特許第5746906号(P5746906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746906
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   F28F9/02 301Z
   F28F9/02 301A
   F28F9/02 301D
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-101217(P2011-101217)
(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公開番号】特開2012-233615(P2012-233615A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2014年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】岸 正幸
(72)【発明者】
【氏名】中田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】軽部 敏克
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−099584(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/071038(WO,A1)
【文献】 特開2004−150745(JP,A)
【文献】 米国特許第07395853(US,B1)
【文献】 国際公開第2005/001370(WO,A1)
【文献】 米国特許第05042578(US,A)
【文献】 再公表特許第2004/046633(JP,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02194829(CA,A1)
【文献】 米国特許第06145589(US,A)
【文献】 米国特許第05289873(US,A)
【文献】 国際公開第2004/027232(WO,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02887974(FR,A1)
【文献】 米国特許第05509199(US,A)
【文献】 特開昭63−105400(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/082051(WO,A1)
【文献】 特開平11−037672(JP,A)
【文献】 実開平03−046778(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0023743(US,A1)
【文献】 実開平03−038565(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00
F25B 39/00
F28D 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいて配置された複数の熱交換管と、長手方向を熱交換管の並び方向に向けて配置された両端開口筒状のタンク本体およびタンク本体の両端部にろう付されてタンク本体の両端開口を塞ぐ閉鎖板よりなり、かつ熱交換管の両端部が接続されたヘッダタンクとを備えており、ヘッダタンクのタンク本体が、横断面略U字形でかつ1対の側壁および両側壁の一側縁部どうしを一体に連結する連結壁よりなる押出形材製タンク部材と、タンク部材の両側壁の他側縁部間に跨ってろう付され、かつ熱交換管の端部が挿入された複数の管挿通穴を有するヘッダプレートとを有する熱交換器において、
ヘッダタンクのタンク本体におけるタンク部材の両側壁間に、押出形材に切削加工を施すことによって、ヘッダプレートが嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートのタンク本体に対する高さ方向および幅方向の位置を決めるプレート嵌入部が形成され、
ヘッダタンクのタンク本体におけるタンク部材の両端部に、押出形材に切削加工を施すことによって、閉鎖板が嵌め入れられるとともに、閉鎖板のタンク本体に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置を決める閉鎖板嵌入部が形成され、
ヘッダプレートが、タンク部材のプレート嵌入部内に嵌め入れられるとともに、タンク部材の両側壁の先端部に設けられかつタンク部材の幅方向内方に突出した係合部により連結壁側に押さえられた状態で両側壁にろう付され、閉鎖板が、タンク部材の閉鎖板嵌入部内に嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートを介してタンク部材の係合部により連結壁側に押さえられた状態でタンク部材およびヘッダプレートにろう付されている熱交換器。
【請求項2】
タンク部材のプレート嵌入部が、ヘッダプレートの両側面に沿いかつヘッダプレートのタンク本体に対する幅方向の位置を決める第1位置決め部と、ヘッダプレートにおけるヘッダタンク内方を向いた面の両側面寄りの部分に沿いかつヘッダプレートのタンク本体に対する高さ方向の位置を決める第2位置決め部とを有しており、タンク部材の閉鎖板嵌入部が、閉鎖板の周面におけるタンク部材の両側壁および連結壁に向いた部分に沿いかつ閉鎖板のタンク本体に対する高さ方向および幅方向の位置を決める第1位置決め部と、閉鎖板のヘッダタンク内方を向いた面におけるタンク部材の両側壁側部分および連結壁側部分に沿いかつ閉鎖板のタンク本体に対する長さ方向の位置を決める第2位置決め部とを有している請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
タンク部材に、プレート嵌入部の第2位置決め部に連なって、熱交換管の端部が当接し、かつ熱交換管の挿入位置を決める管位置決め部が形成されている請求項2記載の熱交換器。
【請求項4】
