特許第5746791号(P5746791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5746791フェール・サイレント機能を備えた回路構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746791
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】フェール・サイレント機能を備えた回路構成
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20150618BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   B60R16/02 650J
   B60R16/02 665P
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-504157(P2014-504157)
(86)(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公表番号】特表2014-514206(P2014-514206A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】DE2012100081
(87)【国際公開番号】WO2012139558
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2014年2月28日
(31)【優先権主張番号】102011016706.4
(32)【優先日】2011年4月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ゲプフェルト・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フリッチェ・ペーター
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−537418(JP,A)
【文献】 特表2009−521152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 16/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアとして実施され、マイクロコントローラー(MC)の各々のモジュール(M1,M2,…,Mn)のエラーを認識し、且つ、認識されたエラーをシグナル電圧として外部のコンポーネントに伝達するために少なくとも一つのアウトプット(UE−A)を有する監視手段(UE)を包含するマイクロコントローラー(MC)と、制御装置(SG)のコミュニケーション・ネットワーク(BN)とにコミュニケーションを担っているネットワーク・ドライバー(BT,ET)とを包含するフェール・サイレント機能、或いは、フェール・セーフ機能を実施するための制御装置(SG)用の回路構成であって、
監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)にかけられているシグナル電圧が、監視手段(UE)によってエラーが認識された時に、制御装置(SG)のネットワーク・コミュニケーションが、中断されるようにネットワーク・ドライバー(BT,ET)を制御するために用いられることを特徴とするフェール・サイレント機能、或いは、フェール・セーフ機能を実施するための制御装置(SG)用の回路構成。
【請求項2】
該ネットワーク・ドライバー(BT,ET)が、それを介してネットワーク・コミュニケーションを停止できるインプット(BGE,RE)を包含し、監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)が、該インプット(BGE,RE)と接続されているが、ここでは、エラー発生に伴って監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)にかけられるシグナル電圧の一定の電圧レベルを、エラー発生時に該ネットワーク・ドライバー(BT,ET)が、制御装置(SG)のネットワーク・コミュニケーションを中断するために用いることができることを特徴とする請求項1に記載の回路構成。
【請求項3】
該コミュニケーション・ネットワーク(BN)が、バス・トポロジー、リング・トポロジー、ポイント2ポイント(point−to−point)トポロジー、或いは、スター・トポロジーを有するネットワークであることを特徴とする請求項1または2に記載の回路構成。
【請求項4】
該ネットワーク・ドライバー(BT,ET)が、制御装置(SG)のイーサネット・ネットワークとのコミュニケーションを担うイーサネット・ドライバー(ET)である、但し、監視手段のアウトプット(UE−A)にかけられているシグナル電圧が、監視手段(UE)によるエラー認識が有った場合に、制御装置(SG)とイーサネット・ネットワークとのコミュニケーションが中断されるようにイーサネット・ドライバー(ET)を制御するために使用されることを特徴とする請求項1から3のうち何れか一項に記載の回路構成。
【請求項5】
該イーサネット・ドライバー(ET)が、リセット・インプット(RE)を包含し、且つ、監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)が、イーサネット・ドライバー(ET)のリセット・ピン(RE)と接続されている、但し、エラー発生に伴って監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)にかけられるシグナル電圧のハイ・レベル、或いは、ロー・レベルを、エラー発生時にイーサネット・ドライバー(ET)が、ハイ・アクティブ、或いは、ロー・アクティブなリセットによって、制御装置(SG)のネットワーク・コミュニケーションを中断するために用いることを特徴とする請求項4に記載の回路構成。
