(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つのステージI薬剤、ステージII薬剤及びステージIII薬剤が、それに組み込まれた/カプセル化された治療組成物をさらに含む、請求項1記載の複合体。
ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤を検出する画像配信装置によって作成された情報を分析するソフトウェアモジュールをさらに含む、請求項15記載のキット。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念の普遍的なマルチモーダルターゲティング並びに治療システムを図示する。
【
図2】
図2は、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念の連続送達可能な複合可能製剤を例示する。
【
図3】
図3は、増幅が造影剤イメージングのペネトレーションを向上させることをグラフで図示する。
【
図4】
図4は、組織1mm
3の出力放散対周波数をグラフで図示する。
【
図5】
図5は、加熱時間対周波数をグラフで図示する。
【
図6A】
図6Aは、1個のターゲティングリポソームの1段階増幅をグラフで図示する。ターゲティングリポソーム(ステージI薬剤)を黒色で示す。
【
図6B】
図6Bは、1個のターゲティングリポソームの増幅の第2ステージをグラフで図示する。1個のターゲティングリポソームを黒色で示し、9個の接着増幅リポソーム(ステージII薬剤)を灰色で示す。最終的な接着クラスターを形成する28個のイメージングリポソーム(ステージIII薬剤)を白抜きの円として示す。
【
図7a】
図7aは、シグナルの大きさとマイクロバブルの結合との間の関係を証明する用量反応曲線を示す。
図7bの表は、BIACORE(商標)X100光バイオセンサーを使用するマイクロバブルの多段階増幅を要約する。
【
図7b】
図7aは、シグナルの大きさとマイクロバブルの結合との間の関係を証明する用量反応曲線を示す。
図7bの表は、BIACORE(商標)X100光バイオセンサーを使用するマイクロバブルの多段階増幅を要約する。
【
図8】
図8〜
図10は、多段階複合体in situのin vitroアセンブリを示す暗視野位相差顕微鏡の顕微鏡写真を含む。
図8は、ステージIの結合(すなわち、ターゲティング剤の結合)を示し、
図9は、ステージIIの結合(すなわち、増幅剤の結合)を示し、
図10は、ステージIIIの結合(すなわち、イメージング剤の結合)を示す。
【
図9】
図8〜
図10は、多段階複合体in situのin vitroアセンブリを示す暗視野位相差顕微鏡の顕微鏡写真を含む。
図8は、ステージIの結合(すなわち、ターゲティング剤の結合)を示し、
図9は、ステージIIの結合(すなわち、増幅剤の結合)を示し、
図10は、ステージIIIの結合(すなわち、イメージング剤の結合)を示す。
【
図10】
図8〜
図10は、多段階複合体in situのin vitroアセンブリを示す暗視野位相差顕微鏡の顕微鏡写真を含む。
図8は、ステージIの結合(すなわち、ターゲティング剤の結合)を示し、
図9は、ステージIIの結合(すなわち、増幅剤の結合)を示し、
図10は、ステージIIIの結合(すなわち、イメージング剤の結合)を示す。
【
図11】
図11は、ステージIのターゲティング及びステージIIの増幅のin vitroアセンブリを示す顕微鏡写真を含む。
【0012】
発明概念の詳細な説明
例示的な図面、実験、結果及び検査法によって本発明概念の少なくとも1つの実施態様を詳細に説明する前に、本発明概念は、その適用において、以下の説明に記載されるか、又は図面、実験及び/若しくは結果に例示される要素の構成並びに配置の詳細に限定されないと理解されるべきである。本発明概念は、他の実施態様であり得るか、又は様々な方法により実施若しくは実行され得る。そのため、本明細書において使用される言語は、最大限広い範囲及び意味を与えられることを意図する;及び、他の実施態様は、包括的ではなく例示的なものであることを意味する。また、本明細書において使用される語句及び専門用語は、説明を目的とするものであり、限定的なものとみなされるべきではない。と理解されるべきである。
【0013】
本明細書において特に定義されない限り、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者により一般に理解される意味を有する。さらに、文脈により特に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み得るし、複数形の用語は単数形を含み得る。一般に、本明細書において記載される細胞培養及び組織培養、分子生物学並びにタンパク質及びオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド化学及びハイブリダイゼーションに関連して利用される命名法並びに技術は、当技術分野において周知であり、通常使用されるものである。標準的な技術が、リコンビナントDNA、オリゴヌクレオチド合成並びに組織培養及びトランスフォーメーション(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に使用される。酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様書に従って、あるいは当技術分野において一般に行われるように若しくは本明細書において記載されるように実施される。前述の技術及び手順は、一般に、当技術分野において周知の従来法に従って、また本明細書を通じて引用され、記述される様々な一般的な文献及びより専門的な文献に記載されるように、実施される。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)及びColigan et al. Current Protocols in Immunology (Current Protocols, Wiley Interscience (1994))(これらは、参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。本明細書において記載される分析化学、有機合成化学並びに医薬品化学及び薬化学に関連して利用される命名法、並びにそれらの検査法及び技術は、当技術分野において周知であり、当技術分野において通常使用されるものである。標準的な技術が、化学合成、化学分析、医薬品製造、製剤化及び送達、そして患者の処置に使用される。
【0014】
本明細書において言及されるすべての刊行物及び特許出願は、本発明が属する分野の当業者の技術レベルを示す。すべての刊行物及び特許出願は、個々の各刊行物又は特許出願が、参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されたのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
本明細書において開示されるか、又は特許請求の範囲に記載されるすべての組成物及び/又は方法は、本開示を考慮して、過度の実験をせずに作製及び実行できる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施態様によって説明したが、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱せずに本明細書において記載される組成物及び/又は方法に対して、並びに方法の工程若しくは一連の工程において、変形を適用できることは当業者に明らかであろう。当業者に明らかなこのような類似の置換及び改変は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明概念の精神、範囲及び概念内にあるとみなされる。
【0016】
本開示に従って利用される場合、以下の用語は、特に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:
【0017】
「a」又は「an」という用語の使用は、特許請求の範囲及び/又は明細書において「含む」と共に使用される場合、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つまたそれ以上」という意味とも一致する。本開示は、選択肢にのみ言及する定義と「及び/又は」とをサポートするが、特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、選択肢にのみ言及することが明らかに意図されない限り、又は選択肢が相互排他的ではない限り、「及び/又は」を意味するのに使用される。本出願を通して、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するのに使用されている装置、方法に固有の誤差変動、又は研究対象間に存在する変動を含むことを示すのに使用される。「少なくとも1つ」という用語の使用は、1及び1を超える任意の数量(限定されないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含む)を含むと理解される。「少なくとも1つ」という用語は、それが付けられる用語に応じて、100若しくは1000又はそれ以上まで拡大され得る;加えて、より大きな上限も満足のいく結果をもたらし得るので、100/1000の数量は、限定的なものとはみなされない。
【0018】
「約」という用語は、ある値が、その値を決定するのに使用されている装置、方法に固有の誤差変動、及び/又は研究対象間に存在する変動を含むことを示すのに使用される。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される「含む(comprising)」(及び「comprise」及び「comprises」などのcomprisingのあらゆる形)、「有する(having)」(及び「have」及び「has」などのhavingのあらゆる形)、「含む(including)」(及び「includes」及び「include」などのincludingのあらゆる形)又は「含む(containing)」(及び「contains」及び「contain」などのcontainingのあらゆる形)という用語は、包含的又は非制限的であり、記載されていないさらなる要素又は方法の工程を排除するものではない。
【0020】
本明細書において使用される「又はそれらの組み合わせ」という用語は、その用語の前に挙げられた項目のすべての順列組み合わせを指す。例えば、「A、B、C又はそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABCの少なくとも1つ、及び特定の文脈において順序が重要である場合はBA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABも含むことを意図する。引き続きこの例では、明らかに含まれるものは、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1つ以上の項目又は用語の繰り返しを含む組み合わせである。当業者であれば、文脈から明らかではない限り、典型的には、いかなる組み合わせにおいても項目又は用語の数に制限はないことを理解するであろう。
【0021】
本明細書において使用される「複合可能製剤」という用語は、特定の手順に従って調製され、1つ以上の特定の用途に有用な成分の混合物を指すと理解される。本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念のある実施態様では、複合可能製剤の成分は、投与前に一緒に配合されない;むしろ、この成分は別々に準備され、製剤/複合体がin situで形成されるように逐次送達又は連続送達される。
【0022】
本明細書において使用される「薬剤」という用語は、被験体の管腔におけるターゲット及び/又は別の薬剤との相互作用のための1つ以上の結合部位をその上に有し得る表面を有する任意のビヒクルを指すと理解される。ある実施態様では、「薬剤」は、ベシクル、リポソーム、エコージェニックリポソーム、マルチモーダルエコージェニックリポソーム、マイクロバブル、マイクロバルーン、マイクロスフェア、マトリックス粒子、ミセル、凝集に基づく構築物、ナノ粒子、ペルフルオロカーボンナノ液滴、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。
【0023】
本明細書において使用される「造影剤」という用語は、イメージング分析中に器官又は組織を強調して分解能を向上させるのに使用される物質と理解される。造影剤は、メディカルイメージングにおいて、体内の構造物又は流体のコントラストを強調するのに使用される物質である。
【0024】
「ターゲティングされた造影剤」という用語は、それに付着したバイオマーカーを有する造影剤であって、バイオマーカーが造影剤をバイオマーカーが結合するターゲット部位に「ターゲティング」する造影剤を指す。
【0025】
本明細書において使用される「ターゲット」という用語は、管腔壁表面上に存在する任意の部分を指すと理解され、ターゲティング剤は、それに対して親和性を有するため、前記部分に結合できる。「ターゲット」は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、エピトープ、抗原、レセプター、複合体(すなわち、MHC−ペプチド複合体、及びそれらの組み合わせ又は誘導体であり得る。
【0026】
本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って使用される「結合部位」という用語は、別の物質/結合部位に対して結合親和性を有し、それと複合体を形成でき、それにより、2つの薬剤/ベシクル間の親和性を提供する任意の生体分子を指すと理解される。例えば、限定されないが、結合部位は、ペプチド、タンパク質、抗原、抗体、抗体フラグメント、レセプター、リガンド、複合糖質、及びそれらの組み合わせ又は誘導体であり得る。一実施態様では、「結合部位」は、相補対(例えば、限定されないが、ビオチン−アビジン、抗体−抗原など)の一方である。材料は、一般的には、アレルギー反応を引き出さないが、試験管腔内に通常見られない群から選択されるべきである。本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用され得る非ターゲティング結合部位(すなわち、予めターゲティングした薬剤若しくは薬剤複合体への増幅剤、イメージング剤及び/又は治療剤の結合に利用される下部構造結合部位)の例は、それらの対応するヒト化抗体に加えて、タンパク質(例えば、限定されないが、脳型クレアチニンキナーゼ(CKBB))、又は治療薬(例えば、限定されないが、カルバマゼピン、コルチゾール、トブラマイシン、テオフィリン、フェニトイン、バンコマイシン、ジギトキシン、ジゴキシン、ゲンタマイシン、フェノバルビタール、及びバルプロ酸)を含むが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書において使用される「ポリペプチド」という用語は、ネイティブなタンパク質、フラグメント、又はポリペプチド配列の類似物を指すための総称である。従って、ネイティブなタンパク質、フラグメント、及び類似物は、ポリペプチド属の種である。
【0028】
本明細書において使用される「レセプター」という用語は、1つ以上の特定の種類の分子(すなわち、リガンド)が付着し得る生体分子を含むと理解される。一実施態様では、「レセプター」という用語は、ターゲティングされるべき器官/組織の管腔壁表面上で発現しており、循環ターゲティング剤との相互作用を可能にする様式で曝露されているリガンド、任意のペプチド、タンパク質、糖タンパク質、ポリ炭水化物、又は脂質を指す;すなわち、前記実施態様では、「レセプター」は、本明細書において上記に詳細に記載される「ターゲット」として機能する。しかしながら、当技術分野において公知であるか、あるいは当業者によって企図される任意のレセプターは、本明細書において上記に記載されるように、「結合部位」として機能し得ると理解されるべきである。
