特許第5746816号(P5746816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746816
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】電気外科用発電器における波高率の向上
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   A61B17/39
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2009-61781(P2009-61781)
(22)【出願日】2009年3月13日
(65)【公開番号】特開2009-219877(P2009-219877A)
(43)【公開日】2009年10月1日
【審査請求日】2012年3月1日
【審判番号】不服2014-9424(P2014-9424/J1)
【審判請求日】2014年5月21日
(31)【優先権主張番号】61/036,323
(32)【優先日】2008年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/401,981
(32)【優先日】2009年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ. ベーンケ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エイチ. ワム
【合議体】
【審判長】 山口 直
【審判官】 竹下 和志
【審判官】 熊倉 強
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−299356(JP,A)
【文献】 特開平5−293120(JP,A)
【文献】 特開昭50−109428(JP,A)
【文献】 特開昭60−176642(JP,A)
【文献】 特開昭58−41543(JP,A)
【文献】 特開昭58−15854(JP,A)
【文献】 特開平11−235348(JP,A)
【文献】 特表2006−525096(JP,A)
【文献】 特許第3785191(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B18/00
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用発電器であって、
コントローラであって、
少なくとも1つの第1の制御パルスと少なくとも1つの第1のリセットパルスとを含む第1のパルス列と、
少なくとも1つの第2の制御パルスと少なくとも1つの第2のリセットパルスとを含む第2のパルス列と
を生成するように構成され、
該少なくとも1つの第1の制御パルスと該少なくとも1つの第2の制御パルスとは、非同期であり、該少なくとも1つの第1のリセットパルスと該少なくとも1つの第2のリセットパルスとは、同期である、コントローラと、
一次巻き線と二次巻き線とを含む変圧器と、該一次巻き線の第1の端と第1の接地とに結合された第1の切り替え要素と、該一次巻き線の第2の端と第2の接地とに結合された第2の切り替え要素と、該一次巻き線に結合されたDC電源とを含むRF出力ステージであって、該少なくとも1つの第1の制御パルスと該少なくとも1つの第2の制御パルスとが、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを非同期で作動させることにより、該変圧器を横切る不連続のRF波形を生成し、かつ、該少なくとも1つの第1のリセットパルスと該少なくとも1つの第2のリセットパルスとが、それぞれ、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを同期で作動させることにより、該第1の切り替え要素を介して該一次巻き線を該第1の接地に短絡させ、該第2の切り替え要素を介して該一次巻き線を該第2の接地に短絡させることによって、該RF出力ステージをリセットするように、該コントローラは、該少なくとも1つの第1の制御パルスと該少なくとも1つの第2の制御パルスと該少なくとも1つの第1のリセットパルスと該少なくとも1つの第2のリセットパルスとを生成するように構成されている、RF出力ステージと
を備えている、電気外科用発電器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1のリセットパルスは、前記少なくとも1つの第1の制御パルスに続き、前記少なくとも1つの第2のリセットパルスは、前記少なくとも1つの第2の制御パルスに続く、請求項1に記載の電気外科用発電器。
【請求項3】
前記不連続のRF波形の波高率を決定し、該波高率に基づいて、前記複数の第1のリセットパルスと前記複数の第2のリセットパルスとのそれぞれの少なくとも1つの特性を調節するように構成された波高率検出回路をさらに備えている、請求項1に記載の電気外科用発電器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの特性は、パルス幅、周波数、デューティサイクルからなる群から選択される、請求項3に記載の電気外科用発電器。
【請求項5】
前記変圧器は、フルブリッジ式トポロジで構成されている、請求項に記載の電気外科用発電器。
【請求項6】
前記変圧器は、プッシュプル式トポロジで構成されている、請求項に記載の電気外科用発電器。
【請求項7】
電気外科手術を行うためのシステムであって、
第1のパルス列を生成するための手段であって、該第1のパルス列は、少なくとも1つの第1の制御パルスと少なくとも1つの第1のリセットパルスとを含む、手段と、
第2のパルス列を生成するための手段であって、該第2のパルス列は、少なくとも1つの第2の制御パルスと少なくとも1つの第2のリセットパルスとを含み、該少なくとも1つの第1の制御パルスと該少なくとも1つの第2の制御パルスとは、非同期であり、該少なくとも1つの第1のリセットパルスと該少なくとも1つの第2のリセットパルスとは、同期である、手段と、
該少なくとも1つの第1の制御パルス列と該少なくとも1つの第2の制御パルス列とをRF出力ステージに供給するための手段であって、該RF出力ステージは、一次巻き線と二次巻き線とを含む変圧器と、該一次巻き線の第1の端と第1の接地とに結合された第1の切り替え要素と、該一次巻き線の第2の端と第2の接地とに結合された第2の切り替え要素と、該一次巻き線に結合されたDC電源とを有し、該RF出力ステージは、該複数の非同期の第1の制御パルスと該複数の非同期の第2の制御パルスとに応答して、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを非同期で作動させることにより、不連続のRF波形を生成するように構成されている、手段と、
該少なくとも1つの第1のリセットパルスと該少なくとも1つの第2のリセットパルスとに応答して、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを同期で作動させることにより、該第1の切り替え要素を介して該一次巻き線を該第1の接地に短絡させ、該第2の切り替え要素を介して該一次巻き線を該第2の接地に短絡させることによって、該RF出力ステージをリセットするための手段と
を備えている、システム。
【請求項8】
