特許第5746583号(P5746583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5746583-作動音生成装置 図000002
  • 特許5746583-作動音生成装置 図000003
  • 特許5746583-作動音生成装置 図000004
  • 特許5746583-作動音生成装置 図000005
  • 特許5746583-作動音生成装置 図000006
  • 特許5746583-作動音生成装置 図000007
  • 特許5746583-作動音生成装置 図000008
  • 特許5746583-作動音生成装置 図000009
  • 特許5746583-作動音生成装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746583
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】作動音生成装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 5/00 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   B60Q5/00 620D
   B60Q5/00 630G
   B60Q5/00 640F
   B60Q5/00 650B
   B60Q5/00 670B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-168350(P2011-168350)
(22)【出願日】2011年8月1日
(65)【公開番号】特開2013-32063(P2013-32063A)
(43)【公開日】2013年2月14日
【審査請求日】2014年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】赤嶺 初志
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−39131(JP,A)
【文献】 特開2007−112347(JP,A)
【文献】 特開2011−56967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインカランプ又はハザードランプの点滅に同期した作動音を出力するブザーを備えた作動音生成装置において、
前記ウインカランプ又はハザードランプの点灯期間中又は消灯期間中に、互いに異なるパルス数の複数の第1パルス列であって、互いに同じパルス幅、同じデューティの前記複数の第1パルス列を、間隔を空けて前記ブザーに供給するパルス供給手段を備え、
前記複数の第1パルス列のパルス数が、前記ブザーが定常振動する前に各第1パルス列の出力が終了するように設定され、
前記パルス供給手段が、先の前記第1パルス列の出力が終了した後、前記ブザーの振動が停止する前に前記第1パルス列の出力を開始する
ことを特徴とする作動音生成装置。
【請求項2】
前記パルス供給手段が、段々パルス数が少なくなるような順に前記複数の第1パルス列を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の作動音生成装置。
【請求項3】
前記パルス供給手段が、前記点灯期間及び前記消灯期間の一方の期間中に前記複数の第1パルス列を供給し、前記点灯期間及び前記消灯期間の他方の期間中に所定パルス数の第2パルス列を1つだけを出力させた後、前記他方の期間が終わるまでパルスの供給を停止させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の作動音生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動音生成装置に係り、特に、ウインカランプ又はハザードランプの点滅に同期した作動音を出力するブザーを備えた作動音生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両は、ウインカランプやハザードランプを点滅作動させるための機械式リレーを備えており、ウインカスイッチやハザードスイッチなどの操作に応じて機械式リレーによりウインカランプやハザードランプを点滅作動させるようになっている。さらに、ウインカランプやハザードランプの点滅作動状態を車室内において運転者が確認できるようにするため、インジケータの点滅表示を行うことにより視覚的報知を行うとともに機械式リレーの打撃音により聴覚的報知を行うようになっていた。
【0003】
