(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表示装置と、前記表示装置の表示面に沿って設定された検出領域内におけるユーザの操作位置を検出する手段として設けられ、前記検出領域に物体が存在する場合には、当該物体が占める範囲に対応した信号を出力可能な操作位置検出装置と、ユーザが利用する少なくとも一つのアイテムの情報を含むアイテムデータをユーザ毎に記憶する記憶手段と、前記アイテムの表示に関連した演出として、前記アイテムが前記表示面上の所定の基準位置にて出現しつつ該基準位置から移動する様子を表現した出現アニメーションを、ユーザの指示に基づいて前記表示装置に表示させるアイテム表示演出手段と、を備え、
前記アイテム表示演出手段は、前記アイテムを前記表示面に出現させる場合、前記操作位置検出装置の出力信号に基づいて前記検出領域内に所定範囲のサイズの物体が存在するか否かを判別する物体判別手段と、前記所定範囲のサイズの物体が存在すると判断された場合に、当該物体が占める範囲内に前記基準位置を設定して、前記ユーザのアイテムデータにて特定されるアイテムが出現するように前記出現アニメーションを表示させる演出実行手段と、を備えているコンピュータ装置。
所定のゲームをユーザにプレイさせるゲーム装置として機能し、前記アイテムは前記ゲームにて前記ユーザが利用するアイテムである請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置。
表示装置と、前記表示装置の表示面に沿って設定された検出領域内におけるユーザの操作位置を検出する手段として設けられ、前記検出領域に物体が存在する場合には、当該物体が占める範囲に対応した信号を出力可能な操作位置検出装置と、ユーザが利用する少なくとも一つのアイテムの情報を含むアイテムデータをユーザ毎に記憶する記憶手段と、を備えたコンピュータ装置を、
前記アイテムの表示に関連した演出として、前記アイテムが前記表示面上の所定の基準位置にて出現しつつ該基準位置から移動する様子を表現した出現アニメーションを、ユーザの指示に基づいて前記表示装置に表示させるアイテム表示演出手段として機能させ、
さらに、前記アイテム表示演出手段を、前記アイテムを前記表示面に出現させる場合、前記操作位置検出装置の出力信号に基づいて前記検出領域内に所定範囲のサイズの物体が存在するか否かを判別する物体判別手段と、前記所定範囲のサイズの物体が存在すると判断された場合に、当該物体が占める範囲内に前記基準位置を設定して、前記ユーザのアイテムデータにて特定されるアイテムが出現するように前記出現アニメーションを表示させる演出実行手段として機能させるように構成されたコンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチパネル等の操作位置検出装置には、ユーザの指やスタイラスといった特定の操作手段に限らず、各種の物体を検出することが可能なタイプが存在する。例えば光学式のタッチパネルはその一種として知られている。一方、コンピュータ装置の画面にアイテムを出現させ、あるいはアイテムを画面から消滅させる場合、何らかのアニメーションが演出として施される場合が少なからず存在するが、上述した操作位置検出装置の物体検出機能をそのような演出と関連付けた例は見当たらない。
【0005】
そこで、本発明は検出対象の制限が比較的緩やかなタイプの操作位置検出装置を利用して、アイテムの出現又は消滅に関する新規な演出を実行することが可能なコンピュータ装置及びこれに用いるコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンピュータ装置(2)は、表示装置(15)と、前記表示装置の表示面に沿って設定された検出領域内におけるユーザの操作位置を検出する手段として設けられ、前記検出領域に物体(101)が存在する場合には、当該物体が占める範囲に対応した信号を出力可能な操作位置検出装置(17)と、ユーザが利用する少なくとも一つのアイテム(110)の情報を含むアイテムデータ(PD)を
ユーザ毎に記憶する記憶手段(11)と、前記アイテムの表示に関連した演出として、前記アイテムが前記表示面上の所定の基準位置にて出現しつつ該基準位置から移動する様子を表現した出現アニメーショ
ンを、ユーザの指示に基づいて前記表示装置に表示させるアイテム表示演出手段(10)と、を備え、前記アイテム表示演出手段は、
前記アイテムを前記表示面に出現させる場合、前記操作位置検出装置の出力信号に基づいて前記検出領域内に所定範囲のサイズの物体が存在するか否かを判別する物体判別手段(S2〜S5)と、前記所定範囲のサイズの物体が存在すると判断された場合に、当該物体が占める範囲内に前記基準位置を設定して
、前記ユーザのアイテムデータにて特定されるアイテムが出現するように前記
出現アニメーションを表示させる演出実行手段(S6)とを備えたものである。
【0007】
また、本発明のコンピュータプログラム(PG)は、表示装置(15)と、前記表示装置の表示面に沿って設定された検出領域内におけるユーザの操作位置を検出する手段として設けられ、前記検出領域に物体が存在する場合には、当該物体が占める範囲に対応した信号を出力可能な操作位置検出装置(17)と、ユーザが利用する少なくとも一つのアイテムの情報を含むアイテムデータ(PD)を
ユーザ毎に記憶する記憶手段(11)と、を備えたコンピュータ装置(2)を、前記アイテムの表示に関連した演出として、前記アイテムが前記表示面上の所定の基準位置にて出現しつつ該基準位置から移動する様子を表現した出現アニメーショ
ンを、ユーザの指示に基づいて前記表示装置に表示させるアイテム表示演出手段(10)として機能させ、さらに、前記アイテム表示演出手段を、前記
アイテムを前記表示面に出現させる場合、前記操作位置検出装置の出力信号に基づいて前記検出領域内に所定範囲のサイズの物体が存在するか否かを判別する物体判別手段(S2〜S5)、及び前記所定範囲のサイズの物体が存在すると判断された場合に、当該物体が占める範囲内に前記基準位置を設定して
、前記ユーザのアイテムデータにて特定されるアイテムが出現するように前記
出現アニメーションを表示させる演出実行手段(S6)として機能させるように構成されたものである。
【0008】
本発明によれば、ユーザが所定範囲内のサイズの物体を表示装置の表示面に配置すると、アイテムを出現さ
せる出現アニメーションが表示される。しかも、その
出現アニメーションは、アイテムを出現させる起
