【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 1.「第16回 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会プログラム・抄録集」、2010年8月20日発行 2.「第16回 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会 展示用ポスター」、2010年9月4日発行
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
先端に対物レンズを備える内視鏡挿入部と、一端で前記内視鏡挿入部と連結し、他端に接眼部を備える内視鏡操作部と、前記内視鏡操作部と連結する内視鏡光源部と、を備える内視鏡を、消毒液に浸漬して消毒する内視鏡消毒用容器を備える携帯用内視鏡消毒装置であって、
前記内視鏡消毒用容器は、
内視鏡挿入部を収容する挿入部収容溝と、前記挿入部収容溝と連通し内視鏡操作部を収容する操作部収容溝と、前記操作部収容溝と連通し内視鏡光源部を収容する光源部収容溝と、を有する内視鏡収容溝と、
前記内視鏡収容溝と連通する消毒液排出口と、を備え、
前記内視鏡収容溝に消毒液を入れて前記内視鏡の全体を消毒液に浸漬した時、
前記内視鏡挿入部、前記内視鏡操作部、及び前記内視鏡光源部それぞれの最上部が、消毒液の水面から同じ深さになるように、前記挿入部収容溝、前記操作部収容溝、及び前記光源部収容溝が形成されており、並びに、
前記挿入部収容溝は、消毒液面が接触する部分の幅が、底部の幅より広くなるように形成されており並びに前記内視鏡挿入部が収容される本体溝部と、前記本体溝部よりも大きな径となって前記本体溝部の上部に連結した消毒液の受け入れ溝部と、によって形成されることを特徴とする往診時携帯用内視鏡消毒装置。
前記内視鏡光源部が、バッテリー光源部であり、前記光源部収容溝が前記内視鏡のバッテリー光源部を収容するバッテリー光源部収容溝であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の往診時携帯用内視鏡消毒装置。
前記内視鏡光源部が、ライトガイドケーブルと、外部光源と前記ライトガイドケーブルとを連結する接続部と、から形成され、前記光源部収容溝が、リング状であって前記操作部収容溝と連通し、前記内視鏡のライトガイドケーブルを巻き取って収容するライトガイドケーブル収容溝と、前記接続部を収容する接続部収容溝と、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の往診時携帯用内視鏡消毒装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、小型で携帯可能な内視鏡が開発されたにもかかわらず、往診した患者宅で内視鏡を使用した後で内視鏡の消毒・洗浄することが困難なために、内視鏡の使用に支障が生じている。
かかる課題を解決するためになされた本発明の第1の課題は、携帯可能で、携帯すべき消毒液も少量で済むよう工夫され、一般住宅である患者宅でも内視鏡の消毒が容易にできる携帯用の内視鏡消毒装置を提供することにある。
【0009】
内視鏡全体を収容できる溝が形成された内視鏡消毒用容器に消毒液を入れて内視鏡の消毒を行う場合に、消毒前の内視鏡を消毒液に浸漬する際に、内視鏡消毒用容器の消毒液に浸かっていない部分に消毒前の内視鏡が触れてしまい、更に、消毒後の内視鏡を消毒液中から取り出す際に、消毒後の内視鏡が内視鏡消毒用容器の同じ部分に触れてしまうと内視鏡は再汚染されてしまう。このために、内視鏡を内視鏡消毒用容器に出し入れする場合は、内視鏡が内視鏡消毒用容器の消毒液に浸かっていない部分に接触しないようにしなければならない。
【0010】
特許文献1に記載された内視鏡用キャリングケースは、消毒する内視鏡が大型であり内視鏡を収容する溝の幅も十分広いため、内視鏡消毒用容器の消毒液に浸かっていない部分に内視鏡が接触することは考えにくかった。
一方、近年開発された内視鏡挿入部の直径が3.5mmというような小型内視鏡の寸法に合わせ、第1の課題に対応するように形成された内視鏡消毒用容器では、内視鏡が内視鏡消毒用容器の消毒液に浸かっていない部分に接触し易く、前述のような再汚染が起こり易いという新たな問題が生じた。