近年、ウインカランプやハザードランプの点滅作動は半導体スイッチ等を用いて行うようにすることが多くなっている。その場合は機械式リレーそのものがなくなり、聴覚的報知を行うための打撃音が得られなくなってしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、従来では、ブザーを間欠的に鳴動させて、機械式リレーの打撃音としている。しかしながら、機械式リレーの打撃音は、一般的に図7に示すように広い周波数帯にスペクトラムが広がっているが、ブザーは通常鳴動状態では図8に示すように、基本波とその高調波のみがスペクトラムに表され、機械式リレーの打撃音のように広い周波数帯でスペクトラムが広がっていない。このため、機械式リレーの打撃音とかなり異なるため、違和感を感じる、という問題があった。
【0005】
また、特許文献1に記載の方向指示表示音発生装置は、図9に示すように、ホーン用の発音体(圧電振動素子)に、発音体が定常作動音にて鳴動するに必要な通電時間もしくは通電量に至らない作動信号を、ウインカ点滅信号に同期して間欠的に出力することにより、ホーンとしての発音の音色とは明らかに異なる慣れ親しんだ機械式リレーの打撃音に近い音を発生させている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方向指示表示音発生装置では、ホーンに定常作動音にて鳴動するのに必要な通電時間に至らない短時間通電するのみであるので、音圧が小さく、車室内などの様々な作動音や周囲の環境音が多い場所では機械式リレーの打撃音としてドライバーが認識できないことがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−334469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、機械式リレーの打撃音に類似した作動音をドライバーに認識できるような音圧で出力することができる作動音生成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、ウインカランプ又はハザードランプの点滅に同期した作動音を出力するブザーを備えた作動音生成装置において、前記ウインカランプ又はハザードランプの点灯期間中又は消灯期間中に、互いに異なるパルス数の複数の第1パルス列であって、互いに同じパルス幅、同じデューティの前記複数の第1パルス列を、間隔を空けて前記ブザーに供給するパルス供給手段を備え、前記複数の第1パルス列のパルス数が、前記ブザーが定常振動する前に各第1パルス列の出力が終了するように設定され、前記パルス供給手段が、先の前記第1パルス列の出力が終了した後、前記ブザーの振動が停止する前に前記第1パルス列の出力を開始することを特徴とする作動音生成装置に存する。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記パルス供給手段が、段々パルス数が少なくなるような順に前記複数の第1パルス列を出力することを特徴とする請求項1に記載の作動音生成装置に存する。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記パルス供給手段が、前記点灯期間及び前記消灯期間の一方の期間中に前記複数の第1パルス列を供給し、前記点灯期間及び前記消灯期間の他方の期間中に所定パルス数の第2パルス列を1つだけを出力させた後、前記他方の期間が終わるまでパルスの供給を停止させことを特徴とする請求項1又は2に記載の作動音生成装置に存する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、複数の第1パルス列のパルス数が、ブザーが定常振動する前に各第1パルス列の出力が終了するように設定され、パルス供給手段が、先の第1パルス列の出力が終了した後、ブザーの振動が停止する前に第1パルス列の出力を開始するので、ブザーが定常振動しない状態を長くすることができ、音圧を上げることができる。また、パルス供給手段が、ウインカランプ又はハザードランプの点灯期間又は消灯期間中に、互いに異なるパルス数の複数の第1パルス列であって、互いに同じパルス幅、同じデューティの複数の第1パルス列を、間隔を空けてブザーに供給する。これにより、ブザーが定常振動してない状態で、パルスの周波数を固定してパルス数を変化させることで、機械式リレーの打撃音に類似した広い周波数帯でスペクトラムを持った作動音を生成することができる。従って、機械式リレーの打撃音に類似した作動音をドライバーに認識できるような音圧で出力することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、パルス供給手段が、段々パルス数が少なくなるような順に複数の第1パルス列を出力するので、より一層、機械式リレーの打撃音に類似した作動音を生成することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、パルス供給手段が、点灯期間及び消灯期間の一方の期間中に複数の第1パルス列を供給し、点灯期間及び消灯期間の他方の期間中に所定パルス数の第2パルス列を1つだけを出力させた後、他方の期間が終わるまでパルスの供給を停止させるので、消灯期間と点灯期間とを同じ周波数で異なった音色とし、メリハリを持たせたリレー音に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態にかかる作動音生成装置を組み込んだ方向指示装置の回路図である。
