【実施例】
【0018】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0019】
バーコードリーダ・システム(図1):
図1はバーコードリーダ・システムの概要を説明するための図である。
図1を参照して
、バーコードリーダ・システム1は、二次元情報読取装置であるバーコードリーダ2と、
必要に応じてバーコードリーダ2に接続されるパーソナルコンピュータ3とを有し、バー
コードリーダ2で撮像した画像をパーソナルコンピュータ3で確認しながら、このパーソ
ナルコンピュータ3を使って各種の設定が行われる。バーコードリーダ・システム1には
、更に、必要に応じてリング型の外部照明ユニット4がバーコードリーダ2に接続され、
バーコードリーダ2の内部照明ユニット5と一緒になって又は内部照明ユニット5の動作
を止めて外部照明ユニット4だけでワークを照明する。
【0020】
リング型の外部照明ユニット4は、このバーコードリーダ・システム1のための専用品
であり、異なる種類の複数の外部照明ユニット4を用意するのが好ましい。勿論、外部照
明ユニット4として専用品以外の照明ユニットを組み込むことも可能である。「光学情報
読取装置」は一般的に“バーコードリーダ”又は“コードリーダ”を呼ばれており、ここ
では“バーコードリーダ”という業界用語を使用する。
【0021】
バーコードリーダ・システム1は、バーコード、QRコードなどの光学情報又は光学符
号が印字又は刻印された商品あるいは物品を製造する工場では物品の搬送経路に設置され
、バーコードリーダ2で商品又は物品に印字された光学情報に記録されている情報を読み
取り、この情報をパーソナルコンピュータ3に転送して情報の解析が行われる。
【0022】
また、図示の例では、
図1に開示のように、パーソナルコンピュータ3に設定プログラ
ムをインストールすることにより、このパーソナルコンピュータ3を使ってバーコードリ
ーダ・システム1の各種の設定が行われる。勿論、バーコードリーダ2に例えばタッチパ
ネル付き表示手段を設けて、この表示手段を使ってバーコードリーダ2、内部照明ユニッ
ト5(
図3)及び/又は外部照明4(
図20、
図21)の設定作業ができるようにしてもよ
い。
【0023】
バーコードリーダ2(図2〜図19):
図2はバーコードリーダ2の外観を示す斜視図である。バーコードリーダ2は、断面多
角形の形状のメインケース6と、メインケース6の前端に固定される円筒状のフロントケ
ース7とを有し、この円筒状のフロントケース7に前述した内部照明ユニット5が内蔵さ
れている。メインケース6は、
図2などから分かるように略正方形の断面形状を備えてい
るのが好ましい。
【0024】
バーコードリーダ2には互いに独立した複数の基板が内蔵されている。
図3〜
図5を参
照して、バーコードリーダ2が備える複数の基板は次の通りである。
(1)メイン基板10:
メイン基板10には、CPU、メモリMが搭載され、画像をメモリMに転送してDSP
(digital Signal Processor)で画像処理する。そして、メイン基板10のCPUで内部照
明ユニット5を具備したバーコードリーダ2を制御し、また、外部照明ユニット4との通
信を実行する。
(2)電源基板11:
バーコードリーダ2の電源を生成する。絶縁入出力回路が実装されている。
【0025】
(3)サブ基板12:
大容量メモリが搭載されており、この大容量メモリに取得画像や各種の設定が保存され
る。制限した大きさ及び形状のメイン基板10では、このメイン基板10に実装すること
のできなかった要素が実装される。
(4)CMOS基板13(受光基板):
CMOSイメージセンサ(光学読取素子)が実装され、画像を取得してメイン基板10
に転送する。ポインタ用のLED40(
図10)が搭載される。
【0026】
(5)LED基板14:
内部照明ユニット5を構成する円形開口14aを備えた円板状の基板であり、このLE
D基板14に複数の照明用LED80が実装され(後に説明する
図32)、この複数の照
明用LED80の点灯制御を実行する。複数の照明用LED80は、後に説明するバーコ
ードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする複数の径の異なる同心円上に配列さ
れる。内部照明ユニット5(LED基板14)に実装された複数の照明用LED80は後
に説明するようにエリア分けして点灯制御される。また、このLED基板14には、各エ
リアに属する複数の照明用LEDに定電流を供給する定電流回路が設けられる。
(6)コネクタ基板15:
外部電源、IO、RS232C、Ethernet(登録商標)、外部照明ユニット4との入出
力のインターフェースを構成する基板である。なお、外部照明ユニット4には、電源基板
11から電源が供給される。
【0027】
図3、
図4を参照して、メイン基板10と電源基板11とは互いに対向して配置され、
このメイン基板10と電源基板11の各々の側縁で挟まれた領域に、これらメイン基板1
0と電源基板11と直交するようにしてサブ基板12が配設されている。サブ基板12と
メイン基板10の配置位置を互いに置換してもよい。メイン基板10、電源基板11、サ
ブ基板12は、バーコードリーダ2は矩形断面のメインケース6の4つの側面のうち3つ
の側面に隣接し且つこの3つの側面の各々に沿って配設される。そして、このメイン基板
10、電源基板11、サブ基板12で囲まれた空間にCMOS基板13が位置し、このC
MOS基板13は各基板10〜12と直交する一つの鉛直面に配設される。また、このC
MOS基板13と平行に且つCMOS基板13を挟んで互いに対峙してLED基板14と
コネクタ基板15が位置決めされる。
【0028】
図5は、上述した各基板10〜15の接続関係を説明するための図である。メイン基板
10は、電源基板11と第1のFFC20(Flexible Flat Cable)で接続され、サブ基板
12と第2のFFC21で接続され、CMOS基板13とFPC(Flexible
Printed Circ
uit)22で接続され、内部照明ユニット4LED基板14と第3のFFC23で接続され
、コネクタ基板15と第1のハーネス24で接続されている。電源基板11は、また、内
部照明ユニット5のLED基板14と第2のハーネス25で接続され、LED基板14に
実装された照明用LEDを発光させるための電源が電源基板11からLED基板14に供
給される。電源基板11とコネクタ基板15は、2本のハーネス26、27とFFC28
で接続されている。
【0029】
図5を再び参照して、メイン基板10と電源基板11とが略同じ大きさ及び形状を有し
ている点に注目すべきである。換言すれば、メイン基板10は、電源基板11と略同じ大
