特許第5746817号(P5746817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5746817ポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746817
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】ポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/672 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   B65D85/672
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2009-75605(P2009-75605)
(22)【出願日】2009年3月26日
(65)【公開番号】特開2010-228763(P2010-228763A)
(43)【公開日】2010年10月14日
【審査請求日】2012年1月19日
【審判番号】不服2014-236(P2014-236/J1)
【審判請求日】2014年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(72)【発明者】
【氏名】勝木 省三
(72)【発明者】
【氏名】浜田 一之
(72)【発明者】
【氏名】岩井 英記
【合議体】
【審判長】 渡邊 豊英
【審判官】 熊倉 強
【審判官】 渡邊 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−23235(JP,A)
【文献】 特開2006−291079(JP,A)
【文献】 特開2004−203545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/672
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性率が200kgf/mm以上である巻取りコアに平均厚みが12.525μmで、その最大厚みと最少厚みの差が1μm以下であり、静摩擦係数が0.4以下であるポリイミドフィルムを巻取り、外周に0.6mm以下の表面凹凸を有するポリイミドフィルムロールを得て、該ポリイミドフィルムロールを、15〜30℃、40%RH以下の環境下にて24時間以上保管した後、24時間あたりの透湿度が1g/m以下の梱包材で包装することを特徴とするポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法。
【請求項2】
前記ポリイミドフィルムロールは、前記巻取りコアに、前記ポリイミドフィルムを500〜3000m巻取って得る、請求項1に記載のポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム表面に皺等が生じにくいポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムは、高耐熱性、高電気絶縁性を有し、薄手のフィルムであっても取扱上必要な剛性や耐熱性や電気絶縁性が満たされる。このため、電気絶縁フィルム、断熱性フィルム、フレキシブル回路基板のベースフィルム等、産業分野において幅広く使用されている。なかでも、フレキシブル回路基板は、携帯電話や液晶テレビ等の需要拡大に伴って需要が増大しており、また、配線高密度化が進展している。これに伴いポリイミドフィルムにおいても、電気絶縁支持体としての性能及び加工性の向上の要求が高まっている。
【0003】
ところで、ポリイミドフィルムは、弾力性がないため、ポリイミドフィルムを巻き取ってロール状にすると、巻取り時の応力や、吸湿による変形によって、保管時にフィルムロールが変形して、フィルム表面に皺が生じることが多い。皺が生成することにより、最終製品の性能不良などの原因となったり、皺の部分を避けてポリイミドフィルムを使用する必要性が生じるので、歩留まりの低下につながる。
ポリイミドフィルムロール保管時における皺の発生を防止する方法として、ポリイミドフィルムロールを防湿包装する方法が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ポリイミドフィルムロールの外側に、金属材料からなる包装用シート材が配置されてなるポリイミドフィルムロールが開示されている。