【0011】
かかる課題を解決するためになされた本発明の第2の課題は、消毒後に、内視鏡及び消毒液を収容した容器から、内視鏡を再汚染しないように出し入れすることが容易な携帯用の内視鏡消毒装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するためになされた本発明の往診時携帯用内視鏡消毒装置は、先端に対物レンズを備える内視鏡挿入部と、一端で内視鏡挿入部と連結し、他端に接眼部を備える内視鏡操作部と、内視鏡操作部と連結する内視鏡光源部と、を備える内視鏡を、消毒液に浸漬して消毒する内視鏡消毒用容器を備える携帯用内視鏡消毒装置であって、
内視鏡消毒用容器は、内視鏡挿入部を収容する挿入部収容溝と、挿入部収容溝と連通し内視鏡操作部を収容する操作部収容溝と、操作部収容溝と連通し内視鏡光源部を収容する光源部収容溝と、を有する内視鏡収容溝と、内視鏡収容溝と連通する消毒液排出口と、を備え、
内視鏡収容溝に消毒液を入れて内視鏡の全体を消毒液に浸漬した時、内視鏡挿入部、内視鏡操作部、及び内視鏡光源部それぞれの最上部が、消毒液の水面から同じ深さになるように、挿入部収容溝、操作部収容溝、及び光源部収容溝が形成されることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、挿入部収容溝が、消毒液面が接触する部分の幅が、底部の幅より広くなるように形成されることが好ましい。
ここで、挿入部収容溝は、内視鏡挿入部が収容される本体溝部と、本体溝部よりも大きな径となって本体溝部の上部に連結した消毒液の受け入れ溝部と、によって形成されることができる。
【0014】
また本発明は、内視鏡消毒用容器の外側面に近接し、内視鏡消毒用容器の上面及び側面、又は下面及び側面を覆うように着脱可能に設けられた内視鏡洗浄用容器と、内視鏡消毒用容器及び内視鏡洗浄用容器を収容するキャリアと、を更に備えることが好ましい。
【0015】
また本発明は、内視鏡光源部が、バッテリー光源部であり、光源部収容溝が内視鏡のバッテリー光源部を収容するバッテリー光源部収容溝であることができる。
また本発明は、内視鏡光源部が、ライトガイドケーブルと、外部光源とライトガイドケーブルとを連結する接続部と、から形成され、光源部収容溝が、リング状であって操作部収容溝と連通し、内視鏡のライトガイドケーブルを巻き取って収容するライトガイドケーブル収容溝と、接続部を収容する接続部収容溝と、を有することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る内視鏡消毒用容器は、内視鏡をコンパクトに収容する内視鏡収容溝が形成され、また内視鏡収容溝の幅が内視鏡を出し入れできる範囲で可能な限り細く形成され、更に消毒液を入れて内視鏡の全体を消毒液に浸漬した時、内視鏡挿入部、前記内視鏡操作部、及び前記内視鏡光源部それぞれの最上部が、消毒液の水面から同じ深さになるように挿入部収容溝、操作部収容溝、及び光源部収容溝が形成されているので、消毒するのに必要な消毒液の量を削減することができた。
【0017】
また本発明に係る内視鏡消毒用容器は、挿入部収容溝が、消毒液面が接触する部分の幅が底部の幅よりより広くなるように形成されたので、内視鏡を内視鏡消毒用容器に出し入れする際に、内視鏡が内視鏡
消毒用容器の消毒液に浸かっていない部分に接触して再汚染される可能性を減少させることができた。
更に本発明に係る他の実施例では、内視鏡消毒用容器の挿入部収容溝が、内視鏡挿入部が収容される本体溝部と、本体溝部よりも大きな径の受け入れ溝部と、によって形成されており、受け入れ溝部底面が隠れるまで消毒液を入れることで、内視鏡を内視鏡消毒用容器から出し入れする際に、内視鏡が、内視鏡
消毒用容器の消毒液に浸かっていない部分に接触して再汚染される可能性と消毒液の使用量とを更に減少させることができた。
【0018】
また、本発明に係る携帯用の内視鏡消毒装置は、内視鏡をコンパクトに収容するように形成された内視鏡収容溝を有する内視鏡消毒用容器と、内視鏡消毒用容器に着脱可能に設けられた内視鏡洗浄用容器と、内視鏡消毒用容器及び内視鏡洗浄用容器を収容するキャリアと、を備える。これによって、内視鏡検査の施術者は、内視鏡消毒用容器及び内視鏡洗浄用容器を容易に患者宅に携行して内視鏡検査を行うことができた。
