特許第5747125号(P5747125)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル)の特許一覧

特許5747125通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス
<>
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000002
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000003
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000004
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000005
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000006
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000007
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000008
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000009
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000010
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000011
  • 特許5747125-通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747125
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】通信ネットワークにおいて基本系列を処理する方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20150618BHJP
【FI】
   H04W72/04 136
【請求項の数】21
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-518501(P2014-518501)
(86)(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公表番号】特表2014-521237(P2014-521237A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】SE2012050749
(87)【国際公開番号】WO2013002726
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2014年2月12日
(31)【優先権主張番号】61/503,102
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】ソレンティノ, ステファノ
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−199902(JP,A)
【文献】 特開2009−010659(JP,A)
【文献】 特表2011−529290(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/157723(WO,A2)
【文献】 国際公開第2010/011083(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワーク(100)において基本系列を処理する、ネットワークノード(103)における方法であって、
前記ネットワークノード(103)は、第1のユーザ装置(105)と通信し、前記ネットワークノード(103)は、デフォルト基本系列及び代替基本系列に関する情報を有しており、
前記方法は、
前記第1のユーザ装置(105)について、前記デフォルト基本系列を前記代替基本系列で置換すべきであることを判定するステップ(405,505,901)と、
前記判定された基本系列に関する情報を前記第1のユーザ装置(105)へ送出するステップ(406,506,901)と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記デフォルト基本系列を前記代替基本系列で置換すべきであることの前記判定は、前記第1のユーザ装置(105)が受けた干渉に関する情報に基づいて、又は前記第1のユーザ装置(105)が干渉を受ける確率に関する情報に基づいて行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のユーザ装置(105)から受信された信号を評価するステップ(401,402,501)と、
前記評価された信号に基づいて、前記通信ネットワーク(100)において前記第1のユーザ装置(105)が干渉を受けることを特定するステップ(403,404,502)と、を更に含み
前記デフォルト基本系列を前記代替基本系列で置換すべきであることの前記判定(405,505,901)は、前記特定された干渉に基づいて行われる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記評価された信号に基づいて、前記第1のユーザ装置(105)が受けた前記干渉を発生させる第2のユーザ装置(107)を特定するステップ(403,404,503)を更に含み、
前記第2のユーザ装置(107)は、前記代替基本系列として割り当てられる第2の基本系列を用いている
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記信号を評価する前記ステップ(501)は、
前記信号に含まれる基準信号に関連付けられた電力を測定するステップ(402,501a)と、
前記通信ネットワーク(100)における前記第1のユーザ装置(105)の位置を取得するステップ(402,501c)と、
前記基準信号及び前記位置の少なくともいずれかが、それぞれの閾値を下回ることを判定するステップ(402,501d)と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記代替基本系列に関する情報は、スケジューリング情報を介して、又はRRCシグナリングを介して前記第1のユーザ装置(105)へ送出されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のユーザ装置(105)へのスケジューリング情報を介した前記代替基本系列に関する情報の前記送出は、
‐DMRSに対する特定のCS/OCCの組合せに対応するデータビット値の形式のコードポイント、
‐前記代替基本系列のインデックス、または
‐前記代替基本系列
のうちの1つを、前記判定された代替基本系列による前記デフォルト基本系列の置換をトリガするためにスケジューリング・グラントに含めるステップを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記評価された信号に基づいて、前記第1のユーザ装置(105)が受けた前記干渉を発生させる第3のユーザ装置(109)を特定するステップ(403,404,504)と、
前記判定された代替基本系列であって、前記第2の基本系列に対応する代替基本系列に関する情報を、前記第3のユーザ装置(109)に送出するステップ(406,507)と、
前記第1のユーザ装置(105)と前記第3のユーザ装置(109)とを協調スケジューリングするステップ(508)と、
を更に含むことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ネットワークノード(103)は、無線チャネル(102)を介して前記第1のユーザ装置(105)と通信し、
前記方法は、前記代替基本系列に基づいて、前記ネットワークノード(103)と前記第1のユーザ装置(105)との間の前記無線チャネル(102)を推定するステップ(510)を更に含む
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記判定された代替基本系列に関する情報は、前記判定された代替基本系列、又は前記代替基本系列を含むテーブルに対してポインティングするインデックスを含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ネットワークノード(103)は、セル(101)をサービングし、前記セル(101)内の前記第1のユーザ装置(105)と通信し、
前記代替基本系列は、ユーザ装置固有の基本系列であり、前記デフォルト基本系列は、セル固有の基本系列である
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記代替基本系列に従った基準信号を前記第1のユーザ装置(105)から受信するステップ(509)を更に含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記判定された代替基本系列に関する情報を前記第1のユーザ装置(105)へ送出する前記ステップ(406,506)は、無線リソース制御(RRC)シグナリングを介して前記代替基本系列を用いて前記第1のユーザ装置(105)を設定するステップを含む
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
通信ネットワーク(100)において基本系列を処理するユーザ装置(105)における方法であって、
前記ユーザ装置(105)は、ネットワークノード(103)と通信し、前記ユーザ装置(105)は、デフォルト基本系列を用いており、
前記方法は、
前記デフォルト基本系列を代替基本系列で置換すべきであるという情報を、前記ネットワークノード(103)から受信するステップ(406,702,1001)と、
前記デフォルト基本系列を前記代替基本系列で置換するステップ(703,1002)と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
干渉を評価するための信号又は干渉の確率を評価するための信号を、前記ネットワークノード(103)へ送出するステップ(401,701)を更に含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ユーザ装置(105)は、前記ネットワークノード(103)によってサービングされるセル(101)内に位置しており、
前記代替基本系列は、ユーザ装置固有の基本系列であり、前記デフォルト基本系列は、セル固有の基本系列である
ことを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記代替基本系列に関する情報を受信する前記ステップ(406,702,1001)は、前記ネットワークノード(103)からシグナリングされるRRC設定で、前記代替基本系列を受信するステップを含む
