(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746872
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20150618BHJP
F25B 39/04 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
F28F9/02 301Z
F25B39/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-19681(P2011-19681)
(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公開番号】特開2012-159245(P2012-159245A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2014年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】512025676
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】マーチン クルベック
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆行
【審査官】
新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】
仏国特許出願公開第02747768(FR,A1)
【文献】
特開2002−310536(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/047320(WO,A1)
【文献】
特開2003−336938(JP,A)
【文献】
特開平07−180930(JP,A)
【文献】
特開平04−316971(JP,A)
【文献】
特開2003−343943(JP,A)
【文献】
特開平10−009713(JP,A)
【文献】
特開平08−219590(JP,A)
【文献】
特開2010−127556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F25B 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮部および過冷却部が、前者が上側に位置するように設けられており、長さ方向を左右方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管と、熱交換管の左右両端部が接続された上下方向にのびるヘッダタンクとを備え、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが上下に並んで3以上設けられ、凝縮部に2以上の熱交換パスが設けられ、凝縮部に設けられた熱交換パスが冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスであり、過冷却部に設けられた熱交換パスが冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスであり、左右いずれか一端部側に、冷媒過冷却パスの熱交換管および下端の冷媒凝縮パスの熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、下端の冷媒凝縮パスを除いた冷媒凝縮パスの熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンクが気液を分離しかつ液を溜める機能を有し、第1ヘッダタンク内に乾燥剤を収納した乾燥剤収納部材が配置されているコンデンサであって、
第1ヘッダタンクが、上端が閉鎖されるとともに下端が開口した筒状本体と、筒状本体の下端部に着脱自在に取り付けられて筒状本体の下端開口を閉鎖する下閉鎖部材とよりなり、第1ヘッダタンク内における左右方向内側の部分に、第1ヘッダタンク内から冷媒凝縮パスに隣接する冷媒過冷却パスの熱交換管内への液相冷媒の流れを促進する分流制御部材が設けられており、乾燥剤収納部材が、分流制御部材よりも左右方向外側の部分において第1ヘッダタンク内に配置され、下端の冷媒凝縮パスの熱交換管から第1ヘッダタンク内に流入した冷媒が、乾燥剤収納部材内を通るとともに分流制御部材を経て冷媒凝縮パスに隣接する冷媒過冷却パスの熱交換管に流入するようになされ、乾燥剤収納部材の下端部が分流制御部材の下端よりも下方に位置し、乾燥剤収納部材における分流制御部材よりも下方に位置する部分に、分流制御部材と第1ヘッダタンクの下閉鎖部材との間で突っ張って乾燥剤収納部材のがたつきを防止するがたつき防止手段が設けられており、
過冷却部に1つの冷媒過冷却パスが設けられとともに、分流制御部材が冷媒過冷却パスと対応する高さ位置に設けられ、分流制御部材が、冷媒過冷却パスの熱交換管に通じるとともに冷媒過冷却パスの熱交換管内に冷媒を流入させる密閉状の冷媒流入空間を形成するように第1ヘッダタンク内に設けられ、分流制御部材の下端部に、第1ヘッダタンク内と冷媒流入空間とを通じさせる連通穴が設けられ、