少なくともいずれか一方のヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数のヘッダ部に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられ、タンク部材が、同一横断面形状を有する複数の押出形材製構成部を仕切板を介して一直線上に並べるとともにろう付することにより形成されており、各構成部の仕切板側の端部に、押出形材に切削加工を施すことによって、仕切板の全厚みの半分よりも薄い部分が嵌め入れられるとともに、仕切板のタンク本体に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置を決める仕切板嵌入部が形成され、仕切板が、両側の構成部の仕切板嵌入部内に嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートを介してタンク部材の構成部の両側壁に設けられた係合部により連結壁側に押さえられた状態で構成部およびヘッダプレートにろう付されている請求項1〜3のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項5】
少なくともいずれか一方のヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数のヘッダ部に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられ、タンク部材が、同一横断面形状を有する複数の押出形材製構成部を仕切板を介して一直線上に並べるとともにろう付することにより形成されており、仕切板に、タンク部材の幅方向内方に突出しかつタンク部材の構成部の両側壁に設けられた係合部とともに、ヘッダプレートを連結壁側に押さえる仕切板側係合部が設けられ、仕切板が両側の構成部の端面間に配置された状態で、仕切板の両面と両側の構成部の端面、および仕切板の熱交換管側を向いた面とヘッダプレートとがそれぞれろう付されている請求項1〜3のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項6】
少なくともいずれか一方のヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数のヘッダ部に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられており、タンク部材の全体が一体に形成され、タンク部材のいずれか一方の側壁に仕切板を通すスリットが形成されるとともに、タンク部材の他方の側壁内面および連結壁内面におけるスリットと対応する位置に、仕切板の周縁部の一部が嵌る位置決め溝が形成され、仕切板がスリットに外側から通されるとともに位置決め溝内に嵌められることにより、仕切板のタンク部材に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置が決められ、仕切板が、タンク部材の両側壁に設けられた係合部によりヘッダプレートを介して連結壁側に押さえられた状態でタンク部材およびヘッダプレートにろう付されている請求項1〜3のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンプレッサ、工作機械、油圧機器などの産業機械のオイルクーラ、アフタークーラなどに使用される熱交換器に関する。
【0002】
この明細書において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【背景技術】
【0003】
熱交換器として、互いに間隔をおいて配置された複数の熱交換管と、長手方向を熱交換管の並び方向に向けて配置された両端開口筒状のタンク本体およびタンク本体の両端部にろう付されてタンク本体の両端開口を塞ぐ閉鎖板よりなり、かつ熱交換管の両端部が接続されたヘッダタンクとを備えており、ヘッダタンクのタンク本体が、横断面略U字形でかつ1対の側壁および両側壁の一側縁部どうしを一体に連結する連結壁よりなる押出形材製タンク部材と、タンク部材の両側壁の他側縁部間に跨ってろう付され、かつ熱交換管の端部が挿入された複数の管挿通穴を有するヘッダプレートとを有し、タンク部材に、ヘッダプレートのタンク本体に対する高さ方向および幅方向の位置を決めるプレート用位置決め部が設けられ、タンク部材の両側壁に水平リブが設けられるとともに水平リブに閉鎖板を通すスロットが形成され、閉鎖板が、両側壁の先端側からタンク部材内に嵌められるとともに水平リブのスロットに通され、ヘッダプレートが、タンク部材の両側壁間に嵌め入れられてプレート用位置決め部によりタンク本体に対する高さ方向および幅方向の位置が決められるとともに、両側壁の先端側がタンク部材の幅方向内方に曲げられることにより形成された係合部により連結壁側に押さえられた状態で両側壁にろう付され、閉鎖板が、ヘッダプレートを介してタンク部材の両側壁に設けられた係合部により連結壁側に押さえられた状態でタンク部材およびヘッダプレートにろう付されている熱交換器が記載されている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、特許文献1記載の熱交換器のタンク部材はアルミニウム押出形材製であるが、アルミニウム押出形材は寸法のばらつきが比較的大きくなるので、タンク部材の両側壁とヘッダプレートとの間、およびタンク部材の内面と閉鎖板との間に比較的大きな隙間が生じ、その結果ろう付不良が発生して洩れが生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−99584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、タンク部材と閉鎖板との間からの洩れの発生を防止しうる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)互いに間隔をおいて配置された複数の熱交換管と、長手方向を熱交換管の並び方向に向けて配置された両端開口筒状のタンク本体およびタンク本体の両端部にろう付されてタンク本体の両端開口を塞ぐ閉鎖板よりなり、かつ熱交換管の両端部が接続されたヘッダタンクとを備えており、ヘッダタンクのタンク本体が、横断面略U字形でかつ1対の側壁および両側壁の一側縁部どうしを一体に連結する連結壁よりなる押出形材製タンク部材と、タンク部材の両側壁の他側縁部間に跨ってろう付され、かつ熱交換管の端部が挿入された複数の管挿通穴を有するヘッダプレートとを有する熱交換器において、