前記不連続のRF波形の波高率を決定するための手段をさらに備えている、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記波高率に基づいて、前記複数の第1のリセットパルスと前記複数の第2のリセットパルスとのそれぞれの少なくとも1つの特性を調節するための手段をさらに備えている、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの特性は、パルス幅、周波数、デューティサイクルからなる群から選択される、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
電気外科手術を行うためのシステムであって、
一次巻き線と二次巻き線とを含む変圧器と、該一次巻き線の第1の端と第1の接地とに結合された第1の切り替え要素と、該一次巻き線の第2の端と第2の接地とに結合された第2の切り替え要素と、該一次巻き線に結合されたDC電源とを含むRF出力ステージと、
第1の制御パルスと第2の制御パルスとを提供することにより、所望の波高率に基づいて不連続のRF波形を生成することを該RF出力ステージに行わせるための手段と、
該不連続のRF波形の実際の波高率を決定するための手段と、
該所望の波高率と該実際の波高率とを比較するための手段と、
第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とを調節することにより、該実際の波高率を調節するための手段であって、該第1のリセットパルスと該第2のリセットパルスとは、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを同期で作動させることにより、該第1の切り替え要素を介して該一次巻き線を該第1の接地に短絡させ、該第2の切り替え要素を介して該一次巻き線を該第2の接地に短絡させることによって、該RF出力ステージがリセットされるようにし、これにより、該所望の波高率を維持する、手段と
を備えている、システム。
【請求項12】
前記第1のリセットパルスと前記第2のリセットパルスとのそれぞれの前記少なくとも1つの特性は、該第1のリセットパルスと前記第1の制御パルスとの間の時間差と該第2のリセットパルスと前記第2の制御パルスとの間の時間差とのそれぞれである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のリセットパルスと前記第2のリセットパルスとのそれぞれの前記少なくとも1つの特性は、該第1のリセットパルスおよび該第2のリセットパルスの作動の持続時間である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
第1の制御パルスと第2の制御パルスとを提供するための前記手段は、所望の波高率に基づいて、不連続のRF波形を生成することを前記RF出力ステージに行わせるために、第1の複数の周期的なリセットパルスを提供するための手段を含み、
前記第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と前記第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とを調節するための前記手段は、該第1の複数の周期的なリセットパルスの周波数、期間、デューティサイクルのうちの少なくとも1つを調節するための手段を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
第1の制御パルスと第2の制御パルスとを提供するための前記手段は、所望の波高率に基づいて、不連続のRF波形を生成することを前記RF出力ステージに行わせるために、第2の複数の周期的なリセットパルスを提供するための手段を含み、
前記第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と前記第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とを調節するための前記手段は、該第2の複数の周期的なリセットパルスの周波数、期間、デューティサイクルのうちの少なくとも1つを調節するための手段を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性の値と前記少なくとも1つの第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性の値とは、同じである、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記所望の波高率は、発電器へのユーザ入力に基づいて、該発電器によって自動的に決定され設定される、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記所望の波高率は、ユーザによって手動で設定される、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
この出願は、本明細書において参考として援用されるRobert Behnkeらによる2008年3月13日出願の「CREST FACTOR ENHANCEMENT IN ELECTROSURGICAL GENERATORS」と題される米国仮出願第61/036,323号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
(技術分野)
本開示は、電気外科用の、装置、システム、および方法に関する。さらに詳細には、本開示は、電気外科用発電器における無線周波数(RF)波形の波高率を向上および/または維持することに関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギーベースの組織の処置は、当該分野において周知である。様々なタイプのエネルギー(例えば、電気、超音波、マイクロ波、低温、熱、レーザなど)が、組織に加えられることにより、所望の結果を達成する。電気外科手術は、外科手術部位に対して高い無線周波数電流を加えることにより、組織を切断、切除、凝固、またはシールすることを含む。単極の電気外科手術において、ソース電極または活性電極が、電気外科用発電器から組織に無線周波数エネルギーを送達し、そして、リターン電極が、電流を発電器に戻す。単極の電気外科手術において、ソース電極は、一般的に、外科医によって保持される電気外科用器具の一部分であり、そして、処置される組織に当てられる。患者のリターン電極は、電流を発電器に戻すために活性電極から離れて配置される。
【0004】
切除は、通常、単極の手順であり、該単極の手順は、癌の処置の分野において特に有用であり、該単極の手順においては、(通常、細長い円筒形の幾何形状の)1つ以上のRF切除針電極が、生体の中に挿入される。かかる針電極の一般的な形状は、絶縁シースを組み込み、該絶縁シースから、露出された(絶縁されていない)先端が、延びている。RFエネルギーが、リターン電極と挿入された切除電極との間に提供されたときには、RF電流が、針電極から体を通って流れる。一般的に、電流密度は、針電極の先端近くにおいて非常に高くなり、このことが、周囲の組織を加熱して破壊する結果につながる。
【0005】
双極の電気外科手術において、ハンドヘルド器具の電極のうちの一方が、活性電極として機能し、そして、他方が、リターン電極として機能する。リターン電極は、活性電極の近くに配置されるので、電気回路が、2つの電極(例えば、電気外科鉗子)の間に形成される。このように、加えられる電流は、電極間に位置決めされた体の組織に限定される。電極が、互いから充分に離されたときには、電気回路が開き、そして、その結果、離された電極のいずれかと体の組織との偶発的な接触は、電流を流れさせない。
