特許第5747259号(P5747259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747259
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】ドライダブルクラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 13/60 20060101AFI20150618BHJP
   F16D 13/46 20060101ALI20150618BHJP
   F16D 13/64 20060101ALI20150618BHJP
   F16D 1/02 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   F16D13/60 A
   F16D13/46 C
   F16D13/64 A
   F16D1/02 M
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-525905(P2014-525905)
(86)(22)【出願日】2011年8月18日
(65)【公表番号】特表2014-521907(P2014-521907A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】KR2011006070
(87)【国際公開番号】WO2013024923
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】514040789
【氏名又は名称】ピョン ファ バレオ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】カン ソク ミン
【審査官】 広瀬 功次
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−539404(JP,A)
【文献】 特表2009−516143(JP,A)
【文献】 特開2006−071103(JP,A)
【文献】 米国特許第03185274(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 11/00−23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン側に結合されるダンパーフライホイールと、
前記ダンパーフライホイールに結合されてエンジンの動力をトランスミッションに伝達するセットダブルクラッチと、で形成されるドライダブルクラッチにおいて、
前記ダンパーフライホイールは、
前記セットダブルクラッチの連結プレートにスプライン結合されるように前記ダンパーフライホイールのドライブプレートに結合されるコネクタと、前記コネクタに円周方向に沿って弾力的に相対回転自在に結合されて前記連結プレートと前記コネクタとの間のバックラッシュを補償するカバーと、前記コネクタ上に取り付けられて前記カバーを前記コネクタの円周方向に付勢する第1弾性部材と、を備え、
前記セットダブルクラッチの第1クラッチディスクは、
前記第1クラッチディスク及び第1ハブの内側面上における変速機に対向する側に支持されて前記第1クラッチディスクと前記第1ハブとの境界部を包むストッパーリングと、
前記第1クラッチディスク及び前記第1ハブの外側面上におけるエンジンに対向する側に支持され、前記第1クラッチディスクを介して対向する前記ストッパーリングと結合されることで前記境界部を包むリテーナーリングと、
第1駆動板及び前記第1ハブの前記内側面と前記ストッパーリングとの間に介在されて前記第1ハブを弾力的に支持する弾性ワッシャーと、で構成された組立て構造を持つことを特徴とするドライダブルクラッチ。
【請求項2】
前記コネクタ上に取り付けられて前記カバーを前記コネクタの軸方向に付勢する第2弾性部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項3】
前記第2弾性部材は、前記コネクタと前記カバーとの間に前記コネクタの円周方向に配列される複数のワッシャーであることを特徴とする請求項2に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項4】
前記第2弾性部材は、前記コネクタと前記カバーとの間に前記コネクタと同軸上に配列されるリングワッシャーであることを特徴とする請求項2に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項5】
前記リングワッシャーは、傾斜部の外周端に沿って円周方向に複数のノッチ部が凹設されることを特徴とする請求項4に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項6】
前記カバーは、リベットが貫通するカバー結合孔を有し、前記第2弾性部材が前記リベットによって前記コネクタに結合されることによって、前記カバーは、軸方向に拘束されて前記コネクタからの脱去が防止され、且つ円周方向回転が許容され、前記コネクタに対して相対回転自在とされていることを特徴とする請求項3ないし5のうちいずれか1項に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項7】