点となるべき基準点を、物体が占める範囲内に設定した状態で表示される。そのため、出現アニメーション
の表示により、アイテムがあたかも物体から出
現するような演出効果を生じさせることができる。さらに、物体が、物理的なアイテムの保管容器、あるいはアイテムのデータの記憶装置として機能しているかのような印象をユーザに生じさせることができる。操作位置検出装置の機能を利用して物体を検出してそのサイズが所定範囲内か否かを判別する処理によって上記の効果を生じさせることができる。したがって、物体とコンピュータ装置との間で通信環境を確立してデータを送受信するといった技術的な手段を講じる必要がなく、コンピュータ装置の処理を簡素化することができる。
【0009】
本発明においては、
前記アイテムデータには複数のアイテムの情報が記録され、前記アイテム表示制御手段の前記演出実行手段は、前記複数のアイテムの群が前記基準位置にて出現し、その後、前記群のアイテムが展開される様子を表現するようにして前記出現アニメーションを表示させてもよい。この形態によれば、複数のアイテムが物体から群をなして出現して画面上で展開される様子を表現でき、演出効果をさらに高めることができる。
【0010】
前記アイテム表示演出手段は、前記アイテムが前記記基準位置に向かって移動しつつ該基準位置で消滅する様子を表現した消滅アニメーションをさらに表示可能とされ、前記アイテム表示演出手段の前記物体判別手段は、前記アイテムを前記表示面から消滅させる場合、前記操作位置検出装置の出力信号に基づいて前記検出領域内に前記所定範囲のサイズの物体が存在するか否かを判別し、前記演出実行手段は、前記アイテムを前記表示面から消滅させる場合であってかつ前記所定範囲のサイズの物体が存在すると判断された場合に、当該物体が占める範囲内に前記基準位置を設定して、前記表示面上に表示されているアイテムが消滅するように前記消滅アニメーションを表示させてもよい。これによれば、アイテムを表示面から消滅させる場合において、ユーザが所定範囲内のサイズの物体を表示装置の表示面に配置すると消滅アニメーションが表示される。しかも、その消滅アニメーションは、アイテムを消滅させる終点となるべき基準点を、物体が占める範囲内に設定した状態で表示される。そのため、消滅アニメーションの表示により、アイテムがあたかも物体に収容されるような演出効果を生じさせることができる。
【0011】
本発明においては、
前記所定範囲のサイズの物体が存在するか否かを前記物体判別手段が判別する際に、前記表示上に前記物体を配置するように指示するユーザ指示手段(10、S1)をさらに備えてもよい。また、本発明のコンピュータ装置は各種の用途に適合するように構成されてよい。一例として、コンピュータ装置は、所定のゲームをユーザにプレイさせるゲーム装置(2)として機能し、前記アイテムは前記ゲームにて前記ユーザが利用するアイテムであってもよい。それにより、ゲーム装置の演出効果を高めることができる。
【0012】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明によれば、操作位置検出装置の機能を利用して、アイテムがあたかも物体から出現
するような演出効果を生じさせ、さらには物体が、物理的なアイテムの保管容器、あるいはアイテムのデータの記憶装置として機能しているかのような印象をユーザに生じさせることができる。操作位置検出装置の機能を利用して物体を検出してそのサイズが所定範囲内か否かを判別するという簡素な処理で上記の効果が得られるので、物体とコンピュータ装置との間で通信環境を確立してデータを送受信するといった技術的な手段を講じる必要がなく、コンピュータ装置の処理を簡素化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一形態に係るゲーム装置を説明する。本形態は、ネットワークを利用したゲームシステムの一部を構成するゲーム機に本発明を適用した例である。まず、ゲームシステムの概要を
図1により説明する。ゲームシステム1は、ユーザがゲームをプレイするゲーム装置としての複数のゲーム機2と、それらのゲーム機2に対して各種のサービスを提供するサーバ装置としてのセンターサーバ3とを備えている。ゲーム機2とセンターサーバ3とはネットワーク4を介して相互に通信可能に接続されている。ゲーム機2は、一例として、店舗5等の施設に設置され、プレイ料金の支払いと引き換えに、そのプレイ料金に対応した範囲でユーザにゲームをプレイさせる商業用(業務用)のゲーム機である。ただし、本発明は商業用のゲーム機に限らず、家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、携帯電話、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等の各種の個人用の端末装置をゲーム装置として利用可能である。
【0016】
センターサーバ3は、単一のサーバユニットにより構成されてもよいし、複数のサーバユニットを組み合わせて構成されてもよい。クラウドコンピューティングを利用して一台の論理的なサーバ装置が構成されてもよい。センターサーバ3が提供するサービスとしては、例えば、ゲーム機2からユーザの識別情報を受け取ってそのユーザを認証し、そのユーザのプレイ結果を記録したプレイデータをゲーム機2から受け取って保存し、あるいはゲーム機2に提供するサービス、ネットワーク4を介して複数のユーザが共通のゲームをプレイする際にユーザ同士をマッチングさせるサービス、ネットワーク4を介してゲーム機2のプログラムあるいはデータを更新するサービス等がある。ネットワーク4は、一例として、インターネット4Aと、ゲーム機2及びセンターサーバ3を収容するLAN4B、4Cとがルータ4Dを介して接続されることにより構築される。
【0017】
次に、
