(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747134
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】RFIDトランスポンダのアンテナ素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
G06K19/077 212
G06K19/077 280
【請求項の数】20
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-545183(P2014-545183)
(86)(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公表番号】特表2015-507777(P2015-507777A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】EP2012073940
(87)【国際公開番号】WO2013083470
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2014年6月12日
(31)【優先権主張番号】61/568,896
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508079692
【氏名又は名称】スマートラック アイピー ビー.ヴィー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルタネン、 ユハニ
【審査官】
久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−063201(JP,A)
【文献】
特開2010−253900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00−19/18
B42D 25/00−25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波識別チップと1つ以上のアンテナ素子とを含む無線周波識別トランスポンダの製造方法において、該方法は、
−導電シートに第1の溝を形成して該導電シートの一部で第1の溝を囲繞するようにし、
−第1の溝の形成後、前記チップを前記導電シートに取り付けて第1の溝が該チップの第1の接続素子と該チップの第2の接続素子との間に位置するようにし、
−前記チップの取付け後、第2の溝を前記導電シートに形成して、前記トランスポンダのアンテナ素子を誘電基板シートに取り付けることなく形成することを含むことを特徴とする無線周波識別トランスポンダの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、第2の溝は、レーザビームにより前記シートの導電材料を加熱および/または溶発することによって切削することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、第1の溝を囲繞する閉路の長さは、前記チップの周長の10倍以下であり、該閉路の各点は前記導電シートの導電材料上に位置することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法において、第1の溝の第1の方向における第1の寸法は、前記チップの第1方向における最大寸法以上であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記チップの取付け後、該チップの位置を検出し、該検出されたチップの位置に基づいて第2の溝の位置を調節することを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記導電シートに内部突起を形成することを含み、該突起の幅の該突起の長さに対する比が0.8以上になるようにし、該内部突起の少なくとも一部は第1の溝によって画成されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法において、前記導電シートは、第1の溝の形成に際して、1つ以上のクランプ面によって保持装置の表面に当接して保持されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかの記載の方法において、該方法は、第1の溝の形成に際して張力によって前記導電シートを保持することを含み、該張力は、該導電シートの表面に実質的に平行であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記導電シートが張力によって曲面に対して引張られるように第2の溝を形成することを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の方法において、第2の溝の形成に際して、前記導電シートは、1つ以上のクランプ面によって保持装置の表面に当接して保持されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法において、第2の溝の形成に際して、前記導電シートは、差圧によって保持装置に当接して保持されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の方法において、第2の溝の形成に際して、前記導電シートは、重力によって保持装置に当接して保持されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の方法において、前記トランスポンダは、1つ以上のリンクもしくはブリッジによって前記導電シートの外側部分に接続されていることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の方法において、前記トランスポンダは、分離用ウエッジを用いて前記導電シートの外側部分から離すことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の方法において、前記トランスポンダは、差圧を用いて前記導電シートの外側部分から離すことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかに記載の方法において、前記トランスポンダは、接着剤で少なくとも一部が覆われたキャリアシートを用いて前記導電シートの外側部分から離すことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかに記載の方法において、アンテナ素子の表面積の20%未満を誘電材料で覆うことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記導電シートに形成された1つ以上の開口部を通して光学的に前記チップの位置を検出することを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1ないし5および7ないし18のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記チップの取付け前に、2本以上の溝を前記導電シートに形成することを含み、該2本以上の溝は、前記チップの接続素子の間にあるコイルアンテナの一部を画成することを特徴とする方法。
【請求項20】
無線周波識別トランスポンダの製造装置において、該装置は、
−第1の溝を導電シートに設け、
−第1の溝を設けた後、無線周波識別チップを前記導電シートへ取り付けて、第1の溝が該チップの第1の接続素子と該チップの第2の接続素子の間に位置するようにし、
−前記チップの取付け後、第2の溝を前記導電シートにレーザビームによって形成して、前記トランスポンダのアンテナ素子を誘電基板シートに取り付けることなく形成するように構成されていることを特徴とする無線周波識別トランスポンダの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明はRFIDトランスポンダに関するものである。
【0002】
無線周波識別タグ(RFID)は、物品に取り付け、もしくは物品に関連付けて物品を識別し、および/または物品の動きを追跡することができる。タグに保存された情報は携帯型もしくは固定型読取機を用いて無線で読み取ることができる。
【0003】
無線周波識別タグはトランスポンダを有し、これが応答を送信することによって問合せ信号に対して応答する。タグから読取機へ送られた応答は、ある情報を含むことができ、これは、例えばそのタグに関連した物品の識別番号を特定するものである。タグは任意の取付け手段によって物品に取り付けることができる。
【0004】
RFIDタグを物品に取り付けて、物品の無線周波識別を行うことができる。RFIDタグは、例えば物品の連番、物品の製造バッチ、および/または物品の価格を特定することができる。RFIDタグはトランスポンダを有してよく、これはまた、1つ以上のアンテナ素子10a、10bと、RFIDチップとを有してよい。
【0005】
図1を参照すると、アンテナ素子10a、10bは基板90上に化学エッチングによって作ることができる。基板90は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)でよい。最終形状のアンテナ素子10a、10bをエッチング加工した後、RFIDチップ50をアンテナ素子10a、10bへ異方性導電接着剤を用いて取り付けることができる。
【0006】
RFIDチップの電極素子52a、52bをアンテナ素子10a、10bの端子部12a、12bに対して正確に位置決めすることは、安定した無線周波性能を確保するのに必要である。
【0007】
本発明は、RFIDトランスポンダの製造方法を提供することを目的とする。本発明は、RFIDトランスポンダの製造装置を提供することを目的とする。本発明は、RFIDトランスポンダを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の第1の局面によれば、請求項1に記載の方法が提供される。
【0009】
本発明の第2の局面によれば、請求項20に記載の装置が提供される。
【0010】
無線周波識別(RFID)トランスポンダは、1つ以上のアンテナ素子に接続された無線周波識別(RFID)チップを有している。アンテナ素子は導電シートからレーザによって切り出してもよい。アンテナ素子もしくはコイルアンテナの端部は溝によって互いに分離する必要がある。しかし、チップは分離溝の一部を覆っているので、チップはカッティング用レーザビームによって損傷する危険がある。
【0011】
RFIDトランスポンダの製造方法は、
−導電シート(70)に第1の溝(C1)を形成して前記導電シート(70)の一部(OR1)で第1の溝(C1)を囲繞するようにし、
