(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、全体を通して同様の符号が同様の要素を指す添付図面を参照して、好ましい実施形態を説明する。本明細書で使用する用語は、本発明の特定の具体的な実施形態の詳細な説明に関連して使用されているにすぎないため、限定的又は制限的に一切解釈されるべきではない。さらに、本発明の実施形態は、いくつかの新規特徴を含み得るが、そのうちの1つだけがその望ましい属性を唯一もたらすわけではなく、記載の本発明を実施するのに不可欠であるわけでもない。本明細書に記載する特定のCVT実施形態は、米国特許第6,241,636号明細書、同第6,419,608号明細書、同第6,689,012号明細書、同第7,011,600号明細書、同第7,166,052号明細書、米国特許出願第11/243,484号明細書及び同第11/543,311号明細書、並びに2006年12月18日付けで出願されたPCT特許出願PCT/IB2006/054911号明細書に開示されているタイプに概して関連する。これらの特許及び特許出願それぞれの開示全体が、参照により本明細書に援用される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「動作的に接続される」、「動作的に結合される」、「動作的に連結される」、「動作可能に接続される」、「動作可能に結合される」、「動作可能に連結される」等の用語は、一方の要素の動作が第2の要素の対応、追従、又は同時の動作又は作動をもたらすような要素間の関係(機械的、リンク機構、継手等)を指す。本発明の実施形態を説明するのに上記用語を使用する際には、要素を連結又は結合する具体的な構造又は機構が通常は説明されることに留意されたい。しかしながら、特に具体的な明記がない限り、上記用語の1つが使用される場合、その用語は、特定の例で実際のリンク機構又は継手が場合によっては当業者に容易に自明であろうさまざまな形態をとり得ることを示す。
【0034】
説明のために、「半径方向の」という用語は、変速機又はバリエータの長手軸線に対して垂直な方向又は位置を示すために本明細書では使用される。本明細書で使用される場合、「軸線方向の」という用語は、変速機又はバリエータの主軸線又は長手軸線に平行な軸線に沿った方向又は位置を指す。明確且つ簡潔にするために、同様に符号が付けられた同様の構成要素(例えば、制御ピストン582A及び制御ピストン582B)を、単一の符号(例えば、制御ピストン582)で総称的に指す場合がある。
【0035】
本明細書中での「トラクション」への言及は、「フリクション(摩擦)」による動力伝達モードが支配的又は独占的であるような用途を除外するものではないことに留意すべきである。ここでトラクションドライブとフリクションドライブとの範疇的相違を確定しようとすることなく、これらは概して異なる動力伝達様式として理解され得る。トラクションドライブは、2つの要素間に挟まれる薄い流体層における剪断力によるこれらの要素間の動力の伝達を普通は伴う。これらの用途で使用される流体は、従来の鉱油よりも大きなトラクション係数を普通は示す。トラクション係数(μ)は、接触する構成要素の境界面(インターフェース)において利用可能であると考えられる最大利用可能トラクション力を表し、最大利用可能駆動トルクの尺度である。通常、フリクションドライブは、概して2つの要素間の摩擦力によってこれらの要素間で動力を伝達することに関する。本開示の目的上、本明細書に記載するCVTがトラクション用途及びフリクション用途の両方で動作し得ることを理解すべきである。例えば、CVTが自転車用途に使用される実施形態では、CVTは、動作中に生じるトルク状態及び速度状態に応じて、或る時にはフリクションドライブとして、また或る時にはトラクションドライブとして動作することができる。
【0036】
本明細書に開示する本発明の実施形態は、動作中に所望の入力速度対出力速度比を達成するように調節することができる傾斜角可変の回転軸線をそれぞれが有する複数の実質的に球形の遊星を使用するバリエータ及び/又はCVTの制御に関する。実施形態によっては、上記回転軸線の調節は、第2の平面における遊星軸線の角度調節を行うために一平面における遊星軸線の角度をずらすことによって、バリエータの速度比を調節することを伴う。第1の平面における角度ずれは、本明細書では「スキュー」又は「スキュー角」と呼ばれる。一実施形態では、制御システムが、バリエータの特定の接触構成要素間で遊星回転軸線を傾斜させる力を発生させるようにスキュー角の使用を調節する。遊星回転軸線を傾斜させることで、バリエータの速度比の調節が行われる。以下の説明では、トラクション遊星に関して座標系を設定した後で、スキュー角の存在下で遊星軸線を傾斜させる傾向がある力を発生させる接触構成要素間の特定の運動学的関係を説明する。バリエータの所望の速度比を得るためのスキュー制御システムの実施形態を説明する。
【0037】
次に
図1A及び
図1Bを見て、無段変速機(CVT)の特定の構成要素の実施形態に関して座標系を画定する。これらの座標系は、ここでは説明のために示されており、本明細書で説明する実施形態に適用可能な唯一の基準系と解釈されるべきではない。CVT100の実施形態は、トラクション太陽110と接触する実質的に球形のトラクション遊星108を含む。トラクション遊星108は、それぞれ第1の角度位置112及び第2の角度位置114にある第1のトラクションリング102及び第2のトラクションリング104とも接触する。
図1Aには、グローバル座標系150(すなわち、x
g,y
g,z
g)及び遊星中心座標系160(すなわち、x,y,z)が画定されている。グローバル座標系150は、CVT100の長手軸線又は主駆動軸線152に関して実質的に向けられ、例えば、z
g軸線がトラクション遊星108の配置の中心となる主駆動軸線152と一致している。遊星中心座標系160は、その原点がトラクション遊星108の幾何学的中心にあり、y軸線がトラクションリング102、104間に形成される角度を実質的に二分し且つz軸線が主駆動軸線152に実質的に平行である。トラクション遊星108のそれぞれが、y−z平面において傾斜することによって傾斜角118(本明細書ではγと呼ぶ場合もある)を形成するように構成され得る回転軸線、すなわち遊星軸線106を有する。傾斜角118は、トラクションリング102、104間の運動学的速度比を決定する。遊星108のそれぞれが、遊星軸線106を中心とする回転速度を有し、これは
図1Aにおいて遊星速度122として示されており、本明細書ではωと呼ぶ場合もある。通常、遊星軸線106は、固定であり得るキャリア又はケージ(図示せず)に動作的に結合される遊星軸に対応するが、実施形態によっては、遊星軸は、主駆動軸線152を中心に回転可能であるキャリア(図示せず)に結合される。遊星中心座標系160において、x軸線はページの平面に向かい、z軸線は主駆動軸線152に実質的に平行であるため、結果として傾斜角118は主駆動軸線152と実質的に同一平面上にある。
【0038】
次に
図1Bを見て、遊星中心座標系160をさらに分解して、本明細書に記載するスキュー制御システムの実施形態で使用される遊星軸線106の角度調節を説明する。
図1Bに示すように、傾斜角118は、y−z平面上に遊星軸線106を有する座標系160をx軸線を中心に回転させて、第1の相対座標系170(x’,y’,z’)を得ることによって導出され得る。相対座標系170において、遊星軸線106は、z’軸と一致する。遊星軸線106を有する座標系170をy’軸を中心に回転させることによって、x’−z’平面上にスキュー角120(本明細書ではσと呼ぶ場合もある)を得ることができ、これは第2の相対座標系180(x’’,y’’,z’’)に画定される。スキュー角120は、x−z平面における遊星軸線106の角度合わせの投影とほぼみなされ得る。しかしながら、より具体的には、スキュー角120は、相対座標系170及び180によって画定されるようなx’−z’平面上の遊星軸線106の角度位置である。スキュー角120は、概して主駆動軸線152と同一平面上にはない。CVT100の実施形態によっては、傾斜角118を直接調節して速度比を調節することができる。CVT100の一実施形態では、傾斜角118は、少なくとも或る程度はスキュー角120の調節によって制御される。
【0039】
次に
図1Cを参照して、スキュー状態の誘発によって傾斜角118を調節する傾向がある力を発生させる方法を説明するために、CVT100の接触構成要素間の特定の運動学的関係について説明する。本明細書で使用される場合、「スキュー状態」という語句は、非ゼロスキュー角120が存在するような主駆動軸線152に対する遊星軸線106の配置を指す。したがって、「スキュー状態の誘発」への言及は、非ゼロスキュー角120と一致する遊星軸線106の誘発を意味する。CVT100の特定の実施形態では、特定のスピン誘発力もトラクション平面108に作用することを留意すべきである。スピンは、当業者には既知のトラクション接触部の現象である。速やかな説明のために、スピン誘発力の作用は無視する。しかしながら、トラクション遊星108及びトラクション遊星108に動作的に結合される構成要素へのスピン誘発力の作用を考慮するCVTの実施形態を後で開示する。CVT100において、構成要素は、トラクション遊星108に3箇所で接触してトラクション又はフリクション接触領域を形成する。第1のリング102は、接点1において遊星108を駆動し、遊星108は、接点2において第2のリング104に動力を伝達する。トラクション太陽110は、接点3においてトラクション遊星108を支持する。説明のために、3つの接点1、2、3は、CVT100の上方の基準から見たx’’−z’’平面の図、すなわち
図1Aの視野Aを反映するように
図1Cに配置されている。接触領域1、2、3が同一平面上にないため、接触領域1、2、3をx’’−z’’平面で図示することができるように
図1Cでは接点中心座標系が使用される。下付き数字1、2、及び3を使用して、接点中心座標系に固有の接触領域を示す。z
1,z
2、z
3軸線は、トラクション遊星108の中心に向いている。
【0040】
次に
図1Cの接触領域1を参照すると、第1のトラクションリング102の表面速度が負のx
1方向にベクトルV
r1で示され、遊星108の表面速度がベクトルV
p1で表される。V
r1とV
p1との間に形成される角度はスキュー角120である。トラクションリング102とトラクション遊星108との間の得られる相対表面速度は、ベクトルV
r1/pで表される。トラクション遊星108とトラクション太陽110との間の接触領域3において、トラクション太陽110の表面速度はベクトルV
svで表され、トラクション遊星108の表面速度はベクトルV
psで表される。V
svとV
psとの間に形成される角度はスキュー角120である。トラクション遊星108とトラクション太陽110との間の相対表面速度は、ベクトルV
sv/pで表される。同様に、接点2に関しては、接触領域2におけるトラクション遊星108の表面速度はベクトルV
p2として示され、第2のトラクションリング104の表面速度はベクトルV
r2で表される。V
p2とV
r2との間に形成される角度はスキュー角120である。トラクション遊星108と第2のトラクションリング104との間の相対表面速度は、合成ベクトルV
r2/pである。
【0041】
上述の運動学的関係は、接触構成要素において力を発生させる傾向がある。
図1Dは、接触領域1、2、3のそれぞれに当てはまり得る一般化した代表的なトラクション曲線を示す。このグラフは、接触構成要素間のトラクション係数μと相対速度との間の関係を示す。トラクション係数μは、流体が力を伝達する能力を示す。V
r1/p等の相対速度は、スキュー角120の関数であり得る。トラクション係数μは、接触領域1、2、及び3におけるx方向のトラクション係数μ
x及びy方向のトラクション係数μ
yのベクトル和である。一般的には、トラクション係数μは、特に、トラクション流体特性、接触領域における法線力、及び接触領域におけるトラクション流体の速度の関数である。所与のトラクション流体に関して、トラクション係数μは、トラクション係数μが最大能力に達するまで構成要素の相対速度を増しながら増加した後で減衰する。その結果、スキュー角120の存在下で(すなわち、スキュー状態で)、運動学的状態に起因してトラクション遊星108の周りの接触領域1、2、3において力が発生する。
図1C及び
図1Eを参照すると、V
r1/pは、V
r1/pに平行な力F
s1を発生させる。スキュー角120を増大させると、V
r1/pが増大し、それにより