図2を参照して、ゲーム機2の制御系における主要部の構成を説明する。ゲーム機2には、制御ユニット10と、記憶装置(記憶手段)11とが設けられている。制御ユニット10は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサの動作に必要な内部記憶装置(ROM及びRAM)等の周辺装置とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成されている。記憶装置11は、例えばハードディスク記憶装置等、記憶保持が可能な記憶装置である。記憶装置11は、制御ユニット10にて実行されるべきゲームプログラムPG及びそのプログラムPGが参照すべきゲームデータGD及びプレイデータPDを記憶する。ゲームプログラムPGは、ゲーム機2にて所定のゲームをユーザにプレイさせるために、ゲーム機2のオペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラムである。ゲームデータGDは、ゲームプログラムPGに従ってゲーム画面を描画するために必要な画像データ、ゲームの音楽を再生するために必要な音楽データ等の各種のデータを含む。プレイデータPDは、ユーザがゲームをプレイした結果を所定の識別情報と対応付けて保存したデータである。上述したように、プレイデータPDはセンターサーバ3上に保存され、ゲーム機2のユーザからの要求に従ってそのユーザのゲーム機2に読み込まれて記憶装置11に記憶される。
【0018】
ゲーム機2には、制御ユニット10に対する入力装置としてコントロールパネル12、カードリーダ13及びコインセレクタ14が設けられている。コントロールパネル12は、ゲーム機2の筐体に設けられた押釦スイッチ、操作レバーといった操作装置の集合である。カードリーダ13は、ユーザが所持するカード7から所定の情報を読み取って制御ユニット10に提供する。カード7は、カード毎にユニークなカードIDが記録された記憶媒体を含む。カードIDは、例えばユーザのプレイデータをセンターサーバ3から取得し、あるいはプレイデータをセンターサーバ3に保存する際の識別情報として利用される。コインセレクタ14は、ユーザがゲームのプレイ料金を支払うべく不図示のコイン投入口から投入した通貨のコイン(又は代替通貨としてのメダル等でもよい。)8の真偽を判定し、真正と判断されたコイン8の枚数又は金額に対応する情報を制御ユニット10に出力する。ゲーム機2には、制御ユニット10に対する出力装置として、画像出力用の表示装置15、及び音声出力用のスピーカ16が設けられている。表示装置15は液晶ディスプレイパネル、有機ELパネル等のフラットパネルディスプレイである。
【0019】
ゲーム機2の表示装置15の表示面(以下ではモニタ画面と呼ぶことがある。)上には、制御ユニット10に対するさらなる入力装置としてタッチパネル入力装置17が設けられている。タッチパネル入力装置(以下、タッチパネルと略称する。)17は、モニタ画面に沿って設定された検出領域内におけるユーザの操作位置を検出し、その操作位置に対応した信号を出力する操作位置検出装置である。ユーザの操作位置は、例えばモニタ画面の横方向及び縦方向に沿って設定された2次元座標系における座標値によって表現される。タッチパネル17には、一例として、モニタ画面上に設定された検出領域を、モニタ画面と平行な方向に所定の検査光(一例として赤外光)で走査し、検査光が遮られた位置を検出する光学式のタッチパネルが利用される。感圧式等の他の方式のタッチパネルが利用されてもよい。ただし、後述する
図4〜
図7の演出を実現するためには、検出対象がユーザの指や専用のペンといった特定の対象物に限定されることなく、モニタ画面上に配置された各種の物体を検出できる方式のタッチパネルを用いる必要がある。また、
図12に例示したカード110の分身操作を可能とするためには、ユーザが同時に複数の箇所を操作したときに、それぞれの操作位置に対応した信号を出力するいわゆるマルチタッチ式のタッチパネルを用いる必要がある。なお、タッチパネル17として、モニタ画面と平行な面内における操作位置のみならず、モニタ画面と直交する方向における操作位置も検出可能な三次元タッチパネルが利用されてもよい。
【0020】
さらに、制御ユニット10にはネットワーク接続装置18が接続されている。ネットワーク接続装置18は、制御ユニット10をネットワーク4に接続し、センターサーバ3又は他のゲーム機2と通信する際の通信手順の確立及びデータの送受信に必要な処理を制御する通信制御ユニットである。
【0021】
次に、ゲーム機2で実行されるゲームと、そのゲームに関連した制御ユニット10の制御とを説明する。ゲーム機2では、ユーザが所定枚数のカード(ゲームにおけるアイテム又はオブジェクトに相当する。)を組み合わせたデッキを利用して所定の相手と対戦するカードゲームがプレイされる。カードゲームの対戦相手は、センターサーバ3がマッチングした他のゲーム機2のユーザ、又はゲーム機2の制御ユニット10が制御する仮想的な対戦相手である。ユーザが所有するカード及びデッキの構成はユーザのプレイデータPDに記録され、センターサーバ3からゲーム機2に適宜に呼び込まれて記憶装置11に記録される。プレイデータPDはアイテムとしてのカード110を出現させる際に読み込まれるべきアイテムデータとして機能する。ユーザのデッキに含まれたカードは、ユーザがゲーム機2に対して所定の呼び出し操作を行うことにより、表示装置15の画面に呼び出される。
図3はデッキのカードをゲーム画面に呼び出す際に制御ユニット10が実行するカード呼び出し処理の手順を示し、
図4〜
図8はその制御に対応したゲーム画面の変化を示している。
【0022】
図3のカード呼び出し処理は、ユーザがゲームの開始を指示すると実行される。その処理において、制御ユニット10はまず表示装置15のモニタ画面に所定のメッセージを表示させる(ステップS1)。この場合、一例として、
図4に示したようにユーザの所有物(一例として携帯電話101)にカードが格納されているものと仮定され、それらのカードをゲーム画面100上に呼び出すために、携帯電話101を画面100上に配置するように要求する文字列、画像等を含んだメッセージ102が表示される。制御ユニット10は、メッセージ102の表示後、タッチパネル17が何らかの物体を検出しているか否かを判別し(ステップS2)、検出している場合にはタッチパネル17が物体を検出している範囲を取得する(ステップS3)。ステップS3の処理は、要するに、タッチパネル17の出力信号に基づいて、物体が画面100上で占める位置の座標値の集合を取得する処理である。続いて、制御ユニット10は、タッチパネル17による物体の検出範囲に基づいて物体のサイズを演算する(ステップS4)。その演算は、タッチパネル17が検出した物体の各点の座標値に基づいて、物体の縦横の寸法を推定するように実行すればよい。次に、制御ユニット10は、演算されたサイズが所定範囲内か否かを判別する(ステップS5)。サイズの所定範囲は、市場に出回っている各種の携帯電話が概ね含まれる範囲に設定され、予めゲームプログラムPG又はゲームデータGDにて定義される。
【0023】
