(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記ゴム弾性体の表面に、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物で変性された変性スチレン−ジエンブロック共重合体水添物及び顔料を含有する塗膜が形成された請求項1に記載の支持構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、屋外パネルからの衝撃を効果的に吸収する屋外パネル取付け用緩衝装置及びこのような緩衝装置を用いた屋外パネルの支持構造を提供することを目的とするものである。
 
【課題を解決するための手段】
【0006】
  上記課題は、
緩衝装置を介して屋外パネルが支持体に取付けられた支持構造であって、前記緩衝装置が第1金属部材と第2金属部材とを有し、支持体又は屋外パネルの一方に接続される第1金属部材と、他方に接続される第2金属部材とを有する緩衝装置であって、第1金属部材が柱状部と、その外周に径方向に突出する第1フランジ及び第2フランジと、前記支持体又は前記屋外パネルへの第1接続部を有し、第2金属部材が貫通孔を有する板状部と、他方への第2接続部を有し、前記貫通孔に前記柱状部が挿入され、第1フランジと第2フランジの間に前記板状部が配置され、第1フランジと前記板状部の間、及び、第2フランジと前記板状部の間にゴム弾性体が介装されることにより第1金属部材と第2金属部材が弾性的に固定され、前記緩衝装置が前記柱状部の軸方向に伸縮可能であり、前記ゴム弾性体の歪率が0〜10%であるときの、前記緩衝装置の剛性G
1(N/mm)が下記一般式(1)
  100≦G
1≦1500      (1)
を満たし、かつ、G
1と、前記ゴム弾性体の歪率が30〜50%における、前記緩衝装置の剛性G
2(N/mm)が下記一般式(2)
  2≦G
2/G
1      (2)
を満た
し、第1接続部が前記支持体又は前記屋外パネルの一方に接続され、第2接続部が他方に接続され、前記屋外パネルが地面に対して傾斜して取付けられる屋外パネルの支持構造を提供することによって解決される。
【0007】
  但し、G
1は、前記ゴム弾性体の歪率が10%のときの、荷重(N)を変位(mm)で割った値である。G
2は、前記ゴム弾性体の歪率が30及び50%のときの、各荷重の差(N)を前記ゴム弾性体の歪率が30及び50%のときの、各変位の差(mm)で割った値である。
【0008】
  このとき、前記ゴム弾性体の表面に、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物で変性された変性スチレン−ジエンブロック共重合体水添物及び顔料を含有する塗膜が形成されていることが好適である。
【0009】
  前記屋外パネルが、太陽電池モジュールであることが好適である。
【0010】
  第1又は第2接続部が前記支持体に接続される際に、前記ゴム弾性体が該接続部の表面を覆うことができることが好適である。
【0011】
  第1又は第2接続部に接続された位置における前記支持体の剛性G
3(N/mm)が下記一般式(3)
  G
1<G
3<G
2      (3)
を満たす
ことが好適である。
【0012】
  但し、G
3は、前記支持体が歪んでいないときの前記緩衝装置の伸縮方向の剛性である。
 
【発明の効果】
【0014】
  本発明の緩衝装置は、屋外パネルからの衝撃を効果的に吸収する。また、このような緩衝装置を用いた本発明の支持構造により屋外パネルを取付ければ、屋外パネル及び屋外パネルが取付けられた支持体が破損しにくくなる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0016】
  以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、支持体2に取付けられた本発明の緩衝装置1の一例の断面図である。
図2は、第2接続部11と板状部16が一体になった第2金属部材4を用いた緩衝装置1の一例の断面図である。
図3は、第1フランジ7と板状部16の間に介装される部分と第2フランジ8と板状部16の間に介装される部分が一体になったゴム弾性体5を用いた緩衝装置1の一例の断面図である。
図4は、ハゼ式折板屋根19に取付けられた本発明の緩衝装置1の一例の断面図である。
図5は、第2接続部11の表面がゴム弾性体5で覆われた本発明の緩衝装置1が支持体2へ取付けられた状態の断面図及び上面図である。
図6は、本発明の緩衝装置1の理論バネ特性及び支持体2の理論バネ特性を示す図である。
図7は、本発明の屋外パネルの支持構造の理論エネルギー吸収特性及び屋外パネルと支持体2を剛結した支持構造の理論エネルギー吸収特性を示す図である。
 