【0019】
また、内視鏡検査の施術者は、往診先において、内視鏡を用いた検査終了後に、内視鏡消毒用容器に消毒液を入れ、内視鏡を消毒液に所定時間浸漬することによって、容易に内視鏡の消毒を行うことができ、内視鏡を消毒液に浸漬している間は、内視鏡消毒用容器を内視鏡洗浄用容器で覆って消毒薬の悪臭を防ぐことができ、消毒後の内視鏡を内視鏡洗浄用容器に取り出し、内視鏡洗浄用容器を用いて内視鏡を容易にすすぎ洗いすることができ、消毒作業の終了後は内視鏡洗浄用容器の上で使用後の消毒液をボトル等へ移し替えることができた。
このように、本発明に係る内視鏡消毒装置を、往診時に内視鏡と共に本発明の往診時携帯用内視鏡消毒装置を携帯し、内視鏡検査、及び使用後の内視鏡を消毒、洗浄する一連の内視鏡検査作業を容易かつ円滑に行うことができた。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付した図面を参照して、本発明に係る内視鏡消毒装置の好ましい実施形態を詳細に説明する。なお、同一の機能を有する要素には同一の符号を附し、説明を省略した場合がある。
本発明に係る往診時携帯用内視鏡消毒装置で消毒する内視鏡は、携行可能な小型のものであれば特に制限されない。例えば、内視鏡の外部に光源を有し、内視鏡光源部がライトガイドケーブルと、外部光源及びライトガイドケーブルを連結する接続部と、から形成される内視鏡を消毒することができる。また、内視鏡光源部として、バッテリー光源を備える内視鏡を消毒することができる。
【0022】
図1の(A)は、光源部としてバッテリー光源部を備える内視鏡の図であり、(B)は、ライトガイドケーブル及び接続部を備える内視鏡の図である。
図1(A)及び
図1(B)は、同じ機能を有する要素には同番号を付してある。
【0023】
図1(A)及び(B)に示すように、内視鏡120、320それぞれは、先端に対物レンズ127を備える内視鏡挿入部122と、内視鏡挿入部122と連結し、内視鏡挿入部122を操作するアングルノブ125及び接眼部126を備える内視鏡操作部121と、内視鏡操作部121と連結する内視鏡光源部123と、を備えることができる。
図1(A)に示す内視鏡120は、内視鏡光源部123としてバッテリー光源部124を備え、
図1(B)に示す内視鏡320は、内視鏡光源部123としてライトガイドケーブル333及び接続部334を備える。
【0024】
(第1実施形態)
図2(A)は、本発明の第1実施形態の1実施例に係るバッテリー光源部を備える内視鏡用の内視鏡消毒用容器の平面図であり、(B)は、(A)のa−a線に沿った、矢印方向から見た部分断面図である。
図2(A)に示すように、本発明の第1実施形態に係る内視鏡消毒用容器100は、内視鏡操作部121を収納する操作部収容溝111と、操作部収容溝111と連通し、内視鏡消毒用容器100の内側に沿うように長く湾曲して設けられ、内視鏡挿入部122を収容する挿入部収容溝112と、操作部収容溝111と連通して設けられ、内視鏡光源部123を収容する光源部収容溝113と、が設けられることが好ましい。本実施例においては、光源部収容溝113として、バッテリー光源部124を収容するバッテリー光源部収容溝114を設けることを特徴とする。
【0025】
図3は、本発明の第1実施形態の他の実施例に係るバッテリー光源部収容溝を備える内視鏡消毒用容器の平面図である。
図3に示す内視鏡120’は、バッテリー光源部124’の形状が
図2に示す内視鏡120のバッテリー光源部124の形状と異なるのみで、その他の部分は一致する。バッテリー光源部の形状は、内視鏡を提供する製造元によって異なるので、使用する内視鏡の形状に対応する形状のバッテリー光源部を収容するバッテリー光源部収容溝を有する内視鏡消毒用容器を用いることができる。
【0026】
図2(A)に戻って説明すると、内視鏡消毒用容器100は、更に、内視鏡収容溝115と連通し、消毒液を排出する消毒液排出口116と内視鏡消毒用容器100の中央部に設けられた消毒液容器収容部151とを設けることができる。
また、挿入部収容溝112の対物レンズ127側は特に汚染されやすいので、内視鏡収容溝115の他の部分、例えばバッテリー光源部収容溝114と連通する連通溝128を設け、消毒液の流通を図ることが好ましい。