【0006】
波形の波高率が、無線周波数出力の凝固能力の測定に有用であるということは、当該分野において公知である。したがって、高い波高率を維持することは、電気外科手順において有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、電気外科用発電器に関し、該電気外科用発電器は、少なくとも1つの第1の制御パルスと、少なくとも1つの第1のリセットパルスとを有する第1のパルス列を生成するように構成されたコントローラを含む。コントローラはまた、少なくとも1つの第2の制御パルスと、少なくとも1つの第2のリセットパルスとを有する第2のパルス列を含む。第1の制御パルスと、第2の制御パルスとは、非同期であり、そして、リセットパルスは、同期である。電気外科用発電器はまた、RF出力ステージを含み、該RF出力ステージは、第1の切り替え要素と第2の切り替え要素とを含む。第1の制御パルスと、第2の制御パルスとは、不連続のRF波形を生成するために、第1の切り替え要素と第2の切り替え要素とを非同期で作動させるように構成されている。また、第1のリセットパルスと、第2のリセットパルスとは、それぞれ、第1の切り替え要素と第2の切り替え要素とを同期で作動させることにより、RF出力ステージをリセットするように構成されている。
【0008】
電気外科手術を行うための方法は、第1のパルス列を生成するステップを含み、該第1のパルス列は、第1の制御パルスと、第1のリセットパルスとを含む。方法はまた、第2のパルス列を生成するステップを含み、該第2のパルス列は、第2の制御パルスと、第2のリセットパルスとを含む。第1の制御パルスと、第2の制御パルスとは、非同期であり、そして、第1のリセットパルスと、第2のリセットパルスとは、同期である。さらなるステップは、第1の切り替え要素と第2の切り替え要素とを有するRF出力ステージに第1の制御パルス列と第2の制御パルス列とを供給することを含む。方法はまた、非同期の第1の制御パルスと、非同期の第2の制御パルスとに応答して、不連続のRF波形を生成するために、第1の切り替え要素と第2の切り替え要素とを非同期で作動させるステップを含む。方法は、第1のリセットパルスと、第2のリセットパルスとに応答して、RF出力ステージをリセットするために、第1の切り替え要素と第2の切り替え要素とを同期で作動させるステップをさらに含み得る。
【0009】
本開示の別の実施形態は、電気外科手術を行うための方法を含み、該方法は、不連続のRF波形に対する所望の波高率を設定するステップと、不連続のRF波形の実際の波高率を決定するステップと、所望の波高率を実際の波高率と比較するステップと、所望の波高率を維持するために、第1のリセットパルスの特性および第2のリセットパルスの特性の調節を行うステップとを含む。コントローラは、第1の制御パルスと第1のリセットパルスとを有する第1のパルス列を生成するように構成されている。コントローラはまた、第2の制御パルスと第2のリセットパルスとを有する第2のパルス列を生成するように構成されている。第1の制御パルスと、第2の制御パルスとは、非同期であり、そして、第1のリセットパルスと、第2のリセットパルスとは、同期である。また、方法は、所望の波高率を実際の波高率と比較するステップを含む。
【0010】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
【0011】
(項目1)
電気外科用発電器であって、
コントローラであって、
少なくとも1つの第1の制御パルスと、少なくとも1つの第1のリセットパルスとを含む第1のパルス列と、
少なくとも1つの第2の制御パルスと、少なくとも1つの第2のリセットパルスとを含む第2のパルス列と
を生成するように構成され、
該少なくとも1つの第1の制御パルスと、該少なくとも1つの第2の制御パルスとは、非同期であり、そして、該少なくとも1つの第1のリセットパルスと、該少なくとも1つの第2のリセットパルスとは、同期である、コントローラと、
第1の切り替え要素と、第2の切り替え要素とを含むRF出力ステージであって、該少なくとも1つの第1の制御パルスと、該少なくとも1つの第2の制御パルスとは、不連続のRF波形を生成ために、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを非同期で作動させるように構成されており、該少なくとも1つの第1のリセットパルスと、該少なくとも1つの第2のリセットパルスとは、それぞれ、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを同期で作動させることにより、該RF出力ステージをリセットするように構成されている、RF出力ステージと
を備えている、電気外科用発電器。
【0012】
(項目2)
上記少なくとも1つの第1のリセットパルスは、上記少なくとも1つの第1の制御パルスに続き、そして、上記少なくとも1つの第2のリセットパルスは、上記少なくとも1つの第2の制御パルスに続く、項目1に記載の電気外科用発電器。
【0013】
(項目3)
上記不連続のRF波形の波高率を決定し、そして、該波高率に基づいて、上記複数の第1のリセットパルスと上記複数の第2のリセットパルスとのそれぞれの少なくとも1つの特性を調節するように構成された波高率検出回路をさらに備えている、項目1に記載の電気外科用発電器。
【0014】
(項目4)
上記少なくとも1つの特性は、パルス幅、周波数、およびデューティサイクルからなる群から選択される、項目3に記載の電気外科用発電器。
【0015】
(項目5)
上記RF出力ステージは、非シングルエンド変圧器をさらに含む、項目1に記載の電気外科用発電器。
【0016】
(項目6)
上記変圧器は、フルブリッジ式トポロジで構成されている、項目5に記載の電気外科用発電器。
【0017】
(項目7)
上記変圧器は、プッシュプル式トポロジで構成されている、項目5に記載の電気外科用発電器。
【0018】
(項目8)
上記変圧器は、一次巻き線と、二次巻き線とを含み、該一次巻き線は、上記第1の切り替え要素と、上記第2の切り替え要素とを含む、項目5に記載の電気外科用発電器。
【0019】
(項目9)
上記一次巻き線は、抵抗負荷に結合された第3の切り替え要素をさらに含む、項目8に記載の電気外科用発電器。
【0020】
(項目10)
上記コントローラは、第3の制御パルスを含む第3のパルス列を生成するように構成され、該第3の制御パルスは、上記RF出力ステージに蓄積された残りのエネルギーを制動するために、上記第1の切り替え要素および上記第2の切り替え要素の停止の間に上記第3の切り替え要素を作動させるように構成されている、項目9に記載の電気外科用発電器。
【0021】
(項目11)
電気外科手術を行うためのシステムであって、
第1のパルス列を生成するための手段であって、該第1のパルス列は、少なくとも1つの第1の制御パルスと、少なくとも1つの第1のリセットパルスとを含む、手段と、
第2のパルス列を生成するための手段であって、該第2のパルス列は、少なくとも1つの第2の制御パルスと、少なくとも1つの第2のリセットパルスとを含み、該少なくとも1つの第1の制御パルスと、該少なくとも1つの第2の制御パルスとは、非同期であり、そして、該少なくとも1つの第1のリセットパルスと、該少なくとも1つの第2のリセットパルスとは、同期である、手段と、
該少なくとも1つの第1の制御パルス列と、該少なくとも1つの第2の制御パルス列とをRF出力ステージに供給するための手段であって、該RF出力ステージは、第1の切り替え要素と第2の切り替え要素とを有する、手段と、