−第1の溝(C1)の形成後、チップ(50)を導電シート(70)に取り付けて第1の溝(C1)がチップ(50)の第1の接続素子(52a)とチップ(50)の第2の接続素子(52b)の間に位置するようにし、
−チップ(50)の取付け後、第2の溝を導電シート(70)に切削して前記トランスポンダ(100)のアンテナ素子(10a)を成形することを含む。
【0012】
第1の溝をチップ50の取付け前に形成すると、チップの損傷の恐れを実質的に少なくすることができる。
【0013】
アンテナ素子の最終的な形は、チップを導電シートへ取り付けた後に、導電シートから続いて切り出してもよい。したがって、アンテナ素子の位置は、チップに対して正確に決めることができ、チップのレーザビームによる損傷の恐れを実質的に少なくすることができる。
【0014】
導電シートの強度および剛性は、シートの縁端部へ延在する1本以上の溝を切ってしまうと、実質的に弱くなることがある。また、長尺の内部突起をカッティングすることも、導電シートの強度および剛性を弱める。シートの位置をしっかりと保持することも、シートの縁端部へ延在する1つ以上の溝を切った後は、困難になることがある。したがって、シートに対するチップの位置決め精度は、シートの縁端部へ延在する1本以上の溝を切る前、および/または長尺の内部突起を形成する前にチップをシートへ取り付けることによって、改善することができる。とくに、第1(予備)の溝に対するチップの正確な位置決めは、シートの縁端部へ延在する1本以上の溝を切削する前、および/または長尺の内部突起を形成する前にシートへチップを取り付ける(接合する)ことによって、容易になることがある。
【0015】
RFIDタグのアンテナ素子によって出力される電気信号は、非常に弱いことがある。チップ50とアンテナ素子間の電気接触のインピーダンスは重要である。本発明によれば、インピーダンスの変動を小さくてよく、より一定し信頼性の高いRFID動作が1つの製造バッチの全トランスポンダについて得られる。
【0016】
チップの取付け後にアンテナ素子の端子部分の最終形状を切り出すことによって、チップの位置決めにおけるばらつきを補正することができる。
【0017】
アンテナ素子の最終形状を切り出す前に導電シートに対してチップを取り付けることによって、導電シートの位置をしっかりと保つことができる。これは、チップの位置ずれによる悪影響が最小になる一助となり得る。
【0018】
一実施例において、実質的に無基板のRFIDトランスポンダを製造工程の中間段階で提供してもよい。
【0019】
一実施例において、RFIDトランスポンダのアンテナ素子は、誘電基板シートへ取り付けない。すなわち、RFIDトランスポンダは実質的に無基板のアンテナを有してもよい。例えば、アンテナ素子(10a、10b、CA1)の表面積の20%
未満を誘電材料で覆ってもよい。
【0020】
無基板構造によれば、RFIDトランスポンダの製造中に発生する廃材が少なくなることがある。
【0021】
一実施例において、安価な表面材および/または安価な被覆材をRFIDに使用してもよい。
【0022】
一実施例において、実質的に無基板のRFIDトランスポンダを製造してもよい。トランスポンダは、物品に実質的に取り付けてもよい。すなわち、物品の表面はRFIDトランスポンダの構造体を支持するように構成してもよい。
【0023】
一実施例において、低製造費用が期待できる。
【0024】
基板シートに取り付けられていないアンテナ素子を製造する場合、いくつかの問題を解決する必要がある。最大の問題の1つは、アンテナ素子を切り出す際、およびトランスポンダもしくは半製品のトランスポンダを急速に動かす際に、アンテナ素子の形状および寸法を維持することである。アンテナ素子の形状は、例えばリンクを用いて、ブリッジを用いて、および/または保持部材を用いて維持してもよい。
【0025】
一実施例において、アンテナ素子は、導電シートの外側部分へリンクによって接続する。リンクは、アンテナ素子の形状を切り出す際にアンテナ素子の正しい形状を維持するのに役立つ。切り出した後、アンテナ素子は導電シートの残りの部分から、例えばリンクを切ることで分離してもよい。
【0026】
一実施例において、製造装置により製造されたアンテナ素子の寸法および/または形状を迅速に変えてもよい。
【0027】
一実施例において、導電シートに取り付けられたチップを有する複数の半製品(すなわち、未仕上げ)のトランスポンダを保管してもよく、アンテナ素子の最終形状は、例えばチップをシートへ取り付けた数日の数時間後に切り出してもよい。これによって、形状の異なるアンテナを有するトランスポンダを迅速に製造するように構成された製造工程の速度を改善することができる。複数の半製品のトランスポンダを、例えば実質的に連続した同一の導電シートに被着された複数のチップを有する1巻のロールとして保管してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下の各例において、添付図面を参照して本発明の実施例をさらに詳細に説明する。
【
図1】RFIDタグの公知の製造方法を示す立体図である。
【
図2】RFIDチップのアンテナ素子に対する位置ずれを示す上面図である。
【
図3】RFIDチップの位置ずれを補正するためのアンテナ素子のカッティングを示す上面図である。
【
図4a】導電シートにおける予備溝の切削を示す立体図である。
【
図4b】予備溝形成後の導電シートへのRFIDチップの取付けを示す立体図である。
【
図4c】RFIDチップを導電シートへ取り付け後、レーザビームで導電シートをカッティングしてRFIDトランスポンダのアンテナ素子の形状を画成することを示す立体図である。
【
図5b】導電シートに対する予備溝の切削を示す上面図である。
【
図5c】予備溝形成後の導電シートに対するRFIDチップの取付けを示す上面図である。
【
図5d】RFIDチップを導電シートへ取り付け後、導電シートをカッティングしてRFIDトランスポンダのアンテナ素子の形状を画成することを示す上面図である。
【
図5e】
図5dによる導電シートのカッティングで得られたRFIDトランスポンダを示す上面図である。
【
図6a】導電シートにおける予備溝の切削を示す立体図である。
【
図6b】導電シートへのRFIDチップの取付けを示す図である。
【
図6c】シートホルダによる導電シートの支持を示す立体図である。
【
図6d】RFIDチップを導電シートへ取り付け後,レーザビームによる導電シートのカッティングを示す立体図である。
【
図6e】シートホルダで支持されたRFIDトランスポンダと、キャリアシートを示す立体図である。
【
図6f】キャリアシートに取り付けられたRFIDトランスポンダを示す立体図である。
【
図7a】無基板RFIDトランスポンダを示す立体図である。
【
図7b】キャリアシートに取り付けられたRFIDトランスポンダを示す立体図である。
【
図7c】キャリアシートに取り付けられたRFIDトランスポンダを示す立体図である。
【
図7d】2枚のシート間に積層されたRFIDトランスポンダを示す立体図である。
【
図8a】導電シートにおける予備溝の切削を示す立体図である。
【
図8b】予備溝形成後の導電シートへのRFIDチップの取付けを示す立体図である。
【
図8c】レーザビームによるカッティングの際、導電シートを保持する吸着ホルダを示す立体図である。
【
図8d】RFIDトランスポンダの吸着ホルダによる保持を示す立体図である。
【
図8e】キャリアシートに取り付けられたRFIDトランスポンダを示す立体図である。
【
図9a】予備溝の切削の際、クランプ部材による導電シートの保持を示す立体図である。
【
図9b】導電シートへのRIFDチップの取り付けに際してクランプ部材による導電シートの保持を示す立体図である。
【
図11】レーザカッティング装置を示す立体図である。
【
図12】予備溝で形成された十字型予備パターンを示す上面図である。
【
図13】予備溝により形成された矩形予備パターンを示す上面図である。
【
図14a】予備パターンにより画成された内部突起の寸法を示す上面図である。
【
図14b】予備パターンにより画成された内部突起の寸法を示す上面図である。
【
図14c】予備パターンを取り巻く閉路を示す上面図である。
【
図14d】予備パターンを取り巻く閉路を示す上面図である。
【
図14g】RFIDチップの周長を示す上面図である。
【
図14h】導電シートの縁端部へ延在する溝を示す上面図である。
【
図14i】導電シートの縁端部に近接して配置された予備パターンを示す上面図である。
【
図15】予備溝から成るT字型予備パターンを示す上面図である。
【
図16a】1つ以上の検査穴を使用してRFIDチップの角度ずれをモニタすることを示す上面図である。
【
図16b】1つ以上の検査穴を使用してRFIDチップの横ずれをモニタすることを示す上面図である。
【
図16c】1つ以上の検査穴を使用してRFIDチップの角度ずれおよび横ずれをモニタすることを示す上面図である。
【
図17a】コイルアンテナを有するRFIDトランスポンダを示す立体図である。
【
図17b】ジャンパ線なしに実現されたコイルアンテナを有するRFIDトランスポンダを示す立体図である。
【
図17c】コイルアンテナを製造するための予備溝を示す立体図である。
【
図17d】ジャンパ線なしに実現されたコイルアンテナを有するRFIDトランスポンダを示す立体図である。
【
図18a】導電シートの外側部分に複数のリンクで接続されたアンテナ素子を示す立体図である。
【
図18d】RFIDタグの製造装置の側面図であり、この装置は、導電シートの外側部分へアンテナ素子を接続するリンクを製造するように構成されている。
【
図19a】第1群のスロットの製造を示す上面図である。
【
図19b】第1群のスロットと一致する支持用ブリッジの形成を示す上面図である。
【
図19d】第1群のスロットと第2群のスロットがともにアンテナ素子を導電シートの外側部分から実質的に離すように第2群のスロットを形成するところを示す上面図である。
【
図19e】アンテナ素子を取り巻く実質的に連続した溝を示す上面図である。
【
図20】RFIDトランスポンダの機能部を示す図である。
【
図21】物品に取り付けられたRFIDトランスポンダを示す立体図である。
【0029】
図2を参照すると、チップ50の電極素子52a、52bをアンテナ素子10a、10bの終端部12a、12bへ接合する前にアンテナ素子10a、10bが形成された状況において、無線周波識別チップ50はアンテナ素子10a、10bに対して位置がずれていることがある。
【0030】
SX、SYおよびSZは直交方向を示す。導電シート70は、方向SXおよびSYにより画成される面内に(実質的に)あってよい。方向SZは導電シートの面に対して実質的に垂直でよい。
【0031】
