(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一可動体は、前記第一待機位置から前記第一演出位置に移動するにつれ、前記第一主可動体と前記第一副可動体の前後方向で重なる領域が小さくなっていくように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の遊技機のように、複数の可動体が前後方向で重なった状態で待機するように構成すると、その複数の可動体を待機させるためのスペース(以下、収納スペースと称する)が前後方向に大きくなってしまう。前後方向における収納スペースの大きさを小さくしようとすれば、複数の可動体のいずれかの厚み(前後方向の大きさ)を小さくする必要があるが、このようにすると可動体の立体感が損なわれてしまう。
【0005】
本発明の目的は、一体的な演出形態を構築する複数の可動体を備えた遊技機において、限られたスペースを複数の可動体の待機時における収納スペースとして効率よく利用可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明にかかる遊技機は、第一待機位置と第一演出位置との間を直線状に往復移動可能な第一可動体と、前記第一可動体が移動可能な直線状の直線の一側方で第二待機位置と第二演出位置との間を往復移動可能な第二可動体と、前記第二可動体が移動する側とは異なる前記直線の他側方で第三待機位置と第三演出位置との間を往復移動可能な第三可動体と、を備え、所定の演出実行時には、前記第一可動体が前記第一演出位置に位置し、前記第二可動体が前記第二演出位置に位置し、前記第三可動体が前記第三演出位置に位置することで、これら可動体が組み合わされた一体的な演出形態が構築され、前記所定の演出実行時以外の待機時には、前記第二可動体が前記第二演出位置よりも前記直線から離れた前記第二待機位置に位置し、かつ前記第三可動体が前記第三演出位置よりも前記直線から離れた前記第三待機位置に位置した状態で、前記第一可動体が前記第一待機位置に位置することで前記第一可動体の少なくとも一部が当該第二待機位置と第三待機位置の間に位置するように構成され
、前記第一待機位置に位置する前記第一可動体が前後方向において占める領域と、前記第二待機位置に位置する前記第二可動体または前記第三待機位置に位置する前記第三可動体の少なくともいずれか一方が前後方向において占める領域とは、少なくとも一部が重なっていることを特徴とする。
【0008】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の遊技機において、前記第一可動体の移動方向と平行な方向に移動可能な第四可動体を備え、前記第四可動体は前記第二可動体または第三可動体の少なくともいずれか一方に係合され、前記第四可動体が移動するに伴い、前記第二可動体が前記第二待機位置と前記第二演出位置との間を移動する、または前記第三可動体が前記第三待機位置と前記第三演出位置との間を移動するように構成され、前記第四可動体、および前記第二可動体または前記第三可動体の少なくともいずれか一方には、前記第二可動体または前記第三可動体の少なくともいずれか一方の移動方向を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項
3に記載の発明は、請求項
2に記載の遊技機において、前記規制手段は、前記直線に対し略直交する方向に延びる、前記第二可動体または前記第三可動体の少なくともいずれか一方に形成される長孔と、前記長孔に係合する、前記第四可動体に形成される突出部と、前記直線に対して傾斜して配置されたレールと、前記レールに係合する、前記第二可動体または前記第三可動体の少なくともいずれか一方に固定されたスライダと、を含み、前記第四可動体が移動すると、前記長孔の幅方向両側の内壁面が当該長孔内を移動する前記突出部に押されることにより、前記第二可動体または前記第三可動体の少なくともいずれか一方に固定された前記スライダが前記レールに沿って移動することで前記第二可動体が前記第二待機位置と前記第二演出位置との間を移動可能、または前記第三可動体が前記第三待機位置と前記第三演出位置との間を移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項
4に記載の発明は、請求項
1から請求項
3のいずれか一項に記載の遊技機において、前記第一可動体は、第一主可動体、およびこの第一主可動体に連動する第一副可動体を有し、前記第一待機位置において、前記第一主可動体と前記
