【実施例1】
【0018】
実施例に係る弁体撤去装置について
図1から
図11を参照して説明する。
図1に示すように、本実施例において、既設の流体管1、1’に流体管路を遮断可能な仕切弁2が連結されている。流体管1、1’及び仕切弁2の筐体は、例えば、地中に埋設される上水道用のダクタイル鋳鉄製であり、流体管1、1’は、断面視略円形状に形成され、内周面がモルタル層で被覆されている。尚、本発明に係る流体管及び弁装置は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいは石綿、コンクリート製、塩化ビニール、ポリエチレン若しくはポリオレフィン製等であってもよい。更に尚、流体管の内周面はモルタル層に限らず、例えばエポキシ樹脂等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。また、本実施例では流体管内の流体は上水であるが、本実施例の上水に限らず、例えば工業用水や農業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本実施例での弁装置である仕切弁2は、管路部本体3と弁本体部11とから構成されている。管路部本体3は、流体管1、1’に連通する管部4と、管部4に一体に形成されたフランジ部7、7’と、管部4の管軸線A−Aと異なるB−B方向に突出された筒状の首部5と、本発明の第1フランジとしての管路部フランジ6と、から構成される。
【0020】
弁本体部11は、管路部本体3を閉塞可能な弁体12(
図9参照)と、本発明の第2フランジとしての弁蓋フランジ13と、弁蓋フランジ13と一体に形成された弁蓋14と、弁蓋14の上面に突出され、仕切弁2を外部から開閉操作するための棒状の弁棒部16と、弁蓋14に設けられ弁棒部16の外周面をシールするためのパッキン(図示略)を内部に備える弁箱15と、から構成され、弁箱15は弁蓋14との間をシールするためのパッキン(図示略)を介して弁箱上部ネジ17により着脱可能に接合されている。また、管路部本体3と弁本体部11とは、管路部本体3の管路部フランジ6と弁蓋フランジ13とをシールするためのパッキン(図示略)を介して、ボルト・ナット22により着脱可能に接合されている。
【0021】
また、管路部本体3の管部4の両端部には、外径方向に突出するフランジ部7,7’が形成されており、このフランジ部7,7’は、流体管1,1’の端部のフランジ部8,8’にパッキン(図示略)を介して密封状に接合されるとともに、フランジ部7,7’,8,8’同士がボルト・ナット(図示せず)で締結されている。
【0022】
次に、
図1、
図2に示すように、本実施例の弁体撤去装置30は、仕切弁2の一部を密封状に囲う作業用ケース30と、作業用ケース30内に備えられるとともに作業用ケース30の外部からの操作により作業用ケース30の内部空間を空間Dと空間Eとに密封状に仕切ることが可能な作業弁26と、弁本体部11を作業用ケース30内で移動を可能とする本発明の弁移動手段としての弁吊移動工具91とから構成されている。
【0023】
図2に示すように、作業用ケース30は、本発明の第1分割体としての分割式取付部材31と、本発明の第2分割体としての円筒部材61及び上部カバー71とからなる。尚、第2分割体は本実施例では、円筒部材であるが、断面形状が略小判形、略楕円、略角形などの筒部材でもよい。分割式取付部材31は、管路部フランジ6と弁本体部11の一部を囲っている。また、円筒部材61は、分割式取付部材31に接続され、作業弁26及び弁本体部11を囲い、上部カバー71は、円筒部材61に接続されて円筒部材61の開口を閉塞するとともに弁吊移動工具91が載置されている。
【0024】
分割式取付部材31は、
図2から
図4(a)に示すように、封止部36は、管路部フランジ6の外周面に相対する位置で、分割式取付部材31の内周面に形成された環状の溝部37と、溝部37に嵌め込まれ、保持される密封部材38と、からなっている。また、密封部材38の厚さ寸法は、溝部37の深さより大きくして、密封部材38が適度に圧縮されるようにしている。本発明に係る密封部材として、断面が円形の丸ゴムパッキン、略C字状または方形状または、リップ付きのゴムパッキンを使用することができる。これにより、封止部36は、管路部フランジ6の外周面に接する密封部材38によって、流体管路よりも弁本体部側での作業のみで管路部を密封状に囲うことができる。