【0029】
本明細書において使用される「天然に存在する」という用語は、対象に適用される場合、対象が自然界に見出され得るという事実を指す。例えば、自然界の供給源から単離することができ、研究者によって又は他の方法によって意図的に改変されていない生物(ウイルスを含む)中に存在するポリペプチド配列又はポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
【0030】
「抗体」又は「抗体ペプチド」は、インタクトな抗体、又は特異的結合に関してインタクトな抗体と競合するその結合フラグメントを指す。「抗体」という用語は、広い意味で使用され、それらが所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異的抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2及びFv)を明確に包含する。抗体(Ab)及び免疫グロブリン(Ig)は、同じ構造特性を有する糖タンパク質である。抗体は、特定の抗原に対する結合特異性を示すが、免疫グロブリンは、抗体及び抗原特異性を持たない他の抗体様分子の両方を含む。抗体結合フラグメントは、リコンビナントDNA技術、又はインタクトな抗体の酵素的若しくは化学的な切断によって製造される。結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、及び一本鎖抗体を含む。「二重特異性」又は「二機能性」抗体以外の抗体は、その結合部位のそれぞれが同じであると理解される。
【0031】
「キメラ」抗体は、少なくとも2つの異なる供給源に由来する要素から構成される抗体を指す。ある実施態様では、キメラ抗体は、第1の種に由来する抗体の一部を別の分子(例えば、第2の種に由来する抗体の一部)に融合させたものを含む。このようなある実施態様では、キメラ抗体は、非ヒト動物に由来する抗体の一部をヒトに由来する抗体の一部に融合させたものを含む。このようなある実施態様では、キメラ抗体は、非ヒト動物に由来する抗体の可変領域の全部又は一部をヒトに由来する抗体の定常領域に融合させたものを含む。
【0032】
抗体が、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用され、ヒトに投与される場合、前記抗体は、それに対する免疫反応の誘導を防ぐために、「ヒト化」され得る。「ヒト化」抗体は、それがヒト抗体に(アミノ酸配列において)より厳密に適合するように改変された非ヒト抗体を指す。ヒト化抗体は、その抗原性部分が除去され、その結果、ヒト抗体の部分と同様に置換されるが、所望のエピトープに対する抗体の親和性は保持されるように操作されている。この操作は、数個のアミノ酸のみに関与し得るか、又は抗体のフレームワーク領域、可変領域及び/若しくは相補性決定領域(CDR)の一部又は全体を含み得る。従って、ヒト化抗体は、キメラ抗体の一種である。抗体をヒト化する多くの方法が当技術分野において公知であり、2001年1月30日にQueen et alによって発表されたUS Patent Nos. 6,180,370; 2000年4月25日にBrickellによって発表された6,054,927; 1999年2月9日にStudnickaによって発表された5,869,619; 1999年1月19日にLinによって発表された5,861,155; 1998年1月27日にRodriquez et alによって発表された5,712,120; 1993年7月6日にWinterによって発表された5,225,539;及び1989年3月28日にCabilly et alによって発表された4,816,567(これらの明細書はすべて、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる)に開示されている。加えて、ヒト化抗体の作製又は使用に関する多くの公開された論文が先行技術にある。例えば、限定されないが、Sandborn et al., Gatroenterology, 120:1330 (2001); Mihara et al., Clin. Immunol. 98:319 (2001); Yenari et al., Neurol. Res. 23:72 (2001); Morales et al., Nucl. Med. Biol. 27:199 (2000); Richards et al., Cancer Res. 59:2096 (1999); Yenari et al., Exp. Neurol. 153:223 (1998);及びShinkura et al., Anticancer Res. 18:1217 (1998)(これらはすべて、その全体が参照により明示的に組み込まれる)などのこれらの研究の多くは、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念と共に利用され得るプロトコールの有用な例を教示している。本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、完全ヒトモノクローナル抗体の使用をさらに含む;完全ヒトモノクローナル抗体を提供する方法は当技術分野において周知であり、例えば、限定されないが、以下に記載されている:U.S. Patent Nos. 5,545,807; 5,545,806; 5,569,825; 5,625,126; 5,633,425; 5,661,016; 5,916,771; 5,939,598; PCT publication WO 94/02602;並びにKozbor, et al., Hybridoma, 2:7 (1983); Cole, et al., PNAS 82:859 (1985) Cote, et al., PNAS 80:2026 (1983); Cole, et al., (1985); Marks et al., J Biol. Chem. 267:16007 (1992); Lonberg et al., Nature, 368:856 (1994); Morrison, 1994; Fishwild et al., Nature Biotechnol. 14:845 (1996); Neuberger, Nat. Biotechnol. 14:826 (1996);及びLonberg and Huszar, Int Rev Immunol. 13:65 (1995)の非特許文献。
【0033】
しかしながら、本発明概念は上記プロトコールに限定されず、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体を製造する他のプロトコールが当業者公知であり、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用され得ると理解されるべきである。
【0034】
「有効量」という用語は、本発明概念の方法で使用した場合に、合理的なリスク対効果比に見合っており、過度の有害な副作用(例えば、毒性、炎症及びアレルギー反応)を伴わずに検出可能な治療効果を示すのに十分な生物活性分子若しくはコンジュゲート又はそれらの誘導体の量を指す。治療効果は、例えば、限定されないが、望ましくない組織又は悪性細胞の成長を阻害することを含み得る。被験体のための有効量は、被験体の種類、被験体のサイズ及び健康、処置されるべき病態の性質及び重症度、投与方法、処置期間、併用している治療法の性質(もしあれば)、使用した特定の製剤などに依存するであろう。従って、正確な有効量を予め特定することは不可能である。しかしながら、当業者であれば、本明細書において提供される情報に基づいて、定型的な実験を使用して、所定の状況のための有効量を決定し得る。
【0035】
「と共に」という語句は、本明細書において記載される1つ以上の薬剤の使用に関連して使用される場合、薬剤が、生物に対するそれらの生理学的活性及び/又は結合において、少なくともいくつかの時間的なオーバーラップが存在するように投与されることを示す。このようにして、薬剤は、連続投与され得る。連続投与では、2番目に投与される薬剤が投与され、及び/又は生物内で活性化する際に、最初に投与される薬剤が生物に対していくつかの生理学的効果を発揮し、及び/又は生物に結合したままである限り、2番目の部分の投与前に、いくつかの実質的な遅れ(例えば、分、あるいは時間又は日)があってもよい。
【0036】
本明細書において使用される「投与」又は「投与する」という用語は、経口経路、局所経路、経皮経路、非経口経路、皮下経路、鼻腔内経路、粘膜経路、筋肉内経路及び静脈内経路(局所適用及び全身適用の両方を含む)を含むが、これらに限定されない当技術分野において公知のすべての投与経路を含むと理解される。加えて、投与方法は、当技術分野において周知の製剤化技術を使用して、遅延放出又はコントロール放出を提供するように設計され得る。
【0037】
本明細書において使用される「管腔」という用語は、生物学的な管状構造の内部空間を指すと理解される。本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用される管腔の例は、血管腔、脊髄腔、リンパ管内腔などを含むが、これらに限定されない。
【0038】
「薬学的に許容しうる」という用語は、合理的なリスク対効果比に見合っており、過度の有害な副作用(例えば、毒性、炎症及び/又はアレルギー反応)を伴わないヒト及び/又は動物への投与に適切な化合物並びに組成物を指す。
【0039】
本明細書において使用される「実質的に純粋」は、対象の種が、存在する優勢種である(すなわち、モルベースで、組成物中の任意の他の個々の種よりも豊富である)ことを意味し、好ましくは、実質的に精製された画分は、対象の種が存在するすべての高分子種の少なくとも約50%(モルベースで)を構成する組成物である。一般的に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在するすべての高分子種の約80%超、より好ましくは約85%超、90%、95%、及び99%を構成する。最も好ましくは、対象の種は、本質的な均一性へと精製され(汚染物質種は、従来の検出方法によって組成物中に検出され得ない)、この組成物は、本質的に単一の高分子種からなる。
【0040】
「ガン」及び「ガン性」という用語は、典型的には、レギュレーションされない細胞成長により特徴付けられる、哺乳動物における生理学的条件を指すか、又は記載する。ガンの例は、ガン腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病を含むが、これらに限定されない。このようなガンのより具体的な例は、扁平上皮細胞ガン、小細胞肺ガン、非小細胞肺ガン、胃腸ガン、膵臓ガン、神経膠芽腫、頸部ガン、卵巣ガン、肝臓ガン(liver cancer)、膀胱ガン、肝細胞ガン(hepatoma)、乳ガン、結腸ガン、結腸直腸ガン、子宮内膜ガン腫、唾液腺ガン腫、腎臓ガン(kidney cancer)、腎ガン(renal cancer)、前立腺ガン、外陰部ガン、甲状腺ガン、肝臓ガン腫(hepatic carcinoma)、及び様々な種類の頭頸部ガンを含む。
【0041】
本明細書において使用される「転移」という用語は、ガンが原発腫瘍から体の他の部分に広がることを指すと理解される。転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍から分離し、基底膜及び細胞外マトリックスを通じて移動し、リンパ系及び/又は血液系に侵入する連続的な多段階プロセスである。この後、二次腫瘍が遠隔部位に形成される。
【0042】
本明細書において使用される「抗ガン剤」という用語は、ガン細胞の機能を阻害できる分子又は分子の複合体を指す。この薬剤は、増殖を阻害し得るか、又は細胞に対して毒性であり得る。様々な抗ガン剤を使用でき、タンパク質合成を阻害するもの、及び細胞の成長又は生存に不可欠な特定の遺伝子の発現を阻害するものを含む。抗ガン剤は、細胞死をもたらすもの、及び細胞の成長、増殖及び/又は分化を阻害するものを含む。一実施態様では、抗ガン剤は、特定の種類のガン細胞に対して選択的に毒性であり得るが、他の正常細胞に対しては影響を与えないか、又はあまり有効ではない。別の実施態様では、抗ガン剤は細胞を等しく殺傷し得るが、より急速に成長する細胞はより迅速に殺傷される。さらなる実施態様では、抗ガン剤は、抗腫瘍剤である。
【0043】
「抗腫瘍剤」という用語は、本明細書において、ヒト若しくは動物における新生物、特に悪性(ガン性)病変(例えば、ガン腫、肉腫、リンパ腫、又は白血病)の発生又は進行を阻害する機能特性を有する薬剤を指すのに使用される。転移の阻害は、抗腫瘍剤の特性であることが多い。
【0044】
本明細書において使用される「患者」という用語は、ヒト及び動物の被験体を含む。処置目的の「哺乳動物」は、ヒト、家庭動物及び農業動物、非ヒト霊長類、並びに乳房組織を有する任意の他の動物を含む、哺乳動物と分類される任意の動物を指す。
【0045】
本明細書において使用される「健康患者」という用語は、処置に供されるべき別の患者において研究されている疾患/病態/障害を持たない患者を指すと理解される。
【0046】
本明細書において使用される「処置する」又は「処置」という用語は、症状の重症度及び/又は頻度の軽減、症状及び/又は根本原因の除去、症状及び/又はその根本原因の発症の予防、並びに損傷の改善又は修復を指す。従って、この用語が本明細書において使用される場合、患者又は個体を「処置」する本方法は、易罹患性の個体における障害の予防、症状の発症の減少、及び臨床的な症状がある個体における障害の処置のいずれも包含する。
【0047】
「障害」は、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念の組成物による処置から恩恵を受け得る任意の病態である。これは、哺乳動物を問題の障害に罹患しやすくさせる病的状態を含む慢性及び急性の障害又は疾患を含む。
【0048】
本明細書において使用される「ガンを処置する」又は「ガンの処置」という用語は、ガンが広がるのを阻害すること、腫瘍サイズを減少させること、体内のガン細胞数を軽減若しくは減少させること、及び/又はガンに関連する症状を改善若しくは緩和することを意味する。死亡率及び/若しくは罹患率の減少、又は体内の悪性細胞数の減少によって証明された疾患負荷の減少がある場合、処置は治療的であると考えられる。
【0049】
「ガンを予防する」又は「ガンの予防」は、ガンの疾患状態の発症又は再発を予防することを意味することを意図する。そのため、転移、腫瘍成長、若しくはガン増殖を遅らせるか、阻害するか、又は妨げる処置は、予防的であるとみなされる。
【0050】
本明細書において使用される「ガンを管理する」という用語は、ガンに罹患している患者におけるガンの再発の機会を減少させること、患者が寛解の状態であり続ける時間を長くすること、ガンに罹患するリスクがある患者(例えば、大量の放射線又は発ガン性物質に曝露された患者;ガンの発症に関連するウイルスに感染した患者;及びガンに対する遺伝的な易罹患性を有する患者)におけるガンの発症を減少させること、及び前悪性又は非悪性ガンに罹患している患者における悪性ガンの発症を減少させることを包含する。
【0051】
治療有効量又は予防有効量の投与は、疾患/障害/病態(例えば、限定されないが、ガン)の処置、予防又は管理の治療効果を提供することを意図する。治療的に有効である具体的な量は、通常の医師によって容易に決定され得、当技術分野において公知の要因(患者の病歴及び年齢、疾患/障害/病態の種類及び段階、他の治療組成物の同時投与など)に応じて変化し得る。
