【実施例】
【0044】
以下、実施例及び試験例により本発明の構成及び効果をより具体的に説明する。しかし、これらの実施例及び試験例は、本発明に対する理解を助けるために例示の目的だけで提供されるものに過ぎず、本発明の範疇及び範囲が下記例によって制限されるものではない。
【0045】
[製造例1]ヒノキ多糖体の製造
乾燥したヒノキ葉1kgにエタノール10Lを添加し、常温で24時間撹拌した後、遠心分離を通じて溶媒を除去した。製造されたヒノキ葉の残渣を30℃で7時間熱水抽出し、得られた熱水抽出液は、フィルタープレス機器を利用して濾過(珪藻土濾過)及び回収した後、初期体積の1/10となるように50℃で減圧濃縮した。次いで、上記濃縮液を限外濾過(分子量CUT OFF:1,000ダルトン)し、低分子量の遊離タンパク質を除去し、最終限外濾過濃縮液の5倍体積のエタノールを100mL/minの速度で徐々に加えて、エタノール沈殿反応を進行した。沈殿されたヒノキ多糖体を45℃で真空乾燥し、パウダー形態のヒノキ多糖体(53g)を得た。
【0046】
[試験例1]I型プロコラーゲン生成分析(Type I Procollagen assay)
ヒト正常線維芽細胞を10
5個の濃度で、12孔平板培養器で培養した後、製造例1で得たヒノキ多糖体を1ppm、10ppm、50ppmの濃度で含む培地に交替した。陽性対照群としてTGF−β(Human Transforming Growth Factor-β1, Roche Co.)を使用した。培養3日目、細胞を収穫し、ELISA方法で生成されたI型プロコラーゲン(type I procollagen)の量を定量した。上記ヒノキ多糖体を含まない対照群のプロコラーゲンの量を0、陽性対照群を100に設定し、各測定値との比較値を算出した。その結果は、下記表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
上記表1から分かるように、ヒト正常線維芽細胞単層培養システム(Normal human fibroblast monolayer culture system)で、ヒノキ多糖体は、陰性対照群に比べてI型プロコラーゲン生成を濃度依存的に促進させた。したがって、本発明のヒノキ多糖体は、コラーゲン生成を促進することによって、人体皮膚の老化によって発生するコラーゲンの減少現象を緩和させて、抗老化効果に優れていることが分かる。
【0049】
[試験例2]MMP−1生合成抑制分析
ヒト正常線維芽細胞を10
5個の濃度で、12孔平板培養器で培養し、紫外線Bを40mJ/cm
2で照射した後、製造例1で得たヒノキ多糖体を1ppm、10ppm、または50ppmで含む培地に交替した。培養2日目、細胞を収穫し、ELISA方法で生成されたMMP−1(matrix metalloproteinase I)の量を定量した。陽性対照群としては、レチノイン酸(Retinoic acid;RA、Sigma.米国)を使用した。試験物質を含まず、紫外線を照射しない対照群を100にして測定した値との比較値を算出し、その結果を下記表2に示した。
【0050】
【表2】
【0051】
上記表2から分かるように、ヒト正常線維芽細胞単層培養システムで、ヒノキ多糖体は、紫外線Bによって誘導されるMMP−1の生合成を有意的に抑制した。また、上記ヒノキ多糖体を50ppmの濃度で処理した場合には、UVを照射しない対照群と類似の水準までMMP−1生合成を抑制した。
【0052】
したがって、本発明によるヒノキ多糖体は、内的老化または外的環境要因によって発生する皮膚組職分解酵素であるMMP−1の生合成を阻害することによって、皮膚基質が破壊され、薄くなる皮膚老化の諸症状を予防し、皮膚内のコラーゲン減少を抑制し、皮膚しわを改善することが分かる。
【0053】
[試験例3]人体皮膚を対象にした皮膚しわ改善効果
30〜50才の顔面にしわがある試験対象者40名に対して下記表3に記載した組成のヒノキ多糖体を含有する栄養クリーム(実施例1)及びヒノキ多糖体を含有しない栄養クリーム(比較例1)を利用して皮膚しわ改善効果を比較評価した。
【0054】
【表3】
【0055】
実験は、被検者の顔面の左部には、実施例1、顔面の右部には、比較例1を3ヶ月間塗布するようにした。栄養クリーム使用前の顔面両方部の皮膚状態を測定した後、使用3ヶ月後、同一部位での皮膚状態を再測定し、皮膚しわの変化を測定した。より具体的には、24℃、相対湿度40%の恒温恒湿室で目尻部位のしわをレプリカ(replica)で採取し、ビジオメーターシステム(Visiometer system、C+K社)で皮膚しわを測定した。皮膚しわの変化量は、下記数式1によって計算した。
