特許第5747038号(P5747038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747038
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】回転式アテローム切除術用デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   A61B17/00 320
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-533148(P2012-533148)
(86)(22)【出願日】2010年8月3日
(65)【公表番号】特表2013-507176(P2013-507176A)
(43)【公表日】2013年3月4日
(86)【国際出願番号】US2010044216
(87)【国際公開番号】WO2011043859
(87)【国際公開日】20110414
【審査請求日】2013年7月1日
(31)【優先権主張番号】12/576,601
(32)【優先日】2009年10月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508132034
【氏名又は名称】カーディオバスキュラー システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェルティー, ライアン ディー.
【審査官】 毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−525212(JP,A)
【文献】 米国特許第05938670(US,A)
【文献】 特表平11−505752(JP,A)
【文献】 特表2009−504239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式アテローム切除術用デバイスであって、
固定されたハンドル部分、および、該固定されたハンドル部分に取り付けられ、該固定されたハンドル部分から取り外し可能である交換可能なハンドル部分を含むハンドル筐体と、
該ハンドル筐体にある近位端と、患者の脈管構造への挿入のための該近位端の反対側にある遠位端とを有するとともに、前記交換可能なハンドル部分に設けられた穴を通して延びる、細長い可撓性回転可能駆動シャフトと、
所定の外形を有し、該駆動シャフトの該近位端に固定して取り付けられ、該駆動シャフトの近位端から近位側に延在する駆動シャフト結合器と、
前記ハンドル筐体内で該駆動シャフトを回転させるための、前記固定されたハンドル部分の内部に取り付けられた原動機と、
該原動機に回転可能に結合され、該原動機の遠位端に位置決めされ、そこから遠位側に延在する原動機結合器と
を備え、該原動機結合器は、前記駆動シャフト結合器の前記外形に相補的な内形を有する開口部を含み、前記駆動シャフト結合器の前記外形の少なくとも一部が前記原動機結合器の内形内に嵌合するように、該原動機結合器の内形内に長手方向に並進可能にかつ回転不可能に係合され、該駆動シャフト結合器は、高速回転式アテローム切除術中に該原動機結合器に対する回転運動が制止され、
前記交換可能なハンドル部分はさらに、制御器と、第1の対向する要素と、第2の対向する要素とを含み、前記第1の対向する要素は前記駆動シャフト結合器上で、前記駆動シャフト結合器の外周に設けられた保持要素の近位にあり、前記第2の対向する要素は前記保持要素の遠位にあり、前記制御器は、前記駆動シャフト結合器を原動機結合器に対して長手方向に並進させるために、前記保持要素を長手方向に押すよう前記第1および第2の対向する要素の長手方向の位置を調整し、
前記保持要素は、前記駆動シャフト結合器の外周から、該駆動シャフト結合器の径方向外側に延在する輪を含む、回転式アテローム切除術用デバイス。
【請求項2】
前記駆動シャフトおよび前記駆動シャフト結合器は、前記ハンドル筐体から取り外し可能かつ交換可能であり、
前記原動機および前記原動機結合器は、交換不可能な態様で該ハンドル筐体に固定される、請求項1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
【請求項3】
前記ハンドル筐体は、前記駆動シャフトが交換されるときに、前記駆動シャフト結合器を整列させるための少なくとも1つの嵌合構造を含む、請求項2に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
【請求項4】
前記ハンドル筐体は、前記原動機の長手方向の位置を調整することなく、前記駆動シャフトの長手方向の位置を調整する機構を含む、請求項1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
【請求項5】
前記駆動シャフト結合器および前記原動機結合器の前記相補的横断面は、正多角形を含む、請求項1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
【請求項6】
前記駆動シャフト結合器および前記原動機結合器の前記相補的横断面は、正方形を含む、請求項5に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
【請求項7】
前記駆動シャフト結合器および前記原動機結合器の前記相補的横断面は、六角形を含む、請求項5に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
【請求項8】
前記駆動シャフト結合器および前記原動機結合器の前記相補的横断面は、少なくとも1つの丸みを帯びた角部を有する形状を含む、請求項1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明者)
Blaine、MN在住の米国市民であるRyan D.Welty
(関連出願の引用)
適用なし
(連邦政府支援の研究または開発に関する声明)
適用なし
(発明の技術分野)