きさ及び形状となるように設計され、この制約のためにメイン基板10に搭載できなかっ
た電子部品がサブ基板12に搭載される。
【0030】
図6、
図7を参照して、メイン基板10、電源基板11、サブ基板12、CMOS基板
13は、樹脂成型品であるシャーシ30に組み付けられる。シャーシ30は、
図7から最
も良く分かるように、メインケース6の断面形状とほぼ相似形の略正方形の断面形状を有
するボックス形状を有し、このボックス形状の一つの側面30aを閉塞し、他の5つの面
を開放した形態を有している。メイン基板10、電源基板11、サブ基板12は、開放し
た3つの側面10b〜10dに夫々配設される。樹脂成型品のシャーシ30は前後に開放
しており、その一端開口30fからカメラモジュール32が挿入され(
図7)、シャーシ
30の中に挿入されたカメラモジュール32は、その周囲にメイン基板10、電源基板1
1、サブ基板12が位置し、これらメイン基板10、電源基板11、サブ基板12によっ
てカメラモジュール32が包囲された状態になる。
【0031】
図8、
図9を参照して、カメラモジュール32は、アルミニウムなどのダイキャスト品
からなるカメラホルダ35を有し、このカメラホルダ35は、矩形断面のホルダ本体35
aと、ホルダ本体35aの互いに対向する側面から前方に且つ互いに平行に延びる一対の
アーム35bと、一対のアーム35bの前端から互いに離れる方向に延びる一対の取付部
35cとを有している。ホルダ本体35aには、後方に向けて開放した後端面にCMOS
基板13が複数のネジ37によって固定される(
図8)。
【0032】
メイン基板10と電源基板11の位置決めのために、シャーシ30には6つの爪38が
一体成形されており(
図7)、この6つの爪38を使ってメイン基板10と、これに対向
する電源基板11が、シャーシ30の開放した互いに対向する2つの側面30b、30d
の夫々に位置決めされる。メイン基板10には爪38を受け入れる切り欠き10aが形成
されている(
図7)。電源基板11にも同様に切り欠き11aが形成されている(
図3)。
図7を参照して、矩形のサブ基板12は、対角線上の角隅部に一対の透孔12a、12b
を有し、この一対の透孔12a、12bに対応してシャーシ30にも一対の透孔30g(
一方の透孔は作図上の理由から図面には現れていない)が形成され、これら透孔12a、
12b、30gを整合させることによりサブ基板12はシャーシ30にネジ止めされる。
【0033】
ポインタ用LEDの配置(図10):
カメラモジュール32は円筒状のレンズ組立体36を有し、このレンズ組立体36はカ
メラホルダ35の一対のアーム35b、35bの間に配設されている。
図10を参照して
、ホルダ本体35aの後端開口には、CMOS基板13がネジ37(
図8)を使って固定さ
れる。CMOS基板13には、一対のポインタ用LED40、40が搭載されている。こ
のポインタ用LED40に関連して、ホルダ本体35aには、各ポインタ用LED40の
直ぐ前方に拡散シート41が配設されている。2つのポインタ用LED40の光は、夫々
、拡散シート41を通じて且つレンズ組立体36を通じて前方に照射され、バーコードリ
ーダ2の視野範囲の中の互いに離間した2点を指し示す。
図10の参照符合43は光学読
取素子であるCMOSイメージセンサを示し、光学読取素子43はCMOS基板13に実
装されている。
【0034】
ポインタ用LED40をカメラモジュール32に内蔵させたことにより、光学読取素子
43とポインタ用LED40との相対位置を一定に保つのが容易になると共にバーコード
リーダ2を小型化するのが容易になる。特に、ポインタ用LED40がバーコードリーダ
2のレンズ組立体36を光学読取素子43と共用することによって、ポインタ用LED4
0のための専用のレンズが不要となるためバーコードリーダ2の小型化が容易である。
【0035】
カメラモジュール32は、光学読取素子(撮像素子)43とレンズ組立体36との間の
距離が従来との対比で非常に大きく、高い分解能でバーコードやQRコードなどの光学情
報を超微小な領域まで読み取ることができるという特徴を有している。このように従来と
の対比で長さ寸法が大きいカメラモジュール32をバーコードリーダ2の中に収容すると
き、上述した基板配置に注目すべきである。すなわち、カメラモジュール32をメイン基
板10、電源基板11、サブ基板12で囲むという技術的思想を導入することで、バーコ
ードリーダ2を小型化しつつ長尺のカメラモジュール32をアウターケースの中に収容す
ることができる。
【0036】
ちにみに、カメラモジュール32のスペックは次のとおりである。
(1)光学倍率:0.6〜1.0倍(実施例では、0.823倍);
(2)視野範囲:7.5mm×4.8mm〜4.5mm×2.9mm(実施例では、5.5mm×3.5mm);
(3)光学読取素子から先端のレンズまでの距離:35mm以上(実施例では40mm)。
【0037】
図11は、シャーシ30に基板10、11、12及びカメラモジュール32を組み付け
た組立体の斜視図である。
図12は、メイン基板10、電源基板11の上に、夫々、クッ
ション性を備え且つ優れた熱伝導性を備えた放熱部材として熱伝導ゴム45を設置した状
態を示す。バーコードリーダ2の放熱性に関して必要があれば、
図12に例示した態様で
熱伝導ゴム45を添設した状態で矩形断面のメインケース6(
図2)に収容される(
図1
3)。
【0038】
伝熱性に優れた金属材料からなる多角形断面のメインケース6の異なる側面に隣接し且
つこれに沿ってメイン基板10と電源基板11を配置したことにより、これらメイン基板
10及び電源基板11の熱を外部に放出し易くなると共に、このメイン基板10と電源基
板11で囲まれた空間にカメラモジュール32を収容することができるため、バーコード
リーダ2の一層の小型化が可能である。特に、メイン基板10、電源基板11とメインケ
ース6との間に熱伝導ゴム45のような放熱部材を介在させることで放熱効率を高めるこ
とができ、この観点からもバーコードリーダ2の一層の小型化が可能になる。
【0039】
図13及び
図15の参照符合46はリヤケースを示し、メインケース6の後端開口に脱
着可能に装着されてメインケース6を閉塞する。リヤケース46にはコネクタ基板15が
取付けられており、このコネクタ基板15はリヤケース46にネジ47を使って固定され
る(
図15)。バーコードリーダ2のアウターケースを構成するメインケース6、フロン
トケース7、リヤケース46は、例えばメインケース6を熱伝導に優れた金属材料、例え
ばアルミニウムなどの伝熱性材料から作られるのがよい。
【0040】