ヘッダタンクのタンク本体におけるタンク部材の両側壁間に、押出形材に切削加工を施すことによって、ヘッダプレートが嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートのタンク本体に対する高さ方向および幅方向の位置を決めるプレート嵌入部が形成され、
ヘッダタンクのタンク本体におけるタンク部材の両端部に、押出形材に切削加工を施すことによって、閉鎖板が嵌め入れられるとともに、閉鎖板のタンク本体に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置を決める閉鎖板嵌入部が形成され、
ヘッダプレートが、タンク部材のプレート嵌入部内に嵌め入れられるとともに、タンク部材の両側壁の先端部に設けられかつタンク部材の幅方向内方に突出した係合部により連結壁側に押さえられた状態で両側壁にろう付され、閉鎖板が、タンク部材の閉鎖板嵌入部内に嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートを介してタンク部材の係合部により連結壁側に押さえられた状態でタンク部材およびヘッダプレートにろう付されている熱交換器。
【0009】
2)タンク部材のプレート嵌入部が、ヘッダプレートの両側面に沿いかつヘッダプレートのタンク本体に対する幅方向の位置を決める第1位置決め部と、ヘッダプレートにおけるヘッダタンク内方を向いた面の両側面寄りの部分に沿いかつヘッダプレートのタンク本体に対する高さ方向の位置を決める第2位置決め部とを有しており、タンク部材の閉鎖板嵌入部が、閉鎖板の周面におけるタンク部材の両側壁および連結壁に向いた部分に沿いかつ閉鎖板のタンク本体に対する高さ方向および幅方向の位置を決める第1位置決め部と、閉鎖板のヘッダタンク内方を向いた面におけるタンク部材の両側壁側部分および連結壁側部分に沿いかつ閉鎖板のタンク本体に対する長さ方向の位置を決める第2位置決め部とを有している上記1)記載の熱交換器。
【0010】
3)タンク部材に、プレート嵌入部の第2位置決め部に連なって、熱交換管の端部が当接し、かつ熱交換管の挿入位置を決める管位置決め部が形成されている上記2)記載の熱交換器。
【0011】
4)少なくともいずれか一方のヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数のヘッダ部に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられ、タンク部材が、同一横断面形状を有する複数の押出形材製構成部を仕切板を介して一直線上に並べるとともにろう付することにより形成されており、各構成部の仕切板側の端部に、押出形材に切削加工を施すことによって、仕切板の全厚みの半分よりも薄い部分が嵌め入れられるとともに、仕切板のタンク本体に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置を決める仕切板嵌入部が形成され、仕切板が、両側の構成部の仕切板嵌入部内に嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートを介してタンク部材の構成部の両側壁に設けられた係合部により連結壁側に押さえられた状態で構成部およびヘッダプレートにろう付されている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0012】
5)少なくともいずれか一方のヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数のヘッダ部に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられ、タンク部材が、同一横断面形状を有する複数の押出形材製構成部を仕切板を介して一直線上に並べるとともにろう付することにより形成されており、仕切板に、タンク部材の幅方向内方に突出しかつタンク部材の構成部の両側壁に設けられた係合部とともに、ヘッダプレートを連結壁側に押さえる仕切板側係合部が設けられ、仕切板が両側の構成部の端面間に配置された状態で、仕切板の両面と両側の構成部の端面、および仕切板の熱交換管側を向いた面とヘッダプレートとがそれぞれろう付されている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0013】
6)少なくともいずれか一方のヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数のヘッダ部に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられており、タンク部材の全体が一体に形成され、タンク部材のいずれか一方の側壁に仕切板を通すスリットが形成されるとともに、タンク部材の他方の側壁内面および連結壁内面におけるスリットと対応する位置に、仕切板の周縁部の一部が嵌る位置決め溝が形成され、仕切板がスリットに外側から通されるとともに位置決め溝内に嵌められることにより、仕切板のタンク部材の高さ方向、幅方向および長さ方向の位置が決められ、仕切板が、タンク部材の両側壁に設けられた係合部によりヘッダプレートを介して連結壁側に押さえられた状態でタンク部材およびヘッダプレートにろう付されている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0014】
上記1)〜6)の熱交換器によれば、ヘッダタンクのタンク本体におけるタンク部材の両側壁間に、押出形材に切削加工を施すことによって、ヘッダプレートが嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートのタンク本体に対する高さ方向および幅方向の位置を決めるプレート嵌入部が形成され、ヘッダタンクのタンク本体におけるタンク部材の両端部に、押出形材に切削加工を施すことによって、閉鎖板が嵌め入れられるとともに、閉鎖板のタンク本体に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置を決める閉鎖板嵌入部が形成され、ヘッダプレートが、タンク部材のプレート嵌入部内に嵌め入れられるとともに、タンク部材の両側壁の先端部に設けられかつタンク部材の幅方向内方に突出した係合部により連結壁側に押さえられた状態で両側壁にろう付され、閉鎖板が、タンク部材の閉鎖板嵌入部内に嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートを介してタンク部材の係合部により連結壁側に押さえられた状態でタンク部材およびヘッダプレートにろう付されているので、タンク部材が押出形材製であって寸法のばらつきが比較的大きくなっていたとしても、プレート嵌入部および閉鎖板嵌入部を寸法精度良く形成することができる。したがって、タンク部材とヘッダプレートとの間、およびタンク部材と閉鎖板との間に比較的大きな隙間が生じることを防止することができる。その結果、タンク部材とヘッダプレートとの間、およびタンク部材と閉鎖板との間にろう付不良が発生することが防止されることになり、洩れの発生を防止することが可能になる。