図1Dに示す一般的関係に従って力F
s1が増大する。V
sv/pは力F
ssを発生させ、同様にV
r2/pは力F
s2を発生させる。力F
s1、F
ss、及びF
s2が結合して、y−z平面においてトラクションローラ108を中心としたネットモーメントを生み出す。より具体的には、トラクションローラ108を中心としたモーメントの総和は、ΣM=R×(F
s1+F
s2+F
ss)であり、式中、Rはトラクションローラ180の半径であり、F
s1、F
s2、及びF
ssはy−z平面上の接触力の合成成分である。本明細書ではスキュー誘発力と呼ばれる場合もある接触力は、上記式では以下のように、F
s1=μ
y1N
1、F
s2=μ
y2N
2、F
ss=μ
ysN
3であり、式中、N
1、2、3は、各接触領域1、2、3における法線力である。トラクション係数μが接触構成要素間の相対速度の関数であるため、トラクション係数μ
y1、μ
y2、及びμ
ysは、結果として、運動学的関係によって関係付けられるようなスキュー角120の関数である。定義上、モーメントは慣性加速度であるため、ここで示す実施形態では、モーメントは傾斜角加速度γ’’を発生させる。したがって、傾斜角の変化率γ’は、スキュー角120の関数である。
【0042】
すでに述べたように、接触領域においてスピン誘発力が発生し得る。スピン誘発力は、スキュー誘発力に抵抗する傾向がある。CVTの動作中、スピン誘発力及びスキュー誘発力は、トラクション太陽110を通して軸線方向に反作用され得るため、本明細書では軸力又は横力と呼ぶ場合もある。CVT100の実施形態は、スキュー誘発力がスピン誘発力よりも大きいときに遊星軸線106が傾斜するように構成され得る。CVTの一実施形態では、定常状態の動作状態では、スキュー誘発力及びスピン誘発力が互いに釣り合うことで、スキュー状態でCVTを動作させることができる。したがって、実質的にゼロのスキュー角でCVTを動作させるためには、トラクション太陽110に作用する補助横力反力を提供することが好ましい。すなわち、CVTの実施形態によっては、トラクション太陽110の軸線方向位置は、スキュー誘発力以外の機構によって軸線方向に拘束される。
【0043】
次に
図1Fを見ると、傾斜角118がゼロに等しいことで遊星軸線106がCVT100の主駆動軸線152と実質的に同一平面上にあり、トラクション遊星108の回転速度122がz軸線と同軸上にある、トラクション遊星108が示されている。傾斜角118の変化を引き起こす力を発生させるように、スキュー角120がx−z平面上に形成され得る。スキュー角120の存在下では、トラクション遊星108は、軸線z’’を中心とした回転速度122を有することになり、傾斜角118は、y−z’平面に形成されることになる。
【0044】
次に
図2〜
図5Bに移り、傾斜角118の変化を引きこすためにスキュー状態の誘発に依存するCVTの特定の制御システムの実施形態をここで説明する。
図2は、原動機50と負荷75との間に動作的に結合されるCVT300を含むドライブ25を示す。ドライブ25は、スキューベース制御システム200も含み得る。通常、原動機50がCVT300に動力を送り、CVT300が負荷75に動力を送る。原動機50は、さまざまな発電装置のうちの1つ又は複数とすることができ、負荷75は、さまざまな被駆動装置又は構成要素のうちの1つ又は複数とすることができる。原動機50の例としては、限定はされないが、人力、エンジン、モータ等が挙げられる。負荷の例としては、限定はされないが、駆動系差動アセンブリ、パワーテークオフアセンブリ、発電機アセンブリ、ポンプアセンブリ等が挙げられる。実施形態によっては、スキュー制御システム200は、CVT300及び原動機50の動作を調節することができるか、又はCVT300及び負荷75の動作を調節することができるか、又は駆動装置25の全要素の動作を調節することができる。
図2に示す実施形態では、スキュー制御システム200は、スキュー角120の調節を使用してCVT300の動作状態を制御する結果としてドライブ25の制御を調節するように構成され得る。
【0045】
図3を見て、CVT301の実施形態をここで説明する。説明を明確且つ簡潔にするために、バリエータ又はCVTの特定の構成要素のみが示されている。図示の実施形態では、スキューレバー302の回転が主軸312に対してキャリアプレート304を回転させるように、スキューレバー302がキャリアプレート304に動作的に接続され得る。第2のキャリアプレート306が、主軸312に剛結合される。トラクション遊星アセンブリ311及びトラクション太陽アセンブリ310が、2つのキャリアプレート304及び306間で動作するように配置される。遊星軸線106の一端は、キャリアプレート304に動作可能に結合され、遊星軸106の他端は、キャリアプレート306に動作可能に結合される。遊星中心座標系160が、参照用に
図3の遊星アセンブリ308に示されている。スキューレバー302の度回転が、キャリアプレート304をキャリアプレート角324(キャリアプレート角βと呼ぶ場合もある)へ回転させる。遊星軸線106がキャリアプレート304及び306によって拘束されているため、遊星軸線106が主軸312の軸線と同一平面上にはなくなる位置に調節されることで、スキュー状態が誘発される。
【0046】
用途によっては、トラクション太陽310の軸線方向並進と傾斜角118との間の直線関係を以下のように表現することができる。トラクション太陽310の軸線方向並進は、トラクション遊星308の半径、傾斜角18、及びRSFの相乗積であり(すなわち、トラクション太陽310の軸線方向並進=遊星半径×傾斜角118×RSF)、ここで、RSFはロールスライド係数(roll-slide factor)である。RSFは、トラクション遊星308とトラクション太陽310との間の横方向クリープ速度を表す。本明細書で使用される場合、「クリープ」は、物体の別の物体に対する離散的な局所運動であり、前述のような転がり接触構成要素の相対速度によって例示される。トラクションドライブでは、駆動要素から被駆動要素へのトラクションインタフェースを介した動力の伝達はクリープを必要とする。通常、動力伝達方向のクリープは、「転動方向のクリープ」と呼ばれる。場合によっては、駆動要素及び被駆動要素には、動力伝達方向に直交する方向のクリープが生じるが、そのような場合、このクリープ成分は「横方向クリープ」と呼ばれる。CVT301の動作中、トラクション遊星308及びトラクション太陽310は互いに対して転動する。トラクション太陽310を軸線方向に(すなわち、転動方向に直交して)並進させると、トラクション太陽310とトラクション遊星308との間に横方向クリープが加わる。1.0に等しいRSFが、純粋な転動を示す。1.0未満のRSF値では、トラクション太陽310の並進がトラクション遊星308の回転よりも遅い。1.0よりも大きなRSF値では、トラクション太陽310の並進がトラクション遊星308の回転よりも速い。
【0047】
次に
図4を見て、ドライブ25と共に使用され得るスキューベース制御システム205の実施形態をここで説明する。一実施形態では、スキューベース制御システム205は、例えば伝達関数によって定義され得るスキューダイナミクスモジュール202を含み得る。スキューダイナミクスモジュール202は、スキュー角120と傾斜角118の調節を引き起こす傾向がある力の発生との間の前述の運動学的関係に従う。実施形態によっては、CVT300又は実質的に同等の実施形態の動作状態は、スキューダイナミクスモジュール202に対する入力として使用することができ、接触領域における法線力(すなわち、F
N)及びトラクション遊星308の回転速度ωによって概して表すことができる。制御基準208が、例えば所望のスキュー角120であり得る。制御基準208は、加算接合部210においてフィードバック値201と比較される。フィードバック値201は、現在の動作状態での実際のスキュー角を示す。得られるスキュー角ζは、スキューダイナミクスモジュール202に供給され、これが傾斜角の変化率γ’を返す。積分器204でのγ’の積分が、傾斜角γを返す。一実施形態では、傾斜角γは、加算接合部210にフィードバックを供給するためにゲイン(K)2050によってさらに処理される。実施形態によっては、制御基準208は、トラクション太陽110の位置基準、所望の傾斜角γ、又は速度比若しくはトルク比等のCVT300の動作に関する任意の他のパラメータであり得る。特定の実施形態では、制御基準208は、適当な場合は基準スキュー角ζ
Rを提供するように変換され得る。
【0048】
図5Aを参照して、スキュー制御システム206の実施形態をここで説明する。制御基準208は、比(K
1)500を有する遊星歯車セットに結合されるシフトナット又は基準ダイヤルの回転等の角度位置基準であり得る。遊星歯車セットの角度位置は、例えばねじリード(K
2)502を使用することによって基準要素の軸線方向並進に変換することができ、制御誤差408を導出するためにトラクション太陽110の軸線方向位置と(例えば、再度)比較することができる。実施形態によっては、シフトロッド(図示せず)の軸線方向位置等の軸線方向位置が、制御基準208として使用され得る。
図5Aに示す実施形態では、制御基準208が、この場合はトラクション太陽110の軸線方向位置であるフィードバック404と加算接合部412において比較されて、制御誤差408が導出される。制御基準208及びフィードバック404の物理単位を、算術的整合性のためにこれらの2つのパラメータが加算接合部412の前で同じ単位を有するように変換することが好ましい。制御誤差408を例えば
図3に示すキャリアプレート角324等のキャリアプレート角βに変換するために、ゲイン(K
3)406が適用され得る。実施形態によっては、ゲイン406はねじリードであり得る。キャリアプレート角βは、例えば
図3に示すようなスキューレバー302によって作動され得る。
【0049】
この実施形態では、スキューアルゴリズム400が、スキューダイナミクスモジュール202に結合される関数203を含む。関数203は、キャリアプレート角βをスキュー角ζに変換するように構成される。スキューアルゴリズム400は、キャリアプレート角βを入力として受け取って傾斜角の変化率γ’を返す。一実施形態では、スキューダイナミクスモジュール202の結果に積分器410が適用されて傾斜角γが導出され得ることで、CVTの速度比が求められる。法線力F
N及びトラクション遊星108の回転速度を入力として有する関数418によって、γから速度比(SR)420が導出され得る。傾斜角γは、ゲイン(K
4)402を適用することによってフィードバック404にも変換され得る。実施形態によっては、ゲイン402は、遊星半径にRSFを乗算したものに等しい(すなわち、K
4=R×RSF)。一実施形態では、スキューアルゴリズム400は、CVTの特定の動作状態に基づく伝達関数である。用途によっては、スキューアルゴリズム400は、所与のキャリアプレート角β及びCVTの動作状態についてγ’を経験的に求めることによって作成され得るルックアップテーブルの形態をとり得る。例えば、入力動作状態が目的用途に適した個々の速度及び負荷で保たれる特定のCVTに対して試験を行うことができる一方で、CVTの速度比変化を測定してγ’の計算に使用することができるようにキャリアプレート角βを段階的にシステムに適用することができる。得られるデータは、システムの動的応答を特徴付け、スキューアルゴリズム400に使用されるルックアップテーブル又は関数に定式化され得る。
【0050】
次に
図5Bを参照して、ドライブ25と共に使用され得るスキューベース制御システム207のさらに別の実施形態をここで説明する。説明のために、スキュー制御システム207は、
図6に示す機械的実施形態等の機械的実施形態と類似して説明される。しかしながら、実施形態によっては、スキュー制御システム207は、
図5Bに示す要素が電子コントローラにおける関数であるような電気又は電子機械システムとして実施され得る。スキュー制御システム207は、比(K
1)500を有する遊星歯車セットに結合される制御基準208を含む。実施形態によっては、制御基準208は、シフトナット又は基準ダイヤルにトルク209を加えることによって調節され得る。トルク209を加えられた制御基準208は、ねじリード(K
2)502を有するフィードバックカム1066等の基準要素の軸線方向並進に変換され得る。
【0051】
一実施形態では、スキュー制御システム207は、2つの加算接合部501及び503を含む。第1の加算接合部501は、制御基準208及び2つのフィードバック源に基づいて制御誤差408を生成する。例えば、第1のフィードバック源は、トラクション太陽110の軸線方向位置とすることができ、他方のフィードバック源は、スキューカム1068(