【0027】
図2(B)に示すように、本実施例に係る内視鏡収容溝115は、水面Lまで消毒液を入れて内視鏡120の全体を消毒液に浸漬した時、消毒液の水面Lから内視鏡挿入部122の最上部までの深さxと、消毒液の水面Lから内視鏡操作部121の最上部までの深さyと、消毒液の水面Lからバッテリー光源部124の最上部までの深さzと、が等しくなる(x=y=z)ように、挿入部収容溝112の深さXと、操作部収容溝111の深さYと、バッテリー光源部収容溝114の深さZと、を調整することを特徴とする。
内視鏡収容溝115をこのように形成することによって、消毒液の使用量を削減することができる。
【0028】
内視鏡120は、消毒後の内視鏡消毒用容器100に出し入れする際は、再汚染を防ぐために、内視鏡消毒用容器100の消毒液に浸かっていない部分に触れないように出し入れしなければならない。しかし、嚥下や胃瘻の観察に使用する内視鏡120の内視鏡挿入部122は細くて柔軟であり、挿入部収容溝112は幅が狭いので、内視鏡120を内視鏡消毒用容器100の消毒液に浸かっていない部分に触れないように出し入れするのに困難を伴うことが多い。
【0029】
(第2実施形態)
図4の(A)は、本発明の第2実施形態の1実施例に係るバッテリー光源部を備える内視鏡用の内視鏡消毒用容器の平面図であり、(B)は(A)のb−b線に沿った、矢印方向から見た部分断面図である。
本発明の第2実施形態は、バッテリー光源部収容溝214を備え、内視鏡120を内視鏡消毒用容器200に触れないように出し入れできるように挿入部収容溝212を形成したことを特徴とする。
【0030】
図4(A)に示すように、第2実施形態に係る内視鏡消毒用容器200は、内視鏡操作部121を収納する操作部収容溝211と、操作部収容溝211と連通し、内視鏡消毒用容器200の内側に沿うように長く湾曲して設けられ、内視鏡挿入部122を収容する挿入部収容溝212と、操作部収容溝211と連通して設けられ、内視鏡光源部123を収容する光源部収容溝213と、が設けられることが好ましい。本実施例においては、光源部収容溝213として、バッテリー光源部124を収容するバッテリー光源部収容溝214を含んで形成される内視鏡収容溝215を設けることを特徴とする。
【0031】
図4(A)には、内視鏡光源部123としてバッテリー光源部124を収容する例を示したが、本実施例のバッテリー光源部収容溝214は、バッテリー光源部124及びバッテリー光源部124’のいずれをも収容できる形状に形成されている例を示す。
【0032】
内視鏡消毒用容器200は、更に、内視鏡収容溝215と連通し、消毒液を排出する消毒液排出口216と内視鏡消毒用容器200の中央部に設けられた消毒液容器収容部151とを設けることができる
【0033】
また、挿入部収容溝212の対物レンズ127側は、特に汚染されやすいので、内視鏡収容溝215の他の部分、例えばバッテリー光源部収容溝214と連通する連通溝228を設け、消毒液の流通を図ることが好ましい。
【0034】
本発明の第2実施形態は、
図4(A)、(B)に示すように、底部の幅より消毒液面部分の幅が広くなるように形成されることを特徴とする。
挿入部収容溝212をこのように形成することによって、内視鏡120が内視鏡消毒用容器200の消毒液に浸かっていない部分に触れないように出し入れすることが容易になり、内視鏡120の再汚染を防ぐことができる。
【0035】
図4(B)に示すように、本実施例に係る内視鏡収容溝215は、水面Lまで消毒液を入れて内視鏡120の全体を消毒液に浸漬した時、消毒液の水面Lから内視鏡挿入部122の最上部までの深さxと、消毒液の水面Lから内視鏡操作部121の最上部までの深さyと、消毒液の水面Lから前記内視鏡光源部の最上部までの深さzと、が等しくなる(x=y=z)ように、挿入部収容溝212の深さXと、操作部収容溝211の深さYと、バッテリー光源部収容溝214の深さZと、を調整することを特徴とする。
内視鏡収容溝115をこのように形成することによって、消毒液の使用量を削減することができる。
【0036】
図5の(A)は、本発明の第2実施形態の他の実施例に係るバッテリー光源部を備える内視鏡用の内視鏡消毒用容器の平面図であり、(B)は(A)のc−c線に沿った、矢印方向から見た部分断面図である。