がたつき防止手段が、乾燥剤収納部材に設けられるとともに先端部が下側から分流制御部材の下端部に接触した上がたつき防止片と、乾燥剤収納部材に設けられるとともに先端部が上側から下閉鎖部材に接触した下がたつき防止片とを備えており、両がたつき防止片が、分流制御部材と第1ヘッダタンクの下閉鎖部材とにより上下方向から押さえられて弾性変形しており、がたつき防止手段の弾性力により乾燥剤収納部材のがたつきが防止されているコンデンサ。
【請求項2】
分流制御部材が、長さ方向を上下方向に向けるとともに、第1ヘッダタンク内を左右方向内側部分と同外側部分とに区画する仕切壁と、仕切壁の上下両端に設けられ、かつ仕切壁よりも左右方向内側部分の空間の上下両端開口を閉鎖する上下両閉鎖壁とを有し、仕切壁および上下両閉鎖壁によって冷媒流入空間が形成され、連通穴が仕切壁または下閉鎖壁に形成されている請求項1記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンに好適に用いられるコンデンサに関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、上下、左右は
図1の上下、左右をいうものとする。
【背景技術】
【0003】
たとえばカーエアコンのコンデンサとして、凝縮部および過冷却部が、前者が上側に位置するように設けられており、長さ方向を左右方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管どうしの間に配置されたフィンと、熱交換管の左右両端部が接続された上下方向にのびるヘッダタンクとを備え、すべての熱交換管の長さが等しくなっており、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが、凝縮部および過冷却部において1つずつ設けられ、凝縮部に設けられた熱交換パスが、冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスであり、過冷却部に設けられた熱交換パスが冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスであり、左右両端部側に、それぞれすべての熱交換管が接続されるヘッダタンクが設けられ、両ヘッダタンク内が、それぞれ冷媒凝縮パスと冷媒過冷却パスとの間の高さ位置に設けられた仕切板により上側ヘッダ部と下側ヘッダ部とに区画され、冷媒凝縮パスの熱交換管の左右両端部が両ヘッダタンクの上側ヘッダ部に接続され、冷媒過冷却パスの熱交換管の左右両端部が両ヘッダタンクの下側ヘッダ部に接続され、一方のヘッダタンクの上側ヘッダ部に冷媒入口が設けられるとともに、同下側ヘッダ部に冷媒出口が設けられ、他方のヘッダタンクに気液を分離しかつ液を溜める受液器が接合されるとともに、前記他方のヘッダタンクの上下両ヘッダ部内と受液器内とが相互に通じさせられ、冷媒が、前記他方のヘッダタンクの上側ヘッダ部から受液器内に流入し、受液器内において気液が分離された後、液相主体混相冷媒が前記他方のヘッダタンクの下側ヘッダタンクに流入するようになされているコンデンサが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のコンデンサにおいては、すべての熱交換管の長さが等しくなっており、両ヘッダタンク内が、それぞれ冷媒凝縮パスと冷媒過冷却パスとの間の高さ位置に設けられた仕切板により上側ヘッダ部と下側ヘッダ部とに区画され、冷媒凝縮パスの熱交換管の左右両端部が両ヘッダタンクの上側ヘッダ部に接続されているので、凝縮部および過冷却部の左右方向の長さが等しくなっており、受液器を含めたコンデンサの上下方向および左右方向の寸法を一定にした場合に、凝縮部および過冷却部の熱交換部の面積が不足して、冷媒凝縮効率および冷媒過冷却効率のさらなる向上を図ることができない。
【0005】
そこで、冷媒凝縮効率および冷媒過冷却効率のさらなる向上を図りうるカーエアコン用コンデンサとして、本出願人は、先に、凝縮部および過冷却部が、前者が上側に位置するように設けられており、長さ方向を左右方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管と、熱交換管の左右両端部が接続された上下方向にのびるヘッダタンクとを備え、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが上下に並んで3以上設けられ、凝縮部に設けられた熱交換パスが冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスであり、過冷却部に設けられた熱交換パスが冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスであり、左右いずれか一端部側に、冷媒過冷却パスの熱交換管および下端の冷媒凝縮パスの熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、下端の冷媒凝縮パスを除いた冷媒凝縮パスの熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンクが気液を分離