RFIDタグのアンテナ素子の出力する電気信号は非常に弱いことがある。チップ50の角度ずれおよび/または横ずれは、チップ50とアンテナ素子の間の電気接触インピーダンスに悪影響を及ぼす可能性がある。チップ50は、トランスポンダ100の動作を妨げるほど正規の位置から大幅に変位していることがある。
【0032】
図3を参照すると、チップ50の位置誤差は、チップ50をアンテナ素子10a、10bの導電材料へ取り付け後、アンテナ素子10a、10bの少なくとも一部をカッティングすることによって、少なくとも部分的に補正することができる。例えば、第1のアンテナ素子10aの終端部12aを第2のアンテナ素子10bの終端部12bに対して距離CMP1だけ位置をずらせて、チップ50の位置ずれを補正することができる。
【0033】
RFIDチップ50の電極素子52a、52bは、アンテナ素子10a、10bの終端部12a、12bの最終形状を切り出す前に、導電シート70へ接合してもよい。電極素子52a、52bは、終端部12a、12bの最終形状を切り出す前に、導電シートへ電気接続してもよい。
【0034】
導電シート70は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、銀(Ag)、金(Au)、黒鉛(C)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、および/または鉛(Pb)を含んでよい。環境にやさしい低コストの材料も選択可能である。とくに、導電シート70はアルミニウムもしくは銅で構成してもよい。導電シート70の厚さは、例えば0.002mmから0.02mmの範囲、0.02mmから0.08mmの範囲、もしくは0.08mmから0.2mmの範囲内でよい。
【0035】
チップ50の電極素子52a、52bは、例えば銅、アルミニウム、錫、銀および/または金を含んでよい。
【0036】
電極素子52a、52bは電極バンプでよい。電極素子52a、52bは電極パッドでよい。
【0037】
RFIDチップ50は電極素子52a、52bを3つ以上含んでよい。具体的には、RFIDチップ50は4つの電極素子を有してもよい。とくに、2つの電極素子を同じアンテナ素子へ接合して、より信頼性の高い電気接触を得、および/または機械的により強固な接続を得てもよい。
【0038】
チップ50の最長寸法は、例えば5mm以下、好ましくは2mmより短くてよい。
【0039】
図4aを参照すると、溝C1を導電シート70に形成して、導電シート
70が溝C1を完全に囲繞するようしてよい。囲繞する外側部分OR1によって、以降の処理に際して溝C1の寸法を安定化することができる。すなわち、外側部分OR1を囲繞することによって半製品トランスポンダの機械的強度を増すことができる。
【0040】
電気的分離を行うために、溝C1はシート70の中へ(すなわち、上側から下側へ)延在している。溝C1はスリットもしくはスロットと称してもよい。
【0041】
具体的には、溝C1は、レーザ250で発生させたレーザビームLB1によって切削してよい。溝C1は、レーザビームLB1でシート70の導電材料を加熱および/または溶発することによって切削してもよい。
【0042】
レーザにより溝C1を成形することは有利なことがある。なぜなら、例えばこれによって溝C1の寸法を迅速かつ正確に変えることができるからである。したがって、さまざまな形および大きさのトランスポンダを同じ製造装置で製造することができる。
【0043】
レーザカッティングは液体化学薬品を用いることなく行うことができる。
【0044】
同じレーザ250は、チップ50を導電シート70へ取り付け後、予備溝C1とアンテナ素子の最終形状をカッティングするのに用いてもよい。
【0045】
または、第1の溝C1は、例えばエッチングもしくはダイカッティングによって形成してもよい。エッチングおよびダイカッティングは低コストの大量生産方法であろう。エッチングもしくはダイカッティングにおいて切削寸法を変えることは、レーザカッティング工程におけるよりも困難なことがある。
【0046】
図4bを参照すると、第1の溝C1の形成後にRFIDチップを導電シート70へ取り付けてよい。
【0047】
この取付けは、チップ5の第1の接続素子52aと導電シート70との間に第2の電気的接続を形成することを含んでよい。接続素子52a、52bは、第1の溝C1が第1の接続素子52aと第2の接続素子52bとの間に位置するようにシート70へ接合してよい。
【0048】
電気的接続は、例えば溶接、はんだ付けによって、および/または異方性導電接着剤を用いて形成してよい。
【0049】
この取付けは、チップ50の接続素子52a、52bを導電シート70へ押圧することを含んでよい。具体的には、異方性導電接着剤による電気接続部の形成は、チップ50をシート70に押圧することを含んでよい。囲繞部分OR1は、取り付けの際にも溝C1の寸法を維持することに役立つことがある。囲繞部分OR1がないと、押圧力によって溝C1の寸法が変わってしまうことがあろう。すなわち、シートは、囲繞部分
OR1がなければ、変形してしまうことがあろう。
【0050】
図4cを参照すると、アンテナ素子10a、10bの最終形状は、チップ50を導電シート70へ取り付け後に切り出してもよい。チップ50を導電シート70へ取り付け後、第2の溝C2を切削することによって、アンテナ素子10aを形成してもよい。第2の溝C2は、レーザビームLB2で切削してもよい。レーザビームLB2での切削により、アンテナ素子10aの終端部12aの位置はチップ50に対して正確に決めることができる。
【0051】
トランスポンダのアンテナ素子は、横方向の力(方向SXCおよび/またはSYの)により非常に容易に変形することがある。レーザビームLB2によるカッティングは、非常に小さな、もしくは無視してよいほどの横方向の力を発生することができる。
【0052】
レーザビームLB2は、第1のレーザビームLB1と同じレーザ250、もしくは他のレーザで発生してよい。第2の溝C2は、複数のレーザから得られる複数のレーザビームを用いて切削してもよい。
【0053】
高輝度レーザスポットSP2を、例えば方向SXおよびSYに動かして、部分12a、12bの所望の形状を切り出してもよい。
【0054】
接合およびカッティングは、同じレーザ250を用いて、または他の種類のレーザを用いて行ってもよい。例えば、電極素子52aと導電シート70との間の接合は、終端部12aと電極素子52aの間の界面を効果的に加熱するレーザビームLB0を用いて行うことができ、その場合、終端部12aの形状は、低加熱効果によりシート70から材料を溶発させる別のレーザビームLB2を用いて切り出してもよい。
【0055】
有利には、レーザは、短いパルス長と高い輝度を発して、導電シート70を過度に加熱することなく、および/またはチップ50を過剰に加熱することなく、導電シート70から材料を溶発させることができる。
【0056】
とくに、カッティング用レーザ250は、例えばエキシマレーザ、半導体レーザ、二酸化炭素レーザ、またはYAGレーザでよい。
【0057】
導電シートから溶発した材料は金属粒もしくは金属酸化物粒を形成することがあるが、これはガス流を用いて搬出することができる。粒子はガス洗浄機(図示しない)へ回収することができる。
【0058】
図5a〜
図5eはトランスポンダ製造のさまざまな段階を上面図で示す。
【0059】
図5aは1枚の導電シート70を示す。
【0060】
図5bは導電シート70に形成された第1の溝C1を示す。囲繞部分OR1によって、溝C1の寸法を維持することで以降の半製品の処理が容易になる。
【0061】
図5cは溝C1を形成後のチップ50のシート70上へ取付けを示す。
【0062】
図5dはチップ50をシート70上へ取り付け後の第2の溝C2の切削を示す。
【0063】
図5eは第2の溝C2を切削後に得られたRFIDトランスポンダ100を示す。
【0064】
図6a〜
図6fは、導電シート70を張力FX1、FX2によって保持してトランスポンダ100を製造することを示す。張力によるシートの保持は、例えば高速大量生産に有利であろう。
【0065】
図6aは第1の溝C1の切削を示す。第1の溝C1の切削の際はシート70を張力FX1、FX2によって保持してもよい。囲繞部分OR1がシートの強度を増し、張力FX1、FX2により生じるひずみにもかかわらず、溝C1の寸法を維持するのに役立つことがある。
【0066】
図6bは、チップホルダ260により生じる圧縮力F3を用いることによってチップ50を導電シート70上への取り付けることを示す。逆の力F4を背面支持体262により同時に発生させることができる。シート70は、チップ50の取り付けの際、張力FX1、FX2によって位置を保持することができる。
【0067】
図6cはシート70の支持がホルダ300でよいことを示す。有利には、シート70は保持力FZ2によってホルダ300に対して押圧してもよい。
【0068】
保持力FX2は、例えば重力によって、クランプ面(
図9b参照)によって、差圧(
図8d参照)によって、および/またはシート70を曲面に対して機械的に引き付けることによって発生させてもよい。重力により発生した保持力FZ2は、いくつかの実施例ではシート70を十分に保持するであろう。
【0069】
ホルダ300の表面は支持力FZ1でシート70を支持し、この保持力は保持力FZ2に等しい(方向は反対だが)。
【0070】
ホルダ300はスロット310を有し、チップ50を導電シート70とホルダ300との間に置くと、チップ50を収容し、および/または支持することができる。
【0071】
図6dを参照すると、第2の溝C2は、チップ50の取り付け後、レーザビームLB2で切削することができる。
【0072】
溝C2の切削の際、外側部分OR1は、保持力FZ2によっておよび/または張力FX1、FX2によって位置を保持してもよい。
【0073】
アンテナ素子10aの導電シート70からの切出しに関連する作業は、切り出し中はアンテナ素子の正規の位置を維持することである。溝C2の切削の際、アンテナ素子10a、10bは、例えば保持力FZ2(重力、差圧、曲面への引き付け、および/またはクランプにより生ずる)によって位置を保つことができる。保持力FZ2に代わって、もしくはこれに加えて、アンテナ素子10a、10bは、複数のリンク72および/またはブリッジ要素S1(
図18a、
図19e)により位置を保つこともできる。
【0074】
アンテナ素子の位置は、アンテナ素子の形状の切り出し中、モニタしてもよい。カッティングレーザビームLB2の位置はアンテナ素子の検出位置に基づいて調節してもよい。
【0075】
したがって、切削の際のアンテナ素子の小さな動きは許容範囲としてもよい。
【0076】
図6eを参照すると、ホルダ300に支持されたトランスポンダにキャリアシート81を近接させることができる。キャリアシート81は、例えば張力FX3、FX3によって正しい位置に保持してもよい。