【0015】
また、ヘッダプレートが、タンク部材のプレート嵌入部内に嵌め入れられるとともに、タンク部材の両側壁の先端部に設けられかつタンク部材の幅方向内方に突出した係合部により連結壁側に押さえられた状態で両側壁にろう付され、閉鎖板が、タンク部材の閉鎖板嵌入部内に嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートを介してタンク部材の係合部により連結壁側に押さえられた状態でタンク部材およびヘッダプレートにろう付されているので、タンク部材とヘッダプレートと閉鎖板とのろう付の前に、タンク部材に設けられた係合部によりタンク部材とヘッダプレートと閉鎖板とを仮止めすることができる。
【0016】
上記2)の熱交換器によれば、プレート嵌入部におけるヘッダプレートのタンク本体に対する幅方向の位置を決める第1位置決め部およびタンク本体に対する高さ方向の位置を決める第2位置決め部と、閉鎖板嵌入部における閉鎖板のタンク本体に対する高さ方向および幅方向の位置を決める第1位置決め部およびタンク本体の長さ方向の位置を決める第2位置決め部とを、押出形材に切削加工を施すことによって比較的簡単に形成することができる。
【0017】
上記3)の熱交換器によれば、熱交換器を組み立てる際の熱交換管の端部の位置決めを簡単に行うことができる。
【0018】
上記4)の熱交換器によれば、少なくともいずれか一方のヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数のヘッダ部に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられ、タンク部材が、同一横断面形状を有する複数の押出形材製構成部を仕切板を介して一直線上に並べるとともにろう付することにより形成されており、各構成部の仕切板側の端部に、押出形材に切削加工を施すことによって、仕切板の全厚みの半分よりも薄い部分が嵌め入れられるとともに、仕切板のタンク本体に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置を決める仕切板嵌入部が形成され、仕切板が、両側の構成部の仕切板嵌入部内に嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートを介してタンク部材の構成部の両側壁に設けられた係合部により連結壁側に押さえられた状態で構成部およびヘッダプレートにろう付されているので、タンク部材の構成部が押出形材製であって寸法のばらつきが比較的大きくなっていたとしても、仕切板嵌入部を高寸法精度で形成することができる。したがって、タンク部材の構成部と仕切板との間に比較的大きな隙間が生じることを防止することができる。その結果、構成部と仕切板との間にろう付不良が発生することが防止され、少なくともいずれか一方のヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数のヘッダ部に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられている熱交換器であっても、仕切板を介して隣り合うヘッダ部間での流体のショートサーキットが防止される。さらに、隣り合う構成部間には、仕切板を外部に露出させる隙間が生じるので、製造時に仕切板が配置されていなかった場合には、外部から検知することができる。
【0019】
また、仕切板が、仕切板が、両側の構成部の仕切板嵌入部内に嵌め入れられるとともに、ヘッダプレートを介してタンク部材の構成部の両側壁に設けられた係合部により連結壁側に押さえられた状態で構成部およびヘッダプレートにろう付されているので、タンク部材の構成部とヘッダプレートと閉鎖板と仕切板とのろう付の前に、係合部によりタンク部材の構成部とヘッダプレートと閉鎖板と仕切板とを仮止めすることができる。
【0020】
上記5)の熱交換器によれば、少なくともいずれか一方のヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数のヘッダ部に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられ、タンク部材が、同一横断面形状を有する複数の押出形材製構成部を仕切板を介して一直線上に並べるとともにろう付することにより形成されており、仕切板に、タンク部材の幅方向内方に突出しかつタンク部材の構成部の両側壁に設けられた係合部とともに、ヘッダプレートを連結壁側に押さえる仕切板側係合部が設けられ、仕切板が両側の構成部の端面間に配置された状態で、仕切板の両面と両側の構成部の端面、および仕切板の熱交換管側を向いた面とヘッダプレートとがそれぞれろう付されているので、タンク部材の構成部が押出形材製であって寸法のばらつきが比較的大きくなっていたとしても、構成部は長尺の押出形材を切断することによりつくられることになり、両端面の寸法精度は高精度になる。したがって、仕切板の両面と両側の構成部の端面との間に比較的大きな隙間が生じることを防止することができる。その結果、仕切板と両側の構成部との間にろう付不良が発生することが防止され、ヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数の区画に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられている熱交換器であっても、仕切板を介して隣り合う区画間での流体のショートサーキットが防止される。さらに、仕切板が、隣り合う構成部間から外部に露出するので、製造時に仕切板が配置されていなかった場合には、外部から検知することができる。