本発明は、回転式アテローム切除術用デバイスを利用した動脈からの動脈硬化プラークの除去などの身体通路から組織を除去するためのデバイスおよび方法に関する。具体的には、本発明は、交換可能な駆動シャフトを有する回転式アテローム切除術用デバイスの改善に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の記述)
動脈および同様の身体通路における組織の除去または修復に使用するために、種々の技術および器具が開発されてきた。そのような技術および器具の主な目的は、患者の動脈における動脈硬化プラークの除去である。アテローム性動脈硬化は、患者の血管の内膜層(内皮の下)における脂肪性沈着物(アテローム)の蓄積を特徴とする。多くの場合、比較的軟性でコレステロールを多く含むアテローム様物質として初めに沈着したものは、経時的に硬化し、石灰化動脈硬化プラークになる。そのようなアテロームは、血流を制限するため、しばしば、狭窄性病変または狭窄と呼ばれ、閉塞物質は、狭窄物質と呼ばれる。処置せずに放置すると、そのような狭窄は、狭心症、高血圧症、心筋梗塞、脳卒中、および同等物を引き起こし得る。
【0003】
いくつかの種類のアテローム切除術用デバイスが、そのような狭窄物質の一部または全ての除去を試行するために開発されてきた。特許文献1(Auth)に示されるデバイス等の一種類のデバイスにおいて、ダイヤモンド粒(ダイヤモンド粒子または粉末)等の砥石切断材で被覆された回転バリが、可撓性の回転可能駆動シャフトの遠位端で担持される。
【0004】
特許文献2(Shturman)は、拡大直径を有する駆動シャフトの一区分を伴う回転可能駆動シャフトを有する別のアテローム切除術用デバイスを示し、この拡大直径区分の少なくとも一区分は、駆動シャフトの研磨部分を画定するように研磨材で被覆される。高速回転させられると、研磨部分は、動脈から狭窄組織を除去することが可能である。
【0005】
特許文献3(Auth)は、Auth特許134およびShturman特許438に示される種類の回転式アテローム切除術用デバイスと連動して使用することができるハンドルの種類の詳細を示す。Auth特許407に示される種類のハンドルは、Rotablator(登録商標)の商標で販売されている回転式アテローム切除術用デバイスにおいて、現在Boston Scientific Corporation(Natick,Mass.)により所有されているHeart Technology,Inc.(Redmond,Wash.)により商品化された。Rotablator(登録商標)デバイスのハンドルは、圧縮ガス駆動タービン、駆動シャフトを通って延在するガイドワイヤを挟持するための機構、光ファイバータコメータの部分、および駆動シャフトを通して生理食塩水を汲み上げるためのポンプを含む、種々の構成要素を含む。
【0006】
(関連したバリをともなう)Rotablator(登録商標)デバイスの駆動シャフトとタービンとの間の接続は恒久的であるが、アテローム切除術処置中に、2つ以上のサイズのバリの使用をしばしば必要とする。すなわち、多くの場合、最初に、より小さいサイズのバリがある特定の直径まで狭窄を開放するために使用され、次に、1つ以上のより大きいサイズのバリが狭窄をさらに開放するために使用される。そのような後により大きい直径の複数のバリを使用することは、「セットアップ技術」と称されることもあり、Rotablator(登録商標)デバイスの製造業者により推奨されている。複数のバリ技術において、それぞれのそのような逐次サイズのバリのために、新しいRotablator(登録商標)デバイスを使用する必要がある。したがって、医師が全処置にわたって1つのハンドルのみを使用し、処置を開始するために適切な駆動シャフトおよび組織除去器具(例えば、バリ)をそのように操作するよう取り付け、次いで、駆動シャフトおよび組織除去器具を、異なるサイズまたはさらには異なる設計の組織除去器具を有する駆動シャフトと交換することができるアテローム切除術システムの必要性が存在する。
【0007】
バリとともに、駆動シャフトの可撓性の遠位部分を、異なるサイズのバリを有する駆動シャフトの別の遠位部分と交換する能力を有するRotablator(登録商標)に続くバージョンが導入された。そのようなシステムの技術的詳細は、1998年6月16日に発行された、Wulfmanの特許文献4、表題「Connectable driveshaft system」に包含されている。本システムは、医師が、バリとともに、可撓性の駆動シャフトの交換可能な遠位部分を、ハンドルのタービンに接続される駆動シャフトの可撓性の近位部分から切断することができ、したがって、全アテローム切除術ユニットを廃棄することなくバリのサイズを変化させることを可能にする、接続/切断特徴を有する可撓性の駆動シャフトを利用する。それぞれの交換可能な駆動シャフト部分は、自らの交換可能なカテーテルおよびカテーテル筐体内に配置される。本システムにおける駆動シャフトの可撓性の近位部分は、タービンに恒久的に取り付けられ、交換されない。本システムは、Rotalink System(登録商標)の商標でBoston Scientificにより商品化された。Rotalink System(登録商標)がバリのサイズを変化させることを許容する一方で、駆動シャフトの交換可能な部分を実際に切断し、それを駆動シャフトの別の交換可能な部分に交換することを必要とするステップが密に関係しており、非常に小さい構成要素の比較的複雑な操作を必要とする。
【0008】
最初に、切断可能な結合を包含する可撓性の駆動シャフトの近位および遠位部分の両方の部分を曝露するように、カテーテル筐体がハンドルから切断され、ハンドルから遠位に離れて除去されなければならない。この結合は、係止管を遠位に摺動させることにより切断され、相互から係脱されるように、可撓性の駆動シャフトの近位および遠位部分上で相補的係止歯を許容する。次に、異なるバリを有する同様の可撓性の遠位駆動シャフト部分を、駆動シャフトの可撓性の近位部分に接続してもよい。そのようなアセンブリを達成するために、駆動シャフトの遠位交換部分の近位端上の係止歯は、最初に、長手方向および回転的の両方で、駆動シャフトの近位部分の遠位端で相補的係止歯と整合されなければならない。可撓性の駆動シャフトが典型的に直径1mm未満であるため、係止歯は類似して極めて小さいサイズであり、係止歯を適切に整合連動させるのにかなりの手先の器用さおよび視力を必要とする。係止歯が相互に適切に連動した時点で、(非常に小さい直径も有する)係止管は、結合を固定するために近位に摺動する。次に、カテーテル筐体は、ハンドル筐体に接続されなければならない。