【0077】
この段階において、トランスポンダ100は、すでに外側部分OR1から離しておいてもよい。しかし、トランスポンダ100は外側部分OR1と同じ面にそのまま置いておいてもよい。
【0078】
トランスポンダ100は、例えば、外側部分OR1以外のアンテナ素子10a、10b部分に接着剤を選択的に塗布することを含む方法によって、外側部分OR1から離すことができる。キャリアシート81をトランスポンダ100に接触させると、トランスポンダ100はキャリアシート81へ被着することができ、トランスポンダ100はキャリアシート81とともに外側部分OR1から離すことができる。
【0079】
これに代わって、もしくはこれに加えて、キャリアシート81がアンテナ素子10a、10bに接触することになる部分にだけ接着剤を選択的に塗布してもよい。キャリアシート81のこれらの部分は外側部分OR1および溝C2に対応し、接着剤なしのままでおいてよい。
【0080】
トランスポンダ100をキャリアシート81へ固定するのに使用される接着剤は、例えば感圧接着剤もしくはホットメルト接着剤でよい。
【0081】
図6fを参照すると、トランスポンダ100は、キャリアシート81を保持手段として用いることによって外側部分OR1から離してもよい。とくに、トランスポンダ100は、外側部分OR1の高さとは異なる高さにキャリアシート81とともに移動させてもよい。キャリアシート81は、例えば張力FX3、FX4を用いて所望の位置に保持および移動してもよい。キャリアシート81がトランスポンダ100へ接着されると、キャリアシート81によってアンテナ素子の互い対する位置が安定し、トランスポンダ100は、例えば持ち上げや急な動きに耐えるようになる。
【0082】
ホルダ300は実質的に平面形状(図示のように)を有しても、または曲面を有してもよい。とくに、ホルダ300はロールでもよい。具体的には、ホルダ300は回転ロールでもよく、その場合、導電シート70は、例えば張力FX1、FX2によってホルダ300の曲面に対して引き付けてもよい。導電シート70もまた、1つ以上の補助(回転)ロール、もしくは(摺動)押圧装置によってホルダ300に対して押し付けてもよい。
【0083】
図7aは、1つ以上のアンテナ素子10a、10bとチップ50を有する自立型無基板RFIDトランスポンダ100を示す。
【0084】
トランスポンダ100をキャリアシートへ取り付けてRFIDタグを得ることができる。
【0085】
または、RFIDトランスポンダ100は直接、物品700aに取り付けてもよい(
図21参照)。物品700aは、例えば段ボール箱、もしくは電子装置用バッテリでよい。RFIDトランスポンダ100は物品700aの表面へ取り付けてもよく、またはRFIDトランスポンダ100は物品700aに埋め込んでもよい。
【0086】
図7bは、キャリアシート81へ取り付けられRFIDタグ110もしくはRFIDインレイ110を形成するトランスポンダ100を示す。アンテナ素子10a、10bの終端部12a、12bはチップ50とキャリアシート81との間にあってもよい。
【0087】
図7cは、キャリアシート82へ取り付けられてRFIDタグ110もしくはRFIDインレイ110を形成するトランスポンダ100を示す。チップ50は終端部12a、12bとキャリアシート82との間にあってもよい。
【0088】
図7dは、2枚のシート81、82の間に積層されてRFIDタグを形成するトランスポンダ100を示す。
【0089】
キャリアシート81および/または82は、例えばプラスチック、紙もしくは板紙でよい。キャリアシート81、82は電気絶縁性があってよい。シート81、82の厚さは、例えば0.03から1mmの範囲内でよい。キャリアシート81もしくは82は任意的に接着層で裏打ちしてもよい。接着層は任意に剥離層で覆ってもよい。
【0090】
図8a〜
図8eは、差圧を用いてトランスポンダおよび/または半製品のトランスポンダを保持することによるRFIDタグの製造を示す。
【0092】
図8Bは、チップホルダ260と背面支持体262の使用によるチップ50の導電シート70への取付けを示す。
【0093】
図8cを参照すると、チップと導電シート70の結合体(すなわち、半製品のトランスポンダ100)は保持用部材300によって支持してもよい。保持用部材300もしくはホルダ300は複数の穴312を含み、導電シート70を差圧(「真空」)VAC1によってホルダ300に対して引き付けてもよい。穴312は、低圧装置(図示しない)へ接続してもよい。穴312により生成されたガス差圧VAC1(「真空」)によって、アンテナ素子10a、10bを保持用部材300の表面に対して確実に固定することができる。
【0094】
低圧装置はポンプ(図示しない)でよい。具体的には、低圧装置は、実質的に一定な低圧を供給するために吸引ポンプおよび真空タンクと、穴312の中の低圧(真空)を開閉する1つ以上のバルブとを含んでよい。
【0095】
アンテナ素子10a、10bとチップ50の結合体の周囲(すなわち、RFIDトランスポンダ100の周囲)には、実質的に連続した溝C2を切削してもよい。アンテナ素子は、レーザ250が生成するレーザビームLB2を用いてアンテナ素子10a、10bの(最終)形状を切り出す場合、確実に位置を保持することができる。導電シート70は溝C2の切削の際、ホルダ300によって保持してもよい。
【0096】
トランスポンダ100は、差圧VAC1によってトランスポンダ100をホルダ300に当接して保持することによって、外側部分OR1から離すことができる。RFIDトランスポンダ100はここで、保持用部材300を用いて導電シート70の外側部分から持ち上げて(移動させて)離してもよい。
【0097】
トランスポンダ100を外側部分OR1から持ち上げて離す場合、導電シート70の外側部分OR1は、例えば張力F1、F2によって保持してもよく、具体的に言うと、導電シート70は、外側部分OR1を保持するために、わずかに湾曲した面(図示しない)に対して引き付けてもよい。
【0098】
張力の利用に代えて、またはこれに加えて、外側部分OR1は、差圧によって保持してもよい。トランスポンダ100を外側部分OR1から持ち上げて離す場合、第1の差圧VAC1を調整してトランスポンダを第1の方向SZに引き、また第2の差圧VAC2を調整して外側部分OR1を反対方向-SZに引いてもよい。
【0099】
保持用部材300は湾曲した保持面を有してもよい。具体的には、保持用部材300は、低圧装置に接続された複数の穴を含むロールでよい。シート70は、差圧VAC1によってロールの表面に当接させて保持してもよい。ロールは、例えば「真空ロール」もしくは「吸引ロール」と称してもよい。具体的には、ロール形状の保持用部材300はロール間の処理に使用してもよい。
【0100】
保持用部材300は、チップ50を確実に定位置に保持するスロット310もしくは表面を含んでもよい。したがって、保持用部材300は部材260の機能を果たすことができる。
【0101】
保持用部材300は、差圧により生じる吸引力を外側部分OR1が受けないような寸法を有してもよい。具体的には、保持用部材300の輪郭はトランスポンダ100の輪郭と実質的一致させてもよい。これによって、外側部分OR1からトランスポンダを持ち上げて離すのが容易になることがある。持ち上げの際、外側部分OR1は、張力によって、および/または第2の差圧によって保持してもよい。また、外側部分OR1が溝C2の位置と重ならない場合は、カッティングレーザビームLB2による保持用部材300の損傷の危険が小さいことがある。しかし、トランスポンダの形に応じて保持用部材300を選択もしくは製造すると、製造工程が複雑になることがある。
【0102】
一実施例において、同じ保持用部材300をさまざまな大きさおよび形状のトランスポンダの製造に使用してもよい。保持用部材300は、例えば実質的に矩形を有してよい。保持用部材300は、少なくとも部分的に外側部分OR1に重なってもよい。外側部分OR1は、例えば張力FX1、FX2によって、および/またはクランプ部材(
図9b)を使用して保持してもよい。保持用部材300が溝C2に重なっている場合、カッティングレーザビームLB2による保持用部材300の損傷の危険がある。
【0103】
図8dを参照すると、トランスポンダ100はその後、ホルダ300で保持する(具体的には、移動させる)ことによってキャリアシート81に接触させることができる。トランスポンダ100は次いで、キャリアシート81上で位置決めすることができる。
【0104】
トランスポンダ100は接着剤によってキャリアシート81へ被着させてもよい。
【0105】
トランスポンダ100は2枚のシート81、82間に積層してもよい(
図7d)。
【0106】
接着剤は、キャリアシート81のトランスポンダに接触することになる部分へのみ選択的に塗布してもよい。接着剤は、トランスポンダ100のキャリアシートに接触することになる部分へ塗布してもよい。導電フィルムは、アンテナ素子の形状を切り出す前でも接着剤で被覆してよい。したがって、トランスポンダ100をキャリアシート81と組み合わせた後に形成されるタグ110の上側は、実質的に接着剤のない状態に保つてもよい。したがって、タグ110は、べとつかないので容易に取り扱うことができる。
【0107】
または、キャリアシート81の全(片側の)面積は、トランスポンダ100をキャリアシート81上へ被着させる前に接着剤で被覆してもよい。トランスポンダで覆われていないタグの部分(上側)はべとつくままでもよい。次いで、べとつく接着剤の塗布された表面を利用してタグを物品700a(
図21)へ被着させてもよい。べとつく表面は、剥離層で裏打ちすれば、搬送と保管が容易になろう。べとつく接着剤裏打ち面を使用して、トランスポンダとキャリアシート81の結合体を第2のキャリアシート82へ被着させてもよい。
【0108】
トランスポンダ100の保持用部材300からの取り外しは、ばねによって、または穴312を通してトランスポンダ100へガスを一時的に吹き付けることによって、補助してもよい。
【0109】
図8eは、トランスポンダ100をキャリアシート81へ被着させて得られたRFIDタグを示す。
【0110】
図9aを参照すると、導電シート70は、第1の溝C1の切削の際にシート70を第1のクランプ部材300aと第2のクランプ部材300bとの間でクランプすることによって保持してもよい。少なくとも第2のクランプ部材300bは開口部311を有し、カッティングレーザビームLB1を妨害しない空間を形成してもよい。
【0111】
平削り盤部材300aの使用に代わって、部材300aは、保持曲面を有してもよい。第1のクランプ部材300aおよび/または第2のクランプ部材300bはロールでよい。
【0112】
図9bを参照すると、導電シート70は、チップ50をシート70上へ被着させる際、クランプ部材300a、300bにより保持してもよい。
