(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押圧部は、前記切断部が前記側壁及び前記接着面にそれぞれ形成されるとともに、前記切断部の非連続部が前記側壁及び前記接着面において異なる位置にもうけられることを特徴とする請求項3に記載の包装容器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施形態に係る包装容器1を、
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る包装容器1の構成を示す斜視図である。
図2は包装容器1の構成であって、外郭体4から収納体5を押し出した開状態を示す斜視図である。
図3は包装容器1の構成であって、外郭体4内に収納体5を収納した閉状態での、押圧部26の使用の一例を示す斜視図である。また、
図4は包装容器1の外郭体4の第1ブランク6の構成を示す平面図である。
図5は包装容器1の収納体5の第2ブランク7の構成を示す平面図である。
【0013】
図1乃至
図3に示すように、包装容器1は、外郭体4と、外郭体4内に収納されるとともに、外郭体4内をスライド(往復動)可能に形成された収納体5と、を備えている。また、包装容器1は、被包装体の包装時においては、その外形状が略直方体の箱状に形成されている。
【0014】
具体的に説明すると、包装容器1は、例えば、被包装体である紙巻たばこTを包装可能な、所謂たばこ箱であり、収納体5内部に内包体を有している。包装容器1は、外郭体4及び収納体5の材料として、紙巻たばこTを包装可能な紙素材が用いられる。
【0015】
このような紙素材の一例として、例えばミードウエストベーコ社製、ハイイールドプリントコート(登録商標)のグラメジが221g/m
3の紙素材が用いられる。なお、紙素材は、これに限定されず、適宜使用可能である。
【0016】
内包体は、例えば、包装容器1の開封まで、紙巻たばこTの束を直接包装し、紙巻たばこTの劣化を防止可能に形成されている。内包体は、保湿性及び保香性等を有している。この内包体は、主として、アルミニウムの膜が蒸着又は積層された紙が用いられる。紙巻たばこTは、フィルター部T1及びたばこ葉が巻回されたたばこ部(たばこロッド部)T2により構成され、フィルター部T1は、たばこ部T2よりも短く形成されている。
【0017】
図1乃至
図4に示すように、外郭体4は、一方の幅が他方の幅よりも長く、且つ、当該幅よりも高さ方向に長い直方体に形成されている。外郭体4は、その内部に収納体5を収納可能に形成されている。外郭体4は、その長手方向、換言すると収納体5のスライド方向の一方の側方の全面が開口する。
【0018】
具体的には、外郭体4は、高さ方向に設けられた第1底壁及び第1上壁11と、長手方向の他方の側方に設けられた第1側壁12と、長手方向と直交する方向に設けられた第1前壁13及び第1後壁14と、を備えている。外郭体4は、第1底壁、第1上壁11、第1側壁12、第1前壁13及び第1後壁14により、その内部に収納体5を収納可能な空間を形成するとともに、その一方の開口端から収納体5を挿入可能に形成されている。
【0019】
第1側壁12は、その一部に開口部16を有している。開口部16は、第1側壁12の略中央に配置されている。開口部16は、収納体5内に収納された紙巻たばこTを取り出す際に、収納体5を指で押圧可能な形状に形成されている。例えば、開口部16は、指の挿入性を向上させるために、略方形状の上縁が山状に突出するように傾斜して形成されている。第1前壁13及び第1後壁14は、その内面側であって長手方向の一方の側方の開口の縁部に、
図4に示す係止部19が設けられる。
【0020】
外郭体4は、
図4に示すように、紙素材から、打ち抜き加工により形成された第1ブランク6を組み立てることで形成される。
【0021】
図1乃至
図3、及び、
図5に示すように、収納体5は、一方の幅が他方の幅よりも長く、且つ、当該幅よりも高さ方向に長い直方体に形成されている。収納体5は、外郭体4の内部の空間に収納可能、且つ、外郭体4に対して往復動可能に形成されている。収納体5は、その高さ方向の上方の少なくとも一部が開口する。
【0022】
具体的には、収納体5は、高さ方向に設けられた第2底壁及び第2上壁21と、長手方向に設けられた一対の第2側壁22と、長手方向と直交する方向に設けられた第2前壁23及び第2後壁24と、を備えている。
【0023】
第2上壁21は、その一部が開口して形成される。第2上壁21は、収納体5の第1側壁12と対向する第2側壁22側の開口を閉塞する。例えば、第2上壁21は、当該第2側壁22から第2前壁23及び第2後壁24のスライド方向の中途部までを閉塞する。
