そして、上記判定値Ith1は、右ランプ群2を構成するランプ2a〜2cのうちサブランプ2cのみが断線したときに右ランプ群2に流れる定常駆動電流Iγ(=2つのメインランプ2a、2bに流れる定常駆動電流の合計)より十分小さく、かつ、右ランプ群2を構成するランプ2a〜2cのうち2つのメインランプ2a、2bの何れか一方のみが断線したときに右ランプ群2に流れる定常駆動電流Iβ(=2つのメインランプ2a、2bの何れか他方とサブランプ2cとに流れる定常駆動電流の合計)よりも十分大きい値に設定されている(即ち、Iβ<Ith1<Iγ)。
【0033】
上記復帰判定値Ith2は、右ランプ群2を構成するランプ2a〜2cの何れにも断線が生じていないときに右ランプ群2に流れる定常駆動電流Iα(=2つのメインランプ2a、2bとサブランプ2cとに流れる定常駆動電流の合計)より十分小さく、かつ、上記定常駆動電流Iγより十分大きい値に設定されている(即ち、Iγ<Ith2<Iα)。上述した定常駆動電流Iα、Iβ、Iγは、例えばランプ特性、電子部品、マイコン5の読み取り誤差などに起因して変動するが、この変動範囲はランプ特性、電子部品、マイコン5などから予測できる。そこで、定常駆動電流Iα、Iβ、IγそれぞれのMAX(最大)値、MIN(最小)値を求め、実際には下記の式(1)、(2)に示す範囲に判定値Ith1、復帰判定値Ith2を設定する。
IβのMAX値<I1<IγのMIN値 …(1)
IγのMIN値<I2<IαのMIN値 …(2)
【0034】
これにより、メインランプ2a、2bの何れか一方が断線したとき、右ランプ群2に流れる電流は実線βに示す波形となるため、断線検出タイミングt1で判定値Ith1未満となり断線を検出できる。また、断線検出後に全てのランプ2a〜2cについて点検を行って全てのランプ2a〜2cについて正常な状態にすれば、右ランプ群2に流れる電流は実線αに示す波形となるため、復帰検出タイミングt2で復帰判定値Ith2以上となり断線を検出できる。即ち、従来では判定値Ith1、復帰判定値Ith2の両者を駆動電流Iβ〜駆動電流Iγの範囲内としていたが(即ち、Iβ<Ith1、Ith2<Iγ)、本実施形態のように復帰判定値Ith2を定常駆動電流Iγより大きく、かつ、定常駆動電流αよりも小さい値に設定することにより、復帰判定値Ith2を大きい値に設定することができ、断線復帰の誤検出を防止できる。
【0035】
なお、上述した実施形態によれば、メインランプは2つを例に説明してたが、本発明はこれに限ったものではない。メインランプとしては2つ以上あればよく、3つでも4つでもよい。
【0036】
また、上述した実施形態によれば、断線検出タイミングt1と復帰検出タイミングt2とを同じタイミングにしていたが、本発明はこれに限ったものではない。断線検出タイミングt1よりも後ろに復帰検出タイミングt2を設定するようにしてもよい。
【0037】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
2a メインランプ
2b メインランプ
2c サブランプ
3a メインランプ
3b メインランプ
3c サブランプ
4 ハイサイドスイッチ(電流検出手段)
5 マイコン(ランプ駆動手段、状態検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5