ことを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記代替基本系列に関する情報を受信する前記ステップ(406,702,1001)は、前記デフォルト基本系列を前記代替基本系列で置換することをトリガする情報を、前記ネットワークノード(103)からのスケジューリング・グラントで受信するステップを含む
ことを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記スケジューリング・グラントは、前記デフォルト基本系列を前記代替基本系列で置換することをトリガするための以下の情報、
‐DMRSに対する特定のCS/OCCの組合せに対応するデータビットの形式のコードポイント、
‐前記代替基本系列のインデックス、または
‐前記代替基本系列
のうちの1つを含む
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
通信ネットワーク(100)における基本系列を処理するネットワークノード(103)であって、
前記ネットワークノード(103)は、第1のユーザ装置(105)と通信し、前記ネットワークノード(103)は、デフォルト基本系列及び代替基本系列に関する情報を有しており、
前記ネットワークノード(103)は、
前記第1のユーザ装置(105)について、前記デフォルト基本系列を前記代替基本系列で置換すべきであることを判定する判定ユニット(601)と、
前記判定された基本系列に関する情報を前記第1のユーザ装置(105)へ送出する送出ユニット(602)と、
を備えることを特徴とするネットワークノード。
【請求項21】
通信ネットワーク(100)における基本系列を処理するユーザ装置(105)であって、
前記ユーザ装置(105)は、ネットワークノード(103)と通信し、前記ユーザ装置(105)は、デフォルト基本系列を用いており、
前記ユーザ装置(105)は、
前記デフォルト基本系列を代替基本系列で置換すべきであるという情報を、前記ネットワークノード(103)から受信する受信ユニット(801)と、
前記デフォルト基本系列を前記代替基本系列で置換する処理ユニット(805)と、
を備えることを特徴とするユーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、全体として、ネットワークノード及びネットワークノードにおける方法、並びにユーザ装置及びユーザ装置における方法に関する。特に、通信ネットワークにおいて基本系列を処理することに関する。
【背景技術】
【0002】
通信システム又は無線通信システムとも呼ばれる一般的なセルラネットワークにおいて、ユーザ装置(UE)は、無線アクセスネットワーク(RAN)を介して1つ以上のコアネットワーク(CN)と通信する。
【0003】
ユーザ装置は移動端末であり、加入者は、移動端末により、オペレータのコアネットワークにより提供されるサービス、並びにオペレータのRAN及びCNがアクセスを提供するオペレータネットワークの外側のサービスにアクセスできる。ユーザ装置は、例えば無線機能を有する移動電話、携帯電話又はラップトップ等の通信デバイスであってもよい。ユーザ装置は、無線アクセスネットワークを介して、別の移動局又はサーバ等の別のエンティティと音声及びデータの少なくともいずれかを通信できるポータブルデバイス、ポケット収納可能デバイス、ハンドヘルドデバイス、コンピュータを備えた移動デバイス又は車両搭載移動デバイスであってもよい。
【0004】
ユーザ装置は、通信ネットワークにおいて有線又は無線で通信できる。通信は、セルラネットワーク内に含まれた無線アクセスネットワーク及び場合によっては1つ以上のコアネットワークを介して、例えば2つのユーザ装置間、ユーザ装置と通常の電話との間、及びユーザ装置とサーバとの間の少なくともいずれかで実行されうる。
【0005】
通信ネットワークは、複数のセルエリアに分割される地理的エリアをカバーする。各セルエリアは、使用される技術及び用語に応じて、場合によっては「eNB」、「eノードB」、「ノードB」、「Bノード」等と呼ばれうる無線基地局(RBS)、又は基地局トランシーバ(BTS)等の基地局(BS)によってサービングされる。「セル」は、ロング・ターム・エボリューション(LTE:Long Term Evolution)等において、いくつかのセル固有のアルゴリズム及び手順に影響を及ぼす「セルID」によって特徴付けられる。
【0006】
基地局は、送信電力に基づいて、及びその結果としてセルサイズにも基づいて、例えばマクロeノードB、ホームeノードB又はピコ基地局等の様々な種類の基地局であってもよい。
【0007】
基地局は、例えばLTE、LTE Advanced、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、移動通信用グローバルシステム(GSM(登録商標))又は他の何らかの第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)無線アクセス技術等の、無線アクセス技術を使用して、無線キャリア又は無線チャネルを介して1つ以上のユーザ装置と通信する。以下の説明では、LTEを一例として使用する。
【0008】
基地局は、(1つ以上の)アンテナにおいて複数のユーザ装置から信号を受信する際に、復調のために種々の受信技術を使用しうる。各セル内の多数のユーザ装置からのシンボルを復調するための2つの異なる受信技術は、逐次干渉除去(SIC)及び干渉抑圧合成(IRC)である。これらの受信技術は、双方とも、各ユーザ装置と各基地局アンテナとの間のチャネルを推定するために、基地局においてベースバンド受信機を必要とする。ベースバンドは、周波数の範囲がほぼ0ヘルツからカットオフ周波数、最大帯域幅又は最高信号周波数までの範囲で測定される、信号及びシステムを示す。ベースバンドは、ほぼゼロから始まる周波数の帯域に対する名詞としても使用されてもよい。チャネル推定値の品質は、SIC及びIRC双方の性能に大いに影響を及ぼす。
【0009】
基地局は、多数のアンテナを備えていてもよく、多数のアンテナでユーザ端末から信号を受信してもよい。特定のユーザ装置から信号を受信するために、基地局は、ユーザ装置から送信された信号を受信するために使用される基地局アンテナの集合を決定する。このアンテナの集合により受信された信号は、ユーザ装置により送信された信号を復調する「アップリンク受信機」へ送出される。尚、同一のアンテナの集合は、多数のユーザ装置の受信のために使用されてよい。典型的には、アップリンク受信機は、アップリンクで各ユーザ装置から送信される基準信号を使用して、各ユーザ装置と基地局アンテナとの間のアップリンクチャネルを推定する。基地局が特定のユーザ装置からのアップリンクチャネルを推定する場合、ネットワーク内の他のユーザ装置からの基準信号は干渉となり、チャネル推定の精度を低下させる。したがって、一般に、全てのユーザ装置からの基準信号は相互に直交していることが望ましい。LTEシステムでは、連続した複数のサブキャリアにまたがるある基準信号が与えると、同一の複数のサブキャリアにまたがるもう1つの直交基準信号が、線形位相回転を同一のベース基準信号に加えることによって生成されうる。異なるユーザ装置に対して異なる位相回転を使用することにより、同一の複数のサブキャリアにまたがる、相互に直交する多数の基準信号が生成されうる。
【0010】
基地局とユーザ装置との間の通信は、使用される技術に応じて種々の方法で構成されうる。例えばLTEにおいて、通信はフレーム及びサブフレームに構成される。ある種類のLTEフレーム、すなわち時分割複信(TDD)モードは、全体で10msの長さを有する。当該フレームは、20個の個別のスロットに分割される。サブフレームは2つのスロットを含み、すなわち、当該フレーム内に10個のサブフレームが存在する。別の種類のLTEフレーム、すなわち周波数分割複信(FDD)モードは、各々が全体で5msの長さを有する2つの半分のフレームを含む。そして、半分のフレームの各々は、各々が1msの長さの5つのサブフレームに分離される。
【0011】
LTE通信ネットワークは、後方互換性のある方法で種々のリリース、すなわちリリース8/9/10/11からのユーザ装置をサポートするように設計される。LTEネットワーク設計の目的の1つは、時間、周波数及び空間におけるそのようなユーザ装置の協調スケジューリング、すなわちマルチユーザ多入力多出力(MU−MIMO)を、スケジューリングの制約が可能な限り少ない規模で可能にすることである。
【0012】
更に、LTE規格は、種々の柔軟な展開をサポート可能であるべきである。最新のLTEネットワーク、すなわちリリース11以上に対して予想される展開のいくつかの例には、例えば以下のものが含まれる。
・典型的には大きなセルが独立した複数のセクタに分割される、マクロ展開。
・例えば高データレートのユーザ装置に対するカバレッジを改善するために、マクロセルのカバレッジ内に複数のピコセルが展開される、ヘテロジニアス(HetNet)展開。
・高スループットが必要とされる狭いエリアをアクセスポイントがサービングする、ホットスポット・シナリオ。
【0013】
また、LTEネットワークは、オプションの協調マルチポイント処理(CoMP)技術を可能にする目的で設計され、CoMP技術では、種々のセクタ及びセルの少なくともいずれかは、例えばスケジューリング及び処理の少なくともいずれかに関して協調された方法で動作する。一例としては、単一のユーザ装置から発信される信号が、典型的には多数の受信点で受信され、リンク品質を改善させるために一緒に処理される、アップリンクCoMPである。アップリンクCoMPとも呼ばれるアップリンクジョイント処理により、従来の展開ではセル間干渉とみなされるものを有用な信号に変換できる。したがって、アップリンクCoMPを利用するLTEネットワークは、CoMPゲインを十分に利用するために従来の展開より小さなセルサイズで展開されうる。
【0014】
LTEのアップリンクは、コヒーレント処理を想定して設計される。すなわち、受信機は、送信ユーザ装置からの無線チャネルを推定し、且つ、検出段階、すなわち受信された信号の復調においてそのような情報を利用できる。したがって、各送信ユーザは、各アップリンクデータチャネル、すなわち物理上り共有チャネル(PUSCH)に関連する基準信号(RS)を送出する。基準信号は、パイロット信号と呼ばれることもあり、送信信号に挿入される。高速フェージング及び他の変化に起因してチャネル状態が変化すると、基準信号はかなり頻繁に送出される。
【0015】
各基準信号は、グループ・インデックス及び系列インデックスによって特徴付けられる。基準信号は、基本系列から導出される。基本系列から基準信号を導出するために、循環シフトが使用されてもよい。換言すると、複数の基準信号系列が各基本系列から規定される。
【0016】
基本系列は、リリース8/9/10においてセル固有であり、セルIDの関数である。異なる基本系列は準直交である。基準信号がPUSCH帯域幅の関数となるように、所与のユーザ装置に対する基準信号がPUSCHの同一の帯域幅でのみ送信されて、基本系列がそれに対応して生成される。各サブフレームについて、2つの基準信号がスロット毎に1つ送信される。