【0024】
一対の第2側壁22は、外郭体4の第1底壁、第1上壁11、第1前壁13及び第1後壁14により形成される開口と略同一形状に形成されている。一対の第2側壁22は、一方が当該開口を閉塞する蓋体を形成し、他方が第1側壁12と対向し、且つ、当接可能に形成される。
【0025】
第1側壁12と対向する第2側壁22は、その一部に、押圧部26を有している。押圧部26は、第2側壁22に設けられ、押圧されることで、第2側壁22から破断し、押圧方向へと変形可能に形成されている。具体的には、押圧部26は、第2側壁22の一部に設けられたヒンジ部27と、ヒンジ部27を中心に回動可能な回動部28と、を備え、ヒンジ部27及び回動部28による形状が略台形状に形成されている。
【0026】
ヒンジ部27は、第2側壁22に設けられた圧痕等の脆弱部である。ヒンジ部27は、第2側壁22の高さ方向の略中央に高さ方向と直交する方向に延設される。回動部28は、第2側壁22の一部により構成されている。具体的には、回動部28は、第2側壁22の一部の周囲が破断可能に一部非連続に切断され、第2側壁22の一部を破断させることで形成されている。
【0027】
回動部28は、ヒンジ部27から上方に向かって漸次小幅となるように形成され、その上端が、収納体5内に収納された紙巻たばこTの上端側であるフィルター部T1に配置されている。このような押圧部26は、
図1に示すように、収納体5が外郭体4に収納されているときに、第1側壁12の開口部16から一部のみ、具体的には、ヒンジ部27及び回動部28の一部が外部に露出する。
【0028】
第2前壁23及び第2後壁24は、同一形状に形成され、その上方であって、第2上壁21に隣接する部位が一部切欠して形成される。第2前壁23及び第2後壁24は、その第1側壁12と対向する第2側壁22側に、係止部19と係合する、
図5に示す被係止部29が設けられる。
【0029】
なお、係止部19及び被係止部29は、互いに係合することで、収納体5の外郭体4からの脱離方向の移動を規制し、収納体5が外郭体4から脱離することを防止する規制手段である。
【0030】
このように収納体5は、第2底壁、第2上壁21、一対の第2側壁22、第2前壁23及び第2後壁24により、方体状に形成されるとともに、そのスライド方向の一方側の上方及び側方の上方側が開口して形成される。収納体5は、
図5に示すように、紙素材から、打ち抜き加工により形成された第2ブランク7を組み立てることで形成される。
【0031】
次に、このような外郭体4及び収納体5を構成する第1ブランク6及び第2ブランク7の構成を、
図4及び
図5を用いて説明する。なお、
図4及び
図5中、鎖線は、ブランク6,7の折線を示し、太線は切断部をそれぞれ示している。折線とは、ブランク6,7の組立時に、ブランク6,7を折り込む部位であり、たとえば、ブランク6,7の製造時に、折線を案内する圧痕が形成される。以下、折線を「圧痕」として説明する。また、切断部とは、所謂切れ刃と呼ばれるブランク6,7の形成時に切断した部位である。
【0032】
図4に示すように、第1ブランク6は、外郭体4を展開した形状に紙素材を打ち抜き加工により切断した素材片である。第1ブランク6は、第1底面30と、第1上面31と、第1側面32と、第1前面33と、第1後面34と、第1接着面35と、一対の係止部19と、を備えている。
【0033】
第1底面30は、第1底壁を形成する。第1底面30は、圧痕80を介して第1前面33と一体に成形されている。第1底面30は、圧痕80で曲折されることで、第1前面33(第1前壁13)に対して直交する第1底壁を構成する。
【0034】
第1上面31は、第1上壁11を形成する。第1上面31は、圧痕81を介して第1前面33と一体に成形されている。第1上面31は、圧痕81で曲折されることで、第1前面33(第1前壁13)に対して直交する第1上壁11を構成する。
【0035】
第1側面32は、第1側壁12を形成する。第1側面32は、その一部が切断されることで開口部16が形成されるとともに、圧痕82,83を介して第1前面33及び第1後面34と一体に成形されている。また、第1側面32は、その長手方向の両端側に、圧痕84,85を介して第1接着面35が一体に成形される。第1側面32は、圧痕82,83,84,85で曲折されることで、第1前面33(第1前壁13)及び第1後面34(第1後壁14)に対して直交する第1側壁12を構成する。
【0036】