該複数の非同期の第1の制御パルスと、該複数の非同期の第2の制御パルスとに応答して、不連続のRF波形を生成するために、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを非同期で作動させるための手段と、
該少なくとも1つの第1のリセットパルスと、該少なくとも1つの第2のリセットパルスとに応答して、該RF出力ステージをリセットするために、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを同期で作動させるための手段と
を備えている、システム。
【0022】
(項目12)
上記不連続のRF波形の波高率を決定するための手段をさらに備えている、項目11に記載のシステム。
【0023】
(項目13)
上記波高率に基づいて、上記複数の第1のリセットパルスと上記複数の第2のリセットパルスとのそれぞれの少なくとも1つの特性を調節するための手段をさらに備えている、項目12に記載のシステム。
【0024】
(項目14)
上記少なくとも1つの特性は、パルス幅、周波数、およびデューティサイクルからなる群から選択される、項目13に記載のシステム。
【0025】
(項目15)
第3の切り替え要素を制御するための第3の制御パルスを含む第3のパルス列を生成するための手段をさらに備えている、項目14に記載のシステム。
【0026】
(項目16)
上記RF出力ステージに蓄積された残りのエネルギーを制動するために、上記第1の切り替え要素および上記第2の切り替え要素の停止の間に上記第3の切り替え要素を作動させるための手段をさらに備えている、項目15に記載のシステム。
【0027】
(項目17)
電気外科手術を行うためのシステムであって、
所望の波高率に基づいて、不連続のRF波形を生成するために、第1の制御パルスと第2の制御パルスとを提供するための手段と、
該不連続のRF波形の実際の波高率を決定するための手段と、
該所望の波高率を該実際の波高率と比較するための手段と、
該実際の波高率を調節するために、第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と、第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とを調節するための手段であって、該第1のリセットパルスと、該第2のリセットパルスとは、RF出力ステージをリセットし、それにより、該所望の波高率を維持するように構成されている、手段と
を備えている、システム。
【0028】
(項目18)
上記第1のリセットパルスと上記第2のリセットパルスとのそれぞれの上記少なくとも1つの特性は、該第1のリセットパルスと上記第1の制御パルスとの間の時間差と、該第2のリセットパルスと上記第2の制御パルスとの間の時間差とのそれぞれである、項目17に記載のシステム。
【0029】
(項目19)
上記第1のリセットパルスと上記第2のリセットパルスとのそれぞれの上記少なくとも1つの特性は、該第1のリセットパルスおよび該第2のリセットパルスの作動の持続時間である、項目17に記載のシステム。
【0030】
(項目20)
上記第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と、上記第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とを調節するための手段は、該少なくとも1つの第1のリセットパルスの周波数、期間、およびデューティサイクルのうちの少なくとも1つを調節するための手段を含む、項目17に記載のシステム。
【0031】
(項目21)
上記第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と、上記第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とを調節するための手段は、該少なくとも1つの第2のリセットパルスの周波数、期間、およびデューティサイクルのうちの少なくとも1つを調節するための手段を含む、項目17に記載のシステム。
【0032】
(項目22)
上記少なくとも1つの第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と、上記少なくとも1つの第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とは、同じである、項目17に記載のシステム。
【0033】
(項目23)
上記所望の波高率は、発電器によって自動的に設定される、項目17に記載のシステム。
【0034】
(項目24)
上記所望の波高率は、ユーザによって手動で設定される、項目17に記載のシステム。
【0035】
(項目11a)
電気外科手術を行うための方法であって、該方法は、
第1のパルス列を生成するステップであって、該第1のパルス列は、少なくとも1つの第1の制御パルスと、少なくとも1つの第1のリセットパルスとを含む、ステップと、
第2のパルス列を生成するステップであって、該第2のパルス列は、少なくとも1つの第2の制御パルスと、少なくとも1つの第2のリセットパルスとを含み、該少なくとも1つの第1の制御パルスと、該少なくとも1つの第2の制御パルスとは、非同期であり、そして、該少なくとも1つの第1のリセットパルスと、該少なくとも1つの第2のリセットパルスとは、同期である、ステップと、
該少なくとも1つの第1の制御パルス列と、該少なくとも1つの第2の制御パルス列とをRF出力ステージに供給するためのステップであって、該RF出力ステージは、第1の切り替え要素と第2の切り替え要素とを有する、ステップと、
該複数の非同期の第1の制御パルスと、該複数の非同期の第2の制御パルスとに応答して、不連続のRF波形を生成するために、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを非同期で作動させるステップと、
該少なくとも1つの第1のリセットパルスと、該少なくとも1つの第2のリセットパルスとに応答して、該RF出力ステージをリセットするために、該第1の切り替え要素と該第2の切り替え要素とを同期で作動させるステップと
を包含する、方法。
【0036】
(項目12a)
上記不連続のRF波形の波高率を決定するステップをさらに包含する、項目11aに記載の電気外科手術を行うための方法。
【0037】
(項目13a)
上記波高率に基づいて、上記複数の第1のリセットパルスと上記複数の第2のリセットパルスとのそれぞれの少なくとも1つの特性を調節するステップをさらに包含する、項目12aに記載の電気外科手術を行う方法。
【0038】
(項目14a)
上記少なくとも1つの特性は、パルス幅、周波数、およびデューティサイクルからなる群から選択される、項目13aに記載の電気外科手術を行う方法。
【0039】
(項目15a)
第3の切り替え要素を制御するための第3の制御パルスを含む第3のパルス列を生成するためのステップをさらに包含する、項目14aに記載の電気外科手術を行う方法。
【0040】
(項目16a)
上記RF出力ステージに蓄積された残りのエネルギーを制動するために、上記第1の切り替え要素および上記第2の切り替え要素の停止の間に上記第3の切り替え要素を作動させるためのステップをさらに包含している、項目15aに記載の電気外科手術を行う方法。
【0041】
(項目17a)
電気外科手術を行うための方法であって、該方法は、
所望の波高率に基づいて、不連続のRF波形を生成するために、第1の制御パルスと第2の制御パルスとを提供するステップと、