図2から
図4(a)においては、封止部36の密封部材38は、管路部フランジ6の外周面のみに接して密封しているが、管路部本体3の管路部フランジ6のボルト挿通孔24の径方向外側、すなわち管路部フランジ6の軸方向下端面のみを、または、前記管路部フランジ6の軸方向下端面と管路部フランジ6の外周面の両方を、密封部材によって封止することもできる。尚、密封部材は、止水性向上のため、第2フランジまで延設されるものであってもよい。
【0025】
このように、少なくとも管路部フランジ6の外周面を封止部を有する第1分割体(分割式取付部材31)と、弁本体部の一部を囲う第2分割体(円筒部材61及び上部カバー71)とに分割されているので、第1分割体を管路部フランジ6の外周面に封止部を確実に取り付けた後に、第2分割体を取付けることができるので、作業用ケースで流体管部及び弁本体部を容易に覆うことができ、作業性を向上させることができる。
【0026】
図4(a)に示すように、分割式取付部材31には、封止部36の環状の溝部37の上部から拡径するように連続的に設けられるとともに、弁蓋フランジ13の外側周面よりも若干大径に形成され平面視で略小判形の筒状をなし、弁蓋フランジ13よりも上方側に延びる筒部40が設けられており、更に、筒部40の上端部から拡径されるように平面視で大径略円形の鍔状に形成された大径鍔部41が連続的に設けられている。
【0027】
このように、筒部40は、環状の溝部37の上部から拡径して弁蓋フランジ13との間に隙間を有するので、弁本体部11を取外す際に干渉せず、確実に弁本体部11を撤去することができ、また、本実施例の場合、分割式取付部材31を管路部フランジ6に取付けた後に、密封部材38の取付け状態を確認できるので、確実に封止部36を取付けることができる。尚、弁本体部11の撤去を妨げず、筒部40、弁本体部11への損傷を防ぐために前記隙間に弾性体・樹脂などを介在させてもよい。
【0028】
また、
図3に示すように、分割式取付部材31は、管路部フランジ6の周方向に略均等に2分割構成されるとともに、管部4の管軸線A−A方向と略一致している。また、各分割片の分割面には、パッキン42が介在されて、ボルト・ナットにより密封状に接合されている。
【0029】
本実施例では、このように分割することで、分割式取付部材31は、小判形の管路部フランジ6の側面をガイドとして、分割式取付部材31が傾くことなく第1フランジの外周部に密接させて確実に封止することができる。また、管路部フランジ6の短径寸法と長径寸法の差が小さい場合には、管路部フランジ6の長軸方向、短軸方向の区別が困難となり、組立て方向を誤って組立てることがある。これに対し、分割式取付部材31は、管路部フランジ6の短軸方向に沿って、2分割されているので、管路部フランジ6に対し長径方向側から組立て可能となるので、組立て誤りを防止できる。さらに、分割式取付部材31を管路部フランジ6の長軸方向に沿って組立てる際、管路部フランジ6の外周面をガイドにしつつ、分割式取付部材31と管路部フランジ6とのクリアランスが徐々に狭くなるので、分割式取付部材31が傾くことなく管路部フランジ6の外周部に密接させて確実に封止することができるとともに、種々の弁装置の管路部フランジ6に確実に取付けることができる。
【0030】
分割式取付部材31を管路部フランジ6に取り付けることで、流体管路よりも弁本体部11側での作業のみで管路部本体3及び弁本体部11を作業用ケース30で密封状に囲うことができるので、流体管1や仕切弁2が地中に埋設されている場合でも、管路部本体3よりも深く掘削する必要がなく、掘削や埋戻し作業が容易になり、作業性を向上させることができる。
【0031】
尚、分割式取付部材31の分割構造は、本実施例に限らず、例えば、管路部フランジ6の周方向に3分割以上の複数個の分割体に分割可能に構成してもよいし、管路部フランジ6の周方向に2分割に分割可能にするとともに首部5の管軸線方向にも複数個に分割可能に構成するようにしてもよい。さらに、分割せずに一体構造の第1分割体とすることもでき、種々の弁装置に適合して、作業用ケースを管路部に装着できる。