【0021】
また、仕切板に、タンク部材の幅方向内方に突出しかつタンク部材の構成部の両側壁に設けられた係合部とともに、ヘッダプレートを連結壁側に押さえる仕切板側係合部が設けられ、仕切板が両側の構成部の端面間に配置された状態で、仕切板の両面と両側の構成部の端面、および仕切板の熱交換管側を向いた面とヘッダプレートとがそれぞれろう付されているので、タンク部材の構成部とヘッダプレートと閉鎖板と仕切板とのろう付の前に、係合部によりタンク部材の構成部とヘッダプレートと閉鎖板と仕切板とを仮止めすることができる。
【0022】
上記6)の熱交換器によれば、少なくともいずれか一方のヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数のヘッダ部に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられており、タンク部材の全体が一体に形成され、タンク部材のいずれか一方の側壁に仕切板を通すスリットが形成されるとともに、タンク部材の他方の側壁内面および連結壁内面におけるスリットと対応する位置に、仕切板の周縁部の一部が嵌る位置決め溝が形成され、仕切板がスリットに外側から通されるとともに位置決め溝内に嵌められることにより、仕切板のタンク部材の高さ方向、幅方向および長さ方向の位置が決められ、仕切板が、タンク部材の両側壁に設けられた係合部によりヘッダプレートを介して連結壁側に押さえられた状態でタンク部材およびヘッダプレートにろう付されているので、タンク部材が押出形材製であって寸法のばらつきが比較的大きくなっていたとしても、スリットおよび位置決め溝を、押出形材に切削加工を施すことによって形成することが可能になり、スリットおよび位置決め溝の寸法精度は高精度になる。したがって、仕切板とスリットの両側面および仕切板と位置決め溝の両側面との間に比較的大きな隙間が生じることを防止することができる。その結果、仕切板とタンク部材との間にろう付不良が発生することが防止され、ヘッダタンクに、ヘッダタンク内を複数の区画に仕切る少なくとも1つの仕切板が設けられている熱交換器であっても、仕切板を介して隣り合う区画間での流体のショートサーキットが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の熱交換器を適用した産業機械用オイルクーラを示す垂直断面図である。
図2図1のA−A線拡大断面図である。
図3図1のB−B線拡大断面図である。
図4図1の部分拡大図である。
図5図1のオイルクーラの右側ヘッダタンクを構成する構成部、閉鎖板、仕切板およびヘッダプレートを示す分解斜視図である。
図6】右側ヘッダタンクのタンク部材を構成する構成部を形成するのに用いられるアルミニウム押出形材を示す斜視図である。
図7】右側ヘッダタンクの第1の変形例を示す図2相当の図である。
図8】右側ヘッダタンクの第1の変形例を構成する構成部、閉鎖板および仕切板を示す分解斜視図である。
図9】右側ヘッダタンクの第2の変形例を示す図2相当の図である。
図10】右側ヘッダタンクの第2の変形例を構成するタンク部材、閉鎖板および仕切板を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による熱交換器を、産業機械用オイルクーラに適用したものである。
【0025】
図1はこの発明による熱交換器を適用したオイルクーラの全体構成を示し、図2図5はその要部の構成を示す。
【0026】
なお、以下の説明において、図1の上下、左右を上下、左右というものとし、図2の下側(図1の紙面表側)を前、これと反対側を後というものとする。
【0027】
また、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0028】
図1において、産業機械に用いられるオイルクーラ(1)は、左右方向に間隔をおいて配置された上下方向にのびる1対のアルミニウム製ヘッダタンク(2)(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間において幅方向を通風方向(前後方向)に向けるとともに上下方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部が両ヘッダタンク(2)(3)にろう付により接続されたされた複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(4)と、隣り合う熱交換管(4)どうしの間、および上下両端の熱交換管(4)の外側に配置されて熱交換管(4)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(5)と、上下両端のコルゲートフィン(5)の外側に配置されてコルゲートフィン(5)にろう付されたアルミニウム製サイドプレート(6)とを備えている。
【0029】
右側ヘッダタンク(2)は、長手方向を熱交換管(4)の並び方向(上下方向)に向けて配置された両端開口筒状のタンク本体(7)と、タンク本体(7)の上下両端部にろう付されてタンク本体(7)の上下両端開口を塞ぐ閉鎖板(8)とを備えており、高さ方向の中間部において少なくとも1つの仕切板(9)、ここでは1つの仕切板(9)により複数、ここでは上下2つのヘッダ部(2a)(2b)に仕切られている。上ヘッダ部(2a)に流入穴(11)が貫通状に形成され、アルミニウム製入口部材(12)の端部が流入穴(11)に挿入されて上ヘッダ部(2a)にろう付されている。また、下ヘッダ部(2b)に流出穴(13)が貫通状に形成され、アルミニウム製出口部材(14)の端部が流出穴(13)に挿入されて下ヘッダ部(2b)にろう付されている。
【0030】
図1図5に示すように、右側ヘッダタンク(2)のタンク本体(7)は、横断面略U字形でかつ前後1対の側壁(16)および前後両側壁(16)の一側縁部(右側縁部)どうしを一体に連結する連結壁(17)よりなるアルミニウム押出形材製タンク部材(15)と、タンク部材(15)の前後両側壁(16)の他側縁部(左側縁部)間に跨ってろう付され、かつ熱交換管(4)の端部が挿入された複数の管挿通穴(19)を有するヘッダプレート(18)とからなる。