該不連続のRF波形の実際の波高率を決定するステップと、
該所望の波高率を該実際の波高率と比較するステップと、
該実際の波高率を調節するために、第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と、第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とを調節するステップであって、該第1のリセットパルスと、該第2のリセットパルスとは、RF出力ステージをリセットし、それにより、該所望の波高率を維持するように構成されている、ステップと
を包含している、方法。
【0042】
(項目18a)
上記第1のリセットパルスと上記第2のリセットパルスとのそれぞれの上記少なくとも1つの特性は、該第1のリセットパルスと上記第1の制御パルスとの間の時間差と、該第2のリセットパルスと上記第2の制御パルスとの間の時間差とのそれぞれである、項目17aに記載の電気外科手術を行うための方法。
【0043】
(項目19a)
上記第1のリセットパルスと上記第2のリセットパルスとのそれぞれの上記少なくとも1つの特性は、該第1のリセットパルスおよび該第2のリセットパルスの作動の持続時間である、項目17aに記載の電気外科手術を行うための方法。
【0044】
(項目20a)
上記第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と、上記第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とを調節するためのステップは、該少なくとも1つの第1のリセットパルスの周波数、期間、およびデューティサイクルのうちの少なくとも1つを調節することを含む、項目17aに記載の電気外科手術を行うための方法。
【0045】
(項目21a)
上記第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と、上記第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とを調節するためのステップは、該少なくとも1つの第2のリセットパルスの周波数、期間、およびデューティサイクルのうちの少なくとも1つを調節することを含む、項目17aに記載の電気外科手術を行うための方法。
【0046】
(項目22a)
上記少なくとも1つの第1のリセットパルスの少なくとも1つの特性と、上記少なくとも1つの第2のリセットパルスの少なくとも1つの特性とは、同じである、項目17aに記載の電気外科手術を行うための方法。
【0047】
(項目23a)
上記所望の波高率は、発電器によって自動的に設定される、項目17aに記載の電気外科手術を行う方法。
【0048】
(項目24a)
上記所望の波高率は、ユーザによって手動で設定される、項目17aに記載の電気外科手術を行う方法。
【0049】
(摘要)
本開示は、電気外科用発電器に関し、該電気外科用発電器は、少なくとも1つの第1の制御パルスと、少なくとも1つの第1のリセットパルスとを有する第1のパルス列を生成するように構成されたコントローラを含む。コントローラはまた、少なくとも1つの第2の制御パルスと、少なくとも1つの第2のリセットパルスとを有する第2のパルス列を含む。第1の制御パルスと、第2の制御パルスとは、非同期であり、そして、リセットパルスは、同期である。電気外科用発電器はまた、RF出力ステージを含み、該RF出力ステージは、第1の切り替え要素と第2の切り替え要素とを含む。制御パルスは、不連続のRF波形を生成するために、第1の切り替え要素と第2の切り替え要素とをそれぞれ、非同期で作動させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本開示の様々な実施形態が、図面を参照して本明細書において記述される。
図1A図1A図1Bは、本開示に従った、電気外科用システムの概略的ブロック図である。
図1B図1A図1Bは、本開示に従った、電気外科用システムの概略的ブロック図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に従った、発電器の概略的ブロック図である。
図3図3は、本開示に従った、非シングルエンド(non−single ended)変圧器の概略図である。
図4図4は、本開示に従った、複数のパルス列と、100%のデューティサイクルのRF波形出力との概略図である。
図5図5は、本開示に従った、複数のパルス列と、100%未満のデューティサイクルのRF波形出力との概略図である。
図6図6は、本開示に従った、所望の波と、望ましくない波とを示す低い波高率のRF波形のグラフである。
図7図7は、本開示に従った、複数のパルス列と、複数のリセットパルスと、100%未満のデューティサイクルのRF波形出力との概略図である。
図8図8は、本開示に従った、所望の波と、望ましくない波とを示す高い波高率のRF波形のグラフである。
図9図9は、本開示の別の実施形態に従った、非シングルエンド変圧器の概略図である。
図10図10は、本開示の別の実施形態に従った、複数のパルス列の概略図である。
図11図11は、本開示に従った、波高率を維持する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照して以下で記述される。以下の記述において、周知の機能または周知の構成は、不要な詳細で本開示を不明確にすることを避けるために詳細には記述されない。
【0052】
本開示に従った電気外科用発電器は、単極および双極の電気外科手順を行い得、該単極および双極の電気外科手順は、血管シーリング手順を含む。発電器は、様々な電気外科用器具(例えば、単極の活性電極、リターン電極、双極の電気外科用鉗子、フットスイッチなど)とインタフェースするための複数の出力を含み得る。さらに、発電器は、電子回路網を含み、該電子回路網は、様々な電気外科モード(例えば、切断、調合、分割など)と、様々な電気外科手順(例えば、単極、双極、血管シーリング)とに特に適した無線周波数電力を生成するように構成されている。
【0053】
図1Aは、本開示の一実施形態に従った単極の電気外科用システム1の概略的例示である。システム1は、患者Pの組織を処置するための1つ以上の電極を有する電気外科用器具2を含む。器具2は、1つ以上の活性電極(例えば、電気外科用切断プローブ、切除電極など)を含む単極型器具である。電気外科RFエネルギーは、発電器20によって、供給線4を経由して器具2に供給され、該供給線4は、発電器20の活性端子30(図2)に接続され、器具2が、組織を凝固、シール、切除、および/または処置することを可能にする。エネルギーは、リターン電極6を通り、リターン線8を経由して、発電器20のリターン端子32(図2)において発電器20に戻る。活性端子30とリターン端子32とは、器具2およびリターン電極6のプラグ(明確には図示せず)とそれぞれインタフェースするように構成されたコネクタであり、該プラグは、供給線4およびリターン線8の端に配置されている。
【0054】
システム1は、複数のリターン電極6を含み得、該複数のリターン電極6は、患者Pとの全接触面積を最大化することによって組織の損傷の可能性を最小化するように配置されている。さらに、発電器20とリターン電極6とは、いわゆる「患者に対する組織(tissue−to−patient)」接触をモニタリングするように構成され得、充分な接触が、それらの間に存在するということを確実にすることにより、組織の損傷の可能性をさらに最小化する。