しかつ液を溜める機能を有し、第1ヘッダタンク内に乾燥剤を収納した乾燥剤収納部材が配置されているコンデンサを提案した(特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2記載のコンデンサによれば、コンデンサの上下方向および左右方向の寸法を、特許文献1記載のコンデンサの受液器を含めた上下方向および左右方向の寸法と等しくした場合に、下端の冷媒凝縮パスの熱交換管の長さを、特許文献1記載のコンデンサの冷媒凝縮パスの熱交換管の長さよりも長くすることができるので、凝縮部の熱交換部の面積が増大し、しかも冷媒過冷却パスの熱交換管の長さを、特許文献1記載のコンデンサの冷媒過冷却パスの熱交換管の長さよりも長くすることができるので、過冷却部の熱交換部の面積が増大する。その結果、冷媒凝縮効率および冷媒過冷却効率のさらなる向上を図ることができる。
【0007】
ところで、特許文献2記載のコンデンサにおいては、冷媒封入の際に、冷凍サイクルにおける冷媒封入量を、早い段階で過冷度が一定となる適正封入量とするとともに、過冷度が一定となる安定化域の幅を広くして、負荷変動や冷媒洩れに対してより安定した過冷特性が得られることが要求される。また、特許文献2記載のコンデンサにおいては、カーエアコンに組み込まれた場合には振動が加わりやすく、振動が加わった場合に乾燥剤収納部材にがたつきが発生するおそれがある。乾燥剤収納部材ががたつくとノイズが発生するおそれがある。また、場合によっては乾燥剤収納部材が破損するおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−33121号公報
【特許文献2】国際公開第2010/047320号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の目的は、上記要求に応え、冷凍サイクルにおける冷媒封入量を早い段階で適正封入量とすることができるとともに、乾燥剤収納部材のがたつきを防止することができるコンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0011】
1)凝縮部および過冷却部が、前者が上側に位置するように設けられており、長さ方向を左右方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管と、熱交換管の左右両端部が接続された上下方向にのびるヘッダタンクとを備え、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが上下に並んで3以上設けられ、凝縮部に2以上の熱交換パスが設けられ、凝縮部に設けられた熱交換パスが冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスであり、過冷却部に設けられた熱交換パスが冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスであり、左右いずれか一端部側に、冷媒過冷却パスの熱交換管および下端の冷媒凝縮パスの熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、下端の冷媒凝縮パスを除いた冷媒凝縮パスの熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンクが気液を分離しかつ液を溜める機能を有し、第1ヘッダタンク内に乾燥剤を収納した乾燥剤収納部材が配置されているコンデンサであって、
第1ヘッダタンクが、上端が閉鎖されるとともに下端が開口した筒状本体と、筒状本体の下端部に着脱自在に取り付けられて筒状本体の下端開口を閉鎖する下閉鎖部材とよりなり、第1ヘッダタンク内における左右方向内側の部分に、第1ヘッダタンク内から冷媒凝縮パスに隣接する冷媒過冷却パスの熱交換管内への液相冷媒の流れを促進する分流制御部材が設けられており、乾燥剤収納部材が、分流制御部材よりも左右方向外側の部分において第1ヘッダタンク内に配置され、下端の冷媒凝縮パスの熱交換管から第1ヘッダタンク内に流入した冷媒が、乾燥剤収納部材内を通るとともに分流制御部材を経て冷媒凝縮パスに隣接する冷媒過冷却パスの熱交換管に流入するようになされ、乾燥剤収納部材の下端部が分流制御部材の下端よりも下方に位置し、乾燥剤収納部材における分流制御部材よりも下方に位置する部分に、分流制御部材と第1ヘッダタンクの下閉鎖部材との間で突っ張って乾燥剤収納部材のがたつきを防止するがたつき防止手段が設けられて
おり、
過冷却部に1つの冷媒過冷却パスが設けられとともに、分流制御部材が冷媒過冷却パスと対応する高さ位置に設けられ、分流制御部材が、冷媒過冷却パスの熱交換管に通じるとともに冷媒過冷却パスの熱交換管内に冷媒を流入させる密閉状の冷媒流入空間を形成するように第1ヘッダタンク内に設けられ、分流制御部材の下端部に、第1ヘッダタンク内と冷媒流入空間とを通じさせる連通穴が設けられ、
がたつき防止手段が、乾燥剤収納部材に設けられるとともに先端部が下側から分流制御部材の下端部に接触した上側がたつき防止片と、乾燥剤収納部材に設けられるとともに先端部が上側から下閉鎖部材に接触した下側がたつき
防止片とを備えており、両がたつき防止片が