図6を参照)の軸線方向位置とすることができる。第2の加算接合部503は、スキューカム1068に加わる力を加算する。したがって、加算接合部503の結果は、スキューカム1068の軸線方向位置を求めるために使用され得るスキューカム1068に加わる力である。スキューカム1068の位置χは、加算接合部503の合力をゲイン508として示されるスキューカム1068の質量で割り、得られるスキューカム加速度χ’’を積分器410で一度積分してスキューカム1068の速度χ’を求め、再度積分して位置χを求めることによって求められる。軸線方向位置χを加算接合部501に入力として供給し、制御基準208及びトラクション太陽の軸線方向位置と組み合わせることで、制御誤差408が導出される。制御誤差408をキャリアプレート角βに変換するために、ゲイン(K
3)406が適用され得る。スキューアルゴリズム400は、キャリアプレート角βを入力として受け取って傾斜角の変化率γ’を返す。積分器410がγ’に適用されて傾斜角γが得られ、ゲイン(K
4)402を適用することによって傾斜角γがさらにトラクション太陽の軸線方向位置に変換され得る。ゲイン402は、遊星半径にRSFを乗算したものに等しい(すなわち、K
4=R×RSF)。
【0052】
図5Bを引き続き参照して、加算接合部503をさらに説明する。前述のように、加算接合部503は、例えばスキューカム1068に加わる力を加算する。これらの力は、例えばトラクション太陽110、1026とトラクション遊星108、1022との間の接触領域3において通常生じる、トラクション太陽110、1026に対する摩擦510、中和ばね力512、制御基準力514、キャリアプレート力516、及び軸力518を含み得る。図示の実施形態では、スキューカム1068に加わる摩擦は、関数511によってスキューカム1068の速度及びスキューカム1068のねじリードから求められ得る。中和ばね力512は、加算接合部501において形成される制御誤差408にゲイン(K
5)513を適用することによって求められ得る。実施形態によっては、ゲイン(K
5)513は、
図6に示すニュートラライザアセンブリ1092等の線形関数、非線形関数、又は不連続関数を通して例えばスキューカム1068を中立的な場所に付勢する傾向がある機械システムを表し得る。制御基準208の調節中に加わる基準トルク209によって、力が発生され得る。一実施形態では、制御基準力514は、スキューカム1068に加わるトルク209の有効レバーアームに比例するゲイン(K
6)515を適用することによって求められる。CVT300の動作中、例えば、駆動トルク(τ)521は、キャリアプレート304及び306によって反作用される。実施形態によっては、キャリアプレート304は、駆動トルク(τ)521に反作用するように、且つ例えばスキューレバー302又はスキューカム1068によってスキュー角ζを作動させるように構成され得る。一実施形態では、キャリアプレートトルク関数520が、駆動トルク(τ)521及び傾斜角γに基づいてキャリアプレートトルク522を供給する。その結果得られるスキューカム1068に作用するキャリアプレート力516は、キャリアプレートトルク522に、キャリアプレートトルクがスキューカム1068に作用しているスキューカム1068からの距離に比例するゲイン(K
7)517を適用することによって求められる。
【0053】
トラクション太陽に対する軸力518は、実施形態によってはスキューカム1068において反作用される。一実施形態では、軸力518は、接触領域3におけるスピン誘導力及びスキュー誘導横力によって発生される。力518は、特に接点3における法線力及びトラクション遊星108、308、又は1022の回転速度ωの関数である、トラクション太陽力アルゴリズム519によって求められ得る。今述べた力は、加算接合部503において合成され、スキュー角σに存在し得る定常状態動作誤差を考慮するためのフィードバックを得るために、スキュー制御システム207において使用される。トラクション太陽におけるスピン誘発横力への反作用に起因して、CVT300の動作時にスキュー角σの定常状態誤差が生じ得る。実施形態によっては、速度比の変化が望まれない場合にゼロに等しいスキュー角σで実質的に動作することが、CVTの最適な効率に好ましい。
図6に示すスキュー制御システムの実施形態は、場合によっては定常状態動作中に実質的にゼロのスキュー角σを意味する最適な動作スキュー状態σ
optにスキュー角σがあるように、トラクション太陽1026に対する横力に効果的に反作用する横力ニュートラライザアセンブリ1092を組み込む。
【0054】
次に
図5Cに移り、スキュー制御システム2000の別の実施形態を説明する。前述のように、CVT300の動作中、トラクション太陽に作用する軸力に起因してスキュー角σの定常状態誤差が生じ得る。したがって、定常状態速度比を維持するために、スキュー制御システム2000をトラクション太陽の位置から切り離すことが望ましい。一実施形態では、トラクション太陽位置ロッカ530が、トラクション太陽に結合されてスキュー制御システム2000と統合され得る。トラクション太陽位置ロッカ530は、例えば、ロックが解除されるまでトラクション太陽を軸線方向位置にロックして保持する機構であり得る。この機構は、機械的な係止爪、又は電気機械作動式の装置、又は電気油圧作動式の装置であり得る。
【0055】
一実施形態では、トラクション太陽位置ロッカの状態は、制御誤差408を誤差の上下限と比較する決定過程532からの結果に基づく。制御誤差408が決定過程532で設定されている限度内にある場合、過程532からの正又は真の結果がトラクション太陽位置ロッカ530に送られ、トラクション太陽位置ロッカ530がトラクション太陽をその現在位置にロックするコマンド531を返す。決定過程532からの正又は真の結果は、スキュー角σコーディネータ534にも送られ、スキュー角σコーディネータ534は、実施形態によってはスキュー角σがゼロであることを意味する最適スキュー角σ
optにスキュー角σを設定するコマンド536を返す。制御誤差408が決定過程532の限度内にない場合、負又は偽の結果が太陽位置ロッカ530に渡され、太陽位置ロッカ530がトラクション太陽をロック解除するコマンド533を返す。偽の結果は、スキュー角σコーディネータ534に渡され、スキュー角σコーディネータ534は、傾斜角γの変更を実行するために例えばスキューアルゴリズム400へ制御誤差408を渡すコマンド537を返す。この実施形態では、制御誤差408は、制御基準208をフィードバック404と比較することによって求められ得る。制御基準408は、角度的若しくは軸線方向の位置、所望の速度比、又はCVT300の動作に関する任意の他の関連基準であり得る。
【0056】
前述のスキューベース制御システムの実施形態は、特に調速機又はトルクガバナ等のシステムと共に使用され得る。変動する出力速度の存在下で一定の入力速度を維持すること又はその逆が望ましい用途では、ドライブの動作状態を調節するために、シフトナット又は制御基準に機械式、電気式、又は油圧式調速器が結合され得る。他の用途では、変動する出力トルクの存在下で一定の入力トルクを維持することが望ましい場合があるが、これは概して従来の制御システムでの実施がより困難である。本明細書に記載する制御システム200のようなスキュー制御システムを、変動する出力トルクの存在下で入力トルクを制御する機構に結合してもよい。
【0057】
次に
図6〜
図23を参照して、上述のものに関連するスキューベース制御システムを使用するようになっているCVT1000を説明する。一実施形態では、CVT1000は、シェル1010及びキャップ1012によって全体的に形成されるハウジングを含み、シェル1010及びキャップ1012は、例えばボルト、ねじ、又はねじ継手で剛結合され得る。例えばスプロケット等の動力入力部材1014が、CVT1000の長手軸線LA1と同軸に位置決めされる入力ドライバ1018に結合する。第1の軸力発生器1016が、入力ドライバ1018と第1のトラクションリング1020との間に置かれる。一連のトラクション遊星1022が、長手軸線LA1に対して垂直な平面上に配置される。トラクション遊星1022は、長手軸線LA1の周りに角度的に配置され、第1のトラクションリング1020、第2のトラクションリング1024、及びトラクション太陽1026とフリクション又はトラクション接触させられる。シェル1010は、第2のトラクションリング1024からトルクを受け取るか又は第2のトラクションリング1024にトルクを伝達するようになっている。一実施形態では、シェルトルク部材1028が、第2の軸力発生器1030を介して第2のトラクションリング1024に結合する。トラクションリング1024、トラクション太陽1026、及び軸力発生器1016、1030は、長手軸線LA1と同軸に装着される。実施形態によっては、シェル1010及びキャップ1012は、それぞれ軸受1032、1034によって半径方向に支持される。軸受1032は、シェル1010と軸線方向リテーナプレート1084との間の転動インタフェースを提供する。軸受1034は、キャップ1012と入力ドライバ1018との間の転動インタフェースを提供する。スラスト軸受1036が、入力ドライバ1018とキャップ1012との間に位置決めされて、入力ドライバ1018とキャップ1012との間の軸線方向転動インタフェースを提供することができ、キャップ1012は、CVT1000の動作中に発生する軸力に反作用する。CVT1000のさまざまな構成要素を或る程度支持すると共に、実施形態によっては車両のフレーム、支持ブラケット、機械の固定部材等へのCVT1000の取り付けを行わせるように、主軸1038が設けられ得る。
【0058】
CVT1000は、特に、
図9及び
図10を参照してさらに説明する一連の遊星−レッグアセンブリ1044を半径方向及び軸線方向に支持するようになっている、キャリアプレート1040、1042を含む。実施形態によっては、ステータスペーサ(図示せず)を設けてキャリアプレート1040、1042を互いに取り付けてもよい。好ましくは、特定の用途では、キャリアプレート1040、1042は、キャリアプレート1040とキャリアプレート1042との間での或る程度の相対回転を可能にするように(剛結合ではなく)半剛結合されるだけである。さらに後述するように、実施形態によっては、キャリアプレート1040、1042の少なくとも一方が、CVT1000の速度比の調節を容易にするようになっていてもよい。
【0059】
次に
図9及び
図10を特に参照すると、遊星−レッグアセンブリ1044は概して、特に、遊星軸1046の周りに装着されるトラクション遊星1022を含む。実施形態によっては、1つ又は複数の軸受1048が、遊星軸1046とトラクション遊星1022のボアとの間に設けられ得る。遊星軸1046は、トラクション遊星1022の円周を超えて延びるように構成される。遊星軸1046の各端において、レッグ1050が遊星軸1046に結合する。レッグ1050は、レッグ1050が遊星軸1046の傾斜を容易にするレバーとして働くことでトラクションリング1020、1024間の速度比の調節(又はシフト)をもたらすため、シフトレバーとして特徴付けられる場合がある。実施形態によっては、レッグ1050は、シフトカムローラ1052及びシフトガイドローラ1054を受け入れて支持するようになっている。シフトカムローラ1052は、特に速度比調節を容易にするためにシフトカム1056、1058(
図6を参照)からレッグ1050に力を伝達するようになっている。実施形態によっては、シフトガイドローラ1054は概して、キャリアプレート1040、1042と協働して速度比調節中に生じる力に反作用するようになっている。一実施形態では、遊星軸1046のそれぞれに、遊星軸1046の長手軸線と長手軸線LA1との位置をずらす(すなわち、両者間のコプラナリティをなくす)傾向がある力に或る程度反作用するスキューローラ1060が設けられる。本明細書に記載する遊星−レッグアセンブリ1044は、CVT1000と共に使用され得るさまざまな遊星−レッグアセンブリの一例にすぎないことに留意すべきである。他の適当な遊星−レッグアセンブリ及び/又はレッグは、2007年6月11日付けで出願された米国特許出願第60/943,273号明細書に記載されており、当該出願の全体が参照により本明細書に援用される。
【0060】
動作中、