【0017】
2種類のアップリンク基準信号、すなわち復調基準信号(DMRS)及びサウンディング基準信号(SRS)がある。復調基準信号は、データ復調用のチャネル推定のために使用され、サウンディング基準信号は、ユーザ・スケジューリングのために使用される。
【0018】
同一のセル内の異なるユーザ装置からの基準信号は、潜在的に互いに干渉し、同期型ネットワークであると仮定すると、当該基準信号は、隣接セル内のユーザ装置によって発信された基準信号とでさえ干渉する。基準信号間の干渉のレベルを制限するために、直交基準信号又は準直交基準信号を可能にするように、種々のLTEリリースにおいて種々の技術が導入されている。いわゆる「系列プランニング(sequence planning)」により複数のセルのアグリゲーションを行うために直交基準信号が実現されてもよいが、LTEの設計原理は、各セル内での直交基準信号及び異なるセル間での準直交基準信号を想定する。
【0019】
直交基準信号は、リリース8/9における循環シフト(CS:Cyclic Shift)の使用によって、又はリリース10における直交カバーコード(OCC:Orthogonal Cover Codes)と組み合わせたCSによって実現されうる。CS及びOCCは、更に、リリース11のユーザ装置によってサポートされてもよいことが想定されている。
【0020】
循環シフトは、循環タイムシフトに基づいて、特定の伝搬条件下で、同一の基本系列から生成された複数の基準信号間において直交性を実現する方法である。実際にはチャネル伝搬特性に依存して8個未満の直交基準信号が実現されうるものの、8個の異なる循環シフト値のみが、リリース8/9/10においてインデックスを付されてもよい。循環シフトは、完全に重なり合う帯域幅に割り当てられた基準信号を多重化するのに有用であるが、帯域幅が異なる場合、及び干渉するユーザ装置が別の基本系列を採用する場合の少なくともいずれかにおいては直交性が失われる。
【0021】
OCCは、各アップリンクサブフレームに対して設けられた2つの基準信号上で動作する、直交時間領域コードに基づく多重化技術である。OCCコード[1 −1]は、干渉する基準信号を、基地局整合フィルタの後の当該信号の寄与が同一サブフレームの双方の基準信号に対して同一である限り抑圧できる。同様に、OCCコード[1 1]は、干渉する基準信号を、基地局整合フィルタの後の当該信号の寄与が同一サブフレームの2つの基準信号に対してそれぞれ反対の符号を有する限り抑圧できる。以下では、整合フィルタについて更に詳細に説明する。
【0022】
基本系列は準静的に割り当てられる一方で、CS及びOCCは、ユーザ装置固有であり、アップリンクPUSCH送信毎のスケジューリング・グラントの一部として動的に割り当てられる。
【0023】
ジョイント処理技術はPUSCHに対して適用されうるが、基準信号に基づくチャネル推定は、アップリンクCoMPの場合でも、典型的には各受信点において独立して実行される。したがって、特に基準信号の場合、干渉レベルを許容できる低いレベルに維持することが非常に重要である。
【0024】
基準信号に対するバースト干渉ピークの影響を最小限にするために、LTEでは干渉ランダム化技術が導入されている。特に、
・循環シフトランダム化は、常に有効にされ、スロット毎にランダムなセル固有の循環シフト・オフセットを生成する。擬似ランダムCSパターンは基本系列インデックスの関数であり、このためセルIDはセル固有である。
・系列グループホッピング(SGH:Sequence and Group Hopping)は、セルID及び系列インデックスの関数であるセル固有のパターンを用いてスロットレベルで動作する基本系列インデックス・ランダム化技術である。
‐リリース8/9のユーザ装置の場合、SGHは、セル毎に有効/無効にされうる。
‐リリース10のユーザ装置の場合、SGHは、ユーザ装置固有の方法で有効にされうる。
【0025】
LTE リリース10についてのアップリンクでは、通信システムのデータレート及び信頼性を著しく改善させうるマルチアンテナ技術が導入される。送信機及び受信機の双方が多数のアンテナを備えている場合、性能は特に改善する。この結果、MIMO通信チャネルが得られ、そのようなシステム及び関連技術の少なくともいずれかはMIMOと呼ばれる。
【0026】
LTE リリース10は、単一のユーザ装置から基地局への通信において空間多重モード、すなわちシングルユーザ−MIMO(SU−MIMO)をサポートしている。SU−MIMOは、好都合なチャネル状態における高データレートを目標とする。SU−MIMOは、同一の帯域幅における多数のデータストリームの同時送信を含み、各データストリームは、通常、レイヤと呼ばれる。空間領域においてレイヤを区別し、且つ、送信されたデータを受信機側で再生できるようにするために、線形プリコーディング等のマルチアンテナ技術が送信機において採用される。
【0027】
LTE リリース10によりサポートされた別のMIMO技術は、同一セルに属する多数のUEが同一の帯域幅及びタイムスロット上で完全に又は部分的に協調スケジューリングされるMU−MIMOである。MU−MIMO構成における各UEは、場合によっては多数のレイヤを送信してもよく、それ故にSU−MIMOモードで動作する。
【0028】
SU−MIMOの場合、全てのデータストリームを検出できるようにするために、各ユーザ装置の各送信レイヤに関連付けられた等価チャネルを受信機が推定できるようにする必要がある。CoMPの場合、そのような要求条件は、他のセルに属するがジョイント処理クラスタに含まれるユーザ装置にも当てはまる。したがって、各ユーザ装置は、少なくとも送信レイヤ毎に固有の基準信号を送信する必要がある。基地局受信機は、各レイヤに対してどの基準信号が関連付けられるかを認識しており、チャネル推定アルゴリズムを実行することによって、関連するチャネルを推定する。その後、推定されたチャネルは、受信機によって検出処理において用いられる。
【0029】
MU−MIMOの場合、ユーザ装置は、完全に又は部分的に重なり合う帯域幅でスケジューリングされうる。いくつかの典型的なアプリケーションの例を以下に例示する。
・セル内、完全に重なり合う帯域幅内のMU−MIMO:この場合、異なるユーザ装置の基準信号が、CS及びOCCの少なくともいずれかを利用して多重化されうる。更にSGHが、直交性に影響を及ぼすことなく有効にされうる。
・セル内、部分的に重なり合う帯域幅内のMU−MIMO:この場合、異なるユーザ装置の基準信号が、OCCのみを利用して多重化されうるとともに、SGHは、いかなるユーザ装置に対しても有効にされえない。
・例えばCoMPアプリケーションにおける、異なるセルに属するユーザ装置のMU−MIMO:この場合、複数のユーザ装置に対して典型的には異なる基本系列が割り当てられ、異なるCSホッピングパターンに起因して直交性を実現できない。
【0030】
上述の展開及びアップリンクCoMPの多用には、別のセルに属する地理的に遠く離れたユーザ装置に対しても、スケジューリングの柔軟性及び改善されたチャネル推定品質が必要である。例えばHetNet展開を想定すると、ピコセルの小さなセル半径と、マクロセルのカバレッジ内の地理的位置は、そのようなセルに属するユーザ装置間の潜在的に強力な干渉の存在を示唆する。一方、セルの高密度化、増加する受信アンテナ数、及びオプションのCoMP処理は、柔軟なMU−MIMOスケジューリングの必要性を強調する。上述のシナリオでは、SGHを無効にすることによって、セル間干渉ピークのリスクが高まる。
【発明の概要】
【0031】
同一のネットワークにおいてリリース8/9/10以上の多数のユーザ装置が混在することは、特定のリリースに関係なくそのようなユーザ装置をシームレスに協調スケジューリングする必要性を強調する。しかし、直交カバーコード(OCC)及び循環シフト(CS)のどちらもそのようなシナリオにおいては有用ではなく、且つ、準直交性のみしか実現できないために、対となっているユーザ装置が異なる基本系列を割り当てられた場合、MU−MIMOは、系列グループホッピング(SGH)に関連してリリース8/9/10において効果的ではない。
【0032】
一例としては、2つのユーザ装置UE1及びUE2が同一の帯域幅で協調スケジューリングされる場合を検討するとともに、UE1及びUE2が異なるセルに属し、且つ、同一の基本系列が割りてられていないことを検討する。一例は、hetnet LTEシナリオにおいて、UE1がマクロセルに属し、且つ、UE2がピコセルに属することである。S1及びS2のそれぞれに関連付けられた基本系列が異なるため、セルエッジ干渉の結果として生じる性能劣化によってUE間の直交性を実現できない。
【0033】
解決策は、リリース10のユーザ装置のうちのいくつかについてユーザ装置固有の方法でSGHを無効にすることであってもよい。しかし、SGHは、リリース8/9のユーザ装置についてセル固有の方法で無効にされてもよく、これは、セル間干渉の大きな劣化を伴う、リリース10のユーザ装置についてもセル固有のSGHを無効にすることを示す。
【0034】
別の解決策は、同一の基本系列及びその結果としてSGHパターンを、例えばマクロセル及び当該マクロセルのカバレッジ内のピコセル等の干渉するセルに割り当てることであってもよい。しかし、問題は、例えばSGHランダム化の減少、同一の基本系列を有するユーザ装置が部分的に重なり合う帯域幅でスケジューリングされる際に発生した予測不能に大きな干渉ピーク、及び、復調基準信号(DMRS)の容量の限界等の、そのような解決策と関連付けられており、CS及びOCCのみが、アグリゲーションされたセルに対してDMRSを直交させるために用いられてもよい。
【0035】
したがって、本明細書の実施形態の目的は、上述の欠点のうちの少なくとも1つを取り除き、且つ、通信ネットワークにおいて改善されたチャネル推定を提供することである。
【0036】
第1の態様によると、本目的は、通信ネットワークにおいて基本系列を処理する、ネットワークノードにおける方法によって達成される。ネットワークノードは、第1のユーザ装置と通信する。ネットワークノードは、デフォルト基本系列及び代替基本系列に関する情報を有している。ネットワークノードは、第1のユーザ装置について、デフォルト基本系列を代替基本系列で置換すべきであることを判定する。ネットワークノードは、判定された基本系列に関する情報を第1のユーザ装置へ送出する。
【0037】
第2の態様によると、本目的は、通信ネットワークにおいて基本系列を処理する、ユーザ装置における方法によって達成される。ユーザ装置は、ネットワークノードと通信する。ユーザ装置は、デフォルト基本系列を用いている。ユーザ装置は、デフォルト基本系列を代替基本系列で置換すべきであるという情報を、ネットワークノードから受信する。ユーザ装置は、デフォルト基本系列を代替基本系列で置換する。
【0038】