【0009】
本システムが、(駆動シャフトの部分とともに)1つのサイズのバリを別のサイズのバリと交換することを許容する一方で、交換処置は容易な処置ではなく、かなり注意して実行しなければならない。交換処置を実行する個人は、個人を患者の血から保護し、かつシステムの要素の無菌性を維持するために手術用手袋を着用しながら実行しなければならない。手術用手袋は、交換処置を実行する個人の触感を低下させ、したがって、そのような交換処置をさらに困難にする。
【0010】
近年、駆動シャフトならびにその組織除去器具のより容易な取り付けおよび/または交換を伴うアテローム切除術用デバイスを開発する努力がなされてきた。
【0011】
例えば、4つの例示的な特許は、特許文献5〜8であり、全てShturmanらに対して交付され、全て参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。集合的に、これら4つの特許は、デバイスのハンドル筐体に除去可能に取り付け可能である筐体を備える、交換可能な駆動シャフトカートリッジを有するアテローム切除術用デバイスを開示する。交換可能なカートリッジは、原動機キャリッジに除去可能に取り付けられる長手方向に移動可能な管、および原動機に除去可能に取り付け可能である回転可能な駆動シャフトを含む。長手方向に延在可能な管と駆動シャフトの近位部分との相対位置を指標付けしながら、長手方向に延在可能な管を原動機に接続させる結合が提供される。
【0012】
摩擦嵌合により駆動シャフトが原動機に固定して取り付けられるデバイスに関して、摩擦嵌合が接触を維持するのに十分な強さを有さない場合もあり得る。例えば、研磨ヘッドが妨害物の異常に硬い部分に接触する場合、トルクとして駆動シャフトの遠位端から近位端に伝送される「刺激」が存在し得る。「刺激」は、摩擦嵌合を叩いて緩めるのに十分な力を有し、デバイスの誤動作をもたらし得る。これは許容できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,990,134号明細書
【特許文献2】米国特許第5,314,438号明細書
【特許文献3】米国特許第5,314,407号明細書
【特許文献4】米国特許第5,766,190号明細書
【特許文献5】米国特許第6,024,749号明細書
【特許文献6】米国特許第6,077,282号明細書
【特許文献7】米国特許第6,129,734号明細書
【特許文献8】米国特許第6,852,118号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、駆動シャフトが原動機に対して十分な回転強度で係止される、交換可能な駆動シャフトを有するアテローム切除術用デバイスの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
回転式アテローム切除術用デバイスであって、
ハンドル筐体と、
該ハンドル筐体にある近位端と、患者の脈管構造への挿入のための該近位端の反対側にある遠位端とを有する、細長い可撓性回転可能駆動シャフトと、
該駆動シャフトの該近位端に固定して取り付けられ、該駆動シャフトから外側に向いている駆動シャフト結合器と、
該ハンドル筐体内で該駆動シャフトを回転させるための原動機と、
該原動機に回転可能に結合され、該駆動シャフトの方を向いている原動機結合器と
を備え、
該駆動シャフト結合器および該原動機結合器は係合可能な横断面を有し、該複数の横断面は、相補的であり、かつ、幾何学的に鍵固定され、
該相補的な横断面の係合は、該駆動シャフト結合器と該原動機結合器との間の軸方向並進を可能にし、該駆動シャフト結合器と該原動機結合器との間の回転運動を制止する、デバイス。
(項目2)
前記駆動シャフトおよび前記駆動シャフト結合器は、前記ハンドル筐体から取り外し可能かつ交換可能であり、
前記原動機および前記原動機結合器は、該ハンドル筐体から取り外し不可能である、項目1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
(項目3)
前記ハンドル筐体は、前記駆動シャフトが交換されるときに、前記駆動シャフト結合器を横方向に整合させるための少なくとも1つの噛合特徴を含む、項目2に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
(項目4)
前記ハンドル筐体は、前記原動機の長手方向の位置を調整することなく、前記駆動シャフトの長手方向の位置を調整する機構を含む、項目1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
(項目5)
前記駆動シャフト結合器は、前記原動機結合器上の開口部を通って長手方向に延在し、該駆動シャフト結合器の該延在部分は、該原動機結合器上の開口部内で回転係止する外形を有する、項目1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
(項目6)
前記原動機結合器は、前記駆動シャフト結合器上の開口部を通って長手方向に延在し、該原動機結合器の該延在部分は、該駆動シャフト結合器上の開口部内で回転係止する外形を有する、項目1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
(項目7)
前記駆動シャフト結合器および前記原動機結合器の前記相補的横断面は、正多角形を含む、項目1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