【0052】
本明細書において使用される「ソノポレーション」という用語は、細胞原形質膜の透過性を改変するために、音波(典型的には、超音波周波数)を使用することを指すと理解される。この技術は、通常、細胞への大きな分子(例えば、DNA)の取り込みを可能にし、それにより、細胞への遺伝子又は薬物の送達を促進するために、分子生物学及び非ウイルス性遺伝子治療において使用される。ソノポレーションは、これらの大きな分子の送達を促進するために、マイクロバブルの音響キャビテーション(すなわち、大きな力及びその即時の内破によって、液体中に空のキャビティを形成すること)を使用する。加えて、低周波数(<MHz)超音波を長期間照射することにより、完全な細胞死(破裂)がもたらされることが実証されている。
【0053】
本明細書において使用される「音響放射力」という用語は、音波とその経路に沿って置かれた障害物との相互作用に起因する物理現象を指すと理解される。一般的には、障害物に与えられる力は、障害物の移動をもたらすであろう。音響放射力は、自由に流れている造影剤を内皮に向けて移動させ、それにより、ターゲット表面への造影剤の接着を促進するメカニズムとして利用される。
【0054】
本明細書において使用される「エコージェニックリポソーム」という用語は、ガスを含むリポソームを指すと理解される;エコージェニックリポソームは、高周波数音波を反射するため、超音波技術によってイメージングされ得る。音響放射力は、エコージェニックリポソームを内皮に向けて移動させ、それにより、ターゲット表面へのそれらの接着を促進するのに利用され得る。マイクロバブルは、ペルフルオロカーボンがキャビティ全体に充填されたエコージェニックリポソームの一種である。
【0055】
本明細書において使用される「アブレーション」という用語は、治療のために組織を正確にターゲティング(すなわち、組織の除去又は破壊)するために、高密度焦点式超音波を使用することを指すと理解される。超音波アブレーション技術の使用は、Halpern (2005)に詳細に記載されている。簡単に言えば、高密度焦点式超音波(HIFU)アブレーションによる組織破壊のメカニズムは、温熱療法及びキャビテーションに関係している。診断イメージングにおいて使用されているように、低密度超音波エネルギーは、害を及ぼさずに組織を伝搬する。高密度焦点式超音波アブレーションは、体外の超音波源を特定のターゲット組織に焦点を合わせる。超音波エネルギーは、しっかり焦点を合わせられたターゲット領域に向かう途中で、害を及ぼさずに上に横たわる組織を通過する。ターゲット組織における急速なエネルギー付与は、熱放速度をはるかに上回り、急速な温度上昇をもたらす。他の熱アブレーション技術は、隣接組織への熱放によって制限されるが、高密度超音波アブレーション(0.5〜1.0秒)を用いて超音波エネルギーを急速に焦点を合わせて付与することにより、局所キャビテーション及び65°〜100℃の温度がもたらされ、隣接組織はほとんど加熱されない。1秒間に56℃超の温度は、不可逆的な細胞死をもたらし、組織壊死の領域がはっきり見える。リアルタイムの超音波又は磁気共鳴映像法ガイダンスを使用することによって、高密度焦点式超音波を用いて病変に焦点を合わせ、正確にターゲティングする能力は、周囲の構造を損傷させずに、任意の形状の病変を正確にアブレーションすることを可能にする。
【0056】
次に本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に移ると、ターゲティングされたマイクロバブルは、造影剤の使用に対して特異性の増大を提供する重要かつ新たな超音波分子イメージング及び治療ツールである。多くの疾患状態(例えば、限定されないが、ガン、炎症及び血栓症)は、血管腔表面上における固有のタンパク質発現を有する。造影剤に付着したバイオマーカーの使用は、特定の部位において造影剤の蓄積を増大させ、それにより、当該部位において有効なシグナルを増加させる;加えて、ターゲティングされた造影剤の使用は、造影剤が排除される割合を減少させ、それにより、イメージングの有用な臨床濃度範囲を増加させる。しかしながら、ターゲティングされた造影剤の先行技術の現状には、感度制限の不利点がある:この技術は、利用可能な結合部位の数(すなわち、結合部位1つあたり1個のターゲティングされたイメージング剤)によって制限される。加えて、音響放射力(典型的には、接着率を2倍にする)を加えても、典型的な接着率は低いため(1マイクロリットルあたり約10個のバブル)、結合は、ターゲティングされた造影剤と管腔上の部位との相互作用によって制限される。
【0057】
ターゲティングされた超音波造影剤は、疾患に対して良好な特異性を示すが、疾患状態の診断は、イメージング技術によって達成可能な感度によって制限される。造影剤が特定の部位をターゲティングする場合、それらは、管腔の内皮表面上の利用可能な結合部位の数に制限されるため、1つの結合部位は、1個のマイクロバブルの結合を可能にするだけである。加えて、マイクロバブルと内皮表面上の部位との相互作用は、管腔を通る血流により作られる剪断力によって制限される;従って、マイクロバブルは、それが接触しない表面に結合できない。従って、マイクロバブル及び超音波を利用する先行技術の方法は、1マイクロリットルあたり約10個のマイクロバブルという典型的な結合レベルをもたらす。先と同様に、結合部位1つあたり1個のイメージングベシクルに制限される他のイメージングモダリティでも同様の制限が見られるため、イメージングベシクル数は、利用可能な結合部位の濃度によって決定される。
【0058】
先行技術のさらなる技術的な制限が、イメージング装置にある:深度及び周波数に依存する減衰は超音波で見られ、高出力イメージングでは、高ピークの陰圧はマイクロバブルの破裂をもたらす。
【0059】
本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、ターゲット部位からのシグナルを増加させることによって、先行技術のこれらの不利点及び欠点を克服する。これは、具体的には、結合したマイクロバブル(又は、他のビヒクル剤)の数を有意に増加させ、それにより、ターゲティングされたイメージング感度の有意な改善を提供することによって達成される。
【0060】
加えて、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念の強化されたターゲティング及び増幅機能は、超音波治療(例えば、限定されないが、指定の組織の加熱、ソノポレーション及びアブレーション)をより効率的に使用するために、適切な数のマイクロバブル(又は、他のビヒクル剤)を送達することを可能にする。組織の所定領域におけるターゲティングされたマイクロバブルの数を増加させることにより、ターゲティングされた音響エネルギーによって媒介される治療が可能になる。組織の領域における十分な数のバブルは、インソネーションされた領域における音響エネルギーの熱への変換を、周囲組織による通常の熱吸収よりも多い程度まで増加させるであろう。マイクロバブルの超音波吸収単位は、正常組織の超音波吸収単位よりも大きい。しかしながら、十分な超音波エネルギー吸収が起こって高熱が誘導されるのは、高濃度のマイクロバブルが局所領域にある場合のみである。次いで、組織の広範な領域をインソネーションすることができ、ターゲティングされたバブルの濃度に基づくデファレンシャルな加熱効果が生じるであろう。従って、治療は、分子レベルのターゲティング及び指向性超音波エネルギーの組み合わせによって限局され得る。
【0061】
本明細書において使用される「十分な数のバブル」という用語は、限定されないが、バブルのサイズ、インソネーション(すなわち、超音波照射)周波数及び強度、並びに特定の適用方法などの要因に応じて変化すると理解される。例えば、限定されないが、ターゲティングされたイメージング剤の場合、ターゲティングバブル数の増加は、後方散乱信号を増加させ、信号対雑音比を改善する。所定体積内のターゲティングされたバブル数を2倍にすることにより、受け取る後方散乱音響信号が約2倍になるはずである。増幅もイメージングのペネトレーションを高め得る。この効果は、周波数の関数である。例えば、3MHzにおいて、ターゲティングされた造影剤の結合を2倍に増加させることにより、音響信号をさらに1cmペネトレーションすることが可能になるであろう(
図3を参照のこと)。別の非限定的な例では、音響エネルギーを熱エネルギーに変換するのにバブルを使用する治療用途において、周囲組織に対する音響エネルギーの本来の加熱効果に打ち勝つために、ターゲティングされたバブル数は、閾値を超えなければならない。約3マイクロメートルの平均気泡直径を用いたバブル及び組織の加熱効果の計算に基づくと、1マイクロリットルあたりおよそ20〜100個のバブルが、この効果を達成するのに必要とされる。より少数又はより多数のバブルが、上記リストの物理的要因に応じて必要とされ得る。ターゲティングされたアブレーションの場合、ターゲティングされたバブル数の増加は、より大きなアブレーション効果を引き起こすであろう。ターゲティングされた虚血の場合、毛細血管において実質的な閉塞を引き起こすのに十分な数のバブルが必要とされる。例えば、限定されないが、直径10マイクロメートルの毛細血管を用いて、及び3マイクロメートルのリポソームを使用して、2段階増幅が、約6〜8マイクロメートルの直径を有する赤血球の流れを有意に遮断するのに十分であり得る。マイクロバブルのサイズが増加するので、部分的な閉塞を得るのに必要な工程の数は減少する。また、一般的には、リポソームは、閉塞を最小限にするために、より小さな直径を有するであろう。
【0062】
組織を数度加熱することにより、永久的な組織損傷を引き起こさずに、薬物の活性及び血流量を増加させ得る。より高レベルの加熱は、治療上有用であり得る永久的な組織損傷を引き起こし得る。加熱の増加に加えて、ターゲティングされたバブル数の増加も、組織をアブレーションするか、若しくはソノポレーションを誘導するのに使用され得るキャビテーション又はバブル崩壊などの他の治療効果の増加につながり得る。ソノポレーションは、薬物及び遺伝子送達並びに治療的有用性の増加に関連する。
【0063】
超音波の使用に加えて、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、ターゲティング剤が管腔に限定されるという独自の特徴により、他のイメージングモダリティ(例えば、限定されないが、MRI及びPET)も改善する。
【0064】
本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、ターゲティングされた材料の数量制限を増幅によって克服する普遍的なマルチモーダルターゲティング及び治療システムを提供する(
図1及び
図2を参照のこと)。本開示の及び特許請求の範囲に記載のシステムは、イメージング用途及び治療用途の両方を有する。本システムの治療アームにより、かなり多くの治療薬(例えば、限定されないが、エネルギー、薬物及び/又は遺伝子)をターゲット部位に送達する新たな適用が可能になる。具体例は、ソノポレーション及び血液脳関門;炎症(すなわち、クローン病);ターゲティング及び指定された化学療法;様々な治療組成物の活性を熱で増加させること;ターゲティング及び指定されたアブレーションなどを含むが、これらに限定されない。
【0065】
図1及び
図2に図示されるように、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、管腔において曝露されたターゲットをイメージングにより検出するのに有用である連続送達可能な薬学的試薬の複合体であって、管腔で形成される複合体に関する。前記複合体は、ターゲットに結合する(ステージIの結合)少なくとも1つのターゲティング剤(本明細書において「ステージI薬剤」又は「ステージIベシクル」とも称される)複数の増幅剤(本明細書において「ステージII薬剤」又は「ステージIIベシクル」とも称される)、及び複数のイメージング剤(本明細書において「ステージIII薬剤」又は「ステージIIIベシクル」とも称される)、を含む。複数の増幅剤のそれぞれは少なくとも1つのターゲティング剤に結合し(ステージIIの結合)、複数のイメージング剤のそれぞれは少なくとも1つの増幅剤に結合する(ステージIIIの結合)。加えて、ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤の少なくとも1つはイメージングモダリティによって検出可能であり、それにより、ターゲットに結合した複合体の検出が可能になる。
【0066】
ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤は、超音波による検出及び/又は操作のためのガスを含み得る。加えて、ターゲティング剤、増幅剤及び/又はイメージング剤は、超音波以外のイメージングモダリティによって検出され得る材料を含み得る。さらに加えて、ターゲティング剤、増幅剤及び/又はイメージング剤は、それに組み込まれた/カプセル化された治療組成物をさらに含み得る。本明細書において下記により詳細に記載されるように、ステージI(ターゲティング)薬剤によりターゲティングすると、治療組成物は、送達、使用、放出、活性化、及び/又は励起され得る。前記放出/活性化/励起は、熱/超音波への曝露に反応して起こり得る。
【0067】
本明細書において利用される「治療組成物」という用語は、生物学的効果を発揮し、それにより、生物の生理系を改変する能力を有する任意の組成物を含むと理解される。「治療組成物」は、それ自体の機能性により生物学的に活性であり得るか、又は前記組成物は、それ自体が生物学的活性を有する分子を活性化又は阻害するその能力に基づいて、生物学的に活性であり得る。本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用され得る治療組成物の例は、薬物、小分子、核酸(DNA、RNA、siRNAなど)、タンパク質/ペプチド、コンジュゲート、ポリマー、ポリマーコンジュゲート、糖タンパク質、糖タンパク質コンジュゲート、ガス、エネルギー、及びそれらの組み合わせ又は誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0068】
ある実施態様では、これらの薬剤は、その上に少なくとも1つの結合部位が提供され、各結合部位は、相補対(例えば、限定されないが、ビオチン−アビジン、抗体−抗原、レセプター−リガンドなど)の一方である。ステージI(ターゲティング)薬剤は、第1の結合部位及び第2の結合部位を含み得るが、ステージII(増幅)薬剤は、少なくとも2つの結合部位(例えば、限定されないが、第3の結合部位及び第4の結合部位)を含み得る。増幅剤の少なくとも2つの結合部位は、同じものでもよく、異なるものでもよい。ステージIII(イメージング)薬剤は、少なくとも1つの結合部位(例えば、限定されないが、第5の結合部位)を含み得る。この例では、ターゲティング剤の第1の結合部位はターゲットと第1の結合複合体を形成し、ターゲティング剤の第2の結合部位は増幅剤の第3の結合部位と第2の結合複合体を形成し、増幅剤の第4の結合部位はイメージング剤の第5の結合部位と第3の結合複合体を形成する。一代替態様では、増幅剤の第3及び第4の結合部位は同じであり、ターゲティング剤の第2の結合部位及びイメージング剤の第5の結合部位に相補的である。別の代替態様では、ターゲティング剤の第2の結合部位は増幅剤の第4の結合部位と同じであり、それにより、ターゲティング剤の第2の結合部位もイメージング剤の第5の結合部位に結合して、第3の結合複合体を形成できる。
【0069】