図6を最も詳細に参照すると、CVT1000を通る動力流れは実質的に以下のように進む。動力入力部材1014に動力が入力される。入力ドライバ1018が、入力部材1014から動力を受け取って軸力発生器1016を駆動する。動力が軸力発生器1016から第1のトラクションリング1020へ流れ、第1のトラクションリング1020がフリクション又はトラクションドライブによってトラクション遊星1022を駆動する。第2のトラクションリング1024が、トラクション遊星1022から動力を受け取って第2の軸力発生器1030に動力を伝達する。動力が第2の軸力発生器1030からシェルトルク部材1028を介してシェル1010へ流れる。続いて、動力はシェル1010から負荷、ファイナルドライブ、機械、歯車箱、遊星歯車セット等へ送られ得る。今述べた動力流れは、動力がシェル1010を介して入力されて第2の軸力発生器1030から第2のトラクションリング1024等に伝達され、動力入力部材1014へ送られるように逆にしてもよいことに留意すべきである(その場合、動力入力部材1014は、より正確には動力出力部材として特徴付けられる)。用途によっては、第2の軸力発生器1030に結合され得る動力出力シャフト(図示せず)を設けることが好ましい場合があることにさらに気付くべきであり、これは、シェル1010を動力流れから外して動力流れ構成要素に対して固定的に保持することを可能にする。
【0061】
CVT1000を通る動力流れの変調をもたらすトラクションリング1020、1024間の速度比の調節は、長手軸線LA1に対して遊星軸1046の軸線を傾斜させることによって行うことができる。以下の説明では、遊星軸1046の傾斜を作動及び制御する機構及び方法を説明する。
【0062】
次に
図6〜
図8及び
図13〜
図23をより詳細に参照すると、一実施形態では、基準入力ナット1062が、長手軸線LA1と同軸に装着されて摺動スプラインインタフェース1064を介してフィードバックカム1066に結合される。摺動スプラインインタフェース1064は、基準入力ナット1062がフィードバックカム1066を回転させることを可能にするように、且つフィードバックカム1066が基準入力ナット1062に対して軸線方向に並進することを可能にするように構成される。スキューカム1068が、フィードバックカム1066の嵌め合いねじ部分1122に結合するようになっている第1のねじ部分1070を含む(
図15〜
図18を参照)。スキューカム1068は、キャリアプレート1042の対応するねじ部分1074と嵌まり合うように構成される第2のねじ部分1072も付加的に含む。一実施形態では、主軸1038には、スキューカム1068のスプライン部分1082と嵌まり合うスプライン部分1076が設けられる。主軸1038とスキューカム1068との間のスプラインインタフェースは、回転防止を促すが、主軸1038に対するスキューカム1068の相対軸線方向並進を可能にする。実施形態によっては、基準入力ナット1062、フィードバックカム1066、及びスキューカム1068は、主軸1038と同心状に装着される。
【0063】
CVT1000の速度比を調節するためには、所望の速度比を示す選択位置に基準入力ナット1062を回す。トラクション遊星1022に対する軸力(又は、換言すれば、接点において法線力を生む軸力発生器によって与えられる締め付け荷重)が比較的小さいか又は実質的にゼロである場合、スプラインインタフェース1064を通して、基準入力ナット1062は長手軸線LA1を中心にフィードバックカム1066を回転させる。したがって、トラクション遊星1022に対する締め付け荷重が比較的小さい場合、スキューカム1068は並進しない傾向がある。その結果、フィードバックカム1066は、軸線LA1を中心に回転するにつれて軸線方向に並進を強いられる。フィードバックカム1066の軸線方向並進は、スラスト軸受1078、1080を介してトラクション太陽1026の軸線方向並進を引き起こす。トラクション太陽1026の軸線方向並進は、シフトカム1056、1058、シフトカムローラ1052、及びレッグ1050を介したトラクション太陽1026と遊星軸1046との間の動作結合を通した遊星軸1046の傾斜をもたらす。
【0064】
トラクション遊星1022に対する締め付け荷重が、例えば平均動作状態にある場合、基準入力ナット1062の回転がフィードバックカム1066の回転を引き起こす。しかしながら、この動作状態では、遊星−レッグアセンブリ1044及びシフトカム1056、1058によって与えられる抵抗が、フィードバックカム1066の軸線方向並進を拘束する傾向がある。フィードバックカム1066が回転するが並進しないため、スキューカム1068(摺動スプライン部分1082を介して回転方向に拘束される)は、フィードバックカム1066とスキューカム1068との間のねじインタフェース1070、1122を介して軸線方向に並進を強いられる。キャリアプレート1042は、軸線方向に拘束されるが、少なくとも或る程度は角回転することができるため、スキューカム1068とキャリアプレート1042との間の摺動スプラインインタフェース1072、1074を通して長手軸線LA1を中心に角回転するように付勢されることで、遊星軸1046をスキュー状態にする。一実施形態では、キャリアプレート1042は、最大スキュー角が得られるまで角回転する。上述のように、スキュー状態は、遊星軸1046の傾斜を引き起こす。遊星軸1046の傾斜は、CVT1000の速度比の調節をもたらす。しかしながら、遊星軸1046の傾斜はさらに、遊星軸1046とシフトカム1056、1058との間の動作結合を介してシフトカム1056、1058を軸線方向に並進させるように働く。シフトカム1056、1058の軸線方向並進は、結果としてスラスト軸受1078、1080を介したフィードバックカム1066の軸線方向並進をもたらす。基準入力ナット1062がフィードバックカム1066の回転を防止するため、スキューカム1068及びフィードバックカム1066は、一緒に軸線方向に並進する。スキューカム1068の軸線方向並進は、キャリアプレート1042に対する復帰角回転を引き起こし、その結果、キャリアプレート1042は、スキューカム1068を平衡軸線方向位置に維持するのに十分なスキュー力を発生させるスキュー角に戻る。
【0065】
CVT1000が無負荷状態と負荷状態との間の動作状態にある場合、遊星軸1046のスキュー状態(及びゼロスキュー状態への復帰作用)の誘発がフィードバックカム1066の並進及び回転と同時にスキューカム1068の並進を伴うクロスオーバ状態が存在し得る。全ての場合に、フィードバックカム1066及びスキューカム1068は、キャリアプレート1042の角回転を介して遊星軸1046のスキュー状態を誘発するよう協働するように構成される。スキュー状態が遊星軸1046の傾斜を引き起こすことで、CVT1000が所望の速度比に設定される。フィードバックカム1066は、遊星−レッグアセンブリ1044からの作用下で、スキューカム1068と協働して公称ゼロスキューを誘発する位置にキャリアプレート1042を戻す。
【0066】
次に
図11及び
図12をより詳細に参照すると、一実施形態では、キャリアプレート1042は、
図6及び
図12の詳細
図Bに示すようにスラスト軸受1088、1090と協働する軸線方向リテーナプレート1084及び軸線方向リテーナキャップ1086によって軸線方向に拘束されている。軸線方向リテーナプレート1084、軸線方向リテーナキャップ1086、及びスラスト軸受1088、1090は、長手軸線LA1の周りに同軸に装着され、長手軸線LA1を中心としたキャリアプレート1042の角回転を可能にしながらキャリアプレート1042の軸線方向拘束を容易にするように構成される。軸線方向リテーナプレート1084は、主軸1038に剛結合されることが好ましい。すなわち、軸線方向リテーナプレート1084は、実施形態によっては長手軸線LA1に対して軸線方向、半径方向、及び回転方向に拘束されるように構成される。一実施形態では、キャリアプレート1040は、長手軸線LA1に対して軸線方向、半径方向、及び回転方向に拘束され、これらの拘束は、例えば、キャリアプレート1040を主軸1038に剛結合することによって得ることができる。実施形態によっては、キャリアプレート1040と入力ドライバ1018との間のインタフェースに、摩擦を最小限に抑えたキャリアプレートと入力ドライバ1018との相対回転を可能にするために転がり軸受面又は複数の軸受が設けられる。
【0067】
CVT1000等のボール遊星ドライブの性質上、トラクション太陽1026は、CVT1000の動作中にトラクション遊星1022とトラクション太陽1026との間の接点を通して軸力(「スピン誘発横力」とも呼ばれる)を受ける傾向がある。そのような軸力が抑制されない場合、トラクション太陽1026がスキューカム1068の軸線方向並進を誘発する傾向があることで非ゼロスキュー角での動作をもたらす可能性がある。
【0068】
図示のCVT1000の実施形態では、トラクション太陽1026に対するスピン誘発横力は、少なくとも或る程度はスキュー誘発横力と釣り合う。したがって、スキューカム1068は平衡状態に保たれる。しかしながら、そのような構成は、定常状態での非ゼロスキュー角状態を生み、これはゼロスキュー角状態よりも効率が低い可能性がある。ゼロスキュー角状態を得るために、スピン誘発横力は、スキュー誘発横力以外の力と釣り合うことが好ましい。
【0069】
一実施形態では、CVT1000には、
図6及び
図11の細部A図に実質的に示す横力ニュートラライザアセンブリ1092が設けられ得る。実施形態によっては、ニュートラライザ1092は、軸線方向リテーナプレート1084と並進抵抗カップ1096との間に位置決めされる第1の抵抗部材1094(1つ又は複数のコイルばね、波形ばね、皿ばね等)を含む。第1の抵抗部材1094及び並進抵抗カップ1096は、互いに隣接して長手軸線LA1の周りに同軸に装着される。ニュートラライザ反力フランジ1098が、スキューカム1068に結合され得る。ニュートラライザ反力フランジ1098は、並進抵抗カップ1096に隣接して位置決めされる。第2の抵抗部材1100が、ニュートラライザ反力フランジ1098と抵抗カップ1096に剛装着され得るニュートラライザストップキャップ1102との間に位置決めされる。これらは全て、長手軸線LA1の周りに同軸に装着される。好ましくは、ニュートラライザストップキャップ1102は、例えばキャリアプレート1042によって軸線方向に拘束される。
【0070】
動作中、横力がトラクション太陽1026の軸線方向並進を誘発する傾向があるため、フィードバックカム1066及びスキューカム1068が軸線方向に並進する傾向は、抵抗部材1094、1100のいずれか一方によって抵抗される。スキューカム1068の軸線方向並進が(
図6のCVT1000の向きに基づいて)左方である場合、スキューカム1068に結合されているニュートラライザ反力フランジ1098が並進抵抗カップ1096を押す。軸線方向リテーナプレート1084によって軸線方向に支持されている第1の抵抗部材1094は、並進抵抗カップ1096を通してニュートラライザ反力フランジ1098に対して反作用力を与える。したがって、第1の抵抗部材1094は、キャリアプレート1042に向かう第1の方向のスキューカム1068の並進を抑制するように構成される。同様に、スキューカム1068がキャリアプレート1040に向かう第2の方向へ移動する傾向があるため、第2の抵抗部材1100は、ニュートラライザストップキャップ1102によって軸線方向に支持され、第2の方向のスキューカム1068の軸線方向並進に抵抗する傾向がある反作用力を提供する。並進抵抗カップ1096は、抵抗部材1094、1100の作用の切り離しを容易にするように構成されることに留意すべきである。抵抗部材1094、1100の抵抗は、速度比調節が望まれるときにCVT1000の所望の動作状態でスキューカム1068の並進を可能にするように適宜選択される。したがって、好ましくは、抵抗部材1094、1100の抵抗は、トラクション太陽1026に対する横力を抑制するのに必要な最低限の抵抗しか概して提供しないように適切に選択される。実施形態によっては、スキューカム1068に対して誘発される力を打ち消すのに最適な抵抗がスキューカム1068に与えられるように、抵抗部材1094、1100は、可変抵抗を有してCVT1000の動作状態と共に変わり得る。
【0071】
次に
図13及び