(項目8)
前記駆動シャフト結合器および前記原動機結合器の前記相補的横断面は、正方形を含む、項目7に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
(項目9)
前記駆動シャフト結合器および前記原動機結合器の前記相補的横断面は、六角形を含む、項目7に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
(項目10)
前記駆動シャフト結合器および前記原動機結合器の前記相補的横断面は、少なくとも1つの丸みを帯びた角部を有する形状を含む、項目1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
(項目11)
前記原動機結合器は、前記原動機に固定して取り付けられる、項目1に記載の回転式アテローム切除術用デバイス。
(項目12)
脈管から妨害物を除去する方法であって、
ガイドワイヤを患者の脈管構造内に挿入することと、
該脈管構造を通って、該ガイドワイヤを該妨害物に向かって前進させることと、
第1の駆動シャフトの近位端を原動機に除去可能に取り付けることであって、該取り付けは、該第1の駆動シャフトを該原動機に回転可能に固定し、該第1の駆動シャフトと該原動機との間の長手方向並進を可能にする、ことと、
該第1の駆動シャフトの遠位端にある第1の研磨ヘッドが該妨害物に近接するまで、該第1の駆動シャフトを該ガイドワイヤ上で前進させることと、
該第1の駆動シャフトを回転させることと、
該血管中の該妨害物を部分的に除去することであって、該除去は、該第1の研磨ヘッドにより決定されるサイズを含む、ことと、
該患者の該脈管構造から該第1の駆動シャフトを後退させることと
を含む、方法。
(項目13)
前記原動機から、前記第1の駆動シャフトの前記近位端を取り外すことと、
第2の駆動シャフトの近位端を該原動機に除去可能に取り付けることであって、該取り付けは、該第2の駆動シャフトを該原動機に回転可能に固定し、該第2の駆動シャフトと該原動機との間の長手方向並進を可能にする、ことと、
該第2の駆動シャフトの遠位端にある第2の研磨ヘッドが前記妨害物に近接するまで、該第2の駆動シャフトを、前記ガイドワイヤ上で前進させることと、
該第2の駆動シャフトを回転させることと、
前記脈管中の妨害物を部分的に除去することであって、該除去は、該第2の研磨ヘッドにより決定され、かつ前記第1の研磨ヘッドにより決定されるサイズとは異なるサイズを含む、ことと、
前記患者の前記脈管構造から該第2の駆動シャフトを後退させることと、
該患者の該脈管構造から該ガイドワイヤを後退させることと
をさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記ガイドワイヤの挿入は、前記第1および第2の駆動シャフトの前記前進させること、回転させること、および後退させることの前に実行され、
該第1および第2の駆動シャフトの回転は、該ガイドワイヤが前記患者の前記脈管構造に残存する状態で実行され、
該ガイドワイヤの後退は、該第1および第2の駆動シャフトの該前進させること、回転させること、および後退させることの後に実行される、項目13に記載の方法。
ある実施形態は、回転式アテローム切除術用デバイスであり、ハンドル筐体と、ハンドル筐体にある近位端、および患者の脈管構造への挿入のために、近位端の反対側に遠位端を有する、可撓性で細長い回転可能駆動シャフトと、駆動シャフトの近位端に固定して取り付けられ、駆動シャフトから外方に向く、駆動シャフト結合器と、ハンドル筐体内で駆動シャフトを回転させるための原動機と、原動機に回転可能に結合され、駆動シャフトの方に向く、原動機結合器を備える。駆動シャフト結合器および原動機結合器は、相補的であり、かつ幾何学的に鍵固定される係合可能な横断面を有する。相補的横断面の係合は、駆動シャフト結合器と原動機結合器との間の軸方向並進を可能にし、駆動シャフト結合器と原動機結合器との間の回転運動を制止する。
【0016】
別の実施形態は、血管から妨害物を除去するための方法であり、該方法は、ガイドワイヤを患者の脈管構造内に挿入するステップと、脈管構造を通って、ガイドワイヤを妨害物に向かって前進させるステップと、第1の駆動シャフトの近位端を原動機に除去可能に取り付けるステップであって、取り付けは、第1の駆動シャフトを原動機に回転可能に固定し、第1の駆動シャフトと原動機との間の長手方向並進を可能にする、ステップと、第1の駆動シャフトの遠位端にある第1の研磨ヘッドが妨害物に近接するまで、第1の駆動シャフトをガイドワイヤ上で前進させるステップと、第1の駆動シャフトを回転させるステップと、血管中の妨害物を部分的に除去するステップであって、除去は、第1の研磨ヘッドにより決定されるサイズを含む、ステップと、患者の脈管構造から第1の駆動シャフトを後退させるステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、先行技術の回転式アテローム切除術用デバイスの斜視図である。
図2図2は、図1に示されるデバイスの部分の部分的破断図である拡大斜視図であり、先行技術に従って、ハンドル筐体に接続された交換可能な駆動シャフトカートリッジを図示する。
図3図3は、図2に示されるアテローム切除術用デバイスの破断縦断面である。
図4図4は、その線A−Aに沿った図3の縦断面図であり、交換可能な駆動シャフトカートリッジに取り付けられた可撓性の流体供給管を図示する。
図5図5は、交換可能な駆動シャフトが原動機から除去されたアテローム切除術用デバイスの概略断面図である。
図6図6は、交換可能な駆動シャフトが原動機に取り付けられた、図5のアテローム切除術用デバイスの概略断面図である。
図7図7は、相補形状が正三角形である、線A−Aに沿った図6の結合器の横断面図である。
図8図8は、相補形状が正方形である、線A−Aに沿った図6の結合器の横断面図である。
図9図9は、相補形状が正五角形である、線A−Aに沿った図6の結合器の横断面図である。
図10図10は、相補形状が六角形である、線A−Aに沿った図6の結合器の横断面図である。