第1前面33は、第1前壁13を形成する。第1前面33は、圧痕80,81,82,86を介して、第1底面30、第1上面31、第1側面32及び係止部19と一体に成形されている。第1前面33は、圧痕80,81,82,86で曲折されることで、第1底面30(第1底壁)、第1上面31(第1上壁11)及び第1側面32(第1側壁12)に対して直交する第1前壁13を構成する。
【0037】
第1後面34は、第1後壁14を形成する。第1後面34は、圧痕83,87,88,89を介して、第1側面32、第1接着面35及び係止部19と一体に成形されている。第1後面34は、圧痕83,87,88,89で曲折されることで、第1底面30(第1底壁)、第1上面31(第1上壁11)及び第1側面32(第1側壁12)に対して直交し、且つ、第1前壁13と平行の第1後壁14を構成する。
【0038】
係止部19は、圧痕86及び圧痕89を介して、第1前面33及び第1後面34にそれぞれ一体に成形されている。係止部19は、圧痕86,89でそれぞれ曲折されることで、第1前面33(第1前壁13)及び第1後面34(第1後壁14)の互いに対向する面とそれぞれ対向する。係止部19は、曲折した圧痕86,89の復元力により、その端部が、第1前壁13及び第1後壁14から若干離間する。
【0039】
第1接着面35は、第1底面30及び第1上面31の内面と接着することで、ブランク6が外郭体4を形成する。具体的には、第1接着面35は、第1底面30と接着される第1底面接着面36及び第2底面接着面37と、第1上面31と接着される第1上面接着面38及び第2上面接着面39と、を備えている。
【0040】
第1底面接着面36は、圧痕84を介して第1側面32に一体に成形されている。第2底面接着面37は、圧痕87を介して第1後面34に一体に成形されている。第1底面接着面36及び第2底面接着面37は、圧痕83,84,87が曲折されることで隣り合い、第1底面30と略同一形状を形成する。
【0041】
第1上面接着面38は、圧痕85を介して第1側面32に一体に成形されている。第2上面接着面39は、圧痕88を介して第1後面34に一体に成形されている。第1上面接着面38及び第2上面接着面39は、圧痕83,85,88が曲折されることで隣り合い、第1上面31と略同一形状を形成する。
【0042】
図5に示すように、収納体5を形成する第2ブランク7は、収納体5を展開した形状に紙素材を打ち抜き加工により切断した素材片である。第2ブランク7は、第2底面50と、第2上面51と、一対の第2側面52と、第2前面53と、第2後面54と、第2接着面55と、を備えている。
【0043】
第2底面50は、第2底壁を形成する。第2底面50は、圧痕90,91を介して第2前面53及び第2後面54と一体に成形されている。第2底面50は、圧痕90,91で曲折されることで、第2前面53(第2前壁23)及び第2後面54(第2後壁24)に対して直交する第2底壁を構成する。
【0044】
第2上面51は、第2上壁21を形成する。第2上面51は、圧痕92を介して第2前面53と一体に成形されている。第2上面51は、圧痕92で曲折されることで、第2前面53(第2前壁23)に対して直交する第2上壁21を構成する。
【0045】
一対の第2側面52は、一対の第2側壁22を形成する。第2側面52の一方は、その一部に圧痕57及び非連続部を有して切断された第1切断部58を有する押圧面56が形成される。一対の第2側面52は、圧痕93,94を介して第2前面53とそれぞれ一体に成形されている。また、第2側面52は、その長手方向の一端側、さらに言えば第2底面50側に、圧痕95,96を介して第2接着面55がそれぞれ一体に成形される。第2側面52は、圧痕93,94,95,96でそれぞれ曲折されることで、第2前面53(第2前壁23)に対して直交する一対の第2側面52を構成する。
【0046】
一方の第2側面52に設けられた押圧面56は、後述する押圧面接着部65が接着されることで、押圧部26を構成する。押圧面56の圧痕57は、後述する第2切断部66と積層されることで、ヒンジ部27を構成する。
【0047】
押圧面56の第1切断部58は、例えば、その一端が圧痕57に連続し、他端が、圧痕57から若干離間する位置まで非連続に、換言すると圧痕57と離間して配置される。また、第1切断部58は、その他端の圧痕57との非連続部とは別に、その一部が非連続に形成されている。第1切断部58は、具体的には、その略中心から一方側の一箇所において切断されていない非連続部が形成されている。
【0048】