【請求項6】
該イーサネット・ドライバー(ET)が、一つのリセット・インプット(RE)を包含し、且つ、マイクロコントローラー(MC)のGPIOピン(GPIO)が、電子スイッチ(ES)を介して、該リセット・インプット(RE)と接続されていると共に、監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)が、電子スイッチ(ES)の制御インプットと接続されている、但し、エラー発生時には、シグナル電圧の適切な電圧レベルが、電子スイッチ(ES)の制御インプットにかかることによって、GPIOピンの電圧レベルが、該レベルに置き換えられ、これにより、イーサネット・ドライバー(ET)のリセット・インプットは、イーサネット・ドライバー(ET)が、制御装置(SG)のイーサネット・コミュニケーションを中断するように制御されることを特徴とする請求項4に記載の回路構成。
【請求項7】
該ネットワーク・ドライバー(BT,ET)が、制御装置(SG)とバス・ネットワーク(BN)とのコミュニケーションを担うバス・ドライバー(BT)であり、但し、監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)にかけられているシグナル電圧が、監視手段(UE)によってエラーが認識された時に、制御装置(SG)のネットワーク・コミュニケーションが、中断されるようにネットワーク・ドライバー(BT,ET)を制御するために用いられることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の回路構成。
【請求項8】
該バス・ドライバー(BT)が、インプット(BGE)を有するバス・モニター・インターフェース(BG−I)を包含し、且つ、監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)が、バス・モニター・インターフェース(BG−I)の該インプット(BGE)と接続されているが、ここでは、通常時には、ハイ・レベルの、そして、エラー発生時には、ロー・レベルのシグナル電圧が、監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)にかかり、該バス・ドライバー(BT)は、バス・モニター・インターフェース(BG−I)のインプットにロー・レベルが、かかっている場合に、バス・コミュニケーションを中断することを特徴とする請求項7に記載の回路構成。
【請求項9】
該バス・ドライバー(BT)が、インプット(BGE)を有するバス・モニター・インターフェース(BG−I)を包含し、且つ、監視手段(UE)の該アウトプット(UE−A)に、インバートされた電圧シグナルがかかる、但し、ここでは、通常時には、ロー・レベルの、そして、エラー発生時には、ハイ・レベルのシグナル電圧が、監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)にかかり、監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)は、インバーター(IN)を介してバス・ドライバー(BT)のバス・モニター・インターフェース(BG−I)と接続されており、該バス・ドライバー(BT)は、バス・モニター・インターフェース(BG−I)のインプットにロー・レベルが、かかっている場合に、バス・コミュニケーションを中断することを特徴とする請求項7に記載の回路構成。
【請求項10】
マイクロコントローラー(MC)のGPIOピン(GPIO)が、バス・ドライバー(BT)のホスト・インターフェース(BT−HI)のSTBピン、及び/或いは、ENピンと電子スイッチ(ES)を介して接続されており、監視手段(UE)のアウトプット(UE−A)が、電子スイッチ(ES)の制御インプットと接続されている、但し、エラー発生時には、適切なレベルが、電子スイッチ(ES)の制御インプットにかかることによって、GPIOピンの電圧レベルが、該レベルに置き換えられ、これにより、バス・ドライバー(BT)のSTBピン、及び/或いは、ENピンは、該バス・ドライバー(BT)が、バス・コミュニケーションを中断するように制御されることを特徴とする請求項7に記載の回路構成。
【請求項11】
該バス・ドライバー(BT)が、CAN(バス)トランシーバーであることを特徴とする請求項7から10の何れか一項に記載の回路構成。
【請求項12】
該バス・ドライバー(BT)が、フレックスレイ(バス)トランシーバーであることを特徴とする請求項7から10の何れか一項に記載の回路構成。
【請求項13】
電子スイッチ(ES)、及び/或いは、インバーター(IN)が、トランジスターとして構成されていることを特徴とする請求項1から12のうち何れか一項に記載の回路構成。
【請求項14】
請求項1から13のうち何れか一項に記載の回路構成が、その内部に配置されていることを特徴とする制御装置(SG)。
【請求項15】
請求項1から13の何れか一項に記載の回路構成、及び/或いは、請求項14に記載の制御装置(SG)が、搭載されていることを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置用の回路構成に関する。該回路構成は、フェール・サイレント機能、言い換えれば、フェール・セーフ機能(独:Ausfallsicherheits−Funktion/日:故障時安全機能)に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、多数の電子コンポーネント、具体的には、制御装置を装備している。現代的な自動車では、例えば、複数の制御装置が、コミュニケーション・ネットワーク、或いは、一本の、又は、複数のコミュニケーション・チャンネルを介してネットワーク化されている。