第一副可動体とは少なくとも一部が前後方向で重なるように構成され、前記第一可動体が前記第一待機位置に位置するときにおける前記第
一主可動体または前記
第一副可動体の少なくともいずれか一方が前後方向において占める領域と、前記第二待機位置に位置する前記第二可動体または前記第三待機位置に位置する前記第三可動体の少なくともいずれか一方が前後方向において占める領域とは、少なくとも一部が重なっていることを特徴とする。
【0011】
請求項
5に記載の発明は、請求項
4に記載の遊技機において、前記第一可動体は、前記第一待機位置から前記第一演出位置に移動するにつれ、前記第一主可動体と前記第一副可動体の前後方向で重なる領域が小さくなっていくように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明では、直線状に移動する第一可動体に対し、その直線の一側方で第二可動体が移動し、他側方で第三可動体が移動する。そして、第二可動体および第三可動体は、演出位置に位置するときよりも待機位置に位置するときの方が直線から離れるように動作するから、待機位置においては第二可動体と第三可動体の間のスペースが大きくなる。当該大きくなるスペースを利用して待機位置に位置する第一可動体の少なくとも一部が当該スペースに収納される。したがって、待機時において各可動体を収納するための収納スペースが、前後方向において大きくなるのを抑制することが可能である。別の見方をすれば、直線に直交する方向のスペースを利用することにより、前後方向の収納スペースが大きくなるのを抑制することが可能ということである。
また、待機位置に位置する第一可動体が前後方向において占める領域と、待機位置に位置する第二可動体または第三可動体の少なくともいずれか一方が前後方向において占める領域とが重なるような場合であっても、第二可動体と第三可動体の間のスペースを利用することでこれら可動体を収納する収納スペースが前後方向に大きくなるのを抑制することが可能である。
【0014】
請求項
2に記載の発明のように、第二可動体または第三可動体の少なくともいずれか一方は、第一可動体と平行に移動する第四可動体によって(第四可動体を介して動力を伝達させることにより)動作させることが可能である。第四可動体は、第一可動体〜第三可動体とともに、一体的な演出形態の構築に利用することが可能である。
【0015】
請求項
3に記載の発明のようにすれば、第四可動体から第二可動体または第三可動体の少なくともいずれか一方に対する動力伝達機構を簡単に構築することが可能である。
【0016】
上述したように、第二可動体および第三可動体は、演出位置に位置するときよりも待機位置に位置するときの方が直線から離れるように動作するから、待機位置においては第二可動体と第三可動体の間のスペースが大きくなる。そのため、請求項
4に記載の発明のように、第一可動体が第一主可動体と第一副可動体という二つの部材を有する構成とし、第一可動体が第一待機位置に位置するときにおいてこれら二つの部材が前後方向に重ねて収納される構成とすることが可能になる。すなわち、収納スペースの確保が困難なために第一可動体を二つの部材を有する構成にすることができない、といったことがなくなるため、演出効果の向上に資する。
【0017】
第一可動体が上記のような二つの部材で構成される場合、請求項
5に記載のように、第一待機位置から第一演出位置にかけて当該二つの部材の重なる領域が小さくなっていく、すなわち両部材がだんだんと前後方向に直交する平面方向に広がっていくような演出態様とすることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技盤90の平面方向に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技盤90の平面方向に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、上下方向とは
図1における上下方向を、幅方向(左右方向)とは
図1における左右方向をいうものとする。
【0020】
まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、