図2図1に示された方向指示装置を構成する右、左ウインカランプの点灯状態とブザーに供給する駆動パルスとの概略タイムチャートである。
図3】ブザーとして圧電ブザーを用いた場合の図2に示されたタイムチャートのA部分の拡大図である。
図4】ブザーとして圧電ブザーを用いた場合の図2に示されたタイムチャートのB部分の拡大図である。
図5】ブザーとして電磁ブザーを用いた場合の図2に示されたタイムチャートのA部分の拡大図である。
図6】ブザーとして電磁ブザーを用いた場合の図2に示されたタイムチャートのB部分の拡大図である。
図7】機械式リレーの打撃音の周波数成分を示すグラフである。
図8】ブザーの通常吹鳴状態における周波数成分を示すグラフである。
図9】従来の方向指示表示音発生装置から出力されるウインカ点滅信号及び作動信号のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる作動音生成装置を組み込んだ方向指示装置1の回路図である。
【0017】
方向指示装置1は、マイコン2と、I/F3と、ブザー4と、電源部5と、ウインカースイッチ6と、ハザードスイッチ7と、I/F8と、I/F9と、HisideSW10と、右ウインカランプ11と、左ウインカランプ12と、を備えている。
【0018】
パルス供給手段としてのマイコン2は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ及びA/D変換回路などを備えたマイクロコンピュータであり、後述する電源部5から電源が供給されて動作し、ウインカースイッチ6やハザードスイッチ7の操作に応じてI/F9を介してHisideSW10に対して右ウインカランプ11や左ウインカランプ12の点滅用の制御信号を出力したり、I/F3を介してブザー4に対して駆動パルスを出力する。
【0019】
I/F3は、マイコン2とブザー4との間に設けられ、マイコン2から出力されたブザー4の駆動パルスをインターフェース(増幅等)してブザー4へ出力する。
【0020】
ブザー4は、例えば圧電ブザーなどで構成され、マイコン2からI/F3を介して入力される駆動パルスに応じて報知音を発生する。このブザー4は、右、左ウインカランプ11、12の点滅に同期した機械式リレーの打撃音に類似した作動音を出力する以外、警報報知音も出力するようにしてもよい。
【0021】
電源部5は、バッテリ(+B)からの電源をイグニッション(IGN)がONの際にマイコン2に所定の電圧に変換して供給する。
【0022】
ウインカースイッチ6は、車両のステアリングコラムなどに設けられたレバーなどで構成され、当該車両の向かう方向に合わせて右折(TURN_R)と左折(TURN_L)とを切り替える。そして、右折または左折に応じた信号をI/F8を介してマイコン2に出力する。
【0023】
ハザードスイッチ7は、車両のインストルメントパネル等に設けられ、例えば当該車両の緊急停車時に操作されると、右ウインカランプ11と左ウインカランプ12とを同時に点滅させるための信号をI/F8を介してマイコン2に出力する。このとき、右ウインカランプ11及び左ウインカランプ12がハザードランプとして機能する。
【0024】
I/F8は、ウインカスイッチ6またはハザードスイッチ7から出力された信号をインタフェースしてマイコン2へ出力する。
【0025】
I/F9は、マイコン2とHisideSW10との間に設けられ、マイコン2から出力された右ウインカランプ11又は左ウインカランプ12の点滅用の制御信号をインタフェースしてHisideSW10へ出力する。
【0026】
HisideSW10は、マイコン2からI/F9を介して入力された制御信号を右ウインカランプ11又は左ウインカランプ12を点滅させるための信号へ変換して出力する。また、ハザード動作用の電源(HAZ)が供給され、ハザードスイッチ7が操作された場合は、ハザード動作用の電源から供給された電源により右ウインカスイッチ11および左ウインカスイッチ12を点滅させる。
【0027】