【0031】
タンク部材(15)は、仕切板(9)の上下両側に存在する複数、ここでは2つの構成部(15A)に分割されている。すなわち、タンク部材(15)は、同一横断面形状を有する複数の押出形材製構成部(15A)を仕切板(9)を介して一直線上に並べるとともに、構成部(15A)と仕切板(9)とをろう付することにより形成されている。ここで、符号(16)は、タンク部材(15)全体の側壁および各構成部(15A)の側壁の両者を示し、符号(17)は、タンク部材(15)全体の連結壁および各構成部(15A)の連結壁の両者を示すものとする。上構成部(15A)の連結壁(17)に流入穴(11)が形成され、下構成部(15A)の連結壁(17)に流出穴(13)が形成されている。
【0032】
タンク部材(15)の両側壁(16)間に、ヘッダプレート(18)が嵌め入れられるとともに、ヘッダプレート(18)のタンク本体(7)に対する高さ方向および幅方向の位置を決めるプレート嵌入部(21)が形成されている。すなわち、両構成部(15A)の両側壁(16)間にプレート嵌入部(21)が形成され、両構成部(15A)のプレート嵌入部(21)によってタンク部材(15)のプレート嵌入部(21)となっている。ここで、符号(21)は、タンク部材(15)全体のプレート嵌入部および各構成部(15A)のプレート嵌入部の両者を示すものとする。
【0033】
タンク部材(15)の両側壁(16)に、ヘッダプレート(18)の管挿通穴(19)に挿入された熱交換管(4)の端部が当接し、かつ熱交換管(4)の挿入位置を決める管位置決め部(23)が形成されている。
【0034】
タンク部材(15)の上下両端部、すなわち上構成部(15A)の上端部および下構成部(15A)の下端部に、それぞれ閉鎖板(8)が嵌め入れられるとともに、閉鎖板(8)のタンク本体(7)に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置を決める閉鎖板嵌入部(24)が形成されている。
【0035】
さらに、タンク部材(15)の各構成部(15A)における仕切板(9)側の端部、すなわち上構成部(15A)の下端部および下構成部(15A)の上端部に、仕切板(9)の全厚みの半分よりも薄い部分が嵌め入れられるとともに、仕切板(9)のタンク本体(7)に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置を決める仕切板嵌入部(25)が形成されている。
【0036】
タンク部材(15)の各構成部(15A)のプレート嵌入部(21)、管位置決め部(23)、閉鎖板嵌入部(24)および仕切板嵌入部(25)は、図6に示すように、両側壁(16)および両側壁(16)の一側縁部を連結する連結壁(17)からなる横断面略U字形のアルミニウム押出形材(26)に切削加工を施し、所定の部分を切除することにより形成されている。
【0037】
すなわち、アルミニウム押出形材(26)の両側壁(16)における連結壁(17)とは反対側の自由端部を、当該自由端部の端面の外側寄りに所定幅を有する第1残存部(27)が設けられるように切除することによって、プレート嵌入部(21)が形成されている(図5参照)。第1残存部(27)の内面が、ヘッダプレート(18)のタンク本体(7)に対する幅方向の位置を決める第1位置決め部(28)となり、両側壁(16)における第1残存部(28)よりも内側でかつ連結壁(17)とは反対側を向いて露出した端面が、ヘッダプレート(18)のタンク本体(7)に対する高さ方向の位置を決める第2位置決め部(29)となっている。第1残存部(27)の高さは、ヘッダプレート(18)の厚みよりも高くなっている。
【0038】
また、アルミニウム押出形材(26)の両側壁(16)における第2位置決め部(29)よりも内側の部分を切除することによって、管位置決め部(23)が形成されている(図5参照)。
【0039】
また、アルミニウム押出形材(26)の両側壁(16)および連結壁(17)の長手方向の一方の端部を、当該一方の端部の端面の外側寄りに、所定幅を有する第2残存部(31)が、両側壁(16)から連結壁(17)にかけて連続して設けられるように切除することによって、閉鎖板嵌入部(24)が形成されている(図5参照)。そして、第2残存部(31)の内面が、閉鎖板(8)のタンク本体(7)に対する高さ方向および幅方向の位置を決める第1位置決め部(32)となり、両側壁(16)および連結壁(17)における第2残存部(31)よりも内側において露出した端面が、閉鎖板(8)のタンク本体(7)に対する長さ方向の位置を決める第2位置決め部(33)となっている。第2残存部(31)の高さは、閉鎖板(8)の厚みとほぼ等しくなっている。
【0040】
さらに、アルミニウム押出形材(26)の両側壁(16)および連結壁(17)の長手方向の他方の端部を、当該他方の端部の端面の外側寄りに、所定幅を有する第3残存部(34)が、両側壁(16)から連結壁(17)にかけて連続して設けられるように切除することによって、仕切板嵌入部(25)が形成されている(図5参照)。そして、第3残存部(34)の内面が、仕切板(9)のタンク本体(7)に対する高さ方向および幅方向の位置を決める第1位置決め部(35)となり、両側壁(16)および連結壁(17)における第3残存部(34)よりも内側において露出した端面が、仕切板(9)のタンク本体(7)に対する長さ方向の位置を決める第2位置決め部(36)となっている。第3残存部(34)の高さは、閉鎖板(8)の厚みよりも低くなっており、これにより仕切板嵌入部(25)内に、仕切板(9)の全厚みの半分よりも薄い部分が嵌め入れられる。
【0041】
ヘッダプレート(18)は、少なくともヘッダタンク(2)の内側を向いた面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる。ヘッダプレート(18)は、タンク部材(15)のすべての構成部(15A)に跨るようにプレート嵌入部(21)内に嵌め入れられてタンク本体(7)に対する高さ方向および幅方向の位置が決められ、さらに両側壁(16)の第1残存部(27)の先端側がタンク部材(15)の幅方向内方に曲げられることにより形成された係合部(22)によって、連結壁(17)側に押さえられた状態で両側壁(16)にろう付されている。