ステップS5にて物体のサイズが所定範囲外と判断された場合、制御ユニット10はステップS2の処理に戻る。一方、所定範囲内と判断された場合、制御ユニット10はステップS6に進み、デッキに含まれているカードがゲーム画面100上に出現する様子を表現した出現アニメーションを表示装置15に表示させる。一例として、
図4に示したように、メッセージ102に従ってユーザが携帯電話101をゲーム画面100上に置くと、
図3のステップS2及びステップS5順次肯定判断される。そして、
図5及び
図6に示すように、デッキに含まれている所定枚数のカード110の群が携帯電話101の占める位置(つまり、携帯電話101にて覆われる範囲である。)を基準位置として出現し、その後、カード110がゲーム画面100内の様々な方向にランダムに展開して適当な位置で停止する出現アニメーションが表示される。
【0024】
図3に戻って、カード110の出現についての演出が開始された後、制御ユニット10はタッチパネル17による物体の検出が続いているか否かを判別する(ステップS7)。検出されている場合には、検出が検出されなくなるまでカード出現の演出を続ける。ただし、カード110が一旦停止した後はその停止状態を維持する。物体が検出されなくなると、制御ユニット10はカード110が整列される様子を演出し(ステップS8)、その後、
図3の処理を終える。一例として、
図6に示したようにカード110がランダムに停止した状態からユーザが
図7に示したように携帯電話101を画面外に取り除くと、カード110がゲーム画面100の左右方向に沿って一列に整列する様子がステップS6の出現アニメーションの続きとしてさらに表示される。
【0025】
以上の制御によれば、プレイデータPDに電子的な情報として保存されているカード110が、あたかもユーザの携帯電話101に保管され、その携帯電話101からゲーム画面100に出現するような演出効果を生じさせることができる。それにより、携帯電話101が、物理的なカードの保管容器、あるいはカード110のデータの記憶装置として機能しているかのような印象をユーザに生じさせることができる。タッチパネル17の検出機能を利用してゲーム画面100上に配置された物体のサイズを演算し、その演算されたサイズが、カードの仮想的な保管容器として想定された携帯電話101とみなし得る範囲にあるか否かを判別するだけの簡易な処理で上記の効果を生じさせることが可能である。そのため、携帯電話101をゲームシステム1にクライアント装置として取り込んで、ゲーム機2やセンターサーバ3との間でカード110のデータを送受信するといった技術的な手段を講じる場合と比較して、ゲーム機2の処理を簡素化することができる。
【0026】
なお、上記ではカード110を出現させる場合の処理について説明したが、ゲームの終了時のように、カード110をゲーム画面100から消滅させる場合にも、上記と同様な手順で携帯電話101がゲーム画面100上に配置されているか否かを判別し、配置されている場合に、その携帯電話101が占める位置を基準位置として設定し、カード110がその基準位置に集合して当該基準位置で消滅する消滅アニメーションを表示させてもよい。また、上記では複数のカード110を一度に出現させ、あるいは消滅させる例を示したが、単一のカード110を出現させ、あるいは消滅させる場合にも上記の処理は適用可能である。この場合、携帯電話101等の物体が占める位置内に基準位置を設定し、カード110が基準位置で出現して携帯電話101等の物体が置かれた範囲外に移動し、あるいは携帯電話101等の物体が置かれた範囲外からカード110が基準位置に向かって移動して物体の位置で消滅するようなアニメーションを表示させればよい。
【0027】
次に、カード110を利用したゲームの一例を説明する。
図8〜
図13はカード110を利用したゲーム中におけるゲーム画面100の一例である。なお、これらの図においては、ゲーム機2のユーザのカードを110A、対戦相手のカードを110Bで区別し、カード110Aの一部はさらなる添え字を付して区別する。ただし、以下の説明において、カードを区別する必要がないときはカード110と表記する。本形態のゲームは、ターン制、つまりユーザと対戦相手とが手番を交代しつつゲームを進める形式が採用される。ゲームの手順は概ね以下の通りである。まず、ユーザのターンにおいて、ユーザは
図8に示したように、攻撃に使用する一枚のカード110As(以下、これを攻撃カード110Asと呼ぶことがある。)をモニタ画面にタッチして選択する。一枚のカード110Aが一定時間以上継続してタッチされた場合にそのカード110Aが攻撃カード110Asとして選択されたものとしてもよい。あるいは、攻撃カード110Asを選択するようにユーザに指示し、その指示に対してタッチされたカード110Aを攻撃カード110Asとして設定してもよい。攻撃カード110Asが選択されると、ゲーム画面100には、攻撃カード110Asの動作を決定するためのユーザインターフェースとして、操作案内画像120が表示される。操作案内画像120の詳細は後述する。
【0028】
図8に矢印A1で示したように、ユーザが攻撃カード110Asにタッチし、続いて、ゲーム画面100内でカード110Asを引き込むようにタッチ操作の位置を変化させると、
図9に示すように、攻撃カード110Asがその操作に追従するように移動する。このように攻撃カード110Asに対する引き込み操作を以下ではプルバック操作と呼ぶ。ユーザが、プルバック操作された攻撃カード110Asから指を離すと、
図10に矢印A2、A3で示すように、攻撃カード110Asが、その指を離した時点におけるカード110Asの中心点Pc′を起点として、プルバック操作の方向と逆向きの方向に発射される。プルバック操作で使用した指をカード110Asから離す操作が本発明のトリガ操作である。
図10では、プルバック操作が開始されたときの攻撃カード110Asの中心点を基準点Prとし、その基準点Prとトリガ操作時におけるカード110Asの中心点Pc′とを結ぶ直線Lrに沿って攻撃カード110Asが移動する様子を示している。ただし、攻撃カード110Asの移動方向及び移動速度は、操作案内画像120による操作の案内と関連付けて適宜に変化するように制御される。その制御の詳細は後述する。
図11に示すように、発射された攻撃カード110Asが他のカード110に衝突すると、衝突したカード110同士が弾かれるように移動し(矢印A4、A5)、移動したカード110がさらに他のカード110と衝突する(矢印A6)。ゲーム画面100の外枠に衝突したカード110はその外枠に弾かれて向きを変える。このような動作が所定範囲で繰り返されつつカード110が徐々に減速して停止することにより一回のターンが終了する。