第2前面53は、第2前壁23を形成する。第2前面53は、圧痕90,92,93,94を介して、第2底面50、第2上面51、一対の第2側面52と一体に成形されている。第2前面53は、圧痕90,92,93,94で曲折されることで、第2底面50(第2底壁)、第2上面51(第2上壁21)及び第2側面52(第2側壁22)に対して直交する第2前壁23を構成する。
【0049】
また、第2前面53は、押圧面56が設けられた一方の第2側面52に隣接して設けられ、係止部19と係合する被係止部29が形成されている。被係止部29は、第2前面53の圧痕93から他方の圧痕94に向かって略C字型に一部が切欠(切断)されることで形成された、圧痕93から突出する突起により構成される。
【0050】
第2後面54は、第2後壁24を形成する。第2後面54は、圧痕91,97,98,99を介して、第2底面50及び第2接着面55と一体に成形されている。第2後面54は、圧痕91,97,98,99で曲折されることで、第2底面50(第2底壁)に対して直交し、且つ、第2前壁23と平行の第2後壁24を構成する。第2後面54は、第2接着面55の後述する押圧面接着部65を有する第1側面接着面64に隣接して設けられ、係止部19と係合する被係止部29が形成されている。
【0051】
第2接着面55は、第2底面50、第2上面51、及び、一対の第2側面52の内面と接着することで、収納体5を形成可能に形成されている。具体的には、第2接着面55は、第2底面50と接着される第3底面接着面61及び第4底面接着面62と、第2上面51と接着される第3上面接着面63と、一対の第2側面52とそれぞれ接着される一対の第1側面接着面64と、を備えている。
【0052】
第3底面接着面61は、圧痕95を介して、押圧面56が設けられた一方の第2側面52に一体に成形されている。第4底面接着面62は、圧痕96を介して、他方の第2側面52に一体に成形されている。第3底面接着面61及び第4底面接着面62は、圧痕93,94,95,96が曲折されることで、互いに離間して隣り合い、第2底面50の両端側に接着される。
【0053】
第3上面接着面63は、圧痕97を介して第2後面54に一体に成形されている。第3上面接着面63は、第1上面51と略同一形状に形成される。第3上面接着面63は、圧痕90,91,92,97が曲折されることで、第1上面51に接着される。一対の第1側面接着面64は、圧痕98,99を介して第2後面54に一体に成形されている。押圧面56が形成された第2側面52に接着される第1側面接着面64は、当該第2側面52と積層したときに、押圧面56と同一位置に、押圧面接着部65が形成されている。
【0054】
押圧面接着部65は、第2切断部66及び第3切断部67を備えている。第2切断部66は、例えば、同一線上に非連続で複数切断されている。第2切断部66は、押圧面56の圧痕57と同一位置に形成される。第3切断部67は、押圧面56の第1切断部58と略同一形状であって、積層された際に、線対称となる形状に形成されている。具体的には、第3切断部67は、例えば、切断された部位の一端が第2切断部66の延長上まで延設され、他端が、当該延長上から若干離間する位置まで配置される。また、第3切断部67は、第2切断部66の延長上への非連続部とは別に、その一部が非連続に形成されている。第3切断部67は、具体的には、その略中心から他方側の一箇所において切断されていない非連続部非連続が形成されている。
【0055】
このように構成された第1ブランク6及び第2ブランク7は、各圧痕が同方向に折りこまれるとともに、第1接着面35及び第2接着面55にそれぞれ接着剤が塗布され、対応する面に接着される。これにより、第1ブランク6は外郭体4を、第2ブランク7は収納体5をそれぞれ形成する。
【0056】
また、第1ブランク6及び第2ブランク7から形成された外郭体4及び収納体5は、一体に組み立てられる。具体的には、収納体5が、押圧部26が形成された第2側壁22から外郭体4内に挿入される。このとき、第1ブランク6及び第2ブランク7の各圧痕の曲折した際の当該圧痕の復元力により、係止部19及び被係止部29は、折方向と反対方向へと圧痕86,89,93,98を中心に回動する。
【0057】
このため、係止部19は、収納体5の内面から離間する方向へ回動し、被係止部29は収納体5の外側へと移動する方向へ回動する。結果、外郭体4に挿入された収納体5を、外郭体4から抜き出す方向に移動させると、係止部19及び被係止部29が互いに係合し、収納体5の移動を規制可能となる。このようにして、一体の包装容器1が組み立てられる。
【0058】