第3の態様によると、本目的は、通信ネットワークにおける基本系列を処理するネットワークノードによって達成される。ネットワークノードは、第1のユーザ装置と通信する。ネットワークノードは、デフォルト基本系列及び代替基本系列に関する情報を有している。ネットワークノードは、第1のユーザ装置について、デフォルト基本系列を代替基本系列で置換すべきであることを判定する判定ユニットを備える。ネットワークノードは、判定された基本系列に関する情報を第1のユーザ装置へ送出する送出ユニットを更に備える。
【0039】
第4の態様によると、本目的は、通信ネットワークにおける基本系列を処理するユーザ装置によって達成される。ユーザ装置は、ネットワークノードと通信する。ユーザ装置は、デフォルト基本系列を用いている。ユーザ装置は、デフォルト基本系列を代替基本系列で置換すべきであるという情報を、ネットワークノードから受信する受信ユニットを備える。ユーザ装置は、デフォルト基本系列を代替基本系列で置換する処理ユニットを更に備える。
【0040】
本明細書の実施形態は多くの利点を提供する。多くの利点の例の限定的なリストは以下の通りである。
【0041】
本明細書の1つ又はいくつかの実施形態は、最低限の複雑性を提供するとともに、リリース8/9/10のUEに実装される系列グループホッピング(SGH)の系列の再利用を可能にするという利点を提供する。
【0042】
更に、本明細書の1つ又はいくつかの実施形態は、MU−MIMOに対してSGHを有効にすることで基準信号の干渉を低減するという利点を提供する。
【0043】
また、本明細書の1つ又はいくつかの実施形態は、MU−MIMOに対して、改善されたスケジューリングの柔軟性という利点を提供する。
【0044】
本明細書の実施形態のうちの少なくとも1つは、異なるリリースのユーザ装置間、例えばリリース11 LTEのユーザ装置とそれ以前のLTEリリースからのユーザ装置との間で、SGHを無効にすることなくMU−MIMOを可能にするという利点を提供する。
【0045】
更に他の実施形態では、セルエッジ干渉に起因する、結果として生じる性能劣化なしで、ユーザ装置間の直交性を実現できる。
【0046】
本明細書のいくつかの実施形態は、シグナリング・オーバヘッドを最小限にし、スケジューリング割り当てにおける柔軟性を維持する。
【0047】
本明細書の実施形態は上述の特徴及び利点に限定されない。以下の詳細な説明を読むことにより、追加の特徴及び利点が当業者には認識されるだろう。
【0048】
スケジューリング・グラントによって動的にトリガされうる代替基本系列を導入することによって、リリース8/9/10/11のUEのいずれかとの、リリース11のユーザ装置の改善されたRS直交性を実現できる。代替基本系列への切り替えが示される場合にはいつでも、SGH及びCSホッピング用のホッピングオフセット等の、基本系列に固有のあらゆるパラメータが、それに対応して動的に調整される。代替系列を、例えばCoMP設定に対して適切に選択することによって、リリース8/9/10のユーザ装置及びリリース11のユーザ装置との、リリース11のユーザ装置の完璧な又は少なくとも完璧に近いRS直交性を実現できる。その結果、従来技術とは異なり、SGHがリリース8/9/10のユーザ装置に対して有効及び無効にされる場合の双方において直交性が実現される。
【0049】
本明細書の実施形態は上述の特徴及び利点に限定されない。以下の詳細な説明を読むことにより、追加の特徴及び利点が当業者には認識されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
次に、実施形態を示す添付の図面を参照することにより、以下の詳細な説明で本明細書の実施形態をより詳細に更に説明する。
【0051】
図1】、
図1a図1及び図1aは、それぞれ、通信ネットワークの実施形態を示す概略ブロック図である。
図2図2は、UE1に対するUL−DMRSサブフレームの実施形態を示す概略ブロック図である。
図3図3は、UE2に対するUL−DMRSサブフレームの実施形態を示す概略ブロック図である。
図4図4は、方法の実施形態を示す、シグナリング図とフローチャートとを組み合わせた図である。
図5図5は、ネットワークノードにおける方法の実施形態を示すフローチャートである。
図6図6は、ネットワークノードの実施形態を示す概略ブロック図である。
図7図7は、ユーザ装置における方法の実施形態を示すフローチャートである。
図8図8は、ユーザ装置の実施形態を示す概略ブロック図である。
図9図9は、ネットワークノードにおける方法の実施形態を示すフローチャートである。
図10図10は、ユーザ装置における方法の実施形態を示すフローチャートである。
【0052】
図面は必ずしも縮尺通りではなく、明確化のため特定の特徴の大きさを実際よりも大きく見せている場合がある。本明細書の実施形態の原理を示すことに重点が置かれている。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1及び図1aは、それぞれ、複数のセルを含むCoMPネットワークのようなマルチセルシナリオのための復調基準信号(DMRS)パターンのシグナリングに関連する本明細書の実施形態が実装されうる通信ネットワーク100を示す。通信ネットワーク100は、いくつかの実施形態において、例えばLTE、LTE Advanced、WCDMA、GSM又は他の何らかの3GPP無線アクセス技術等の1つ以上の無線アクセス技術に当てはまりうる。
【0054】
通信ネットワーク100は、例えばセル101をサービングする基地局103等のネットワークノードを含む。基地局103は、使用される技術及び用語に応じて無線基地局、ノードB及び進化型ノードB(eNB)等の基地局であり、あるいは無線キャリア102を介してセル101内に存在する第1のユーザ装置105と通信できる他の何らかのネットワークユニットであってもよい。更に無線キャリア102は、キャリア、無線チャネル、チャネル、通信リンク、無線リンク又はリンクと呼ばれうる。基地局103は、送信電力に基づいて、及びその結果としてセルサイズにも基づいて、様々なクラスの基地局であってもよく、例えばeノードB等のマクロ基地局、あるいは、例えばホームeノードB、ピコ基地局、フェムト基地局等の低電力基地局である。図1及び図1aは1つのセル101をサービングする基地局103を示しているが、基地局103は、2つ以上のセル101をサービングしてもよい。通信ネットワーク100は、第2のユーザ装置107及び第3のユーザ装置109を更に備えてもよい。いくつかの実施形態において、第2のユーザ装置107及び第3のユーザ装置109は、第1のユーザ装置105と同一のセル101内に存在し、同一の基地局103によってサービングされる。他の実施形態では、第1のユーザ装置105及び第3のユーザ装置109はあるセル内に位置しており、第2のユーザ装置107は別のセルに位置しているが、それらは、それでも同一のCoMPスケジューリング・クラスタに属していてもよく、すなわち、それらは隣接セルに位置している(図1a)。
【0055】
通信ネットワーク100は、例えばセル101等のセルに分割されうる。セルを使用する理由は、通信ネットワーク100がセルラ通信ネットワークと呼ばれうるためである。セルは、セル101をサービングする基地局103がセル101内に存在するユーザ装置105に無線カバレッジを提供する地理的エリアである。セル101は、種々のサイズであってよく、例えば、典型的には制限されたエリアをカバーするマイクロセル、典型的には狭いエリアをカバーするピコセル、典型的には家又は小さな事業所で使用するために設計されるフェムトセル、あるいは、典型的にはマイクロセルより大きなカバレッジを提供するマクロセル等である。
【0056】
セル101内に存在し、且つ、基地局103によってサービングされるユーザ装置105は、この場合には、無線キャリア102を介して基地局103と通信できる。データストリームは、階層化アプローチにおいて無線チャネル102を介して基地局103とユーザ装置105との間で通信される。階層の例は、物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層等である。
【0057】
ユーザ装置105は、無線チャネル102を介して基地局103と通信できる通信機能を有する任意のあらゆる適切な通信デバイス又は計算デバイスであり、例えば移動電話、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップ、MP3プレーヤ又はポータブルDVDプレーヤ(又は同様のメディアコンテンツデバイス)、デジタルカメラ、あるいは更にはPC等の固定装置であるが、それらに限定されない。PCは、ブロードキャスト/マルチキャストメディアの端局である移動局を介して更に接続されてもよい。ユーザ装置105は、電子写真フレーム等に組み込まれた通信デバイス、心臓監視機器、侵入又は他の監視機器、天気データ監視システム、車両、自動車又は輸送通信機器等であってもよい。ユーザ装置105は、図面のうちのいくつかにおいてUEとして示される。簡略化するために図1及び図1aでは1つのユーザ装置105しか示されないが、それぞれの基地局103は、複数のユーザ装置105の集合に対してサービングしてもよい。
【0058】
尚、基地局103とユーザ装置105との間の無線キャリア102は、有線リンク又は無線リンクを含む任意の適切な種類のものである。当業者により理解されるように、キャリア102は、レイヤの種類及びレベルに依存して、例えば開放型システム間相互接続基本参照(OSI)モデルにより示されるような、任意の適切なプロトコルを使用しうる。
【0059】
以下の説明は、ダウンリンク(DL)及び例えば上述したようなプロトコル等の他の通信プロトコルにも適用されうるが、LTE リリース11ネットワークのアップリンク(UL)伝送路を一例として使用する。アップリンク(UL)はユーザ装置から基地局へのリンクであり、ダウンリンク(DL)は基地局からユーザ装置へのリンクである。
【0060】
図2に示されるように、LTE リリース8/9/10に基づいて第1のユーザ装置UE1により送信され、且つ、2つのDMRS(スロット毎にそれぞれ1つのDMRS)が与えられたサブフレームS1について検討する。図2は、第1のユーザ装置UE1に対するUL−DMRSサブフレームについての単一の送信レイヤを示す。DMRSは基準信号(RS)とも呼ばれうる。一般性を損なうことなく、以下では信号の時間領域表現が提供されるが、同等の原理を周波数領域処理に対して適用できる。図2のx軸は、例えば秒単位で時間を示す。s1をスロット1についてのDMRS基本系列、s2をスロット2についてのDMRS基本系列とする。マルチアンテナ送信の場合。
【0061】
次に、図3に示されるような第2のLTEサブフレームS2について検討する。図3において、2つのスロットについてのDMRS基本系列は、それぞれs3及びs4である。第2のLTEサブフレームS2は、第2のLTEユーザ装置UE2によって送信される。図3は、第2のユーザ装置UE2についてのアップリンクDMRSサブフレームを示し、例えば秒単位で時間を示すx軸を有する。
【0062】
SGHが有効にされることを想定すると、サブフレームS1及びS2は、両スロットに異なる基本系列を有し、s1、s2、s3及びs4は、事前に定義されたの基本系列の集合から擬似ランダムに選択された、準直交の基本系列である。