ステージI(ターゲティング)薬剤は、ターゲット/疾患状態に固有のターゲティングリガンドを含む;しかしながら、増幅剤及びイメージング剤(すなわち、ステージII薬剤及びステージIII薬剤)は、自在であり得る。すなわち、ステージII薬剤及びステージIII薬剤の薬剤内容物並びにその上のリンカー/結合部位は、所定のイメージングモダリティに関して同じであり、ターゲット/疾患状態と無関係であり得る。ステージII薬剤及びステージIII薬剤は、利用されるイメージングモダリティと無関係の同じ相補対と連結し得る。加えて、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤は、マルチモーダルであり得るため、複数のイメージングモダリティに関連する成分(すなわち、超音波、MRI、CRなどの試薬の組み合わせ)を含み得る。
【0070】
別の代替態様では、複数のイメージング剤が利用され得る。この例では、ステージII薬剤は、2つ以上のステージIII薬剤のための結合部位が提供され得る;これらの結合部位は、両方のステージIII薬剤に結合する1つの結合部位であり得るか、又は利用されるべき異なるステージIII薬剤の数に基づいて、複数の異なる結合部位が提供され得る。
【0071】
ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤は、所定のステージに必要なリンカーによってのみ定義され、それらの内容物と無関係である(
図2を参照のこと)。換言すれば、この技術は、ハブ及びペグを含むティンカートイに似ている。ペグ(すなわち、リンカー)は、ステージを定義する;ハブは、いかなるものも含み得る。
【0072】
本明細書において上記に記載される結合部位は、別の物質に対して結合親和性を有し、それと複合体を形成でき、それにより、2つの薬剤/ベシクル間の親和性を提供する任意の生体分子であり得る。例えば、限定されないが、結合部位は、ペプチド、タンパク質、抗原、抗体、抗体フラグメント、レセプター、リガンド、複合糖質、及びそれらの組み合わせ又は誘導体であり得る。
【0073】
本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用され得るターゲット部位の具体例は、ICAM−1、P−セレクチン、MadCAM−1、VCAM−1(すなわち、炎症のターゲット);αvβ3インテグリン及びVEGFR2(当技術分野において、血管新生のターゲットとして公知である);及びGPIIb/IIIa(当技術分野において、血栓のターゲットとして公知である)を含むが、これらに限定されない。第1の結合部位として使用され得る例示的な抗体のリストは、以下の参考文献に見られ得る:Paul Carter, Nature Reviews Cancer, Vol. 1, pp. 118-129 (November 2001);この内容の全体が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0074】
別の実施態様では、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、管腔において曝露されたターゲットをイメージングにより検出するのに有用である連続送達可能な薬学的試薬の複合体であって、管腔で形成される複合体を対象とする。この複合体は、ステージI(ターゲティング)薬剤に付着した複数のステージII(増幅)薬剤を有する少なくとも1つのステージI(ターゲティング)薬剤を含み、少なくとも1つのステージI(ターゲティング)薬剤は管腔において曝露されたターゲットに結合する。前記複合体は、複数のステージIII薬剤をさらに含み得、複数のステージIII薬剤のそれぞれは、その表面上に曝露された少なくとも1つの結合部位であって、ステージII薬剤に結合するのための結合部位を含む。ステージIII薬剤上の少なくとも1つの結合部位も、少なくとも1つのステージI(ターゲティング)薬剤に結合し得る。
【0075】
また、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、連続送達可能な複合可能製剤を対象とする。前記製剤は、管腔において曝露されたターゲットに結合できるステージI(ターゲティング)薬剤を含む第1の投与可能な組成物、ステージII(増幅)薬剤を含む第2の投与可能な組成物、及びステージIII(イメージング)薬剤を含む第3の投与可能な組成物を含む。ステージII薬剤は、ステージI薬剤に対する親和性を有する第1の部分及びステージIII薬剤に対する親和性を有する第2の部分を含む。ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤は、イメージングモダリティによって検出可能であり、それにより、ターゲットに結合したターゲティング剤シグナルの増幅が可能になる。当該部分は、本明細書において上記に記載される結合部位を含む。
【0076】
さらに、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、被験体の体の強調画像を作成する方法を対象とする。前記方法は、本明細書において上記に記載される連続送達可能な複合可能製剤を被験体の体に投与する工程、及び前記体の少なくとも一部の超音波画像、磁気共鳴画像X線画像、又は放射線画像を作成する工程を含む。
【0077】
本明細書において上記又は下記に記載される方法のいずれかでは、連続送達可能な複合可能製剤は、以下のように投与され得る:最初に、第1の投与可能な組成物を前記体に投与し、その後、第2の投与可能な組成物を前記体に投与し、その後、第3の投与可能な組成物を前記体に投与する。ある実施態様では、第1の投与可能な組成物の投与後に、ステージI(ターゲティング)薬剤が管腔において曝露されたターゲットに結合すること、及び未結合のステージI薬剤が管腔から実質的にクリアランスされることを可能にする時間、体をインキュベーションする。次いで、第2の投与可能な組成物の投与後に、ステージII(増幅)薬剤がステージI薬剤に結合すること、及び未結合のステージII薬剤が管腔から実質的にクリアランスされることを可能にする時間、体をインキュベーションする。加えて、第3の投与可能な組成物の投与後に、ステージIII薬剤の結合、及び未結合のステージIII薬剤が管腔から実質的にクリアランスされることを可能にする時間、体をインキュベーションする。第1、第2及び/又は第3の投与可能な組成物のさらなる投与も、この方法に含まれ得る。
【0078】
「実質的なクリアランス」、「実質的な排除」及び「実質的なウォッシュアウト」という語句の使用によって、第2の薬剤の投与前に、すべての第1の薬剤を管腔/血流から除去する必要はないと理解される。むしろ、これらの語句は、十分なコントラストが見られ得、十分な信号対雑音比が提供されるように、十分な数の第1の薬剤が管腔/血流から排除/ウォッシュアウトされたことを単に示す。
【0079】
さらに、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、管腔におけるターゲットをイメージングするのに有用なキットを対象とする。前記キットは、本明細書において上記に記載される連続送達可能な複合可能製剤を含み得る。加えて、このキットは、ステージIII薬剤を検出する画像配信装置によって作成された情報を分析するソフトウェアモジュールをさらに含み得る。
【0080】
さらに、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、管腔におけるターゲットに結合したステージIII(イメージング)薬剤によって発生されたシグナルを検出するための装置を対象とする。この装置は、コンピューターシステム、及びステージIII薬剤を検出する画像配信装置を含み得る。コンピューターシステムは、アプリケーションモジュール及びプロセシングユニットを含む;アプリケーションモジュールは、画像配信装置によって作成された情報を分析するソフトウェアモジュールを含み、プロセシングユニットは、ソフトウェアモジュールを実行するように設定されている。画像配信装置によって検出されたステージIII薬剤は、ターゲットに結合した少なくとも1つのステージI(ターゲティング)薬剤及びステージI(ターゲティング)薬剤に結合した複数のステージII薬剤と複合体を形成する。ある実施態様では、画像配信装置は、ステージI薬剤/ステージII薬剤/ステージIII薬剤の複合体が結合した管腔のターゲットに指向性エネルギーを送達するエネルギー送達装置としても機能し得る。特定の実施態様では、画像配信装置/エネルギー送達装置は、超音波画像配信装置/超音波エネルギー送達装置であり得る。エネルギー送達装置は、音響放射力源としても働き得る。
【0081】
また、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、イメージングモダリティによって検出されたシグナル強度を増加させる方法を対象とする。この方法は、有効量のステージI(ターゲティング)薬剤を被験体に投与することを含み、ステージI薬剤は、被験体の系の中を移動し、被験体の管腔(すなわち、管腔壁)表面上に曝露されたターゲットに結合する。次いで、有効量のステージII(増幅)薬剤が被験体に投与され、複数のステージII薬剤は、ターゲットに結合したステージI薬剤に結合する。次いで、有効量のステージIII薬剤が被験体に投与され、ステージIII薬剤は、ステージI薬剤を介してターゲット部位に結合したステージII薬剤に結合する。次いで、ステージIII薬剤によって生成されたシグナルが、イメージングモダリティによって検出される。
【0082】
本明細書において上記及び下記に記載される方法のある実施態様では、薬剤(すなわち、ターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤/治療剤)の投与後に、方法が、非結合の薬剤が次の薬剤の投与前に管腔(すなわち、血流)から実質的に排除されるのを可能にする工程を含むことが望ましいかもしれない。
【0083】
さらに、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、被験体における病態/障害を診断する方法を対象とする。この方法では、本明細書において上記に記載されるステージI(ターゲティング)薬剤の有効量が被験体に投与される;ステージI薬剤は、病態/障害に特異的なターゲットに結合する結合部位を含み、ステージI薬剤は、被験体の系の中を移動し、被験体の管腔表面上に曝露された任意のターゲットに結合する。次いで、本明細書において上記に記載されるステージII(増幅)薬剤の有効量が被験体に投与され、複数のステージII薬剤は、ターゲット部位に結合したステージI薬剤に結合する。次いで、本明細書において上記に記載されるステージIII(イメージング)薬剤の有効量が被験体に投与され、ステージIII薬剤は、ステージI薬剤を介してターゲット部位に結合したステージII薬剤に結合する。次いで、ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤によって生成された任意のシグナルが1つ以上のイメージングモダリティによって検出され、シグナルが検出された場合に、被験体が病態/障害を有すると決定される。
【0084】
さらに、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、被験体における病態/障害を処置する方法を対象とする。前記方法では、本明細書において上記に記載されるステージI薬剤の有効量が被験体に投与される;ステージI薬剤は、病態/障害に特異的なターゲットに結合する結合部位を含み、ステージI薬剤は、被験体の系の中を移動し、被験体の管腔表面上に曝露された任意のターゲットに結合する。次いで、本明細書において上記に記載されるステージII薬剤の有効量が被験体に投与され、複数のステージII薬剤は、ターゲット部位に結合したステージI薬剤に結合する。次いで、ステージIII(治療)薬剤の有効量が被験体に投与され、ステージIII薬剤は、ステージI薬剤を介してターゲット部位に結合したステージII薬剤に結合する。ステージI薬剤、ステージII薬剤及びステージIII薬剤の少なくとも1つは、病態/障害を処置するのに有効であり得る治療剤を含む。複合体が形成されるとすぐに、ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤中に存在する前記治療剤は、病態/障害を処置するのに有効であり得る。あるいは、治療剤は、ターゲット部位への結合後に活性化され得、それにより、活性化された治療剤は、病態/障害を処置するのに有効である。
【0085】
さらに、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、治療組成物をターゲット部位に送達する方法を対象とする。前記方法では、本明細書において上記に記載されるステージI薬剤の有効量が被験体に投与される;ステージI薬剤は、病態/障害に特異的なターゲットに結合する結合部位を含み、ステージI薬剤は、系の中を移動し、被験体の管腔表面上に曝露された任意のターゲットに結合する。次いで、本明細書において上記に記載されるステージII薬剤の有効量が被験体に投与され、複数のステージII薬剤は、ターゲット部位に結合したステージI薬剤に結合する。次いで、有効量のステージIII薬剤が被験体に投与され、ステージIII薬剤は、ステージIII薬剤を介してターゲット部位に結合したステージII薬剤に結合する。治療組成物は、ステージI薬剤、ステージII薬剤及びステージIII薬剤の少なくとも1つの中に組み込まれる/カプセル化される。一実施態様では、治療組成物は、ターゲット部位に結合するとすぐに、ターゲット部位に送達される。あるいは、この方法は、ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤を活性化して、前記治療組成物を放出させ、それにより、組成物をターゲット部位に送達する工程をさらに含み得る。
【0086】
治療用途の例は、温熱療法;組織を数度加熱すること(これは、永久的な組織損傷を伴わずに、薬物の活性を増加させ得、及び/又は血流量を増加させ得る);治療的有用性のための永久的な組織損傷を引き起こすより高いレベルまで組織を加熱すること;キャビテーション及び/又は薬剤の崩壊を増加させること;組織アブレーション;ソノポレーション誘導;薬物及び遺伝子送達を増加させることなどを含むが、これらに限定されない。本明細書において下記にさらに詳細に記載されるように、別の治療用途は、血管組織の虚血/壊死の誘発を含む。
【0087】
本明細書において上記に記載されるイメージング方法のいずれかは、有効量の治療剤を被験体に投与する工程をさらに含み得、治療剤は、ステージI薬剤を介してターゲット部位に結合したステージII薬剤及びステージIII薬剤の少なくとも1つに結合する。加えて、本明細書において上記に記載されるイメージング方法のいずれかは、有効量の第2のステージIII薬剤を被験体に投与する工程をさらに含み得、第2のステージIII薬剤は、ステージI薬剤を介してターゲット部位に結合したステージII薬剤及びステージIII薬剤の少なくとも1つに結合する。
【0088】
本明細書において上記又は下記に記載される方法のいずれかにおいて利用される薬物のいずれかは、ガス(すなわち、エコージェニックリポソーム)を含み得るため、音響放射力は、1種以上の薬剤を管腔の内部表面に押し付けることによって、ターゲティング効率を増加させるのに利用され得る。例えば、限定されないが、ステージI薬剤がガスを含む場合、超音波照射は、ステージI薬剤を管腔壁に押し付け、ステージI薬剤とターゲット部位との相互作用の可能性を増大させる。場合により、ステージII薬剤がガスを含む場合、超音波照射は、ステージII薬剤を管腔壁に押し付け、ステージII薬剤とターゲット部位に結合したステージI薬剤との相互作用の可能性を増大させる。
【0089】