図1では、遊技機1の枠体、遊技球を発射する発射装置、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機の構成要素は省略している。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0021】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置の操作によって発射された遊技球(本発明における遊技媒体に相当する)を遊技領域902に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0022】
遊技領域902には、表示装置91、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置91の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置91の表示画面は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能である。
【0023】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0024】
このような遊技機1では、発射装置を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904、905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法や演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。
【0025】
本実施形態にかかる遊技機1は、所定の演出実行時に表示装置91の表示画面の前方に進出し、遊技盤90の開口901を通じて視認可能となる複数の可動体を備える。この複数の可動体は、遊技盤90の後方に設けられるセンターベース25に取り付けられた駆動装置によって動作する。以下、
図2〜
図12を参照して当該複数の可動体および駆動装置の構成について詳細に説明する。
【0026】
本実施形態における駆動装置は、第一可動体2、第二可動体3、第三可動体4、第四可動体31、および第五可動体41(本発明における第四可動体に相当する部材でもある)を動作させる。第一可動体2は、あるキャラクタの顔(額以外の部分)を模した可動体である。本実施形態における第一可動体2は、第一主可動体21および第一副可動体22を有する。この第一可動体2は、第一駆動源24の動力を受けて、上下方向に沿う直線状に、第一待機位置と第一演出位置との間を往復移動する。当該直線Lは、遊技機1の幅方向中央を通る直線である。
【0027】
第一可動体2の駆動機構は次の通りである。第一駆動源24(モータ)は、センターベース25の左上に固定されている。第一駆動源24の動力は、一または複数の歯車を介して第一可動体ベース23に出力される。第一可動体ベース23は、センターベース25に対し、上下方向にスライド自在に支持されている。第一可動体ベース23には、第一主可動体21が上下方向にスライド自在に支持されている。第一主可動体21には、第一副可動体22が上下方向にスライド自在に支持されている。
【0028】
第一可動体2が第一待機位置(原位置)に位置するとき、第一可動体ベース23、第一主可動体21、および第一副可動体22の大部分は、互いに前後方向で重なっている。第一可動体2が第一待機位置に位置するときには、当該第一可動体2は、遊技盤90の開口901の上側の部分に覆われる。第一可動体2が当該第一待機位置に位置する状態で第一駆動源24を駆動する(正転させる)と、その動力は第一可動体ベース23に出力され、第一可動体ベース23は下方に移動する。
【0029】
第一可動体ベース23には、歯車列(図示せず)が固定されており、この歯車列の最も上に位置する歯車(入力側歯車)はセンターベース25に固定されたラック部材に噛み合い、最も下に位置する歯車(出力側歯車)は第一主可動体21に固定されたラック部材に噛み合っている。そのため、第一可動体ベース23が下方に移動すると当該歯車列の最も上に位置する歯車が回転し、その回転は最も下に位置する歯車まで伝達される。この最も下に位置する歯車の回転動力は第一主可動体21に固定されたラック部材を通じて第一主可動体21に下方への力となって伝達される。つまり、第一可動体ベース23が下方に移動すると、第一主可動体21も下方へ移動する。ここで、歯車列の減速比は第一可動体ベース23の下方への移動量よりも、それに伴う第一主可動体21の下方への移動量が大きくなるように設定されている。つまり、第一駆動源24の駆動量が増加するにつれ、第一可動体ベース23と第一主可動体21の上下方向における距離はだんだんと大きくなっていく。すなわち、第一可動体ベース23と第一主可動体21が前後方向で重なる領域はだんだんと小さくなっていく。