図11図11は、相補形状が八角形である、線A−Aに沿った図6の結合器の横断面図である。
図12図12は、相補形状が台形である、線A−Aに沿った図6の結合器の横断面図である。
図13図13は、相補形状が十字形である、線A−Aに沿った図6の結合器の横断面図である。
図14図14は、相補形状が直角三角形である、線A−Aに沿った図6の結合器の横断面図である。
図15図15は、相補形状が平行四辺形である、線A−Aに沿った図6の結合器の横断面図である。
図16図16は、相補形状が丸みを帯びた角を有する正方形である、線A−Aに沿った図6の結合器の横断面図である。
図17図17は、駆動シャフトの長手方向の位置が手動で調整可能である、アテローム切除術用デバイスの断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
駆動シャフトを原動機に対して回転係止させたまま、駆動シャフトの軸方向並進を可能にすることができる機械的結合を有する、交換可能な駆動シャフトを有するアテローム切除術用デバイスが開示される。結合は、幾何学的に鍵固定され、結合の片側は特定の内横断面を有する開口部を有し、結合のもう一方の側は対応する内横断面の全てまたは一部と合致する外横断面を有する。鍵形状は、六角形、正方形、n角形、星形、または任意の他の好適な形状であってもよい。鍵は、製造を単純化するために、任意で1つ以上の丸みを帯びた角部を含んでもよい。軸方向運動を、調節された結合を包囲する2つの要素の任意の捩れ係止接続により係止してもよい。
【0019】
前段落は、単に概要にすぎず、決して限定的として解釈されるべきではない。より詳細の記述が続く。
【0020】
図1は、交換可能な駆動シャフトカートリッジを有する公知の回転式アテローム切除術用デバイスを図示する。デバイスは、望ましくは、管状ハンドル筐体10を含む。ハンドル筐体10は、ガイドワイヤ挟持または制動機構12を担持する近位部分、原動機キャリッジ30を担持する中間部分、および交換可能な駆動シャフトカートリッジ60と解放可能に連動するよう適合される遠位部分を有する。本システムの詳細は、米国特許第6,024,749号、同第6,077,282号、および同第6,852,118号に記載されており、全てShturmanに対して交付され、それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
原動機キャリッジ30は、制限された範囲の運動を介して、ハンドル筐体10内で長手方向に移動することができる。(原動機キャリッジ30に動作可能に固定される)調整ノブ16は、ハンドル筐体10に対して原動機キャリッジ30を前進および後退させることを促進するために提供される。これは、駆動シャフトの遠位端がその範囲の動作位置内で移動することを可能にする。
【0022】
原動機キャリッジ30は、原動機32を担持する。原動機32は、図2〜4に示される。好ましくは、原動機は、圧縮ガス駆動タービンである。タービンを、例えば、圧縮窒素または圧縮空気で作動し得る。このために、圧縮ガス供給ライン24を提供することができ、供給ライン24は、原動機キャリッジ30に接続される。(例えば、Auth特許407に記載され、Rotablator(登録商標)デバイスに実装される)一対の光ファイバーケーブル25を、タービンの回転速度を監視するために提供することができる。
【0023】
交換可能な駆動シャフトカートリッジ60は、カートリッジ筐体62、カートリッジ筐体62から遠位に延在する細長いカテーテル22、カテーテル22内に配置される回転可能可撓性の駆動シャフト21、長手方向に移動可能なスライド64、およびカートリッジ筐体62内に担持される長手方向に移動可能な管70を含む。長手方向に移動可能な管70および他の構成要素は、図2〜4に関連して以下で議論される。細長いカテーテル22は、カートリッジ筐体62により担持され、短い剛性管23内に配置される近位端部分を有する。剛性管23は、カートリッジ筐体62の略管状末端断片88内で固定される。好ましくは、張力緩和要素28は、剛性管23の遠位部分およびカテーテル22の近位部分の周囲に配置される。張力緩和要素28は、カートリッジ筐体62にも固定される。
【0024】
交換可能な駆動シャフトカートリッジ60は、可撓性の流体供給管7を含む。流体供給管7の一方の端部は、外部流体供給(図示せず)と連通する一方で、管7の他方の端部は、カートリッジ筐体62の剛性建具61に取り付けられる。可撓性の流体供給管7は、カテーテル22の内部管腔と流体連通し(例えば、図4を参照のこと)、(例えば、ガイドワイヤ20)内および駆動シャフト21の周囲に配置される転駆動シャフト21と非回転要素との間の摩擦を軽減する助けとなるように流体を供給する。
【0025】
可撓性の駆動シャフト21は、ガイドワイヤ20上で回転可能であり、近位部分、中間部分、および遠位部分を含む。駆動シャフト21の近位部分は、原動機に除去可能に取り付け可能である。駆動シャフトのこの部分は、図1では非可視的である。駆動シャフト21の中間部分は、主にカテーテル22内に配置されるため、同様に図1では非可視的である。駆動シャフト21の遠位部分は、カテーテル22から遠位に延在し、組織除去器具26を含む。図示される実施形態における組織除去器具26は、駆動シャフト21の偏心拡大直径区分を含む。偏心拡大直径区分の部分は、駆動シャフト21の研磨部分27を画定するように研磨材で被覆される。駆動シャフトの遠位端で取り付けられ、米国特許第4,990,134号にAuthによって記載されるダイヤモンドで被覆されたバリを使用してもよい。任意の好適な組織除去器具を使用してもよいことが理解されるはずである。
【0026】
図1図2を比較すると、図2の構造が図1に対して全く原寸に比例していないことを理解することができる。例えば、スロット11は、図1に対して図2では大幅に短縮されている。多くの他の図(特に縦断面)において、デバイスおよびその構成要素の直径、ならびに壁厚は、デバイスの構造的詳細をより明確に描写かつ理解することができるように誇張されている。図1に示されるアテローム切除術用デバイスは、実際には実質的により長いカテーテル22および駆動シャフト21の長さを除いて、概して原寸に比例している。図の尺度からの逸脱は、当業者には容易に明らかとなるはずである。