また、下記特許文献2には、24時間あたりの透湿度が4.0g/m以下のシートが、ロール外層に巻きつけられてなるポリイミドフィルムロールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−370788号公報
【特許文献2】特開2004−203545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ポリイミドフィルムは、製膜時において、幅方向に厚みムラが生じ易い。このため、ポリイミドフィルムをロール状に巻き取ると、わずかな厚みムラであっても、フィルムが巻き重ねられて積層されてゆくことによって、ロールの外周表面には凹凸が生じる。ロール外周表面に凹凸が生じると、この凹凸部分が平坦になろうとして凸の部分から凹の部分に向かって応力が生じる。その結果、凹凸を起点とし、ロール内部で応力が発生し、ポリイミドフィルムの表面に経時的に皺が発生する問題があった。特にポリイミドフィルムの薄膜化に伴い、皺が発生し易くなる傾向にあった。
このため、上記特許文献1,2に開示されているように、ポリイミドフィルムロールを防湿包装しても、皺の発生を十分抑制できなかった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、長期間保存してもポリイミドフィルムの表面に皺等の変形が生じにくいポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するにあたり、本発明のポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法は、巻取りコアにポリイミドフィルムを巻取り、外周の表面凹凸が0.6mm以下のポリイミドフィルムロールを得て、該ポリイミドフィルムロールを、15〜30℃、40%RH以下の環境下にて24時間以上保管した後、24時間あたりの透湿度が1g/m以下の梱包材で包装することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、巻取りコアにポリイミドフィルムを巻き取って、外周の表面凹凸を0.6mm以下のポリイミドフィルムロールを得ることで、該ロール表面の凹凸部分を起点とした、ロール内部に生じる応力を低減できる。そして、このポリイミドフィルムロールを、15〜30℃、40%RH以下の環境下にて24時間以上保管することで、ポリイミドフィルムの吸水率が安定し、更にはポリイミドフィルム中に残存する有機溶剤などが放出される。こうして保管された、ポリイミドフィルムロールを、24時間あたりの透湿度が1g/m以下の梱包材で包装することで、内部応力によるポリイミドフィルムロールの変形や、吸湿によるポリイミドフィルムの膨張を抑えることができ、長期にわたってポリイミドフィルムの表面に皺等の発生を抑制できる。
【0010】
本発明のポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法において、前記ポリイミドフィルムは、平均厚みが5〜75μmで、その最大厚みと最少厚みの差が1μm以下であることが好ましい。この態様によれば、厚みのバラつきの小さいポリイミドフィルムを用いることで、ポリイミドフィルムロールの外周の表面凹凸をより小さくできる。その結果、凹凸を起点とした、ポリイミドフィルムロール内部で発生する応力をより低減でき、フポリイミドフィルム表面における皺の発生をより効果的に抑制できる。
【0011】
本発明のポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法において、前記ポリイミドフィルムは、静摩擦係数が0.9以下であることが好ましい。この態様によれば、ポリイミドフィルムの滑りが良好で、より低い張力でポリイミドフィルムを巻取ることができる。また、巻取り時におけるフィルム表裏間の摩擦をより低減できるので、ポリイミドフィルムロール内の残留応力をより低減でき、ポリイミドフィルムロールの変形を抑制できる。
【0012】
本発明のポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法において、前記巻取りコアは、弾性率が200kgf/mm以上であることが好ましい。この態様によれば、ポリイミドフィルムロールの内側における巻き乱れの発生を抑制できる。
【0013】