なお、包装容器1は、収納体5を外郭体4内に挿入する前であって、且つ、収納体5を第2ブランク7から形成するときに、内包体に包装された紙巻たばこTのたばこ束を収納体5の内部に固定することで、紙巻たばこTを包装する。たばこ束を包装した包装容器1は、包装容器1の外囲が透明フィルム等の外包フィルムで外包される。これにより、たばこ商品となる。
【0059】
次に、このように構成された包装容器1の紙巻たばこTの取り出し方法について、以下説明する。
先ず、
図1に示すように、収納体5が外郭体4に収納された状態の包装容器1を持ち、外郭体4の開口部16から収納体5を押圧する。この押圧により収納体5がスライド移動し、収納体5の開口端が露出する。
【0060】
これにより、
図2に示すように、収納体5に収納された紙巻たばこTも外部に露出することとなり、紙巻たばこTを取り出し可能となる。次に、収納体5の開口に位置する紙巻たばこTを取り出し、収納体5内の外部に露出されない位置、具体的には、第1上壁11及び第2上壁21の下方に位置する紙巻たばこTを取り出す場合を説明する。
【0061】
先ず、
図1に示す包装容器1の状態から収納体5を押圧し、収納体5の第2側壁22を、外郭体4の第1側壁12から若干離間させる。これにより、
図1に示すように、その一部が第1側壁12と接触していた押圧部26は、その全体が開口部16から視認可能となる。
【0062】
この状態で、外郭体4及び収納体5を押え、開口部16から指を挿入し、押圧部26の回動部28を押圧する。これにより、押圧部26、さらに言えば第1切断部58及び第3切断部67の非連続部が破断し、
図3に示すように、回動部28が第2側壁22から収納体5内に移動する。なお、押圧部26の破断の状態を示す便宜上、
図3においては、包装容器1は、第1側壁12及び第2側壁22が当接している状態で示す。
【0063】
このように回動部28が破断することで、回動部28の先端が紙巻たばこTのフィルター部T1に当接し、複数本がまとまって固定された紙巻たばこTが開口側へと移動し、収納体5の開口取り出しが可能となる。
【0064】
このように構成された包装容器1によれば、収納体5に、収納体5内の外部に露出しない位置に紙巻たばこTの一部が残存しても、当該押圧部26を破断させて回動部28を回動させることで、押圧部26により紙巻たばこTを押圧することが可能となる。これにより、収納体5内に固定された紙巻たばこTを収納体5の開口に移動させることが可能となり、収納体5の紙巻たばこTを容易に取り出すことが可能となる。
【0065】
また、押圧部26は、その一部が、第1側壁12の略中心に設けられた開口部16よりも上方に配置される。これにより、収納体5をスライド移動させる際には、収納体5に設けられたヒンジ部27を押圧することになる。このため、誤って回動部28を破断させることを防止できる。また、押圧部26の破断時には、回動部28の先端は紙巻たばこTの上端側、即ち、たばこ部T2よりも強度が高いフィルター部T1を押圧することとなる。このため、押圧部26により紙巻たばこTを押圧しても、たばこ部T2を変形させることがない。このため、たばこ部T2の変形や、当該変形によるたばこ部T2のたばこ葉の密度変化等を防止可能となり、紙巻たばこTの品質を維持することができる。
【0066】
また、押圧部26は、対称に形成された第1切断部58及び第3切断部67が積層される構成であることから、当該第1切断部58及び第3切断部67の非連続部は、それぞれ、押圧部26の左右両方に配置される。また、第1、第3切断部58,67の端部のヒンジ部27(圧痕57及び第2切断部66)から若干離間する位置まで設けられた非連続部も、左右両方にそれぞれ配置される。
【0067】
これらのことから、破断時の力が均等に当該非連続部に加わるため、破断前に押圧部26の一部が収納体5内へと変形することを防止可能となる。また、押圧部26は、破断のための押圧に対する適度な耐力を得ることが可能となる。
【0068】
上述したように、本実施形態に係る包装容器1によれば、収納体5内の第2側面52側に位置する紙巻たばこTを、押圧部26の回動部28により押圧することで、収納体5の端側に残存する紙巻たばこTを容易に取り出すことが可能となる。
【0069】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、包装容器1は、上述した形状に限定されない。以下、本発明の第2の実施形態に係る包装容器1の外郭体4の第1ブランク6A及び収納体5の第2ブランク7Aを、
図6及び
図7を用いて説明する。