コミュニケーション・ネットワークは、バス・ケーブルであったり、バス・システムであったりすることが多いが、自動車用途の場合、このようなバス・システムとしては、一般的に、CANバス、フレックスレイ(Flexray)バス、或いは、イーサネット・バスが採用されている。このようなバス・システムは、例えば、ドイツ特許DE 102 96 400 B4に開示されている。車両内の安全に関わる電子制御装置には、自動車メーカーから、該制御装置が、内部エラー発生時、車両のバス・ネットワークとのコミュニケーションを中断する、所謂、フェール・サイレント機能が要求されることが多い。このようなエラーの認識、並びに、コミュニケーションの中断は、通常、制御装置のマイクロコントローラー上で実行されているソフトウェアによって実施される。該ソフトウェアはその際、それが監視しているマイクロコントローラー自体、或いは、第二マイクロコントローラー上でも実行できるが、該第二マイクロコントローラーは、該第一マイクロコントローラーの監視、並びに、エラー時のネットワーク・コミュニケーションの中断を担っている。尚、所謂、ウォッチドッグ回路による監視も既知である。
【0003】
DE 102 55 430 A1には、例えば、搭乗者保護システムの制御装置用のマイクロプロセッサーとウォッチドッグ回路を備えた回路構成が、開示されている。ここでは、該制御装置は、例えば、エアバッグやシートベルト・テンショナーの作動を担っている。また、該ウォッチドッグ回路は、マイクロプロセッサーの機能性を監視している。
【0004】
制御装置のフェール・サイレント機能を実施するための既知の回路構成の欠点は、付加的なハードウェアが必要である、即ち、例えば、ウォッチドッグ回路や第二マイクロコントローラーが必要である、或いは、特殊な監視用ソフトウェアの開発が必要である、ことである。更に、既知の解決案では、ネットワーク・コミュニケーションの中断が、十分に確実ではないことも問題である。例えば、その上で、監視ソフトウェアが実行されているマイクロコントローラー自体にエラーがある場合、ソフトウェアによるネットワーク・コミュニケーションの中止(禁止)は、不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 102 96 400 B4
【特許文献2】DE 102 55 430 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって本発明の課題は、信頼性高く、且つ、容易に、即ち、安価に制御装置用のフェール・サイレント機能を実施できる装置、或いは、回路構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
該課題は、請求項1記載の特徴を持つ装置によって達成される。本発明の更なる実施形態、並びに、発展形態は、従属請求項から得られるが、各特徴を組み合わせること、更には各特徴の更なる発展形態も考え得る。
【0008】
本発明の基になっているアイデアは、ソフトウェア・エレメントに依存せずに機能するフェール・サイレント機能、言い換えれば、フェール・セーフ機能を制御装置内で実施することであるが、特に、マイクロコントローラーの既存のハードウェア内で実施されるエラー認識メカニズムを、例えば、バス・ドライバーなどの制御装置のネットワーク・ドライバーをエラー発生時に制御装置のネットワークとのコミュニケーションが中断されるように制御することに用いている。即ち、提案されている回路構成によれば、制御装置が、例えば、イニシャライズ時にフリーズする、或いは、連続リセット状態に陥るなどのエラーによって、制御装置のネットワーク・コミュニケーションが中断できないような状態を回避することができる。制御装置のマイクロコントローラーに内部破損が発生した場合、マイクロコントローラー、或いは、制御装置が、再び、リセット状態に戻らない、即ち、制御装置のネットワーク・コミュニケーションが、中断されることが保証される。これにより、特に、ソフトウェアによるエラー認識からの一定の独立性が達成される。
【0009】
制御装置用の本発明に係る回路構成は、少なくとも一つのマイクロコントローラーと少なくとも一つのネットワーク・ドライバーを包含している。トランシーバーやネットワーク・トランシーバーと呼んでも差支えない該ネットワーク・ドライバーは、特に、制御装置と、例えば、車両内部にある、コミュニケーション・ネットワークとのコミュニケーションを担っている。本件におけるネットワーク・ドライバーとは、特に、コミュニケーション・ネットワークを介した(データ・)シグナルの送信や受信を担う制御装置の部品ユニットである、即ち、例えば、制御装置のバス・トランシーバーやイーサネット・トランシーバーである。
【0010】
制御装置の少なくとも一つのマイクロコントローラーは、マイクロコントローラーの個々のモジュールのエラー、或いは、エラー状態を検知し、例えば、保存するためのハードウェア内に実装された監視手段を包含していることが好ましい。更に、該監視手段は、少なくとも一つの、外部コンポーネントに、シグナル電圧によってマイクロコントローラー内の検知されたエラー、或いは、エラー状態を知らせるためのアウトプット(出力部)を有している。ここで言う、ハードウェアとして実施された監視手段とは、特に好ましくは、マイクロコントローラー内の、或いは、マイクロコントローラーの個々のモジュール内のエラーを、ソフトウェアに依存せずに検知する手段のことである。即ち、例えば、直接的に配線され、独立した、及び/或いは、内蔵された回路であって、ソフトウェアを介さず、或いは、ソフトウェア・エレメントを使用することなく、エラーをマイクロコントローラーの監視手段に報告できる回路であることが好ましい。
【0011】
本発明においては、監視手段のアウトプットのシグナル電圧は、ネットワーク・ドライバーを、制御装置のコミュニケーション・ネットワークとのコミュニケーションが、エラー発生時には、止められる、或いは、中断されるように制御するために使用される。