本明細書において上記又は下記に記載される方法のいずれかでは、ターゲット部位は、血液脳関門、卵巣、膵臓、腎臓、肝臓、それらのいずれかのガン組織及び/又はそれを提供する組織の少なくとも1つの表面上に曝露され得る。ターゲット部位は、疾患特異的であり得る。
【0090】
本明細書において上記又は下記に記載される方法のいずれかでは、そこで利用されるイメージングモダリティは、超音波、磁気共鳴映像法(MRI)、コンピューター断層撮影(CT)、デュアルソースCT(灌流イメージング)、拡散テンソルイメージング(DTI)、遅延強調イメージング、X線透視(造影透視)イメージング、コンピューターSPECT、PET又はPET−CTイメージング、及び分子イメージング(放射性医薬品)からなる群より選択され得る。
【0091】
ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤中に配置されたガスの使用は、超音波と共に使用することに関して本明細書において記載したが、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、他のイメージングモダリティ/治療モダリティと共に使用するための、ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤中に配置された他の組成物の使用も包含すると理解されるべきである。例えば、限定されないが、ガドリニウムキレート誘導体(例えば、限定されないが、ガドリニウム−ジエチレン−トリアミン−五酢酸(例えば、Accardo et al, 2009を参照のこと))はMRIモダリティと共に利用され得るのに対して、放射性核種はX線モダリティ(すなわち、放射線療法)と共に利用され得る。
【0092】
加えて、ステージI薬剤、ステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤のいずれかは、マルチモーダルエコージェニックリポソームであり得(すなわち、前記薬剤は、前記薬剤が音響放射力の影響を受けやすいようなガスを含む)、本明細書において上記に記載される第2のイメージングモダリティ(すなわち、MRI、CT、DTI、PETなど)も含み得る。従って、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念の別の実施態様は、マルチモーダルエコージェニックリポソーム/マイクロバブル/ベシクルを含むステージI(ターゲティング)薬剤の使用を含む。前記ステージI薬剤は、増幅の存在下又は非存在下で利用され得る。
【0093】
加えて、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、管腔において曝露されたターゲットをイメージングにより検出するのに有用である連続送達可能な薬学的試薬の複合体であって、管腔で形成される複合体を対象とする。この複合体は、少なくとも1つの本明細書において上記に記載されるステージI薬剤、及び複数の本明細書において上記に記載されるステージIII(イメージング)薬剤を含む。複数のステージIII薬剤のそれぞれは少なくとも1つのステージII薬剤に結合し、ステージI薬剤及び/又はステージIII薬剤はイメージングモダリティによって検出可能であり、それにより、ターゲットに結合した複合体の検出が可能になる。
【0094】
さらに、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、イメージングモダリティによって可視化されたシグナルをターゲティングする方法を対象とする。前記方法では、有効量のステージI薬剤が被験体に投与され、ステージI薬剤は被験体の中を移動し、被験体の管腔上に曝露されたターゲット部位に結合する。次いで、有効量のステージIII(イメージング)薬剤が被験体に投与され、それにより、ステージIII薬剤はステージI薬剤に結合する。次いで、ステージI薬剤及び/又はステージIII薬剤によって生成されたシグナルがイメージングモダリティによって検出される。
【0095】
本明細書において記載される方法のいずれかでは、管腔で形成された複合体は、管腔における流体の流れ(すなわち、血流)を実質的に妨げない。これは、薬剤を連続的に加えることによって、当該方法に利用される個々の薬剤のサイズ(構造寸法)を制限することによって、及び/又はステージII薬剤から形成される複合体の寸法が制限され、それにより、管腔の寸法を超えないように、利用されるステージII薬剤の量を制限することによって、達成される。例えば、ターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤は、十分に小さな直径が提供され得、それにより、3つの直径の合計は、毛細血管の直径を超えない(すなわち、≦10μ;Dayton, 2002)。
【0096】
あるいは、本明細書において記載される方法のいずれかでは、管腔で形成された複合体は、被験体の管腔のターゲット部位における血流を実質的に妨げ、それにより、被験体のターゲット部分(すなわち、組織、器官、体の一部など)に虚血をもたらし得る。従って、さらに、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念は、本明細書において上記に記載されるように、被験体のターゲット部位において血管組織の虚血及び壊死を作る方法を対象とする。前記方法では、本明細書において上記に記載されるように、ステージI薬剤、ステージII薬剤及びステージIII薬剤が投与される。次いで、管腔がターゲット部位で実質的に閉塞されるまで、複数回用量のステージII薬剤及び/又はステージIII薬剤が投与される。従って、長時間にわたって連続的に加える場合、ステージIII薬剤は、管腔を閉塞する「増幅剤」としても機能し得る。
【0097】
管腔で形成された複合体は、本明細書において記載される薬剤の任意の組み合わせ(すなわち、ターゲティング剤及びイメージング剤;ターゲティング剤、増幅剤及びイメージング剤;ターゲティング剤、増幅剤及び治療剤)を含み得る。加えて、管腔で形成された複合体が、ターゲティング剤、増幅剤及びイメージング剤を含む場合、治療剤(すなわち、それにカプセル化された化学療法物質又は他の細胞毒性物質を含む)がイメージング剤に結合し、細胞毒性物質を虚血性損傷組織に送達して、さらなる殺傷メカニズムを提供するように、治療剤が被験体にさらに投与され得る。場合により、イメージング剤は、治療剤の投与前に複合体から除去され得、それにより、連続投与される治療剤は、増幅剤に結合し、次いで、細胞毒性物質を虚血性損傷組織に送達して、さらなる殺傷メカニズムを提供するであろう。
【0098】
イメージング後にステージIII薬剤を複合体から除去し、その後、次の薬剤(例えば、限定されないが、別のイメージング剤又は治療剤)を投与するするこの同じ技術が、本明細書において上記に記載されるか、あるいは本明細書において企図される方法のいずれかにおいて利用され得る。この方法では、ステージI薬剤及び1つ以上のステージII薬剤から形成された複合体は、多様に使用され得る(例えば、限定されないが、複合イメージング技術、又はイメージング技術及び治療技術の組み合わせ)基礎構造/骨格/格子ネットワークを形成する。場合により、基礎構造は、時間の経過とともに、複数の用途も可能にする。この方法では、骨格は、必要に応じて再利用され得る。
【0099】
さらなる代替態様では、ステージIII薬剤及びステージII薬剤の両方を除去し、ステージI薬剤のみを残して、複数の使用又は複数の用途に再利用され得る骨格を形成させることが望ましいかもしれない。
【0100】
本明細書において記載される方法のいずれかは、プロトコール(イメージング及び/又は治療)が適用された後に、複合体の少なくとも一部(又は、複合体のすべて)を分解する工程も含み得る。分解は、エネルギー、熱、化学的方法(すなわち、独自の方法によるジスルフィド結合の還元)、pH変化、競合剤(Ab)の追加など、の使用を含み得る。この方法では、ターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤/治療剤の1つ以上は、必要に応じて(例えば、限定されないが、超音波によって)破裂され得る;加えて、複合体がもはや必要とされない場合、すべての薬剤は破裂され得る。例えば、限定されないが、スペーサーが、酵素によって切断されるアミノ酸配列を有するペプチドである場合、スペーサーが切断されると、複合体は分解されるであろう。酵素はビヒクルの1つに付着され得、活性化のために共因子又は熱を必要とし得る。
【0101】
本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用されるステージI(ターゲティング)薬剤は、本明細書において下記により詳細に記載されるように、ベシクルフレームワーク上に複数(すなわち、少なくとも2つ)の付着部位/結合部位又は付着点/結合点を提供することによって製造される。ステージI(ターゲティング)薬剤の場合、ターゲットに結合するための第1の結合部位はリンカーによりベシクルフレームワークに付着するが、ステージII薬剤に結合するための第2の結合部位は別のリンカーによりベシクルフレームワークに付着する。
【0102】
本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用されるステージII(増幅)薬剤は、ベシクルフレームワーク上に複数の付着点(すなわち、複数の結合部位)を提供することによって製造される。複数の付着点を使用することにより、(1)マルチモーダルイメージングのための複数の付着点;(2)複数の用途(時間の経過とともに);及び/又は(3)複数の使用(例えば、限定されないが、イメージングの使用及び治療の使用)が可能になるであろう。本明細書において上記に記載されるように、増幅剤は第3及び第4の結合部位が提供され得、さらなるイメージング剤/治療剤(すなわち、第4の結合部位と相互作用するイメージング剤/治療剤以外)との相互作用を可能にするために、さらなる結合部位がさらに提供され得る。
【0103】
一実施態様では、第3及び第4の結合部位は、リンカーの使用によって付着され得る。増幅ベシクル上の複数の付着点は、本明細書において下記により詳細に記載されるように、リンカーの混合物を使用して調製される。しかしながら、リンカーは、第3及び第4の結合部位が増幅剤に付着するのに必要とされないと理解されるべきである。
【0104】
本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用されるイメージング剤/治療剤は、ベシクルフレームワーク上に少なくとも1つの付着点を提供することによって製造される。少なくとも1つの付着点は、リンカーによってベシクルフレームワークに付着され得る;しかしながら、リンカーは、第5の結合部位がイメージング剤/治療剤に付着するのに必要とされないと理解されるべきである。
【0105】
本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用されるターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤/治療剤の製造は、フレームワークとしてマイクロバブル、リポソーム、又は他の種類のベシクルを提供し、次いで、結合部位(すなわち、リンカー/錯化剤)をそれに追加することによって開始し得る。イメージング用途/治療用途における使用に関して、ターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤/治療剤に利用され得る一般的なベシクルフレームワークの例は、当技術分野において周知である(特許請求の範囲に記載される複合体の骨格を製造するのに利用されるターゲティング剤及び/又はリンカー/錯化剤の非存在下で製造された前記先行技術のベシクル)。具体例は以下のものを含むが、これらに限定されない。1992年6月23日にUngerによって発表されたUS Patent No. 5,123,414は、超音波造影剤として適切なリポソームを開示しており、前記薬剤は、pH、温度及び/又は圧力によって活性化されるガス、ガス前駆体並びにペルフルオロカーボンを含む様々な種類の媒体を含む。Unger et al. (2004)は、生物活性材料の部位特異的な局所送達、及び血管内血栓の処置のためのマイクロバブルであって、診断用途及び治療用途の両方で脂質コーティング内に封入されたペルフルオロカーボンガスを有し、超音波エネルギーによりキャビテーションされる能力を含むマイクロバブルを開示している;前記参考文献は、低分子量治療薬及び高分子量治療薬の両方を脳に送達するために、超音波(これも、微小脳血管内でマイクロバブルをキャビテーションする)を使用して、血液脳関門(BBB)が可逆的に開かれ得ることも開示している。The Review Article of Klibanov (2006)は、マイクロバブル表面上にターゲティングリガンドを提供することによって、マイクロバブル造影剤を、ターゲティングされた超音波イメージング及び超音波支援薬物送達の用途に使用することを開示している。Hernot and Klibanov (2008)は、超音波でトリガーされる薬物及び遺伝子送達のマイクロバブルを記載しており、マイクロバブルは、ターゲット組織において超音波エネルギー付与を増大させ、細胞内薬物送達の増加のためのキャビテーション核として働く。Ferrante et al. (2009)は、ポリエチレングリコール−ビオチン−ストレプトアビジン架橋と、mAb MVCAM.A及び/又はシアリルLewisxポリマー(PAA−sLex)とを結合させることによって、接着分子P−セレクチン及びVCAM−1にターゲティングされたペルフルオロカーボン充填リン脂質マイクロバブル造影剤を記載している。Liu et al. (2006)は、その表面に付着したターゲティングリガンドを有するカプセル化された超音波マイクロバブル、及び薬物送達又は遺伝子治療におけるその用途を開示している。Suzuki et al. (2007 and 2008)は、ペルフルオロプロパンを含むバブルリポソーム(これは、従来のマイクロバブルと直径が類似する)、並びに遺伝子治療及び超音波分解技術におけるその使用を記載している。Tinkov et al. (2009)は、超音波でトリガーされる薬物担体として使用するためのマイクロバブルの製造方法及び薬物ローディング方法を開示している。Jong et al. (2009)は、超音波造影剤(UCA)を特性決定するための異なる戦略(音響法及び光学的方法を含む)を記載している。Schroeder et al. (2009)は、超音波とリポソームとの相互作用、及び低周波数超音波(LFUS)を使用するリポソームからの薬物放出の機械的メカニズム(リポソーム脂質組成物及び物理化学的特性並びにLFUSパラメーターのリポソーム薬物放出に対する効果、並びに音響キャビテーションの使用を含む)を記載している。Huang (2008)は、それにカプセル化されたガス及び/又は薬物を有するリポソームを介した、超音波でコントロールされる薬物放出並びに超音波で促進される薬物送達を開示している。上記特許及び刊行物それぞれの内容の全体が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0106】
加えて、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用され得る市販の超音波造影剤は、SONAZOID(商標)(GE Healthcare, Oslo, Norway)−それに付着する抗体の開示に関しては、Otani et al. (2009)を参照のこと;DEFINITY(登録商標)(Bristol-Myers Squibb Medical Imaging, Billerica, MA);及びOPTISON(商標)(GE Healthcare, Oslo, Norway)を含むが、これらに限定されない。加えて、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用され得る様々な超音波造影剤が、Targeson, Inc. (San Diego, CA)によって製造されており、TARGESTAR-B(登録商標)(これは、ビオチン化リガンドのコンジュゲーションのためのビオチン化マイクロバブル造影剤である)を含むが、これに限定されない。