、分流制御部材と第1ヘッダタンクの下閉鎖部材とにより上下方向から押さえられて弾性変形しており、がたつき防止手段の弾性力により乾燥剤収納部材のがたつきが防止されているコンデンサ。
【0012】
2)分流制御部材が、長さ方向を上下方向に向けるとともに、第1ヘッダタンク内を左右方向内側部分と同外側部分とに区画する仕切壁と、仕切壁の上下両端に設けられ、かつ仕切壁よりも左右方向内側部分の空間の上下両端開口を閉鎖する上下両閉鎖壁とを有し、仕切壁および上下両閉鎖壁によって冷媒流入空間が形成され、連通穴が仕切壁または下閉鎖壁に形成されている
上記1)記載のコンデンサ。
【発明の効果】
【0013】
上記
1)および2)のコンデンサによれば、第1ヘッダタンク内における左右方向内側の部分に、第1ヘッダタンク内から冷媒凝縮パスに隣接する冷媒過冷却パスの熱交換管内への液相冷媒の流れを促進する分流制御部材が設けられているので、冷媒封入の際に、液相冷媒が、第1ヘッダタンク内から冷媒過冷却パスを構成する熱交換管内に速やかに流入する。したがって、冷媒過冷却パスの熱交換管内を早い段階で液相冷媒で満たすことが可能になって、冷凍サイクルにおける冷媒封入量を、早い段階で、過冷度が一定となる適正封入量とすることが可能になる。しかも、過冷度が一定となる安定化域の幅、すなわち過冷度が一定となる冷媒封入量の幅が広くなるので、負荷変動や冷媒洩れに対してより安定した過冷特性が得られる。
【0014】
また、第1ヘッダタンクが、上端が閉鎖されるとともに下端が開口した筒状本体と、筒状本体の下端部に着脱自在に取り付けられて筒状本体の下端開口を閉鎖する下閉鎖部材とよりなり、乾燥剤収納部材の下端部が分流制御部材の下端よりも下方に位置し、乾燥剤収納部材における分流制御部材よりも下方に位置する部分に、分流制御部材と第1ヘッダタンクの下閉鎖部材との間で突っ張って乾燥剤収納部材のがたつきを防止するがたつき防止手段が設けられているので、コンデンサに振動が加わった場合にも、乾燥剤収納部材のがたつきが防止される。したがって、乾燥剤収納部材ががたつくことに起因するノイズの発生や、乾燥剤収納部材の破損が防止される。
【0015】
上記1)のコンデンサによれば、コンデンサに加わった振動が、弾性変形したがたつき防止手段により吸収されるので、乾燥剤収納部材のがたつきが効果的に防止される。
【0016】
上記1)のコンデンサによれば、分流制御部材と第1ヘッダタンクの下閉鎖部材との間に、比較的簡単にがたつき防止手段を設けることができる。
【0017】
上記
1)および2)のコンデンサによれば、分流制御部材の構成を比較的簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明によるコンデンサの全体構成を具体的に示す正面図である。
【
図2】
図1に示すコンデンサの第1ヘッダタンクの下側部分を拡大して示す一部を省略した垂直断面図である。
【
図5】
図1に示すコンデンサの第1ヘッダタンクの下側部分を拡大して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
以下の説明において、
図1の紙面裏側(
図3および
図4の上側)を前、これと反対側を後というものとする。
【0021】
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0022】
図1はこの発明によるコンデンサの全体構成を具体的に示し、
図2〜
図5は
図1のコンデンサの要部の構成を示す。
【0023】
図1において、コンデンサ(1)は、幅方向を前後方向に向けるとともに長さ方向を左右方向に向けた状態で上下方向に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(2A)(2B)と、熱交換管(2A)(2B)の左右両端部がろう付により接続された上下方向にのびる3つのアルミニウム製ヘッダタンク(3)(4)(5)と、隣り合う熱交換管(2A)(2B)どうしの間および上下両端の熱交換管(2A)(2B)の外側に配置されて熱交換管(2A)(2B)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(6A)(6B)と、上下両端のコルゲートフィン(6A)(6B)の外側に配置されてコルゲートフィン(6A)(6B)にろう付されたアルミニウム製サイドプレート(7)とを備えており、凝縮部(1A)および過冷却部(1B)が、前者が上側に位置するように設けられている。
【0024】
コンデンサ(1)には、上下に連続して並んだ複数の熱交換管(2A)(2B)からなる熱交換パス(P1)(P2)(P3)が上下に並んで3以上、ここでは3つ設けられている。3つの熱交換パスを、上から順に第1〜第3熱交換パス(P1)(P2)(P3)というものとする。各熱交換パス(P1)(P2)(P3)を構成する全ての熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が異なっている。そして、第1および第2熱交換パス(P1)(P2)が凝縮部(1A)に設けられて冷媒凝縮パスとなっており、第3熱交換パス(P3)が過冷却部(1B)に設けられて冷媒過冷却パスとなっている。