【0032】
図4に示すように、分割式取付部材31の封止部36の下端には、管路部フランジ6と弁蓋フランジ13とを締付ける作業用ボルト23の頭を保持して、ボルトが抜けないように保持する支持部材43を有している。また、本発明の締結部材としての作業用ボルト23の外周面には、周方向に凹状の溝が形成され、この溝には、略環状のパッキンが嵌め込まれている。これらのパッキンにより、作業用ボルト23と挿通孔24との隙間が密封されて、作業ケース30内の流体が漏洩することが防止される。
【0033】
また、
図3(a)の断面H−H及び
図4(b)に示すように、筒部40の側周面において、弁蓋フランジ13の上面に対応する位置には、管路部本体3と弁本体部11とを接続する作業用ボルト23のほぼ中間位置に本発明の保持手段55が設けられている。保持手段55は、筒部40外周側から内周側に連通するネジ溝を有する連通孔51と、該連通孔51に挿入される固定ボルト52とから構成される。尚、この固定ボルト52のネジ山は、後述する傾斜部53と固定ボルト52の外周面に嵌め込まれたパッキンとの間の部位に設けられている。
【0034】
固定ボルト52は、
図4に示すように、筒部40の内周側に突出される先端部に、先端側が漸次小径となるように形成され弁蓋フランジ13に当接可能な傾斜部53が設けられ、これにより、作業用ケース30の外部から固定ボルト52を回動させることで、ネジ作用により傾斜部53が進出されて、弁蓋フランジ13の上面に当接させることができる。また、ネジ作用により傾斜部53を後退させて、弁蓋フランジ13から離間させることができるようになっている。
【0035】
固定ボルト52の傾斜部53を、弁蓋フランジ13の上面に当接させて、傾斜部53により弁本体部11が管路部本体3側に保持、固定される。これにより、作業用ケース30の分割式取付部材31を管路部フランジ6に取り付けた後に、固定ボルト52により弁本体部11を管路部本体3に固定して、作業用ボルト23、作業用ナット25の締結を解除することができ、且つ、作業用ケース30で弁本体部11を密封状に囲った後であっても、作業用ケース30外側から固定ボルト52を回転操作して、弁本体部11と管路部本体3との固定を解除することができる。
【0036】
また、固定ボルト52の外周面には、周方向に凹状の溝が形成され、この溝には、略環状のOリング54が嵌め込まれている。これらのパッキン54により、固定ボルト52と筒部40の連通孔51との隙間が密封されて、作業ケース30内の流体が漏洩することが防止される。
【0037】
また、固定ボルト52と弁蓋フランジ13との接触面圧が大きい場合には、
図4(c)のように、固定ボルト52が弁蓋フランジ13と接触する部分をあらかじめ斜めに面加工部18を設け、接触面積を大きくすることもできる。さらに、固定ボルト52、連通孔51の個数や設置位置は、本実施例に限らず、固定ボルト52自体の強度や、作業用ケース30の重量、管路部本体3の周方向長さなどに応じて、本実施例よりも多く形成したり、少なく形成したりしてもよい。これにより、固定ボルト52で弁本体部11を管路部本体3側に保持することができる。
【0038】
また、
図2に示すように、上部カバー71の閉塞部74の中央部には、上面側から下面側に連通する挿入孔75が形成されている。この挿入孔75には、弁本体部11を管路部本体3から引き上げて取り外すためのスピンドル92を挿入可能になっている。そして、上部カバー71とスピンドル92との間には、シール材76が介在されることで、作業用ケース30内は密閉される。
【0039】
また、
図2に示すように、弁吊移動工具91は、スピンドル92の上端に固定された支持板94と、上部カバー71の閉塞部74とを所定の距離を保つようにレバーホイスト95により固定されている。そして、弁蓋フランジ13を管路部本体3から取外すと、作業ケース内は流体で満たされ、スピンドルは水圧により上方に押し上げられ、支持板94はレバーホイスト95により所定の位置で固定される。この状態から、レバーホイスト95を緩めるように操作して、スピンドル92を徐々に移動させることができるようになっている。尚、水圧での押上げが不十分な場合、クレーンなどの引上げ装置を利用してもよい。また、スピンドル92の長さは、後述するように、作業用ケース30内に最も進出された際に、スピンドル92の先端が仕切弁2の弁棒部17の上端付近に達する一方で、スピンドル92で弁本体部11を管路部本体3から離間させるために最も後退された際に、弁本体部11の下端が作業弁26よりも上部に達するように調整されている。