本実施例は、
図5(A)、(B)に示すように、挿入部収容溝212を、内視鏡挿入部122が収容される本体溝部217と、本体溝部217より大きな径となって本体溝部217の上部に連結した受け入れ溝部218と、によって形成されることを特徴とする。
【0037】
挿入部収容溝212をこのように形成することによって、内視鏡120が内視鏡消毒用容器200の消毒液に浸かっていない部分に触れないように出し入れすることがさらに容易になり、内視鏡120の再汚染を防ぐことができるとともに、消毒液の使用量を更に削減することができる。
本実施例の他の部分の構成は、
図4(A)、(B)を用いて説明した実施例の構成と同じなので、説明を省略する。
【0038】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態の1実施例に係るライトガイドケーブル及び接続部を備える内視鏡用の内視鏡消毒用容器の平面図である。本発明の第3実施形態は、第1実施形態の挿入部収容溝112と同じ形状の挿入部収容溝312を備え、内視鏡光源部123としてライトガイドケーブル333と接続部334を備える内視鏡320を収容し、光源部収容溝313としてライトガイドケーブル収容溝331及び接続部収容溝332を備えることを特徴とする。
【0039】
図6に示すように、第3実施形態に係る内視鏡消毒用容器300は、内視鏡操作部121を収納する操作部収容溝311と、操作部収容溝311と連通し、内視鏡消毒用容器300の内側に沿うように長く湾曲して設けられ、内視鏡挿入部122を収容する挿入部収容溝312と、操作部収容溝311と連通して設けられ、ライトガイドケーブル333を巻きつけるように収容するライトガイドケーブル収容溝331と、ライトガイドケーブル収容溝331と連結し、ライトガイドケーブル333と外部光源(図示しない)とを連結する接続部334を収容する接続部収容溝332と、を備えることが好ましい。
【0040】
ここで、操作部収容溝311と、挿入部収容溝312と、ライトガイドケーブル収容溝331及び接続部収容溝332を備える光源部収容溝313と、を含む内視鏡収容溝315の深さは、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、内視鏡収容溝315に消毒液を入れて内視鏡320の全体を消毒液に浸漬した時、内視鏡挿入部122、内視鏡操作部121、及び内視鏡光源部123それぞれの最上部が、消毒液の水面から同じ深さになるように、挿入部収容溝312、操作部収容溝311、及び光源部収容溝313が形成されることが好ましい。
【0041】
内視鏡消毒用容器300は、更に、内視鏡収容溝315と連通し、消毒液を排出する消毒液排出口316を設けることができる。
また、挿入部収容溝312の対物レンズ127側は特に汚染されやすいので、内視鏡収容溝315の他の部分、例えば操作部収容溝411又は接続部収容溝332と連通する連通溝328を設け、消毒液の流通を図ることが好ましい。
【0042】
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態の1実施例に係るライトガイドケーブル及び接続部を備える内視鏡用の内視鏡消毒用容器の平面図である。本発明の第4実施形態は、第2実施形態の挿入部収容溝212と同じ形状の挿入部収容溝412を備え、内視鏡光源部123としてライトガイドケーブル333と接続部334を備える内視鏡320を収容し、光源部収容溝413としてライトガイドケーブル収容溝431及び接続部収容溝432を備え、内視鏡320が内視鏡消毒用容器400に触れないように出し入れできるように形成されたことを特徴とする。
【0043】
図7に示すように、第4実施形態に係る内視鏡消毒用容器400は、内視鏡操作部121を収納する操作部収容溝411と、操作部収容溝411と連通し、内視鏡消毒用容器400の内側に沿うように長く湾曲して設けられ、内視鏡挿入部122を収容する挿入部収容溝412と、操作部収容溝411と連通して設けられ、ライトガイドケーブル333を巻きつけるように収容するライトガイドケーブル収容溝431と、ライトガイドケーブル収容溝431と連結し、ライトガイドケーブル333と外部光源(図示しない)とを連結する接続部334を収容する接続部収容溝432と、を備えることが好ましい。