【0017】
  本発明の緩衝装置1は、支持体2又は屋外パネルの一方に接続される第1金属部材3と、他方に接続される第2金属部材4とを有する。第1金属部材3と第2金属部材4とは、第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13、又は、ゴム弾性体5により弾性的に固定される。これらのゴム弾性体が屋外パネルからの衝撃を吸収することにより、支持体2に伝達される衝撃が減少する。
 
【0018】
  図1に示された緩衝装置1について説明する。この例では、第1金属部材3が支持体2に接続されている。支持体2は特に限定されず、建物の屋根、外壁等が挙げられる。第1金属部材3は、柱状部6と、その外周に径方向に突出する第1フランジ7及び第2フランジ8と、第1接続部3とを有する。
図1に示された例では、柱状部6は、円筒状の形状を有している。柱状部6の形状や内部の構造は、特に限定されず、貫通孔を有さない、円柱状、角柱状などであってもよいし、円筒状、角筒状などであってもよい。
図1に示された例では、柱状部6の下端には、支持体2への第1接続部9が形成されている。柱状部6の下端の内面には、雌ねじが螺刻されており、これに支持体2に設置されたボルト10が螺合されることにより、第1金属部材3と支持体2が締結される。柱状部6の外周には、径方向に突出する第1フランジ7及び第2フランジ8が設置される。第1接続部9側のフランジを第1フランジ7とし、第2接続部11側のフランジを第2フランジ8とする。第1フランジ7及び第2フランジ8は、それらの間に介装される第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13の柱状部6の軸方向の移動を制止する機能を有する。第1フランジ7及び第2フランジ8の柱状部6への固着方法は、特に限定されない。柱状部6と、第1フランジ7及び第2フランジ8の少なくとも一方を一体成形してもよい。
図1に示された例では、第1フランジ7は、溶接により柱状部6に固着されている。一方、柱状部6の上端部の内部に、雌ねじが螺刻されており、第2フランジ8は、フランジ締結用ボルト14により柱状部6に固着される。
 
【0019】
  第2金属部材4は、貫通孔15が形成された板状部16と、第2接続部11とを有する。
図1に示された例では、第2金属部材4は、下側に開口した金属カップ17と、板状部16とがねじ18により固着されてなる。板状部16の中心に貫通孔15が形成され、当該貫通孔15に柱状部6が挿入され、板状部16が第1フランジ7及び第2フランジ8の間に配置される。金属カップ17には、第2接続部11が形成されている。当該第2接続部11は、金属カップ17の底面に上側に突出して設置されたボルトからなる。
図1に示された例では、第2接続部11は屋外パネルと接続されることになる。金属カップ17の形状は特に限定されず、円筒状であってもよいし、角筒状であってもよい。角筒状の場合、角筒側面の各面同士は、接触していてもよいし、離れていてもよい。
 
【0020】
  第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13の材料は特に限定されず、各種架橋ゴムを用いることができる。中でも、強度と伸縮性とコストのバランスに優れていて、耐候性も高いオレフィン系ゴム、性能、コスト的に優れているジエン系ゴムが好適に採用される。
 
【0021】
  第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13の表面には、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物で変性された変性スチレン−ジエンブロック共重合体水添物及び顔料を含有する塗膜が形成されていることが好適である。これにより、紫外線及び熱線が遮蔽され、ゴム弾性体の耐候性がさらに向上する。また、当該塗膜は、架橋ゴム、特に、オレフィン系ゴムとの接着性に優れる。
 
【0022】
  前記塗膜中の顔料は、金属粉末を含有することが好ましい。金属粉末を含有することで、第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13の耐候性がさらに向上する。金属粉末としては、特に限定されないが、入手のしやすさ、性能、コストなどの面から、アルミニウム粉末、特にアルミニウムフレークが好適に使用される。
 
【0023】
  前記塗膜は、前記変性スチレン−ジエンブロック共重合体水添物及び前記顔料が溶解又は分散した液状媒体からなる塗料を第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13の表面に塗布した後、前記液体媒体を乾燥除去することにより形成することができる。
 