本発明のポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法において、前記ポリイミドフィルムロールは、前記巻取りコアに、前記ポリイミドフィルムを500〜3000m巻取って得ることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長期にわたってポリイミドフィルム表面に皺等が発生し難いポリイミドフィルムロール梱包体を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】巻取りコアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のポリイミドフィルムロール梱包体の製造方法は、まず、巻取りコアにポリイミドフィルムを巻取って、ポリイミドフィルムロールを得る。
【0017】
本発明において、ポリイミドフィルムとしては、特に限定はなく、公知の方法で製造したものを用いることができる。例えば、(1)ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を支持体に流延又は塗布し、イミド化して得られたポリイミドフィルム、(2)ポリイミド溶液を支持体に流延、塗布し、必要に応じて加熱して得られたポリイミドフィルム、などが挙げられる。
【0018】
ポリイミドフィルムの平均膜厚は、5〜75μmが好ましく、5〜25μmがより好ましい。また、最大厚みと最少厚みの差(以下、「膜厚差」とする)は、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。膜厚差が1μm以下であれば、得られるポリイミドフィルムロールの外周の表面凹凸をより小さくできる。
【0019】
ポリイミドフィルムの表裏間の静摩擦係数は、0.9以下が好ましく、0.4以下がより好ましい。静摩擦係数が0.9以下であれば、ポリイミドフィルムの滑りが良好で、より低い張力でポリイミドフィルムを巻取りコアに巻取ることができ、ロール周方向の応力を低減できる。また、巻取り時におけるフィルム表裏間の摩擦をより低減できるので、残留応力をより低減できる。なお、本発明において、静摩擦係数の値は、ASTM D 1894に基づいて測定した値を意味する。
【0020】
本発明において、巻取りコアとしては、特に限定はなく、樹脂、金属などの材料を、円筒状ないし円柱状に成形したものが用いられる。樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ABS樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。金属としては、鉄、アルミニウム、銅、チタン、鉛、亜鉛、金、ニッケル、クロム、スズ、銀、パラジウム、白金などが挙げられる。
【0021】
巻取りコアの弾性率は、200kgf/mm以上が好ましく、500〜7000kgf/mmがより好ましく、1500〜7000kgf/mmが特に好ましい。巻取りコアの弾性率が200kgf/mm未満であると、ポリイミドフィルムを巻取った際に、巻取りコアが変形し易く、周方向残留応力が多くなって、フィルム表面に経時的に皺が発生し易くなる傾向にある。なお、本発明において、弾性率の値は、JIS K7171の三点曲げ法に基づいて測定した値を意味する。
【0022】
本発明では、巻取りコアとしては、図1に示す形態をなすものが特に好ましく用いられる。この巻取りコア1は、全体として略円柱状をなし、その両端部が縮径した形状となっている。この巻取りコア1のほぼ中央部に位置する大径部が、巻取り部2であり、当該部分でポリイミドフィルムを巻取る。また、この巻取り部2の両端の縮径部は、チャッキング部3であり、当該部分が治具などで固定されて装置に装着される。
【0023】
この巻取りコア1は、巻取り部2の直径(D1)が、チャッキング部3の直径(D2)よりも大きくされている。巻取り部2の直径(D1)は、チャッキング部3の直径(D2)の2〜3倍であることが好ましい。具体的には、巻取り部2の直径(D1)が6〜10インチで、チャッキング部3の直径(D2)が3〜6インチであることが好ましい。
【0024】
巻取り部2の直径(D1)をチャッキング部3の直径(D2)よりも大きくすることで、巻取りコアに必要な長さのポリイミドフィルムを巻き取る際に、ポリイミドフィルムの巻き数を低減できる。その結果、巻取られるポリイミドフィルムに厚みムラがあっても、巻取り後のポリイミドフィルムロールの外周の表面凹凸をより小さくできる。巻取り部2と、チャッキング部3の直径(D2)との比率が変化すると、ポリイミドフィルムの巻取り時における周速が変化して、巻き姿に影響が生じることがあるが、巻取り部2の直径(D1)と、チャッキング部3の直径(D2)とを、上記範囲となるように調整することで、ハンドリング性が良好で、巻き姿が良好なポリイミドフィルムロールが得られ易くなる。