【0070】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る包装容器1の外郭体4を形成する第1ブランク6Aの構成を示す平面図、
図7は、同包装容器1の収納体5を形成する第2ブランク7Aの構成を示す平面図である。なお、
図6及び
図7の第2の実施形態に係る包装容器1中、
図1乃至
図5にて説明した第1の実施形態に係る包装容器1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0071】
図6に示すように、包装容器1の外郭体4を形成する第1ブランク6Aは、外郭体4を展開した形状に紙素材を打ち抜き加工により切断した素材片である。第1ブランク6Aは、第1底面30と、第1上面31と、第1側面32と、第1前面33と、第1後面34と、一対の係止部19と、第1接着面35と、を備えている。
【0072】
第1側面32は、第1側壁12を形成する。第1側面32は、その一部が切断されることで開口部16Aが形成される。開口部16Aは、第1側壁12の略中央に設けられるとともに、その高さ方向の辺部が湾曲して形成されている。
【0073】
図7に示すように、包装容器1の収納体5を形成する第2ブランク7Aは、収納体5を展開した形状に紙素材を打ち抜き加工により切断した素材片である。第2ブランク7Aは、第2底面50と、第2上面51と、一対の第2側面52と、第2前面53と、第2後面54と、第2接着面55Aと、を備えている。
【0074】
第2底面50は、第2底壁を形成する。第2底面50は、圧痕90,100を介して第2前面53及び第2接着面55Aと一体に成形されている。第2上面51は、第2上壁21を形成し、圧痕92を介して第2前面53と一体に成形されている。
【0075】
一対の第2側面52は、一対の第2側壁22を形成する。第2側面52の一方は、その一部に圧痕57及び一部を除いて切断された第1切断部58を有する押圧面56が形成される。第2側面52の一方は、圧痕93を介して第2前面53と一体に成形されている。
【0076】
第2側面52の他方は、圧痕101,102,103を介して第2前面53、第2後面54及び第2接着面55Aと一体に成形されている。第2側面52の他方と第2前面53及び第2後面54との間に設けられた圧痕101,102は、複数の圧痕の組み合わせによりそれぞれ形成されている。圧痕101,102は、曲折することで、第2側面52の他方と、第2前面53及び第2後面54とを略曲面で連続する。即ち、収納体5の第2側面52の隅部(陵部)が略曲面で形成される。
【0077】
第2接着面55Aは、第2底面50、第2上面51、及び、一対の第2側面52の内面と接着することで、第2部ランク7Aが収納体5を形成する。具体的には、第2接着面55Aは、第2底面50と接着される第3底面接着面71と、第2上面51と接着される第3上面接着面63と、一対の第2側面52とそれぞれ接着され、押圧面接着部65が形成された第1側面接着面64及び第2側面接着面72と、を備えている。
【0078】
第3底面接着面71は、第2底面50と略同一形状に形成され、圧痕104を介して、第2後面54に一体に成形され、圧痕104が曲折されることで、第2底面50に接着される。
【0079】
第2側面接着面72は、第2底面50、他方の第2側面52及び第3底面接着面71に圧痕100,103,105を介して、一体に成形されている。第2底面50及び第2側面52に一体に成形された第2側面接着面72は、圧痕104,105が曲折されることで、圧痕101,102間の第2側面52に接着される。第3底面接着面71に一体に成形された第2側面接着面72は、圧痕100が曲折されることで、第1側面接着面64に接着される。
【0080】
このように構成された第2ブランク7Aは、組み立てることで、外側に位置する第2側面52の隅部を略曲面で連続する収納体5を形成することが可能となる。
【0081】
このように構成された本発明の第2の実施形態に係る第1、第2ブランク6A,7Aにより外郭体4及び収納体5が形成された包装容器1によれば、上述した一実施形態に係る包装容器1と同様に、容易に紙巻たばこを取り出し可能な効果を有するとともに、当該包装容器1と異なる外形状とすることが可能となる。
【0082】
なお、包装容器1は、
図1乃至
図7に示す、収納体5,が外郭体4に対してスライド移動する構成に限定されない。例えば、包装容器1は、収納体5が、外郭体4に対して回動する構成であってもよい。以下、本発明の第3の実施形態に係る包装容器1Bの外郭体4の第1ブランク6B及び収納体5の第2ブランク7Bを、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0083】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る包装容器1Bの構成を示す斜視図、