【0044】
ここで、操作部収容溝411と、挿入部収容溝412と、ライトガイドケーブル収容溝431及び接続部収容溝432を備える光源部収容溝413と、を含む内視鏡収容溝415の深さは、第1〜3実施形態と同様に、内視鏡収容溝415に消毒液を入れて内視鏡320の全体を消毒液に浸漬した時、内視鏡挿入部122、内視鏡操作部121、及び内視鏡光源部123それぞれの最上部が、消毒液の水面から同じ深さになるように、挿入部収容溝412、操作部収容溝411、及び光源部収容溝413が形成されることが好ましい。
【0045】
本発明の第4実施形態は、
図7に示すように、挿入部収容溝412が、内視鏡挿入部122が収容される本体溝部417と、本体溝部417より大きな径となって本体溝部217の上部に連結した受け入れ溝部418と、によって形成される、
挿入部収容溝412をこのように形成することによって、内視鏡320が内視鏡消毒用容器400の消毒液に浸かっていない部分に触れないように出し入れすることが容易になり、内視鏡320の再汚染を防ぐことができ、消毒液の使用量を更に削減することができる。
【0046】
内視鏡消毒用容器400は、更に、内視鏡収容溝415と連通し、消毒液を排出する消毒液排出口416を設けることができる。
また、挿入部収容溝412の対物レンズ127側は、特に汚染されやすいので、内視鏡収容溝415の他の部分、例えば操作部収容溝411又は接続部収容溝432と連通する連通溝428を設け、消毒液の流通を図ることが好ましい。
【0047】
ここで、内視鏡消毒用容器100、100’、200、200’、300、400(以下内視鏡消毒用容器100と略記する)は、何れも、例えばプラスチック製の長方形のトレイ状の容器であることが好ましい。内視鏡消毒用容器100の寸法は、携帯可能な大きさであって、内視鏡が収容できる寸法であれば特に制限されない。
【0048】
往診による内視鏡検査が最も頻繁に行われるのは嚥下や胃瘻の観察であるが、これに使用する内視鏡120、120’、320(以下内視鏡120と略記する)を収容するためには、内視鏡消毒用容器100は、例えば長辺が330〜450mm、短辺が200〜330mmの範囲の大きさに形成することが好ましい。長辺が330mm以下では、内視鏡120を無理なく収容するのが困難であり、450mm以上では大きすぎて携帯に不便である。より好ましくは、長辺が350〜400mm、短辺が250〜300mmの範囲に形成することである。
【0049】
嚥下や胃瘻の観察に使用する内視鏡120は、内視鏡挿入部122の長さが300〜600mmのものを用いることが多いので、挿入部収容溝112、212、212’、312、412(以下挿入部収容溝112と略記する)は、長さが300〜700mmの範囲であることがで好ましい。より長い内視鏡挿入部122を備える内視鏡120を収容するためには、より長い挿入部収容溝112を形成する。
【0050】
挿入部収容溝112の幅は、使用する内視鏡120の内視鏡挿入部122を好適に収容できる幅であれば、寸法は特に制限されない。嚥下や胃瘻の観察に使用する内視鏡120を収納する目的であれば、この目的に使用される内視鏡の内視鏡挿入部122の太さは2.4〜3.5mmのものが多いので、挿入部収容溝112の幅は5〜15mmの範囲に形成されることが好ましい。幅が5mm以下では、内視鏡挿入部122を収容できない可能性があり、15mm以上では、不必要に大きくなって消毒液の必要量が増えるだけである。
より多くの機能を有し、より太い径を有する内視鏡挿入部122を有する内視鏡を収容する場合には、より太い挿入部収容溝112形成する。
【0051】
図8の(A)は、本発明の1実施例に係る内視鏡洗浄用容器の平面図であり、(B)は正面図である。
図8(A)の点線は、内視鏡洗浄用容器130に収容された内視鏡消毒用容器100を示す。
図8(A)、(B)に示すように、内視鏡洗浄用容器130は、内視鏡消毒用容器100の外側面に近接し、内視鏡消毒用容器100の上面及び側面、又は下面及び側面を覆うように着脱可能に設けられることが好ましい。
内視鏡洗浄用容器130は、内視鏡消毒用容器110と同じか、又は異なる材質で形成することが好ましい。
【0052】