【0029】
ユーザのカード110Aと対戦相手のカード110Bとが衝突した場合、それらのカード110に設定されたパラメータ(攻撃力、防御力、特技、属性等)に応じた効果が発生し、その効果に応じてゲームの進行が制御される。衝突時の効果としては、例えばカード110のパラメータの変化(一例として衝突したカード110Aのパラメータの増加、又は相手側のカード110Bのパラメータの減少)、相手側のカード110Bの消滅といった効果が設定されている。ゲームの進行は、衝突時の効果に応じてユーザと対戦相手との間で有利不利が変化するように制御される。ゲームが所定の状態まで進行すると、ユーザと対戦相手との間における勝敗が決着する。例えば、いずれか一方のカード110が全て消滅し、あるいはカード110の残数の差が所定以上に拡大するといった条件が満たされるとゲーム終了となり、カード110が残数が多い側のユーザの勝利となる。衝突時の効果やゲームの進行は、カード同士を戦わせる要素を含んだ一般的なカードゲームのそれと同様に制御すればよく、それらの制御内容の詳細は省略する。以上要するに、カードゲームは、ユーザが自らのカード110Aから攻撃カード110Asを選択し、これを相手のカード110Bに向かって発射して衝突させ、それにより相手のカード110Bを弱め、あるいは消滅させる手順を繰り返して勝利を目指すといった内容に設定される。カード110には質量等の物理量が設定され、物理法則にある程度準拠してカード110の動作や衝突の効果が演算される。
【0030】
ユーザが攻撃カード110Asをプルバック操作する際に、所定の分身条件が満たされると、
図12に示すように攻撃カード110Asの分身となる複数のカード110Aaを発生させることができる。以下では、分身となるカード110Aaを分身カード110Aaと呼ぶ。分身条件は、ゲームの進行状況、カードのパラメータ等と関連付けて適宜に設定してよい。一例として、カードが所定の能力を獲得したときに分身条件が満たされてもよい。特定のカードに限って、常に分身条件が満たされるようにしてもよい。
【0031】
分身カード110Aaは、攻撃カード110Asと一緒に発射される。それにより、広い範囲のカード110Bをカード110As、Aaで分担しつつ狙うことができる。分身カード110Aaは、ユーザが攻撃カード110Asをプルバック操作している間に、そのプルバック操作で使用している指(以下、これを主操作の指と呼ぶ。)とは異なる指(以下、これを副操作の指と呼ぶ。)で攻撃カード110Asをタッチし、その分身操作の指を
図12に矢印A8で示すようにプルバック操作の方向(矢印A1方向)とは異なる方向に移動させることにより出現する。例えば、ユーザが右手の人差し指で攻撃カード110Asをタッチしてプルバック操作しているとき、そのユーザが左手の人差し指で攻撃カード110Asをタッチしてその指を
図12の矢印A8方向に滑らせた場合、矢印A8方向に沿って分身カード110Aaが出現する。副操作の指によるタッチ位置を副タッチ点Pmとすれば、分身カード110Aaは、攻撃カードAsの中心点Pcから副タッチ点Pmの間に出現する。分身カード110Aaの枚数は、中心点Pcから副タッチ点Pmまでの距離(以下、これを分身距離と呼ぶことがある。)に応じて変化させてもよいし、一定枚数に設定してもよい。
【0032】
分身カード110Aaは、攻撃カード110Asに対するトリガ操作と同期して発射される。分身カード110Aaの移動速度は攻撃カード110Asと同じである。分身カード110Aaの移動方向は攻撃カード110Asのそれと同様の手順に従ってカード110Aa毎に設定される。基本的には、トリガ操作時の分身カード110Aaの中心点Pm′と攻撃カード110Asについての基準点Prとを結ぶ直線の延長線に沿って分身カード110Aaが移動するが、攻撃カード110Asの移動方向と同様に、操作案内画像120による操作の案内と関連付けて分身カード110Aaの移動方向も適宜に変化するように制御される。なお、
図13では、発射時点におけるカード110Asの中心点をPc′で示し、副タッチ点をPm′で示す。分身カード110Aaが出現している場合でも、攻撃カード110Asの発射は上記と同様に制御される。
【0033】
次に、操作案内画像120の詳細を説明する。
図14に示したように、操作案内画像120は、攻撃カード110Asを識別するための選択マーク121と、選択時における攻撃カード110Asの中心点(以下、基準点と呼ぶ。)Prと、プルバック操作されている攻撃カード110Asの中心点Pcとを結ぶように表示されるガイドライン122と、基準点Prを支点として揺動するように表示される振り子123と、振り子123の近傍に表示される速度標識124及びパワーゲージ125を含む。選択マーク121は、一例として攻撃カード110Asの中心点Pcを中心とする多角形状の形状を有している。ただし、その形状は多角形状に限らず、攻撃カード110Asが識別できる限りにおいて、円形その他の各種の形状が採用されてよい。
【0034】
ガイドライン122は、基準点Prと中心点Pcとの間にずれが生じたときに表示される。ガイドライン122は、基準点Prからの攻撃カード110Asのプルバック操作の操作方向(矢印A1の方向)を示す指標として機能するとともに、攻撃カード110Asが発射される際の基準方向を把握するための指標として機能する。なお、基準点Pr及び中心点Pcは、プルバック操作に利用される主操作の指によるタッチ操作の位置とは必ずしも一致しない。つまり、プルバック操作は、攻撃カード110Asにタッチしてこれを引き込むことにより実現され、そのタッチ操作の位置は攻撃カード110As上にあれば足りる。基準点Prは、プルバック操作を開始するときの攻撃カード110Asの中心点Pcである。ユーザがプルバック操作を開始したとき、攻撃カード110Asはその長辺方向をガイドライン122の方向と平行に向きを変えつつユーザの主操作の指の動きに追従するようにして画面100内で移動する。プルバック操作を開始した時のユーザの操作位置(主操作の指がタッチしている位置)とカード110Asの中心点Pcとの位置関係を判別しておけば、その位置関係に従ってユーザがタッチ操作をしている位置からカード110Asの中心点Pcの位置を演算することができる。
【0035】