【0056】
【数1】
【0057】
上記数式1によって皮膚しわの変化量を計算した結果、ヒノキ多糖体を含有しない比較例1を使用した部位の皮膚しわは、5.3±7%(平均±標準偏差)の減少値を示すが、ヒノキ多糖体を含有する実施例1を使用した部位の皮膚しわは、30±8%の減少値を示した。
【0058】
上記結果から分かるように、本発明のヒノキ抽出物を含有する実施例1は、これを含有しない比較例1より約6倍の皮膚しわを減少させることが分かった。したがって、本発明のヒノキ抽出物を含有する組成物は、優れた皮膚しわ改善効果を示した。
【0059】
[試験例4]人体での皮膚弾力改善効果実験
上記実施例1及び比較例1の皮膚弾力改善効果を測定した。30〜50才の女性40名を対象にして2個グループに分けて、各グループに上記実施例1及び比較例1の栄養クリームを毎日2回ずつ12週間顔面に塗布した後、皮膚弾力測定器(Cutometer SEM 575, C+Kエレクトロニック社, ドイツ)を利用して皮膚弾力を測定した。
【0060】
上記比較例1を使用した部位の皮膚弾力数値は、0.21±0.14(平均±標準偏差)を示すが、実施例1を使用した部位の弾力数値は、0.30±0.10を示した。
【0061】
上記結果から分かるように、本発明のヒノキ多糖体を含有する実施例1は、ヒノキ多糖体を含有しない比較例1より約30%向上した皮膚弾力増進効果を示した。
【0062】
[試験例5]ねずみの色素細胞を利用したメラニン生成抑制効果
本発明のヒノキ多糖体のメラニン生成抑制効果を調べるために、ねずみの色素細胞を利用した。先に、C57BL/6マウス来由のねずみ色素細胞(Mel−Ab cell)(Dooley, T. P. et al, Skin pharmacol, 7, pp188-200)を、DMEM(Dulbeccos modified Eagles media)に、10%牛胎盤血清、100nMの2−O−テトラデカノイルホルボール(tetradecanoylphorbol)−13−アセテート、及び1nMのコレラ毒素を添加した培地で、37℃、5%CO
2の条件で培養した。培養したMel−Ab細胞を0.25%トリプシン−EDTAで取り外し、24−孔プレートに10
5細胞/孔(cells/well)の濃度で細胞を培養した後、二日間から3日連続で10ppm、50ppm、または100ppmのヒノキ多糖体を加えて培養した。この際、アルブチン(Sigma, 米国)を陽性対照群として使用した。次に、培養液を除去し、PBSで洗浄した後、1N水酸化ナトリウムで細胞を溶かし、400nmで吸光度を測定した。測定した吸光度を利用して下記数式2によってメラニン生成抑制率(%)を計算し、その結果を下記表4に示した(Dooleyの方法)。
【0063】
【数2】
【0064】
【表4】
【0065】
上記表4に示されたように、本発明によるヒノキ多糖体は、濃度依存的にメラニン生成を抑制し、100ppmでは、同一濃度のアルブチンと類似の水準のメラニン生成抑制率を示すことを確認することができた。したがって、本発明のヒノキ多糖体は、メラニン生成を効果的に抑制し、優れた皮膚美白効果を示すことが分かる。
【0066】
[試験例6]人体皮膚に対する美白効果
本発明のヒノキ多糖体の人体皮膚に対する美白効果を調べるために、下記のような実験を行った。まず、元気な12名の男性を対象にして被検者の上膊部位に直径1.5cmの孔が穿設された不透明テープを付着した後、各被検者の最小紅斑量(Minimal Erythema Dose)の1.5〜2倍程度の紫外線(UVB)を照射し、皮膚の黒化を誘導した。
【0067】
上記紫外線の照射後、試験物質であるヒノキ多糖体とヒドロキノンをそれぞれ塗布し、1ヶ所は、対照群として溶媒だけを塗布し、10週間状態変化を観察した。皮膚色は、色差計CR2002(日本国、ミノルタ社)で測定した。次に、上記各試験物質の塗布開始時点と塗布完了時点(10週後)での皮膚色の差異(△L*)を下記数式3によって計算し、その結果を下記表5に示した。
【0068】
皮膚美白効果は、試料塗布部位と対照群部位の△L*の比較で判定するが、△L*値が2程度の場合は、沈着された色素の美白化が明らかな場合であり、1.5程度以上なら美白効果があると判定することができる。