【0063】
次に、2つのユーザ装置UE1及びUE2がそれぞれ、同一の帯域幅で協調スケジューリングされ、例えば、UE1=第1のユーザ装置105及びUE2=第2のユーザ装置107である例を検討する。更に、一例として、UE1及びUE2が、異なるセルに属し(例えば、図1aを参照)、且つ、同一の基本系列を割り当てられないことを検討する。一例は、hetnet LTEシナリオにおいて、UE1がマクロセルに属し、UE2がピコセルに属することである。UE1用のサブフレームS1及びUE2用のサブフレームS2にそれぞれ関連付けられている基本系列が異なるため、UE間の直交性は、セルエッジ干渉に起因して結果として生じる性能劣化によって実現できない。
【0064】
同一の時間‐周波数リソースブロックでユーザ装置を協調スケジューリングすることは、通信ネットワークにおいて使用可能なリソースをより効率的に使用するために利用される技術である。簡略化のため、上述の例は協調スケジューリングされた2つのユーザ装置UE1及びUE2を含むが、本明細書の実施形態は、あらゆるLTEリリースからの任意の数の協調スケジューリングされたユーザ装置に適用できる。
【0065】
上述の問題は、セルのある特定のUEによって用いられている基本系列を、デフォルトで設定されたセル固有の基本系列から、UE固有の基本系列である異なる基本系列、すなわち代替基本系列に、任意的に切り替えることによって、本明細書で説明する実施形態を用いて解決される。代替基本系列は、干渉の状況に応じてUE毎に設定される。すなわち、セルの1つ以上のUEが、隣接セルによって干渉されているか、あるいは、MU−MIMOシナリオにおいて種々の基本系列を与えられるときに同一セル内で互いに干渉する可能性がある場合には、当該セルのこれらのUEは、代替基本系列を割り当てられる。したがって、代替基本系列は、サービングセルのセル固有のパラメータに依存しないために「UEに固有」となり、これは、デフォルトのセル固有基本系列の場合である。
【0066】
ある典型的な実施形態の構成では、代替基本系列は、隣接セルについてのデフォルト基本系列(SGH及びCSホッピングの基本系列ランダム化を含む)に一致する。上述の例の場合、UE1ついての代替基本系列は、隣接セルで使用されるデフォルト基本系列、すなわちUE2によって使用されるデフォルト基本系列となる。
【0067】
本明細書の実施形態は、スケジューリング・グラントによって動的にトリガ又は起動されうる代替基本系列を使用することを導入する。当該代替基本系列のインデックスは、準静的な方法で(例えばRRC上位層シグナリングによって)知らされるか又は設定されてもよい。これにより、選択された基本系列を動的に知らせるために必要となるシグナリング・オーバヘッドが最小限になり、割り当てのスケジューリングにおける柔軟性が維持される。
【0068】
代替基本系列への切り替えがトリガされる場合にはいつでも、SGH及びCSホッピング用のホッピングオフセット等の、基本系列に固有のあらゆるパラメータが、それに対応して動的に調整される。
【0069】
代替系列を、例えばCoMP設定に対して適切に選択することによって、リリース8/9/10のUE及びリリース11のUEとの、リリース11のUEの完璧な又は少なくとも完璧に近いRS直交性を実現できる。SGHがリリース8/9/10のUEに対して有効及び無効にされる場合の双方において直交性が実現される。
【0070】
図1は1つのセル101しか示していないが、通信ネットワーク100が複数のセル101も含んでもよいことは当業者には明らかである。図1aは、それぞれのネットワークノード103によって各々がサービングされる2つのセル101を通信ネットワーク100が含む例を示している。複数のセル101を含む通信ネットワーク100は、従来技術において周知のように種々の方法で構成可能である。通信ネットワーク100は、例えば、1つ以上のピコセルを含むマクロセルを有するヘテロジニアス・ネットワーク(heterogeneous network)、すなわちいわゆるhetnetとして構成可能である。あるいは、通信ネットワーク100は、1つ以上の基地局によってサービングされる2つ以上のマクロセルを含む同種ネットワーク(homogenous network)、すなわちマクロ展開として構成可能であり、あるいは、高いスループットが必要とされる狭いエリアをアクセスポイントがサービングする、いわゆるホットスポット・シナリオに対処するように構成可能である。
【0071】
ネットワークノード103は、セルによってサービングされるユーザ装置105が用いるデフォルト基本系列に関する情報を有する。いくつかの実施形態では、ネットワークノード103は、各隣接セルに位置する各ユーザ装置によってそれぞれが用いられる、複数の隣接セルのデフォルト基本系列に関する情報を有する。デフォルト基本系列に関する情報は、実際の基本系列の形式で、又は(複数の)デフォルト基本系列を含むテーブルに対する各インデックスのポインティングとして、ノード103に格納されうる。セル101の各デフォルト基本系列は、セル101に共通であり、セル101によってサービングされている各ユーザ装置においてデフォルトで設定又は構成される。例えば、基本系列の一例として、3GPP技術仕様書TS36.211の5.5節を参照されたい。
【0072】
図4は、シグナリング図とフローチャートとを組み合わせたものであり、ネットワークノード103と、UE105、107、109の1つ以上の集合とを含む通信ネットワーク100において、以下の方法ステップ401〜408による、基本系列を処理する方法の実施形態を示している。通信ネットワーク100は、互いに隣接セルである1つ以上のセル101、すなわち互いに近接して又は部分的に重なり合って配置される1つ以上のセル101をサービングする1つ以上のネットワークノード103を含みうる。この場合、UE105、107及び109の個別の集合は、(図1に示した)同一のセル101に属していてもよいし、部分的に同一のセル(図1a)に属してもよいし、又は、それぞれが個別の異なるセル(不図示)に属してもよい。
【0073】
ステップ401
ネットワークノード103は、通信ネットワーク100に属する受信点のうちのいくつかにおいて、ネットワーク100に含まれるユーザ装置105、107、109の集合から信号を受信する。ネットワークノード103は中央スケジューリングユニットCSUであってもよく、CSUは、ネットワーク100において協調セル(coordinated cells)のグループ、すなわちCoMPクラスタに対する無線リソース管理(RRM)の少なくともいくつかの態様を制御するスケジューラである。いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、中央スケジューリングユニットを備える基地局である。以下の説明では、ネットワークノード103という用語が使用される。ユーザ装置105、107、109の集合は、1つ以上のネットワークノード103によってサービングされる1つ以上のセル101内で分散した1つ以上のユーザ装置から成っていてもよい。
【0074】
ステップ402
ネットワークノード103は、ネットワーク100に属する1つ以上の受信点において、ネットワーク100内のユーザ装置105、107、109のうちの1つ以上から受信した信号の1つ以上の特性を測定する。受信点は、UL CoMPのために協働する全てのノード又はノードの部分集合に関連付けられうる。測定された特性は、例えばDMRS電力及びサウンディング基準信号(SRS)電力、及びセル101におけるユーザ装置105、107、109の位置の少なくとも1つであってもよい。
【0075】
ステップ403
ネットワークノード103は、強力な干渉の影響を受けるユーザ装置105の第1の部分集合を特定する。干渉による影響を受けたUE105の特定は、ステップ402で実行された測定に基づいており、且つ、ステップ401で受信された信号に含まれる基準信号に関連してもよい。ユーザ装置105の第1の部分集合は、1つ以上のユーザ装置を含みうる。
【0076】
ステップ404
ネットワークノード103は、ステップ403で特定されたユーザ装置105の第1の部分集合に対して最も深刻な干渉を発生させるユーザ装置107の第2の部分集合を特定する。ユーザ装置の第2の部分集合は、1つ以上のユーザ装置を含みうる。最も強い、すなわち最も深刻な干渉を特定するために、ネットワークノード103は、測定された干渉の大きさ、量又はサイズを閾値と比較してもよい。閾値を上回る干渉を発生させるユーザ装置は、ユーザ装置107の第2の部分集合の間で、最も深刻な干渉を発生させるユーザ装置として特定されてもよい。
【0077】
ステップ405
ネットワークノード103は、干渉による影響を受けたユーザ装置105の第1の部分集合が代替基本系列を割り当てられるべきであることを判定する。換言すると、干渉による影響を受けたユーザ装置105は、デフォルト基本系列から代替基本系列に切り替えるか、あるいはデフォルト基本系列を代替基本系列で置換するべきである。また、SGHは、RRCシグナリング等により、擬似ランダム生成器を介して3GPP技術仕様書TS36.211 5.5節において説明されている手順に従って第1の部分集合のいくつか又は全てのユーザ装置105に対して更に有効にされるべきである。いくつかの実施形態では、代替基本系列は、干渉しているものとして特定されるかあるいは干渉を発生させると予想されるユーザ装置107の第2の部分集合を含む隣接セルにおいて用いられている第2のデフォルト基本系列等の、第2の基本系列に対応する。以前に実行された干渉測定及び位置測定の少なくともいずれかに基づいて、すなわち履歴データに基づいて、干渉を予想できる。
【0078】
ネットワークノード103は、干渉する隣接セルのデフォルト基本系列等の代替基本系列に関する情報を有し、例えば無線リソース制御(RRC)シグナリングを介してユーザ装置105に代替基本系列を設定する。いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、いくつか又は全ての隣接セル、すなわち周辺セルにおいてデフォルト基本系列として使用される基本系列等の複数の代替基本系列に関する情報を有する。代替基本系列に関する情報は、代替基本系列及び場合によってはより多くの代替基本系列を含むテーブルの代替基本系列を指し示す(ポインティングする)基本系列のインデックスであってもよいし、又は実際の基本系列であってもよい。1つ以上の代替基本系列の情報は、X2シグナリング又は自社開発のインタフェースでのシグナリングを介して、必ずしも常にではないがそれぞれの隣接セルのデフォルト系列であることが最も多い、それぞれで用いられている基本系列の情報をやりとりする隣接セルから受信されてもよいし、ネットワークノード103に予め格納されてもよい。隣接セルのデフォルト基本系列の情報は、ネットワークノードに予め格納された企業秘密であってもよいし、標準化されたインタフェースを介してノード間で共有されてもよいし、その両方であってもよい。