【0107】
ベシクルフレームワークが提供されるとすぐに、製造方法は、結合部位をそれに付着させることによって進行する;結合部位は、リンカーを使用することによって付着され得る。各リンカーは、錯化剤の相補対の一方のメンバーを含む。ステージI薬剤/ステージII薬剤の結合において、ステージI(ターゲティング)薬剤は、相補対の第1のメンバー(すなわち、第2の結合部位)を含むが、ステージII(増幅)薬剤は、前記相補対の第2のメンバー(すなわち、第3の結合部位)を含む。増幅剤/イメージング(又は、治療)剤の結合において、増幅剤は、別の相補対の第1のメンバー(すなわち、第4の結合部位)を含むが、イメージング(又は、治療)剤は、前記相補対の第2のメンバー(第5の結合部位)を含む。
【0108】
本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念に従って利用されるリンカーは、両末端が官能化される。両末端が同じ反応部分で活性化される場合、リンカーは「ホモ二重機能的」と称されるのに対して、存在する官能基が異なる場合、リンカーは「ヘテロ二重機能的」と称される。両末端の一方はリンカーをベシクルフレームワークに付着させるが、他方の末端は錯化剤の相補対の一方のメンバーを含む。ホモ二重機能的リンカーを利用する場合、同種のコネクターがリンカーの両端で利用されるため、リンカーを薬剤のベシクルフレームワークに接続し、錯化剤の相補対の他方のメンバーと相互作用して、ターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤/治療剤を別のターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤/治療剤に結合させる。ホモ二重機能的リンカーの非限定的な例は、アビジン−PEG−アビジン(これは容易に作られ、及び/又は市販されている)である。リンカーの多くは、潜在的には、複数の結合部位を示す。分解されていない抗体は、二座である;アビジン、ストレプトアビジン及びニュートラアビジンは、最大4つの結合部位をそれぞれ提供する。多座分子は、ホモ二重機能的リンカーの代わりに使用され得る。
【0109】
ヘテロ二重機能的リンカーを利用する場合、第1の種類のコネクターはリンカーを薬剤のベシクルフレームワークに接続するのに利用され、第2の異なる種類のコネクターはターゲット部位及び/又は錯化剤の相補対の他方のメンバーと相互作用して、ターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤/治療剤を別のターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤/治療剤に結合させるのに利用される。ヘテロ二重機能的リンカーの非限定的な例は、アビジン−PEG−抗体である。ターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤/治療剤は、適切な割合のホモ二重機能的連結剤及びヘテロ二重機能的連結剤(両連結剤は共通のコネクター型を共有しており、この共通のコネクター型は、ベースのベシクルに付着したリンカーの相補対である)を混合することによって調製され得る。次いで、混合物をベースのベシクルに添加して、所望の複数の付着点を得る。
【0110】
リンカーは、テザー分子又はエクステンダー分子(例えば、限定されないが、ペプチド又はPEG)をさらに含み得る。個々の薬剤のサイズは、リンカーを介した2つの薬剤の最大連結に十分であるべきである。テザー/リンカーは、薬剤を結合を最大にするのに十分の長さであるべきだが、テザー/リンカーの有意なエンタングルメントが起こるほど長くないべきである。
【0111】
ステージI(ターゲティング)薬剤の製造において、ヘテロ二重機能的リンカーは、第1の結合部位をステージI薬剤に付着させるのに利用される。例えば、限定されないが、アビジン化リポソーム/マイクロバブル(これは容易に作られ、及び/又は市販されている)が提供され得、ビオチン−PEG−抗体(この抗体は、市販されているか、あるいは当技術分野において公知の任意の抗体であり得る)と相互作用し得る。アビジン化ベシクルフレームワーク−ビオチン−PEG−の前駆体は、任意の結合分子を用いて任意の所望のステージI薬剤を形成するのに利用され得る一般的な前駆体を提供する。例えば、前記前駆体が提供され得、次いで、異なる種類の障害/疾患/ガンのための異なる抗体が、それに付着され得る。加えて、複数の抗体/結合分子が、第1の結合部位に利用され得る。
【0112】
次いで、ヘテロ二重機能的リンカー又はホモ二重機能的リンカーは、第2の結合部位(増幅剤への結合のための)をベシクルフレームワークに付着させるのに使用され得る。例えば、限定されないが、ホモ二重機能的リンカービオチン−PEG−ビオチンが利用され得、ビオチンは、第2の結合部位を形成し、それにより、それに付着したアビジン−PEG−アビジンリンカーを有するビオチン化リポソーム/マイクロバブルを含む増幅剤と相互作用し得る(すなわち、アビジンは、ビオチンの第2の結合部位と相互作用する第3の結合部位を形成する)。
【0113】
ステージII(増幅)薬剤の製造において、第3及び第4の結合部位は、当技術分野において公知の任意の方法によって、ベシクルフレームワークに付着され得る。例えば、ステージII薬剤は、単に、ビオチン化マイクロバブルを含み得、ステージII薬剤上のビオチンは、第3及び第4の結合部位を含み、第2及び第5の結合部位のようにアビジンと相互作用する。また、ステージII薬剤は、ベシクルフレームワークに付着したさらなる結合部位を含み得、前記さらなる結合部位はベシクルを多機能化し、それにより、マルチモーダルイメージング、複数の用途及び/又は複数の使用(イメージング及び/又は治療)を可能にする。
【0114】
ステージII薬剤を製造する別の方法では、ホモ二重機能的リンカー又はヘテロ二重機能的リンカーは、第3の結合部位をベシクルフレームワークに付着させるのに利用され得、少なくとも1つのさらなるヘテロ二重機能的リンカーは、第4の結合部位をベシクルフレームワークに付着させるのに利用され得る。また、ステージII薬剤は、ヘテロ二重機能的リンカーを介してベシクルフレームワークに付着したさらなる結合部位を含み得る。これらのさらなる結合部位はベシクルを多機能化し、それにより、マルチモーダルイメージング、複数の用途及び/又は複数の使用(イメージング及び/又は治療)を可能にする。例えば、限定されないが、第3の結合部位(ステージI薬剤のビオチンの第2の結合部位と相互作用する)を形成するために、ステージII薬剤は、それに付着したアビジン−PEG−アビジンホモ二重機能的リンカーを有するビオチン化リポソーム/マイクロバブルを含み得、ヘテロ二重機能的リンカー(例えば、限定されないが、アビジン−PEG−ビオチン(このビオチンは、ステージIII薬剤の第5の結合部位と相互作用する第4の結合部位を形成する))をさらに含む。加えて、ステージII薬剤に付着した任意の遊離アビジン−PEG−アビジンリンカーであって、ステージI薬剤に結合しない遊離アビジン−PEG−アビジンリンカーは、第2のイメージング剤及び/又は治療剤を捕捉するためのさらなる結合部位としてさらに利用され得る。
【0115】
ステージIII薬剤の製造において、第5の結合部位は、当技術分野において公知の任意の方法によって、ベシクルフレームワークに付着され得る。例えば、限定されないが、ステージIII薬剤は、単に、ビオチン化マイクロバブルを含み得、ステージIII薬剤上のビオチン(すなわち、第5の結合部位)は、ステージII薬剤に付着したアビジン(すなわち、第4の結合部位)と相互作用する。
【0116】
ステージIII薬剤を製造する別の方法では、ホモ二重機能的リンカー又はヘテロ二重機能的リンカーは、第5の結合部位をベシクルフレームワークに付着させるのに利用され得る。例えば、限定されないが、ホモ二重機能的リンカーアビジン−PEG−アビジンが利用され得、アビジンは第5の結合部位を形成し、それにより、ビオチン化リポソーム/マイクロバブルを含むステージII薬剤と相互作用し得る(すなわち、ビオチンは、アビジンの第5の結合部位と相互作用する第4の結合部位を形成する)。
【0117】
加えて、ステージIII薬剤は、ベシクルフレームワークに付着したさらなる結合部位をさらに含み得る。これらのさらなる結合部位は、さらなる薬剤がそれ(すなわち、別のイメージング剤又は治療剤)に結合するのを可能にするように機能し得る。例えば、限定されないが、第1のイメージング剤(超音波造影剤)は、それに付着した抗フルオレセイン抗体のさらなる結合部位を含み得る。第1のイメージング剤は、MRI検出のための第2のイメージング剤と共に利用され得、第2のイメージング剤は、その表面上にフルオレセインが提供される。これらのさらなる結合部位は、当技術分野において公知の任意の方法によって(例えば、限定されないが、ヘテロ二重機能的リンカーを介して)、付着され得る。
【0118】
実施例
実施例を以下に提供する。しかしながら、本発明は、特定の実験、結果及び検査法への適用に限定されないと理解されるべきである。むしろ、実施例は、様々な実施態様の1つとして提供されるにすぎず、包括的ではなく例示的なものである。
【0119】
実施例1:ステージI薬剤/ステージII薬剤/ステージIII薬剤複合体のin vitro形成
本実施例では、推奨するin vitro薬剤の重要な原材料(CRM)を、フルオレセイン標識BSA及び2H1(フルオレセインに対する抗体)とした。BSAをフルオレセイン標識し、次いで、フルオレセイン標識BSAをポリスチレン(pH8、重炭酸塩緩衝液)に結合させることによって、ポリスチレン結合表面を調製した。フルオレセイン標識BSAが、ステージI(ターゲティング)薬剤の第1の結合部位のターゲットとして働いた。
【0120】
ステージI(ターゲティング)薬剤の調製:市販のビオチン化マイクロバブル(すなわち、Targeson, Inc., San Diego, CAから入手したターゲティング剤Targestar B)及び2H1抗体(これは、フルオレセイン標識BSAに結合する)を入手した。アビジン−PEG−2H1(すなわち、ターゲティング剤上の第1の結合部位)をヘテロ二重機能的PEGから調製し、アビジン−PEG−アビジン(すなわち、ターゲティング剤上の第2の結合部位)をホモ二重機能的PEGから調製したアビジン−PEG−2H1及びアビジン−PEG−アビジンをビオチン化マイクロバブルと反応させて、ステージI(ターゲティング)薬剤の第1及び第2の結合部位をそれぞれ形成させた。
【0121】
ステージII(増幅)薬剤の調製:本実施例では、市販のビオチン化マイクロバブルが、ステージII薬剤として機能した。ビオチン化部位は、ステージII薬剤の第3及び第4の結合部位の両方として機能する。
【0122】
ステージIII(イメージング)薬剤の調製:市販のビオチン化マイクロバブルを準備し、アビジン−PEG−アビジンと反応させて、ステージIII薬剤の第5の結合部位を形成させた。
【0123】
ステージI(ターゲティング)薬剤/ターゲット複合体の形成:ステージI(ターゲティング)薬剤をポリスチレン結合表面と反応させ、ターゲティングマイクロバブル上のアビジン−PEG−2H1を、ポリスチレン結合表面上のフルオレセイン標識BSAに結合させた。次いで、ポリスチレン結合表面を洗浄して、あらゆる未結合のマイクロバブルを除去した。必要に応じて、この時点で、結合及び超音波効果を測定した。
【0124】
増幅複合体の形成:ステージII(増幅)薬剤を、それに結合したステージI(ターゲティング)薬剤を有するポリスチレン結合表面と反応させ、ステージII(増幅)薬剤上のビオチン化部位(すなわち、第3の結合部位)を、ステージI(ターゲティング)薬剤上のアビジン−PEG−アビジン(すなわち、第2の結合部位)と相互作用させ、それにより、ステージII(増幅)薬剤を、ポリスチレン結合表面に結合したステージI(ターゲティング)薬剤に結合させた。次いで、結合表面を洗浄して、あらゆる未結合のビオチン化マイクロバブル(すなわち、ステージII(増幅)薬剤)を除去した。必要に応じて、この時点で、結合及び超音波効果を測定した。
【0125】
イメージング複合体の形成:ステージIII薬剤を、それに結合したステージI薬剤/ステージII薬剤を有するポリスチレン結合表面と反応させ、ステージIII薬剤上のアビジン(すなわち、第5の結合部位)を、ステージII(増幅)薬剤上のビオチン化部位(すなわち、第4の結合部位)と相互作用させた。このようにして、ステージIII薬剤を、ポリスチレン結合表面に結合したステージI(ターゲティング)薬剤に結合したステージII(増幅)薬剤に結合させた。次いで、結合表面を洗浄して、あらゆる未結合のマイクロバブル(すなわち、イメージング剤)を除去した。
【0126】
この時点で、結合及び超音波効果を測定して、超音波造影剤シグナル(CPS)の増大を確認し、in vitroのバブル加熱計算も検証して、バブル集合体は影響を受けなかったことを実証した。
【0127】
加えて、バブル集合体を光学顕微鏡法で研究して、3つの結合ステージを確認した。
【0128】
実施例2:ターゲティング剤/イメージング剤複合体のin vivo超音波用途
ターゲティング成分の調製:最初に、リン脂質をアビジン化すること以外はSzoka and Papahadjopoulos (1978)に記載されている手順に従って、アビジン化単層リポソーム調製物を調製した。Thermo-Fisherから入手したヘテロ二重機能的架橋剤から、ビオチン−PEG
30−抗体を調製した。この場合、Nature Reviews Cancer, Vol. 1, pp. 118-129 (November 2001)に見られるリストから、抗体を選択し得る。Thermo-Fisherから入手したホモ二重機能的架橋剤から、ビオチン−PEG
30−ビオチンを調製した。ビオチン−PEG
30−ビオチン及びビオチン−PEG
30−抗体をアビジン化単層リポソームと混合して、ターゲティング試薬を調製した。
【0129】
イメージング成分の調製:市販のビオチン化マイクロバブルを使用した。Thermo-Fisherから入手したホモ二重機能的架橋剤から、アビジン−PEG
30−アビジンを調製した。ビオチン化マイクロバブルをアビジン−PEG
30−アビジンと混合して、メージング成分を得た。
【0130】
この使用方法では、ターゲティング成分/リポソーム調製物を血流に注入し、ターゲティングが起こり、循環遊離リポソームが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記成分と共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。次いで、有効量のイメージング成分を患者に注射し、第2のターゲティングが起こり、循環遊離マイクロバブルが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記成分と共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。次いで、ターゲティングした薬剤又はターゲティングした治療活性の診断イメージングを実施する。
【0131】
実施例3:ターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤複合体のin vivo超音波用途