右ウインカランプ11は、右前面ウインカランプ11aと、右側面ウインカランプ11bと、右後面ウインカランプ11cと、を有している。右前面ウインカランプ11aは、車体の前方右側に設けられ、右側面ウインカランプ11bは、車両の右側側面に設けられ、右後面ウインカランプ11cは、車両の後方右側に設けられ、ウインカースイッチ6が右折に切り替えられるかハザードスイッチ7が操作された場合に点滅する。
【0028】
左ウインカランプ12は、左前面ウインカランプ12aと、左側面ウインカランプ12bと、左後面ウインカランプ12cと、を有している。左前面ウインカランプ12aは、車体の前方左側に設けられ、左側面ウインカランプ12bは、車両の左側側面に設けられ、左後面ウインカランプ12cは、車両の後方左側に設けられ、ウインカースイッチ6が左折に切り替えられるかハザードスイッチ7が操作された場合に点滅する。
【0029】
本実施形態では、上述したマイコン2と、I/F3と、ブザー4と、で作動音生成装置20を構成している。
【0030】
次に、上述した構成の方向指示装置1において、作動音生成装置20が右ウインカランプ11や左ウインカランプ12の点滅作動に合わせてブザーを駆動する動作を図2から図4を参照して説明する。図2は、図1に示された方向指示装置を構成する右、左ウインカランプの点灯状態とブザーに供給する駆動パルスとの概略タイムチャートである。図3は、図2に示されたタイムチャートのA部分の拡大図である。図4は、図2に示されたタイムチャートのB部分の拡大図である。なお、図2においては、右、左ウインカランプ11、12の点灯期間中に5つの駆動パルスしか出力されていないが、実際には図3に示すような駆動パルスが出力されている。また、図2においては、右、左ウインカランプ11、12の消灯期間中に1つの駆動パルスしか出力されていないが、実際には図4に示すように3つの駆動パルスが出力されている。
【0031】
マイコン2は、従来と同様に右、左ウインカランプ11、12の点滅に同期した機械式リレーと類似した作動音をブザー4から出力させる。具体的には、図3に示すように、マイコン2は、右、左ウインカランプの点灯期間中に、互いに異なるパルス数の例えば4つの第1パルス列P11〜P14を段々パルス数が少なくなるような順に間隔を空けてブザー4に供給する。
【0032】
第1パルス列P11は4つのパルスから構成され、第1パルス列P12は3つのパルスから構成され、第1パルス列P13は2つのパルスから構成され、第1パルス列P14は1つのパルスから構成されている。これら第1パルス列P11〜P14は、互いに同じパルス幅、同じデューティ(例えば1/2)であり、同じ周波数(例えば3kHz)である。
【0033】
これら複数の第1パルス列P11〜P14のパルス数は、ブザー4が定常振動する前に各第1パルス列P11〜P14の出力が終了するように設定されている。即ち、ブザー4にパルス列を出力すると、出力し始めはブザー4の振動子は、パルス列の周波数に遅れて振動するため、パルス列の周波数よりも低い周波数でゆっくり振動し、パルス列の出力が継続するとその振動は段々速くなり最後にはそのパルス列の周波数で定常振動する。この定常振動に達する前にパルス列の出力が停止されるようなパルス数に第1パルス列P11〜P14は設定されている。
【0034】
また、先の第1パルス列P11、P12、P13を出力してから第1パルス列P12、P13、P14を出力するまでの時間T1、T2、T3は、先の第1パルス列P11、P12、P13の出力が終了した後、ブザー4の振動が停止する前に第1パルス列P12、P13、P14の出力するような時間に設定されている。パルス列のパルス数が多いほどブザー4の振動が停止するまでの時間が長くなるため、上述したように段々パルス数が少なくなるような順で第1パルス列P11〜P14が出力される場合、時間T1、T2、T3も段々短くなるように設定されている。具体的には、時間T1=1.5ms、T2=1.0ms、T3=0.5msに設定されている。
【0035】
従って、右、左ウインカランプ11、12の点灯期間になると、ブザー4には、図3に示すように、4つのパルスが出力され、時間T1経過するのを待って、3つのパルスが出力される。その後、時間T2経過するのを待って、2つのパルスが出力され、時間T1経過するのを待って、1つのパルスが出力される。
【0036】
マイコン2は、第1パルス列P11〜P14の出力が終わると点灯期間が終わるまでブザー4に対するパルス列の出力を停止させる。次に、右、左ウインカランプ11、12の消灯期間になると、マイコン2は、図4に示すように、その消灯期間の初めに3つのパルスから構成される第2パルス列P21を1つだけ出力させた後、消灯期間が終わるまでパルスの供給を停止させる。第2パルス列P21のパルス数も、ブザー4が定常振動する前に第2パルス列P5の出力が終了するように設定されている。
【0037】