【0012】
本発明に係る回路構成のある好ましい実施形態においては、該ネットワーク・ドライバーは、それを用いて該ネットワーク・ドライバーのネットワーク・コミュニケーションを、即ち、制御装置のネットワーク・コミュニケーションを、オン、及び/或いは、オフするためのインプット(入力手段)を包含している。ネットワーク・ドライバーとしてバス・トランシーバーを用いる場合、該インプットは、例えば、BUSガーディアン(Guardian)のBGEピンであり、該ネットワーク・ドライバーが、イーサネット・トランシーバーである場合には、例えば、リセット・ピンであることができる。尚、監視手段の、外部コンポーネントに検知されたマイクロコントローラーのエラーやエラー状態をシグナル電圧として情報発信する該アウトプットは、上述したネットワーク・ドライバーのインプットと接続されていることが好ましい。よって本発明においては、エラー発生に伴って監視手段のアウトプットにかけられるシグナル電圧の一定の電圧レベルを、エラー発生時に該ネットワーク・ドライバーが、制御装置のネットワーク・コミュニケーションを中断するために用いることができる。
【0013】
監視手段の該アウトプットは、シグナル電圧が、例えば、通常時には、ハイ・レベルに、そして、エラー発生時には、ロー・レベルになるように、或いは、その逆になるように、即ち、通常時には、ロー・レベルに、そして、エラー発生時には、ハイ・レベルになるように構成されていることができる。尚、該監視手段が、二つのアウトプットを有し、第二アウトプットが、第一アウトプットの逆の電圧シグナルを出力することが特に好ましい。
【0014】
それによってネットワーク・ドライバーのネットワーク・コミュニケーションが、オン、及び/或いは、オフされるネットワーク・ドライバーのインプットが、ロー・アクティブであるか、或いは、ハイ・アクティブであるかに応じて、即ち、ロー・レベルがかかっている時に、或いは、ハイ・レベルがかかっている時にネットワーク・コミュニケーションが中断されるのかに応じて、ネットワーク・ドライバーの該アウトプットは、或いは、該複数のアウトプットのうちの一つが、エラー発生時にネットワーク・コミュニケーションが、中断されるようにネットワーク・ドライバーのインプットと接続されている。この際、ネットワーク・ドライバーのインプットと監視手段のアウトプット間に、特に好ましくは、インバーターを配置することも可能である。
【0015】
本発明に係る回路構成は、特定のネットワーク・トポロジーや特定の種類のネットワークに限定されるものではない。即ち、本発明に係る回路構成を有する制御装置は、特に、バス・トポロジー、リング・トポロジー、スター・トポロジーのコミュニケーション・ネットワークに配置されることも、及び/或いは、例えば、他の制御装置と直接的に接続される、所謂、ポイント2ポイント(point−to−point)接続されることも可能である。尚、ネットワーク・カードとしては、特に、フレックスレイ・ネットワーク、CANネットワーク、或いは、イーサネット・ネットワークが、想定されている。
【0016】
本発明に係る回路構成のある好ましい実施形態によれば、回路構成のネットワーク・ドライバーは、制御装置のイーサネット・ネットワークとのコミュニケーションを担うイーサネット・トランシーバーであると称しても差し支え無いイーサネット・ドライバーとして実施されている。監視手段のアウトプットにかけられている該シグナル電圧は、監視手段が、エラーを検出した際に、イーサネット・ドライバーを、イーサネット・ネットワークを介した制御装置のコミュニケーションが中断されるように操作するために用いられる。
【0017】
イーサネット・ドライバーが、ネットワーク・ドライバーとして用いられている本発明に係る回路構成の実施形態では、該ドライバーは、上記の、これによってネットワーク・ドライバーの、即ち、制御装置のネットワーク・コミュニケーションが、オン、及び/或いは、オフされるインプットとして、一つのリセット・インプットを、或いは、リセット・ピンを、包含していることが好ましい。監視手段のアウトプットは、この際、イーサネット・ドライバーのリセット・インプットと接続されていることが好ましいが、この場合、エラー発生時に監視手段のアウトプットにかけられるシグナル電圧のハイ・レベル、或いは、ロー・レベルは、イーサネット・ドライバーのハイ・アクティブ、或いは、ロー・アクティブなリセットを介して、制御装置のイーサネット・コミュニケーションを中断するために用いられる。
【0018】
特に好ましくは、上述のようなリセット・インプットを備えた、イーサネット・ドライバーが、ネットワーク・ドライバーとして用いられている本発明に係る回路構成の実施形態では、本発明に係る回路構成の特別な実施形態として、マイクロコントローラーのGPIOピンが、該リセット・インプットとして、例えば、電子スイッチを介いて接続されていることができる。この場合、監視手段のアウトプットは、電子スイッチの制御インプットと、エラー発生時に、シグナル電圧の適切な電圧レベルが、電子スイッチの制御インプットにかかることによって、GPIOピンの電圧レベルが、該レベルに置き換えられるように接続されていることが好ましい。これにより、イーサネット・ドライバーのリセット・インプットは、イーサネット・ドライバーが、制御装置のイーサネット・コミュニケーションを中断するように制御されることができる。
【0019】
本発明に係る回路構成のある好ましい更なる実施形態によれば、回路構成のネットワーク・ドライバーは、バス・ドライバーである。バス・トランシーバーと呼んでも差し支えない該バス・ドライバーは特に、制御装置の、例えば、車両内部にある、コミュニケーション・ネットワークとしてのバス・ネットワークとのコミュニケーションを担っている。
【0020】