【0042】
閉鎖板(8)は少なくともヘッダタンク(2)の内側を向いた面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる。閉鎖板(8)は、タンク部材(15)の上下両端部の閉鎖板嵌入部(24)内に嵌め入れられてタンク本体(7)に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置が決められ、さらにヘッダプレート(18)を介して係合部(22)によって、連結壁(17)側に押さえられた状態でタンク部材(15)の両構成部(15A)の両側壁(16)および連結壁(17)とヘッダプレート(18)とにろう付されている。
【0043】
仕切板(9)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる。仕切板(9)は、両構成部(15A)の仕切板嵌入部(25)内にまたがって嵌め入れられてタンク本体(7)に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置が決められ、さらにヘッダプレート(18)を介して係合部(22)により連結壁(17)側に押さえられた状態で、タンク部材(15)の両構成部(15A)の両側壁(16)および連結壁(17)とヘッダプレート(18)とにろう付されている。
【0044】
左側ヘッダタンク(2)は、長手方向を熱交換管(4)の並び方向(上下方向)に向けて配置された両端開口筒状のタンク本体(37)と、タンク本体(37)の上下両端部にろう付されてタンク本体(37)の上下両端開口を塞ぐ閉鎖板(8)とよりなる。タンク本体(37)は、横断面略U字形でかつ1対の側壁(16)および両側壁(16)の一側縁部どうしを一体に連結する連結壁(17)よりなるアルミニウム押出形材製タンク部材(38)と、タンク部材(38)の両側壁(16)の他側縁部間に跨ってろう付され、かつ熱交換管(4)の端部が挿入された複数の管挿通穴(19)を有するヘッダプレート(18)とを有する。タンク部材(38)は、全体に一体に形成されており、右側ヘッダタンク(2)の構成部(15A)と同一横断面形状であって構成部(15A)を長くしたような構成を有している。
【0045】
タンク部材(38)には、右側ヘッダタンク(2)と同様な構成のプレート嵌入部(21)が全長にわたって形成され、タンク本体(37)の上下両端部には、右側ヘッダタンク(2)と同様な構成の閉鎖板嵌入部(24)が形成されている。そして、右側ヘッダタンク(2)と同様にして、タンク部材(38)の両側壁(16)にヘッダプレート(18)がろう付され、閉鎖板(8)がタンク部材(38)の両側壁(16)および連結壁(17)とヘッダプレート(18)にろう付されている。
【0046】
熱交換管(4)は、両端部が両ヘッダタンク(2)(3)のヘッダプレート(18)の管挿通穴(19)に挿入されるとともに、管位置決め部(23)により両ヘッダタンク(2)(3)内への挿入深さが決められた状態でヘッダプレート(18)にろう付されている。図示は省略したが、熱交換管(4)内には、インナーフィンが配置されている。
【0047】
オイルクーラ(1)は、次の方法で製造される。
【0048】
まず、図6に示すアルミニウム押出形材(26)と、図6に示すアルミニウム押出形材(26)と同一横断面を有するとともに、長尺であるアルミニウム押出形材とを用意し、これらのアルミニウム押出形材(26)の所要部分に切削加工を施すことによって、プレート嵌入部(21)、管位置決め部(23)、閉鎖板嵌入部(24)、仕切板嵌入部(25)、第1〜第3残存部(27)(31)(34)を有する右側ヘッダタンク(3)のタンク部材(15)の構成部(15A)と、プレート嵌入部(21)、管位置決め部(23)、閉鎖板嵌入部(24)、仕切板嵌入部(25)、第1〜第3残存部(27)(31)(34)を有する左側ヘッダタンク(3)のタンク部材(38)とをつくる。右側ヘッダタンク(3)のタンク部材(15)の一方の構成部(15A)には流入穴(11)を形成するとともに、他方の構成部(15A)には流出穴(13)を形成し、流入穴(11)に入口部材(12)を、流出穴(13)に出口部材(14)をそれぞれ挿入しておく。また、片面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことによって、管挿通穴(19)を有する2枚のヘッダプレート(18)をつくる。また、片面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことによって、4枚の閉鎖板(8)をつくる。さらに、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことによって、1枚の仕切板(9)をつくる。
【0049】
ついで、右側ヘッダタンク(2)の両構成部(15A)を並べて仕切板(9)を両構成部(15A)の仕切板嵌入部(25)内にまたがるように嵌め入れるとともに、閉鎖板(8)をろう材層が内側を向くように両構成部(15A)の閉鎖板嵌入部(24)内に嵌め入れた後、ヘッダプレート(18)をろう材層が内側を向くようにプレート嵌入部(21)内に嵌め入れ、この状態で第1残存部(27)を内方に曲げて係合部(22)を形成し、係合部(22)によりヘッダプレート(18)を両構成部(15A)に仮止めするとともに、仕切板(9)および両閉鎖板(8)を、ヘッダプレート(18)を介して係合部(22)により両構成部(15A)に仮止めし、さらに両構成部(15A)どうしを仮止めする。
【0050】
一方、閉鎖板(8)をろう材層が内側を向くように左側ヘッダタンク(3)のタンク部材(38)の閉鎖板嵌入部(24)内に嵌め入れた後、ヘッダプレート(18)をろう材層が内側を向くようにプレート嵌入部(21)内に嵌め入れ、この状態で第1残存部(27)を内方に曲げて係合部(22)を形成し、係合部(22)によりヘッダプレート(18)をタンク部材(38)に仮止めするとともに、両閉鎖板(8)をヘッダプレート(18)を介して係合部(22)によりタンク部材(38)に仮止めする。
【0051】
