特許第5747026号(P5747026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747026
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】オイルミストセパレータ
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   F01M13/04 B
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-514414(P2012-514414)
(86)(22)【出願日】2010年5月28日
(65)【公表番号】特表2012-529587(P2012-529587A)
(43)【公表日】2012年11月22日
(86)【国際出願番号】EP2010057463
(87)【国際公開番号】WO2010142544
(87)【国際公開日】20101216
【審査請求日】2013年4月12日
(31)【優先権主張番号】102009024701.7
(32)【優先日】2009年6月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久
(74)【代理人】
【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二
(74)【代理人】
【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実
(74)【代理人】
【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也
(74)【代理人】
【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄
(74)【代理人】
【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100131901
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 雅典
(74)【代理人】
【識別番号】100132012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩下 嗣也
(74)【代理人】
【識別番号】100141276
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 康二
(74)【代理人】
【識別番号】100143409
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100157093
【弁理士】
【氏名又は名称】間脇 八蔵
(74)【代理人】
【識別番号】100163186
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 裕吉
(74)【代理人】
【識別番号】100163197
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100163588
【弁理士】
【氏名又は名称】岡澤 祥平
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ルッペル
【審査官】 佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−198466(JP,U)
【文献】 特表2009−507157(JP,A)
【文献】 特開2004−132199(JP,A)
【文献】 特開2001−098920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのノズル(2)を有するノズル装置と、
上記少なくとも1つのノズル(2)に対向して配置され、ガスの流れを規制し得る分離材料(4)によって覆われる衝突壁(3)とを備え、インパクターとして設計され、上記少なくとも1つのノズルの領域において、上記ノズルと上記分離材料(4)との間の距離(d)が、上記衝突壁(3)および分離材料(4)に衝突して流れる方向が変えられた直後のガスが流れる領域である、上記ノズルの周囲の領域(5)よりも短くされたクランクケース換気システム用のオイルミストセパレータ(1)を有する内燃機関であって、
上記分離材料(4)は、上記ノズル(2)と対向する領域において、該ノズルへ向かって突出し、これにより、該領域の方が上記周囲の領域(5)と比べてノズルの吐出口と分離材料(4)との間の距離が短くされることにより、上記分離材料(4)が上記ノズル(2)と対向する領域の方が上記周囲の領域(5)と比べてガスの流速が速くなるように構成されていることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関において、
上記分離材料(4)は、フリース、編み込まれた材料、布、又はメッシュ状の材料として設計されていることを特徴とする内燃機関。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の内燃機関において、
上記少なくとも1つのノズル(2)は、上記ノズル装置から上記衝突壁(3)へ向かって突出していることを特徴とする内燃機関。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の内燃機関において、
上記衝突壁(3)は、バイパスバルブの弁部材によって形成されていることを特徴とする内燃機関。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関において、
上記バイパスバルブは、ポペット弁として設計されていることを特徴とする内燃機関。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の内燃機関において、
上記ノズル装置は、上記衝突壁(3)と相互作用することにより流れの障壁として機能する複数のノズル(2)を備えていることを特徴とする内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インパクターとして設計されたオイルミストセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に配置可能な内燃機関の運転中、いわゆるブローバイガスがピストンとシリンダとの間から各内燃機関のクランクケースへ漏れる。クランクケース内において許容されない過剰圧力、又はブローバイガスの周囲への望まれない排出を回避するために、いわゆるクランクケース換気装置が用いられる。通常、このような換気装置は、換気ラインによって、クランクケースを内燃機関の吸気通路に接続する。そこでは、特にスロットルバルブの下流側では、クランクケース内に溜まったブローバイガスを該クランクケースから吸引可能な相対的な負圧が広がっている。更に、内燃機関の運転中、ブローバイガスにエアロゾル状に溶解して混合されたオイルミストが生成される。内燃機関におけるオイルの消費を抑制し且つ汚染物質の排出も抑制するため、通常、ブローバイガスにエアロゾル状に溶解した油粒子を分離して、該粒子を適切な油貯留器に送るオイルミストセパレータが用いられる。