回路構成のマイクロコントローラーは、マイクロコントローラーの個々のモジュールのエラー、或いは、エラー状態を検知し、例えば、保存するためのハードウェア内に実装された監視手段を包含していることが好ましい。更に、該監視手段は、少なくとも一つの、外部コンポーネントに、シグナル電圧によってマイクロコントローラー内の検知されたエラー、或いは、エラー状態を知らせるためのアウトプット(出力部)を有している。ここで言う、ハードウェアとして実施された監視手段は、特に好ましくは、マイクロコントローラー内の、或いは、マイクロコントローラーの個々のモジュール内のエラーを、ソフトウェアに依存せずに検知する手段のことである。即ち、例えば、直接的に配線され、独立した、及び/或いは、内蔵された回路であって、ソフトウェアを介さず、或いは、ソフトウェア・エレメントを使用することなく、エラーをマイクロコントローラーの監視手段に報告できる回路であることが好ましい。
【0021】
本発明においては、監視手段のアウトプットのシグナル電圧は、バス・ドライバーを、制御装置のバス・ネットワークとのコミュニケーションが、エラー発生時には、自動的に止められる、或いは、中断されるように制御するために使用される。
【0022】
バス・ドライバーが、本発明に係る回路構成のネットワーク・ドライバーとして用いられているある好ましい本発明に係る回路構成の実施形態においては、該ドライバーは、ネットワーク・ドライバーの、即ち、該制御装置のネットワーク・コミュニケーションをオン、及び/或いは、オフするバス・ガーディアン・インターフェースと呼んでも差し支えないバス・モニター・インターフェースを包含している。更に、該バス・モニター・インターフェースは、少なくとも一つのインプット、好ましくは、作動端子(BGEピン、バス・ガーディアン・作動ピン)を有している。この場合、例えば、シグナル電圧のロー・レベルをBGEピンにかけることにより、バス・コミュニケーションが、オフにされ、シグナル電圧のハイ・レベルをかけることによりバス・コミュニケーションが、オンになるように、該作動端子、或いは、BGEピンによって、バス・ドライバーのバス・コミュニケーションをオン/オフできることが好ましい。該BGEピンは、特に、シグナル電圧のロー・レベルがかけられている時にバス・コミュニケーションが、オンになり、ハイ・レベルがかけられている時にはオフになるように、インバートされていても差し支えない。更に、BGEピンは、入力シグナルがハイ・オーム(高抵抗)である時にレベルがローとされる内部プルダウン抵抗を備えていてもよい。本発明に係る回路構成の特殊な実施形態では、更なる(外部)プルダウン抵抗を、バス・ドライバーのBGEピンに、特に好ましくは、監視手段のアウトプットのハイ・オーム状態において、ロー・レベルを確実なものとするために、設けることも可能である。
【0023】
マイクロコントローラーの監視手段は、そのアウトプットのシグナル電圧を、エラー発生時には、即ち、マイクロコントローラーの一つの、或いは、複数のモジュールに、一つの、或いは、複数のエラーが発生したこと、或いは、これ(ら)がエラー状態にあることが監視手段によって検出された場合には、好ましくは、ロー・レベルとし、そして、通常時には、即ち、エラーが無い場合には、好ましくは、ハイ・レベルとする。更に、該監視手段は、マイクロコントローラーが、例えば、リセット状態にある場合には、アウトプットにハイ・オームのシグナルを出力するように構成されていることもできる。
【0024】
特に好ましくは、BGEピンを有するバス・ドライバーをネットワーク・ドライバーとして有する本発明に係る回路構成の実施形態の場合、ある好ましい実施形態によれば、監視手段のアウトプットは、バス・ドライバーの該BGEピンと接続されている。これにより、好ましくは、通常時に、監視手段のアウトプットのハイ・レベルが、バス・モニターのBGEピンにかかっているため、制御装置は、制限なく、バス・ドライバーを介して、バス・ネットワークとコミュニケーションできる。しかし、エラー発生時には、好ましくは、監視手段のアウトプットのロー・レベルが、バス・モニターのBGEピンにかけられるため、制御装置のバス・コミュニケーションは、中断される。尚、マイクロコントローラーが、リセット状態にある場合には、監視手段のアウトプットは、ハイ・オーム状態にあることが好ましい。この場合にも、バス・コミュニケーションは、特に好ましくは、BGEピンの内部ブルダウン抵抗によってレベルがローに下げられることにより、バス・ドライバーによってオフにされる。
【0025】
特に好ましくは、BGEピンを有するバス・ドライバーをネットワーク・ドライバーとして有している本発明に係る回路構成の実施形態の場合、監視手段のアウトプットの代案的実施形態によれば、インバートされた電圧シグナル、即ち、監視手段のアウトプットには、通常時には、ロー・レベルがかかり、そして、エラー発生時には、ハイ・レベルがかけられる。この場合、監視手段のアウトプットは、インバーターを介してバス・ドライバーのBGEピンと接続されていることが好ましい。ここで該インバーターは、通常時には、ハイ・レベルが、BGEピンにかかり、制御装置のバス・コミュニケーション可能となるように監視手段のアウトプットの電圧シグナルのレベルを反転している。通常時と同様に、エラー発生時には、制御装置のバス・コミュニケーションが、バス・ドライバーによって中断されるように、監視手段のアウトプットのハイ・レベルが、ロー・レベルに反転される。
【0026】
特に好ましくは、BGEピンを有するバス・ドライバーをネットワーク・ドライバーとして有している本発明に係る回路構成の実施形態の場合、監視手段は、そのうちの一方がインバートされた電圧シグナルを出す二つのアウトプットを有していることが特に好ましい。この場合、付加的なインバーターが必要ないように、エラー発生時にロー・レベルを発する監視手段のアウトプットが、バス・モニターのBGEピンと接続される。
【0027】