【0055】
図1Bは、本開示に従った双極の電気外科用システム3の概略的例示である。システム3は、患者Pの組織を処置するための1つ以上の電極を有する双極の電気外科用鉗子10を含む。電気外科用鉗子10は、対向する顎部材を含み、該対向する顎部材は、その中に配置された活性電極14とリターン電極16とを有する。活性電極14とリターン電極16とは、ケーブル18を介して発電器20に接続され、該ケーブル18は、活性端子30とリターン端子32とにそれぞれ結合された供給線4とリターン線8とを含む(図2)。電気外科用鉗子10は、コネクタ21において発電器20に結合され、該コネクタ21は、ケーブル18の端に配置されたプラグによる活性端子30およびリターン端子32に対する接続部(例えば、ピン)を有し、プラグは、供給線4およびリターン線8からの接点を含む。
【0056】
発電器20は、発電器20を制御するための適切な入力制御装置(例えば、ボタン、アクティベータ、スイッチ、タッチスクリーンなど)を含む。さらに、発電器20は、様々な出力情報(例えば、強度設定、処置完了の指標など)をユーザに提供するための1つ以上の表示スクリーンを含み得る。制御装置は、ユーザが、RFエネルギーの電力、波形、および他のパラメータを調節することにより、特定の作業(例えば、凝固、組織シーリング、強度設定など)に適した所望の波形を達成することを可能にする。器具2はまた、複数の入力制御装置を含み得、該複数の入力制御装置は、発電器20の特定の入力制御装置に対して冗長であり得る。器具2に入力制御装置を配置することが、発電器20との相互作用を必要とすることなく、外科手術手順の間のRFエネルギーのパラメータのより容易、かつ、より迅速な修正を可能にする。
【0057】
図2は、本開示の一実施形態に従った発電器20の概略的ブロック図を例示する。発電器20は、コントローラ24と、高電圧DC電源27(HVPS)と、RF出力ステージ28とを含む。コントローラ24は、電源(図示せず)、例えば、低電圧DC電源を含み、該電源は、コントローラ24の回路網および/またはRF出力ステージ28に低電圧電力を提供する。HVPS27は、従来のAC電源(例えば、壁の電気コンセント)に接続され、そして、高電圧DC電力をRF出力ステージ28に提供し、次に、該RF出力ステージ28は、高電圧DC電力をRFエネルギーに変換し、そして、RFエネルギーを活性端子30に送達する。エネルギーは、リターン端子32を経由してRF出力ステージ28に戻される。
【0058】
特に、RF出力ステージ28は、高いRFエネルギーのシヌソイド波形を生成する。RF出力ステージ28は、様々なデューティサイクル、様々なピーク電圧、様々な波高率、および様々な他の適切なパラメータを有する複数の波形を生成するように構成されている。特定のタイプの波形が、特定の電気外科モードに適している。例えば、RF出力ステージ28は、切断モードにおいて、組織を切除、融合、および切開するために最も適した100%のデューティサイクルのシヌソイド波形を生成し、そして、凝固モードにおいて、出血を止めるために組織を焼灼するために最も使用される1〜25%のデューティサイクルの波形を生成する。
【0059】
発電器20は、様々なタイプの電気外科用器具(例えば、器具2、電気外科用鉗子10など)に適合するような複数のコネクタを含み得る。さらに、発電器20は、切除、単極および双極の切断、凝固などの様々なモードで動作するように構成されている。発電器20が、切り替えメカニズム(例えば、中継器)を含むことにより、コネクタ間のRFエネルギーの供給を切り替えるので、例えば、器具2が発電器20に接続されたときには、単極のプラグだけが、RFエネルギーを受け取るということが、想定される。
【0060】
コントローラ24は、メモリ26に動作可能に接続されたマイクロプロセッサ25を含み、該メモリ26は、揮発型メモリ(例えば、RAM)および/または不揮発型メモリ(例えば、フラッシュ媒体、ディスク媒体など)であり得る。マイクロプロセッサ25は、出力ポートを含み、該出力ポートは、HVPS27および/またはRF出力ステージ28に動作可能に接続され、開制御ループスキームおよび/または閉制御ループスキームのいずれかに従って、マイクロプロセッサ25が発電器20の出力を制御することを可能にする。当業者は、マイクロプロセッサ25は、本明細書において考察される計算を行うように適合された任意の論理プロセッサ(例えば、制御回路)によって置き換えられ得るということを理解する。
【0061】
閉ループ制御スキームは、フィードバック制御ループであり、該フィードバック制御ループにおいては、センサ回路22および/または波高率検出回路23は、両者が様々な組織特性および様々なエネルギー特性(例えば、組織のインピーダンス、組織の温度、出力電流および/または出力電圧、波高率など)を測定する複数のセンサを含み得、該センサ回路22および/または該波高率検出回路23は、コントローラ24にフィードバックを提供する。かかるセンサは、当業者の理解の範囲内にある。次に、コントローラ24は、HVPS27および/またはRF出力ステージ28に信号を送り、次に、該HVPS27および/または該RF出力ステージ28は、DC電源および/またはRF電源をそれぞれ調節する。コントローラ24はまた、発電器20の入力制御装置または器具2からの入力信号を受信する。コントローラ24は、入力信号を利用することにより、発電器20によって出力された電力を調節し、および/または発電器20において他の制御機能を行う。
【0062】
図3は、変圧器40を有するRF出力ステージ28の概略図を描く。一実施形態において、変圧器40は、簡略化プッシュプル式トポロジで構成された非シングルエンド変圧器である。本システムと本方法とが、一次巻き線41と二次巻き線43とを有する任意の非シングルエンド変圧器トポロジ(例えば、フルブリッジ)に適用され得るということも想定される。一次巻き線41は、HVPS27に結合され、そして、第1の切り替え要素42と、第2の切り替え要素44とを含み、該第1の切り替え要素42と該第2の切り替え要素44とは、例えば、トランジスタ、FET、MOSFETなどであり得る。切り替え要素42と切り替え要素44とは、コントローラ24に結合され、該コントローラ24は、切り替え要素42と切り替え要素44との動作を制御することにより、RFエネルギーを生成する。さらに詳細には、コントローラ24は、第1のパルス列60の低電圧クロック信号をRF出力ステージ28の切り替え要素42に伝達し、かつ、第2のパルス列62の低電圧クロック信号をRF出力ステージ28の切り替え要素44に伝達するように構成されている(図6に示されている)。二次巻き線43は、活性端子30とリターン端子32とに結合される。
【0063】
様々なタイプの制御ループにおいて、RF出力ステージ28によって送達されるRFエネルギーの特定の特性を測定することが、望ましいことがあり得る。特に、電圧が、継続的に測定され、そして、インピーダンスが、センサ回路22によって計算される。一実施形態において、制御ループは、波形の波高率を測定し、そして、波高率を所望のレベルに維持するように構成され得る。波高率は、RF出力波形の凝固能力に関する有用な測定値であり、したがって、波高率を増加または制御することは、凝固を含む電気外科手順に有益である。
【0064】
本開示は、RF波形の所望の波高率を維持するためのシステムと方法とを提供する。高い波高率の波形は、電気外科手順において特に有用である。波高率は、ピーク電圧と、対称的な波形、すなわち、(例えば、RF周波数において中断または一時休止がないときに)100%のデューティサイクルを有する波形に対する二乗平均(RMS)電圧との比として定義される。