【0024】
  図1に示される緩衝装置1において、第1ゴム弾性体12は、第1フランジ7と板状部16の間に介装され、第2ゴム弾性体13は、第2フランジ8と板状部16の間に介装される。第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13は、その中心に貫通孔を有し、当該貫通孔に柱状部6が挿入される。第1フランジ7は、第1ゴム弾性体12と当接し、第2フランジ8は、第2ゴム弾性体13と当接する。そして、第1ゴム弾性体12と第2ゴム弾性体13により、板状部16が挟持される。これにより、第1金属部材3と第2金属部材4が弾性的に固定される。第1ゴム弾性体12と第2ゴム弾性体13が歪むことにより、緩衝装置1は、柱状部6の軸方向に伸縮することができる。製造し易い観点からは、
図1の例のように、2つのゴム弾性体を用いて第1金属部材3と第2金属部材4を固定することが好ましい。第1ゴム弾性体12と第2ゴム弾性体13は、同じものであってもよいし、形状や材料が異なっていてもよい。各ゴム弾性体は、フランジや板状部16と接着していてもよい。
 
【0025】
  図1に示された例では、第1金属部材3が支持体2に接続されているが、第2金属部材4を支持体2に接続してもよい。この場合、第1金属部材3が屋外パネルと接続されることになる。こうして緩衝装置1を使用した場合でも、後述する緩衝作用が奏される。
 
【0026】
  緩衝装置1の製造方法は特に限定されない。
図1に示された緩衝装置1は、第1フランジ7が溶接された柱状部6を、第1ゴム弾性体12の貫通孔、板状部16の貫通孔15、第2ゴム弾性体13の貫通孔に、この順で挿入した後に、フランジ締結用ボルト14を用いて第2フランジ8を柱状部6に固着し、さらに、板状部16と、金属カップ17をねじ止めして固着することにより、簡便に製造することができる。
 
【0027】
  図2に示された緩衝装置1について説明する。この例では、第2接続部11と板状部16が一体になった第2金属部材4が用いられている。第2金属部材4は下側に開口したカップ状の形状を有する。第2金属部材4の上側の底面には、貫通孔15を有する板状部16が形成され、下側の開口端部には、径方向に突出し、ねじ穴を有する第2接続部11が形成されている。第1金属部材3の柱状部6の上側の端面には、上側に突出したボルトからなる第1接続部9が形成されている。第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13により板状部16が挟持されることにより第1金属部材3及び第2金属部材4が固定される構造は、
図1に示された緩衝装置1と同じである。
 
【0028】
  図3に示された緩衝装置1について説明する。この例では、第1フランジ7と板状部16の間に介装される部分と第2フランジ8と板状部16の間に介装される部分とが一体になったゴム弾性体5が用いられている。緩衝装置1の強度の観点や、部品点数を低減できるため組立て工数を低減できる観点からは、このようなゴム弾性体5を用いて第1金属部材3と第2金属部材4を固定することが好ましい。第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13の代わりに、ゴム弾性体5を用いたこと以外は、
図3に示された緩衝装置1は、
図2に示された緩衝装置1と同じである。このような緩衝装置1は、第2金属部材4を金型内に装着し、金型内に未加硫ゴムを充填してから加硫することにより、第2金属部材4とゴム弾性体5が加硫接着した一体成形品を得た後に、当該一体成形品に柱状部6を挿入することにより製造することができる。
 
【0029】
  図4に示された緩衝装置1について説明する。この例では、第2金属部材4の第2接続部11がハゼ式折板屋根19に接続されている。第2金属部材4は四角筒状の形状を有する。第2金属部材4の上面には、貫通孔15を有する板状部16が形成されている。第2金属部材4の下面には、2つの係合爪からなる第2接続部11が形成されている。2つの係合爪の間隔は、緊締用ボルト20と緊締用ナット21を締めることにより調整できる。ハゼ22のくびれ部23を2つの係合爪の間に狭入した後に、緊締用ボルト20と緊締用ナット21を締めることにより、2つの係合爪の間に、くびれ部23が挟持され、緩衝装置1が支持体2に接続される。このような緩衝装置1を用いれば、屋根に屋外パネルを取付けるためのボルト穴を開ける必要がない。第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13により板状部16が挟持されて第1金属部材3及び第2金属部材4が固定される構造は、
図1に示された緩衝装置1と同じである。
 