【0025】
ポリイミドフィルムの巻取り方法としては、特に限定はなく、巻取り張力4〜20kg/m、タッチロール圧力0〜20kg/m、巻取り速度20〜100m/分の条件で巻取ることが好ましい。また、揺動を加えながらポリイミドフィルムを巻取ることが好ましい。揺動を加えながら巻取ることで、ポリイミドフィルムの厚みムラがほぼ均一になるように巻取ることができ、得られるポリイミドフィルムロール外周の表面凹凸をより小さくできる。
【0026】
ポリイミドフィルムの巻取り長さは、500〜3000mが好ましく、1000〜3000mがより好ましい。また、ポリイミドフィルムの巻き数は7000回以下が好ましく、3000回以下がより好ましい。
【0027】
このようにして巻取りコアにポリイミドフィルムを巻取って、ポリイミドフィルムロールを得る。ポリイミドフィルムロール外周の表面凹凸は、0.6mm以下であることが必要であり、0.3mm以下が好ましい。上記表面凹凸を0.6mm以下にすることで、凹凸部分を起点とした、ポリイミドフィルムロール内部で発生する応力をより低減できるため、ポリイミドフィルム表面に皺が生じにくくなる。なお、ポリイミドフィルムロールの外周の表面凹凸は、2次元レーザー変位計(キーエンス社製)でロールの巻き取りと垂直方向(TD方向)にスキャンする方法で測定できる。
【0028】
また、ポリイミドフィルムロールの巻き硬度は、200〜500Gが好ましく、300〜500Gがより好ましい。巻き硬度が200G未満であると、保形性が悪く、経時的に型崩れが生じる傾向にあり、巻き硬度が500Gを超えると、巻取りコアが変形して周方向に応力が残留し、ポリイミドフィルム表面に皺が生じる傾向にある。Gは重力加速度を意味する。なお、本発明において、巻き硬度の値は、硬度計(TAPIO社製)を用いて測定した値を意味する。
【0029】
次に、得られたポリイミドフィルムロールを、15〜30℃、好ましくは20〜25℃で、40%RH以下、好ましくは20〜40%RHの環境下にて24時間以上保管する。15〜30℃、40%RH以下の環境下にて24時間以上保管することにより、ポリイミドフィルムの吸水率が安定し、更にはポリイミドフィルム中に残存する有機溶剤などが放出される。また、保管時間の上限は、特に設定しないが、生産性の観点から72時間以下が好ましい。
【0030】
例えば、1000〜1500mのポリイミドフィルムを、巻取り数1500〜2000回で、巻取ったポリイミドフィルムロールを、15〜30℃、40%RH以下の環境下にて24〜72時間保管することで、ポリイミドフィルムの吸水率が安定し、更にはポリイミドフィルム中に残存する有機溶剤などが放出される。
【0031】
そして、ポリイミドフィルムロールを上記条件で保管した後、24時間あたりの透湿度が1g/m以下の梱包材で包装する。該透湿度の梱包材で包装することにより、保管時にポリイミドフィルムの吸湿による変形を抑えることができる。
【0032】
24時間あたりの透湿度が1g/m以下の梱包材としては、特に限定はなく、アルミニウム、等の金属または、アルミナ、シリカ等の酸化物を、樹脂、紙などに蒸着、ラミネートしたものなどが挙げられる。なお、本発明において、透湿度の値は、JIS K 7129:1192 B法に基づいて測定した値を意味する。
【0033】
このようにして得られるポリイミドフィルムロール梱包体は、内部応力によるポリイミドフィルムロールの変形や、吸湿によるポリイミドフィルムの膨張を抑えることができるので、長期にわたってポリイミドフィルム表面に皺等の発生を抑制できる。よって、このポリイミドフィルムロールから引き出されるポリイミドフィルムは、皺による変形が極めて少なく、表面が極めて平滑なものであるので、フレキシブル回路基板のベースフィルムとして使用する際において、加工性を向上でき、更には歩留りを改善できる。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
厚さ12.5μm、表裏間の静摩擦係数が0.4のポリイミドフィルムを製膜した。このポリイミドフィルムの膜厚差(膜厚の最大値と最小値との差)は、0.2μmであった。