ターゲティング成分の調製:最初に、Szoka and Papahadjopoulos (1978)に記載されている手順に従って、ビオチン化単層リポソーム調製物を調製した。Thermo-Fisherから入手したヘテロ二重機能的架橋剤から、アビジン−PEG
30−抗体を調製した。この場合、Nature Reviews Cancer, Vol. 1, pp. 118-129 (November 2001)に見られるリストから、抗体を選択し得る。Thermo-Fisherから入手したホモ二重機能的架橋剤から、アビジン−PEG
30−アビジンを調製した。アビジン−PEG
30−アビジン及びアビジン−PEG
30−抗体をビオチン化単層リポソームと混合して、ターゲティング試薬を調製した。
【0132】
増幅成分の調製:Szoka and Papahadjopoulos (1978)に記載されている手順に従って、ビオチン化単層リポソーム調製物を調製した。
【0133】
超音波イメージング成分の調製:市販のストレプトアビジン超音波イメージング剤(Targeson, Inc., San Diego, CAからのTargestar SA)を使用した。
【0134】
この使用方法では、ターゲティング成分/リポソーム調製物を血流に注入し、ターゲティングが起こり、循環遊離リポソームが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記成分と共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。次いで、有効量の増幅成分を患者に注射し、第2のターゲティングが起こり、循環遊離ベシクルが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記成分と共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。次いで、有効量のイメージング成分を患者に注射し、第2のターゲティングが起こり、循環遊離ベシクルが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記成分と共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。次いで、ターゲティングした薬剤又はターゲティングした治療活性の診断イメージングを実施する。
【0135】
実施例4:ターゲティング剤/増幅剤/イメージング剤複合体のin vivo MRI用途
本実施例は、超音波イメージング成分をMRイメージング成分に代える以外は、実施例3と同様の方法で行う。MRイメージング成分を以下のように調製する:造影剤を、ビオチン化リポソームの内部水性水空間内にトラップする;シグナルを増大するために、造影剤は、高分子量を有するべきである。造影剤の例は、高分子ガドリニウム(III)キレート、例えばデンドリマー、線状ポリマー、ガドフラーレン、ガドナノチューブ、及び大きなタンパク質を含むが、これらに限定されない(例えば、Accardo et al., 2009を参照のこと)。
【0136】
脂溶性造影剤は、複層リポソームの脂質二重層に組み込まれる。Thermo-Fisherから入手したホモ二重機能的架橋剤から、アビジン−PEG
30−アビジンを調製する。ビオチン化リポソームをアビジン−PEG
30−アビジンと混合して、MRイメージング成分を得る。
【0137】
Gd−DTPAは、一般的なMRI造影剤である。典型例な用量は、0.17mmol/kg体重である。この分子は、0.56kDaの分子量及び10.0Åの直径を有する(Higgins et al., 2006)。
0.17×10
−3mole/kg×100kg/体×分子6.022×10
23個/mole
=分子1.02×10
23個/体
【0138】
一体あたり6リットルの血液と仮定すると、常用量の薬剤中、血液1μLあたり1.7xl0
15個の粒子が存在し得る。血液は、組織の所定領域の体積の約10%(組織の種類に応じて5〜14%)を形成するため、組織1μL中、約1.7xl0
14個の粒子が存在する。
【0139】
造影分子の表面ローディング:球半径rの表面積は、4πr
2によって与えられる。直径3μmの球は、2.8x10
−11m
2の表面積を有する。Gd−DTPA分子は、7.85x10
−19m
2の断面積を有する。従って、約36x10
6個のGd−DTPA粒子が、各球の表面の周囲にフィットするであろう。
【0140】
ターゲット領域1μL中、100個の球が存在すると仮定すると、3.6x10
9個のGd−DTPA粒子がターゲティングされ、各球の周囲は粒子で完全にパッキングされるであろう。これは、常用量の約0.002%である。
【0141】
しかしながら、University of Wisconsinにおけるいくつかの取り組みでは、分子1個あたり100個のGdイオンに結合できる抗体が作られた(Glazer et al., 2004)。この取り組みでは、in vivoイメージングに十分な低い抗体濃度として0.1μMが挙げられた。
0.1×10
−6mole/リットル×10
−6リットル/uL×分子6.022×10
23個/mole
=抗体60.2×10
9個/μL→Gdイオン6.02×10
12個/μL
【0142】
この取り組みによれば、1μL中、約6×10
12個のGd複合体が、MRI画像を実現するはずである。これは、100個の球が粒子で完全にパッキングされると仮定した場合を上回る1600倍超の増幅を必要とする。
【0143】
従って、本実施例は、良好なコントラストを有するMRI剤を利用して、より多数のGd−DTPA粒子をターゲット球にターゲティングすることを提供する。一実施態様では、PEG鎖は、各球に結合したGd−DTPA粒子数を大きく増加させ得るさらなる結合部位を提供する。
【0144】
造影分子の容積ローディング:半径がrの場合、球の体積は、4/3πr
3によって与えられる。直径3μmの球は、1.4x10
−17m
3の体積を有する。Gd−DTPA分子は、約5.28x10
−28m
3の体積を有する。従って、約26xl0
9個のGd−DTPA粒子が、各球の体積の中にフィットするはずである。MRI反応が最大になるように、この分子を懸濁するか、又は何らかのかたちで拘束する。
【0145】
1μLあたり10個の球をターゲティングすることによって、1μLあたり約260x10
9個のGd複合体が達成され、これは、MRIでイメージングするのに必要とされる(1μLあたり約6x10
12個の複合体)よりも約23倍少ない。MRIの検出能の限界は、23倍の増幅で達成できる。より大きいレベルの増幅により、球にローディングしなければらないGd−DTPA粒子数の要件を緩和し得る。
【0146】
より多くのGd複合体をローディングできるように、ターゲティング球の体積を増加させることも役立つであろう。直径を10%増加させることにより、Gdペイロード容量の30%の増加がもたらされるであろう。
【0147】
結論:増幅は、領域に送達されるGd複合体数を、検出されるのに十分なレベルに増加させることによって、ターゲティングされたMRI造影イメージングを可能にするであろう。血管腔に限定して、ターゲティングされたMRI造影剤を増幅する。
【0148】
実施例5:熱を体の局所部位に送達して、疾患状態/病気/ガンを処置する方法
体内の局所部位をターゲティングする抗体でコーティングしたリポソームのセットを準備する。リポソームのセットを錯化剤の相補対の一方のメンバーでもコーティングする。
【0149】
錯化剤の相補対の他方のメンバーでコーティングしたマイクロバブルのセットを準備する。マイクロバブルの各セットをガスで充填する。
【0150】
有効量のリポソームのセットを患者に注射し、ターゲティングが起こり、循環遊離リポソームが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者をリポソームと共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。次いで、有効量のマイクロバブルのセットを患者に注射し、第2のターゲティング(すなわち、増幅)が起こり、循環遊離マイクロバブルが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記マイクロバブルと共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。
【0151】
次いで、超音波を患者の局所部分に適用し、それにより、超音波エネルギーが材料によって吸収され、熱に変換されるように、超音波を適切な周波数及び振幅で適用する。この方法では、周囲組織への損傷を最小にしつつ壊死が起こる温度まで、局所組織を加熱する。
【0152】
この方法では、血流を遮断せずに音波の吸収を最大にするように、バブルサイズを選択する。
【0153】
実施例6:ターゲティング剤/イメージング剤複合体のin vivo治療用途
実施例2のように、ターゲティング成分を調製する。
【0154】
US及びPET適用における使用のための治療成分の調製:市販のビオチン化マイクロバブルを、超音波適用に使用する。市販のビオチン化放射性医薬品を、PET適用に使用する。Thermo-Fisherから入手したホモ二重機能的架橋剤から、アビジン−PEG
30−アビジンを調製する。ビオチン化マイクロバブルをアビジン−PEG
30−アビジンと混合して、治療成分を得る。
【0155】
この使用方法では、ターゲティング成分/リポソーム調製物を血流に注入し、ターゲティングが起こり、循環遊離リポソームが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記成分と共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。次いで、有効量のイメージング成分を患者に注射し、第2のターゲティングが起こり、循環遊離マイクロバブルが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記成分と共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。第2のターゲットの遊離バブル活性は、イメージングモダリティでモニタリングできる。次いで、ターゲティングした薬剤及び/又はターゲティングした治療活性の診断イメージングを実施する。
【0156】
いくつかの一般的なPETトレーサーの同位体は、
11C、
13N、
15O、
18F、
64Cu、
62Cu、
124I、
76Br、
82Rb及び
68Ga、特に
18Fである。典型例な感度のPETスキャナーにより、10
−11〜10
−12mol/L濃度の検出が可能になるであろう。本実施例では、約数ミリメートルの分解能も説明する。
10
−11mole/L×分子6.022×10
23個/mole×10
−6L/μL=分子6×10
6個/μL
ターゲット領域1μL中、100個のターゲティング球が存在すると仮定すると、約60,000個の同位体粒子が、各ターゲティング球の中に必要とされる。
【0157】
5nmの厚いホスファチジルコリン二重層から構成される直径100nm(0.1μm)の単層リポソームは、
【数1】
又は約80,000個の分子を含む。二重層の厚さが同じ5nmの場合、1000nm(1μm)のリポソームは、約880万個の分子を含む。
【0158】
従って、同位体を含む唯一の場所がシェルであると仮定すると、分子8.8x10
6個あたり約60000個の同位体粒子、又は濃度0.68%の放射性物質が必要とされる。
【0159】
しかしながら、同位体水を、1μmのシェルの体積の中にカプセル化してもよく、従って:
【数2】
を提供する。
分子17.5×10
9個あたり60,000個の同位体粒子は、水100万あたり約3部の放射性同位体濃度に対応する。
【0160】
先行技術は、内部の水よりもむしろリポソームのシェルをラベルすることを開示している。しかしながら、脂質二重層は、水分子に対して透過性であり、イオン及び親水性小分子(グルコースなど)及びより大きな高分子(タンパク質及びRNAなど)に対して不透過性である。従って、本実施例は、リポソームのシェルだけではなく、その中にカプセル化された水をラベリングすることも包含する。リポソームのシェルにカプセル化された水の中のより大きな放射性標識分子の使用はラベリングに必要であり、それらがリポソームのシェルの中で維持されることを確実にする。
【0161】
実施例7:ターゲティング剤/増幅剤/治療剤複合体のin vivo治療用途
実施例3に記載されるように、ターゲティング成分及び増幅成分を調製する。
【0162】
治療成分の調製:市販のビオチン化マイクロバブルを、超音波適用に使用する(イメージング剤及び治療剤は、同じ薬剤でもよいことに留意すること)。市販のビオチン化放射性医薬品を、PET適用に使用する。Thermo-Fisherから入手したホモ二重機能的架橋剤から、アビジン−PEG
30−アビジンを調製する。ビオチン化マイクロバブルをアビジン−PEG
30−アビジンと混合して、治療成分を得る。
【0163】
この使用方法では、ターゲティング成分/リポソーム調製物を血流に注入し、ターゲティングが起こり、循環遊離リポソームが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記成分と共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。次いで、有効量の増幅成分を患者に注射し、第2のターゲティングが起こり、循環遊離リポソームが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記成分と共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。第2のターゲットの遊離バブル活性は、イメージングモダリティでモニタリングできる。次いで、有効量の治療成分を患者に注射し、ターゲット/増幅複合体への治療成分の結合が起こり、循環遊離マイクロバブルが血流から実質的にウォッシュアウトするように、患者を前記成分と共に十分な時間(例えば、限定されないが、約3〜10分)インキュベーションする。治療成分の遊離バブル活性は、イメージングモダリティでモニタリングできる。次いで、ターゲティングした薬剤及び/又はターゲティングした治療活性の診断イメージングを実施する。
【0164】
実施例8:虚血を誘発するための、ターゲティング/増幅/治療複合体のin vivo治療用途
実施例7に記載されるように、本実施例を行う。診断イメージングにより、ターゲット部位においてステージI薬剤/ステージII薬剤/ステージIII薬剤の複合体が形成されたことを確認するとすぐに、さらなる量のステージII(増幅)薬剤及び/又はステージIII(イメージング)薬剤を投与する。イメージングによって可視化しながら、複合体上に曝露したものに対する相補対(結合部位)を有する薬剤のさらなる量を、ターゲット部位において血管が実質的に閉塞されるまで連続的方法で投与する。ターゲット部位における管腔の閉塞は、ターゲット部位において血管新生組織の壊死をもたらす。適切なイメージングモダリティを使用して、壊死の過程をモニタリングし、必要な時点において、閉塞を超音波によって除去し得る。
【0165】
実施例9:組織におけるバブルの加熱効果に関する計算
バブルの動態エネルギー:Kirk T. McDonald, "Single-Bubble Sonoluminescence", Joseph Henry Laboratories, Princeton University, Princeton, NJ 08544 (February 2, 1995) (