図14を参照すると、一実施形態では、主軸1038は全体的に細長い円筒体1104を含む。主軸体1104には、スキューカム1068の対応する摺動スプライン部分1082と嵌まり合うように構成されることが好ましい摺動スプライン部分1076が設けられ得る。実施形態によっては、主軸体1104には、滑り摩擦を最小限に抑えて主軸1038とスキューカム1068との間に同軸支持を与える1つ又は複数の主軸ラジアル軸受1108を受けて支持する軸受座1106があり得る。一実施形態では、主軸1038は、滑り摩擦を最小限に抑えて主軸1038とフィードバックカム1066との間に同軸支持を与える1つ又は複数のフィードバックカム軸受1112を受け入れて支持する軸受座1110を有する構成である。場合によっては、軸受1108、1112は、アキシャル転がり軸受であるか、又は主軸1038とスキューカム1068及びフィードバック1066それぞれとの間の摺動インタフェースで置き換えられ得る。一実施形態では、主軸1038に、基準入力ナット1062を受けるパイロット表面1115を特に提供する主軸フランジ1114が設けられ得る。主軸フランジ1114は、基準入力ナット1062の軸線方向拘束を行うためのショルダ1116を有し得る。
【0072】
図15及び
図16に移ると、一実施形態では、フィードバックカム1066は全体的に細長い円筒中空体1118を含む。フィードバックカム1066のボア1120は、フィードバックカム1066を主軸1038の周りに同軸に装着することができるように構成される。一実施形態では、ボア1120には、スキューカム1068の対応するねじ部分1070に係合するようになっているねじ部分1122があり得る。フィードバックカム1066の一部に、基準入力ナット1062の対応する摺動スプライン1064と嵌まり合うようになっている摺動スプライン1124が設けられることが好ましい。一実施形態では、フィードバックカム1066に、スラスト軸受1078、1080(
図6を参照)の一部を形成する1つ又は複数の軸受軌道輪1126、1128が設けられ得る。
【0073】
図17及び
図18を参照すると、一実施形態では、スキューカム1068は全体的に細長い中空円筒体1130を含む。スキューカム1068には、フィードバックカム1066の嵌め合いねじ部分1122に係合するようになっている第1のねじ部分1070が設けられ得る。スキューカム1068は、キャリアプレート1042の嵌め合いねじ部分1074に係合する第2のねじ部分1072を付加的に有する構成であり得る。一実施形態では、第1のねじ部分1070のリードは、第2のねじ部分1072のリードよりも比較的小さい。例えば、第1のねじ部分1070のリードは約10mm〜30mm、第2のねじ部分1072のリードは約100mm〜300mmであり得る。或る場合では、第1のねじ部分1070及び第2のねじ部分1072のリードは、それぞれ20mm及び200mm(又は、換言すれば、約1:10の比)である。実施形態によっては、ニュートラライジング反力フランジ1098がスキューカム1068と一体形成される。しかしながら、他の実施形態では、ニュートラライザ反力フランジ1098は、別個に設けられて、スキューカム1068に結合されるように適切に構成され得る。スキューカム1068のボア1132は、スキューカム1068を主軸1038の周りに装着することができるようにしてもよい。一実施形態では、ボア1132の少なくとも一部に、主軸1038の対応する摺動スプライン1076と嵌まり合うように構成される摺動スプライン1082が設けられる。実施形態によっては、スキューカム1068は、長手軸線LA1を中心としたシフトカム1056の回転防止を促すために、シフトカム1056に形成されている摺動スプライン1144と嵌まり合うように軸線方向に配置されるスプライン部分1133が本体1130の外径に形成される。
【0074】
次に
図19及び
図20を見ると、一実施形態では、キャリアプレート1042は概して、主軸1038と同軸に装着される、スキューローラ1060及び/又はシフトガイドローラ1054を支持及び案内するためのプレート又はフレームであり得る。一実施形態では、キャリアプレート1042は、スキューカム1068のねじ部分1072に係合するようになっているねじ付き中央ボア1074を含む。キャリアプレート1042は、実質的に凹状でありCVT1000をシフトさせるときにシフトガイドローラ1054を支持するようになっている表面1134を含む。さらに、キャリア1042には、中央ボア1074の周りに角度的に配置される、CVT1000の動作時にスキューローラ1060を通して伝達される力に反作用するための反力表面1136が設けられる。キャリアプレート1042には、スラスト軸受1088及び1090と嵌まり合うために一方の側に面1138及び他方の側に面1140が設けられ得る。キャリアプレート1042は、ニュートラライザストップキャップ1102の一方向の軸線方向拘束を容易にする反力面1142も有し得る。
【0075】
次に
図21を参照すると、一実施形態では、シフトカム1056は概して、スキューカム1068の摺動スプライン1133と結合するように構成されるスプライン内部ボア1144を有する円筒体である。シフトカム1056には、シフトカムローラ1052を案内するためのプロファイル表面1146が設けられる。2つの軸受軌道輪1148及び1150が、軸受1080の軸受球及びトラクション太陽1026を支持する軸受球とそれぞれ協働するためにシフトカム1056に形成される。
【0076】
次に
図22及び
図23に移り、スキュー制御システムを備えるCVTの特定の実施形態と共に使用され得るレッグアセンブリ1051をここで説明する。レッグアセンブリ1051は、一端に遊星軸1046を受け入れるボア1152、別端にシフトカムローラ1052を受け入れるスロット1154を有する、レッグ1053を含み得る。ボア1156が、シフトカムローラ1052を固定するための軸(図示せず)を保持するために、スロット1154に対して実質的に垂直に形成される。シフトガイドローラ軸1158が、クリアランスボア1162及び1164が設けられているボア1160内に支持され得る。クリアランスボア1162、1164は、スキュー状態によって誘発される速度比のシフト中にシフトガイドローラ1159及びスキュー反力ローラ1161とキャリアプレート1040、1042との間の適切な結合を容易にする。ボア1160、1162、及び1164は、シフトガイドローラ軸1158の実質的に中心の周りでのシフトガイドローラ軸1158の旋回又は枢動を可能にするように適切に構成される。スキュー状態でのCVTの比のシフト中にスキュー反力ローラ1161及び/又はシフトガイドローラ1159とキャリアプレート1040、1042との間で接触が確保されるように、スキュー反力ローラ1161及び/又はシフトガイドローラには、キャリアプレート1040、1042とインタフェースするように構成されるクラウニングが施された湾曲表面が設けられることが好ましい。
【0077】
次に
図24〜
図29に移り、CVT1002の代替的な実施形態をここで説明する。しかしながら、CVT1002の説明を始める前に、CVT1000を振り返ることが有用であろう。キャリア1040が主軸1038に剛結合されるようなCVT1000の実施形態によっては、基準入力ナット1062が長手軸線LA1を中心に360度未満の弧を描いて回転することしかできない可能性がある。そのような構成は、特定の状況では望ましくないかもしれない。一実施形態では、CVT1002は、基準入力リング1166が長手軸線LA1を中心に360度を超える角度で回転することを可能にするように構成される。そのような機能は、速度比の制御の範囲及び分解能をより大きくすることを可能にする。
【0078】
CVT1002は、次に説明する以下の態様を除いて、CVT1000と実質的に同様である。速度比調節を行うために、基準有力リング1166は、フィードバックカム1168に結合される。
図24及び
図25に最もよく示されているように、一実施形態では、基準入力リング1166及びフィードバックカム1168は1つの一体品である。基準入力リング1166の回転が、フィードバックカム1168の回転を引き起こす。キャリアプレート1042を介してスキュー角をもたらすためのフィードバックカム1168とスキューカム1068との相互作用は、CVT1000を参照して上述した相互作用と実質的に同様である。
【0079】
基準入力リング1166を回転させるために、太陽歯車シャフト1170に、遊星基準入力部1174の一部である太陽歯車1172が設けられる。太陽歯車1172は、遊星歯車構成で基準入力リング1166に結合される複数の遊星歯車1176に結合される。遊星基準入力部1174の遊星キャリア1178が接地に(to ground)剛結合されるため、遊星キャリア1178は、長手軸線LA1に対して軸線方向及び回転方向に拘束される。一実施形態では、キャリアプレート1040は、遊星歯車1176を支持する役割も果たす遊星軸1180を介して遊星キャリア1178に剛結合される。場合によっては、キャリアプレート1040は、例えば圧入又はスプラインによって遊星キャリア1178に結合され得る。実施形態によっては、主軸1182が、遊星軸1180を介して遊星キャリア1178に剛結合されるようになっていてもよい。したがって、遊星キャリア1178、キャリアプレート1040、及び主軸1182は、実質的に軸線方向に拘束されて長手軸線LA1を中心とした回転を防止される。
図24に示す実施形態では、キャリアプレート1040は、遊星キャリア1178に剛結合されるキャリアプレート1040の構成要素であるキャリアリテーナカップ1184に剛結合される。1つ又は複数のキャリアカップ軸受1186を使用して、キャリアリテーナカップ1184と入力ドライバ1188との間の転動インタフェースを提供することができる。
【0080】
次に
図27を参照すると、一実施形態では、主軸1182は、遊星キャリア1178の対応する円周方向スプライン1194(
図25を参照)と嵌まり合うように構成される複数の円周方向嵌め合いスプライン1192を有する、嵌め合いフランジ1190を備え得る。したがって、実施形態によっては、遊星キャリア1178への主軸1182の回転防止的な結合が、嵌め合いスプライン1192及び1194によって補助される。特定の用途では、主軸1182及び遊星キャリア1178は、遊星歯車1176間の空間内の突起延長部(スプライン1192、1194と同様)において結合される。そのような構成では、遊星歯車1176は、結合延長部に隣接する開口間に挿入され得る。
【0081】
次に
図28及び
図29に進むと、フィードバックカム1168は、主軸1182の周りにフィードバックカム1168を装着することを可能にすると共にスキューカム1068の嵌め合いねじ1070に係合するようになっている、ねじ付き中央ボア1196を含む。フィードバックカム1168は、軸受軌道輪1126、1128を含み得る。一実施形態では、フィードバックカム1168に、遊星歯車1176に係合するための歯付き部分1198が設けられる。歯付き部分1198は、実施形態によっては、フィードバックカム1168が遊星歯車1176に係合することを可能にすると同時に遊星歯車1176に対するフィードバックカム1168の軸線方向並進を可能にするように構成されることが好ましい。
【0082】
次に
図30〜
図35を参照すると、CVT1004が、CVT1000及びCVT1002と同様に構成され得る。しかしながら、実施形態によっては、VVT1004は、1つ又は複数の回転防止ロッド1204を受け入れるようになっているシフトカム1200を含む。長手軸線LA1を中心としたシフトカム1200、1202の回転を防止するために、回転防止ロッド1204は、長手軸線LA1に対して実質的に回転しないように構成されるキャリアプレート1040、1042に結合される。当然ながら、いくつかの実施形態のキャリアプレート1042は、遊星軸1046のスキューの誘発を容易にするために長手軸線LA1を中心に或る程度角回転可能であるように構成される。しかしながら、そのような配置は、長手軸線LA1を中心とした回転防止ロッド1204のわずかな動作的に無関係の角回転しかもたらさない。キャリアプレート1204が長手軸線LA1を中心に回転可能である一実施形態では、回転防止ロッド1204には、キャリアプレート1204に対する軸線方向の自由度が設けられることが好ましい。したがって、実施形態によっては、回転防止ロッド1204は、キャリアプレート1042と回転防止ロッド1204との相対軸線方向並進を可能にするように半径方向及び/又は軸線方向のクリアランスを伴ってシフトカム1200及びキャリアプレート1042に挿入される。
【0083】