【0025】
コンデンサ(1)の左端側には、冷媒過冷却パス、すなわち第3熱交換パス(P3)および下端の冷媒凝縮パス、すなわち第2熱交換パス(P2)を構成する熱交換管(2A)がろう付により接続された上下方向にのびる第1ヘッダタンク(3)と、下端の冷媒凝縮パスを除いた冷媒凝縮パス、すなわち第1熱交換パス(P1)の熱交換管(2B)がろう付により接続された第2ヘッダタンク(4)とが別個に設けられている。ここで、第1ヘッダタンク(3)に接続された熱交換管(2A)を第1熱交換管といい、第2ヘッダタンク(4)に接続された熱交換管(2B)を第2熱交換管というものとする。また、隣り合う第1熱交換管(2A)どうしの間および下端の第1熱交換管(2A)と下側サイドプレート(7)との間に配置されたコルゲートフィン(6A)を第1コルゲートフィンといい、隣り合う第2熱交換管(2B)どうしの間、上端の第2熱交換管(2B)と上側サイドプレート(7)との間、および上端の第2熱交換管(2B)と上端の第1熱交換管(2A)との間に配置されたコルゲートフィン(6B)を第2コルゲートフィンというものとする。
【0026】
第1ヘッダタンク(3)は、両端が開口した筒状の周壁(8a)および周壁(8a)の上端部にろう付されて周壁(8a)の上端開口を閉鎖する頂壁(8b)からなり、かつ上端が閉鎖されるとともに下端が開口したアルミニウム製筒状本体(8)と、筒状本体(8)の下端部に着脱自在に取り付けられて筒状本体(8)の下端開口を閉鎖する下閉鎖部材(9)とにより構成されている。第1ヘッダタンク(3)は、第2ヘッダタンク(4)よりも左右方向外側、ここでは左側に配置されており、上端は第2ヘッダタンク(4)の下端よりも上方でかつ上端よりも下方に位置し、下端は下側サイドプレート(7)よりも下方に位置している。
【0027】
第1ヘッダタンク(3)は、重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める受液部としての機能を有している。すなわち、第1ヘッダタンク(3)の内容積は、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒が重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まるとともに、気液混相冷媒のうちの気相成分が重力により第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まり、これにより第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内には液相主体混相冷媒が流入するような内容積となっている。
【0028】
コンデンサ(1)の右端部側には、第1〜第3熱交換パス(P1)〜(P3)を構成するすべての熱交換管(2A)(2B)が接続される第3ヘッダタンク(5)が配置されている。第3ヘッダタンク(5)内は、第2熱交換パス(P2)と第3熱交換パス(P3)との間の高さ位置に設けられたアルミニウム製仕切板(11)により、上側ヘッダ部(12)と下側ヘッダ部(13)とに区画されている。第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)の左端部は第2ヘッダタンク(4)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(12)にそれぞれ接続され、第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)の左端部は第1ヘッダタンク(3)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(12)にそれぞれ接続され、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)の左端部は第1ヘッダタンク(3)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(13)にそれぞれ接続されている。
【0029】
第2ヘッダタンク(4)、第1ヘッダタンク(3)における第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(12)、および第1〜第2熱交換パス(P1)(P2)により冷媒を凝縮させる凝縮部(1A)が形成され、第1ヘッダタンク(3)における第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(13)および第3熱交換パス(P3)により冷媒を過冷却する過冷却部(1B)が形成され、第1〜第2熱交換パス(P1)(P2)が冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスとなっているとともに、第3熱交換パス(P4)が冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスとなっている。
【0030】