【0040】
次に、本実施例の弁体撤去方法について
図5から
図11を参照して説明する。
図5から
図11において、弁体6がほぼ全開状態にされており、仕切弁2を介して流体管1,1’には、流体が流れている状態である。
【0041】
図5に示すように、仕切弁2の吊耳8が管路部フランジ6、弁蓋フランジ13の外周より飛び出している場合には、切断、除去する。そして、管路部フランジ6と弁蓋フランジ13とを接続している既設ボルト・ナット22を、作業用ボルト23、本発明の締結部材としての長尺の作業用ナット25に交換する。尚、所定の作業用ボルト23、作業用ナット25に交換する交換作業においては、既設ボルト・ナット23を一本ずつまたは所定本数ずつ交換することで、流体管1内の流体を漏洩させることなく、作業用ボルト23、作業用ナット25に交換することができる。尚、万力などで固定しながら、交換作業を行ってもよい。
【0042】
このように、長尺の作業用ナット25に交換することで、
図6に示すように、分割式取付部材31の大径鍔部41から作業用ナット25が突出するので、作業スペースが狭くとも、ナットに容易にアクセスできるので、分解組立て作業が容易となる。なお、作業スペース内で作業用ナット25を取外すことができれば、作業用ナット25の長さは、分割式取付部材31の大径鍔部41から作業用ナット25を突出させる必要はない。
【0043】
次に、
図6に示すように、分割式取付部材31の分割片の間に、分割式取付部材31と別体あるいは接着・加硫などにより一体化したパッキン42を介在させて、該分割片を流体管1の管軸A−Aに略直交する向きに管路部フランジ6に被せて、ボルト・ナット32により仮固定状態で接合して、分割式取付部材31を一体化する。ここで、サポート96によって高さ調整を行い、分割式取付部材31の大径鍔部41の面が略水平となるように調整し、分割式取付部材31を確実に支持させる。
【0044】
次に、
図6、
図7に示すように、分割式取付部材31の固定ボルト52を回転して、傾斜部53を弁蓋14と一体に形成された弁蓋フランジ13に軽く当接させる(
図7(c))。この状態で、ボルト・ナット32を規定のトルクで締付け、分割式取付部材31を一体化する。さらにこの状態から、分割式取付部材31の固定ボルト52を規定のトルクで締付け、傾斜部53を弁蓋14と一体に形成された弁蓋フランジ13に強く当接させる。これにより、固定ボルト52によって、弁本体部11が管路部本体3側にしっかり保持されるので、管路部フランジ6と弁蓋フランジ13とを接続する作業用ボルト23、作業用ナット25を外しても、弁本体部11が管路部本体3から外れることを防止できる。また、固定ボルト52を軽く当接させて、水平を合わせた後に、サポート96によって、高さ調整及び支持を行うようにしても良い。
【0045】
さらに、
図6(b)に示すように、仕切弁2の弁棒部16の上端部に被せられ、弁棒部16を回動操作するための操作ハンドル(図示略)に嵌合するための規定形状を有したキャップ18を取り外しておく。キャップ18を取外しておくことで、仕切弁の高さを低く抑えることができる。作業スペースに余裕がある場合には、キャップ18を取付けた状態で作業することもできる。
【0046】
次に、
図7に示すように、管路部本体3と弁蓋14とを接続する作業用ボルト23から、作業用ナット25を取り外す。この際、
図4(a)に示す棒状の回転止め治具44を使用して、作業用ボルト23の回転止めをする。作業用ケース30が、分割式取付部材31(第1分割体)と第2分割体80とに分割構造となっているので、仕切弁2全体を作業用ケース30で囲むことなく開放した状態で、弁本体部11と管路部本体3を接続する既設ボルト・ナット22及び作業用ボルト23、作業用ナット25を取り外すことがきるので、作業性を向上させることができる。
【0047】
さらに、