CVT1004は、遊星歯車1176に結合すると共にスキューカム1208及びシフトカム1200に動作的に結合されるフィードバックカム1206を含む。一実施形態では、フィードバックカム1206及びシフトカム1200は、ねじインタフェースを通して結合される。実施形態によっては、フィードバックカム1206は、軸受1210及びスキューカムスライダ1212を介してスキューカム1208に結合するように構成される。軸受1210の外輪は、例えばフィードバックカム1206の内部ボアに圧入され得る。フィードバックカム1206の内部ボア内に設けられるクリップが、スキューカムスライダ1212のショルダと協働して軸受1210を軸線方向に拘束する。実施形態によっては、ショルダ(図示せず)がフィードバックカム1206に設けられて、クリップとショルダとの間で軸受1210の外輪を軸線方向に捕捉し得る。スキューカムスライダ1212は、摺動スプラインインタフェースを介して主軸1214に装着される。スキューカム1208は、例えばクリップ及び軸受1210によってスキューカムスライダ1212内に軸線方向に拘束される。実施形態によっては、スキューカム1208には、軸受1210の内輪に接触するショルダが設けられ得る。
【0084】
CVT1004の速度比調節中、フィードバックカム1206が回転するだけでは、シフトカム1200、1202の並進は生じるが、スキューカムスライダ1212、ひいてはスキューカム1208が移動することはない。しかしながら、フィードバックカム1206の並進が、軸受1210を介してスキューカムスライダ1212を軸線方向に駆動することにより、スキューカム1208を軸線方向に駆動する。スキューカム1208の並進は、長手軸線LA1を中心としたキャリアプレート1042の角回転をもたらす。
【0085】
次に
図33及び
図34を特に参照すると、一実施形態では、フィードバックカム1206は概して、遊星歯車1176に結合するように構成される歯付き部分1213を有する内部ボアを備えるフィードバックカムフランジ1216を有する、円筒形中空体1196である。すなわち、フィードバックカムフランジ1216は、回転力を受け取って伝達することが可能である。フィードバックカム1206は、シフトカム1200の対応するねじ部分1220と結合するように構成されるねじ部分1218を含む。実施形態によっては、フィードバックカム1206には、軸受1210の外輪を受け入れてその軸線方向拘束を容易にするようになっているフィードバックカム座ぐり1215がある。
【0086】
次に
図35に移ると、一実施形態では、シフトカム1200が、フィードバックカム1206のねじ部分1218と嵌まり合うようになっているねじ付き内部ボア1220を有する実質的に円筒体であり得る。シフトカム1200には、実施形態によってはシフトカムローラ1052を案内するためのプロファイル表面1222が設けられる。一実施形態では、プロファイル表面1222は、遊星−レッグアセンブリのレッグの表面と協働するようになっている。軸受軌道輪1224が、トラクション太陽1026を支持する軸受を受け入れるようにシフトカム1200に形成され得る。一実施形態では、シフトカム1200に、シフトカム1202を受けるためのショルダ1223が設けられる。実施形態によっては、1つ又は複数のボア1226が、回転防止ロッド1204を受け入れて支持するために中央ボア1220の周りに軸線方向に配置される。
【0087】
次に
図36を参照すると、CVT1006は、第1のキャリアプレート1302及び第2のキャリアプレート1304を含み得るが、これらの両方がキャリアプレート1040、1042と実質的に同様である。キャリアプレート1302は、キャリアプレート1302と入力ドライバ1308との間でのスラスト軸受1306の使用を容易にするように構成され得る。一実施形態では、キャリアプレート1302は、遊星キャリア1310に剛結合され、遊星キャリア1310は、太陽歯車1314及びフィードバックカム1316に動作的に結合される遊星歯車1312のセットを支持するように構成される。キャリアプレート1302、遊星キャリア1310、フィードバックカム1316、及び太陽歯車1314は、長手軸線LA1と同軸に装着されることが好ましい。太陽シャフト1318が、遊星キャリア1310の半径方向内方に置かれて太陽歯車1314に動作可能に結合される。
【0088】
主軸1320が遊星キャリア1310に結合されるが、この遊星キャリア1310は、
図25及び
図26の遊星キャリア1178と実質的に同様であり得る。実施形態によっては、主軸1320に、フィードバックカム1316を支持するためのインタフェース1322が設けられ得る。一実施形態では、インタフェース1322は、滑り軸受インタフェースであるが、他の実施形態では、インタフェース1322は、主軸1320とフィードバックカム1316との間の隙間嵌めであり得る。
図36に示すように、一実施形態では、主軸1320及び遊星キャリア1310は、太陽歯車1314の軸線方向拘束を容易にするように構成され得る。したがって、主軸1320及び/又はキャリア1310には、太陽歯車1314の軸線方向位置を維持するのを助けるショルダ又はリセス1315A及び1315Bがそれぞれ設けられ得る。
【0089】
一実施形態では、主軸1320は、例えば摺動スプラインインタフェース1326を介してスキューカム1324に結合される。したがって、主軸1320及びスキューカム1324には、嵌め合い摺動スプラインが設けられ得る。スキューカム1324は、例えばねじインタフェース1328によってフィードバックカム1316に結合される。したがって、実施形態によっては、スキューカム1324及びフィードバックカム1316は、嵌め合いねじ部分を含む。実施形態によっては、スキューカム1324は、例えば摺動スプラインであり得る回転防止結合部1332を介してシフトカム回転防止リテーナ1330に結合される。シフトカム回転防止リテーナ1330は、例えば
図6のシフトカムと実質的に同様であるシフトカム1334に結合され得るか又はこれと一体であり得る。シフトカム1334及びシフトカム1336は、それぞれ第1のスラスト軸受1340及び第2のスラスト軸受1342を介してフィードバックカム1316及びトラクション太陽1338に動作可能に結合される。スキューカム1324は、ハイリードのねじ結合部であり得るインタフェース1346によってキャリアプレート1304に結合されることが好ましく、その場合、スキューカム1324及びキャリアプレート1304には、嵌め合いハイリードねじが設けられ得る。
【0090】
一実施形態では、主軸1320は、遊星キャリア1310及びキャリアプレートリテーナ1344によって接地に固定され得る。したがって、主軸1320、遊星キャリア130、及びキャリアプレートリテーナ1344は、長手軸線LA1に対して軸線方向、回転方向、及び半径方向に固定される。その結果、スキューカム1324、回転防止リテーナ130、及びシフトカム1334、1336は、長手軸線LA1を中心に回転不可能であるように構成される。実施形態によっては、回転防止リテーナ1330に、キャリアプレート1304に突き当たることでCVT1006のシフト時に限界停止部を提供するようになっている延長部(図示されているが符号なし)が設けられる。一実施形態では、キャリアプレートリテーナ1344は、ねじインタフェース1348を介して主軸1320に螺着する。キャリアプレートリテーナ1344は、キャリアプレートリテーナ1344と協働してキャリアプレート1304を軸線方向に拘束するように構成されるキャリア保持ボルト1350を受け入れるようになっていてもよい。そのような実施形態では、キャリアプレート1304に、長手軸線LA1に対して垂直な平面上でキャリアプレート1304が上記軸を中心に角回転することを可能にするキャリアスロット1352が設けられ得る。当然ながら、キャリアプレート1304と、キャリアプレートリテーナ1344と、キャリア保持ボルト1350との間のインタフェースが、キャリアプレートリテーナ1344及びキャリア保持ボルト1350に対するキャリアプレート1304の回転を可能にしつつ摩擦を最小限に抑えることを確実にすることが好ましい。一実施形態では、キャリアプレート1304及び/又はキャリアプレートリテーナ1344に、例えば、キャリアプレート1304に半径方向支持を与えるショルダ及び/又はリセスが設けられる。
【0091】
CVT1006の速度比を調節するために、太陽シャフト1318の回転が、太陽歯車1314及び遊星歯車1312を介してフィードバックカム1316の回転を引き起こす。
図6及び
図24を参照して前述したように、フィードバックカム1316の回転は、スキューカム1324が並進しない場合にはフィードバックカム1316の並進を引き起こし、又はシフトカム1334、1336、及びトラクション太陽1338が締め付け荷重下にある場合にはフィードバックカム1316及びスキューカム1324の並進を引き起こす。インタフェース1346を通して、スキューカム1324の並進は、キャリアプレート1304を角回転させることにより、CVT1006をスキュー状態にするか、又は逆にキャリアプレート1304を異なる状態すなわちゼロスキュー状態に戻す。上述のように、スキュー状態の誘発により、CVTの速度比の調節が得られ得る。
【0092】
一実施形態では、CVT1006に横力ニュートラライザ機構が設けられ得る。
図36の実施形態では、横力ニュートラライザが、長手軸線LA1の周りに同軸に装着される第1の抵抗部材1354を含み得る。第1の抵抗部材1354は、例えば1つ又は複数のばねであり得る。実施形態によっては、第1の抵抗部材1354は、長手軸線LA1の周りに配置されるが、長手軸線LA1と同心状である必要はない。第1の反力リング1356が、第1の抵抗部材1354に隣接して置かれ、長手軸線LA1の周りに同軸に装着される。クリップ又はシム1358が、第1の反力リング1356に軸線方向拘束を与えるように構成される。したがって、第1の反力リング1356は、第1の抵抗部材1354に対して軸線方向に可動であるが、シム1358を越えて軸線方向に移動することができない。一実施形態では、シム1358は、キャリアプレートリテーナ1344及び主軸1320によって軸線方向及び半径方向に位置合わせされる。図示のように、実施形態によっては、第1の抵抗部材1354、第1の反力リング1356、及びシム1358は、主軸1320及びキャリアプレートリテーナ1344の一方又は両方によって少なくとも部分的に収容される。
【0093】
主軸1320は、スキューカムピン1362を受け入れて支持するように構成されるピンキャリア1360を受け入れて支持するようになっていてもよい。ピンキャリア1360は、第1の反力リング1356に係合する第1の端と、第2の反力リング1364に係合する第2の端とを有する。ピンキャリア1360には、例えば圧入によってスキューカムピン1362を受け入れて支持するように構成される実質的に横方向のボアが設けられる。ピンキャリア1360は、例えば隙間嵌め又は滑り嵌めによって主軸1320と嵌まり合うように構成される。主軸1320には、スキューカム1324へのスキューカムピン1362の結合を容易にするためのスロット1361が設けられ得る。スキューカムピン1362は、スキューカム1324の軸線方向並進を容易にし得る。
図36に示すように、主軸1320には、第2の反力リング1364の一方向の軸線方向並進を防止するように構成される保持ストップ1366が設けられ得る。第2の反力リング1364に隣接して、これと接触して、且つ長手軸線LA1の周りに(実施形態によっては)同軸に装着される、1つ又は複数のばねであり得る第2の抵抗部材1368があり得る。一実施形態では、第2の抵抗部材1368とプリロードアジャスタ1372との間にスペーサ1370が位置決めされ得る。スペーサ1370は、第2の抵抗部材1368とプリロードアジャスタ1372との間の結合を主に提供する。実施形態によっては、プリロードアジャスタ1372は例えば止めねじであり得る。ピンキャリア1360、第2の反力リング1364、第2の抵抗部材1368、スペーサ1370、及びプリロードアジャスタ1372は、長手軸線LA1の周りに同軸に装着されて軸線方向に可動である。しかしながら、第1の反力リング1356及び第2の反力リング1364の軸線方向移動は、それぞれシム1358及び保持ストップ1366によって制限される。
【0094】