【0113】
導電シート70をクランプで保持することにより、外側部分OR1があるため、チップ50の第1の溝C1に対する正確な位置決めが得られ、これによって溝C1の寸法が安定する。
【0114】
導電シート70は、第2の溝C2(図示しない)の切削の際、クランプ部材300a、300bにより保持してもよい。クランプ部材300bは1つ以上のスロットを含み、カッティングレーザビームLB2を妨害しない空間を形成してもよい。
【0115】
第2の保持用部材300bは、シート70を第1の保持用部材300bに対して押し付ける1本以上の(回転)ロール(図示しない)を含んでもよい。1本以上のロールは、カッティングレーザビームLB2の位置に応じて移動し、レーザビームLB2を妨害しない空間を形成するように構成してもよい。ロールは、レーザビームLB2の位置と同期して動くように構成してもよい。具体的には、第2の保持用部材300bは、シート70を第1の保持用部材300a1に対して押し付ける1本以上の(回転)ロール(図示しない)を含んでもよい。導電シート70は、第2の溝の切削の際、第1の保持用部材300aを動かす(例えば、回転させる)ことによって移動させてもよい。第2の溝C2の切削の際、カッティングレーザビームLB2を動かして、第2の保持用部材300bのロールを照射しないようにしてもよい。
【0116】
アンテナ素子を正しい位置に保持する精度は、第2の溝C2の切削中に低下する可能性がある。なぜなら、外側部分OR1がアンテナ素子の位置を安定させなくなるからである。アンテナ素子のチップ50に近い部分(具体的には、終端部12a、12b)は、終端部を高精度でカッティングするには、さらにアンテナ素子の他の部分をチップ50から切り離す前にカッティングしてもよい。
【0117】
図10は導電シート70に切削された予備溝C1を示す。d
c1は溝C1の幅を示し、L1は溝C1の長さを示し、さらにL50はRFIDチップ50を示す。RFIDチップ50は2つ以上の接続素子52a、52b、52c、52dを有してもよい。接続素子52a、52b、52c、52dは2つ以上の終端部12a、12bへ接合してもよい。
【0118】
予備パターンPAT1を溝C1で構成してもよく、これはチップ50を導電シート70へ被着させる前に形成される。
【0119】
幅d
c1は、例えば0.1mmから1mmの範囲内でよい。幅d
c1は、例えば導電シート70の厚さd0以上でよい(厚さd0は
図18bに示す)。
【0120】
第2の溝C2のレーザビームLB2による切削の際のチップ50の損傷を回避するには、溝C1の方向SXにおける長さ(外形寸法)L1はチップ50の方向SXにおける長さ(外形寸法)L50以上でよい。有利には、溝C1に対するチップ50の位置誤差を許容するために、溝C1の長さ(外形寸法)L1はチップ50の長さL50より(わずかに)長い。長さ(外形寸法)L1は、例えばL50+2・d
c1以上でよい。
【0121】
外側部分OR1は、半製品のトランスポンダ100の取り扱う際、予備パターンPAT1を囲繞して幅d
c1を安定させる。具体的には、外側部分OR1は溝C1を囲繞する。
【0122】
図11を参照すると、予備溝C1の位置、チップ50の位置、および/またはカッティングレーザビームLB2の位置は、モニタ装置CAM1を用いてモニタしてもよい。
【0123】
製造装置200は任意にモニタ装置を含み、予備溝C1の位置に対するチップの位置を検出してもよい。モニタ装置CAM1は、例えば画角FOVを有するカメラでよい。
第2の溝C2の切削の際、レーザビームLB2のスポットSP2は、例えばビーム操作装置によって導電シート70に対して動かしてもよい。
【0124】
例えば、ビーム操作装置は移送台を含んでもよい。レーザ250を移送装置420へ取り付け、これは、ガイド430に沿って方向SYに移動するように構成してもよい。ビーム操作装置も第2の移送台を含み、レーザ250を方向SXに移動させてもよい。しかし、第2の移送台は、例えば1対のロール(
図11A参照)により導電シート70を方向SXに移動させる場合、なくてもよい。導電シートは、レーザスポットSP2に対して例えば速度v1で動かしてもよい。
【0125】
ビーム操作装置には、例えば1つ以上の可動ミラー、プリズム、レンズ、回折素子、および/またはマスクを含み、導電シート70におけるレーザスポットSP2の位置を変えてもよい。換言すれば、レーザ250を移動させる必要がない。
【0126】
レーザビームLB2は静止させてもよく、シート70を移動させてもよい。レーザビームとシートの両方を移動させてもよい。
【0127】
複数のレーザビームを用いて、複数の溝を実質的に同時に切削してもよい。
【0128】
導電シート70をレーザビームLB1に対して移動させてもよい。
【0129】
本装置はモニタ装置410を含み、レーザカッティング工程をモニタしてもよい。モニタ装置410は、例えばデジタルカメラおよび/または高温計を含んでもよい。
【0130】
モニタ装置410は、レーザビームLB2のスポットの導電シート70に対する位置を決めるように構成してもよい。モニタ装置410は、チップ50の導電シート70への取付け位置を決めるように構成してもよい。モニタ装置410は、レーザビームにより加熱した材料の温度をモニタするように構成してもよい。モニタ装置410は、導電シート70に切削するスロットもしくは溝の深さをモニタするように構成してもよい。
【0131】
モニタ装置410により得られた情報を用いて、レーザビームLB2の位置、出力および/または走査速度を制御してもよい。走査速度とは、レーザビームLB2のスポットSP2の導電シート70に対する相対速度を言う。
【0132】
モニタ装置410は画角FOVを有するものでよい。
【0133】
図12を参照して、導電シートにはチップ50の取付け前に予備パターンPAT1を形成してもよい。予備パターンは、例えば2本の交差する溝C1a、C1bから成る十字型でよい。これを囲繞する外側部分OR1は、予備溝C1a、C1bの切削の際、およびチップ50の取り付けの際、予備パターンの寸法を安定させることができる。
【0134】
十字型予備パターンPAT1を形成した後、チップ50は導電シート70へ被着させてもよい。チップ50を取り付けた後、第2の組の溝C2をシート70に線LIN1、LIN2、LIN3、LIN4に沿って切削してもよい。十字型予備パターンPAT1の各アームは、第2の組の溝C2とともに4つの終端部12a、12b、12c、12dを画成することができる。
【0135】
図13は実質的に矩形の予備パターンPAT1を示す。パターンPAT1は、例えば矩形溝C1を作ることによって形成してもよい。パターンPAT1の中央における導電シートの残りの部分10eは、チップ50をシート70へ被着させる前に除去することが好ましい。
【0136】
チップ50の被着後、第2の組の溝C2を線LIN1、LIN2、LIN3、LIN4に沿ってシート
70に切削してもよい。矩形予備溝C1は、第2の組の溝C2とともに4つの終端部12a、12b、12c、12dを画成することができる。
【0137】
図14aおよび
図14bを参照すると、予備パターンPAT1により内部突起IP1を画成してもよい。突起部IP1はまた、内側突起とも言うことができる。内部突起IP1は、幅w2および突起寸法w1を有してよい。寸法w1はまた、内部突起IP1の長さと称することもできる。
【0138】
図14aにおいて、突起部IP1は2本の溝C1a、C1bで画成してもよい。
図14bにおいて、突起部IP1は3本の溝C1a、C1b、C1cで画成してもよい。
【0139】
予備パターンPAT1のアームの端部により線ENLIN1を画成してもよい。突起長w1とは、線ENLIN1から突起部IP1の最遠点までの最大距離を言う。十分な寸法安定性を確保するため、突起部IP1の長さw1に対する突起部IP1の幅w2の比は、例えば0.8以上でよい。有利には、突起部IP1の長さw1に対する突起部IP1の幅w2の比は1.4以上である。
図14aに示す十字型パターンPAT1の場合、比w2/w1は√2である。
【0140】
最大の寸法安定性は、予備パターンPAT1がいずれの内部突起IP1も画成しない場合、すなわち、突起部IP1長さwlがゼロの場合に得られる。例えば、
図10の単直線溝C1および
図13の矩形パターンPAT1は内部突起を画成していない。
【0141】
図14cおよび
図14dを参照すると、外側部分OR1は予備溝C1を完全に囲繞している。溝C1は、チップ50の寸法と比べた場合、長すぎないようにする必要がある。なぜなら、そうしないとチップ50の被着の際、導電シートの寸法安定性(すなわち、剛性)が低下してしまうであろうから。
【0142】
閉路CP1によって溝C1を囲繞して(すなわち、封じて)閉路CP1のそれぞれの点が導電シート70の導電材料上に位置するようにしてもよい。
【0143】
前記閉路CP1により、2本以上の予備溝C1を含む予備パターンPAT1も囲繞し(すなわち、封じ)てもよい。
【0144】
前記閉路CP1によってさらに、2本以上の隣接する予備溝C1から成る予備パターンPAT1も囲繞し(すなわち、封じ)てもよい。
【0145】
さらに、前記閉路CP1によって、互いに接続された2本以上の隣接する予備溝C1を含む(例えば、
図17cを参照)予備パターンPAT1も囲繞し(すなわち、封じ)てもよい。
【0146】
閉路CP1の長さL
cp1は、例えばチップ50の周長L
cfの10倍以下でよい。閉路CP1の長さL
cp1は、例えばチップ50の周長L
cfの5倍以下でよい。閉路CP1の長さL
cp1は、例えばチップ50の周長L
cfの3倍以下でよい。有利には、閉路CP1の長さL
cp1は、チップ50の周長L
cfの2倍以下である。好ましくは、閉路CP1の長さL
cp1は、チップ50の周長L
cf以下である
【0147】
予備パターンPAT1が1本の溝C1で構成されている場合、閉路CP1の最短長L
cp1は寸法L50の2倍より長くてよい。チップ50が四角形の場合、これは、最短長L
cp1が例えば周長L
cfの50%より長くてもよいこと意味している。
【0148】
予備パターンPAT1が同じ長さの2本の実質的に垂直な溝から成る十字型である場合、最短長L
cp1は寸法L50の2√2倍より長くてよい。チップ50が実質的に四角形の場合、これは最短長L
cp1が周長L
cfの√2分の1倍より長くてよいこと意味している。
【0149】
閉路CP1の長さL
cp1は
図14eおよび
図14fに示す。閉路CP1はループCP1と
称してもよい。
閉路CP1の
長さL
cp1はループCP1の周長L
CP1と称することもできる。例えば、円形路CP1の場合、閉路CP1の長さL
cp1は、閉路の直径のπ倍に等しい。例えば、
図14dに示す実質的に矩形の閉路CP1の場合、閉路CP1の最短長L
cp1は2√2・L1より長くする必要がある。