【0069】
【数3】
【0070】
【表5】
【0071】
上記表5に示したように、本発明によるヒノキ多糖体は、ヒドロキノンと類似の程度に皮膚色を明るくすることを確認した。したがって、本発明のヒノキ多糖体は、紫外線によって生成された色素沈着を改善し、皮膚美白効果に優れていることが分かる。
【0072】
[試験例7]ヒト角質形成細胞の分化誘導
角質形成細胞及びヒト皮膚細胞株(HaCaT)の分化時に生成されるCE(Cornified Envelop)の量を測定し、本発明によるヒノキ多糖体の細胞分化促進効果を調べた。
【0073】
一次培養したヒト角質形成細胞を培養用フラスコに入れ、底に付着させた後、カルシウムとヒノキ多糖体を濃度別に培養液に添加し、細胞が底面積の70〜80%程度成長するまで5日間培養した。この細胞を収穫し、PBS(phosphate buffered saline)で洗浄した後、2%SDS(Sodium Dodecyl Sulfate)と20mM濃度のDTT(Dithiothreitol)を含有する10mM濃度のトリス−塩酸緩衝液(Tris−HCl、pH7.4)1mLを加えて、ソニケーション(sonication)、ボイリング(boiling)、遠心分離した沈殿物をさらにPBS 1mLに懸濁させて340nmでの吸光度を測定した。これとは別に、上記ソニケーション後の溶液の一部を取って、タンパク質含量を測定し、細胞分化程度の評価時に基準にした。低カルシウム(0.03mM)処理群と高カルシウム(1.2mM)処理群をそれぞれ陰性/陽性対照群とし、低カルシウム濃度で得た試験結果を100とし、測定した値との比較値を計算し、下記表6に示した。
【0074】
【表6】
【0075】
上記表6の結果から分かるように、本発明によるヒノキ多糖体は、角質形成細胞分化を濃度依存的に促進することを確認することができた。したがって、本発明のヒノキ多糖体は、角質形成細胞の分化を促進させ、表皮のターンオーバー周期を正常化させて、皮膚保湿を強化することが分かる。
【0076】
[試験例8]ヒト角質形成細胞のトランスグルタミナーゼ(transglutaminase)の発現効果
ヒト角質形成細胞を96孔細胞培養プレートの各孔に5x10
4個を入れ、24時間付着させた。付着させた皮膚細胞株に試験物質を処理した後、2日が経過してから培地を除去し、−20℃冷蔵庫に保管した。凍結−解凍(Freeze-thawing)を2回繰り返して、物質処理した細胞を破壊させた後、−20℃に保管したアセトン:エタノール(1:1、v/v)を処理し、4℃で30分間放置し、細胞を固定させた。その後、室温に放置し、有機溶媒が蒸発されるようにし、ブロッキング(1%牛血清アルブミン)、トランスグルタミナーゼ抗体(primary)、HRPアンチ−マウス抗体(secondary)を処理し、発色は、OPD(σ−phenyldiamine)を添加して行った。発現量は、490nmで吸光度を測定し、補正は、630nmでバックグラウンド(background)を測定して行った。低カルシウム(0.03mM)処理群と高カルシウム(1.2mM)処理群をそれぞれ陰性/陽性対照群とし、低カルシウム濃度に試験物質を添加して実施した結果を100とし、測定した値との比較値を計算し、下記表7に示した。
【0077】
【表7】
【0078】
上記表7の結果から、本発明によるヒノキ多糖体は、陰性対照群に比べてトランスグルタミナーゼの発現を濃度依存的に向上させ、ヒノキ多糖体を100ppmで使用した処理群は、陽性対照群である高カルシウム処理群より優れたトランスグルタミナーゼの発現量を示した。したがって、本発明のヒノキ多糖体が角質形成細胞のトランスグルタミナーゼ発現を促進させることによって、優れた皮膚保湿効果を示すことが分かった。
【0079】
[試験例9]人体での皮膚保湿力増加
皮膚乾燥症を示す50〜60代の大人男女50名を2個グループに分けて、各グループに実施例1及び比較例1を毎日2回ずつ4週間顔面に塗布した。塗布開始前と、塗布後1週、2週、4週が経過した時点及び塗布を中止してから2週経過(全体で6週経過)後に、恒温、恒湿条件(24℃、相対湿度40%)でコルネオメーターで皮膚水分量を測定し、試験結果は、塗布開始前に測定したコルネオメーター値を基準にして一定期間処理後の測定値の増加分を百分率で表示した。その結果は、下記表8に示した。
【0080】
【表8】
【0081】