内視鏡洗浄用容器130の深さは、内視鏡消毒用容器100の下面及び側面の外側を覆うような深さであれば、特に制限はないが、内視鏡洗浄用容器130の上に内視鏡消毒用容器100を重ねたときに、内視鏡洗浄用容器130の開口面の上方に近接して内視鏡消毒用容器100の縁部が位置し、内視鏡消毒用容器100を容易に出し入れできるように形成することが好ましい。
【0053】
図9は、本発明の1実施例に係る内視鏡消毒用容器と内視鏡洗浄用容器とを収容するキャリアの組み合わせ状況を示す斜視図である。
図9に示すように、内視鏡消毒用容器100、内視鏡洗浄用容器130、キャリア140、及び消毒液容器150を
図9のように組み合せて収容し、また容易に取り出すことができ、キャリア140を閉じることによって本発明の往診時携帯用内視鏡消毒装置1を容易に運搬することができる。なお、本発明に係る内視鏡消毒用容器100は、病院内に設置して使用することも可能である。
【0054】
以下に、本発明の内視鏡消毒用容器100の作用について説明する。
往診して内視鏡を使用する場合、施術者は内視鏡120、内視鏡消毒用容器100、内視鏡洗浄用容器130、及び消毒液を収納した消毒液容器150をキャリア140に収納して持参し、往診先で取り出して内視鏡検査を行うことができる。
【0055】
検査終了後に、内視鏡120を流水で予備洗浄し、消毒液容器150に収容された消毒液を内視鏡消毒用容器100に注ぎ、内視鏡120を消毒液に浸漬することで内視鏡120を消毒することができる。この際、内視鏡消毒用容器100を内視鏡洗浄用容器130で覆って消毒薬の悪臭を防ぐことができる。
所定時間後に、内視鏡120の消毒が終了した後に、内視鏡120を内視鏡洗浄用容器130に取り出し、内視鏡洗浄用容器130を用いて充分に水洗し、ガーゼ等で水分を拭き取ることによって内視鏡120をすすぎ洗浄することができる。
【0056】
内視鏡消毒用容器100に残った消毒液は、そのまま、又は消毒液容器150に移し替えて再使用することができる。消毒液を移し替える場合は、消毒液容器150を内視鏡洗浄用容器130の上に置いて、消毒液を内視鏡消毒用容器100の消毒液排出口116から消毒液容器150に移し替えることができる。このように、本発明の往診時携帯用内視鏡消毒装置1を使用することによって、往診先の患者宅で、容易に内視鏡検査及び使用済の内視鏡120の消毒・洗浄を行うことができる。
【0057】
(試験例1)
本願の第1実施形態に係る内視鏡消毒用容器100と、比較例として従来型の内視鏡消毒用容器と、に消毒液を所定の深さまで収容し、それぞれに内視鏡を浸漬し、それぞれの内視鏡洗浄装置で用いられる消毒液の使用量を測定し比較した。測定回数10回の平均値を
図10に示す。本願の第1実施形態に係る内視鏡消毒用容器100は1245.8±34.0ccであり、比較例の従来型の内視鏡消毒用容器は5919.8±59.8ccであった。このように、本願の第1実施形態に係る内視鏡消毒用容器100は消毒液の使用量を従来型の約5分の1に削減することができた。
【0058】
(試験例2)
摂食・嚥下障害のある被験者4名に対して、連続して内視鏡検査を行い、各被験者の内視鏡検査の終了後に内視鏡の消毒・洗浄を行った後に消毒液の有効性をテストした。
(1)検査方法
被験者に対して内視鏡挿入部を経鼻的に挿入し、安静時の鼻腔から咽頭、発声時の鼻咽腔閉鎖機能、声門閉鎖機能、及び経口摂取時の嚥下動態を観察した。
使用した内視鏡: FNL−10RP3、PENTAX、
挿入部 : 直径 3.5mm、長さ 300mm
(2)検査終了後、以下の手順で内視鏡の消毒を行った。
1)内視鏡を予備水洗した。
2)消毒液を入れた内視鏡消毒用容器に水洗後の内視鏡を5分間浸漬した。
3)浸漬終了後、内視鏡を内視鏡洗浄用容器に移し、5分間流水で水洗した。
4)洗浄後の内視鏡を、細長い滅菌袋に差し込み次回の使用に備えた。
消毒液:0.55%フタラール水溶液、ジョンソンエンドジョンソン社
(3)毎回の消毒操作終了後、消毒液の有効性をテストした。
有効性のテスト方法:ディスオーパ テストストリップ(ジョンソンエンドジョンソン社製)を使用した。
(4)結果
被験者への内視鏡挿入時間はそれぞれ5分、12分、7分、9分であった。
消毒終了後の消毒液の有効性テストの結果、4回とも使用後の消毒液は有効であることが示された。