【0150】
閉路CP1は次のような領域を囲んでもよい。すなわち、この領域は、(完成した)トランスポンダ100の(片側の)表面積の例えば10%以下、好ましくは(完成した)トランスポンダ100の(片側の)表面積の2%以下である。例えば、実質的に矩形のトランスポンダ100の方向SXにおける寸法は100mmでよく、トランスポンダ100の方向SXにおける寸法は10mmでよく、トランスポンダ100の面積は約1000mm
2でよく、さらに、閉路CP1により囲まれた領域は、例えば20mm
2以下でよい。本例では、チップ50の面積は例えば2mm
2でよい。
【0151】
チップ50の周長L
cfは
図14gに示す。チップ50の周長L
cfは全長と称してもよい。長さL
cp1は導電シート70の面内、すなわち、方向SXおよびSYにより画成されている面内で測定する。また、周長L
cfは導電シート70の面内、すなわち、方向SXおよびSYにより画成されている面内で測定する。
【0152】
比較例として、
図14hは、導電シート70の縁端部へ延在した溝C10を示す。
図14hの溝C10は、閉路CP1の各点が導電シート70の導電材料上に位置するように閉路CP1で囲繞されることはない。
【0153】
図14iを参照すると、補助パターンPAT1は導電シート70の縁端部へ近づきすぎることはない。予備パターンPAT1とシート70の縁端部との間の最小距離MINwは、例えばシート70の厚さd0の5倍以上でよい。そうでないと、囲繞する外側部分OR1の寸法MINwは小さすぎて、必要な強度および寸法の安定性を生じないことがある。寸法MINwが小さすぎると、外側部分OR1は張力FX1、FX2により生じるひずみにより破損する可能性がある。
【0154】
図15を参照すると、3つの終端部12a、12b、12cは、T字型予備パターンPAT1を形成することによって画成してもよい。すなわち、パターンPAT1の形状は、文字「T」の形に似せてもよい。
【0155】
図16a〜
図16cはチップ50の3つの終端部12a、12b、12cを示す。
図16aは、チップが方向SZに平行な回転軸を中心に角度γ1だけ周回した状況における角度ずれを示す。
図16bは、方向SXにおける位置ずれがex1に等しく、方向SYにおける位置ずれがey1に等しい場合の横ずれを示す。
図16cは、最適基準位置REF1に対するチップ50の角度および横ずれの合成を示す。
【0156】
溝C1に対するチップ50の位置は、光学カメラCAM(
図11)1を用いてモニタしてもよい。チップ50とカメラCAM1は、導電シート70の両側(すなわち、上側および下側)に配置してもよい。この場合、チップ50の位置は、チップ50をシートへ取付け後、溝C1を通して光学的にモニタしてもよい。
【0157】
チップの位置の検出精度は、1つ以上の検査穴C3a、C3b、C3c、C3dを通して光学的にモニタすることによって改善してもよい。検査穴C3a、C3b、C3c、C3dは、チップをシート70へ被着させる前に形成してもよい。有利には、検査穴C3a、C3b、C3c、C3dは、チップ50の隅に一致するように配置してもよい。検査穴の幅w3は、例えば基準位置に対するチップの最大許容位置ずれ(ex1もしくはex2)より以下でよい。内部突起IP1の寸法安定性(剛性)を保つために、検査穴の幅w3は、例えば内部突起の幅w3の30%以下でよい。
【0158】
図2〜
図16cおよび
図18a〜
図19fは、ダイポールアンテナを有するトランスポンダ100を製造する製造工程を示す。前記製造工程は、コイルアンテナCA1(
図17a〜
図17dを参照)を有するトランスポンダ100の製造にも適しているかもしれない。前記製造工程は、3つ以上のアンテナ素子を有するトランスポンダ100の製造にも適していよう。さらに、前記製造工程は、チップおよびアンテナに加えて、1つ以上の他の電気素子を有するトランスポンダ100の製造にも適していよう。例えば、トランスポンダは、バッテリおよび/またはセンサに対する障害検出ループを備えてもよい。チップ50は、障害検出ループ、バッテリおよび/またはセンサに電気接続してもよい。センサは、例えば温度センサ、湿度センサ、薬品センサ、もしくはひずみセンサでよい。これらすべての場合、チップを導電シートへ被着させる前に予備溝を形成してもよく、この場合、予備溝は、チップ50の第1の接続素子と第2の接続素子との間に配置される。トランスポンダの導電領域および配線の(最終)形状は、チップの被着後にレーザにより切り出してもよい。
【0159】
図17aは、チップ50に接続されたコイルアンテナCA1を有するトランスポンダ100を示す。コイルアンテナCA1の第1の端部をチップ50へ直接接続してよく、コイルアンテナCA1の第2の端部(例えば内側部分)はジャンパ線JMP1によってチップ50へ接続してもよい。トランスポンダ100は、RFIDタグを完成させるためにキャリアシート81へ取り付けることができる。
【0160】
図17bは、コイルアンテナの券回がチップ50の接続素子の間を1回以上通るように構成されたトランスポンダ100を示す。換言すれば、コイルアンテナの券回は、コイルアンテナ
CA1の終端部12a、12bの間を1回以上通るように構成されている。したがって、
図17に示す外部ジャンパ線JMP1は必要がない。
【0161】
図17cは、
図17bのトランスポンダの製造用の予備パターンPAT1を示す。チップ50の被着前に第1の組の溝C1a、C1b、C1c、C1dを形成してもよい。溝C1a、C1b、C1c、C1dは実質的に平行でよく、チップ50の境界線をわずかに越えて延在してもよい。
【0162】
終端部12a、12bと3つの導電領域は、チップの被着後、導電シート70において例えば線LIN1、LIN2、LIN3、LIN4、LIN5、LIN6、LIN7、LIN8に沿って第2の組の溝をレーザで切削することによって形成してもよい。
【0163】
とくに、RFIDトランスポンダの製造方法は、
−導電シート70に2本以上の別個の溝C1a、C1bを切削し、
−溝C1a、C1bがチップ50の接続素子52a、562b間に位置するようにRFIDチップ50を導電シート70上へ被着させ、
−チップ50を被着後、レーザビームLB2により溝C2を切削してRFIDトランスポンダ100のコイルアンテナを形成することを含んでよい。
【0164】
とくに、チップ50は、接着剤によって導電シート70へ被着させしてもよく、これによって、第2の組の溝C2の切削前に、溝C1のチップ50に対する位置を正確に固定する。
【0165】
薄い金属箔で作られたコイルアンテナは非常に変形し易いと考えられる。第1の組の溝C1を囲繞する外側部分OR1は、溝C1の寸法安定性を改善することができる。第2の組の溝C2をチップ50の被着前に切削してしまうと、終端部12a、12bおよび溝C1a、C1b、C1c、C1dの寸法安定性および位置決め精度は劣化してしまうであろう。
【0166】
図17dは、コイルアンテナCA1の券回TRN1、TRN2、TRN3が終端部12a、12b間の空間を通る様子を示す。券回TRN4の端部は終端部12aを形成している。予備溝C1a、C1b、C1c、C1dは、終端部12a、12b間にある券回の一部分を成している。コイルアンテナCA1を含むトランスポンダ100は無基板でよく、またはキャリアシート81に固定してRFIDタグ/インレイを形成するようにしてもよい。
【0167】
図18a〜
図18dは、複数の第2の溝(スロット)C2を形成してアンテナ素子10a、10bを1つ以上のリンク72によって外側部分OR1へ接続するところを示す。リンク72はシート70の導電材料から成ってもよい。リンク72は、トランスポンダ100を外側部分OR1から分離する前に、アンテナ素子10a、10bおよび終端部12a、12bの位置を保持するのに役立てることができる。
【0168】
チップの被着前に1本以上の第1の溝C1を形成してもよく、また複数の第2の溝C2は、チップ50を導電シート70へ被着後、レーザ250によって切削してもよい。
【0169】
レーザビームLB2を用い複数のスロットC2を切削してもよい。この段階において、スロットC2間に複数のリンク72が残ってもよい。リンク72は導電シート70の材料を含む。リンク72によってアンテナ素子10a、10bおよびチップ50を一時的に支持してもよい。後の工程で、アンテナ素子10a、10bは、リンク72を切ることによって導電シート70の外側部分OR1から完全に分離することができる。リンク72はブレースと称することもできる。
【0170】
図18aはレーザビームLB2を用いて切削したスロットC2を上面図で示す。
【0171】
図18bはレーザビームLB2を用いて切削したスロットC2を断面図で示す。この断面図は
図18aに示す間A-Aに関するものである。
【0172】
リンク72の幅L
72とリンク72の厚さd
72は、アンテナ素子10a、10bを導電シート70の外側部分OR1から容易に分離できるように選択してもよい。厚さd
72は、分離を容易にするには、導電シート70の厚さd
0より薄くてよい。厚さd
72は、例えばレーザビームLB2の強さを調節することによって制御してもよい。
【0173】
厚さd
72はまた、導電シート70の厚さd
0に等しくてもよい。
【0174】
図18cは、アンテナ素子10a、10bを導電シート70の外側部分OR1から分離する方法を示す。レーザによる切削後、素子10a、10bはリンク72によって外側部分へ取り付けてもよい。リンク72は、素子を外側部分から分離するために切ることができる。素子10a、10bは、リンク72を切るために外側部分から引き離し、もしくは押し離してもよい。
【0175】
シート70を曲げ部材202の周囲で引張ることによってシート70の部分的に曲げることができる。曲げ部材は、例えばロール202によるものでよい。したがって、素子10bの端部部分がシート70の曲げ部分に対して突出することがある。曲がったシート70が曲げ部材202に対して移動する際、突出したアンテナ素子10bをシート70の外側部分から押し離すように分離用部材301を配設してもよい。分離用部材301はウエッジでよい。
【0176】
リンク72の位置は、シート70を曲げた場合、アンテナ素子10bの端部がシート70の外側部分に対して突出可能に選択してもよい。
【0177】
リンク72もしくはブリッジ素子72の寸法は、アンテナ素子を引き、もしくは押すことによってアンテナ素子を外側部分OR1から分離できるように選択してもよい。すなわち、切刃を使用する必要がない。
【0178】
しかし、所望ならば、本装置はさらに、リンク72もしくはブリッジ素子S1(
図19e参照)を切る1つ以上の刃先302を有してもよい。刃先は可動式もしくは固定式でよい。ローラ202は1つ以上の刃先を有してもよい。
【0179】