凝縮部(1A)を構成する第2ヘッダタンク(4)における第1ヘッダタンク(3)の上端よりも上方に突出した部分に冷媒入口(図示略)が形成され、過冷却部(1B)を構成する第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(13)に冷媒出口(図示略)が形成されている。そして、第2ヘッダタンク(4)に冷媒入口に通じる冷媒入口部材(14)が接合され、第3ヘッダタンク(5)に冷媒出口に通じる冷媒出口部材(15)が接合されている。
【0031】
図2〜
図5に示すように、第1ヘッダタンク(3)の下側サイドプレート(7)よりも下方に突出した部分において、筒状本体(8)の周壁(8a)の下端部内周面にはめねじ(16)が形成されている。また、下閉鎖部材(9)は筒状本体(8)内に挿入される挿入部(9a)を有しており、挿入部(9a)の外周面におねじ(17)が形成されている。そして、挿入部(9a)のおねじ(17)が周壁(8a)のめねじ(16)にねじ合わされることにより、下閉鎖部材(9)が筒状本体(8)の下端部に着脱自在に取り付けられている。また、下閉鎖部材(9)の挿入部(9a)の外周面におけるおねじ(17)の上下両側部分と、周壁(8a)の内周面におけるめねじ(16)の上下両側部分との間は、それぞれ挿入部(9a)に装着されたシールリング(18)(19)によりシールされている。
【0032】
第1ヘッダタンク(3)内における左右方向内側部分、ここでは右側部分に、第1ヘッダタンク(3)内から第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内への液相冷媒の流れを促進する分流制御部材(21)が設けられ、分流制御部材(21)よりも左右方向外側部分、ここでは左側部分において第1ヘッダタンク(3)内に、乾燥剤(D)を収納した乾燥剤収納部材(22)が配置され、第1ヘッダタンク(3)の筒状本体(8)の周壁(8a)内面および分流制御部材(21)と、乾燥剤収納部材(22)の周壁外面との間に、第1ヘッダタンク(3)内を上下に区画するシール部(23)が設けられ、下端の冷媒凝縮パスである第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)から第1ヘッダタンク(3)内に流入した冷媒が、シール部(23)よりも上方で乾燥剤収納部材(22)内に流入するとともに、シール部(23)よりも下方で乾燥剤収納部材(22)内から流出し、さらに分流制御部材(21)を経て冷媒凝縮パスに隣接する冷媒過冷却パスの熱交換管に流入するようになされている。
【0033】
分流制御部材(21)は、下端が第3熱交換パス(P3)の下端の第1熱交換管(2A)よりも下方に位置するとともに、上端が第3熱交換パス(P3)の上端の第1熱交換管(2A)と第2熱交換パス(P2)の下端の第1熱交換管(2A)との間に位置するように、冷媒過冷却パスである第3熱交換パス(P3)と対応する高さ位置に設けられており、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)に通じるとともに第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内に冷媒を流入させる密閉状の冷媒流入空間(24)を形成している。なお、第1ヘッダタンク(3)内におけるシール部(23)よりも上方でかつ冷媒流入空間(24)を除いた部分を第1空間(25)といい、同じくシール部(23)よりも下方でかつ冷媒流入空間(24)を除いた部分を第2空間(26)というものとする。
【0034】
分流制御部材(21)は、長さ方向を上下方向に向けるとともに幅方向を前後方向に向け、かつ第1ヘッダタンク(3)内を左右方向内側部分と同外側部分とに区画する帯板状の仕切壁(27)と、仕切壁(27)の上下両端に設けられ、かつ仕切壁(27)よりも左右方向内側部分の空間の上下両端開口を閉鎖する平面から見て半円形の上下両閉鎖壁(28)(29)とを有している。仕切壁(27)の前後両側縁部は、周壁(8a)に形成されかつ第1熱交換管(2A)の左端部が挿入される前後方向に長い管挿入穴(31)よりも前後方向外側部分において第1ヘッダタンク(3)の筒状本体(8)の周壁(8a)にろう付されている。上下両閉鎖壁(28)(29)の先端部には第1ヘッダタンク(3)の筒状本体(8)の周壁(8a)に形成された貫通穴(32)に嵌め入れられる凸片(28a)(29a)が形成されており、凸片(28a)(29a)が貫通穴(32)に嵌め入れられた状態で、上下両閉鎖壁(28)(29)の円弧状周縁部および凸片(28a)(29a)が周壁(8a)にろう付されている。分流制御部材(21)の仕切壁(27)および上下両閉鎖壁(28)(29)によって冷媒流入空間(24)が形成されており、分流制御部材(21)の下閉鎖壁(29)に、第1ヘッダタンク(3)の第2空間(26)と冷媒流入空間(24)とを通じさせる連通穴(33)が形成されている。
【0035】