CoMPシナリオの場合、この情報は、協調CoMPノード間のバックホールによって搬送される。したがって、複数の代替基本系列は、ネットワークノード103のテーブルに格納され、且つ、インデックスを付けられてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、代替基本系列、ユーザ装置固有の基本系列及びデフォルト基本系列は、セル固有の基本系列である。ユーザ装置固有の基本系列は、セル固有のパラメータだけを使用しない、そのユーザ装置に固有の基本系列である。セル固有の基本系列は、セル固有のパラメータに依存し、且つ、セル101内に位置する全てのユーザ装置に対してデフォルトで使用される、セル101において共通の基本系列である。
【0080】
上述したように、DMRS及びSRS等の基準信号は、グループ・インデックス及び系列インデックスによって特徴付けられる。基準信号は基本系列から導出される。循環シフトCSは、基本系列から基準信号を導出するために使用されうる。
【0081】
従来技術において、DMRS用に使用される基本系列は、セル固有のパラメータから導出される。本明細書において開示された実施形態は、これらのパラメータのうちの少なくともいくつかをUEに固有にすることを対象としている。基準信号を導出するために、CS及びOCCが基本系列に適用される。本明細書の実施形態は、基本系列を導出するために初期化パラメータの代替集合を使用することを含む、「代替基本系列」を使用及び選択することを説明する。
【0082】
ネットワークノード103は、複数のユーザ装置105、107、109についての複数の代替基本系列に関する情報を有する場合、ユーザ装置105について特定された代替基本系列を選択するか、あるいはRRCシグナリングを介してユーザ装置105及びネットワークノード103の双方に対して共通になるように事前に定義された代替基本系列の集合から、代替基本系列のインデックスを選択する。
【0083】
ネットワークノード103によって多数の代替基本系列がUE105において設定される場合、ノード103は、事前に定義された基本系列の集合から、代替基本系列のインデックスをシグナリングすることによって、どの代替基本系列を使用すべきかをUEにシグナリングしてもよい。そのようなインデックスは、RRC又はスケジューリング・グラント(動的割り当て)によってシグナリングされてもよい。
【0084】
CoMPシナリオにおいて、異なる干渉するセルからの2つの干渉するユーザ装置が同一の帯域幅で協調スケジューリングされる場合、それらのうちの一方のユーザ装置の基本系列は、他方のユーザ装置の基本系列に対応する代替系列が用いられるように切り替えられる。例えばネットワークノード103は、隣接セルにおいて使用され、且つ、その結果としてそのセル内の干渉するユーザ装置107によっても使用される基本系列の情報を受信している場合、この基本系列を、そのセルの干渉されているユーザ装置105に割り当てる。それにより、同一の基本系列が、干渉するセルのそれぞれのユーザ装置105及び107のために使用される。例えば隣接セルの基本系列の情報は、X2インタフェースを介して又は自社開発のインタフェースによって、それぞれの隣接ネットワークノード103間でやりとりされてもよい。
【0085】
したがって、ステップ404で特定されたような、潜在的に非常に干渉するユーザ装置105及び107を協調スケジューリングする場合、ネットワークノード103、例えばネットワークノード103の中央スケジューリングユニットCSUは、協調スケジューリングされたユーザ装置が同一の基本系列用いるように代替基本系列を割り当てる。
【0086】
協調スケジューリングされたユーザ装置間の直交性は、CS及びOCCの少なくともいずれかを適用することで実現されうる。
【0087】
ユーザ装置が、変化したトラフィック状況及びセル101内の移動の少なくともいずれかに起因して、強力なセル間干渉の発生及び受信の少なくともいずれかを止める場合、代替基本系列は再設定されてもよく、すなわち現在使用されている代替基本系列は、別の代替基本系列又は初期のデフォルト基本系列により更新されてもよい。
【0088】
ステップ406
ネットワークノード103は、例えばRRCシグナリングにより、第1の部分集合のいくつか又は全てのユーザ装置105に対して、いくつかの実施形態において、干渉するユーザ装置107の第2の部分集合により使用される基本系列に対応する代替基本系列を割り当てるかあるいは設定する。換言すると、ネットワークノード103は、選択された代替基本系列によってユーザ装置105を設定する。上述したように、1つ又は複数の代替系列は、準静的な方法で、例えば無線リソース制御(RRC)上位層シグナリングによって、UE105において設定される。
【0089】
デフォルト基本系列から代替系列への切り替えを実行するという情報(indication)は、所与のユーザ装置に対して、スケジューリング情報の一部として動的にシグナリングされるか、あるいは、別個の動作であり、且つ、事前に実行されうるUEにおける代替系列のRRC設定に間違えられないように、RRCシグナリングを介して準静的にシグナリングされてよい。しかし、RRC設定及びRRCが知らせた基本系列の切り替えは、例えば干渉状況を検出したことに応じても、同時に実行されてよく、それによりシグナリング・オーバヘッド及び時間が節約される。動的に示された切り替えにより、選択された基本系列を動的に知らせるために必要となるシグナリング・オーバヘッドが最小限にされ、且つ、スケジューリング割り当てにおける柔軟性が維持されるという利点がもたらされる。
【0090】
いくつかの実施形態において、スケジューリング情報は、UE105において準静的に設定されている基本系列の部分集合の1つを指し示すインデックス・フィールドを含んでもよい。
【0091】
所与のユーザ装置に対して代替サブキャリアが設定されない場合、スケジューリング・グラントに含まれる基本系列切替トリガ・フィールドが、シグナリング・オーバヘッドを節約するために動的に除去又は設定解除されてもよい。それによりUEは、使用される基本系列についてのDCIフォーマットを解釈し、切替トリガ・フィールド(すなわち、いわゆる動的スイッチング関数)が、適切な場合(すなわち、上述したように基本系列を置換する必要があるか否かに応じて)、RRCシグナリングを介してネットワークにより起動されるか、停止されるか、又はその両方が行われる。例えばユーザ装置がセルエッジの近くに移動する場合、隣接セル干渉のリスクが高まることに起因して(すなわち、トラフィックの状況又は位置が変化する場合に)、当該ユーザ装置に対してそのような必要性が生じうる。
【0092】
また、1つ又はいくつかの代替基本系列が所与のユーザ装置に対して設定される場合、これらの系列のうちの1つへの切り替えは、いくつかの実施形態では、DMRS用の特定のCS/OCCビットの組合せに対応するスケジューリング・グラントに含まれるデータビットの形式の、ある特定のコードポイントによって、動的にトリガされてもよい。ユーザ装置の部分集合のみ、及び典型的にはセルエッジのユーザ装置のみが、1つ以上の代替基本系列を用いて設定されることが期待されるものと考えると、CS/OCC割り当ての柔軟性のそのような制限は、受け入れ可能である。
【0093】
ステップ407
ユーザ装置105は、当該ユーザ装置のデフォルト基本系列から代替基本系列に切り替える。
【0094】
本明細書の実施形態では、セル内のある特定のユーザ装置によって用いられている基本系列が、セル固有の基本系列(例えばデフォルトの基本系列)から、UE固有の基本系列(例えば代替系列)に切り替えられる。代替系列のインデックスは、セル毎に又はユーザ装置毎に構成されうる。
【0095】
他のDMRSパラメータが、CSホッピング及びSGH用の擬似ランダム系列等の基本系列に依存する場合、そのようなパラメータも、動的に知らされた系列に従って調整される。
【0096】
ネットワークノード103は、選択された代替基本系列に従って基準信号を受信しうる。代替基本系列の設定及びスケジューリングの少なくともいずれかは、ネットワークノード103におけるように、1つのネットワークノードにおいて実行されてもよいが、例えばCoMPシナリオの場合には、他のいくつかのノードにおいて受信されてもよい。
【0097】
ステップ408
ネットワークノード103は、代替基本系列に基づいてネットワークノード103とユーザ装置105との間のチャネルのチャネル推定を実行する。
【0098】
例えば、CoMPシナリオ等において新しいユーザ装置が協調セルに入った/協調セルから出た場合、ステップ402における測定が十分に更新されない場合、又はそれらの両方の場合、401からの上述のステップは繰り返される。401からのステップは周期的に繰り返されてもよい。
【0099】
図5は、通信ネットワーク100において基本系列を処理する、ネットワークノード103における方法の実施形態を説明するフローチャートである。上述したように、ネットワークノード103は、1つ以上のユーザ装置105の第1の集合と通信するように構成される。いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、無線チャネル102を介して第1のユーザ装置105と通信するように構成される。ネットワークノード103は、デフォルト基本系列に関する情報及び1つ以上の代替基本系列に関する情報を有する。いくつかの実施形態において、判定された代替基本系列に関する情報は、判定された代替基本系列、又は代替基本系列を含むテーブルを指し示すインデックスを含む。テーブルは、ネットワークノード103のコンピュータ可読メモリに格納されてもよい。いくつかの実施形態において、ネットワークノード103はセル101をサービングする。ネットワークノード103は、セル101に位置する第1のユーザ装置105と通信するように構成されうる。いくつかの実施形態において、代替基本系列はユーザ装置固有の基本系列であり、デフォルト基本系列はセル固有の基本系列である。
【0100】
本方法の実施形態は、ネットワークノード103により実行される以下のステップを含む。
【0101】
ステップ501
このステップは、図4のステップ401及び402に対応する。
【0102】
いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、第1のユーザ装置105から受信した基準信号等の信号を評価する。
【0103】
ステップ501a
このステップは、図4のステップ402に対応し、ステップ501のサブステップである。
【0104】
いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、信号に含まれる、SRS又はDMRS等の基準信号と関連付けられた電力を測定する。当該電力は、電力測定のための任意の適切な測定技術を使用して測定される。例えば、当該技術分野において知られている基準信号受信電力(RSRP)を測定する技術が使用されてもよい。
【0105】
ステップ501c
このステップは、図4のステップ402に対応し、ステップ501のサブステップである。ステップ501cは、ステップ501aの後又はステップ501aの代わりに実行される。
【0106】
いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、通信ネットワーク100における第1のユーザ装置105の位置を取得する。ネットワークノード103は、当技術分野において知られている任意の適切な位置測定技術を使用することで位置を取得してもよいし、ネットワーク100内の別のノード(例えばユーザ装置105自体)から位置を受信してもよいし、あるいは位置に関する所定の情報又はネットワーク100内の別のノードから受信した情報を使用して位置を算出してもよい。
【0107】
ステップ501d
このステップは、図4のステップ402に対応し、ステップ501のサブステップである。ステップ501dは、ステップ501aの後又はステップ501cの後、あるいはステップ501aの代わり、ステップ501cの代わり又はステップ501a及びステップ501cの代わりに実行される。
【0108】
いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、復調基準信号(DMRS)又はサウンディング基準信号(SRS)等の基準信号と関連付けられた電力、及びユーザ装置の位置の少なくともいずれかが、それぞれの閾値を下回るかあるいはそれぞれの閾値の範囲内にあることを判定する。これは、基準信号と関連付けられた電力及びユーザ装置の位置の少なくともいずれかをそれぞれの閾値と比較することによって実行されうる。それぞれの閾値は、任意の適切なサイズであってもよく、RS電力メトリック、セルエッジまたは地理的境界までの距離のメトリックであってもよい。
【0109】
ステップ502
このステップは、図4のステップ403及びステップ404に対応する。
【0110】
いくつかの実施形態において、評価された信号に基づいて、ネットワークノード103は、第1のユーザ装置105が通信ネットワーク100において干渉を受けることを特定する。
【0111】
ステップ503
このステップは、図4のステップ403及びステップ404に対応する。
【0112】
いくつかの実施形態において、評価された信号に基づいて、ネットワークノード103は、第1のユーザ装置105が受ける干渉を発生させる第2のユーザ装置107を特定する。第2のユーザ装置107は第2の基本系列を用いており、代替基本系列は当該第2の基本系列に相当する。
【0113】
ステップ504
このステップは、図4のステップ403及びステップ404に対応する。
【0114】
いくつかの実施形態において、評価された信号に基づいて、ネットワークノード103は、第1のユーザ装置105が受ける干渉を発生させる第3のユーザ装置109を特定する。
【0115】
ステップ505
このステップは、図4のステップ405に対応する。
【0116】
ネットワークノード103は、第1のユーザ装置105について、代替基本系列がデフォルト基本系列を置換すべきであることを判定する。
【0117】
いくつかの実施形態において、代替基本系列がデフォルト基本系列を置換すべきであることを判定するステップは、ユーザ装置105が受けた干渉に関する情報に基づいている。
【0118】
いくつかの実施形態において、代替基本系列がデフォルト基本系列を置換すべきであると判定するステップは、ステップ502で特定された干渉に基づいている。
【0119】
ステップ506
このステップは、図4のステップ406に対応する。
【0120】
ネットワークノード103は、判定された代替基本系列に関する情報を第1のユーザ装置105に送出する。
【0121】
いくつかの実施形態において、代替基本系列に関する情報は、スケジューリング情報を介して第1のユーザ装置105に送出される。
【0122】
ステップ507
このステップは、図4のステップ406に対応する。
【0123】
いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、第2の基本系列に対応する判定された代替基本系列に関する情報を、第3のユーザ装置109に送出する。
【0124】
ステップ508
いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、第1のユーザ装置105と第3のユーザ装置109とを協調スケジューリングする。第1のユーザ装置105及び第3のユーザ装置109が同一のセル101内に位置する場合、これは、例えばMU−MIMOシナリオについてのものであってよい。
【0125】
ステップ509
いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、代替基本系列に従って基準信号をユーザ装置105から受信する。
【0126】
ステップ510
いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、代替固有基本系列に基づいてネットワークノード103と第1のユーザ装置105との間の無線チャネル102を推定する。
【0127】
通信ネットワーク100において基本系列を処理するための図5及び図9に示される実施形態の方法ステップを実行するために、ネットワークノード103は、図6に示されるような構成を備える。ネットワークノード103は、第1のユーザ装置105と通信するように構成される。いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、無線チャネル102を介して第1のユーザ装置105と通信するように構成される。上述したように、ネットワークノード103は、デフォルト基本系列及び代替基本系列に関する情報を有する。いくつかの実施形態において、ネットワークノード103はセル101をサービングする。ネットワークノード103は、セル101内の第1のユーザ装置105と通信するように構成される。いくつかの実施形態において、代替基本系列はユーザ装置固有の基本系列であり、デフォルト基本系列はセル固有の基本系列である。
【0128】
ネットワークノード103は、第1のユーザ装置105について、代替基本系列がデフォルト基本系列を置換すべきであることを判定するように構成された判定ユニット601を備える。いくつかの実施形態において、判定ユニット601は、ユーザ装置105が受けた干渉に関する情報に基づいて、代替基本系列がデフォルト基本系列を置換すべきであることを判定するように更に構成される。いくつかの実施形態において、判定ユニット601は、特定された干渉に基づいて、代替基本系列がデフォルト基本系列を置換すべきであることを判定するように更に構成される。
【0129】
ネットワークノード103は、判定された代替基本系列に関する情報を第1のユーザ装置105に送出するように構成された送出ユニット602を更に備える。いくつかの実施形態において、送出ユニット602は、スケジューリング情報を介して、代替基本系列に関する情報を第1のユーザ装置105に送出するように構成される。いくつかの実施形態において、送出ユニット602は、判定された代替基本系列に関する情報を第3のユーザ装置109に送出するように構成される。代替基本系列は第2の基本系列に対応する。いくつかの実施形態において、判定された代替基本系列に関する情報は、判定された代替基本系列、又は代替基本系列を含むテーブルを指し示すインデックスを含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は処理ユニット605を更に備える。いくつかの実施形態において、処理ユニット605は、第1のユーザ装置105から受信した信号を評価するように構成される。処理ユニット605は、評価された信号に基づいて、第1のユーザ装置105が通信ネットワーク100において干渉を受けることを特定するように更に構成されてもよい。いくつかの実施形態において、処理ユニット605は、評価された信号に基づいて、第1のユーザ装置105が受ける干渉を発生させる第2のユーザ装置107を特定するように更に構成される。第2のユーザ装置107は第2の基本系列を用いてもよいし、代替基本系列は第2の基本系列に対応してもよい。
【0131】
いくつかの実施形態において、処理ユニット605は、信号に含まれる基準信号と関連付けられた電力、及び当該信号に含まれるSRSと呼ばれるサウンディング基準信号と関連付けられた電力の少なくともいずれかを測定するか、通信ネットワーク100における第1のユーザ装置105の位置を取得するか、又はその両方を行うように更に構成される。処理ユニット605は、SRS又はDMRS等の基準信号と関連付けられた電力及び位置の少なくともいずれかが閾値を下回ることを判定するように更に構成されてもよい。
【0132】
いくつかの実施形態において、処理ユニット605は、評価された信号に基づいて、第1のユーザ装置105が受けた干渉を発生させる第3のユーザ装置109を特定するように構成される。処理ユニット605は、第1のユーザ装置105と第3のユーザ装置109とを協調スケジューリングするように構成されてもよい。
【0133】
いくつかの実施形態において、処理ユニット605は、代替固有基本系列に基づいて、ネットワークノード103と第1のユーザ装置105との間の無線チャネル101を推定するように構成される。
【0134】
いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、代替基本系列に従って基準信号をユーザ装置105から受信するように構成された受信ユニット607を備える。
【0135】
次に、上述の方法をユーザ装置105の観点から説明する。図7は、通信ネットワーク100において基本系列を処理するユーザ装置105における方法の実施形態を説明するフローチャートである。上述したように、第1のユーザ装置105は、ネットワークノード103と通信するように構成される。第1のユーザ装置105はデフォルト基本系列を用いる。いくつかの実施形態において、ユーザ装置105はセル101内に位置する。セル101は、ネットワークノード103によってサービングされる。上述したように、いくつかの実施形態において、代替基本系列はユーザ装置固有の基本系列であり、デフォルト基本系列はセル固有の基本系列である。いくつかの実施形態において、1つ以上の代替基本系列に関する情報は、ネットワークノード103から動的又は準静的に受信される。本方法は、ユーザ装置105により実行される以下のステップを含む。
【0136】
ステップ701
このステップは、図4のステップ401に対応する。
【0137】
いくつかの実施形態において、ユーザ装置105は信号をネットワークノード103に送出する。
【0138】
ステップ702
このステップは、図4のステップ406に対応する。
【0139】
ユーザ装置105は、代替基本系列がデフォルト基本系列を置換すべきであるという情報をネットワークノード103から受信する。置換することにより、ユーザ装置がデフォルト基本系列ではなく代替基本系列を用いるべきであることを意味する。いくつかの実施形態において、置換は、デフォルト基本系列より代替基本系列を優先させる(override)ことを意味する。
【0140】
ステップ703
ユーザ装置105は、デフォルト系列を代替基本系列で置換する。これにより、ユーザ装置105は、デフォルト基本系列ではなく代替基本系列を用いる。