第1の抵抗部材1354、第2の抵抗部材1368、スペーサ1370、及び止めねじ1372は、横力がスキューカム1324に作用して非ゼロスキュー状態を誘発する傾向を克服するのに適したプリロード及び/又は所望の抵抗応答特性を提供するように選択されることが好ましい。動作中、スキューカム1324の軸線方向並進は、第1の抵抗部材1354及び第2の抵抗部材1368によって抵抗される傾向がある。スキューカム1324が(ページの向きで)左方へ並進すると、スキューカム1324がスキューカムピン1362に作用する。この作用が、ピンキャリア1360を軸線方向に並進させて、第1の反力リング1356に係合させる。第1の抵抗部材1354は、第1の反力リング1356の並進に抵抗する。同様に、スキューカム1324が右方へ並進すると、スキューカム1234が第2の反力リング1368に動作可能に係合し、第2の反力リング1368は第2の抵抗部材1368によって抵抗される。第1の抵抗部材1354及び第2の抵抗部材1368の作用は、シム1358及び保持ストップ1366によって与えられる軸線方向拘束によって切り離される(すなわち、互いに独立している)ことに留意すべきである。
【0095】
上記開示の一部を要約するために、一実施形態では、主軸1320が以下の態様の少なくともいくつかを含む。中央ボアは、ピンキャリア1360を受け入れるようになっている。中央ボアには、保持ストップ1366と、プリロードアジャスタ1372を受け入れるためのねじ部分とがあり得る。主軸1320は、主軸1320の内側から主軸1320の外部空間へスキューカムピン1362を通すことができるようになっているスロット1361を含むことが好ましい。主軸1320の外径は、キャリアプレートリテーナ1344等の接地部材に剛結合するための第1のねじインタフェース1348を含み得る。主軸1320の外径は、スキューカム1324の嵌め合い摺動スプラインに係合するための摺動スプライン部分をさらに含み得る。スキューカム1324は、内径及び外径を有する管状体であり得る。スキューカム1324の内径には、スキューカムピン1362を受け入れるためのリセス(図示されているが符号なし)が設けられ得る。スキューカム1324の内径は、主軸1320の対応するスプラインに係合するためのスプライン部分を含み得る。スキューカム1324の外径の一部には、キャリアプレート1304の嵌め合いねじ部分に係合するためのハイリードねじ部分が設けられ得る。スキューカム1324は、フィードバックカム1316の同様のねじ部分に係合するための、ハイリード部分と比較した場合に比較的ローリードであるねじ部分を含み得る。実施形態によっては、スキューカム1324は、その外径に、回転防止リテーナ1330の対応する摺動スプラインに係合する摺動スプライン部分を備える。
【0096】
次に
図37及び
図38を見ると、CVT1008は、多くの点でCVT1006と同様である。しかしながら、CVT1008には、代替的な横力ニュートラライザが設けられる。CVT1006の構成要素と実質的に同様であるようなCVT1008の構成要素は、以下の説明では特に詳細には扱わない。CVT1008は、遊星キャリア1310に剛結合される第1のキャリアプレート1302を含む。入力ドライバ1308が、軸受1306を介して第1のキャリアプレート1302によって支持され反作用を受け得る。遊星基準入力部1410が、フィードバックカム1316に結合され得る。遊星基準入力部1410は、例えば
図24及び
図36を参照して前述した通りであり得る。スキューカム1325が、
図36を参照して前述したのと同様に、フィードバックカム1316、回転防止リテーナ1330、及びキャリアプレート1304に結合する。スキューカム1325は、
図36のスキューカム1324が主軸1320に結合するのと実質的に同様の方法で主軸1404にも結合し得る。
【0097】
図38をより詳細に参照すると、CVT1008には、長手軸線LA1及び主軸1404と同軸に装着される第1の抵抗部材1355を含む横力ニュートラライザが設けられ得る。主軸1404のフランジ1402が、ショルダストップ1408に剛結合されるフランジ延長部1406に剛結合される。並進カップ1412が、主軸1404と同軸に装着されてフランジ延長部1406の半径方向内方に置かれる。一実施形態では、並進カップ1412は、フランジ1402に接触し、フランジ延長部1406に対して隙間嵌めを有する。実施形態によっては、並進カップキャップ1414が、並進カップ1412に剛結合されることにより、第1の抵抗部材1355のための保持空間を形成し得る。スキューカム1325には、並進カップ1412に係合するようになっているキャッチ1416が設けられ得る。実施形態によっては、第1の抵抗部材1355は、キャッチ1416と並進カップキャップ1414又はフランジ1402との間に位置決めされる。第2の抵抗部材1369が、主軸1404の周りに同軸に装着され得ると共に並進カップ1412とショルダストップ1408との間に位置決めされ得る。
【0098】
動作時に、第1の抵抗部材1355が並進カップキャップ1414及び/又はフランジ1402によって反作用されるため、キャリアプレート1302に向かうスキューカム1325の軸線方向並進は、第1の抵抗部材1355によって抵抗される。主軸1404が接地に固定され得るため、主軸1404が軸線方向に並進しないように構成され得ることを想起すべきである。第2の抵抗部材1369が、フランジ延長部1406を通して主軸1404に剛結合されるショルダストップ1408によって支持されるため、スキューカム1325がキャリアプレート1304に向かって軸線方向に並進すると、第2の抵抗部材1369がスキューカム1324Aのこの軸線方向移動に抵抗する傾向がある。抵抗部材1355、1369は、スキューカム1325に対する横力の作用を克服するという所望の特徴を提供するように選択されることが好ましい。実施形態によっては、フィードバックカム1316とフランジ延長部1406との間のインタフェース及び並進カップ1412とフランジ延長部1406との間のインタフェースが、滑り摩擦を最小限に抑えるように適切に構成されることに留意すべきである。
【0099】
次に
図39及び
図40に移ると、CVT1009は、さまざまな点でCVT1006及び1008と実質的に同様である。一実施形態では、スキューカム1502が、細部Fに全体的に示すニュートラライザ1506の延長スリーブ1504に剛結合する。実施形態によっては、ニュートラライザ1506は、第1の抵抗部材1357及び第2の抵抗部材1371を受け入れるようになっている抵抗部材ロケータ1508を含む。抵抗部材ロケータ1508は、主軸1510に剛結合されることが好ましく、これと同軸に装着される。一実施形態では、第1の抵抗部材1357は、主軸1510と同軸に装着され、主軸1510のフランジ1402と第1の抵抗リング又はシム1512との間に軸線方向に位置付けられる。第1の抵抗部材1357及び第1の抵抗リング1512は、主軸1510及び抵抗部材ロケータ1508のストップショルダ1514によって形成されるリセス内に収納される。第2の抵抗部材1371は、抵抗部材ロケータ1508のストップキャップ1516と第2の抵抗リング又はシム1518との間に軸線方向に位置付けられ得る。実施形態によっては、第2の抵抗部材1371及び第2の抵抗リング1518は、主軸1510と同軸に装着される。延長スリーブ1504のキャッチフランジ1520が、第1の抵抗リング1512と第2の抵抗リング1518との間に位置決めされる。ストップショルダ1514は、第1の抵抗リング1512及び第2の抵抗リング1518のための少なくとも1つの軸線方向の軸線方向停止部を提供するように適切に構成される。ストップショルダ1514は、第1の抵抗リング1512の第1の方向の軸線方向並進を拘束し、第2の抵抗リング1518の第2の方向の軸線方向並進を拘束する。
【0100】
動作中、スキューカム1502がキャリアプレート1302に向かって並進すると、第1の抵抗部材1357は、第1の抵抗リング1512、キャッチフランジ1520、及び延長スリーブ1504を介したスキューカム1502と第1の抵抗部材1357との間の動作結合を通してスキューカム1502の並進に逆らう傾向がある。同様に、スキューカム1502がキャリアプレート1304に向かって並進すると、第2の抵抗部材1371は、第2の抵抗リング1518、キャッチフランジ1520、及び延長スリーブ1504を介したスキューカム1502と第2の抵抗部材1371との間の動作結合を通してスキューカム1502の並進に逆らう傾向がある。キャッチフランジ1520が第1の抵抗リング1512及び第2の抵抗リング1518のいずれか一方に作用するとき、第1の抵抗部材1357及び第2の抵抗部材1371の他方が係合も付勢もされないことを留意すべきである。したがって、第1の抵抗部材1357及び第2の抵抗部材1371の作用は切り離される。好ましくは、第1の抵抗部材1357及び第2の抵抗部材1371は、スキューカム1502を公称ゼロスキュー角のCVTスキュー状態に対応する位置へ移動させるのに所望の応答特性を提供するように適切に選択される。
【0101】
ニュートラライザ1506が上述の構成要素の全てを使用する必要はないことに留意すべきである。例えば、実施形態によっては、第1の抵抗部材1357及び第1の抵抗リング1512は、キャッチフランジ1520に係合すると所望の抵抗機能を果たす適当な構成の単体構成要素として提供され得る。
図39に最もよく示すように、実施形態によっては、ニュートラライザ1506は、フィードバックカム1316のボア内に少なくとも部分的に収容される。
【0102】
次に
図41〜
図45を参照すると、CVT4100は、さまざまな点でCVT1000及びCVT1002と同様に構成され得る。実施形態によっては、CVT4100は、次に説明する制御基準アセンブリ4300を含む。一実施形態では、制御基準ナット4302が、メインシャフト4135と同軸に位置決めされて中間反力部材4304に結合される。ばね部材4306及び4308が、制御基準ナット4302と中間反力部材4304との間で双方向ばね支持を行う。制御基準ナット4302の一方の方向の調節がばね部材4306をねじり付勢する傾向があり、他方の方向の調節がばね部材4308をねじり付勢する傾向がある。付勢されると、ばね部材4306又は4308は、中間反力部材4304に力を加えることにより、傾斜角の調節が達成されるまでフィードバックカム4102に力を加える。CVT4100の動作状態によっては、フィードバックカム4102の調節に抵抗する傾向がある力が発生し、その結果、それらの力が制御基準ナット4302の調節にも抵抗する。フィードバックカム4102は、フィードバックカム1206と実質的に同様である。実施形態によっては、制御基準ナット4302を調節するのに必要な労力を最小にするか又は最大労力を制限することが好ましい。
図41に示す実施形態では、制御基準アセンブリ4300は、フィードバックカム4102に対して大きな抵抗がある場合でも制御基準ナット4302の調節を容易にする。
【0103】
制御基準アセンブリ4300の一実施形態では、ばね部材4306及び4308は、それぞれ制御基準ナット4302及び中間反力部材4304に動作的に接続されるレッグ4322、4324、及び4326、4328が形成されているねじりばねである。レッグ4322は、制御基準ナット4302上のショルダ4320によって一方向に回転可能に拘束される。レッグ4324は、中間反力部材4304に形成されるボア4330によって2方向に回転可能に拘束される。同様に、レッグ4328は、ショルダ4315によって一方向に拘束され、レッグ4326は、中間反力部材4304に形成されるボア4332(
図45を参照)によって2方向に拘束される。
【0104】
次に
図44をより詳細に参照すると、一実施形態では、制御基準ナット4302は、ケーブルプーリ又は他のアクチュエータ等の調節インタフェース(図示せず)に結合するようになっている外側リング4312を有する実質的に円筒体である。例えばねじりばね4308を受け入れて保持するために、第1のリセス4316及び第2のリセス4318が制御基準ナット4302の内径に形成される。同様に、第1のリセス4317及び第2のリセス4319が、ねじりばね4306を受け入れて保持するようになっている。一実施形態では、リセス4318は、制御基準ナット4302の第1の端でその内径の実質的に半周に形成される。リセス4318は、一方向でのレッグ4322の保持を容易にし、逆方向でレッグ4322のためのクリアランスを提供する。リセス4317は、制御基準ナット4302の内径の第2の端に形成される。リセス4317及び4318は、一方のばね部材4306、4308を付勢せずに回転可能にしたまま他方のばね部材4306、4308の付勢を容易にする自由度をレッグ4322及び4328に提供する。
【0105】
次に
図42及び