上述した第1パルス列P11〜P14の周波数、デューティ、パルス数、時間T1〜T3と、第2パルス列P21の周波数、デューティ、パルス数は、図示しないEEPROMに予め格納されていて、マイコン2はEEPROMの各値を参照してブザー4に対して駆動パルスを出力する。
【0038】
上述した方向指示装置1によれば、複数の第1パルス列P11〜P14のパルス数が、ブザー4が定常振動する前に第1パルス列P11〜P14の出力が終了するように設定され、マイコン2が、先の第1パルス列P11、P12、P13の出力が終了した後、ブザー4の振動が停止する前に次の第1パルス列P12、P13、P14の出力を開始する。これにより、第1パルス列P11が入力されると、ブザー4の振動子が振動し始め、徐々に振動が速くなるが、定常振動に達しないうちに第1パルス列P11の出力が終了し、ブザー4の振動がゆっくりになる。しかしながら、ブザー4の振動が止まる前に第2パルス列P12が出力され、再びブザー4の振動が速くなるが、定常振動に達しないうちに第2パルス列P12の出力が終了し、以降これを繰り返す。
【0039】
即ち、ブザー4が定常振動しない状態を長くすることができ、音圧を上げることができる。また、マイコン2が、右、左ウインカランプ11、12の点灯期間毎に、互いに異なるパルス数の複数の第1パルス列P11〜P14であって、互いに同じパルス幅、同じデューティの複数の第1パルス列P11〜P14を、間隔を空けてブザー4に供給する。ブザー4が定常振動していない状態では、ブザー4の振動周波数は、パルス数に依存する。これにより、ブザー4が定常振動してない状態で、パルスの周波数を固定してパルス数を変化させることで、機械式リレーの打撃音に類似した広い周波数帯でスペクトラムを持った作動音を生成することができる。従って、機械式リレーの打撃音に類似した作動音をドライバーに認識できるような音圧で出力することができる。
【0040】
また、上述した方向指示装置1によれば、マイコン2が、段々パルス数が少なくなるような順に複数の第1パルス列P11〜P14を出力するので、より一層、機械式リレーの打撃音に類似した作動音を生成することができる。
【0041】
また、上述した方向指示装置1によれば、マイコン2が、点灯期間中に複数の第1パルス列P11〜P14を供給し、消灯期間中に第2パルス列P21を1つだけを出力させた後、消灯期間が終わるまでパルスの供給を停止させているので、消灯期間と点灯期間とを同じ周波数で異なった音色とし、メリハリを持たせたリレー音に近づけることができる。
【0042】
なお、上述した図3及び図4は、ブザー4として圧電ブザーを用いた場合の駆動パルスであったが、例えば、ブザー4として電磁ブザーを用いた場合、図5及び図6に示すような第1パルス列P15〜P19、第2パルス列P22を出力する。第1パルス列P15〜P19は、互いに同一周波数(例えば6.4kHz)、同一デューティ(例えば1/2)であり、それぞれ5つ、4つ、3つ、2つ、1つのパルスから構成されている。第2パルス列P22は、周波数4kHz、デューティ1/2の3つのパルスから構成されている。このように、ブザー4の種類によって周波数特性は異なるため、車両毎に最適な音色となるような周波数、デューティ、パルス数であればよい。また、上述したようにEEPROMに第1パルス列、第2パルス列の情報を格納し、それに従ってマイコン2が第1パルス列、第2パルス列を出力することとで、ブザー4の変更にも対応可能となる。
【0043】
また、上述した実施形態では、右、左ウインカランプ11、12の点灯期間に第1パルス列P11〜P14を出力し、消灯期間に第2パルス列P21を出力していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、右、左ウインカランプ11、12の消灯期間に第1パルス列P11〜P14を出力し、点灯期間に第2パルス列P21を出力するようにしてもよいし、点灯期間、消灯期間の両方で第1パルス列P11〜P14を出力するようにしてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態では、第1パルス列P11〜P14は、段々パルス数が少なくなるような順番で出力されていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、パルス数は3、2、1、4の順になるようにしてもよい。
【0045】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
2 マイコン(パルス供給手段)
4 ブザー
11 右ウインカランプ(ウインカランプ)
12 左ウインカランプ(ウインカランプ)
20 作動音生成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9