図6を参照して、メイン基板10及び電源基板11には、その前端幅狭部に夫々透孔5
0、51を有する。バーコードリーダ2のメインケース6は、円筒状のフロントケース7
の内部まで前方に且つ互いに平行に延びるロッド状の一対の延長部分6aを有する(
図1
5)。
【0041】
メインケース6の前端部を抽出した
図14を参照して、メインケース6の一対の延長部
分6aには、メイン基板10及び電源基板11の前端幅狭部の透孔50、51に関連した
透孔52、53が形成され、この透孔52、53に挿入したネジ54を使ってメイン基板
10及び電源基板11がメインケース6(延長部分6a)に固定される。これにより、シ
ャーシ30の3つの爪38で位置決めされたメイン基板10、電源基板11は、その各々
が、メインケース6の前方に延びる延長部分6aに1本のネジ54によって固定される。
換言すれば、この合計2本のネジ54によってシャーシ30がメインケース6に固定され
た状態となる。ネジ54を締結する作業及びネジ54を取り外す作業を容易にするために
、メイン基板10の透孔50及び電源基板11の透孔51に、ネジ54が螺着するナット
55を実装するのが好ましい。メインケース6の一対のロッド状の延長部分6aには、ま
た、その前端面にリング状のLED基板14がネジ60を使って固定される。このリング
状のLED基板14がレンズ組立体36の周囲に配置され、LED基板14に搭載された
複数の照明用LED80によって、レンズ組立体36の外周側に位置するリング状の面光
源が形成される。
【0042】
図17は、メインケース6を正面から見た図である。メインケース6は、その前端面に
左右一対の取付座62を有し、この一対の取付座62を使ってカメラモジュール32がメ
インケース6に固定される。
図16は、メインケース6の中にカメラモジュール32を内
蔵させた状態の正面図である、
図17は、カメラモジュール32を取り除いた状態で描い
たメインケース6の正面図である。
【0043】
金属成型品であるメインケース6にカメラモジュール32を固定することで、カメラモ
ジュール32をシャーシ30に固定するのに比べてカメラモジュール32の位置決め精度
を高めて視野範囲の位置決め精度を高めることができる。
【0044】
バーコードリーダ2が内蔵する主要な基板、つまり電源基板10、メイン基板12など
と、レンズ組立体36を含むカメラモジュール32とをシャーシに組み付けた組立体をア
ウターケース(メインケース6)に内蔵させる構成を採用したことにより、複数種類のカ
メラモジュール32を用意することで同じアウターケースを使って複数種類のバーコード
リーダ2をユーザに提供することができる。また、異なる種類のカメラモジュール32に
対して、同一の電源基板10やメイン基板12などを採用し且つ同じアウターケースを使
ってバーコードリーダ2を製造することができる。
【0045】
前述したカメラモジュール32の左右一対の取付部35cがメインケース6の左右一対
の取付座62に着座され、4本のネジ63を使って各取付部35cが、対応する取付座6
2に固定される(
図16)。
【0046】
上述したメインケース6の取付座62と、カメラモジュール32の取付部35cとの間
にスペーサ65が介装される(
図18)。このスペーサ65として、厚さ寸法の異なる複数
種類のスペーサ65を予め用意しておくことで、又は同じ厚み寸法のスペーサ65を単数
又は複数重ねることでバーコードリーダ2の焦点距離のバラツキを調整するのがよい。ま
た、厚さ寸法の異なる複数の種類のスペーサ65を使い分けてバーコードリーダ2の焦点
距離を異ならせることで、共通の同じアウターケースを共用しつつ焦点距離のことなるバ
ーコードリーダ2をユーザに提供することができる。また、厚さ寸法の異なる複数種類の
スペーサ65を用意し、この厚さ寸法の異なるスペーサ65を用いてカメラモジュール3
2の光軸が正規の光軸となるようにカメラモジュール32の光軸調整を行うのがよい(図
19)。
【0047】
専用外部照明ユニット4(図20〜図31):
図20は、バーコードリーダ2に専用の外部照明ユニット4を装着した状態を示し、参
照符号70は、バーコードリーダ2と外部照明ユニット4とを接続するケーブルを示す。
外部照明ユニット4にはバーコードリーダ2から電源が供給される。
【0048】
リング状の外形形状を備えた外部照明ユニット4は円形の外形輪郭を有し、その中心に
円形開口4aを備え、この円形開口4aの中心とバーコードリーダ2のレンズ組立体36
の光軸とが一致するようにバーコードリーダ2が位置決めされる。このバーコードリーダ
2の位置決めのためにスタンド71が用意される。スタンド71は、後に詳しく説明する
ように、外部照明ユニット4の背面にボルト止めされる一対のプレート部材72と、この
プレート部材72の任意の高さ位置にバーコードリーダ2を定置させるための取付金具7
3とで構成されている。
【0049】
先ず、外部照明ユニット4の構造について
図21を参照して説明する。
図21は外部照
明ユニット4の分解斜視図である。外部照明ユニット4は、リング状の円筒形状のフロン
トケース75と、リヤケース76とからなるアウターケースの内部に、LED基板77と
回路基板78とがスタックコネクタ79(
図21)及び第1のスペーサ82(
図23)を
介して積層した状態で収容されている。
【0050】
リング状の円筒形状のフロントケース75の断面リング状の形状とほぼ同じ大きさのリ
ング状のLED基板77には複数の照明用LED80が実装されている。このリング状の
LED基板77とほぼ同じ大きさであるのが好ましいリング状の回路基板78には、LE
D駆動回路の他に、外部照明ユニット4に搭載された複数のLED80の点灯を制御する
と共にバーコードリーダ2との通信を制御するCPU、メモリM(
図1)が実装されている
。
図23を参照して、LED基板77と回路基板78とは電気的に接続されるのは勿論で
あるが、これらLED基板77と回路基板78とは上述した第1のスペーサ82によって
相互に固定され、また、LED基板77は第2のスペーサ81によってリヤケース76に
固定される。換言すると、回路基板78はLED基板77を介してリヤケース76に固定
される。
【0051】
特にフロントケース75に、後に説明するフレネルレンズ102(
図30)を採用した
ときに、LED基板77の照明用LED80とフロントケース75との相対的な位置決め
が重要となる。
図23の例であれば、LED基板77がリヤケース76を介してフロント
ケース75に位置決めされるため、これによりフロントケース75とLED基板77とが
相対的に位置決めされるだけでなく、LED基板77、回路基板78の組み付け作業が容
易である。
【0052】