得られたポリイミドフィルムを、23℃に保たれたクリーンルームで500mm幅にスリットし、弾性率220kgf/mmの巻取りコア(ABS製、直径:3インチ)に1000m巻取り、ポリイミドフィルムロールを得た。得られたポリイミドフィルムロール外周の表面凹凸は0.6mmであった。
このポリイミドフィルムロールを、23℃、30%RH以下の環境下にて24時間保管した後、その全体を、アルミニウム蒸着シート(24時間あたりの透湿度が1g/m)で包装した後、ダンボールに入れ、23℃に保たれた倉庫に保管した。
1ヶ月保管した後のポリイミドフィルムロールの表面を観察したところ、皺は発生していなかった。
【0035】
(実施例2)
厚さ25μm、表裏間の静摩擦係数が0.9のポリイミドフィルムを製膜した。このポリイミドフィルムの膜厚差(膜厚の最大値と最小値との差)は、0.4μmであった。
得られたポリイミドフィルムを、23℃に保たれたクリーンルームで500mm幅にスリットし、弾性率220kgf/mmの巻取りコア(ABS製、直径:3インチ)に500m巻取り、ポリイミドフィルムロールを得た。得られたポリイミドフィルムロール外周の表面凹凸は0.6mmであった。
このポリイミドフィルムロールを、23℃、30%RH以下の環境下にて24時間保管した後、その全体を、アルミニウム蒸着シート(24時間あたりの透湿度が1g/m)で包装した後、ダンボールに入れ、23℃に保たれた倉庫に保管した。
1ヶ月保管した後のポリイミドフィルムロールの表面を観察したところ、皺は発生していなかった。
【0036】
(比較例1)
厚さ12.5μm、表裏間の静摩擦係数が0.4のポリイミドフィルムを製膜した。このポリイミドフィルムの膜厚差(膜厚の最大値と最小値との差)は、0.3μmであった。
得られたポリイミドフィルムを、23℃に保たれたクリーンルームで500mm幅にスリットし、弾性率220kgf/mmの巻取りコア(ABS製、直径:3インチ)に1000m巻取り、ポリイミドフィルムロールを得た。得られたポリイミドフィルムロール外周の表面凹凸は0.9mmであった。
このポリイミドフィルムロールを、23℃、30%RH以下の環境下にて24時間保管した後、その全体を、アルミニウム蒸着シート(24時間あたりの透湿度が1g/m)で包装した後、ダンボールに入れ、23℃に保たれた倉庫に保管した。
1ヶ月保管した後のポリイミドフィルムロールの表面を観察したところ、皺が発生していた。このように、ポリイミドフィルムロール外周の表面凹凸が0.6mm以上であると、ポリイミドフィルムの表面に皺が生じた。
【0037】
(比較例2)
厚さ12.5μm、表裏間の静摩擦係数が0.4のポリイミドフィルムを製膜した。このポリイミドフィルムの膜厚差(膜厚の最大値と最小値との差)は、0.2μmであった。
得られたポリイミドフィルムを、23℃に保たれたクリーンルームで500mm幅にスリットし、弾性率220kgf/mmの巻取りコア(ABS製、直径:3インチ)に1000m巻取り、ポリイミドフィルムロールを得た。得られたポリイミドフィルムロール外周の表面凹凸は、0.6mmであった。
その後直ちに、その全体を、アルミニウム蒸着シート(24時間あたりの透湿度が1g/m)で包装した後、ダンボールに入れ、23℃に保たれた倉庫に保管した。
1ヶ月保管した後のポリイミドフィルムロールの表面を観察したところ、皺が発生していた。このように、ポリイミドフィルムロールを、15〜30℃、40%RHの環境下で保管することなく、梱包材で包装すると、ポリイミドフィルムの表面に皺が生じた。
【0038】
(比較例3)
厚さ12.5μm、表裏間の静摩擦係数が0.4のポリイミドフィルムを製膜した。このポリイミドフィルムの膜厚差(膜厚の最大値と最小値との差)は、0.2μmであった。
得られたポリイミドフィルムを、23℃に保たれたクリーンルームで500mm幅にスリットし、弾性率220kgf/mmの巻取りコア(ABS製、直径:3インチ)に1000m巻取り、ポリイミドフィルムロールを得た。得られたポリイミドフィルムロール外周の表面凹凸は、0.61mmであった。
このポリイミドフィルムロールを、23℃、30%RH以下の環境下にて24時間保管した後、その全体を、ポリエチレンシート(24時間あたりの透湿度が10g/m)で包装した後、ダンボールに入れ、23℃に保たれた倉庫に保管した。
1ヶ月保管した後のポリイミドフィルムロールの表面を観察したところ、皺が発生していた。このように、ポリイミドフィルムロールを透湿度の高い梱包材で包装すると、ポリイミドフィルムの表面に皺が生じた。
【0039】
【表1】
【符号の説明】
【0040】
1:巻取りコア
2:巻取り部
3:チャッキング部
図1