図18dは積層RFIDタグを製造する装置200を示す。導電シート70はロール201、202、203によって動かしてもよい。レーザ250aの出力するレーザビームLB1で1本以上の予備溝C1を切削してもよい。シート70にはホルダ260によってチップ50を載置することができる。
【0180】
チップ50は、レーザ250bの出力する溶接/はんだ付けレーザビームLBOによってシートへ接合してもよい。アンテナ素子10a、10bは、レーザ250cの出力するレーザビームLB2により切り出してもよい。トランスポンダ100は、ロール202を中心としてシートを曲げることによって、さらにアンテナ素子を分離用部材301で押すことによって、シート70の外側部分から分離してもよい。
【0181】
第1のシート81はロール221、222、223によって動かしてもよい。第2のシート82はロール231、232、233によって動かしてもよい。シート81、82は実質的に導電シート70と同じ速度で動かしてもよい。
【0182】
ロール222、223は、アンテナ素子の端部を把持してRFIDトランスポンダ100を引張りシート81、82の間に積層することができるニップを形成してもよい。積層動作は、加圧ロール241、242を用いて補助してもよい。必要な場合、積層用加熱を加熱装置280により行ってもよい。
【0183】
積層されたRFIDトランスポンダ100はロール223の周縁に集めてもよい。積層RFIDトランスポンダ100はリールに巻かれたシートとして出荷してもよい。シートは、一次元もしくは二次元配列のRFIDトランスポンダ100を含んでよい。個々のRFIDトランスポンダ100もしくはRFIDタグ110は、後工程で例えばダイカッティングによって、もしくは穿孔に沿ってシートから切り離すことができる。
【0184】
CUT1は、第1の溝C1を1本以上形成する領域を示す。WLD1は、チップ50を導電シート70へ接合する領域を示す。CUT2は、第2の溝を1本以上切削する領域を示す。SEP1は、RFIDトランスポンダ100を導電シート70の外側部分から分離する領域を示す。LAM1は、RFIDトランスポンダ100を保護シート81、82の間に積層する領域を示す。
【0185】
装置200の動作は制御装置400によって制御してもよい。制御装置400は、例えばシート70、81、82の速度、レーザビームの動き、およびレーザ出力を制御するように構成してもよい。
【0186】
図19a〜
図19fは、支持用ブリッジS1の使用によるアンテナ素子10a、10bの形成を示す。ブリッジS1の目的は、アンテナ素子10a、10bを囲繞する実質的に連続したギャップEOを形成後、アンテナ素子10a、10bを一時的に支持もしくは「剛性化」することである。ブリッジS1がないと、アンテナ素子10a、10bが制御不能に動く可能性があり、および/またはシート70の外側部分OR1から分離する際に収縮する可能性がある。
【0187】
図19aは、二次スロットの第1の群C2を導電シート70に切削する第1の段階を示す。二次スロットC2の切削前に、1本以上の第1の溝C1を形成し、チップをシート70へ被着させておく。
【0188】
図19bは第2の段階を示し、複数のブリッジS1を導電シート70に形成して、ブリッジS1の位置がスロットC2の位置と実質的に一致するようにする。
【0189】
ブリッジSの材料は実質的に電気絶縁性でよい。換言すれば、ブリッジS1は誘電体から成ってよい。この場合、アンテナ素子10a、10bのさまざまな部分を接続するいくつかのブリッジS1は、最終のRFIDタグ/インレイでも残留してよい。
【0190】
ブリッジS1は、例えばポリウレタンラッカ、ホットメルト接着剤、もしくは紫外(UV)線により養生可能なラッカから成るものでよい。ブリッジS1の材料は、導電シート70上へ、例えば1つ以上のノズル(図示しない)によって施してもよい。ラッカの硬化も、加熱により、もしくは硬化剤により促進させてよい。
【0191】
ブリッジS1の材料は一部がスロットC2内へ浸透してもよい。
【0193】
第3の段階において、二次スロットの第2の群C2’をレーザビームによって形成し、スロットC2’が第1群のスロットC2に隣接するようにしてもよい。
図19dにおける印C2’は、スロットC2’を設ける領域を示す。
【0194】
ブリッジS1の位置は領域C2’の位置とは一致していない。したがって、ブリッジS1はレーザによるカッティングを妨げない。好ましくは、スロットC2’は貫通穴である。すなわち、どのような基板によっても閉塞されない。
【0195】
図19eを参照すると、実質的に連続した溝E0は、第1群のスロットC2を第2群のスロットC2’と接合してスロットE0がアンテナ素子10a、10bを実質的に囲繞するようにすることによって形成してもよい。したがって、連続する溝E0は隣接するスロットC2とC2’の組合せとして形成してもよい。
【0196】
図19fは実質的に連続した溝E0を断側面図で示す。
図19fは
図19eに示す線間A-Aに沿った断面である。
【0197】
したがって、アンテナ素子10aを有するRFIDトランスポンダ100を製造する方法は、次の順序で、
−第1の溝C1を導電シート70に形成し、
−チップ50をシート70へ取り付けて、第1の溝C1がチップ50の接続素子52a、52b間に位置するようにし、
−第1の二次スロットC2を切削し、
−ブリッジS1を設けて、ブリッジS1の位置が第1の二次スロットC2の位置に実質的に一致するようにし、
−第1の二次スロットC2に隣接する第2の二次スロットC2’を切削することを含んでよい。
【0198】
アンテナ素子10aは、後に、ブリッジS1を切ることによって導電シートの残りの部分から分離してもよい。分離したRFIDトランスポンダ100は、(可撓性の)基板間に積層してRFIDインレイ(
図7b〜
図7d)を形成するようにしてもよい。分離したRFIDトランスポンダ100は、工程の段階数を最小にし、および/または基板の使用数を最小にするために、製品700a(
図21)に直接取り付けてもよい。
【0199】
個々のブリッジS1を形成するのではなく、複数のブリッジS1を導電シート70上へ、例えば網目構造として積層してもよい。
【0200】
第1の溝C1の幅d
c1は、例えば0.2mmから1.0mmの範囲内でよい。
【0201】
製造装置200は、RFIDトランスポンダのRF性能をモニタするRF性能モニタ(無線周波性能モニタ)を含んでもよい。理想的な性能からの逸脱を検出すると、制御装置400は、最適な性能を達成できるように工程パラメータを調節するように構成してもよい。
【0202】
制御(すなわち、RF調整)はオンラインで行ってもよい。終端部12a、12bのカッティングはフィードバックに基づいて制御してもよい。現在のトランスポンダの処理を制御するフィードバックは、前に処理したトランスポンダの特性を測定することによって、および/または現在のトランスポンダの特性を測定することによって得ることができる。換言すると、第1のRFIDトランスポンダから得られた情報に基づいて第1のRFIDのアンテナ素子の寸法を(レーザカッティングによって)変えることができる。第1のRFIDトランスポンダから得られた情報に基づいて第2のRFIDトランスポンダのアンテナ素子の寸法を(レーザカッティングによって
)変えることができる。
【0203】
図20を参照すると、問合せ信号ROGに対する応答RSPを送信する無線周波識別トランスポンダ100を構成してもよい。問合せ信号ROGは携帯式もしくは固定式読取装置900へ送信してもよい。
【0204】
トランスポンダ100は、端子T1、T2を介して1つ以上のアンテナ素子10a、10bに接続された通信ブロックを有してもよい。端子T1、T2はチップ50の電極素子52a、52bへ電気的に接続してもよい。
【0205】
通信ブロックはRFIDチップ50に搭載してもよい。通信ブロックは、無線周波部RXTX1、制御部CNT1および記憶部MEM1を含んでよい。無線周波部RXTX1は信号受信器RX1および信号送信器TX1を含んでよい。
【0206】
無線周波部RXTX1、制御部CNT1および記憶部MEM1は同じ半導体チップ50に搭載してもよい。
【0207】
受信器RX1は、受信した問合せ信号ROGに基づいて入力信号SINを生成してもよい。制御部CNT1は、例えば入力信号SINが正しいパスワード符号を含んでいると情報INF1を送信できるように構成してもよい。
【0208】
トランスポンダ100から送信された応答RSPは情報INF1を含んでもよい。情報INF1は、例えば電子製品番号(EPC)を含んでもよい。情報INF1は制御部CNT1によって記憶部MEM1から読み出してもよい。制御部CNT1は出力信号SOUTを無線周波部RXTX1へ送ってもよい。出力信号SOUTは情報INF1を含んでもよい。送信器TX1は出力信号SOUTに基づいて無線周波応答RSPを生成してもよい。
【0209】
無線周波部RXTX1は電圧源VREG1を有してもよく、これは到来する無線周波信号から動作電力を抽出するように構成されている。
【0210】
図21は複数のタグ付物品700a、700b、700cを示す。物品700aにはRFIDトランスポンダ100aを取り付けてもよい。物品700bにはRFIDトランスポンダ100bを取り付けてもよく、物品700cにはRFIDトランスポンダ100cを取り付けてもよい。
【0211】
各トランスポンダ100a、100b、100cは、問合せ信号ROGに対して応答RSPを送信するように構成してもよい。トランスポンダ100aにより送信される応答は物品700aに関する情報INF1aを含んでもよい。トランスポンダ100bにより送信される応答は物品700bに関する情報INF1bを含んでもよい。トランスポンダ100cにより送信される応答は物品700bに関する情報INF1cを含んでもよい。
【0212】
情報INF1は、例えば各トランスポンダ100の識別データを含み、物品700a、700b、700cの数量を計数可能で、また物品の種類を識別可能なようにしてもよい。
【0213】
読取機900は本体910とユーザインタフェース920を含んでよい。ユーザインタフェース920は、例えばトランスポンダ100a、100b、100cにより送られた情報を表示する可視表示装置を含んでもよい。ユーザインタフェース920はデータおよび/または指令を入力するキーボードを含んでもよい。
【0214】
無線周波部RXTYX1は信号受信器RX1と信号送信器TX1を含んでもよい。受信器RX1は信号復調器と称することもできる。送信器TX1は信号変調装置と称してもよい。無線周波部RXTX1はアナログ無線周波インタフェースと称することもできる。
【0215】