【0030】
一方、第一主可動体21には、上記歯車列とは別の歯車列(図示せず)が固定されており、この別の歯車列の最も上に位置する歯車(入力側歯車)は第一可動体ベース23に固定されたラック部材に噛み合い、最も下に位置する歯車(出力側歯車)は第一副可動体22に固定されたラック部材に噛み合っている。そのため、第一可動体ベース23および第一主可動体21が下方に移動すると、両者の下方への移動量の差により、当該別の歯車列の最も上に位置する歯車が回転し、その回転は最も下に位置する歯車まで伝達される。この最も下に位置する歯車の回転動力は第一副可動体22に固定されたラック部材を通じて第一副可動体22に下方への力となって伝達される。つまり、第一可動体ベース23および第一主可動体21が下方に移動すると、第一副可動体22も下方へ移動する。ここで、当該別の歯車列の減速比は第一主可動体21の下方への移動量よりも、それに伴う第一副可動体22の下方への移動量が大きくなるように設定されている。つまり、第一駆動源24の駆動量が増加するにつれ、第一主可動体21と第一副可動体22の上下方向における距離はだんだんと大きくなっていく。すなわち、第一主可動体21と第一副可動体22が前後方向で重なる領域はだんだんと小さくなっていく。
【0031】
このように、第一駆動源24を正転させると、第一可動体ベース23、第一主可動体21、および第二副可動体が下方に移動する。第一駆動源24の駆動量に対する下方への移動量は、第一可動体ベース23、第一主可動体21、第一副可動体22、の順で大きくなる。そのため、第一駆動源24の駆動量が増えるにつれ、各部材は上下方向にだんだんと離れていきながら(平面方向に広がりながら)下方に移動し、最終的には第一主可動体21と第一副可動体22が表示装置91の表示画面の前に位置し、演出形態の一部(例えば、あるキャラクタの顔を模した形態)を構築する。当該状態が、第一可動体2が第一演出位置に位置した状態である。
【0032】
一方、第一可動体2が第一演出位置に位置した状態で第一駆動源24を逆転させると、上記第一待機位置から第一演出位置に向かう動作とは逆の動作で、第一可動体2は第一待機位置に戻る。すなわち、第一駆動源24の駆動量が増えるにつれ、各部材は上下方向にだんだんと近づきながら上方に移動し、最終的には第一可動体ベース23および第一副可動体22の大部分が第一主可動体21に覆われた状態で、センターベース25の上側縁に位置する。このように本実施形態では、第一待機位置において第一可動体ベース23、第一主可動体21、および第一副可動体22が前後方向で互いに重なる領域は、第一演出位置におけるそれよりも大きくなる。つまり、平面方向において第一可動体2全体が占める領域は、第一待機位置で最も小さくなる。当該第一待機位置では、第一可動体2の大部分は、遊技盤90における開口901よりも上側の部分に覆われる。すなわち、第一可動体2は遊技者からは視認困難な状態となる。
【0033】
第二可動体3および第三可動体4は、演出形態の一部(例えば、あるキャラクタの額を模した形態)を構築する可動体である。第二可動体3は第二駆動源32の動力が第四可動体31を介して伝達されることによって、第三可動体4は第三駆動源42の動力が第五可動体41を介して伝達されることによって動作する。具体的には、第二可動体3は第一可動体2の移動方向に沿う上記直線Lの一側方(本実施形態では左側)で第二待機位置と第二演出位置との間を直線Lに対して斜め方向に往復移動し、第三可動体4は上記直線Lの他側方(本実施形態では右側)で第三待機位置と第三演出位置との間を直線Lに対して斜め方向に往復移動する。
【0034】
第四可動体31および第五可動体41は、演出形態の一部(例えば、あるキャラクタの髪を模した形態)を構築する可動体である。第四可動体31は第二駆動源32によって、第五可動体41は第三駆動源42によって動作する。第四可動体31および第五可動体41の移動方向は、第一可動体2の移動方向と平行である。すなわち、第四可動体31は上記直線Lの一側方で第四待機位置と第四演出位置との間を上下方向に往復移動し、第五可動体41は上記直線Lの他側方で第五待機位置と第五演出位置との間を上下方向に往復移動する。