第1の変形例として、LED基板77と回路基板78の設置構造に関し、LED基板7
7を介在させることなく直接的に回路基板78をリヤケース76にスペーサを介して固定
するようにしてもよい。第2の変形例として、回路基板78をリヤケース76にスペーサ
を介して固定すると共にこの回路基板78にLED基板77を他のスペーサを介して固定
するようにしてもよい。
【0053】
図24、
図25は、リング状の円筒形状のフロントケース75の後端開口にリヤケース
76を嵌入する形式で外部照明ユニット4のアウターケースを構成した場合に、
図24に
示すように、リヤケース76の周面に接着剤85を塗布してフロントケース75に嵌入す
る又はフロントケース75に接着剤85を塗布した後にリング状の円板形状のリヤケース
76を嵌入する、フロントケース75にリヤケース76を嵌入した後に、その隙間に接着
剤85やシール剤を充填する等によりフロントケース75とリヤケース76との間の隙間
に接着剤85やシール剤を介在させることで、この接着剤85やシール剤でアウターケー
スのシール性を確保するようにしてもよい。また、この場合に、必要に応じてネジ86を
使って両者75、76を固定してもよい。
【0054】
図25を参照して、フロントケース75とリヤケース76との間にパッキン87を介装
して、このパッキン87によってシール性を確保するようにしてもよい。
【0055】
専用外部照明ユニット4の位置決め機構(図26〜図29):
図26〜
図27は前述したスタンド71(
図20)の詳細図である。
図20、
図26を参
照して外部照明ユニット4の背面且つ中心円形開口4aに隣接した箇所から起立する長方
形の形状の一対のプレート部材72は、中心円形開口4aの直径方向に互いに対峙した状
態で平行に延びている。
【0056】
プレート部材72は、上下方向に延びるガイドスリット72aを有し、また、このガイ
ドスリット72aと平行にサブスリット72bを少なくとも一本有している。
【0057】
取付金具73は、プレート部材72を横断し且つプレート部材72の両側縁と係合する
左右の折り返し部73aを備えた形態を有し、そしてバネ性を具備している。この取付金
具73の中心部位にネジ74が好ましくは脱落不能に取り付けられている。
【0058】
ネジ74は一対のプレート部材72の間に配置されたバーコードリーダ2のネジ穴89
(
図15、
図27)に螺合される。バーコードリーダ2は、プレート部材72のガイドスリ
ット72aに受け入れられる突出ピン90を備えている(
図2、
図15)。突出ピン90
は、バーコードリーダ2のメインケース6の互いに対向する側面に、夫々、2つ設けられ
、この2本の突出ピン90を結ぶラインは、バーコードリーダ2の光軸と平行である。よ
り詳しくは、突出ピン90は、矩形断面のメインケース6の互いに対向する側面の各々に
2本設けられ、この2本の突出ピン90は、メインケース6の側面の一端部と他端部に配
置されている。また、取付金具73のネジ74を受け入れるネジ穴89は、メインケース
6の前端部(フロントケース7側の端部)に形成されている。
【0059】
バネ性を備えた取付金具73のネジ74を緩めて一対のプレート部材72の所望の高さ
位置にバーコードリーダ2を位置決めしたら、ネジ74をねじ込むことで、取付金具73
をプレート部材72に密着させることによりバーコードリーダ2はプレート部材72に固
定される。これに加えて、バーコードリーダ2の側面(例えばリヤケース46)にねじ穴
92(
図2、
図15)を設け、このねじ穴92に螺号する第2のネジ93を使ってプレー
ト部材72とバーコードリーダ2とを締結するようにしてもよい(
図20)。この第2の
ネジ93はプレート部材72のサブスリット72bに配置される。これにより、バーコー
ドリーダ2の互いに対向する側面が、上下方向及び幅方向に離間して位置する2本のネジ
74、93によって各プレート部材72に固定される。
【0060】
図20から最も良く分かるように、ガイドスリット72aはプレート部材72の長手方
向の一端部から他端部まで一直線に且つバーコードリーダ2の光軸と平行に延びている。
これにより、バーコードリーダ2の光軸を一定に保ちながらバーコードリーダ2の高さ位
置を調整することができる。
【0061】
サブスリット72bはガイドスリット72aと平行に延びているが、サブスリット72
bの下端はプレート部材72の長手方向中間部分で終わっている。このようにサブスリッ
ト72bの下端をプレート部材72の高さ方向中間部分で終端させることにより、次の利
点がある。バーコードリーダ2の高さ位置を調整するために、取付金具73の第1のネジ
74及びサブスリット72bに挿入した第2のネジ93を共に緩めたときに、基本的には
、取付金具73のバネ性によってバーコードリーダ2は、ユーザがバーコードリーダ2を
上げ下げしない限りその位置を保つが、何らかの原因でバーコードリーダ2から手を話し
た瞬間にバーコードリーダ2が大きく下降してバーコードリーダ2が損傷するのを防止す
ることができる。このバーコードリーダ2の落下規制は、サブスリット72bの下端を比
較的高い位置で終わらせる設定が行われているからであり、バーコードリーダ2に螺着し
た第2のネジ93がサブスリット72bの下端で係止することにより、このサブスリット
74bの下端がストッパとして機能してバーコードリーダ2が過度に落下してしまうのを
回避することができる。
【0062】
図28、
図29は、変形例の取付金具100の変形例を示す。取付金具100は、左右
の折り返し部73aの中間部分に上方に延びた後に反転して下方に延びる自由端部101
を有し、この自由端部101に第1のネジ74がネジホルダ74aによって脱落不能に取
り付けられている。この変形例の取付金具100によれば、第1のネジ74がバーコード
リーダ2から完全に離脱したとしても、この第1ネジ74が取付金具100から不用意に
脱落してしまうのを回避することができる。
【0063】
専用外部照明ユニット4の種類(図30、図31):
図30、
図31は、バーコードリーダ2に外部照明ユニット4を取り付けた状態を示し
、
図30は、比較的LED80の数が少ない小径の第1種類の外部照明ユニット4Aを示
し、
図31は、比較的LED80の数が多い大径の第2種類の外部照明ユニット4Bを示
す。この第1、第2の種類の外部照明ユニット4A、4Bを用意したときには、ユーザは
バーコードリーダ・システム1を設置する環境などによって第1、第2の外部照明4A、
4Bを使い分けることができる。この機種情報は、外部照明ユニット4のメモリM(
図1)
に記憶され、バーコードリーダ2に接続されたときには、バーコードリーダ2は、外部照
明ユニット4のメモリMに記憶されている機種情報を取り込むことで該外部照明ユニット