振り子123は、トリガ操作の適正タイミングをユーザに案内するためのタイミング案内画像として表示される。振り子123は、基準点Prを要とし、ガイドライン122の延長線Leを二等分線として中心角θで広がる扇状の揺動範囲127内を所定の角速度ωにて往復するように揺動する。振り子123が延長線Le、つまり揺動範囲127の中心位置にある状態が振り子123の基準状態である。トリガ操作時に振り子123が基準状態にあるとき、攻撃カード110Asはガイドライン122の延長線Leに沿って真っ直ぐに移動する。揺動範囲127は、ゲーム画面100に表示されてもよいし、表示が省略されてもよい。速度標識124は、攻撃カード110Asの発射速度(初速)を示す。パワーゲージ125は、複数のセグメント125sを左右方向に連ねた構成を有し、左端のセグメント125sからのセグメント125sの点灯数により、プルバック操作で消費可能なパワーの大小を表示する。
図14では点灯状態にあるセグメント125sをハッチングにて示しており、その点灯数は2個である。
【0036】
操作案内画像120と攻撃カード110Asの発射速度及び発射後の移動方向とは次の通り関連付けられている。まず、ガイドライン122は、攻撃カード110Asの発射に関する基準方向と平行である。基準方向は、中心点Pcからゲーム画面100の適当な方向、一例として矢印Uで示す上方向から時計回りに測った方位角φによって特定される。以下では基準方向φと表記することがある。基準方向φに対して振り子123の中心線がずれている角度を振り子123のずれ量△φとして定義し、時計方向のずれ量△φを正の値、反時計方向のずれ量△φを負の値としてずれの方向を定義する。そのずれ量△φは、振り子123の表示態様の基準状態からのずれを定量化したタイミングずれ量に相当する。
【0037】
トリガ操作後における攻撃カード110Asの移動方向は、基準方向φとトリガ操作時のずれ量△φとに基づいて決定される。トリガ操作時のずれ量△φがゼロ、つまり振り子123が基準方向と一致する場合、攻撃カード110Asは、トリガ操作時の中心点Pcを起点として基準方向φに発射され、真っ直ぐに移動する。つまり、基準方向φと移動方向とが一致する。ずれ量△φがゼロ以外の値の場合、攻撃カード110Asの移動方向は基準方向φから逸れる。トリガ操作時におけるずれ量△φが正の値であれば、移動方向は基準方向φよりも時計方向にずれ、トリガ操作時におけるずれ量△φが負の値であれば、移動方向は基準方向φよりも反時計方向にずれる。移動方向のずれは、ずれ量△φが大きいほど拡大する。
【0038】
攻撃カード110Asの移動方向のずれは、一例としてカード110Asの発射の起点となる中心点Pcからの発射方向を基準方向に対して変化させることにより生じさせることができる。あるいは、カード110Asがその移動中に基準方向φから徐々に大きく向きを変えるようにカード110Asの軌道を変化させ、しかも、ずれ量△φが大きいほど軌道の変化の程度を大きく設定することにより、カード110Asの移動方向にずれを生じさせてもよい。
図14では、前者の方法によって移動方向がずれたカードをA、後者の方法によって移動方向がずれたカードをBで例示し、カードA、Bにそれぞれ対応する軌道をRa、Rb、カードA、Bの速度ベクトルをVa、Vbで示している。カードA、B間の移動距離の相違は、図の重複による煩雑を避けるために与えているに過ぎず、移動方向にずれを与える手法によって移動距離に明確な差が生じる訳ではない。
図14の例示から明らかなように、後者の例は、要するにカード110Asをカーブした軌道に沿って移動させるものである。ただし、発射方向の変化と軌道の変化とを組み合わせ移動方向にずれを与えてもよい。なお、発射方向を変化させる場合、基準方向φに対してずれ量△φを加算した値を発射方向としてもよいし、ずれ量△φに対して一定の係数を乗算する等の演算手法により、ずれ量△φに応じて発射方向を基準方向φから変化させてもよい。
【0039】
以上のように、攻撃カード110Asの移動方向及び移動方向を反映した軌道は、ユーザがプルバック操作をした方向、及びトリガ操作のタイミングに応じて定まる。対戦相手の特定のカード(目標カードと呼ぶことがある。)110Bを攻撃したい場合、ユーザはガイドライン122がそのカード110Bを向くようにプルバック操作の方向を定め、かつ、振り子123がガイドライン122の方向と一致したタイミングで攻撃カード110Asから指を離す必要がある。ガイドライン122の方向が目標カード110Bの方向とずれ、あるいはトリガ操作時に振り子123にずれ量△φが発生していると、攻撃カード110Asが目標カード110Bから逸れた方向に移動し、所望のゲーム効果を得ることが困難となる。
【0040】
攻撃カード110Asの発射速度は、基準点Prとプルバック操作されている攻撃カード110Asの中心点Pcとの距離Lpに基づいて決定される。以下、その距離Lpをプルバック操作量と呼ぶことがある。プルバック操作量Lpが大きいほど、発射速度も増加する。ゲームでは、プルバック操作量Lpが所定の演算式に従って適当な単位の速度(一例として時速)に換算され、その換算された速度が速度標識124に表示される。発射速度は、攻撃カード110Asの移動速度の初速に相当する。攻撃カード110Asの発射速度が大きいほど、その攻撃カード110Asがカード110Bに衝突した時の衝撃エネルギーも大きい。カード110の衝突時の速度は、衝突の効果の演算において考慮される。例えば、衝突時の速度が大きいほど、攻撃カード110Asが衝突した相手のカード110Bが弾かれる速度が増加し、衝突の連鎖が生じ易くなる。あるいは、衝突によって相手のカード110Bからパラメータを奪う場合、衝突速度が大きいほどパラメータの奪取量が大きくなる。
【0041】
カード110の動作及び衝突の効果を現実の物理法則に準拠して演算する場合、プルバック操作量Lpを大きく設定するほど衝突の効果が増加し、ユーザにとって有利な状況が生じる。そこで、プルバック操作量Lpには制限が設定される。パワーゲージ125はその制限をユーザに把握させる指標として表示される。例えば、ゲームにて所定の条件が満たされるとパワーゲージ125のゲージ量、つまり点灯するセグメント125sの個数が増加し、プルバック操作量Lpが所定量増加する毎にゲージ量が1つずつ減少する。ゲージ量がゼロに至ると、それ以上のプルバック操作が不可能となる。ゲージ量を増加させる条件は適宜に設定することができる。例えば、ターン毎にゲージ量が一定量回復し、あるいはユーザが自己のターンにて所定レベル以上の効果を得た場合にゲージ量が増加するといった条件を設定することができる。ゲージ量とプルバック操作量との対応関係は、一方が増加すれば他方が減少するという関係が存在する限り、適宜の手法で制御されてよい。ゲージ量をさらに細分したパワー量を設定し、プルバック操作量とパワー量とを相補的に増減させ、パワー量が所定量変化する毎にゲージ量を1段階増加又は減少させるといった制御が可能である。