【0035】
以下、これら可動体の駆動機構について説明する。なお、本実施形態では、第二可動体3と第三可動体4、および、第四可動体31と第五可動体41は、上記直線Lを対称軸とする左右対称形状(厳密には、上記直線Lを含む遊技機1を幅方向に二分する面を対称面とする左右対称形状)であり、その動作も左右対称形状であるため、第二可動体3と第四可動体31の駆動機構を詳細に説明し、第三可動体4と第五可動体41の駆動機構については簡単な説明に留める。
【0036】
第二可動体3と第四可動体31を動作させる第二駆動源32は、センターベース25の左上に固定されている。第一駆動源24の動力は、一または複数の歯車を介して駆動用ラック部材311に出力される。
【0037】
駆動用ラック部材311は第四可動体31に固定されている。センターベース25には、上下方向に沿う第一レール253が固定されている。この第一レール253には、第四可動体31に固定された第一スライダ313が係合している。駆動用ラック部材311に第二駆動源32の動力が伝達されると、第四可動体31が第一レール253に沿って上下動する。
【0038】
第二可動体3の後方には、幅方向に沿う長孔33が形成されている(
図12参照)。この長孔33内には、第四可動体31に形成された突出部321(
図9参照)が係合している。突出部321は長孔33内をスライド可能である。センターベース25には、上記直線L(上下方向)に対して傾斜した第二レール254(本発明におけるレールに相当する)が固定されている。第二レール254は上端から下端にかけて左から幅方向中央に向かうように傾斜している(
図6、
図8参照)。つまり、上端から下端にかけてだんだんと上記直線Lに近づく方向に傾斜している。この第二レール254には、第二可動体3に固定された第二スライダ34(本発明におけるスライダに相当する;
図12参照)が係合している。
【0039】
第二可動体3が第二待機位置に、第四可動体31が第四待機位置に位置した状態で、第二駆動源32を駆動させる(正転させる)と、その動力が駆動用ラック部材311に伝達され、第四可動体31が下方に移動する。第四可動体31が下方に移動すると、突出部321が長孔33の下側内壁面(長孔33の幅方向両側のうちの下側の内壁面)を押す。これにより、第二可動体3に下向きの力が伝達され、第二可動体3は第二レール254に沿ってだんだんと直線Lに近づきながら下方に移動する。このとき、突出部321は長孔33内をスライドする。つまり、突出部321が長孔33内をスライドしながら、長孔33の下側内壁面を押すことで、第二可動体3は第四可動体31とともに移動する。そして、最終的には、第二可動体3が第二待機位置に対して斜め右下にある第二演出位置に、第四可動体31が第四待機位置の真下にある第四演出位置に到達する。第二駆動源32によって第二演出位置に到達した第二可動体3は、第三駆動源42によって左右対称に移動して第三演出位置に到達した第三可動体4とともに、表示装置91の表示画面の前で、演出形態の一部(例えば、あるキャラクタの額)を構築する。すなわち、第三可動体4も第二可動体3と同様に、センターベース25に固定された上記直線L(上下方向)に対して傾斜した第四レール256(本発明におけるレールに相当する)に対して、第三可動体4に固定されたスライダ(図示せず。本発明におけるスライダに相当する)がスライドすることで斜め方向に移動可能に構成されている。第二駆動源32によって第四演出位置に到達した第四可動体31は、第三駆動源42によって左右対称に移動して第五演出位置に到達した第五可動体41とともに、表示装置91の表示画面の前で、演出形態の一部(例えば、あるキャラクタの髪)構築する。すなわち、第五可動体41も第四可動体31と同様に、センターベース25に固定された上記直線L(上下方向)に沿う第三レール255に沿って移動可能に構成されている。
【0040】
所定の演出実行時には、第一可動体2(第一主可動体21および第一副可動体22)を第一演出位置に向けて移動させた後、第二可動体3と第四可動体31、および第三可動体4と第五可動体41のそれぞれを演出位置に向けて移動させ、全ての可動体が演出位置に到達することにより、これら第一可動体2〜第五可動体41が組み合わされてなる一体的な演出形態が表示装置91の表示画面の前で構築される。なお、所定の演出実行時とは、一体的な演出形態を構築する演出を実行することが決定された場合で、大当たり判定図柄変動中の一部の時間(例:大当たり変動演出・リーチ演出)や大当たり中をいう。大当たり判定図柄変動中に一体的な演出形態を構築する演出を実行するか否かは、一般的にはサブ基板に搭載される演出決定手段が、大当たりの成否等に応じて決定する。