前記カバーは、外周に垂直方向に少なくとも一つ以上の突起部が形成され、前記突起部は、前記コネクタ外周のスプラインギアの歯面と整合自在に対向するように形成されることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項8】
前記スプラインギアの歯幅のうち、前記突起部が覆われる歯の歯幅は、前記連結プレートの内周に形成されるギアの歯の歯幅と同一か、またはそれより大きいことを特徴とする請求項7に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項9】
前記スプラインギアの歯と歯との距離のうち、前記突起部を介している歯間の距離は、前記突起部を介していない歯間の距離より大きいことを特徴とする請求項7に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項10】
前記突起部は、前記カバーのリング部の外周に等間隔で形成され、前記突起部で覆われる前記スプラインギアの歯も、前記コネクタの外周に等間隔で形成されることを特徴とする請求項7に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項11】
前記第1弾性部材は、コイルバネであり、前記カバーは、前記コイルバネに円周方向に弾性力を与えるようにバネ支持部が前記コネクタに向かって突設されることを特徴とする請求項7に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項12】
前記カバーに対して前記第1弾性部材が加える力と、前記第2弾性部材が加える力との和は、前記カバーに斜線方向に作用するようになっていることを特徴とする請求項6に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項13】
前記リテーナーリングと前記第1駆動板及び前記第1ハブの前記外側面との間にスナップ式で介在され、前記第1駆動板の開口部からの前記第1ハブの離脱を止めるスナップリングをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項14】
前記弾性ワッシャーは、内周縁が外周縁よりエンジン側に突出するように環状の胴体が傾いており、前記ストッパーリングは、変速器に向かって凹状に陥没された載置シートが内周縁に沿って形成され、前記弾性ワッシャーを載置させるようになっていることを特徴とする請求項1または13に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項15】
前記弾性ワッシャーは、前記外周縁に円周方向に複数の係止溝が形成されていることを特徴とする請求項14に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項16】
前記ストッパーリングは、前記弾性ワッシャーの前記係止溝に係止されて前記弾性ワッシャーの相対回転を止める一つ以上の係止手段が、前記載置シート上に突設していることを特徴とする請求項15に記載のドライダブルクラッチ。
【請求項17】
前記ストッパーリングは、前記弾性ワッシャーの前記係止溝に係止されて前記弾性ワッシャーの相対回転を止める1つ以上の係止突起を有し、前記係止突起は、前記ストッパーリングの胴体と載置シートとの高さ差ほど前記載置シートから持ち上げられるように、前記胴体から半径方向の内側に突設されていることを特徴とする請求項15に記載のドライダブルクラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライダブルクラッチに係り、さらに詳細には、エンジン側に連結されるダンパーフライホイールから、トランスミッション側に連結されるセットダブルクラッチに動力を伝達するコネクタにバックラッシュを補償し、動力の断続に関与するクラッチディスクの軸方向緩衝性能及び組立て性を向上させたドライダブルクラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、同軸に配置される2つの入力シャフトを持つトランスミッションのためのダブルクラッチに関する。従来には、一つの入力シャフトを持つトランスミッションを使うため、エンジンからトランスミッションへの動力の伝達または遮断のためのクラッチディスクも一つを使ってきた。しかし、2つのシャフトがあるダブルクラッチトランスミッション(Double Clutch T/M)は、エンジンからの動力を伝達するために、2つのクラッチディスクを持つダブルクラッチの使用が求められる。このようなダブルクラッチは、クラッチが2つ必要であり、ギア方式もデュアルで作動し、1段ずつ変速する度に二重になっているシャフトが変わるため、変速速度が速く、実際の燃費にも役に立つ。
【0003】