特に好ましくは、BGEピンを有するバス・ドライバーをネットワーク・ドライバーとして有している本発明に係る回路構成の実施形態の場合、バス・ドライバーのバス・モニター・インターフェースのインプットだけでなく、マイクロコントローラーの監視手段のアウトプットにもそれぞれインバーターを装備する、或いは、インバートされた電圧シグナルを送ることができる。監視手段のアウトプットとバス・モニター・インターフェースのインプットとの間の接続は、本発明においては、エラー発生時には、バス・ドライバーのバス・モニター・インターフェースのインプットに、必要に応じてインバーターをはさみ、エラー発生時のバス・コミュニケーションが、中断されるような電圧レベルがかかるように実施されている。尚、インバーターは、バス・モニター・インターフェースのインプット、或いは、マイクロコントローラーのアウトプットのいずれか一方にだけインバーターが取り付けられる場合にのみ用いることが好ましい。インプットとアウトプットの双方にインバーターを用いる、並びに、インプットとアウトプットの双方にインバーターを用い無い選択が有り得る場合、双方に、インバーターを用いないことが好ましい。
【0028】
本発明に係る回路構成の好ましい実施バリエーションにおいては、ネットワーク・ドライバーは、バス・ドライバー、特に好ましくは、フレックスレイ・バス・ドライバー、或いは、フレックスレイ・(バス・)トランシーバーとして実施されており、コミュニケーション・ネットワークは、車両内のバス・ネットワーク、特に好ましくは、フレックスレイ・バスとして実施されている。
【0029】
本発明に係る回路装置の更なる好ましい実施バリエーションにおいては、ネットワーク・ドライバーは、バス・ドライバー、特に好ましくは、CANバス・ドライバー、或いは、CAN(バス・)トランシーバーとして実施されており、コミュニケーション・ネットワークは、車両内のバス・ネットワーク、特に好ましくは、CANバスとして実施されている。
【0030】
バス・ドライバーをネットワーク・ドライバーとして備えた本発明に係る回路構成の実施形態では、その好ましい実施形態において、マイクロコントローラーの好ましい実施形態が、少なくとも一つの、ユニバーサル・イン/アウトプット、或いは、GPIOピン(General Purpose Input/Output−Pin)を有している。該GPIOピンは、好ましくは、バス・ドライバーのSTBピン、及び/或いは、ENピンと接続されているが、これは、少なくとも一つの電子スイッチを介して実施されることが特に好ましい。該電子スイッチは、この際、制御インプットにおいて、更に監視手段のアウトプットとも接続されていることが好ましい。監視手段のアウトプットから電子スイッチの制御インプットに適宜な電圧レベルをかけることにより、エラー発生時には、マイクロコントローラーのGPIOピンから電子スイッチにかかっている電圧レベルが、監視手段のアウトプットにかかっている電圧レベルに置き換えられる。尚、電子スイッチとバス・ドライバーのSTBピン、及び/或いは、ENピンは、制御装置のバス・ネットワークとのバス・コミュニケーションが、中断されるように制御されることが好ましい。
【0031】
好ましい実施形態では、監視手段のアウトプットにかけられたインバートされた電圧シグナルの、及び/或いは、マイクロコントローラーの少なくとも一つのGPIOピンとネットワーク・ドライバーのSTBピン、及び/或いは、ENピンの間にかかっているインバートされた電圧シグナルの反転用のインバーターが、トランジスターによって実施されている。
【0032】
本発明に係る回路構成は、好ましくは、コミュニケーション・ネットワークを介して他の制御装置や電子コンポーネントと接続され、コミュニケーションしている、即ち、例えば、自動車内のバス・ネットワークにある制御装置内に配置される。該制御装置は、従来の技術に於いて既知の自動車コンポーネント、或いは、電子、又は、電気機械式装置であり、その例としては、エンジン、ABS、エアーコンディショナー、インストルメント・パネル、ナビゲーション・システム、差動エレクトロニクス、クルーズコントロール、幌、トランスミッション、燃料ポンプ、点火装置、エアバック、ASR、EPS、駐車システム、KE・ジェトロニック、L・ジェトロニック、ブレーキ装置、ライト装置などを挙げることができる。また、該制御装置は、ドライバー・アシスタント・システム、即ち、例えば、アダプティブ・カーブ・ライト、前照灯用のロー・ハイビーム切換アシスタント、暗視システム、駐車アシスタント、ブレーキ・アシスタント、車間調整クルーズコントロール、速度調整、車間警告装置、転進アシスタント、渋滞アシスタント、レーン維持アシスタント、レーン維持サポート、レーン変更アシスタント、カーブ・アシスタント、タイヤ空気圧コントロール・システム、車両状態認識、及び、交通標識認識などの一部であってもよい。
【0033】
上記システムや機能の組み合わせも考え得る。
【0034】
本発明に係る回路構成の更なる長所やオプション的実施形態は、明細書内の説明、及び、図によって開示される。実施例を図に簡略的に示し、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】は、バス・ドライバーをネットワーク・ドライバーとして有し、且つ、監視手段のアウトプットとバス・ドライバーのBGEピン間に直接的な接続を有する回路構成である。
図2】は、バス・ドライバーをネットワーク・ドライバーとして有し、且つ、監視手段のアウトプットとバス・ドライバーのBGEピン間にインバーターを介した接続を有する回路構成である。
図3】は、バス・ドライバーをネットワーク・ドライバーとして有し、且つ、マイクロコントローラーのGPIOとバス・ドライバーのホスト・インターフェース間に、監視手段のアウトプットを介して制御可能な電子スイッチを有する回路構成である。
図4】は、図1のマイクロコントローラーのモジュールにエラーが発生した場合のフロー・ダイアグラムの例である。