【0041】
一方、第二可動体3が第二演出位置に、第四可動体31が第四演出位置に位置した状態で、第二駆動源32を駆動させる(正転させる)と、その動力が駆動用ラック部材311に伝達され、第四可動体31が上方に移動する。第四可動体31が上方に移動すると、突出部321が長孔33の上側内壁面(長孔33の幅方向両側のうちの上側の内壁面)を押す。これにより、第二可動体3に上向きの力が伝達され、第二可動体3は第二レール254に沿ってだんだんと直線Lから離れながら上方に移動する。そして、最終的には、第二可動体3が第二待機位置に、第四可動体31が第四待機位置に到達する。第三可動体4も、第三駆動源42によって第二可動体3と左右対称に動作するのであるから、第三演出位置から第三待機位置に移動する際には、だんだんと直線Lから離れながら上方に移動する。待機位置に位置する第二可動体3〜第五可動体41は、遊技盤90における開口901よりも上側の部分に覆われる。すなわち、第二可動体3〜第五可動体41は、第一可動体2とともに、遊技者からは視認困難な状態となる。上記所定の演出時以外の待機時には、各可動体は当該状態にある。
【0042】
このように、本実施形態では、第二可動体3および第三可動体4には、第四可動体31および第五可動体41を介して動力が伝達される。第二可動体3および第三可動体4の移動方向は、長孔33、突出部321、第二レール254、および第二スライダ34を構成要素とする規制手段によって規制される。このうち、長孔33および突出部321は、第四可動体31から第二可動体3、第五可動体41から第三可動体4への動力伝達要素でもある。
【0043】
なお、第一可動体2〜第五可動体41によって一体的な演出形態が構築された状態から、各可動体を待機位置に移動させる場合には、第二可動体3と第四可動体31、および第三可動体4と第五可動体41(第一可動体2以外の可動体)のそれぞれを待機位置に向けて移動させてから、第一可動体2を第一待機位置に向けて移動させる。つまり、待機位置から演出位置に向かって移動させる場合には第一可動体2の移動を先に実行し、演出位置から待機位置に向かって移動させる場合には第一可動体2以外の可動体の移動を先に実行する。
【0044】
このように、本実施形態では、第二可動体3および第三可動体4は、待機位置から演出位置に向かう際には、下方に移動するにつれてだんだんと直線L(第一演出位置に位置する第一可動体2)に近づく。一方、演出位置から待機位置に向かう際には、上方に移動するにつれてだんだんと直線Lから離れる。したがって、幅方向における第二可動体3と第三可動体4の間のスペースは、両可動体が演出位置に位置するときよりも待機位置に位置するときの方が大きくなる。この待機位置に位置する第二可動体3と第三可動体4の間のスペースに、第一待機位置に位置する第一可動体2の少なくとも一部(第一可動体2から突出した突出部分)が収納される。
【0045】
つまり、本実施形態にかかる遊技機1では、所定の演出実行時においては、直線状に動作して第一演出位置に位置した第一可動体2に対して近づきながら第二可動体3および第三可動体4が移動し、最終的には第二演出位置、第三演出位置に到達することにより一体的な演出形態が構築される。これに対し、所定の演出実行時以外の待機時には、直線Lから離れながら第二可動体3および第三可動体4が移動し、第一待機位置に戻る第一可動体2を収納するためのスペースを確保するように動作する。これにより、第一待機位置に位置する第一可動体2と、第二待機位置に位置する第二可動体3や第三待機位置に位置する第三可動体4とが前後方向に重なる部分が小さくなるから、前後方向におけるこれら待機位置に位置する可動体を収納するためのスペースを小さくすることが可能となる。換言すれば、遊技機1内における限られたスペースを効率よく利用することが可能となる。
【0046】
本実施形態では、第一待機位置に位置する第一可動体2が前後方向において占める領域、すなわち第一可動体2を幅方向に沿って投影した領域S1と、第二待機位置に位置する第二可動体3や第三待機位置に位置する第三可動体4が前後方向において占める領域、すなわち第二可動体3や第三可動体4を幅方向に沿って投影した領域S2とは、少なくとも一部が重なっている(