【0027】
駆動シャフト21を原動機に除去可能に取り付ける駆動シャフト取り付け機構が提供される。駆動シャフト取り付け機構は、中空原動機36により担持される原動機ソケット38および駆動シャフト21の近位端部分により担持される細長いシャンク82を含む。駆動シャフトシャンク82は、原動機ソケット38に除去可能に挿入可能である。好ましくは、駆動シャフトシャンク82および原動機ソケット38の少なくとも1つは、半径方向に弾性である。図に示される好ましい設計において、原動機ソケット38は弾性である。原動機ソケット38を、種々の方法で、半径方向に弾性であるよう作製してもよい。図において、原動機ソケット38は、キャップ39により中空タービンシャフト36内の凹部の内側に固定される弾性環から成る。種々の他の好適な方法を利用して、原動機ソケット38をタービンシャフト36に固定することもできる。
【0028】
原動機ソケット38の内径は、駆動シャフト21が原動機に取り付けられる際に、原動機がハンドル筐体10に対して長手方向に回転または移動する時に、シャンク82および駆動シャフト21の両方が、原動機ソケット38および原動機とともに長手方向に回転および移動するように、十分に堅固な締まりばめを駆動シャフトシャンク82に提供するよう選択される。
【0029】
細長いシャンク82は、直接的または間接的のいずれかで、可撓性の駆動シャフト21の近位端部分に固定される。好適な接着剤または他の従来の取り付け方法を利用して、シャンク82を可撓性の駆動シャフト21に取り付けることができる。さらに、駆動シャフト21の近位端部分は、原動機ソケット38に除去可能に挿入可能であるような様式で構築される場合に、それ自体がシャンクを構成することができる。
【0030】
細長いシャンク82は、好ましくは、近位および遠位部分を含む。近位部分の実質的な長さが原動機ソケット38に除去可能に挿入可能である一方で、遠位部分は、好ましくは、半径方向に外側に延在するフランジ84を含む。図3〜4に示されるように、フランジ84は、長手方向に移動可能な管70の近位端部分に結合される近位隣接面と遠位隣接面との間(およびそれらから離間して)位置付けられる。フランジ84は、シャンク82が原動機ソケット38に挿入される時に、長手方向に移動可能な管70に結合される遠位隣接面に隣接する。フランジ84は、シャンク82が原動機ソケット38から引き出される時に、長手方向に移動可能な管70に結合される近位隣接面に隣接する。本実施形態において管70に結合される遠位隣接面は、軸受筒81および/または管70自体によって形成される。管70に結合される近位隣接面は、長手方向に移動可能な管70によって担持される(かつその遠位端を形成する)環56のフランジ58によって形成される。
【0031】
長手方向に移動可能な管70は、カートリッジ筐体62の管状の中核76内に担持され、それとの長手方向運動のために、原動機キャリッジ30に除去可能に取り付け可能である近位端部分を有する。長手方向に移動可能な管70は、可撓性の駆動シャフト21の長さを包囲し、ハンドル筐体10、カートリッジ筐体62、およびカテーテル22に対して、(原動機とともに)駆動シャフト21の長手方向運動を促進する。
【0032】
長手方向に移動可能な管70は、カートリッジ筐体62の管状の中核76内に画定される細長い円筒の内面と外面との間の空間92中に摺動可能に受容される。移動可能な管70は、その円筒の内面と外面との間の空間92内でカートリッジ筐体62に対して長手方向に移動可能である。望ましくは、長手方向に移動可能な管70の内面の少なくとも一部分に、低摩擦性ライニング72が提供される。ライニング72は、長手方向に移動可能な管70が近位および遠位に移動する時に、移動可能な管70と固定された管74との間の摩擦を最小化する助けとなる。ライニング72を、ポリテトラフルオロエチレン管等の任意の好適な材料から作製してもよい。そのように所望される場合、ライニングを除外してもよく、移動可能な管70自体を低摩擦性材料から作製してもよい。
【0033】
アテローム切除術用デバイスは、長手方向に移動可能な管70を原動機キャリッジ30に除去可能に取り付けられるよう位置付けられる管取り付け機構も含む。図2〜4に示される管取り付け機構は、長手方向に移動可能な管70が原動機キャリッジ30に取り付けられた後、および原動機キャリッジ30がその作動位置の範囲に移動した(例えば、調整ノブ16およびそのシャフト17が狭窄部分13を通って近位に移動した)後に、長手方向に移動可能な管70に対して原動機キャリッジ30およびシャンク82を近位に移動させるための弾性位置決め機構を含む。弾性位置決め機構は、長手方向に移動可能な管70に対するシャンク82の自由回転を可能にするために、シャンク82のフランジ84を、長手方向に移動可能な管70に結合される遠位および近位隣接面の両方から離間させる。
【0034】
そのような取り付け機構の例は、(全てShturmanに対して交付され、上で引用される)米国特許第6,077,282号、同第6,024,749号、および同第6,852,118号に示される。
【0035】
図1〜4の例示的な公知のアテローム切除術用デバイスを概説して、この公知のデバイスの多くの態様を本設計とともに使用してもよいことに留意する。例えば、駆動シャフト、駆動シャフトの遠位端にある研磨ヘッド、ハンドルならびにカテーテル中のガスおよび流体の配管、回転速度を監視および調整するための制御電子回路等の構築は、全て米国特許第6,852,118号に開示される公知のデバイスから、または任意の他の公知のアテローム切除術用デバイスから引き継いでもよい。これらの態様の全てを本設計とともに使用してもよい。
【0036】
これから駆動シャフトの近位端に注目する。具体的には、駆動シャフトと原動機との間の接続を試験する。