乾燥剤収納部材(22)はプラスチック製であって、上端が開口するとともに、下端が閉鎖された有底筒状本体(34)と、有底筒状本体(34)の上端部に着脱自在に取り付けられて有底筒状本体(34)の上端開口を閉鎖する上閉鎖部材(35)とよりなる。乾燥剤収納部材(22)の上端は第1ヘッダタンク(3)の上端近傍に位置し、下端は分流制御部材(21)の下端よりも若干下方に位置しており、下側の所定長さ部分が分流制御部材(21)の上下方向の範囲内に位置している。乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の周壁(36)は横断面半円形であって、前後方向と平行な平らな帯状部(37)と、前後両側縁が帯状部(37)の前後両側縁に連なるように設けられた半円筒状部(38)とよりなる。乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の帯状部(37)における分流制御部材(21)の高さ方向の中間部よりも下方の部分は、これよりも上方の部分に比べて幅狭となっている。この幅狭部を(37a)で示し、これよりも上方の幅広部を(37b)で示す。なお、幅狭部(37a)におけるシール部(23)よりも下方の部分の右側面は若干凹んでいる。乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の半円筒状部(38)における分流制御部材(21)の高さ方向の中間部よりも下方の部分は、これよりも上方の部分に比べて小径となっている。この小径部を(38a)で示し、これよりも上方の大径部を(38b)で示す。
【0036】
シール部(23)は、乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の半円筒状部(38)における小径部(38a)の高さ方向の中間部において、外方に突出するとともに、先端が第1ヘッダタンク(3)の筒状本体(8)の周壁(8a)内周面における分流制御部材(21)よりも左側の部分に接触するように一体に設けられている。そして、小径部(38a)の外面におけるシール部(23)よりも上方の部分によって、乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の周壁(36)における左側部分に凹所(39)が形成され、この凹所(39)によって、シール部(23)の直上部分に、第1ヘッダタンク(3)の筒状本体(8)の周壁(8a)と乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の周壁(36)との間の間隔が、これよりも上方の部分の前記間隔よりも大きくなっている冷媒流入部(41)が設けられている。そして、第1ヘッダタンク(3)の筒状本体(8)の周壁(8a)と、乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の周壁(36)における半円筒状部(38)の大径部(38b)との間の隙間の冷媒が冷媒流入部(41)に流入するようになされている。
【0037】
乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の周壁(36)における帯状部(37)の幅広部(37b)および半円筒状部(38)の大径部(38b)に、それぞれ第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)から第1ヘッダタンク(3)の第1空間(25)内に流入した冷媒が乾燥剤収納部材(22)内に流入する第1流入口(42)が複数設けられるとともに、乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の周壁(36)における半円筒状部(38)の小径部(38a)に冷媒流入部(41)内に導かれた冷媒が乾燥剤収納部材(22)内に流入する第2流入口(43)が複数設けられている。また、乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の周壁(36)における帯状部(37)の幅狭部(37a)および半円筒状部(38)の小径部(38a)に、それぞれ乾燥剤収納部材(22)内の冷媒が第1ヘッダタンク(3)の第2空間(26)内に流出する流出口(44)が設けられている。両流入口(42)(43)および流出口(44)はメッシュ状のフィルタ(46)により塞がれている。
【0038】
乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)における周壁の帯状部(37)の下端部に、右方に突出して先端部が分流制御部材(21)の下閉鎖壁(29)の下面に接触した上側がたつき防止片(47)と、右斜め下方に突出して先端部が下閉鎖部材(9)の挿入部(9a)上面に接触した下側がたつき防止片(48)とが一体に設けられている。そして、上下両がたつき防止片(47)(48)のうちの少なくともいずれか一方が弾性変形し、その弾発力により上下両がたつき防止片(47)(48)が、分流制御部材(21)の下閉鎖壁(29)と下閉鎖部材(9)の挿入部(9a)との間で突っ張ることにより、コンデンサ(1)に加わる振動が吸収され、乾燥剤収納部材(22)のがたつきが防止されている。また、乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)の底壁下面に、乾燥剤収納部材(22)を第1ヘッダタンク(3)内に出し入れする際に用いる摘み(49)が設けられている。
【0039】