図5】は、イーサネット・ドライバーをネットワーク・ドライバーとして包含する本発明に係る回路構成を有する制御装置であるが、該制御装置は、スター・トポロジーを有するイーサネット・ネットワーク内において、他の制御装置とコミュニケーションしている。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1には、制御装置SG用の本発明に係る回路構成の一例が、示されている。該回路構成は、マイクロコントローラーMC、並びに、このケースでは、ネットワーク・ドライバーとしてバス・ドライバーBTを包含している。
【0037】
該バス・ドライバーBTは、制御装置SGの、バス・ネットワークBNとの、例えば、バス・インターフェースを介したBP、及び/或いは、BMインプット、及び、アウトプットとのコミュニケーション用のものであり、これは、BGEピンBGEを備えたバス・モニター・インターフェースBG−I、並びに、例えば、TxD、TxEN、RxDなどの接続部を備えたコミュニケーション・コントローラーBT−KCを包含している。尚、該バス・ドライバーBTは、例えば、STB、EN、ERRN、及び/或いは、SPIなどの接続部を備えたホスト・インターフェースBT−HIや、Vcc、Vio、Vbat、及び/或いは、GNDなどの接続部を備えた電圧供給ユニットなど更なるモジュールや接続部を包含していてもよい。
【0038】
また、該マイクロコントローラーMCも、RxD、TxD、TxENなどのインターフェースを介したバス・ドライバーBTとのコミュニケーション用のコミュニケーション・コントローラーMC−KCと監視手段UEを包含している。
【0039】
該監視手段UEは、マイクロコントローラーMCの個々のモジュールM1、M2、Mnのエラー、或いは、エラー状態を認識し、集計できるように構成されている。エラーの認識は、特に、一つの、或いは、複数の理論回路など、内蔵された回路であることが好ましい、ハードウェアによって実施し、エラー認識が、マイクロコントローラーMC内のソフトウェアを用いることなく実施できるようになっている。該監視手段UEは、更に、エラー発生時、即ち、マイクロコントローラーMCの一つの、或いは、複数のモジュールM1、M2、Mnにおいてエラーが認識された場合、該マイクロコントローラーMCを、安全な状態に(リセット)することができるように構成されている事も可能である。加えて該監視手段UEは、通常である、即ち、エラーの無い状態であるか、或いは、エラー発生中であるかに応じて、アウトプットUE−Aにシグナル電圧をかける。このケースでは、監視手段UEは、通常時には、ハイ・レベルを、そして、エラー発生時には、ロー・レベルをアウトプットUE−Aにかける。
図1の回路構成のバス・ドライバーBTは、シグナル電圧のロー・レベルが、バス・モニター・インターフェースBG−IのインプットBGEにかかっている間、バス・ドライバーBTのバス・ネットワークBNとのコミュニケーションが中断される、或いは、停止されるように構成されている。尚、バス・モニター・インターフェースのBG−IのインプットBGEは、このケースでは、BGEピンとして実施されている。
【0040】
本発明では、監視手段UEのアウトプットUE−Aは、バス・ドライバーBTのBGEピンBGEと接続されている。よって、エラー発生時には、バス・ドライバーBTのBGEピンBGEには、ロー・レベルがかかる、即ち、エラー発生に伴って制御装置SGのバス・ネットワークBNとのコミュニケーションが、自動的に中断されるため、簡素な方法で、信頼性高く、且つ、ソフトウェアに依存することなく、図1の回路構成によって、制御装置SGのフェール・サイレント機能が実施されている。
【0041】
図2には、制御装置SG用の本発明に係る回路構成の更なる一例が、示されている。該回路構成においても、殆んどの部品が、図1に関する説明と同様に構成されている。但しこのケースでは、監視手段UEは、インバートされた電圧シグナルをアウトプットUE−Aにかける、即ち、通常時には、ロー・レベルが、そして、エラー発生時には、ハイ・レベルが、かけられる。該アウトプットUE−Aは、既に図1に関連して説明した如く、バス・ドライバーBTのBGEピンBGEと接続されているが、このケースでは、その接続は、監視手段UEのアウトプットUE−Aにかかっている電圧シグナルを反転させるインバーターIN(例えば、トランジスター)を介して実施されているため、通常時には、ハイ・レベルが、そして、エラー発生時には、ロー・レベルが、バス・ドライバーBTのBGEピンBGEにかかっている。即ち、通常時には、制御装置SGは、バス・ドライバーBTを介してバス・ネットワークBNと制限なくコミュニケーションできるが、エラーが発生し、ロー・レベルが、BGEピンBGEにかかっている間は、バス・ドライバーBTは、バス・ドライバーBTの、そして結果的には、制御装置SGの、バス・ネットワークBNとの、コミュニケーションを中断する。
【0042】
図3には、本発明に係る更なる回路構成の一例が、示されている。該回路構成は、部分的には、図1と2に関する説明と同様である。回路構成の図3に示されている如き実施形態では、マイクロコントローラーMCの少なくとも一本のGPIOピンGPIOは、バス・ドライバーBTのホスト・インターフェースBT−HIへの接続部、例えば、STBN、及び/或いは、ENインターフェースと接続されている。該接続は、その制御インプットにおいて、マイクロコントローラーの監視手段UEのアウトプットUE−Aと付加的につながれている電子スイッチES、例えば、トランジスターを介して実施されている。エラーが発生すると、監視手段UEのロー・レベルが、電子スイッチESを、電子スイッチESの電圧レベルによってGPIOピンGPIOの電圧レベルが上書きされるように制御し、これによって更に、バス・ドライバーBTのSTBNピン、及び/或いは、ENピンが、バス・ドライバーBTを介したバス・ネットワークBNとのコミュニケーションを中断するように制御している。
【0043】