【0037】
図5は、交換可能な駆動シャフト150が原動機120から除去される、アテローム切除術用デバイスの概略断面図である。駆動シャフト150は、患者の脈管構造内に延在し、血管中の妨害物の全てまたは一部を除去するために、駆動シャフト150の遠位端にある研磨ヘッド170が駆動シャフト自体とともに回転する。
【0038】
図5は、極めて基本的な概略図であり、明確化のために、駆動シャフト150と原動機120との間の結合に直接関与しない要素の大部分または全てを省略する。例えば、アテローム切除術用デバイスの動作において重要な要素であるガイドワイヤは、図5またはそれに続く図に図示されていない。加えて、結合は、駆動シャフトが、結合から独立して、ガイドワイヤおよび/またはカテーテルに対して前進もしくは後退することができるように、それ自体長手方向に並進可能であってもよい。そのような省略された要素は、構築および機能において図1〜4または上記の米国特許の要素と同様であってもよいことを理解されたい。
【0039】
図5において、アテローム切除術用デバイス100は、固定されたハンドル部分110および固定されたハンドル部分110に取り付ける交換可能なハンドル部分140を含む。一部の例では、固定されたハンドル部分および交換可能なハンドル部分は、両方ともに横断面が円柱形である。他の例では、固定されたハンドル部分および交換可能なハンドル部分は、正方形、長方形、六角形、または任意の他の好適な形状等の非円筒断面を有する。
【0040】
ハンドル部分間の取り付けは、公知の方法の任意の数の1つで行うことができる。例えば、ハンドル部分110および140はそれぞれ、ハンドル部分をともに螺嵌することができるように、一式の噛合ねじ山を含んでもよい。あるいは、ハンドル部分110および140は、捻転機構によりともに係止する入れ子式円筒を含んでもよい。概して、固定されたハンドル部分および交換可能なハンドル部分は、駆動シャフト150および原動機120に少なくとも大まかな整合を提供する方法で、ともに取り付けられるのが好ましい。
【0041】
駆動シャフト150および原動機120は、一対の合致した要素、すなわち、原動機120に取り付けられる(または原動機120と一体となるよう作製される)原動機結合器130、ならびに駆動シャフト150に取り付けられる(レーザ突き合わせ溶接等によって、またはあるいは駆動シャフト150と一体となるよう作製される)駆動シャフト結合器160により回転可能に接続可能である。
【0042】
原動機結合器130および駆動シャフト結合器160は、一方の一部分が他方の一部分の中に嵌合するように、相互に幾何学的に鍵固定される。それら2つの結合器が取り付けられる時に、それらは相互に対して自由に長手方向に並進するが、相互に対する回転を防ぐ。
【0043】
図6のように、ハンドル部分110および140が接合される時に、駆動シャフト結合器160の一部分が原動機結合器130の一部分の中に嵌合する。重なり合う部分において、駆動シャフト結合器の外形は、原動機結合器の開口部の内形の中に完全に嵌合する。さらに、結合器の合致した外形および内形は、係合される時に、結合器が相互に対する回転を制止されるよう選択される。
【0044】
図6の線A−Aとして示される結合器の例示的な相補的横断面は、図7〜16で示される。
【0045】
図7〜16において、正三角形(図7)、正方形(図8)、正五角形(図9)、六角形(図10)、八角形(図11)、台形(図12)、十字形(図13)、直角三角形(図14)、平行四辺形(図15)、および丸みを帯びた角(図16)を有する正方形等の略多角形を有する開口部を有する原動機結合器130が示される。
【0046】
これらの設計の大多数において、複数の配向において、一方の結合器を他方に挿入することを可能にする対称性が存在する。例えば、平行四辺形(図15)は2倍対称性を有し、正三角形(図7)は3倍対称性を有し、正方形(図8)、十字形(図13)、および丸みを帯びた角部を有する正方形(図16)は全て4倍対称性を有し、五角形(図9)は5倍対称性を有し、六角形(図10)は6倍対称性を有し、八角形(図11)は8倍対称性を有する。
【0047】
開口部の形状は、任意で、半円形または花びら形のような1つ以上の湾曲した部分を含んでもよいことに留意する。形状は、任意で、図13の十字形の角部のような1つ以上の凹部を含んでもよい。
【0048】
一部の例において、原動機結合器130および駆動シャフト結合器160の役割が逆転してもよいことにも留意する。言い換えると、原動機結合器130の一部分は、その逆というよりはむしろ、駆動シャフト結合器160上の好適に成形された開口部の中に嵌合してもよい。
【0049】
図7〜16に示される接合部分において、結合器材料の間に存在する間隙があってもよいことに留意する。例えば、原動機結合器130および/または駆動シャフト結合器160の溝もしくは切欠部が存在してもよい。重なり合う部分に沿った異なる長手方向位置で、複数の溝または切欠部があってもよい。それら2つの結合器部分が係合される時に、それらの回転係止能力に著しく影響を与えない限り、そのような間隙は許容される。
【0050】
全ての例において、他方の結合器に対する一方の結合器の回転を制止しながら、一方が他方の全域で(またはその中で)長手方向に摺動することができるのが望ましい。
【0051】
図17は、駆動シャフト150の長手方向の位置が操作者により手動で調整可能である、アテローム切除術用デバイス200の断面概略図である。この特徴は、例えば、以下のシナリオにおいて有用であり得る。ガイドワイヤが妨害物に向かって、または妨害物を過ぎて前進した場合を考慮して、カテーテルは、妨害物に向かってガイドワイヤ上で前進し、駆動シャフトは、カテーテルの遠位端にある研磨ヘッドが妨害物に近接するように、カテーテルを通ってガイドワイヤ上で前進し、駆動シャフトの近位端は、原動機に取り付けられた。
【0052】