上記表8から分かるように、ヒノキ多糖体が含有された実施例1を塗布した群は、すべての測定時点で比較例1を塗布した群に比べて皮膚水分量がさらに増加した。また、実施例1の栄養クリームの塗布を中止した2週後(全体で6週経過)に皮膚水分を測定した数値は、塗布1週経過後の数値と類似に現われたが、比較例1を塗布した群は、塗布を中止する場合は、水分増加率が急速に低下した。したがって、本発明のヒノキ多糖体を含有する組成物は、皮膚水分量を増加させるだけでなく、塗布を中止する場合にも、一定期間の間に皮膚水分を持続的に維持させることが分かった。
【0082】
[試験例10]LPS(Lipopolysaccharide)で誘導されたシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の生合成抑制効果
ヒト線維芽細胞を10
5個の濃度で12孔平板培養器に培養した後、LPS処理をした後、ヒノキ多糖体を1ppm、10ppm及び100ppmを含む培地に交替した。対照群は、ヒノキ多糖体を処理せず、培養した未処理群である。培養2日目、細胞を収穫し、ウェスタンブロット(Westren blot)方法を使用して生成されたシクロオキシゲナーゼ−2(cyclooxygenase−2、COX−2)の量を定量した。対照群を100にして濃度計(densitometer)で測定した値との比較値を下記表9に示した。
【0083】
【表9】
【0084】
上記表9の結果から分かるように、本発明によるヒノキ多糖体は、炎症反応誘発因子であるLPSで誘導されたシクロオキシゲナーゼ−2の生合成を濃度依存的に減少させることによって、炎症反応を抑制することが分かった。したがって、ヒノキ多糖体は、皮膚炎症反応を効果的に抑制し、これにより、皮膚トラブルを緩和させる効能にも優れている。
【0085】
[試験例11]炎症抑制効能試験(マウスモデル)
テトラデカノイルホルボールアセテート(tetradecanoyl phorbol acetate、TPA)誘発性マウス耳炎症モデルは、炎症反応の作用機作と抑制物質の効能を試すために広く使用されている実験方法である(De Young LM et al., Agents and Actions, 26;335-341(1989))。
【0086】
ヒノキ多糖体の炎症抑制効能を確認するために、8週齢のICR雄性マウス(各群当たり8匹)を準備し、試験群は、TPAを処理し、80%エタノール水溶液にヒノキ多糖体が分散された溶液を塗布し、非処理群は、TPAを処理せず、80%エタノール水溶液のみを塗布した群であって、陰性対照群は、TPAを処理し、80%エタノール水溶液のみを塗布した群であって、陽性対照群は、TPAを処理し、ヒノキ多糖体の代わりにインドメタシン(indomethacine、Sigma、米国)を0.5mgずつ塗布した群に設定した。
【0087】
製造例1で得たヒノキ多糖体を0.5%の濃度で80%エタノール水溶液に分散させた後、試験群マウスにTPA塗布前に2日間一日に2回耳部位に前処理をし、TPA塗布30分後にも、再塗布した。アセトンに2.5μg/mL濃度で溶かしたTPA溶液(Sigma、米国)を左側の耳に2.5μLずつ塗布し、皮膚刺激を誘導した。非処理群、陰性対照群及び陽性対照群のマウスも上記設定されたように処理した。TPA塗布後、24時間が経過した時点にマウスを頸椎脱骨法で安楽死させ、左側の耳を一定の広さで採取し、重さを測定した。TPA単独処理時に、炎症発生で耳重さが増加するが、試験物質を一緒に塗布する場合、耳重さの増加が低下するが、この際、低下する重さの差異が阻害度である。阻害度(%)は、下記数式4によって計算した。その結果は、下記表10に示した。
【0088】
【数4】
【0089】
【表10】
【0090】
上記表10から分かるように、TPA単独処理群と比べてヒノキ多糖体を処理した試験群は、TPAによって誘発された炎症反応による耳むくみを有意に抑制した。したがって、本発明のヒノキ多糖体は、皮膚塗布時に抗炎症効果に優れていることが分かった。
【0091】
[試験例12]皮膚刺激抑制効能試験(兎モデル)