4を認識し、これにより外部照明ユニット4との接続設定が実行される。
【0064】
照明用LED80の数が比較的少ない小径の外部照明ユニット4Aでは、フロントケー
ス75の透光部分にフレネルレンズ102を有し(
図30)、このフレネルレンズ102
によって、小径の外部照明ユニット4Aに搭載される照明用LED80を傾斜させること
なく真下に向けて配置しながら、照明用LED80の光をバーコードリーダ2の視野範囲
に収めることができる。照明用LED80を真下に向けて配置できることから、小径の外
部照明ユニット4Aの照明用LED80の実装密度を高めることができる。これに対して
、LED80の数が比較的多い大径の外部照明ユニット4Bでは、各照明用LED80が
バーコードリーダ2の視野範囲に指向して傾いた状態でLED基板77に実装されている
。
【0065】
内部照明ユニット5の部分照明(図32):
図32は、バーコードリーダ2に内蔵されるLED基板14の平面図である。リング状
のLED基板14には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列さ
れている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた3つの同心円上にほぼ同間隔に配
置されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ
組立体36の光軸を中心とする複数の径の異なる同心円上に配列されている。
【0066】
リング状LED基板14は、円周方向に等間隔に4つのブロックに区分され、各ブロッ
クを半径方向に2つに区分することにより形成される合計8つのエリアを単位に部分照明
される。具体的には、最外周の1列が90°間隔で4つの領域に区分されている。これを
外周第1エリアAEout1、外周第2エリアAEout2、外周第3エリアAEout3、外周第4エ
リアAEout4で図示してある。最内周及び中間の2列が90°間隔で4つの領域に区分さ
れている。これを内周第1エリアAEin1、内周第2エリアAEin2、内周第3エリアAEin3
、内周第4エリアAEin4で図示してある。各エリアAEout1〜out4、in1〜in4の各々の
エリアに属するLED80は、各エリアで均一に分布するように位置決めされている。
【0067】
内部照明ユニット5の区分エリアAEout1〜out4、AEin1〜in4の各々を単位に照明を
制御することができる。このエリアに区分した点灯制御には、LED80の発光量の制御
を含んでもよい。
【0068】
大径の外部照明ユニット4Bの部分照明(図33):
図33は、外部照明ユニット4のLED基板77の平面図であり、より詳しくは大径の
外部照明ユニット4BのLED基板77が図示されている。リング状のLED基板77に
は、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列されている。照明用L
ED80は半径方向に間隔を隔てた4つの同心円上にほぼ同間隔に配置されている。より
詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を
中心とする径の異なる4つの同心円上に配列されている。
【0069】
大径の外部照明ユニット4Bでは、円周方向に等間隔に8つのブロックに区分され、各
ブロックを半径方向に4つに区分することにより形成される合計32のエリアを単位に部
分照明するように設定されている。具体的には、リング状LED基板77は、最外周の1
列が45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外周第1エリアAEout1〜外周
第8エリアAEout8で図示してある。次の一列も45°間隔で8つのエリアに区分されて
いる。これを外側中間第1エリアAEmid1〜外側中間第8エリアAEmid8で図示してある。
次の一列も45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外側中間第9エリアAEmi
d9〜外側中間第16エリアAEmid16で図示してある。最内周の一列45°間隔で8つの
エリアに区分されている。これを内周第1エリアAEin1〜内周第8エリアAEin8で図示し
てある。この大径の外部照明ユニット4Bにあっても合計32のエリアの各々を単位に照
明を制御することができる。外部照明ユニット4Bにあっても、各エリア毎にLED80
の発光量の制御を実行することができる。
【0070】
小径の外部照明ユニット4Aの部分照明(図34):
図34は、小径の外部照明ユニット4AのLED基板77の平面図である。リング状の
LED基板77には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列され
ている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた3つの同心円上にほぼ同間隔に配置
されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組
立体36の光軸を中心とする径の異なる3つの同心円上に配列されている。
【0071】
リング状LED基板77は、最外周の1列が45°間隔で8つの領域に区分されている
。これを外周第1エリアAEout1〜外周第8エリアAEout8で図示してある。中間の一列も
45°間隔で8つの領域に区分されている。これを外側中間第1エリアAEmid1〜外側中
間第8エリアAEmid8で図示してある。内周の一列も45°間隔で8つの領域に区分され
ている。これを内周第1エリアAEin1〜内周第8エリアAEin8で図示してある。この小径
の外部照明ユニット4Aにあっても合計24のエリアに分けて部分照明を設定することが
できる。このエリアに区分した点灯制御には、LED80の発光量の制御を含んでもよい
。なお、部分照明として設定したエリアを単位に照明用LED80による照明の色を異な
らせるようにしてもよい。
【0072】
外部照明ユニット4のLED駆動回路(図35):
図35はLED駆動回路の一部を示す。図示のLED駆動回路は、各エリア毎にLED
80を点灯させると共に、各エリアに属する複数の照明用LED80に定電流を供給する
ことができる。
【0073】
例えば、
図34の小径外側照明ユニット4Aについて説明すると、リング状LED基板
77を周方向に45°間隔で区分した8つの領域を「ブロック」と呼ぶ。例えば、外周第
1エリアAEout1、中間第1エリアAEmid1、内周第1エリアAEin1が第1ブロックを構成
する。各ブロック毎にブロックスイッチ105と定電流回路106が設けられている。ブ