【0042】
プルバック操作量Lpの増加に対してさらなる制限的効果を生じさせるため、振り子123の角速度ωはプルバック操作量Lpが増加するほど上昇するように制御される。つまり、プルバック操作量Lpを増加させるほど、移動方向を基準方向φに一致させることが困難となる。揺動範囲の角度θもプルバック操作量Lpの増加に伴って増加させてもよい。同様の目的から、発射速度の大小が発射後の攻撃カード110Asの軌道に影響を与えるようにしてもよい。一例として、
図14のカードBのように、攻撃カード110Asを発射方向に直進させるのではなくカーブしながら移動するように軌道が制御される場合、発射速度が大きいほど、攻撃カード110Asの軌道が変化する程度、言い換えれば曲がり具合も大きくなるように軌道を変化させてもよい。その場合、プルバック操作量Lpを増加させるほど、トリガ操作のタイミングを逸したときのリスクが増大することになる。ただし、トリガ操作のタイミングを意図的にずらして軌道に変化を生じさせ、その変化を利用して他のカード110の影にある目標カード110Bを攻撃するといったテクニックをユーザが駆使することも可能である。
【0043】
次に、
図15及び
図16を参照して、プルバック操作に対応して制御ユニット10が実行するプルバック操作処理を説明する。なお、プルバック操作処理は、攻撃カード110Asの選択をトリガとして実行される処理である。制御ユニット10は、プルバック操作処理を開始すると、まず攻撃カード110Asの基準点Prの座標を取得し(ステップS11)、その基準点Prを中心として選択マーク121を表示させ(ステップS12)、さらにガイドライン122、振り子123、速度標識124及びパワーゲージ125を表示させる(ステップS13)。基準点Prは、プルバック操作を開始した時点での攻撃カード110Asの中心点Pcであり、ユーザがタッチしている位置と攻撃カード110Asとの位置関係に基づいて判別される。続いて、制御ユニット10は、タッチパネル17からの検出信号に基づいて、現時点でユーザの主操作の指によるタッチ点、つまりその指がタッチしている位置の座標を取得し(ステップS14)、そのタッチ点の座標に対応したカード110Asの中心点Pcの座標と基準点Prとの間の距離をプルバック操作量Lpとして演算する(ステップS15)。中心点Pcの座標は、プルバック操作開始時のタッチ点の座標と現時点でのタッチ点の座標との間の距離及び方向を、基準点Prと中心点Pcとの間の距離及び方向に対応付けることにより特定可能である。
【0044】
その後、制御ユニット10は、プルバック操作量Lpが所定の制限量、つまりパワーゲージ125のゲージ量がゼロとなる量を超過しているか否かを判別し(ステップS16)、超過していれば攻撃カード110Asの中心点Pcを制限量に対応した位置に設定する(ステップS17)。一例として、プルバック操作してもそれ以上はカード110Asが動かないように中心点Pcの位置が設定される。制限量を超過していない場合、制御ユニット10は、ステップS14で取得したタッチ点の座標に対応したカード110Asの中心位置の座標を中心点Pcとして更新する(ステップS18)。中心点PcをステップS17又はS18にて設定した後、制御ユニット10は振り子123の揺動周期(あるいは、角速度ω)、発射速度、及びパワーゲージ125のゲージ量をプルバック操作量Lpに応じて演算する(ステップS19)。揺動周期及び発射速度はプルバック操作量Lpが大きいほど増加し、パワーゲージ125のゲージ量はプルバック操作量Lpが大きいほど低下するように演算される。
【0045】
続いて、制御ユニット10は、次回に描画すべきゲーム画面100における振り子123のずれ量△φを演算する。次回のずれ量△φは、現在のずれ量△φに対して、次のゲーム画面100の描画までの時間と、ステップS19で演算された角速度ωとから求めることができる。次に、制御ユニット10は、基準点Prとカード110Asの中心点Pcとを結ぶ基準方向φを演算し(ステップS21)、カード110Asの方向を、その長辺の方向が基準方向φと一致するように更新する(ステップS22)。その後、制御ユニット10は
図16のステップS23に進み、タッチパネル17が副タッチ点を検出したか否かを判別する。つまり、制御ユニット10は、プルバック操作に対応したタッチ点(主タッチ点)とは別に、攻撃カード110As、又は既に分身カード110Aaが出現している場合にはその分身カード110Aaに対してタッチ点(副タッチ点)が検出されているか否かを判別する。
【0046】
副タッチ点が検出されている場合、制御ユニット10は分身条件が満たされているか否かを判別する(ステップS24)。分身条件が満たされている場合、制御ユニット10は分身カード110Aaが既に表示されているか否かを判別し(ステップS25)、表示されていない場合、制御ユニット10は分身カード110Aaの表示を許可する(ステップS26)。ステップS24が肯定判断された場合にはステップS26の処理がスキップされる。続くステップS27において、制御ユニット10は分身距離、つまり攻撃カード110Asの中心点Pcと副タッチ点Pmとの距離を演算し、さらに、演算された分身距離と副タッチ点Pmの座標とに基づいて分身カード110Aaの位置及び方向を決定する(ステップS28)。なお、
図13の一点鎖線から明らかなように、分身カード110Aaの位置は、攻撃カード110Asと副タッチ点Pmとの間に分身カード110Aaが概略均等に並ぶように設定される。また、各分身カード110Aaの方向は、各分身カード110Aaの中心点と基準点Prとを結ぶ方向と、分身カード110Aaの長辺方向とが一致するように決定される。
【0047】