【0030】
  図5に示された緩衝装置1について説明する。この例では、ゴム弾性体5が、第2接続部11の表面と第2接続部11周縁の支持体2の表面とを覆っている。このような緩衝装置1を用いれば、支持体2の内部に水が入りにくくなる。防水性の観点からは、ゴム弾性体5と支持体2の間を封止することが好ましい。ゴム弾性体5により板状部16が挟持されて第1金属部材3及び第2金属部材4が固定される構造は、
図3に示された緩衝装置1と同じである。このような緩衝装置1は、
図3に記載された緩衝装置1の製造方法として上述した方法により製造することができる。
 
【0031】
  以下、
図1を用いて本発明の緩衝装置1の緩衝作用について説明する。緩衝装置1を用いて支持体2に取付けた屋外パネルが風等による衝撃を受けた場合、その衝撃を第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13が歪むことによって吸収する。このようなゴム弾性体の緩衝作用により、支持体2に伝達する荷重が減少する。
 
【0032】
  ここで、屋外パネルから支持体2に向かう方向の衝撃が屋外パネルから第2金属部材4に伝達された場合、第1ゴム弾性体12が圧縮してその衝撃を吸収することにより、支持体2に伝達される荷重が減少する。一方、支持体2から屋外パネルへ向かう方向の衝撃が屋外パネルから第2金属部材4に伝達された場合、第2ゴム弾性体13が圧縮してその衝撃を吸収することにより、支持体2に伝達される荷重が減少する。
 
【0033】
  このように、支持体2から屋外パネルへ向かう方向の衝撃をも吸収できることが本発明の緩衝装置1の最大の特徴である。屋外パネルと支持体2との間に風が入り込んだ場合、屋外パネルには、支持体2から屋外パネルへ向かう方向に大きな衝撃がかかり、それにより支持体2が破損することがある。本発明の緩衝装置1は、このような衝撃を効果的に吸収するため、支持体2の破損が低減する。また、支持体2に伝達する荷重が減少するため、強度がそれほど高くない支持体2上にも屋外パネルを設置できる。
 
【0034】
  本発明の緩衝装置1中のゴム弾性体5の歪率が0〜10%であるときの、緩衝装置1の剛性G
1(N/mm)が下記一般式(1)
  100≦G
1≦1500      (1)
を満たし、かつ、G
1と、ゴム弾性体5の歪率が30〜50%における、緩衝装置1の剛性G
2(N/mm)が下記一般式(2)
  2≦G
2/G
1      (2)
を満たすことが必要である。
 
【0035】
  但し、G
1は、ゴム弾性体5の歪率が10%のときの、荷重(N)を変位(mm)で割った値である。G
2は、ゴム弾性体5の歪率が30及び50%のときの、各荷重の差(N)をゴム弾性体5の歪率が30及び50%のときの、各変位の差(mm)で割った値である。G
1及びG
2は、柱状部6の軸方向、すなわち、緩衝装置1の伸縮方向における剛性であり、伸びる方向と縮む方向のどちらに荷重をかけた場合においてもG
1及びG
2が上記一般式(1)及び(2)を満たす必要がある。ゴム弾性体5の歪率は、第1フランジ7と板状部16の間に介装された部分と第2フランジ8と板状部16の間に介装された部分のうち、荷重により、圧縮される部分における歪率である。
図1、2及び4に示されているような、第1ゴム弾性体12及び第2ゴム弾性体13により板状部16が挟持される緩衝装置1の場合には、荷重により圧縮される方のゴム弾性体の歪率である。
 
【0036】
  G
1及びG
2が上記一般式(1)及び(2)を満たすことにより、屋外パネルからの衝撃をゴム弾性体5が効果的に吸収し、支持体2に伝達する荷重が減少するため、支持体2の破損が減少する。また、支持体2に伝達する荷重が減少するため、強度がそれほど高くない支持体2上にも屋外パネルを設置できる。
 
【0037】
  G
1が100N/mm未満の場合には、屋外パネルから入力された衝撃をゴム弾性体5が吸収しきれず、支持体2に伝達する荷重が減少する効果が十分得られない。また、弱い風圧などでも屋外パネルが振動するようになり、屋外パネルや支持体2に悪影響が及ぶ。一方、剛性G
1が1500N/mmを超える場合には、ゴム弾性体5の剛性が、緩衝装置1が取付けられる位置での支持体2の剛性と同等かそれを超えるようになり、支持体2にかかる荷重が減少する効果が十分得られない。
 