ロックスイッチ105をONすると、当該ブロックに属する複数のLED80に電圧を印
加できる状態になる。各列の複数のLED80には、各ブロック毎にこれをバイパスする
列スイッチ107が設けられ、この列スイッチ107と並列に照明用LED80の群が直
列に接続されている。なお、
図35には、各円周列の照明用LED80が一個しか図示さ
れていないが、これは線図を簡素化したという理由に過ぎず、各列スイッチ107と並列
に接続された照明用LED80は直列に複数存在していると理解されたい。
【0074】
各ブロックに属する各列は直列に接続され、そして、各列には、上述した列スイッチ1
07が並列に接続されている。
【0075】
したがって、任意の列スイッチ107をOFFすることにより該当するブロック且つ該
当する列に属する複数のLED80に定電流が供給される。このLED駆動回路を外部照
明ユニット4Aが備えることにより、各ブロックの各列を単位に部分照明のエリアを任意
設定することができる。
【0076】
また、各ブロック毎に定電流回路106を設けたことで、例えば同じブロックでの第1
〜第3の円周列の照明LED80に流れる電流を一定に維持することができる。換言する
と、定電流回路106無しでは、例えば第2、第3の円周列の照明LED80を点灯して
いるときに第1の円周列の照明LED80をOFFからONにスイッチすると、第2、第
3の円周列の照明LED80に印加する電圧が変化して、第2、第3の照明LED80を
流れる電流が変化して明るさが変化してしまう。
【0077】
別の言い方で説明すると、ブロックスイッチ105をON/OFFしても、他のブロッ
クに属する照明用LED80の発光量は変化しない。各ブロックは互いに並列に電源に接
続されているからである。しかし、列スイッチ107をON/OFFすると、当該ブロッ
クで点灯するLED80の数が変化してしまい、これに伴ってLED80の明るさが変化
してしまう。
【0078】
このことは、部分照明の点灯パターンを設定するときに、ワークに対する最適な光の当
て方を探るうえで、LED80の明るさの変動要因を極力排除するのが望ましい。定電流
回路105はこのことを企図して各ブロックに設けてある。これにより、点灯パターンの
設定作業を行うときに、点灯パターンを変えたときに部分照明するための点灯するエリア
でのLED80の輝度の均一化及び輝度の一定性を確保することで最適な点灯パターンを
見出すのが容易になる。なお、大径の外部照明ユニット4B及び内部照明ユニット4Bに
ついても同様に
図35のLED駆動回路を採用することができる。
【0079】
内部照明ユニット5及び外部照明ユニット4の部分照明(図36):
外部照明ユニット4から電源が供給される内部照明ユニット5及び外部照明ユニット4
は、共に面光源であるが、この面光源を周方向且つ半径方向に幾つかのエリアに区分して
各エリアを単位に部分照明することが可能であり、どのエリアを点灯し、どのエリアを点
灯しないかの点灯パターンをユーザが任意に設定することができる。全てのエリアの点灯
を含む点灯パターンはPC3を使ってユーザが予め登録することができ、ユーザが設定し
た点灯パターンは、バーコードリーダ2のメモリM及び外部照明ユニット4が接続されて
いるときには、この外部照明ユニット4のメモリMに記憶される。この点灯制御には、照
明用LED80の発光量の制御が含まれる。なお、
図36においても、上述した
図35と
同様に、各円周列の照明用LED80が一個しか図示されていないが、これは線図を簡素
化したという理由に過ぎず、各列スイッチ107と並列に接続された照明用LED80は
直列に複数存在していると理解されたい。
【0080】
図1を参照して説明したように、外部照明ユニット4はCPUの制御手段を具備してい
る。したがって、
図36に図示するように、各ブロックスイッチ105及び各円周列の列
スイッチ107を外部照明ユニット4のCPUで制御することにより、周方向且つ半径方
向に区分した部分照明エリアを設定したときには、このエリアを単位にLED80の点灯
制御が実行される。
【0081】
スイッチ機構の詳細(図37):
図37は、
図35、
図36に見られるブロックスイッチ105及び列スイッチ107の
詳細を示す。
図37から分かるように、ブロックスイッチ105及び列スイッチ107は
、スイッチ素子としてトランジスタ109が採用されている。
図37では図示を省略した
が、LED駆動回路にあっても各ブロック毎に定電流回路106が組み込まれていると理
解されたい。
【0082】
変形例として、各ブロックに属する複数の照明用LED80の各々にスイッチを設けて
、このスイッチを制御することで任意のエリア毎に点灯させることも可能である。他の変
形例として、定電流回路106の電流値を制御してもよい。具体的には、列スイッチ10
7のON/OFF切り替えによって各ブロックにおける照明用LED80の点灯数が変化
する。そして、照明用LED80の点灯数が変化すると、外部照明ユニット4や内部照明
ユニット5の全体としての明るさが変化してしまう。この明るさの変化を抑制するのに、
定電流回路106の電流値を列スイッチ107のON/OFFに応答して変化させて、外
部照明ユニット4や内部照明ユニット5の全体としての明るさが等しくなるように制御す
るのがよい。例えば外周側の列スイッチ107をON、内周側の列スイッチ107をOF
Fして内周側の照明用LED80を消灯させたときに、この消灯した内周側の照明用LE
D80の分、外周側の照明用LED80の明るさが大きくなるように制御してもよい。
【0083】
更なる変形例として、列スイッチ107のみならずブロックスイッチ105のON/O
FF切り替えに応答して、定電流回路106の電流値を変化させるようにしてもよい。こ
のブロックスイッチ105の切り替えに応答したLED80の明るさの制御は、点灯させ
るブロックの数が少なくなるほど、点灯LED80の明るさが大きくなるように制御し、
逆に、点灯させるブロックの数が多くなるほど、点灯LED80の明るさを小さくなるよ
うに制御することにより外部照明ユニット4や内部照明ユニット5の全体としての明るさ
が等しくなるように制御するのがよい。この点灯LED80の明るさの制御は、上述した
ように定電流回路106の電流値を変化させることにより行うことができる。
【0084】
ここに、実施例の
図35、
図36に図示の回路では、各ブロック回路に同一の定電流回
路106が設けられ、各ブロックに流れる電流の値が所定の電流値となるように制御され
る点に注目すべきである。この回路によれば、一のエリアのLED80が明るく、他のエ
リアのLED80が相対的に暗いという局所的な明暗が発生しない。これに加えて、点灯