(1)CF=VPEAK/VRMS
非対称的な波形に関して、波高率は、ピークピーク間電圧とRMS電圧の2倍との比として定義される。
(2)CF=V(PEAK−PEAK)/2*VRMS
電気外科用発電器は、中断ステージまたは一時休止ステージの間の、主に過度なリンギングに起因して、高い波高率の波形を生成することが困難である。RF波形におけるリンギングは、高いインピーダンスの負荷の際に、特に過度なものになる。これは、波形のRMSの増加に起因して生じ、そして、このことが、上記の式(2)に見られるように波高率を減少させる。望ましくないリンギングが、除去されたときには、波形のRMSが減少し、その結果、波高率を増加させる(例えば、波高率を維持する)。
【0065】
図4は、複数のパルス列と、対応する100%のデューティサイクルのRF波形との概略図を例示する。上述のように、コントローラ24は、低電圧電源(図示せず)から得られる低電圧クロック信号を、第1のパルス列60としてRF出力ステージ28の切り替え要素42に伝達し、そして、第2のパルス列62としてRF出力ステージ28の切り替え要素44に伝達するように構成されている。パルス列のそれぞれは、複数の制御パルス60aと複数の制御パルス62aとをそれぞれ含む。(図4における出力波形64に示された)100%のデューティサイクルの波形が、所望されるとき、すなわち、電力の一時休止または中断がないときには、第1の制御パルス列60aと第2の制御パルス列62aとは、非同期的であり、かつ、連続的である。RF波形64が、第1のパルス列60および第2のパルス列62として生成されることにより、それぞれの切り替え要素40および切り替え要素42を制御する。
【0066】
さらに詳細には、クロック信号の矩形波が、その最大振幅にあるとき、すなわち、第1の制御パルス60aが、切り替え要素42を作動させるときには、第1のパルス列60は、RF出力ステージ28のプルを作動させる。クロック信号の矩形波が、その最大振幅にあり、それにより、第2の制御パルス62aが、切り替え要素44を作動させるときには、第2のパルス列62は、RF出力ステージ28のプッシュを作動させる。第1の制御パルス60aと第2の制御パルス62aとを互い違いにして、制御パルス60aと制御パルス62aとを1/2サイクルのタイミング(例えば、180°位相外れ)で間隔を置くことによって、RF波形64が、特定の周波数において作り出される。さらに、同調が、誘導子、コンデンサ、および/または変圧器40の寄生を用いて行われ得ることにより、図4における出力波形64に例示されているようなシヌソイド出力を与える。
【0067】
図5は、複数のパルス列と、100%未満のデューティサイクルのRF波形出力との概略図を描く。波形64は、100%未満のデューティサイクルを有する。第1の制御パルス60bと第2の制御パルス62aとは、180°だけ位相が異なっている。言い換えると、パルスは、互い違いに配置され、このことが、非同期的な波形の生成を可能にする。さらに、第1の制御パルス60aと第2の制御パルス62aとの両方が、一時休止されることにより、波形の停止を提供する期間がある。第1の制御パルス60aと第2の制御パルス62bとが、RF波形の停止の間、一時休止されると、リンギングが、66の範囲において生じ、したがって、100%未満のデューティサイクルとなる。
【0068】
領域66は、パルス列60とパルス列62との一時休止、すなわち、活動のないことに起因して徐々に減衰するRF波形64を示す。(図3に示された)切り替え要素42と切り替え要素44とが、パルス列60とパルス列62とを受信しない領域として、領域66は定義される。パルス列60とパルス列62とにおいて一時休止がある場合であっても、依然として、変圧器40の同調要素に蓄積された充分なエネルギーがあり、その結果、エネルギーは、リンギングを起こす。制御パルス列60と制御パルス列62とが、RF出力ステージ28において停止されたときには、リンギングが、波形64の領域66において生じる。なぜならば、蓄積されたエネルギーが、依然として回路網に存在するからである。次に、領域66におけるリンギングは、図5に例示されているように、RF波形64における波高率を減少させる。電気外科用ユニットの高い波高率波形出力を維持するために、領域66において示された波形64におけるリンギングは、減少および/または排除されなければならない。
【0069】
図6は、100%未満のデューティサイクルを有する非同期的な波形におけるリンギングの影響を例示する。図6は、本開示に従った、所望の波と望ましくない波とを示す低い波高率のRF波形50のグラフを示す。低い波高率の波形50は、所望の波形52および所望の波形54と、過度なリンギング波の領域60とを含む。過度なリンギングは、徐々にサイズが減少する波を伴って、望ましくない波56から、より小さな望ましくない波58まで伝搬する。波形50のRMSは、過度なリンギングに起因して増加し、その結果、波高率を低下させる。
【0070】
図7は、本開示に従った、100%未満のデューティサイクルのRF波形出力を生成するように適合された複数のパルス列と複数のリセットパルスとの概略図を描く。高い波高率を維持するために、第1のパルス列60と第2のパルス列62とは、第1の制御パルス60aと第2の制御パルス62aとに加えて、第1のリセットパルス60bと第2のリセットパルス62bとを含み、該第1のリセットパルス60bと該第2のリセットパルス62bとは、同期的に、かつ、同時に(例えば、位相が同じで)、切り替え要素42と切り替え要素44とに伝達される。リセットパルスは、好適には、実質的に同じ持続時間のものである。第1のリセットパルス60bと第2のリセットパルス62bとが、コントローラ24によって同期的に、かつ、同時に伝達されたときには、不連続のRF波形64は、実質的にリンギングを生成しない。すなわち、コントローラ24は、第1のリセットパルス60bと第2のリセットパルス62bとを同時に伝達することによって、切り替え要素42と切り替え要素44とにおいてRF出力ステージを短絡している。リンギングの実質的な減少が、RF出力ステージ28の短絡に起因した領域68における、波形64の64bにおいて描かれている。
【0071】
第1のリセットパルス60bと第2のリセットパルス62bとのタイミングが、患者の負荷および/または異なる電気外科手順に依存して調節され得るということが、想定される。例えば、コントローラ24によって伝達される第1のリセットパルス60bと第2のリセットパルス62bとの開始時刻が、異なり得る。第1のリセットパルス60bと第2のリセットパルス62bとの持続時間が、異なる電気外科手順および/または異なる患者で異なり得るということもまた、想定される。これらの必要とされる調節および/またはこれらの所望の調節の全てが、コントローラ24によって、クロック信号を切り替え要素に伝達することによって行われ得る。
【0072】
実施形態において、所望の波高率が、特定のパラメータに基づいてリアルタイムで調節され得、該特定のパラメータは、限定するものではないが、組織のインピーダンス、作動時間Tからの持続時間、繰り返しのパターン、組織の温度、ブレードの温度である。これらのパラメータは、コントローラまたはユーザによって調節され得る。
【0073】