【0038】
  緩衝装置1の剛性G
1及びG
2が上記一般式(2)を満たさない場合には、緩衝装置1の伸縮方向における、屋外パネルの可動範囲が大きくなり過ぎ、屋外パネルに悪影響が及ぶ。G
2/G
1は10以下であることが好ましい。
 
【0039】
  図6には、本発明の緩衝装置1の理論バネ特性が示されている。図の横軸は、緩衝装置1の変位(伸びる方向が正)であり、縦軸は、加えた荷重(引張り荷重が正)である。また、参考のため、通常、屋外パネルが設置される代表的な支持体2の、緩衝装置1が取付けられる位置での変位(上向きが正である)と荷重(上向きが正である)の関係も合わせてプロットしている。緩衝装置1の剛性及び支持体2の剛性は、グラフの傾きから求められる。ここで、ゴム弾性体5の歪率が0〜10%の場合(緩衝装置1の変位が小さい場合)には、本発明の緩衝装置1の剛性は、支持体2の剛性よりも低く、ゴム弾性体5の歪率が30〜50%の場合(緩衝装置1の変位が大きい場合)には、本発明の緩衝装置1の剛性は、支持体2の剛性と同等以上である。
 
【0040】
  第1接続部9が支持体2又は屋外パネルの一方に接続され、第2接続部11が他方に接続されることにより、緩衝装置1を介して屋外パネルが支持体2に取付けられ、第1接続部9又は第2接続部11に接続された位置における支持体2の剛性G
3(N/mm)が下記一般式(3)
  G
1<G
3<G
2      (3)
を満たす屋外パネルの支持構造により屋外パネルを取付けることが好適である。
 
【0041】
  但し、G
3は、前記支持体2が歪んでいないときの緩衝装置1の伸縮方向の剛性である。G
3は、緩衝装置1の柱状部6の軸方向における支持体2の変位に対して荷重をプロットしたグラフの傾きから求める。
 
【0042】
  G
1、G
2及びG
3が上記一般式(3)を満たすことにより、屋外パネルからの衝撃をゴム弾性体5が効率よく吸収し、支持体2の破損がより減少する。また、支持体2に伝達する荷重が減少するため、強度がそれほど高くない支持体2上にも屋外パネルを設置できる。
 
【0043】
  図7には、G
1が1000N/mm、G
2が3000N/mm、G
3が2000N/mmである本発明の屋外パネルの支持構造の理論エネルギー吸収特性が示されている。また、参考のため、屋外パネルと支持体2が剛結され、屋外パネルが接続された位置における支持体2の剛性が2000N/mmである支持構造の理論エネルギー吸収特性も合わせて示している。
図7に示されているとおり、屋外パネルに3N・mの衝撃を加えた場合に、支持体2に伝達する荷重は、本発明の支持構造の場合の方が、屋外パネルを支持体2に剛結した支持構造の場合よりも、約32%少ないことが示されている。
 
【0044】
  前記支持構造において、屋外パネルが地面に対して傾斜して取付けられることが好適である。地面に対して傾斜して取付けられた屋外パネルは、地面に対して平行に取付けられた屋外パネルよりも風により吹き上げられ易いと考えられる。したがって、屋外パネルが地面に対して傾斜して取付けられた場合には、支持体2から屋外パネルへ向かう方向への強い荷重が支持体2に伝達すると考えられ、本発明の支持構造を用いることのメリットが大きい。特に、屋外パネルが太陽電池モジュールである場合には、地面に対して傾斜して取付けることにより受光効率が高まり好ましい。地面に対する屋外パネルの角度は、10〜80°であることが好ましい。
 
【0045】
  優れた緩衝作用を有する本発明の緩衝装置1は、太陽電池モジュール、集熱パネル、看板、緑化パネル等の屋外パネルの取付けに好適に使用することができる。中でも、太陽電池モジュールの取付け用に好適に用いられる。本発明の緩衝装置1を用いれば、強度がそれほど高くない支持体2上にも屋外パネルを設置できるため、太陽電池モジュールの設置面積を増やすことができ、発電量が稼げる。したがって、本発明の緩衝装置1を用いることのメリットが大きい。