【0141】
通信ネットワーク100において基本系列を処理する図7及び図10に示される実施形態の方法ステップを実行するために、ユーザ装置105は、図8に示されるような構成を備える。ユーザ装置105は、ネットワークノード103と通信するように構成される。ユーザ装置105はデフォルト基本系列を採用する。いくつかの実施形態において、ユーザ装置105はセル101内に位置する。セル101は、ネットワークノード103によってサービングされる。
【0142】
ユーザ装置105は、代替基本系列がデフォルト基本系列を置換すべきであるという情報をネットワークノード103から受信するように構成された受信ユニット801を備える。いくつかの実施形態において、代替基本系列に関する情報は、ネットワークノード103から動的に受信される。
【0143】
いくつかの実施形態において、代替基本系列はユーザ装置固有の基本系列であり、デフォルト基本系列はセル固有の基本系列である。
【0144】
ユーザ装置105は、デフォルト系列を代替基本系列で置換するように構成された処理ユニット805を更に備える。
【0145】
いくつかの実施形態において、ユーザ装置105は、信号をネットワークノード103に送出するように構成された送出ユニット807を備える。
【0146】
図9は、通信ネットワーク100において基本系列を処理するネットワークノード103における方法の他の実施形態を説明するフローチャートである。上述したように、ネットワークノード103は、1つ以上の第1のユーザ装置105の集合と通信するように構成される。ネットワークノード103は、セル101をサービングし、無線チャネル102を介してセル101内に位置する第1のユーザ装置105と通信するように構成される。ネットワークノード103は、デフォルト基本系列に関する情報及び1つ以上の代替基本系列に関する情報を有する。いくつかの実施形態において、代替基本系列に関する情報は、代替基本系列、及び代替基本系列を含むテーブルを指し示すインデックスを含む。当該テーブルは、ネットワークノード103のコンピュータ可読メモリに格納されてもよい。いくつかの実施形態において、代替基本系列はユーザ装置固有の基本系列であり、デフォルト基本系列はセル固有の基本系列である。いくつかの実施形態において、1つ以上の代替基本系列に関する情報は、例えばX2インタフェース又は自社開発のインタフェースを介して1つ以上の隣接セルからシグナリングされることで受信される。ネットワークノード103は、いくつかの実施形態において、無線リソース制御、(RRC)シグナリング等の上位層シグナリングを介して、1つ以上の代替基本系列で第1のユーザ装置105を更に設定してもよい。いくつかの実施形態において、ネットワークノード103は、第1のユーザ装置105から受信した信号を評価する。第1のUE105において代替基本系列を設定することは、いくつかの実施形態では、受信した信号を評価する際に第1のUE105についての実際の干渉又は干渉の可能性を検出することに応じてネットワークノード103によって開始されてもよいし、あるいは各ユーザ装置がサービングセルに入る際に各ユーザ装置に対してデフォルトで実行されてもよい。
【0147】
本方法の実施形態は、ネットワークノード103により実行される以下のステップ901及び902を含む。
【0148】
ステップ901
ネットワークノード103は、セル固有であるデフォルト基本系列を代替基本系列で置換することを判定する。
【0149】
いくつかの実施形態では、セル101内の全てのUEではなく当該セル内の1つ以上の選択UE105のみが代替基本系列を設定される一方で、当該セル内の残りのUEがそのままデフォルト基本系列を用いるために、代替基本系列はUEに固有である。セルの2つ以上のUEが同一の代替系列を用いる場合でさえ、この系列は、サービングセルのセル固有のパラメータに依存しないために依然としてUEに固有であり、これは、セル固有のデフォルト系列の場合に当てはまる。
【0150】
上記判定は、いくつかの実施形態では、第1のユーザ装置105が通信ネットワーク100において干渉を受けることに基づいてもよい。
【0151】
上記判定は、ある特定の実施形態において、第1のユーザ装置105が通信ネットワーク100において干渉を受ける尤度又は可能性を有すると判定されることに基づいてもよい。この可能性又は尤度は、いくつかの実施形態に従って、UE107、109の第2の集合及び第3の集合の少なくともいずれか等の、干渉するUE又は干渉する可能性のあるUEを含む隣接セルとの関係でUE105の位置を定めることで判定されてもよい。履歴干渉データは、第1のUE105の位置の知識に基づいて、すなわちそれ以前のUEについての位置又は領域の干渉履歴統計情報に基づいて、干渉の尤度又は確率を定めるために、ネットワークノード103により更に又は代わりに使用されてもよい。
【0152】
ステップ902
ネットワークノード103は、代替基本系列がデフォルト基本系列を置換すべきであるという情報を第1のUE105に送出する。
【0153】
情報を送出は、いくつかの実施形態では、スケジューリング送信(例えば、スケジューリング・グラント・シグナリング)に情報を含めること、又はRRCを介して情報をシグナリングすることを含んでもよい。それにより、実際の代替基本系列又は基本系列のインデックスが、スケジューリング送信又はRRC送信に含まれてもよい。当該インデックスは、ネットワークノード103によって第1のUE105において事前に設定されている1つ以上の代替基本系列のテーブルに含まれる代替系列を指し示している。
【0154】
いくつかの実施形態において、切替トリガ・フィールドは、トリガする(すなわち、切り替えを起動するかあるいはデフォルト基本系列を代替系列で置換する)ために、シグナリング又は送信されるスケジューリング情報に含められる。その際、DMRS用の特定のCS/OCCの組合せに対応するスケジューリング・グラントに含まれるこのフィールドに、ある特定のコードポイントをデータビットの形式で含めることによって、切り替えが動的にトリガされてもよい。
【0155】
図10は、通信ネットワーク100において基本系列を処理するユーザ装置105における方法の他の実施形態を説明するフローチャートである。上述したように、第1のユーザ装置105は、ネットワークノード103と通信するように構成される。第1のユーザ装置105は、デフォルト基本系列を用い、ネットワークノード103によってサービングされるセル101内に位置している。いくつかの実施形態において、第1のUE105は、無線リソース制御(RRC)シグナリング等の上位層シグナリングを介して、1つ以上の代替基本系列を設定される。第1のUE105における代替基本系列の設定は、いくつかの実施形態では、受信した信号を評価する際に第1のUE105についての実際の干渉又は干渉の可能性を検出することに応じてネットワークノード103によって動的に開始されてもよい。いくつかの実施形態において、信号は、評価のためにネットワークノード103に送出される。
【0156】
本方法の実施形態は、ユーザ装置105により実行される以下のステップ1001及び1002を含む。
【0157】
ステップ1001
ユーザ装置105は、代替基本系列の1つがデフォルト基本系列を置換すべきであるという情報をネットワークノード103から受信する。置換により、ユーザ装置がデフォルト基本系列ではなく代替基本系列を用いるべきであることを意味する。いくつかの実施形態において、置換は、デフォルト基本系列代替基本系列を優先させることを意味する。
【0158】
デフォルト基本系列を代替基本系列で置換するための情報は、いくつかの実施形態では、ネットワークノード103からスケジューリング・グラントで又はRRCを介してシグナリングされる。
【0159】
ステップ1002
ユーザ装置105は、デフォルト系列を代替基本系列で置換する。これにより、ユーザ装置105は、デフォルト基本系列ではなく代替基本系列を用いる。
【0160】
通信ネットワーク100において基本系列を処理する本発明のメカニズムは、本明細書の実施形態の機能を実行するコンピュータプログラムコードと共に、図8に示されたユーザ装置105の処理ユニット805及び図6に示されたネットワークノード103の処理ユニット605等の1つ以上のプロセッサによって実装されてもよい。プロセッサは、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)プロセッサ又はマイクロプロセッサ等であってもよい。上述のプログラムコードは、例えばユーザ装置105及びネットワークノード103の少なくともいずれかにロードされる際に本明細書の実施形態を実行するコンピュータプログラムコードを担持するデータ記憶媒体の形態のコンピュータプログラムとして更に提供されてもよい。そのような記憶媒体の1つは、CD ROMディスクの形態であってもよい。しかし、上述のプログラムコードは、メモリスティック等の他のデータ記憶媒体により実現可能である。更にコンピュータプログラムコードは、サーバ上で純正のプログラムコートとして提供され、且つ、リモートでユーザ装置105及びネットワークノード103の少なくともいずれかにダウンロードされてもよい。
【0161】
尚、本明細書の実施形態を例示するために3GPP LTE−Advancedからの用語が本開示において使用されているが、これは、本明細書の実施形態の範囲を上述のシステムだけに限定するものとして理解されるべきではない。WCDMA、WiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、ウルトラモバイルブロードバンド(UMB)及びGSMを含む他の無線システムは、本開示内の範囲に含まれた概念を利用することで更に利点を得るだろう。
【0162】
また、基地局及びUE等の用語は、限定するものではないと考えられるべきであり、特にそれら2つの間のある特定の階層関係を示さない。一般に、「基地局」はデバイス1、「UE」はデバイス2と考えることができ、これらの2つのデバイスは、何らかの無線チャネルを介して互いに通信する。
【0163】
本明細書の実施形態は上述の好適な実施形態に限定されない。種々の代替例、変形及び均等物が使用されてもよい。したがって、上述の実施形態は、添付の特許請求の範囲により規定される実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0164】
本明細書において使用される場合の「備える」という用語は、記載される特徴、数字、ステップ又は構成要素の存在を特定するために利用されるが、1つ以上の他の特徴、数字、ステップ、構成要素又はそれらの集合の存在あるいは追加を除外しないことが強調されるべきである。また、単数形の要素は複数形のそのような要素の存在を除外しない。
【0165】
添付の特許請求の範囲において規定された方法のステップは、本明細書の実施形態から逸脱せずに、特許請求の範囲において示されるのとは別の順序で実行されてもよいことが更に強調されるべきである。
図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10