汚染物質の排出規制が厳しくなっているため、このようなオイルミストセパレータの清浄化効果の絶え間ない改善が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1では、クランクケース換気装置用のオイルミストセパレータが開示されている。このオイルミストセパレータは、第1及び第2のセパレータユニットと、バイパスバルブとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0860589号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特に分離率が高いことを特徴とするオイルミストセパレータの改善された実施形態を提供する問題に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題は、独立請求項1の主題による発明に従って解決される。また、有利な実施例は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明は、少なくとも1つのノズルを有するノズル装置と、該少なくとも1つのノズルに対向して配置される衝突壁とを更に有し、インパクターとして設計されたオイルミストセパレータにおいて、上記ノズルと衝突壁との間の距離を短くするという概念に基づいている。この衝突壁は、通常、分離効果を高めるために、分離材料、特にフリースや編み込まれた材料で覆われている。もちろん、上記ノズル装置は、通常、互いに隣り合って配列され、好ましくは分離材料との間の距離が吐出口の部分(region)において、各ノズルの間の部分よりも短くなるように配置された複数のノズルを備えている。一般的に、ここでは、距離短縮の方法は問題にはならず、例えば、火山のように突出したノズルが提供されてもよく、及び/又は、ノズルに対向する部分が該ノズルへ向かって突出した分離材料が提供されてもよい。ここで唯一の重要なことは、各ノズルの吐出口と対向する分離材料との間の距離が、ノズルの部分で短縮されることによって、ブローバイガスの非常に強い流れの偏向が強制的に実施されることであり、これにより、非常に高い分離率を達成できる。ノズル、分離材料、又は衝突壁の特定の形の設計によって、流速がノズルの下流側の領域のみにおいて速くなり、その結果、分離が良好になる。さらに進むと、再び流れは遅くなる。これは、差圧及び構成要素の安全性において良い影響を与える。通常、複数のノズルが設けられているという事実により、各ノズルの吐出口から吐出されたブローバイガスは、分離材料自体を通じて流れるか、又は、ノズル装置と分離材料との間の中間空間を経由して流れるように強制される。この中間空間は、分離材料とノズルとの間の距離が、それぞれ対向する部分で短縮されていることによって、でこぼこしている。このようにしても、また、上述のように、流出するブローバイガスの流速は遅くなる。上述のように、ノズルの部分における、該ノズルと対向する分離材料との間の距離の短縮は、ノズルを分離材料へ向かって突出させるか、分離材料をノズルへ向かって突出させるか、又はその両方を行うことによって達成できる。特に、本発明に係るこのようなオイルミストセパレータによれば、高い安全性及び低い差圧を確保しつつ、比較的高い効率を実現できる。
【0008】
本発明による解決策の有利な改良では、衝突壁がバイパスバルブの弁部材によって形成されている。従って、衝突壁は通常、ノズルとして同時に機能するバイパスバルブを閉じていて、そして、該バイパスバルブが開いたときのみオイルミストの分離が行われる。この場合には、バイパスバルブはノズルとして動作し、例えば分離材料によって覆われた開く弁板が衝突壁として動作する。このように形成されたバイパスバルブは、オイルミストセパレータとしても利用され得る。
【0009】
本発明の更に重要な特徴及び利点は、従属項、図面、及び図面に基づく図の関連する説明から生じる。
【0010】
上記特徴及び後述する特徴は、記載されたそれぞれの組合せだけでなく、本発明の文脈から逸脱しない範囲において、他の組合せ又は単独で利用可能であることが理解されるべきである。
【0011】
本発明の好ましい例示的な実施形態は図に示され、詳細は以下で説明されている。ここでの同一の符号は、同一又は類似の、又は機能的に同一の要素を示している。
【0012】
図は、概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係るオイルミストセパレータの断面図である。
図2図2は、他の実施形態に係る図1相当図である。
図3図3は、更に他の実施形態に係る図1相当図である。
図4図4は、衝突壁がバイパスバルブの弁部材によって形成されたオイルミストセパレータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図3によれば、オイルミストセパレータ1、特にクランクケース換気装置におけるオイルミストセパレータ1は、少なくとも1つのノズル2を有するノズル装置を備えている。図1から図3によれば、ノズル装置は、それぞれの場合において3つのノズル2を備えている。ノズル2に対向して、分離材料4、特にフリース、編み込まれた材料、又はメッシュ状の材料で覆われた衝突壁3が配置されている。本発明によれば、ノズル2の部分におけるノズル2と分離材料4との間の距離d(これは、上記ノズルの吐出口と分離材料4との間の距離を意味する)は、ノズル2の周囲の部分5よりも短い。これにより、インパクターとして設計されたオイルミストセパレータ1内の流速が全体として低減されることが企図され、これによって、分離効果は著しく改善される。
【0015】
衝突壁3については、図1に示すように不浸透性にしたり、又は、図2に示すように流路開口部6を設けたりして、ノズル2から流出するブローバイガスの流れ7が衝突壁3の周囲を流れたり、又は、所定の場所で通過できるようにすることができる。
【0016】
図1及び図2を見ると、ノズルの部分における、分離材料4までの短縮される距離dは、ノズル2が、衝突壁3、すなわち分離材料4へ向かって突出することによって形成される。一方、図3によれば、上記ノズル2の部分における短縮される距離dは、ノズル2に対向する部分で該ノズルに向かって突出する分離材料4によって形成される。もちろん、これらを組み合わせることも考えられる。
【0017】
図4を見ると、オイルミストセパレータ1は、弁装置に一体化されていて、衝突壁3は弁部材、特に弁板8によって形成されている。図1から図3に示される衝突壁3と同様、弁板8は、分離材料4で覆われている。この分離材料4は、ノズル2の部分において該ノズルへ向かって突出しており、これにより、この部分におけるノズルの吐出口と分離材料4との間の距離dが、周囲の部分5と比べて短縮される。この場合、弁装置は、ポペット弁として設計されているが、もちろん、別の実施形態も考えられる。
【0018】
複数のノズルが互いに隣り合って配列されているため、上記ノズルは、該ノズルに対向する衝突壁3と相互作用することにより、ブローバイガスの流れ7を更に減速させる流れ障壁として機能し、これにより、分離効果が上昇する。ここでは、ブローバイガスの流れ7は、分離材料4を通して、また、該分離材料4に沿って流れることができ、エアロゾル状になってブローバイガスの流れ7に溶解したオイルミストの液滴が分離され、収集され、通常はその下に配置される油貯留器へ再び送られる。一般的に、このようなオイルミストセパレータ1は、内燃機関の油の消費を低減するためにクランクケース換気装置の分野で用いられる。
図1
図2
図3
図4