ついで、ヘッダプレート(18)、両閉鎖板(8)および仕切板(9)が仮止めされた右側ヘッダタンク(2)の両構成部(15A)と、ヘッダプレート(18)および両閉鎖板(8)が仮止めされた左側ヘッダタンク(3)のタンク部材(38)とを間隔をおいて配置し、複数の熱交換管(4)の両端部を両ヘッダプレート(18)の管挿通穴(19)内に挿入する。
【0052】
この状態で、全体を仮止めして所定温度に加熱することにより、両構成部(15A)と、ヘッダプレート(18)、両閉鎖板(8)および仕切板(9)をろう付して右側ヘッダタンク(2)をつくるとともに、一方の構成部(15A)に入口部材(12)を、他方の構成部(15A)に出口部材(14)をそれぞれろう付し、さらにタンク部材(38)と、ヘッダプレート(18)および両閉鎖板(8)をろう付して左側ヘッダタンク(3)をつくる。これと同時に、熱交換管(4)をヘッダプレート(18)にろう付する。こうして、オイルクーラ(1)が製造される。
【0053】
上述したオイルクーラ(1)においては、右側ヘッダタンク(2)に1つの仕切板(9)が設けられて上下ヘッダ部(2a)(2b)に区画され、左側ヘッダタンク(3)には仕切板は設けられていないが、これに限定されるものではなく、両ヘッダタンク(2)(3)にそれぞれ少なくとも1以上の仕切板が(9)が設けられて複数のヘッダ部に区画されていてもよい。
【0054】
上記実施形態を示す図面において、発明の構成を分かりやすくするために、オイルクーラの寸法や、熱交換管の数および熱交換管のピッチなどは、実際のものとは異なっている。
【0055】
図7図10は右側ヘッダタンクの変形例を示す。
【0056】
図7および図8に示す右側ヘッダタンク(40)の場合、上側の構成部(15A)の下端部および下側の構成部(15A)の上端部には仕切板嵌入部は形成されていない。また、仕切板(41)の左右方向内方を向いた面の前後両端部に、構成部(15A)の両側壁(16)の係合部(22)とともにヘッダプレート(18)を連結壁(17)側に押さえる仕切板側係合部(42)が設けられている。そして、仕切板(41)は、両側の構成部(15A)の端面間に配置され、この状態で、仕切板(41)の両側面と両側の構成部(15A)の端面、仕切板(41)の左右方向内面(熱交換管(4)側を向いた面)とヘッダプレート(18)、および仕切板側係合部(42)とヘッダプレート(18)とがそれぞれろう付されている。
【0057】
その他の構成は、図1図5に示すオイルクーラ(1)の右側ヘッダタンク(2)と同様である。
【0058】
図7および図8に示す右側ヘッダタンク(40)を備えたオイルクーラは、右側ヘッダタンク(40)の構成部(15A)に仕切板嵌入部を形成しないこと、仕切板(41)の左右方向内方を向いた面の前後両端部に、真っ直ぐな係合部形成用凸片(42A)を形成しておくこと、仕切板(41)を両構成部(15A)の平坦な端面間に配置すること、仕切板(9)の係合部形成用凸片(42A)を内側に曲げて仕切板側係合部(42)を形成し、ヘッダプレート(18)を連結壁(17)側に押さえることを除いては、上述したオイルクーラ(1)の右側ヘッダタンク(2)と同様に仮組し、すべての部品を一括ろう付することにより製造される。
【0059】
図9および図10に示す右側ヘッダタンク(50)の場合、タンク部材(51)は複数に分割されておらず、左側ヘッダタンク(3)のタンク部材(38)と同様に全体が一体に形成されている。そして、タンク部材(51)の両側壁(52)間にプレート嵌入部(21)が形成されるとともに、その両端に閉鎖板嵌入部(24)が形成されている。また、タンク部材(51)のいずれか一方の側壁(52)、ここでは前側壁(52)に仕切板(56)を通すスリット(54)が形成されるとともに、タンク部材(51)の他方の側壁(52)内面および連結壁(53)内面におけるスリット(54)と対応する位置に、仕切板(56)の周縁部の一部が嵌る位置決め溝(55)が形成されている。
【0060】
仕切板(56)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、スリット(54)に外側から通されるとともに位置決め溝(55)内に嵌められてスリット(54)および位置決め溝(55)によりタンク部材(51)に対する高さ方向、幅方向および長さ方向の位置が決められるとともに、ヘッダプレート(18)を介して係合部(22)により連結壁(17)側に押さえられた状態で、仕切板(56)がタンク部材(51)の両側壁(52)および連結壁(17)とヘッダプレート(18)とにろう付されている。
【0061】
その他の構成は、図1図5に示すオイルクーラ(1)の右側ヘッダタンク(2)と同様である。
【0062】
図9および図10図に示す右側ヘッダタンク(50)を備えたオイルクーラは、右側ヘッダタンク(50)のタンク部材(51)を全体に一体に形成すること、タンク部材(51)にスリット(54)および位置決め溝(55)を形成しておくこと、および仕切板(56)を外側からスリット(54)を通してタンク部材(51)内に挿入し、周縁部の一部を位置決め溝(55)内に嵌めることを除いては、上述したオイルクーラ(1)の右側ヘッダタンク(2)と同様に仮組し、すべての部品を一括ろう付することにより製造される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
この発明による熱交換器は、産業機械用オイルクーラに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0064】
(1):オイルクーラ(熱交換器)
(2)(3):ヘッダタンク
(4):熱交換管
(7)(37):タンク本体
(8):閉鎖板
(9):仕切板
(15)(38):タンク部材
(15A):構成部
(16):側壁
(17):連結壁
(18):ヘッダプレート
(19):管挿通穴
(21):プレート嵌入部
(22):係合部
(23):管位置決め部
(24):閉鎖板嵌入部
(25):仕切板嵌入部
(28):第1位置決め部
(29):第2位置決め部
(40):ヘッダタンク
(41):仕切板
(42):係合部
(42A):係合部形成用凸片
(50):ヘッダタンク
(51):タンク部材
(52):側壁
(53):連結壁
(54):スリット
(55):位置決め溝
(56):仕切板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10