無線周波部RXTX1は接続端子T1、T2を含んでもよく、これらは少なくとも1つのアンテナ10a、10bへ接続してもよい。少なくとも1つのアンテナは、一対のアンテナ素子10a、10bを有するダイポールアンテナでよい。第1の端子T1を第1の素子10aへ接続してもよく、また第2の端子T2を第2の素子10bへ接続してもよい。または、第1の端子T1はアンテナ10aへ接続してもよく、第2の端子T2は電気的に接地(図示しない)してもよい。または、端子T1、T2はコイルアンテナCA1(
図17b)へ接続してもよい。
【0216】
とくに、情報INF1は電子製品番号(EPC)を含んでもよい。物品に固有に割り当てられた固有電子製品符号を二進数としてタグ200に保存してもよい。とくに、物品に関する情報、例えばその小売価格、製造者、物品型式、通番などをビットビット列に含めてもよい。
【0217】
入力信号SINと出力信号SOUTはデジタル信号でよい。
【0218】
読取機900およびトランスポンダ100は、遠方界通信プロトコルによる通信を行うように構成してもよい。読取機900およびトランスポンダ100は、同じRFID通信標準によって通信するように構成してもよい。とくに、読取機900およびトランスポンダ100は、次の標準のうちの1つ以上のよって通信するように構成してもよい。すなわち、
ISO/IEC 18000-2A(周波数帯域125/134.2 kHz、例えば2メートルまでの読取距離)
ISO/IEC 18000-2B(周波数帯域125/134.2 kHz)
ISO 18000-3(周波数帯域13.56 MHz、例えば3メートルまでの読取距離)
ISO 18000-7(周波数帯域433 Mhz)
ISO 18000-6A(周波数帯域860〜960Mhz、例えば3メートルまでの読取距離)
ISO 18000-6B(周波数帯域860〜960MHz)
ISO 18000-6C(周波数帯域860〜960MHz)
EPCglobal Class 0(周波数帯域860〜960MHz)
EPCglobal Class 1(周波数帯域860〜960MHz)
EPCglobal Class 1 Gen 2(周波数帯域860〜960MHz)
ISO 18000-4(周波数帯域2.45GHz、例えば12メートルまでの読取距離)
(2011年11月22日発効の最新版標準を参照した。)
【0219】
読取装置900とタグ100を近距離無線通信プロトコル(NFC)により通信するように構成してもよい。とくに、読取装置900およびタグ100は、次の標準のうちの1つにより通信するように構成してもよい。すなわち、
近接型カード:ISO/IEC 14443(周波数帯域13.56MHz、1.5メートルまでの読取距離)
近接カード:ISO/IEC 15693(周波数帯域13.56MHz、1.5メートルまでの読取距離)
(2010年11月22日発効の最新版標準を参照した。)
【0220】
無線周波部RXTX1は電圧源VREG1を備えてもよく、これは到来する無線周波信号から動作電力を抽出するように構成されている。具体的には、電圧源VREG1は、問合せ信号ROGから動作電力を抽出するように構成してもよい。動作電力は、制御部CNT1、記憶部MEM1および/または無線周波部RXTX1自体へ配電してもよい。
【0221】
トランスポンダ100は、バッテリを含まない受動デバイスでよい。トランスポンダ100は、例えば読取装置900から送信される電磁エネルギーにより給電してもよい。具体的には、トランスポンダ100のアンテナ構体10a、10b、CA1と無線周波部RXTX1との結合体は、到来する電磁信号ROGのエネルギーを抽出することによってトランスポンダ100に動作電力を供給するように構成してもよい。
【0222】
ダイポールアンテナ10a、10bは、タグ200から読取装置900へ後方散乱によって情報INF1を送信してもよい。または、誘導アンテナを使用してもよい。トランスポンダ100のコイルアンテナCA1は、読取装置900の負荷に変調をかけることができる。この変調を利用してデータをトランスポンダ100から読取装置900へ送信することができる。
【0223】
トランスポンダ100は、無線周波部RXTX1へ動作電力を供給するバッテリを有する能動デバイスでよい。
【0224】
トランスポンダ100はバッテリ給電でよく、すなわち、バッテリにより供給される電力を用いて情報を処理し、および/または情報を記憶部MEM1に保存してもよく、また、応答RSPは、問合せ信号ROGの反射電力を用いて(受動反射電力を用いて)送信してもよい。
【0225】
トランスポンダ100は、問合せ信号ROGから抽出した動作エネルギーを保存するコンデンサもしくは充電式バッテリを含んでもよい。
【0226】
無線で送信された電磁問合せ信号ROGは、アンテナ素子10a、10bによって電気信号に変換される。電気信号は、無線周波部RXTX1の受信器RX1に接続用端子T1およびT2を介して接続される。この電気信号も、電磁信号と同じ周波数で振動する無線周波信号である。
【0227】
チップ50は集積回路として実現されるトランスポンダ100を含んでもよい。アンテナ素子10a、10bとチップ50は、キャリアシート81、82に支持してもよい。キャリアシート81、82は、例えば紙、板紙もしくはプラスチックフィルムでよい。
【0228】
しかし、一実施例において、アンテナ素子は基板なしで実現してもよい。一実施例において、アンテナ素子(10a、10b、CA1)の表面積の20%未満は誘電材料で被覆してもよい。
【0229】
タグ110もしくはトランスポンダ100の総厚(方向SZにおける)は1mm以下でよい。タグ110もしくはトランスポンダ100は可撓性でよい。タグ110はさらに、接着剤層(図示しない)を有してもよい。タグ110はさらに、接着剤層を保護する剥離層を有してもよい。剥離層は、接着剤層によりタグ110を物品(例えば、700a)へ取り付ける前に、除去することができる。
【0230】
タグ110もしくはトランスポンダ100は、物品700a(
図21参照)へ取り付け、もしくはこれに関連付けてもよい。物品700aは、例えばテレビ、携帯電話、自動車の部品などの製品でよい。物品700aは、物品を収納する包装物、食材を収納する包装物、薬品を収納する包装物、化学物質を収納する包装物でよい。
【0231】
一実施例において、物品700aはRFIDトランスポンダ100もしくはRFIDタグ110より実質的に厚くてもよい。物品700aの厚さは、例えば10mm以上でよい。一実施例において、RFIDトランスポンダ100は物品700aに埋め込み、または物品700aに取り付けて、アンテナ素子と物品700a間に基板フィルムを使う必要がないようにしてもよい。こうして、材料の使用は環境にやさしいやり方で最小化することができる。
【0232】
複数のタグ付物品700a、700b、700cを倉庫に保管してもよく、ユーザは、情報INF1を受けて倉庫に保管中の物品700a、700b、700cの棚卸しを迅速に行うことができる。
【0233】
有利には、チップ50はカプセル封入体(すなわち、ハウジング)を含む。チップ50の外面の2つ以上の部分は導電性を有し、電極素子52a、52bとして使用してもよい。電極素子52a、52bは、アンテナ部10a、10bへ電気接続される前は露出している。
【0234】
電極素子52、52bは(誘電性)カプセル封入体から突き出していてもよい。
RFIDチップの電極素子52a、52bは、例えばレーザ溶接もしくはレーザはんだ付けによってアンテナ素子10a、10bに接合してもよい。
【0235】
レーザ溶接は、電極素子52bの表面をレーザビームLB0により導電シート70の溶融点より高い温度で加熱することを含んでもよい。
【0236】
電極素子52bは、はんだ材で被覆されたコアを有してもよい。はんだ材の熔融温度は、コアの溶融点より低く、接合の際に電極素子52bの寸法を維持するようにしてもよい。レーザはんだ付けは、レーザビームLB0によって電極素子52bの表面をはんだ材料の熔融温度より高く導電シート70の熔融温度より低い温度に加熱することを含んでもよい。
【0237】
一実施例において、電極素子52a、52bとアンテナ素子10a、10bとの間の電気接触は、導電性接着剤により、すなわちレーザ溶接もしくはレーザはんだ付けを使用せずに、形成してもよい。具体的には、接着剤は異方性導電接着剤(異方性導電ペースト、ACP)でよい。
【0238】
チップ50は、チップ50とアンテナ素子10a、10bとの間に接着剤ADH1を用いてアンテナ素子10a、10bにさらに堅固に固定してもよい。
【0239】
カプセル封入体は、チップ50の電子素子を機械的に保護するように、および/または電子素子の腐食を防止するように構成してもよい。具体的には、封入体は電子素子を湿気から保護することができる。湿気は腐食を誘発し、電子素子の電気特性に悪影響を及ぼす可能性がある。封入体は、例えばポリマ材および/またはセラミック材を含んでよい。ポリマ材は、例えば熱可塑性ポリマ、熱硬化性ポリマもしくはエラストマを含んでよい。チップ50の電子素子は、例えば半導体材料層に搭載されるトランジスタ、ダイオード、コンデンサおよび抵抗でよい。
【0241】
一実施例において、第1の溝C1は、チップ50を被着させる前に導電シート70に形成してもよく、第2の溝C2は、チップ50を被着させて前記トランスポンダ100のアンテナ素子10aを形成した後にシート70に形成してもよく、第2の溝C2は、例えばダイカッティングもしくはエッチングによって形成してもよい。具体的には、第2の溝C2によってアンテナ素子10aの終端部12aの位置を画成してもよい。さらに、この場合、チップ50の位置のずれは、第1の溝C1に対するチップ50の検出位置に従って第2の溝C2を形成することによって補正してもよい。またこの場合、シート70に対するチップ50の位置決め精度は、シート70の縁端部へ延在する1本以上の第2の溝C2を形成する前に、および/または長尺の内部突起を形成する前に、チップ50をシート70へ被着させることによって改善してもよい。チップ50の損傷の危険性は、チップ50の被着前に第1の溝C1(予備パターンPAT1)を形成すると、実質的に減少することがある。
【0242】
切削歯(すなわち、切削用ダイス)によるチップ50の損傷の危険性は、第2の溝C2をダイカッティングにより形成すると実質的に減少することがあり、これは、チップ50の下の領域を切削する必要がないからである。
【0243】
一実施例において、導電シート70へ被着させたチップ50は、第2の溝C2をエッチングにより形成する前に、カプセル封入(気密的に)してもよい。なぜなら、チップ50の下の領域はエッチングする必要がないからである。カプセル封入によってチップ50は、第2の溝C2のその後のエッチングの際、保護することができる。
【0244】
当業者にとって、本発明による装置および方法の修正および変更に気づくことは明らかであろう。図面は模式的である。添付図面を参照して上に説明した特定の実施例は説明用にすぎず、添付の請求項に記載する本発明の範囲を限定することを意図したものではない。