図7(b)に示すように、スピンドル92の一端に取付けられた弁吊金具93を、仕切弁2の弁棒部16の上端部に被せ、弁蓋上部ねじ17を利用して、弁吊金具93と弁蓋14とを固定し、弁本体部11とスピンドル92とを接続する。
【0048】
次いで
図8に示すように、分割式取付部材31の上部に円筒部材61を載せて、分割式取付部材31の大径鍔部41と、円筒部材61の下部フランジ62とをボルト・ナット64で締結して、分割式取付部材31と円筒部材61とを固定する。また、挿入孔75にスピンドル92を通した上部カバー71を円筒部材61の上部に載せて、円筒部材61の上部フランジ63と、上部カバー71のフランジ72とをボルト・ナット73で締結して、円筒部材61と上部カバー71とを固定する。さらに、スピンドル92の先端に支持板94を固定し、レバーホイスト95を取付け、適度な張力でチェーンを張っておく。尚、円筒部材61、上部カバー71及び弁吊移動工具91を予め組み立てて一体化させておき、分割式取付部材31の上部に円筒部材61等を一括して固定するようにしてもよい。これにより、作業現場での作業性を大きく向上させることができる。
【0049】
そして、作業ケース30の内部空間に、空気弁105で内部空間から空気を排出させながら水等の流体を導入して、作業用ケース30の各接続部分から流体の漏洩がないことを確認しつつ、作業用ケース30内の圧力を流体管1、1’の管路内の圧力と略同等に調整する。尚、前述した第2分割体80と分割式取付部材31との固定作業後の漏洩確認を省略して、作業用ケース30全体の接続を完了させた後にのみ各接続部分から流体の漏洩がないことを確認するようにしてもよい。
【0050】
次に、
図9(b)に示すように、作業用ケース30外から固定ボルト52を所定量回転操作して、固定ボルト52の傾斜部53を弁蓋フランジ13から離間させる方向に移動させることで、管路部本体3と弁本体部11と密封状態を緩和させて、管路部本体3と弁本体部11との隙間から管路部本体3内の流体を作業用ケース30内に導く。これにより、管路部本体3内と作業用ケース30内の圧力が同等に調整される。
【0051】
そして、固定ボルト52を更に回転操作して、傾斜部53を弁蓋フランジ13から離間させる。その後、弁吊移動工具91のレバーホイスト95を操作してチェーンを徐々に緩めると、スピンドル92は水圧で押上げられて移動し、弁本体部11を作業弁26よりも上側の上部空間Dまで引き上げる。この際、弁本体部11と管路部本体3を密封するパッキンが残置される場合がある。そのパッキンの除去用として、特に図示しないが、分割式取付部材31の筒部40に密封された透明アクリル等製の窓を設け、また、密封状に棒状部材が、作業ケース30外から、作業ケース30内に挿入できるようにして、パッキンを取り外すようにしてもよい。
【0052】
また、作業弁26を円筒部材61内に進出させることで、作業用ケース30の内部空間を上部空間Dと下部空間Eとに分断し、下部空間Bを密封状に閉塞する。これにより、作業用ケース30の内部空間が上部空間Dと下部空間Eとに分断されることになり、下部空間Eを密封状に保ちつつ、上部空間Dを開放することができるようになる。
【0053】
そして、図示しない排出バルブを介して、上部空間D内の流体を作業用ケース30外部に排出する。その後、上部カバー71と円筒部材61とを接続するボルト・ナット73を外し、上部カバー71、弁吊移動工具91ともに、弁本体部11を撤去する。
【0054】
なお、実施例1の管路部フランジ6の形状は、小判形であったが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではない。たとえば、実施例1の分割式取付部材31の封止部36は、管路部フランジ6の形状に合わせて小判形としていたが、
図10に示すように、楕円型の管路フランジ102、弁蓋フランジ103を有する仕切弁101の場合には、管路フランジ102、弁蓋フランジ103の形状に合わせて、分割式取付部材107の封止部109の形状も小判形に構成することができる。さらに、小判形、楕円形に限らず、
図11の仕切弁111のような略矩形形のフランジ形状115、116にも適用することができる。
【0055】
また、