レチノイン酸(retinoic acid)の場合、皮膚角質層の分化促進、にきび治療、しわ改善効果などの様々な優れた皮膚効能によって化粧品と医薬品に広く利用されている(Fisher et al., J. Investig. Dermatol., 3:61-68(1998))。しかし、レチノイン酸を皮膚に局所的に適用する場合、初期に刺激感を誘発し、ひいては、皮膚紅斑とむくみを誘発する副作用があるものと報告されている(Varani et al., Arch. Dermatol. Res., 295:255-262(2003))。これより、レチノイン酸のこのような皮膚刺激を低減するための試みが多方面に進行されている(Kim et al., Toxicol.Letters., 146:65-73(2003))。一方、ニュージーランド白色兎の場合、様々な皮膚刺激物質に対する反応性に優れていて、個体差異が少なく、皮膚刺激実験に広く使用されている。したがって、本試験例では、レチノイン酸でニュージーランド白色兎に皮膚刺激を誘発させた後、試験物質による皮膚刺激減少程度を評価した。
【0092】
試験一日前に、雄性ニュージーランド白色兎(体重2.0〜2.5kg、4匹)の背中部位の毛を除去した。除毛した兎の背中(back)に匹当たり2個ずつ対称される4個の適用部位(右側上部−左側上部、右側下部−左側下部)を表示した。また、レチノイン酸(0.025%)と製造例1で得たヒノキ多糖体(0.5%)をそれぞれPEG400とエタノールの混合溶液(体積比:7/3)に溶かし、試験溶液を製造した。
【0093】
兎の背中の4個の適用部位にいずれも0.025%レチノイン酸溶液(Sigma、米国)100μLを局所に適用した。適用30分後に、対称される適用部位の一方には、ヒノキ多糖体(100μL/適用部位)溶液を、他方には、上記混合溶液(100μL/適用部位)のみを処理した。試験溶液をそれぞれ4日間毎日2回ずつ局所適用し、5日目適用部位を目視で観察し、皮膚刺激位を観察し、各実験群の皮膚刺激を累積刺激指数で示した。
【0094】
上記累積刺激指数は、紅斑を基準にし、紅斑がない場合(0)、目で識別が可能な微弱な紅斑(1)、明瞭な紅斑(2)、赤色が濃い紅斑(3)、深紅色の強い紅斑と痂皮形成(4)の5段階に分けて点数を付加した。
【0095】
また、レチノイン酸溶液だけを処理した対照群の累積刺激指数を基準にしてレチノイン酸と酸性多糖体溶液を共に処理した実験群の累積刺激指数の減少を阻害度(%)で計算し、皮膚刺激抑制効能の指標にした。その結果を下記表11に示した。
【0096】
【表11】
【0097】
上記表11から分かるように、ヒノキ多糖体を処理した実験群は、レチノイン酸のみを処理した実験群より約27.6%の累積刺激指数が減少した。したがって、本発明のヒノキ多糖体が皮膚刺激の抑制効能に優れていることが分かる。
【0098】
[試験例13]試験管内の傷治癒測定法(in vitro wound healing assay)を用いた傷治癒活性
ヒト角質形成細胞であるHaCaT細胞は、韓国細胞部銀行(Korean Cell Line Bank; Seoul, Korea)から分譲されて使用した。HaCaT細胞を10%(v/v)FBS、ペニシリン100U/mL及びストレプトマイシン100μg/mLを含むDMEM培地に注入し、37℃、5%CO
2供給条件を備えた動物細胞培養器で培養した。孔(Well)当たり1.5×10
6濃度で用意したHaCaT細胞を24時間培養し、細胞単一層を形成させた後、HaCaT細胞単一層をp200ピペットチップで「スクラッチ損傷」を誘導した。「スクラッチ損傷」された細胞層を製造例1で得たヒノキ多糖体10ppm濃度で処理した培養培地で24時間培養し、陰性対照群は、上記ヒノキ多糖体をとかすのに使用したDMSO(Dimethyl sulfoxide)で同量処理し、スクラッチ傷が回復する程度をマイクロイメージビデオカメラ(Boyertown、PA)が装着された顕微鏡で確認した。その結果を
図1に示した。
【0099】
図1の結果から確認することができるように、陰性対照群で処理された細胞の「スクラッチ損傷」は、24時間後に相対的に治癒されないまま残っていたのに対し、ヒノキ多糖体で処理された細胞では、傷端部の細胞増殖と移動により「スクラッチ損傷」が治癒され、24時間後にスクラッチ面積がほとんど復旧された。したがって、本発明のヒノキ多糖体が皮膚傷治癒及び皮膚再生効果に優れていることが分かる。
【0100】
以下では、本発明による組成物の剤形例を説明するが、これに限定されるものではない。
[剤形例1]柔軟化粧水(スキンローション)
【0101】
【表12】
【0102】
[剤形例2]栄養化粧水(ミルクローション)
【0103】
【表13】
【0104】
[剤形例3]マッサージクリーム
【0105】
【表14】
【0106】
[剤形例4]パック
【0107】
【表15】