図5参照)。具体的には、第一待機位置に位置する第一主可動体21の略中央に形成される前方に突出した突出部分(例えば、あるキャラクタの一部である「鼻」の部分211(
図5、
図7参照))の占める領域が、第二可動体3や第三可動体4の大部分と重なる。このような形状であるため、例えば、第一可動体2の略全体に第二可動体3または第三可動体4が干渉しないようにしつつ両可動体を前後方向に重ねて収容しようとすると、必要な収納スペースの前後方向における大きさが大きくなってしまうし、また第一可動体2の略全体に第二可動体3または第三可動体4の両可動体を前後方向に重ねて収納する場合にこれらを収納するスペースの前後方向における大きさを小さくしすぎると、第一可動体2に第二可動体3または第三可動体4が干渉してしまうおそれがあるところ、本実施形態では、第二可動体3と第三可動体4が幅方向に離れて待機するため、第二可動体3と第三可動体4との間に収納スペースが発生し、その収納スペースに第一可動体2の少なくとも一部(第一可動体2から突出した突出部分)を収納させることで、当該必要な収納スペースの前後方向における大きさが小さくなる。すなわち、必要な収納スペースの前後方向における大きさが大きくなり過ぎないよう、幅方向のスペースを有効利用したものであるともいえる。
【0047】
また、本実施形態では、第一可動体2は第一主可動体21および第一副可動体22を有し、第一待機位置において第一主可動体21と第一副可動体22は互いにその大部分が前後方向で重なる(少なくとも第一演出位置において重なる領域よりも大きい)。このように第一可動体2を二つの部材で構成し、第一待機位置において前後方向で重ねて収納する場合、第一可動体2を収納するためのスペースが前後方向に大きくなってしまい、当該スペースの確保が困難になるおそれがあるところ、本実施形態では第二可動体3と第三可動体4が上記直線Lから離れて待機する(上記直線Lから離れながら待機位置に戻る)構成であるため、第二可動体3と第三可動体4の間が空き、上記スペースを確保することが可能である。別の見方をすれば、第二可動体3と第三可動体4が上記直線Lから離れて待機する構成であるため、第一可動体2が二つの部材(待機位置で大部分が重なり、演出位置でその重なりが小さくなるように広がる二つの部材)を有する構成とすることが可能となり、演出の幅が広がる、ということがいえる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態かかる遊技機1では、第一待機位置に位置する第一可動体2が前後方向に占める領域が、第二待機位置に位置する第二可動体3が前後方向に占める領域、および第三待機位置に位置する第三可動体4が前後方向に占める領域の両方に重なる構成であるが、第二待機位置に位置する第二可動体3が前後方向に占める領域、または第三待機位置に位置する第三可動体4が前後方向に占める領域のいずれか一方のみに重なる構成であっても、本発明の技術思想は適用可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、第二可動体3と第三可動体4、第四可動体31と第五可動体41が左右対称形状であり、左右対称に動作するものであることを説明したが、左右対称であることを必須の条件とするものではない。
【0051】
また、上記実施形態では、第四可動体31を介して第二可動体3に、第五可動体41を介して第三可動体4に動力が伝達される構成(同じ駆動源によって動作する構成)であることを説明したが、第四可動体31と第二可動体3、第五可動体41と第三可動体4が、別の駆動源で独立して動作するように構成してもよい。第四可動体31と第二可動体3、第五可動体41と第三可動体4の一方が同じ駆動源によって動作し、他方が別の駆動源によって動作する構成であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、第一待機位置に位置する第一主可動体21の略中央に形成される前方に突出した突出部分(例えば、あるキャラクタの一部である「鼻」の部分)が、待機位置に位置する第二可動体3や第三可動体4の大部分と前後方向で重なる、すなわち、第一主可動体21が前後方向で占める領域と、第二可動体3や第三可動体4が前後方向で占める領域の少なくとも一部が重なる構成であることを説明したが、第一副可動体22が前後方向で占める領域と、第二可動体3や第三可動体4が前後方向で占める領域の少なくとも一部が重なる構成とする場合であっても、本発明の技術思想は適用可能である。