www.physics.princeton.edu/~mcdonald/examples/ sonobubble.pdfにおいて公開)に基づいて、バブル崩壊で利用可能な最大動態エネルギーをコンピューターで計算した。バブルが名目上は直径3μmから始まって、10μm(容量にフィットする最大)まで膨張し、破裂せずに崩壊して1μmになると仮定すると、10μmから1μmへのサイズ変化で利用可能なエネルギー量は、
【数3】
によって与えられる。
【0166】
インソネーション1サイクルあたりのバブルで利用可能なエネルギー:体積1μL中、10個のターゲティングされたバブルのサイズ変化(増加段階及び減少段階の両方)からの動態エネルギーが100%熱に変換され得ると仮定すると、1サイクルあたりの熱に変換されるエネルギー量は、体積1μL中、
E
バブル=2・5.2x10
−11x10=10
−9J/サイクル
によって与えられる。
【0167】
より多数のターゲティングされたバブルを用いて、より大量のエネルギーを放散し得る。すべての動態エネルギーが熱に変換されない場合、利用可能なエネルギーはより少量である。このエネルギーの画分のみが、バブル減衰係数に応じて、熱に変換されるであろう。
【0168】
バブルの熱放散:de Jong et al. (2009)によれば、小さい励起レベルに関して、液体環境における気泡壁の移動は、運動方程式:
【数4】
(式中、mはバブル−液体系の質量であり、βは放散に関する機械抵抗であり、Sは系の剛性であり、F
駆動(t)は駆動力であり、x(t)は初期半径R
0に対する気泡壁の半径方向移動である)によって特徴付けられる。質量方程式、機械抵抗及び剛性は以下の通りである:
m=4πR
0ρ(式中、pは周囲媒質の密度である)
β=δ
全ωm(式中、δ
全は全減衰であり、ωは角周波数である)
S=12πκP
0R
0(式中、κは熱容量比C
P/C
Vであり、P
0は周囲圧力である)
共振周波数及びL(s
2+2αs+ω
02)(これは、
【数5】
と書き直される)によって特徴付けられる二次系のQ係数の方程式は、
【数6】
である。βに先の方程式を代入して、
【数7】
を求める。
【0169】
de Jong et al.は、直径1〜10μmの水中のガスバブルに関して、約0.1の減衰係数δ
全を示唆しているので、Qは20となり、約5%(1/Q)の変換係数が導かれる。
【0170】
実際には、血液の粘性減衰は、水よりも約3倍高いので、de Jong et al. (2002)は、直径4μm〜10μmのバブルに関して、0.15の水中減衰係数から出発して、0.5前後の全減衰係数を示唆しており、Qは4となるので、超音波から熱へのより高い変換(約25%)が見られるであろう。
【0171】
25%の変換係数を以下の計算に使用した。
【0172】
組織加熱:組織における高周波数音波のすべての減衰は吸収に起因し、このエネルギーはすべて熱に変換されると仮定する。減衰を0.4dB/cm-MHz、及び組織熱容量をρ=3.5J/g℃と仮定して、インソネーション周波数の関数としての出力放散(720mW/cm
2の最大許容出力を使用すると仮定する)を
図4にプロットする。また、組織密度は水と等しい(これは、約5%以内の精度のはずである)と仮定する。
【0173】
ターゲティングされた熱治療の目的は、バブルからの加熱が組織からの加熱よりも大きいインソネーション周波数の範囲並びにバブルの形状及び組成を見出すことである。熱に変換されるバブルサイズ変化動態エネルギーからの加熱は、所定体積のバブル数の他に、どの程度の動態エネルギーがバブルシェルの粘性摩擦から熱に変換されるかということにも依存するであろう。
【0174】
バブルの破壊を回避するために、出力を最大から21dB低減してコントラストパルスシーケンス(CPS)イメージングを実施しながら、Siemens Acuson Sequoia ultrasound systemにおいて、特定のイメージング条件:深度160mm、広角20mmで、4C1腹部プローブからの測定を行った。出力の空間ピーク時間平均(SPTA)及びメカニカルインデックス(MI)を表1に示す。
【0175】
【表1】
【0176】
すべての場合において、このシステムは、267μ秒ごとに約2サイクルを送信し、124Hzのフレームレートで3個の共線的なファイアリング及び10個のトランジットラインに広がる。
【0177】
P2.0又は2.0MHzの送信の場合、267μ秒ごとに2サイクルを124Hzで3回繰り返すと、視野内の各ラインに関して、1秒あたり744サイクルになる。720mW/cm
2のFDA熱限界により、負荷サイクルを250倍増加(2.88mW/cm
2から720mW/cm
2)させることが可能になり、1秒あたりのバブルサイクル数を186,000に増加させる。1μL中、10個のバブルの最大動態エネルギーが10
−9J/秒である場合、動態エネルギーが100%熱に変換されると仮定すると、表2に示されるように、放散される全出力は186μWである。
【0178】
【表2】
【0179】
インソネーションによる組織加熱に関して、及びターゲティングされたバブルで音波を熱に変換することによる加熱に関して、組織温度を1℃上昇させるための時間を
図5にプロットする。組織の熱容量は、ρ=3.5J/g℃であると仮定する。
【0180】
ターゲティングされたバブルの治療有効性は、バブルによって所定体積の組織を1℃上昇させるための時間が、組織によるものよりも大きい場合に生じる。実際の治療効果は、数度の温度上昇で達成され、おそらくは数分で所望の温度に達するであろう。
【0181】
図4及び
図5に示される実施例では、バブル数を1マイクロリットルあたり10個のバブルから1マイクロリットルあたり100個のバブルに増加させることにより、バブルの加熱寄与量は、組織の加熱寄与量よりもかなり大きな量に増加するであろう。バブルサイズインソネーション周波数及び強度に応じて、組織加熱主体からバブル加熱主体へのクロスオーバーを達成して、治療的有用性のレジームになるためには様々な数のバブルが必要とされる。
【0182】
これらの曲線は、十分なバブル集合体及び音波から熱への高レベルの変換が達成される場合に、ターゲティング剤の領域を正常組織よりも迅速に加熱することが可能であることを実証している。同様の最大バブルサイズにより、バブルによって放散される出力は減少するであろう。この出力は、第3の出力の半径に比例する。6kPa付近の圧力において、水は体温で沸騰するので、バブルが膨張し得る大きさの程度には限界がある。
【0183】
安全性を考慮して定められる熱及びMIの限界の範囲内を維持しつつ、超音波インソネーションビームを高度にさらにデフォーカスして、バブルへの出力伝達を体積を超えて最大にすることが可能であろう。
【0184】
球のパッキング並びにバブルの増幅及び集合
増幅段階は、ターゲティングリポソームによって提供されるターゲティング表面積の増加に比例する係数によって、組織の特定領域にターゲティングされるバブル数を増加させ得る。1個のターゲティングリポソームが毛細血管の表面リガンドに付着する以下の事例を検討する。すべてが同じ直径であり、半平面(すなわち、毛細血管壁)に結合した球で理想的にパッキングされているターゲティングリポソーム及びバブルのために、
図6Aに示されるように、最大9個のバブルを1個のターゲティングリポソームに付着させることができる。
【0185】
2段階増幅の場合、同じ直径の球で球の半面を完璧にパッキングすることにより、1個のターゲティングリポソームに対して最大38倍の増幅が可能である。1個のターゲティングリポソーム(黒色で示されるステージI薬剤)は、9個の接着ステージII(増幅)リポソーム(灰色で示される)を有する。ステージIIIでは、
図6Bの3つの列レベルに示されるように、28個のリポソームが、最終的な接着クラスターを形成する。ステージIIで結合した球9個、及びステージIIIでさらに結合した球28個から、(1個のステージIリポソームと共に)38倍の増幅が得られる。
【0186】
実際には、バブルはすべて一定の直径ではないため、バブルの間にギャップがあり、パッキング効率が下がるので、増幅の実際のレベルはより低くなり得る。
【0187】
高度にクラスター化されているバブルは、インソネーション圧力変化に対する直径の変化が、1個の遊離バブルよりも小さくなり、増加したバブル集合体からの熱変換の改善をいくらか制限する可能性がある。
【0188】
音響エネルギーをターゲットされたバブルに効率的に伝達して、有意義な治療効果を達成するために、組織領域内に付着するターゲットされたバブル数を増加させる必要があるだろう。バブル付着の増加は、前記増幅スキームで達成可能である。
【0189】
増幅を音響放射力などの他のバブル付着改善手段と組み合わせて、ターゲットされたバブル集合体をさらに増加させることができる。音響放射力は、最初のターゲティングリポソーム、又はリポソーム増幅段階(最後のガス充填イメージング段階又は治療リポソーム段階を含む)のいずれか若しくはすべてに適用できる。
【0190】
熱処理後に、高音圧パルス(すなわち、MI>0.7)を適用して、ガスが充填されたバブルシェル集合体を破壊し、バブルを分散させることができる。これは、治療後における毛細血管のより長期間の閉塞を防ぐのに役立つ。
【0191】
治療エネルギーの送達前に、より大きな血管又は心室に対して音響エネルギーを高強度かつ短時間に爆発させることによって、循環遊離バブルを破壊して、その次の熱エネルギー送達段階が循環遊離バブルよりもむしろ処置ターゲット(ターゲットされたバブル集合体)により上手く限局されることを確実にすることができる。
【0192】
実施例10:BIACORE(商標)X100光バイオセンサーを利用する多段階増幅の確認
本実施例は、多段階増幅in situを実際に行う。実施例10の多段階増幅のプロトコールは、4つの工程を含んでいた。最初に、フルオレセイン標識BSA(F−BSA)をBIACORE(商標)フローセルの金表面に付着させることによって、ターゲット/結合表面を調製した。ステージ1では、2H1ニュートラアビジンをF−BSAに結合させた。次いで、BIACORE(商標)表面上の2H1ニュートラアビジンの表面をビオチン化マイクロバブルで飽和した。ステージ2では、ニュートラアビジンをステージ1のビオチンマイクロバブルに結合させた。この後に、より多くのビオチンマイクロバブルを添加して、ステージ1のビオチンマイクロバブル複合体に結合させた。ステージ3では、ニュートラアビジンをステージ2のマイクロバブルに結合させた。次いで、ビオチンマイクロバブルをステージ2のニュートラアビジンマイクロバブル複合体に再び結合させた。
【0193】
図7aは、ステージ1の結合に関するBIACORE(商標)用量反応曲線を図示する。本実験では、BIACORE(商標)表面を結合剤(すなわち、ニュートラアビジン)で飽和し、マイクロバブルを限定試薬とした。マイクロバブルを添加したので、シグナルは直線的に増加した。この観察結果は、シグナルの変化が、BIACORE(商標)表面上のマイクロバブルの結合に直接的に関係していたことを証明している。
【0194】
図7bの表は、BIACORE(商標)光バイオセンサーを使用したステージ2の増幅の結果を示す。用量反応曲線の実験とは異なり、過剰のマイクロバブル及び限定的なBIACORE(商標)表面上の結合部位を用いて、結合実験を行った。金表面をステージ1の結合で飽和したところ、12.5反応単位(RU)のシグナル変位が観察された(
図7b)。次いで、ニュートラアビジンの添加よって、ビオチンマイクロバブルをニュートラアビジンマイクロバブルに変換した。ビオチン化マイクロバブルを添加することによって、ステージ2の増幅を得た。飽和が観察される(RUの増加が見られなくなる)まで、マイクロバブルを添加した。ステージ2の結合に関して、46.3RUのシグナル変位が観察された。ステージIIのシグナル変位とステージIのシグナル変位との比は、3.7の増幅係数を示す。
【0195】
実施例11:暗視野位相差顕微鏡によって観察した多段階複合体のin vitroアセンブリ
本実施例では、ポリスチレンペトリ皿でビオチン化BSAを一晩インキュベーションすることによって、ポリスチレン結合表面を調製した;次いで、ニュートラアビジンをビオチン化BSAに結合させて、ターゲット部位を形成させた。ステージ1の結合のために、ビオチン化マイクロバブルをポリスチレン表面上のニュートラアビジンに結合させた;これを
図8に図示する。
【0196】
ステージ2の結合のために、ニュートラアビジンをステージ1のビオチンマイクロバブルに結合させ、次いで、ビオチンマイクロバブルをステージ1のニュートラアビジンマイクロバブル複合体に結合させた。ステージ2の結合を
図9に図示する。
【0197】
ステージ3の結合のために、ニュートラアビジンをステージ2のビオチンマイクロバブルに結合させ、次いで、ビオチンマイクロバブルをステージ2のニュートラアビジンマイクロバブル複合体に結合させた。ステージ3の結合を
図10に図示する。
【0198】
実施例12:ステージ2の増幅のin vitro実演例
材料:Corning, Inc. (Lowell, MA)から、60mmの非TC処理培養皿を入手した。Targesson, Inc. (San Diego, CA)から、Targestar Bビオチン化マイクロバブルを入手した。50μg/mlのビオチン化BGGコーティング溶液を調製した。25μlのB−BGG溶液をペトリ皿の中央にスポットし、スポットを乾燥させた。1%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液にニュートラアビジンを最終濃度30μg/mlで溶解させて、ニュートラアビジン(コート)−BSA(ブロック)溶液を調製した。プレートをニュートラアビジン−BSA溶液と共に混合せずに一晩インキュベーションし、次いで、0.075%TWEEN(登録商標)20を混合した4容積のPBSで洗浄した。
【0199】
ステージ1の結合のために、50μlのビオチン化マイクロバブルをペトリ皿の中央に添加し、プレートを裏返し、手作業で穏やかに10分間混合した次いで、プレートを4容積のPBSで洗浄し、200xで写真撮影した(
図11、左のパネル)。
【0200】
ステージ2の結合のために、1%BSAを含むPBSに溶解させた0.2mMのビオチンを皿に添加し、プレートを穏やかに1時間混合して、過剰なニュートラアビジン部位をブロッキングした。4x3mlのPBSで洗浄した後、次いで、プレートを、1%BSAを含むPBSに溶解させた0.15mMのニュートラアビジンと共に30分間インキュベーションし、その後、4x3mlのPBSで洗浄した。添加したニュートラアビジンにより、ビオチン化マイクロバブルは、ニュートラアビジンマイクロバブルに変換された。50μlのマイクロバブルをペトリ皿の中央に添加し、次いで裏返し、平面上で手作業で10分間混合した。次いで、プレートを4容積のPBSで洗浄した。次いで、1mlのPBSを添加し、プレートを200xで写真撮影した(
図11、右のパネル)。
【0201】
図11に示される結果は、元のターゲットマイクロバブルの増幅を明確に実証している。
【0202】
従って、本発明により、ターゲット検出及び/又は処置のための組成物、並びにその製造方法及び使用方法が提供され、これらは、本明細書において上記に記載される目的及び利点を満たしている。本明細書において上記に記載される特定の図、実験、結果及び言語と共に発明概念を記載したが、多くの代替物、修正物及び変形物が当業者に明らかであろうことは明白である。従って、本開示の及び特許請求の範囲に記載の発明概念の精神並びに広い範囲に含まれるこのような代替物、修正物及び変形物のすべてを包含することを意図する。
【0203】
参考文献
以下の参考文献は、本明細書において記載されるものを補足する例示的な手順又は他の詳細を提供する程度に、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0204】
【表3】