図10のように首部104の長さが短い場合、すなわち管軸A−Aからの管路フランジ102の下面位置の寸法Mがフランジ108、108’の半径寸法Rより小さい場合には、分割式取付部材107は、管路部フランジ102の周方向に4分割の分割体に分割可能に構成することもできる。分割数は、偶数に限らず奇数の分割数にしてもよい。さらに、分割式取付部材107の封止部109の外壁の管軸方向(A−A方向)の幅寸法Nは、仕切弁に面する側のフランジ108とフランジ108’の面間寸法Lより小さく構成することで、首部の長さMが短い場合であっても、本発明の分割式取付部材を適用することができる。このように、分割式取付部材は、種々の弁装置の形状を適合させることができ、本発明の作業用ケースを種々の弁装置に装着することができる。
【実施例3】
【0063】
実施例3に係る弁体撤去装置及び弁体撤去方法につき、
図14を参照して説明する。実施例1及び実施例2に係る弁体撤去装置及び弁体撤去方法は、長尺の作業用ナットを使用するものであったが、実施例3に係る弁体撤去装置及び弁体撤去方法は、作業用ナットを使用しない点で、実施例1及び実施例2と相違する。以下、実施例1及び実施例2の弁体撤去装置及び弁体撤去方法と重複する説明は省略する。
【0064】
図14の仕切弁151において、分割式取付部材152の分割片を管路部フランジ153の径方向外側から被せて、ボルト・ナット(図示せず)により分割式取付部材152を一体に組立てる。次に、保持手段の固定ボルト159を回動させて、固定ボルト159を弁蓋フランジ154の上面に当接させて、弁蓋フランジ154を動かないように固定する。また、分割式取付部材152の下部には、管路部フランジ153の下面に接触し、固定する支持部材が設けてあるため、強固に固定される。
【0065】
次に、管路部フランジ部153と弁蓋フランジ154を接続している既設ボルト・ナット156を一本ずつまたは所定本数ずつ作業用ボルト157に交換する。さらに、管路部本体の首部160に2分割された略小判形の支持部材158を取付け、作用ボルト157の下端を支持する。
【0066】
次いで、実施例1の
図8、
図9と同じように、分割式取付部材152の上に円筒部材61、上部カバー71及び弁吊移動工具91を組立て、実施例1と同じ手順で、弁体を撤去できる。また、この場合、掘削の深さは、流体管半分ぐらいまでとして、支持部材158の底面を掘削地面の間にジャッキなどを入れて、水平を出し、確実に作業用ケースや水などの重量を支持させるようにしている。
【0067】
実施例3に係る弁体撤去装置及び弁体撤去方法は、作業用ナットを使用せずに弁体を撤去できるので、作業ケース内に設置された作業ナットの取付け、取外し等の手順を省略できるので、作業時間を短縮できる。
【0068】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0069】
たとえば、実施例3の
図14においては、管路部本体の首部に2分割された外形小判形の支持部材158を取付け、作業用ボルト157の下端を支持するようにしている。しかし、これに限らず、
図15のように、別体の支持部材164を複数、第1分割体163の下端にネジ等で固定してもよい。この場合、支持部材164は、ボルト挿通孔を密封する作業用軸169を併せ持っている。
【0070】
また、実施例1から実施例3の第1分割体としての分割式取付部材は、管路部フランジ6の周方向に分割されている。しかし、これに限らず、
図16のように、分割式取付部材142は、一体に形成された円筒部143と周方向に4分割された押輪144とから構成することもできる。円筒部143の下端の溝部に密封部材147を嵌込み、弁軸の軸線方向から、円筒部143を管路部フランジ145の外周に嵌め込む。次いで、管路部フランジ145の周方向に4分割された押輪144を管路部フランジ145の径方向から円筒部143に組立て、密封部材147を押圧し、円筒部143と押輪144とをボルト149により一体に結合する構成とすることもできる。
【0071】
また、本実施例では、密封部材として、パッキン等を使用しているが、これに限らず、液状パッキンを使用してもよい。
【0072】
また、本発明では弁装置は、仕切弁としているが、バタフライ弁、切換弁、ボールバルブ、プラグなどでも良い。