本発明では、制御装置SGは、或いは、図1、2、3の回路構成は、更なる、電子式、及び/或いは、電気機械式、或いは、機械式エレメント、並びに、回路を包含していてもよい。
【0044】
図4には、図1の回路構成用のフロー・ダイアグラムが例示されている。時点t1に、マイクロコントローラーMC内でエラーFが発生したと言うケースでは、このエラーは、時点t2に監視手段UEによって、認識され、時点t3あたりから監視手段UEのアウトプットUE−Aに、ロー・レベルLが、かけられる。そして、監視手段UEのアウトプットUE−Aが、バス・ドライバーBT、具体的には、そのバス・モニター・インターフェースBG−IのBGEピンBGEと接続されているため、遅くとも時点t3には、BGEピンBGEにもロー・レベルLが、かかり、これに伴い、バス・ドライバーBTの、言い換えれば、制御装置SGのバス・ネットワークBNとのコミュニケーションが、中断される。エラーFが認識されていない間、即ち、通常時、即ち、このケースでの時点t1においては、アウトプットUE−Aには、ハイ・レベルHが、かかっているため、バス・コミュニケーションBKは、可能である。しかし、時点t3以降、即ち、エラー発生中は、バス・コミュニケーションBKは、不可能nmである。
【0045】
具体的な用途では、例えば、Freescale Semiconductor社製のマイクロコントローラー、例えば、MPC5643Lマイクロコントローラーや、MPC567xKマイクロコントローラーを使用することができる。これらのマイクロコントローラーは、ハードウェアによって実施されたエラー認識機能を持つユニット、所謂「Fault Collection and Control Unit」(FCCU)と、FCCUのエラー認識に伴い、ハイ・レベルやロー・レベルのシグナル電圧がかけられるアウトプット(FCCUアウトプット)を包含している。尚、該FCCUアウトプットは、このケースでは、例えば、フレックスレイ・トランシーバーなどのバス・ドライバーの「bus guardian enable」ピンと接続されることができる。
【0046】
図5は、ネットワーク・ドライバーとして、ここではイーサネット・ドライバーETを備えた本発明に係る回路構成と制御装置SGを示している。該制御装置SGは、この例では、スター・トポロジーを有するイーサネット・ネットワークに配置されており、イーサネット・スイッチESとイーサネット分枝EZを介して、他の制御装置SG1やSG2とコミュニケーションしている。
【0047】
該イーサネット・ドライバーETは、リセット・ピンRE、並びに、コミュニケーション・コントローラーET−KCを包含している。該バス・ドライバーETは、更なるモジュールや接続部を有していてもよい。
【0048】
また、該マイクロコントローラーMCも、イーサネット・ドライバーETとのコミュニケーション用のコミュニケーション・コントローラーMC−KCと監視手段UEを包含している。該マイクロコントローラー MCも、更なるモジュールや接続部を有していてもよい。
【0049】
該監視手段UEは、個々のモジュールのエラー、或いは、エラー状態を認識し、集計できるように構成されている。エラーの認識は、特に、一つの、或いは、複数の理論回路など、内蔵された回路であることが好ましい、ハードウェアによって実施し、エラー認識が、マイクロコントローラーMC内のソフトウェアを用いることなく実施できるようになっている。該監視手段UEは、更に、エラー発生時、即ち、マイクロコントローラーMCの一つの、或いは、複数のモジュールにおいてエラーが認識された場合、該マイクロコントローラーMCを、安全な状態に(リセット)することができるように構成されている事も可能である。加えて該監視手段UEは、通常時、即ち、エラーの無い状態であるか、或いは、エラー発生中であるかに応じて、アウトプットUE−Aにシグナル電圧の特定な電圧レベルをかける。
【0050】
図5の回路構成のイーサネット・ドライバーETは、リセット・ピンREにかかっている電圧が、特定の電圧、特に、ハイ・レベル、或いは、ロー・レベルとなった場合、イーサネット・トライバーETのイーサネット・ネットワークENとのコミュニケーションを中断する、或いは、停止するように構成されている。即ち、該リセット・ピンREは、例えば、イーサネット・トランシーバーETのハイ・アクティブ、或いは、ロー・アクティブなリセットの実施を担っている。
【0051】
図5の例では、監視手段UEのアウトプットUE−Aは、イーサネット・ドライバーETのリセット・ピンREと接続されている。該リセット・ピンREが、ハイ・アクティブ、或いは、ロー・アクティブなリセット用に構成されているかに応じて、更に、エラー発生時に、監視手段UEのアウトプットUE−Aに、シグナル電圧のハイ・レベル、或いは、ロー・レベルのいずれがかけられるのかに応じて、アウトプットUE−Aは、直接的、或いは、例えば、インバーターINを介して、リセット・ピンREと接続されている。
【符号の説明】
【0052】
SG 制御装置
BT バス・ドライバー
ET イーサネット・ドライバー
MC マイクロコントローラー
M1 マイクロコントローラーのモジュール1
M2 マイクロコントローラーのモジュール2
Mn マイクロコントローラーのモジュールn
BN バス・ネットワーク
UE 監視手段
BG−I バス・モニター・インターフェース
BGE BGEピン
RE リセット・ピン
IN インバーター
ES 電子スイッチ
BT−KC バス・ドライバー・コミュニケーション・コントローラー
ET−KC イーサネット・ドライバー・コミュニケーション・コントローラー
MC−KC マイクロコントローラー・コミュニケーション・コントローラー
BT−HI バス・ドライバー・ホスト・インターフェース
GPIO ユニバーサル・インプット/アウトプット
EZ イーサネット分枝
ES イーサネット・スイッチ
SG1 他の制御装置1
SG2 他の制御装置2
T 時間
t1 時点1
図1
図2
図3
図4
図5