図9は、同包装容器1Bの外郭体4を形成する第1ブランク6Bの構成を示す平面図、
図10は、同包装容器1Bの収納体5を形成する第2ブランク7Bの構成を示す平面図である。なお、
図8乃至
図10の第3の実施形態に係る包装容器1B中、
図1乃至
図5にて説明した第1の実施形態に係る包装容器1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0084】
図8に示すように、包装容器1Bは、外郭体4と、外郭体4内に収納されるとともに、外郭体4内を回動可能に形成された収納体5と、を備えている。また、包装容器1Bは、被包装体の包装時においては、その外形状が略直方体の箱状に形成されている。
【0085】
図9に示すように、包装容器1Bの外郭体4を形成する第1ブランク6Bは、外郭体4を展開した形状に紙素材を打ち抜き加工により切断した素材片である。第1ブランク6Bは、第1底面30Bと、第1上面31と、第1側面32と、第1前面33と、第1後面34と、一対の係止部19Bと、第1接着面35Bと、を備えている。
【0086】
第1底面30Bは、第1底壁を形成する。第1底面30Bは、圧痕80Bを介して第1前面33と一体に形成される。第1底面30Bは、係止部19B側から第1側面32側に向かって圧痕80Bと同一直線状に切断されている。換言すると、第1底面30Bは、第1前面33との連続部の一部が切断され、一部が圧痕80Bで連続して形成される。
【0087】
なお、第1底面30Bは、当該一部が切断された終端部において、第1底面30Bの中央側、且つ、第1側面32側に向かって傾斜する切れ込み(切断)が設けられていることが望ましい。第1底面30Bは、圧痕80Bで曲折されることで、第1前面33(第1前壁13)に対して直交するとともに、その一部が、外側へと変形可能な第1底壁を構成する。
【0088】
第1接着面35Bは、第1底面30Bと接着される第1底面接着面36及び第2底面接着面37Bと、第1上面31と接着される第1上面接着面38及び第2上面接着面39と、を備えている。
【0089】
第2底面接着面37Bは、圧痕87Bを介して第1後面34と一体に成形されるとともに、係止部19B側から第1側面32側に向かって圧痕87Bと同一直線状に切断されている。さらに言えば、第1底面30Bと同様に、第1後面34との連続部の一部が切断され、一部が圧痕87Bで連続して形成される。
【0090】
一対の係止部19Bは、収納体5の後述する被係止部29Bと係合可能に形成されている。一対の係止部19Bは、高さ方向の上方に設けられた第1切欠部41と、下方に設けられた第2切欠部42を有し、第1切欠部41が第2切欠部42よりも深い切欠に形成されている。
【0091】
図10に示すように、包装容器1Bの収納体5を形成する第2ブランク7Bは、収納体5を展開した形状に紙素材を打ち抜き加工により切断した素材片である。第2ブランク7Bは、第2底面50と、第2上面51と、一対の第2側面52と、第2前面53Bと、第2後面54Bと、第2接着面55と、を備えている。
【0092】
第2前面53Bは、第2前壁13を形成する。第2前面53Bは、圧痕90,92,93,94を介して、第2底面50、第2上面51、一対の第2側面52と一体に成形されている。第2前面53Bは、圧痕90,92,93,94で曲折されることで、第2底面50(第2底壁)、第2上面51(第2上壁21)及び第2側面52(第2側壁22)に対して直交する第2前壁23を構成する。
【0093】
また、第2前面53Bは、押圧面56が設けられた一方の第2側面52に隣接して設けられ、係止部19Bと係合する被係止部29Bが形成されている。被係止部29Bは、第2前面53Bの、複数個所において、圧痕93から他方の圧痕94に向かって略C字型に一部が切欠(切断)されることで形成された圧痕93から突出する突起により構成される。
【0094】
具体的には、被係止部29Bは、その下端部が第1切欠部41と係合する第1突起部43と、その下端部が第2切欠部42と係合する第2突起部44と、を備えている。第1突起部43は、第2突起部44よりも高さ方向で上方に配置される。また、第1突起部43及び第2突起部44は、第2底面50からの距離が、第1切欠部41及び第2切欠部42の第1底面30Bからの距離よりも離間して形成される。
【0095】