させる列の数やブロックの数によっても明るさを変動させる制御を行った場合には、点灯
している全てのLED80は定電流回路106によって同時に明るさが変化するため、各
エリアの明るさは同じである。
【0085】
外部照明ユニット4及び内部照明ユニット5の点灯制御エリア(図38、図39):
上述したように外部照明ユニット4と内部照明ユニット5とは部分点灯が可能である。
上述したブロックスイッチ105と列スイッチ107を
図38、
図39を参照して詳細に
説明すると、
図38から分かるように、「ブロック」という用語はリング状の面光源を周
方向に分割した領域を意味している。次に「列」という用語は、各ブロックに属する照明
LED80のうち、共通の同心円上に属する照明LED80を意味している。したがって
、
図38を参照して第1ブロックの第1列は、「ブロック1」に属する複数の照明LED
80のうち、最外周に位置する照明LED80の群を意味することになる。
【0086】
前述したように、各ブロックに属する複数の照明LED80への電源供給は、先ずブロ
ックスイッチ105によって制御される。このことを前提として各列に属する複数の照明
LED80への電源供給は列スイッチ107によって制御される。したがって、上述した
第1ブロックの第1列のLED80を点灯するには、第1ブロックのブロックスイッチ1
05がONであることを前提として、第1列の列スイッチ107をONにすることで実現
できる。
【0087】
なお、「列」に関し、例えば
図38に図示の「列2」「列3」を1つの列として取り扱
ってもよい。すなわち、同じブロックに属する複数の列を1つの列として取り扱ってもよ
い。
【0088】
前述した部分点灯制御において、例えば第1ブロックの第2列と第3列とで1つの部分
点灯エリアとして設定するには、第1ブロックのブロックスイッチ105がONであるこ
とを前提として、第2列と第3列の2つの列スイッチ107を共にONにすることで実現
できる。従って、上述したように、周方向に分割した各ブロックと各ブロックに属する各
列毎にスイッチ105、107を設け、これらの組み合わせによって、外部照明ユニット
4及び内部照明ユニット5の部分点灯エリアを自在に設定することができる。
【0089】
また、前述したように、照明LED80の駆動回路において、各ブロック毎に定電流回
路106が組み込まれ(
図35)、好ましくは、各列毎に定電流回路106が更に組み込
まれている(
図36)。この定電流回路106によって、各エリアで作られる面光源の輝
度を各エリアの全域での均一に維持することができる。
【0090】
外部照明ユニット4の照明制御(図1):
外部照明ユニット4の機種情報は、当該外部照明ユニット4のメモリM及びバーコード
リーダ2のメモリMに記憶されている。また、パーソナルコンピュータ3を使って設定さ
れた単数又は複数の点灯パターンは、バーコードリーダ2及び外部照明ユニット4のメモ
リMに夫々記憶されている。バーコードリーダ2と外部照明ユニット4は共にCPU(プ
ロセッサ)を有しており、相互に通信が可能である。
【0091】
バーコードリーダ2のCPUは、バーコードリーダ2に接続された外部照明ユニット4
との結線状態に基づいて当該外部照明ユニット4と通信が可能な専用品であるか否かを判
断する。ここに、結線状態とは、例えば結線のピン配置などをいう。
【0092】
通信可能な外部照明ユニット4であると判断したときには、外部照明ユニット4のメモ
リMに記憶されている照明種別情報(機種情報)をパーソナルコンピュータ3が取得して
、当該パーソナルコンピュータ3のメモリMに記憶されている機種情報を取得し、このパ
ーソナルコンピュータ3にインストールされている設定プログラムは、取得した機種の種
別に対応した部分照明点灯パターンを設定する設定画面をパーソナルコンピュータ3のデ
ィスプレイに表示する。これにより、ユーザは、今現在接続されている外部照明ユニット
4にどのような点灯パターンが設定可能なのかを直ちに且つ容易に把握することができる
。
【0093】
パーソナルコンピュータ(PC)3のディスプレイには、点灯エリア設定プログラムに
は、予め用意されている
図40〜
図43の照明設定画面が表示される。
図40の照明設定
画面では、PC3に接続したマウスを使って次の設定が可能である。照明設定画面は、図
40を参照して、照明ユニットを模式的に図示したリング状の画像を含み、この画面で設
定項目を選択したときには、この点灯パターンが直感的に把握できるようにリング状の画
像が変化する。
【0094】
図40の照明設定画面で設定可能な事項は次の通りである。
(1)内部照明ユニット5による照明と外部照明ユニット4による照明を択一的に選択す
ることができる。専用の外部照明ユニット4がバーコードリーダ2に接続されていないと
きには、
図40の設定画面から分かるように、「外部照明の使用」の項目がグレー表示さ
れ、この項目の選択はできない。
(2)内部照明ユニット5の点灯エリアとして、「内内周」パターンと「中内周」パター
ンを選択することができる(
図40)。「内内周」と「中内周」の選択は択一的であって
もよいし、「内内周」と「中内周」との2つのパターンを選択することができる。「内内
周」とは、
図32の内周第1〜内周第4エリアAEin1〜AEin4が点灯するパターンを意味
している。「中内周」だけを選択したときには、
図32の外周第2エリアAEout2と外周
第4エリアAEout4が点灯するパターンを意味している。「内内周」と「中内周」の双方
を選択したときには、全てのエリアが点灯するパターンを意味している。
【0095】
ちなみに、
図40を見ると、「内内周」「中内周」の双方にチェックマークが表示され
ていることから、ユーザが「内内周」「中内周」の双方点灯パターンを選択した状態にあ
り、リング状の画像は、全ての領域が赤色で表示される。他方、
図41を見ると、「中内
周」にチェックマークが表示されていることからユーザが「中内周」パターンを選択した
状態にあり、リング状の画像は、外周第2エリアAEout2と外周第4エリアAEout4だけが
赤色で表示され、他のエリアは非選択を意味するグレー表示される。
【0096】
(3)外部照明ユニット4の選択項目は、小径の外部照明ユニット4A(
図34)が接続さ
れているときには、
図42の設定画面が表示される。他方、大径の外部照明ユニット4B
(
図33)が接続されているときには、
図43の設定画面が表示される。
図42(小径ユニ
ット4Aの設定画面)と
図43(大径ユニット4Bの設定画面)を対比すると、小径の外部
照明ユニット4Aの設定画面(
図42)では、「内円周」「中円周」「外円周」の3つが