他の実施形態において、波高率は、デューティサイクル、例えば、パルスの数、パルスパターンの数を変更することによって調節され得る。さらに詳細には、パルスパターンは、約4.6%のデューティサイクルを有する単一のパルスパターン(すなわち、噴霧凝固モード)、約100%のデューティサイクルを有する多数のパルスパターン(すなわち、調合モードまたは純粋な切断モード)に調節され得る。約4.6%から約100%までデューティサイクルを調節することによって、次に、これが、約1.4〜約8.0まで波高率を調節する。
【0074】
図8は、本開示に従った、所望の波形と望ましくない波形とを示す高い波高率のRF波形50’のグラフを例示する。高い波高率50’は、所望の波52’と所望の波54’とを含む。高い波高率波形50’はまた、過度なリンギング波の領域60’を含む。過度なリンギングは、望ましくない波56’と望ましくない波58’との間で減少させられて伝搬する。リンギングの減少は、サイズが実質的に同様である、望ましくない波56’と望ましくない波58’とにおいて見られる。過度なリンギング波の領域60とは異なり、領域60’の波もまた、実質的により小さい。このシナリオにおいて、波形50’のRMSは、減少させられる。なぜならば、望ましくないリンギング波56’と望ましくないリンギング波58’とは、小さいからであり、その結果、波高率を増加させる。
【0075】
図9および図10は、本開示の別の実施形態を例示する。図9は、本開示の別の実施形態に従ったRF出力ステージ27の概略図である。RF出力ステージ28は、簡略化プッシュプル式トポロジで構成された非シングルエンド変圧器40を含む。変圧器40は、切り替え要素42と、切り替え要素44と、切り替え要素48とを含む。切り替え要素48は、抵抗負荷49に直列で結合される。第1のパルス列60と第2のパルス列62とのクロック周波数を、RF出力ステージ28の切り替え要素42と切り替え要素44とのそれぞれに伝達することに加えて、コントローラ24はまた、第3のパルス列63を切り替え要素48に伝達する。
【0076】
図10は、コントローラ24によって伝達された複数のパルス列の概略図を例示する。第3の制御パルスは、実質的に、切り替え要素42および切り替え要素44の停止の持続時間の間で、ある期間継続するので、切り替え要素42および切り替え要素44の停止の間、切り替え要素48が、作動される。結果として、変圧器40、ならびに誘導子およびコンデンサの全て、および/または変圧器40の寄生からのエネルギーが、抵抗負荷49に制動される。切り替え要素48の作動の間、RF波形64は、領域69において実質的にリンギングを示さない。なぜならば、全てのエネルギーが、抵抗負荷49に制動されたからである。リンギングの実質的な減少が、領域69における波形64の64bにおいて描かれている。したがって、RF波形64の波高率が、維持および/または増加され、その結果、電気外科手順における凝固を助ける。
【0077】
図11は、本開示に従った、所望の波高率を維持する方法の流れ図を示す。方法は、波高率検出回路23を利用し、該波高率検出回路23は、センサ回路22の一部分として閉ループ制御スキームに実装され得る。上述のように、RF波形64の所望の波高率を維持するために、過度なリンギングは、最小化されなければならない。ステップ100において、所望の波高率が選択され、そして、発電器20に設定される。ユーザは、手動で、発電器20に所望の波高率を設定し得るか、または所望の波高率は、発電器20によって自動的に設定され得る。発電器20の所望の波高率の自動的な決定は、ユーザによって入力されるその他任意の入力、および/または他のパラメータに依存し得るということが、想定される。パラメータの一部は、例えば、組織のインピーダンス、作動時間Tからの持続時間、組織の温度、および/または時間変化するパターンであり得るが、それらに限定するものではない。所望の波高率は、特定の電気外科手順に対して選択される値、および/または特定の電気外科用器具と関連付けられる値であり得る。
【0078】
ステップ102において、波高率検出回路23は、不連続のRF波形64(図7)の実際の波高率を計算および決定する。波高率検出回路23は、電圧を測定し、そして、上で考察された、式(1)および式(2)に基づいてピーク電圧とRMS電圧とを計算する。次に、電圧値が、波高率検出回路23によって使用されて、波高率を決定する。
【0079】
他の実施形態において、波高率検出回路23は、「電流」波形(図示せず)の実際の「電流」波高率を計算および決定するように構成され得る。「電流」波高率は、ピーク電流とRMS電流との比として定義される。
(3)ICF=IPEAK/IRMS
次に、電流値が、(RF波形の波高率と同様に)波高率検出回路23によって使用されて、「電流」波高率を決定する。
【0080】
ステップ104において、マイクロプロセッサ25および/または波高率検出回路23は、実際の波高率を所望の波高率と比較し、それにより、波高率の誤差を決定する。コントローラ24は、実際の波高率が、所望の波高率よりも高いか低いかを決定する。所望の波高率よりも小さいか、大きい場合には、方法は、ステップ106に進み、ステップ106において、第1のリセットパルス60bおよび第2のリセットパルス62b(図7)の特性が、所望の波高率に適合するように実際の波高率を減少または増加させるために、コントローラ24によって調節される。例えば、第1のリセットパルス60bおよび第2のリセットパルス62bの、周波数、期間、デューティサイクル、および他の特性が、調節され得る。
【0081】
本開示の一実施形態に従って、作動時間T+a(例えば、デューティサイクル)と、同期リセットパルス60bおよび同期リセットパルス62bの持続時間T(例えば、パルスの期間)とは、変更され得る。特に、コントローラ24によって伝達される、第1のリセットパルス60bおよび第2のリセットパルス62bのデューティサイクルは、停止期間T+aを調節することによって変更され得、Tは、制御パルス62aの期間または残りの部分であり、そして、aは、立下がり制御パルス(例えば、制御パルス62a)と、第1のリセットパルス60bおよび第2のリセットパルス62bとの間の期間である。図7に示されているように、同期リセットパルス60bと同期リセットパルス62bとの間の起動期間Tもまた、調節され得る。作動時間T+aと、第1のリセットパルス60aおよび第2のリセットパルス60bの持続時間Tとの変化形を決定し得る要因の一部は、患者の組織の組成、ユーザの処置計画、および/または波形の特定のパラメータ(例えば、波高率、波長、波の期間など)における影響である。
【0082】
以後、方法は、ステップ100に戻り、そして、所望の波高率を維持するステップを繰り返す。追加のステップが、特定のデューティサイクルを超えたリンギングに対する実際のRF波形を走査するために含まれ得るということも想定される。走査の結果として、RF波形が、解析されることにより、次の同期リセットパルスおよび/または制御パルスが、作動され得るときを決定し得る。
【0083】
本開示のいくつかの実施形態が、図面に示され、および/または本明細書において考察されてきたが、本開示は、それらに限定されるということは意図していない。なぜならば、本開示は、当該分野が許容する限り範囲が広いということと、本明細書が同様に読まれるべきであるということとが意図されているからである。したがって、上の記述は、限定として解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲と精神との範囲内で他の改変を想定する。
図1A
図1B
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図11