図45に移ると、一実施形態では、中間反力部材4304は、例えばフィードバックカム4102と嵌まり合うスプライン内部ボア4310を有する実質的に円筒体であり得る。第1の保持ボア4330及び第2の保持ボア4332が、中間反力部材4304の外径に形成され得る。保持ボア4330、4332は、レッグ4324及び4326を収納し得る。ばね部材4306及び4308を軸線方向に保持するために、それぞれの第1のショルダ4334及び第2のショルダ4335が、実施形態によっては中間反力部材4304の外径に結合される。
【0106】
一実施形態では、CVT4100には、
図41及び
図47の細部G図に実質的に示す実施形態である横力ニュートラライザアセンブリ4192が設けられ得る。実施形態によっては、ニュートラライザ4192は、軸線方向抵抗プレート4184と並進抵抗カップ4196との間に位置決めされる第1の抵抗部材4194を含む。軸線方向抵抗プレート4184は、メインシャフト4135に剛結合される。第1の抵抗部材4194及び並進抵抗カップ4196は、互いに隣接して長手軸線LA1の周りに同軸に装着される。ニュートラライザ反力フランジ4198が、スキューカム4168に結合され得る。ニュートラライザ反力フランジ4198は、並進抵抗カップ4196に隣接して位置決めされる。第2の抵抗部材4195が、ニュートラライザ反力フランジ4198と並進抵抗カップ4196に剛装着され得るニュートラライザストップキャップ4105との間に位置決めされ、これらは全て、長手軸線LA1の周りに同軸に装着される。ニュートラライザストップキャップ4105は、例えば、軸線方向リテーナプレート4184に剛結合されて摺動インタフェース4104が設けられることが好ましいニュートラライザリテーナプレート4103によって軸線方向に拘束される。
【0107】
次に
図48〜
図50に移ると、一実施形態では、CVT4600は、さまざまな点でCVT1000と実質的に同様に構成され得る。CVT4600には、制御基準アセンブリ4602が設けられ得る。図示の実施形態では、制御基準アセンブリ4602は、ケーブル4704及び4706によってプーリ4702に結合されるメインシャフト4601の周りに同軸に配置される制御基準ナット4708を含み得る。プーリ4702は、インタフェース4711においてばね保持部材4710に結合される。実施形態によっては、インタフェース4711は、スプラインインタフェースであり得るが、他の実施形態では、インタフェース4711は、プーリ4702とばね保持部材4710との間に圧入され得る。ばね保持部材4710は、制御基準ナット4302が
図41〜
図46を参照して説明した中間反力部材4304に結合されるのと同様の方法でばね反力部材4712に結合される。ケーブル4706の一端は、制御基準ナット4708のボア4804Bにおいて保持され、ケーブル4706の別端は、プーリ4702に形成されるボア4806Bにおいて保持される。ケーブル4706は、止めねじ又は接着剤等で適当な方法でボア4804B、4806Bに結合され得る。同様に、ケーブル4704の一端は、制御基準ナット4708のボア4804Aにおいて保持され、ケーブル4704の別端は、プーリ4702に形成されるボア4806Aにおいて保持される。ケーブル4704及び4706は、プーリ4702の1組の螺旋溝4810A及び4810Bに巻き付けられる。
【0108】
次に
図51A〜
図56を参照すると、一実施形態では、CVT5100は、さまざまな点で前述のCVTと同様に構成され得る。したがって、先の実施形態とCVT5100との間の或る特定の違いのみを説明する。CVT5100は、複数のキャリアロッド5103で互いに結合され得る第1のキャリアプレート5101及び第2のキャリアプレート5102を含み得る。キャリアプレート5101、5102はそれぞれ、複数の半径方向スロット5104を有し得る。一実施形態では、CVT5100は、主軸5108の周りに角度的に配置される複数のトラクション遊星5106を含む。主軸5108は概して、CVT5100の長手軸線を画定する。トラクション遊星5106のそれぞれが、遊星軸5110を中心に回転するように構成される。遊星支持トラニオンが、遊星軸5110の各端を受け入れて支持するように構成される。
【0109】
一実施形態では、遊星支持トラニオン5112は、中央ボア5114と中央ボア5114から延びる第1のレッグ5116A及び第2のレッグ5116Bとを有する、実質的にU字形体(
図56)である。スロット5117が、U字形体に設けられてレッグ5116A、5116Bの少なくとも一部を二分するように配置され得る。第1のレッグ5116Aには、偏心スキューカム5118Aが設けられ得る。第2のレッグ5116Bには、偏心スキューカム5118Bが設けられ得る。偏心スキューカム5118A及び5118Bは、半径方向スロット5104に結合するようになっている。遊星支持トラニオン5112は、遊星軸5110に結合して支持を与えるようになっているボア5119を有し得る。一実施形態では、ボア5119は中心軸線51190を有する。偏心スキューカム5118A及び5118Bには、中心軸線51180A及び51180Bが設けられ得る。中心軸線51190及び中心軸線51180A、51180Bは、非同心状に構成され得る。実施形態によっては、偏心スキューカム5118A、5118Bは、円周の周りで湾曲状プロファイルを有し得る。他の実施形態では、偏心スキューカム5118A、5118Bは、円形プロファイルを有し得る。一実施形態では、中心軸線51180Aは、中心軸線51190の半径方向外方(CVT5100の中心長手軸線に関して)にあるが、中心軸線51180Bは、中心軸線51190の半径方向内方にある(例えば、
図53A及び
図53Bを参照)。
【0110】
一実施形態では、CVT5100には、主軸5108を中心に回転するように構成され得るトラクション太陽5120が設けられる。トラクション太陽5120は、トラクション遊星5106のそれぞれの半径方向内方にこれと接触して位置決めされる。実施形態によっては、トラクション太陽5120は、第1のキャリアプレート5101及び第2のキャリアプレート5102に結合される複数の軸受支持フィンガ5124(
図54を参照)によって軸線方向に位置決めされ得る軸受を介して、キャリアプレート5101及び5102に動作可能に結合される。
【0111】
図52を再度参照すると、一実施形態では、CVT5100に、主軸5108の周りに同軸に装着されるシフトロッド5126が設けられ得る。実施形態によっては、シフトロッド5126は主軸5108に摺動結合するが、他の実施形態では、シフトロッド5126は軸受(図示せず)を介して主軸5108に動作可能に結合される。シフトロッド5126には、スリーブ5130に結合するようになっているねじ部分5128が設けられ得る。スリーブ5130は、ピン5132を介して遊星支持トラニオン5112に動作可能に結合する。
【0112】
図55を参照すると、一実施形態では、スリーブ5130にねじ付き内部ボア5134が設けられる。複数の反力ショルダ5136が、ねじ付き内部ボア5134の周りに角度的にそこから半径方向に延び得る。反力ショルダは、遊星支持トラニオン5112のそれぞれのスロット5117内に収納されるように構成され得る。実施形態によっては、各反力ショルダ5136には、ピン5132に結合するようになっているスロット5138が設けられる。
【0113】
CVT5100の動作中、遊星軸5110を傾斜させることによってCVT5100の速度比の変化を得ることができる。遊星軸5110は、遊星支持トラニオン5112を枢動させることによって傾斜させることができる。遊星支持トラニオン5112は、任意の適当な方法を使用して枢動させることができる。遊星支持トラニオン5112を枢動させる方法の1つは、シフトロッド5126を回転させることによってスリーブ5130及びピン5132を軸線方向に並進させることを伴う。遊星支持トラニオン5112を枢動させる第2の方法は、シフトロッド5126を回転させることによってスリーブ5130を回転させることを伴う。スリーブ5130の回転が、反力ショルダ5136を遊星支持トラニオン5112と係合させる。反力ショルダ5136は、スキューカム中心軸線51180A及び51180Bを中心に回転するように遊星支持トラニオン5112を付勢して、中心軸線51190を移動させる。中心軸線51190の移動は、遊星軸5119においてスキュー角を誘発する。スキュー角は、前述のように、遊星軸5110の傾斜角の変化を引き起こす。動作状態によっては、例えば高トルク状態では、第2の方法が好まれ得る。
【0114】
次に
図57及び
図58に移ると、一実施形態では、トルクガバナ5700が、例えばCVT4100又は5100等の上記で開示したCVTの実施形態と協働するようになっていてもよい。説明のために、トルクガバナ5700は、例えばキャリアプレート1302、4604、又は5102と実質的に同様であり得る代表的なキャリアプレート5702を含む。トルクガバナ5700は、例えばトラクション太陽310と実質的に同様のトラクション太陽5704を含み得る。トルクガバナ5700は、例えばシフトカム1200と実質的に同様のシフトカム5706も含み得る。一実施形態では、トルクガバナ5700は、第1の反力アーム5710及び第2の反力アーム5712を含み、これらの両方がばね5714を介してキャリアプレート5702に動作可能に結合され得る。トルクガバナ5700は、第1の反力アーム5710及び第2の反力アーム5712に結合されるプリロードアジャスタ5716も含み得る。一実施形態では、プリロードアジャスタ5716は、ねじ端を有し、反力アーム5710及び5712を位置決めするために共通のターンバックル又は他の同様の装置として動作するように構成され得る。反力アーム5710及び5712は、鋏状構成に構成され得る。
【0115】
一実施形態では、シフトカム5706及びキャリアプレート5702は、例えば、さまざまな本発明のスキューベース制御システムを備える無段変速機の実施形態について前述した方法と実質的に同様の方法で、トラクション遊星アセンブリ1044(
図57及び
図58には図示せず)に結合するようになっていてもよい。一実施形態では、シフトカム5706は、キャリアプレート5702の中央ボアに動作可能に結合するように構成されるねじ延長部5707を含む。ばね5720が、キャリアプレート5702及びシフトカム5706に動作可能に結合され得る。ねじ延長部5707は、反力アーム5710の嵌め合いねじボアに結合し得る。
【0116】
動作中、トルクガバナ5700は、一定の動作トルクを維持するように変速比を調節することができる。動作トルクの変化に起因するトラクション太陽5704の軸線方向並進が、シフトカム5706及びねじ延長部5707の軸線方向並進を引き起こす。ねじ延長部5707は、第1の反力アーム5710に係合しており、軸線方向並進を第1の反力アーム5710の回転に変換する。第1の反力アーム5710の回転は、ばね5714Aを付勢してキャリアプレート5702を回転させる。ばね5714Bが、説明例として本明細書で説明する方向とは逆方向のねじ延長部5707の軸線方向並進を引き起こす動作状態で、第2の反力アーム5712によって付勢され得ることは、容易に分かるはずである。キャリアプレート5702の回転は、トラクション遊星アセンブリ1044においてスキュー角を誘発する。前述のように、スキュー角は、変速機5700のシフトを引き起こす。変速機がシフトすると、トラクション太陽5704が軸線方向に変位し、キャリアプレート5702が平衡位置に戻る。第1の反力アーム5710がばね5714を介して第2の反力アーム5712に動作可能に結合されるため、所望の動作トルクを表すプリロードアジャスタ5716によって平衡状態が設定され得る。
【0117】
上記の説明が特定の構成要素又はサブアセンブリに関する寸法を提供していることに留意すべきである。言及した寸法又は寸法範囲は、最良の形態等の特定の法定要件にできる限り従うために提供される。しかしながら、本明細書に記載の本発明の範囲は、特許請求の範囲の文言によってのみ決定されるものとし、したがって、指定の寸法又はその範囲を特徴とする請求項がない限り、言及した寸法はいずれも本発明の実施形態を限定するものとみなされるべきではない。
【0118】
上記の説明は、本発明の特定の実施形態を詳述するものである。しかしながら、上記の文面がいかに詳細に見えようと、本発明を多くの方法で実施することができることが理解されるであろう。同じく上述したように、本発明の特定の特徴又は態様を説明するときの特定の用語の使用は、関連する発明の特徴又は態様の任意の具体的な特性を含むものに限定されるようにその用語が本明細書において再定義されていることを意味するものとみなされるべきではない。