ステップS28の処理後、制御ユニット10は、これまでの演算結果に従ってゲーム画面100に関する次画面情報を生成する(ステップS29)。ステップS23又はステップS24が否定判断された場合も同様にステップS29に処理が進む。ステップS29にて生成される次画面情報は、次フレームのゲーム画面100にて、攻撃カード110As、選択マーク121、ガイドライン122、振り子123、速度標識124及びパワーゲージ125を、最新のプルバック操作の状態に基づいて描画するために必要な情報である。その情報は、今回のプルバック操作処理における演算結果を利用して次のように設定される。攻撃カード110Asに関しては、ステップS17又はS18で設定した中心点Pc及びステップS21で更新した攻撃カード110Asの方向が次画面情報として利用され、ガイドライン122に関してはステップS11で取得した基準点Pr及びステップS17又はS18で設定した中心点Pcが次画面情報として利用され、振り子123に関してはステップS20で演算したずれ量△φが次画面情報として利用される。速度標識124の表示速度及びパワーゲージ125のゲージ量に関してはステップS19の演算結果が次画面情報として利用される。さらに、ステップS23〜S28の処理が実行された場合には、分身カード110Aaに関してステップS28で演算された位置及び方向の情報も次画面情報として利用される。
【0048】
制御ユニット10は、ステップS29にて次画面情報が生成されると、その次画面情報に基づいてプルバック操作中におけるゲーム画面100の内容を決定し、そのゲーム画面100を所定のフレームバッファに描画する。それにより、次フレームのゲーム画面100にて、次画面情報に基づいて操作案内画像120が表示される。画面100の描画処理はプルバック操作処理と並行して実行されるが、その詳細は公知のゲーム装置の画面描画処理と同様でよく、詳細な説明は省略する。
【0049】
制御ユニット10は、次画面情報の生成後ステップS30に進み、ユーザがトリガ操作を実行したか否か、つまりプルバック操作を止めてカード110Asから指を離したか否かをタッチパネル17の出力に基づいて判別する。トリガ操作なければ制御ユニット10は
図15のステップS14に戻り、プルバック操作における操作位置の変化に応じた各種の処理を続ける。トリガ操作が行われた場合、制御ユニット10は攻撃カード110Asの移動を制御するために必要な初期条件を生成する(ステップS31)。初期条件には、ステップS15で演算されたプルバック操作量Lp、ステップS19で演算された発射速度、ステップS20で演算された振り子123のずれ量△φ、及びステップS21で演算された基準方向φが含まれる。続いて、制御ユニット10は、初期条件に基づくカード110As(分身カード110Aaがある場合はそれらも含む。)の移動制御を開始し(ステップS32)、続いて操作案内画像120の表示をオフ、つまり操作案内画像120をゲーム画面100から消去させる(ステップS33)。以上により、プルバック操作処理が完了する。
【0050】
図17は、ステップS32をトリガとして制御ユニット10がプルバック操作処理とは別プロセスとして実行するカード移動制御の手順を示している。制御ユニット10は、カード移動制御処理を開始すると、まず
図16のステップS31で生成された初期条件を取得し(ステップS41)、その初期条件に含まれている基準方向φとずれ量△φとに基づいて攻撃カード110Asの移動方向を決定する(ステップS42)。この場合、カード110Asの発射方向がずれ量△φに応じて基準方向φから変化し、発射後はその発射方向に沿ってカード110Asが直進するように移動方向が決定されさせてもよい。あるいは、発射方向を基準方向φとして固定しつつ、ずれ量△φに応じて移動方向が基準方向φから徐々に変化するように移動方向が決定されてもよい。なお、分身カード110Aaが出現している場合には、ステップS42で各分身カード110Aaの移動方向も決定される。分身カード110Aaの移動方向は、攻撃カード110Asの移動方向に準じて決定される。すなわち、
図16のステップS28にて各分身カード110Aaの位置が演算されているので、分身カード110Aaの中心点の位置と基準点Prとを結ぶ方向を攻撃カード110Asの基準方向φに準じた方向とみなし、基準方向φと振り子123のずれ量△φとに基づく移動方向の演算と同様の手順に従って分身カード110Aaの移動方向を求めればよい。
【0051】
次に、制御ユニット10は、初期条件に基づいて攻撃カード110Asの発射速度を決定する(ステップS43)。その発射速度は、ステップS19で演算された最新の発射速度である。分身カード110Aaの発射速度も同じである。その後、制御ユニット10は、決定した移動方向、発射速度に従ってカード110Asの移動を開始させる(ステップS44)。その後、制御ユニット10は、発射時から現在までの経過時間と、発射時に決定した移動方向、発射速度とに基づいて、現在の攻撃カード110As等の位置を演算し(ステップS45)、カード110の位置の変化に伴って生じ得るカード110の衝突の効果等をゲーム効果として演算する(ステップS46)。カード位置はカード110を質量がある物体と仮定した上で、カード110が物理法則に概ね従って移動するように演算される。その後、制御ユニット10はゲーム画面100において全てのカードに関する停止条件が成立したか否かを判別し(ステップS47)、これが肯定されるまでステップS45及びS46の処理を繰り返す。ステップS47の条件が成立すると、制御ユニット10は
図17の処理を終える。以上により、一回のプルバック操作に対応して各カード110をゲーム画面100内で移動させる処理が完了する。
【0052】
以上の形態においては、制御ユニット10が
図3の処理を実行することにより本発明のアイテム表示演出手段として機能し、ステップS1の処理を実行することにより本発明のユーザ指示手段として機能し、ステップS2〜S5の処理を実行することにより本発明の物体判別手段として機能し、ステップS6の処理を実行することにより本発明の演出実行手段として機能する。ただし、本発明は上述した形態に限定されず、種々の形態にて実施することができる。例えば、ゲーム装置はネットワークに接続される例に限らず、いわゆるスタンドアローンタイプのゲーム装置であってもよい。本発明のコンピュータ装置は商業用のゲーム装置に限定されず、家庭用の据置型のゲーム装置、携帯型ゲーム装置等の各種のゲーム装置を含む。さらに、携帯電話(スマートフォンも含む。)、汎用的なパーソナルコンピュータその他の各種のコンピュータ装置に対して本発明が適用されてよい。
【0053】
上記の形態では、所定範囲のサイズの物体として携帯電話101を想定したが、これに限らず、各種の物体を対象としてよい。例えば、ユーザが所有する各種の保管容器、財布、書籍といった物体を想定してサイズに関する所定範囲を設定することができる。設定されたサイズの範囲内に含まれ、かつ操作検出装置が検出可能な限りは、人体の一部、例えば握られた手、指、手の平等も物体の概念に含まれる。