選択可能であり、「最外円周」はグレー表示されて選択不能な状態にある。小径の外部照
明ユニット4Aでは、「内円周」「中円周」「外円周」から少なくとも1つのパターンを
選択することができる。これに対して、大径の外部照明ユニット4Bの設定画面(
図43
)では、「内円周」「中円周」「外円周」「最外円周」の4つが選択可能である。大径の
外部照明ユニット4Bでは、「内円周」「中円周」「外円周」「最外円周」から少なくと
も1つのパターンを選択することができる。
【0097】
「内円周」パターンを選択したときには、
図33、
図34で説明した最内周の第1〜第
8の8つエリアAEin1〜AEin8の全てが点灯される。「中円周」パターンを選択した
ときには、小径ユニット4AではAEmid1〜AEmid8の8つのエリアの全てが点灯され
(
図34)、大径ユニット4Bでは、AEmid9〜AEmid18の8つのエリアの全てが点灯
される(
図33)。「外円周」パターンを選択したときには、小径ユニット4AではAEou
t1〜AEout8の8つのエリアの全てが点灯され(
図34)、大径ユニット4Bでは、AEmid
1〜AEmid8の8つのエリアの全てが点灯される(
図33)。大径ユニット4Bにおいて、
「最外円周」を選択したときには、最外周の列のAEout1〜Aout8の8つのエリアの全て
が点灯される(
図33)。
【0098】
図42の設定画面は、小径の外部照明ユニット4Aの全てのエリアを点灯させる選択が
行われた状態にある。また、
図43の設定画面は、大径の外部照明ユニット4Bの全ての
エリアを点灯させる選択が行われた状態にある。
【0099】
図40〜
図43の設定画面に設けられた「閉じる」を選択すると点灯パターンの設定が
終了し、この点灯パターンの設定情報はバーコードリーダ2に転送され、また、外部照明
ユニット4に転送される。そして、バーコードリーダ2及び外部照明ユニット4のメモリ
M(
図1)に保存される。
【0100】
上述したように、外部照明ユニット4が自身の照明機種情報をメモリMに記憶している
ことで、パーソナルコンピュータ3の点灯パターン設定プログラムから外部照明ユニット
4の機種に応じた点灯パターンを設定することができる。
【0101】
外部照明ユニット4は、バーコードリーダ2から点灯指令の信号を受け取ると、外部照
明ユニット4のメモリMに保存されている点灯パターンの設定情報に基づいて外部照明ユ
ニット4の照明用LED80の点灯を制御する。この制御は、外部照明ユニット4のCP
Uによって実行される。
【0102】
図40〜
図43の設定画面は一例に過ぎないのは言うまでもない。
図33(大径照明ユ
ニット4B)、
図34(小径照明ユニット4A)を参照して前述したように、区分したエリ
ア毎に点灯、非点灯を設定できるように設定画面の表示態様を設計することもできる。ま
た、この設定画面をユーザが任意に改変できるようにしてもよい。
【0103】
また、ユーザが幾つかの点灯パターンを予め登録し、この登録した複数のパターンから
設定できるようにしてもよい。また、ユーザが複数の点灯パターンを設定し、バーコード
リーダ2からの信号に基づいて外部照明ユニット4の点灯パターンを切り替えるようにし
てもよい。
【0104】
外部照明ユニット4は、バーコードリーダ2からの指令を受けて外部照明ユニット4の
CPUによって照明用LED80の制御が実行され、バーコードリーダ2によって指定さ
れた点灯パターンを外部照明ユニット4のメモリMを参照することで外部照明ユニット4
の部分照明が行われる。
【0105】
このように、CPUを内蔵した外部照明ユニット4は、この外部照明ユニット4に設け
られたメモリMに、予め登録された単数又は複数の点灯パターンを記憶しておくことで、
バーコードリーダ2から点灯指令信号を外部照明ユニット4に供給するだけで、外部照明
ユニット4は複数の点灯パターンを実行することが可能になる。勿論、この点灯パターン
の制御にはLED80の発光量の制御も含まれる。
【0106】
以上、実施例のバーコードリーダ・システム1を詳述したが、
図44を参照して前述し
た本発明の概念構成を分かり易く説明すると次の通りである。
図44を再び参照して、パ
ーソナルコンピュータ3(
図1)によって設定された照明点灯パターン(部分点灯及び全
面点灯を含む)の設定情報は、先ず、光学情報読取装置206のメモリ202に記憶され
る。この情報は、光学情報読取装置206から外部照明ユニット208に転送され、この
外部照明ユニット208のメモリ216に記憶される。
【0107】
外部照明ユニット208のCPU214は、光学情報読取装置206のCPU200と
の間の通信204、212により、外部照明ユニット208のメモリ216に記憶された
設定情報に基づいて点灯箇所及び光量の制御が行われる。なお、点灯箇所の制御は、前述
したブロックスイッチ105及び列スイッチ107(
図35、
図36)をON/OFF制
御することにより実行される。また光量制御は前述した定電流回路106(
図35)の電
流量を制御することにより実行される。
【0108】
その後は、光学情報読取装置206からの照明点灯トリガを外部照明ユニット208の
LEDドライバ218が受け付けて照明LED210のON/OFFの切り替えが行われ
る。
【0109】
如上の説明から理解できるように、点灯パターンの設定情報を外部照明ユニット208
のメモリ216に記憶させることで、その後は簡単なトリガ信号だけで外部照明ユニット
208の複雑な点灯パターンを実行させることができる。なお、上記の実施例では、外部
照明ユニット208がCPU214を備えているが、このCPU214の代わりにデジタ
ル回路で上述した照明の点灯パターンの制御などを実行してもよい。
【0110】
ユーザが点灯パターンを変更したいときには、パーソナルコンピュータ3(
図1)の照
明設定プログラムを使って任意の点灯パターン情報を作成し、当該点灯パターン情報を同
様に外部照明ユニット208のメモリ216に記憶させればよい。また、点灯パターンの
設定を設定バンクに含めることで、この設定バンクの自動切り替えの制御を加えてもよい
。設定バンクとは、光学情報読取システムの各種のパラメータを一括して記憶したファイ
ルであり、この設定バンクを予め複数用意しておくことで、例えば読み取りが上手くいか
なかった場合に自動的に他の設定バンクを切り替えながら読み取りを実行させることがで
きる。この設定バンクの自動切り替えによる読み取りを行う場合、各設定バンクに含まれ
る点灯パターンの設定情報を設定バンクを切り替えるタイミングで外部照明ユニット20
8に転送して、この外部照明ユニット208のメモリ216に記憶させることにより、各
設定バンクに対応した点灯パターンでの照明が可能になる。