コンデンサ(1)は、圧縮機、膨張弁(減圧器)およびエバポレータとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両に搭載される。
【0040】
上述した構成のコンデンサ(1)において、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材(14)および冷媒入口を通って第2ヘッダタンク(4)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)内を右方に流れる間に凝縮させられて第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(12)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(12)内に流入した冷媒は、第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に凝縮させられて第1ヘッダタンク(3)の第1空間(25)内に流入する。
【0041】
第1ヘッダタンク(3)の第1空間(25)内に流入した冷媒は気液混相冷媒であり、当該気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒は重力により下方に流れ、第1空間(25)内に流入した気液混相冷媒のうちの気相成分は、第1ヘッダタンク(3)の第1空間(25)内の上部に溜まる。ここで、第1空間(25)内に流入した気液混相冷媒は、乾燥剤収納部材(22)の第1流入口(42)を通って乾燥剤収納部材(22)内に入った後に気液に分離され、あるいは乾燥剤収納部材(22)内に入る前に気液に分離された後に第1流入口(42)を通って乾燥剤収納部材(22)内に入り、乾燥剤(D)に触れることにより冷媒中の水分が除去される。
【0042】
また、第1ヘッダタンク(3)の筒状本体(8)の周壁(8a)と、乾燥剤収納部材(22)の有底筒状本体(34)における周壁(36)の半円筒状部(38)との間に存在する液相主体混相冷媒は、導かれるようにして冷媒流入部(41)に流入し、第2流入口(43)を通って乾燥剤収納部材(22)内に入り、乾燥剤(D)に触れることにより冷媒中の水分が除去される。
【0043】
乾燥剤収納部材(22)内に入った液相主体冷媒は乾燥剤収納部材(22)内を下方に流れ、流出口(44)から第2空間(26)内に流出し、分流制御部材(21)の連通穴(33)を通って冷媒流入空間(24)内に入る。冷媒流入空間(24)内に入った液相主体混相冷媒は、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内に入り、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内を右方に流れる間に過冷却された後、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(13)内に入り、冷媒出口(15)および冷媒出口部材(17)を通って流出し、膨張弁を経てエバポレータに送られる。
【0044】
上述したカーエアコンに冷媒を封入する際には、第1ヘッダタンク(3)の第1および第2空間(25)(26)内の圧力が冷媒流入空間(24)内の圧力よりも高くなるとともに、分流制御部材(21)の下端部に連通穴(33)が設けられているので、第1および第2空間(25)(26)内に溜まった液相主体混相冷媒の液面が、第3熱交換パス(P3)の上端の第1熱交換管(2A)よりも上方に達する以前に、冷媒流入空間(24)内を液相冷媒で満たすことができるとともに、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内を液相冷媒で満たすことができる。したがって、冷媒過冷却パスの第1熱交換管(2A)内を速やかに液相冷媒で満たすことが可能になって、冷凍サイクルにおける冷媒封入量を、早い段階で、過冷度が一定となる適正封入量とすることが可能になる。しかも、冷凍サイクルにおける冷媒封入量を、早い段階で、過冷度が一定となる適正封入量とすることが可能になるので、過冷度が一定となる安定化域の幅、すなわち過冷度が一定となる冷媒封入量の幅が広くなり、負荷変動や冷媒洩れに対してより安定した過冷特性が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明によるコンデンサは、自動車に搭載されるカーエアコンに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0046】
(1):コンデンサ
(1A):凝縮部
(1B):過冷却部
(2A):第1熱交換管
(2B):第2熱交換管
(3):第1ヘッダタンク
(4):第2ヘッダタンク
(5):第3ヘッダタンク
(8):筒状本体
(9):下閉鎖部材
(8a):周壁
(21):分流制御部材
(22):乾燥剤収納部材
(47):上がたつき防止片
(48):下がたつき防止片
(24):冷媒流入空間
(27):仕切壁
(28)(29):上下両閉鎖壁
(33):連通穴
(P1):第1熱交換パス
(P2):第2熱交換パス
(P3):第3熱交換パス