図17のアテローム切除術用デバイス200において、駆動シャフト150が原動機120に回転係止された時点で(すなわち、原動機120が回転し、駆動シャフト150がそれに同伴して回転させられる場合)、駆動シャフト150の長手方向の位置は、依然として施術者によって調整可能である。この軸方向位置制御は、図5および図6に示されるデバイス100の全ての有利な特徴に加えて、追加された特徴である。
【0053】
図17のデバイス200上のハンドルは、構築および機能において上述のハンドルと同様であり得る、固定されたハンドル部分210および交換可能なハンドル部分240を含む。一部の例では、ハンドル部分は、分離および再取り付け可能であってもよい。他の例では、ハンドルは、分離しない密閉ユニットであってもよい。密閉ユニットに関して、駆動シャフト150は交換可能でなくてもよいが、デバイス200は、原動機120と駆動シャフト150との間の強力な回転結合、および調整可能な駆動シャフトの軸方向位置の利点を有する。ハンドルが2つの断片210および240として図17に示されるが、それらの断片を密閉デバイスの単一ユニットとして構築してもよいことを理解されたい。
【0054】
ハンドルは、駆動シャフト結合器160上で保持要素265を長手方向に包囲する2つの対する要素285の長手方向の位置を調整する制御器またはノブ280を含む。一部の例では、保持要素265は、駆動シャフト結合器160外周からその径方向外側に延在する輪であり、対する要素285は、遠位または近位方向の長手方向に輪を押し進めることができる板である。対する要素285および保持要素265を、それらの間の接触中の摩擦を軽減する好適な材料で作製してもよい。
【0055】
カテーテルおよび駆動シャフトは流体環境で動作するため、デバイスとともに使用される配管の一部を説明するのに有益である。
【0056】
典型的には、回転式アテローム切除術用デバイスは、生理食塩水と医療ガイド剤の混合物を妨害物に向けてカテーテルに送る。流体は、カテーテルの内部および駆動シャフトの外部を保護する助けとなり、砕けて遊離した材料を妨害物から一掃する助けとなり、かつ血管圧を均等にする助けとなる。
【0057】
流体は、好ましくは、有鍵結合器を含むチャンバ内というよりはむしろ、上述の結合器からカテーテル下流内に送達される。一部の設計において、望遠鏡アセンブリをハンドル筐体に追加してもよく、図5図6、および図17のハンドル要素140、240の右側に位置するであろう。そのような望遠鏡アセンブリを、2つのステンレスまたはポリアミドハイポ管等の2つ以上の入れ子式円筒から形成してもよい。ハンドルは、望遠鏡の近位端に結合し、望遠鏡の遠位端は、流体が進入することを可能にするアダプタに結合する。一部の例では、アダプタを「T」として形成してもよく、駆動シャフト150は、「T」を通る一直線の軸方向経路を有し、流体は、側面方向から進入する。流体を、望遠鏡部分の周囲で巻装することができる小さい可撓性の管を通して「T」アダプタに送達してもよい。
【0058】
望遠鏡部分そのものが、2つの方法での使用中に、主に駆動シャフトを保護する。第1に、それは、デバイスの遠位端に起因する任意の軸方向運動を減勢し、それによって、原動機およびハンドル中の他の作動部分を保護する。第2に、望遠鏡は、駆動シャフトの運動を、それ自体の回転軸上に、または自らの回転軸に非常に近接して位置するよう限定する。駆動シャフトが自らの回転軸から遠く離れて逸脱することを許可された場合、縄跳び運動における大きな側面の構成要素に類似した、大きな振動による損傷を被り得る。
【0059】
最後に、上述のデバイスおよび方法を使用する典型的なアテローム切除術処置の記述を提供することにより上の開示の大部分を要約する。
【0060】
最初に、ガイドワイヤが、患者の脈管構造を通って送り込まれ、その遠位端が血管中の特定の妨害物に到達するまで、脈管構造を通って前進する。好ましくは、ガイドワイヤは、その遠位端がちょうど妨害物を越えるまで送り込まれるが、これは、血管が妨害物によって部分的に閉鎖される時にのみ可能である。次に、カテーテルは、その遠位端が妨害物に近接するまでガイドワイヤに沿って前進する。駆動シャフトはカテーテル内にあり、ガイドワイヤを包囲する。駆動シャフトを、カテーテルとともに送り込んでもよく、あるいはカテーテルが配置された時点で別々に送り込んでもよい。駆動シャフトの近位端は、上述の有鍵結合器を用いて原動機に取り付けられる。そのような取り付けは、ハンドルの除去可能な部分がハンドルの固定された部分に取り付けられる時に起こり得る。原動機の電源を入れ、駆動シャフトを回転させ、駆動シャフトの遠位端にある研磨ヘッドに妨害物の全てまたは一部を除去させる。原動機の電源を切り、回転が停止する。妨害物が完全に、または十分に除去された場合、カテーテルおよび駆動シャフトが引き出され、その後、ガイドワイヤが引き出される。妨害物が追加の除去を必要とする場合、カテーテルおよび駆動シャフトが引き出され、ハンドルの除去可能な部分が除去され、それらは全て新たな除去可能な部分、カテーテル、および駆動シャフトに交換され、妨害物を一掃することができる駆動シャフトの遠位端にある研磨ヘッドは、第1の研磨ヘッドの直径よりも大きくなる。この様式において、複数のカテーテルおよび駆動シャフトが特定の患者の処置中に使用される場合でさえ、原動機およびハンドルの固定された部分を、廃棄して毎回新たな駆動シャフトに新規交換するよりもむしろ、再使用することができる。これは、毎回新たな駆動シャフトのために全アセンブリを廃棄することと比較して、かなりの経費を節減する。
【0061】
本明細書に記載される本発明およびその用途の説明は、例証的であり、本発明の範囲を限定することを目的としない。本明細書で開示される実施形態の変化例および修正が可能であり、実施形態の種々の要素の実用的代替案および同等物が、本特許文献を検討すると、当業者に理解されるであろう。本明細書で開示される実施形態のこれらおよび他の変化例および修正は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく行われてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17