第2後面54Bは、第2後壁24を形成する。第2後面54Bは、圧痕91,97,98,99を介して、第2底面50及び第2接着面55と一体に成形されている。第2後面54Bは、圧痕91,97,98,99で曲折されることで、第2底面50(第2底壁)に対して直交し、且つ、第2前壁23と平行の第2後壁24を構成する。第2後面54Bは、第2接着面55の後述する押圧面接着部65を有する第1側面接着面64に隣接して設けられ、係止部19と係合する被係止部29Bが形成されている。
【0096】
このように構成された第1ブランク6B及び第2ブランク7Bは、組み立てることで、第1底壁の開口端側の一部が変形可能、且つ、係止部19Bを有する外郭体4、及び、被係止部29Bを有する収納体5が形成される。
【0097】
このように構成された包装容器1Bによれば、収納体5が、開口部16から押圧されることで、外郭体4の開口端側の第1底壁が、当該切断された終端部を中心に外郭体4の外側へと変形する。これにより、収納体5は、当該第1底壁の変形と同様に、当該終端部を中心に回動し、結果、外郭体4に対して回動することとなる。このとき、収納体5は、被係止部29Bの第1、第2突起部43,44が、係止部19Bの第1、第2突起部41,42と係合することから、外郭体4から脱落することが防止される。
【0098】
このように構成された外郭体4に対して回動する収納体5を有する包装容器1Bは、上述した外郭体4に対してスライド移動する収納体5を有する包装容器1と同様の容易に紙巻たばこを取り出し可能な効果を得ることが可能となる。
【0099】
また、本発明は、これら構成に限定されず、他の実施形態であってもよい。例えば、上述した例では、押圧部26は、ヒンジ部27が、圧痕57及び第2切断部66により形成される構成を説明したが、第2切断部66を圧痕としてもよい。
【0100】
また、回動部28は、第2側面52及び側面接着面64を第1切断部58及び第2切断部67で一部非連続として形成する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、回動部28は、第2側面52の第1切断部58によってのみ構成し、側面接着面64は、回動部28の形状に切欠(開口)させる構成であってもよい。この場合、第1切断部58は、非連続部を複数設けることで、誤って回動部28を破断することを防止可能な強度とすることが望ましい。
【0101】
また、包装容器1,1Bは、被包装体として紙巻たばこTを包装する構成を説明したがこれに限定されず、他の被包装体であってもよい。なお、包装容器1は、他の被包装体を包装する場合に、当該被包装体を押圧部26により押圧する部位に制限が有る場合には、当該押圧する部位に回動部28の先端が位置するように、第2側面22に対する押圧部26の位置を適宜設定可能である。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] その上部に開口端を有し、その内部に被包装体を収納する収納体と、
その一端から前記収納体を挿入可能、且つ、前記収納体がスライド移動又は回動可能に形成され、前記収納体の移動方向の前記収納体が当接する面に開口部が設けられた外郭体と、
前記収納体の移動を規制する規制手段と、を備え、
前記収納体は、前記収納体の移動方向の前記外郭体と当接する側壁に、前記収納体内に移動することで、前記収納体内に収納された前記被包装体を押圧する押圧部を具備すること、
を特徴とする包装容器。
[2] 前記押圧部は、前記側壁に設けられたヒンジ部と、非連続部を有する前記側壁の一部を切断した前記ヒンジ部に隣接する切断部により前記側壁に形成された回動部と、を有し、前記切断部の前記非連続部が破断することで前記ヒンジ部を中心に、前記回動部が前記収納体内へ回動することを特徴とする[1]に記載の包装容器。
[3] 前記押圧部は、その一部が前記外郭体の前記開口部と対向することを特徴とする請求項2に記載の包装容器。
[4] 前記収納体は、ブランクを組み立てることで形成され、前記押圧部が形成された前記側壁は、同一形状の接着面が接着されていることを特徴とする、[2]に記載の包装容器。
[5] 前記押圧部は、前記切断部が前記側壁及び前記接着面にそれぞれ形成されるとともに、前記切断部の非連続部が前記側壁及び前記接着面において異なる位置にもうけられることを特徴とする[4]に記載の包装容器。
[6] 前記被包装体は、フィルター部を有する紙巻タバコであり、
前記押圧部は、前記側壁の前記紙巻タバコの前記フィルター部を押圧する位置に前記ヒンジ部及び前記回動部が形成されていることを特徴とする[1]に記載の包装容器。