特に、ドライダブルクラッチ(Dry Double Clutch)は、従来のウェットダブルクラッチ(Wet Double Clutch)とは異なってオイルを使わず、クラッチディスクと圧力板との摩擦によってエンジンの動力をトランスミッションに伝達する。このようなドライダブルクラッチは、図1に図面符号101で図示されたように、セットダブルクラッチ(Set Double Clutch)102とダンパーフライホイール(Damper Flywheel)103とに大別される。
【0004】
このうち、セットダブルクラッチ102は、中心板105が連結板107と連結リベット108によって結合され、中心板105は、第1圧力板109及び第2圧力板111が第1及び第2クラッチディスク113、115を圧着して回転可能にする。中心板105のエンジン側には、第1ハブ117を介して第1クラッチディスク113が位置しており、第1ハブ117には、変速器内側入力軸119が結合される。中心板105の変速器側には、第2ハブ121を介して第2クラッチディスク115が位置し、第2ハブ121には、変速器外側入力軸が結合される。
【0005】
この時、第1クラッチディスク113は、第1駆動板123と第1ハブ117とが、図2に示されたように、ストッパーリング125、リテーナーリング127、及びスナップリング129で形成された組立て構造によって互いに結合されるところ、図1に示されたように、ストッパーリング125及びリテーナーリング127は、第1駆動板123を貫通するリベット131によって第1駆動板123の内外側に密着され、第1駆動板123からの第1ハブ117の離脱を防止するようになっている。
【0006】
また、ダンパーフライホイール103は、エンジンのクランクシャフトとボルトとによって結合するプライマリーホイール110と、このプライマリーホイール110の上部を覆うプライマリーカバー130と、プライマリーホイール110及びプライマリーカバー130の内側でエンジンの動力を伝達するドライブプレート120とで構成されている。また、エンジンからの動力をダンパーフライホイール103からセットダブルクラッチ102に伝達するためには、スプライン方式のコネクタ130が用いられ、コネクタ130の外周面にはスプラインギアが形成されている。また、これと噛み合って動力を伝達されるセットダブルクラッチ102には、コネクタ130とのスプライン結合を行う連結プレート107がセットダブルクラッチ102に結合する。この時、連結プレート107は、中央にホールが形成された円形であり、半径方向でセットダブルクラッチ102と結合する延長部を備えている。このホールは、ハブ構造を持つようになり、コネクタ130に対応してスプラインギアを形成する。したがって、ダンパーフライホイール103及びセットダブルクラッチ102は、コネクタ130と連結プレート107とのスプライン結合を通じて動力を伝達する。
【0007】
しかし、スプライン結合の場合、ギアの歯と歯との間の公差によってバックラッシュが発生し、時計回り方向または逆時計回り方向に回動する時、ギアの歯に衝撃などが発生する。特に、車両の動力伝達において、加速及び減速時にダンパーフライホイール及びセットダブルクラッチには相対的な時計回り方向または逆時計回り方向への回転が発生するが、この時、バックラッシュによってコネクタ及び連結プレートに衝撃及びノイズなどが発生し、回転方向のダンピング能が劣化し、車両の耐久寿命が短くなる。また、走行時の衝撃及び振動が運転手などに伝達されて乗車感も劣るという問題があった。
【0008】
また、前記のように第1ハブ117を支持するストッパーリング125が直接に第1ハブ117に接触しているので、変速時に第1ハブ117に軸方向に発生する振動がそのままストッパーリング125に伝達されるので、ストッパーリング125の耐久性が低下するという問題点があった。
【0009】
さらに、ドライダブルクラッチ101を組立てまたは解除する時、第1駆動板123で組立てまたは分解される第1ハブ117がストッパーリング125に衝撃を加えられるが、組立て及び分解が繰り返される場合、このような衝撃によってストッパーリング125に損傷が発生してストッパーリング125の耐久性を低下させ、組立て作業に不便さを引き起こすという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ドライダブルクルリチに係り、エンジンからの動力をトランスミッションに伝達するためのダンパーフライホイールに結合するコネクタと、セットダブルクラッチに結合する連結プレートとのスプライン結合において、コネクタにカバー及びワッシャーを結合してバックラッシュを低減させて軸方向ダンピング能を向上させることを目的とする。
【0011】
また本発明は、第1クラッチディスクの第1駆動板に第1ハブを結合させる組立て構造の第1ハブに対する緩衝性能を向上させることで、前記のような組立て構造、特に、ストッパーリングに対する耐久性及び組立て性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を達成するために本発明は、エンジン側に結合されるダンパーフライホイールと、前記ダンパーフライホイールに結合されてエンジンの動力をトランスミッションに伝達するセットダブルクラッチと、で形成されるドライダブルクラッチにおいて、前記ダンパーフライホイールは、前記セットダブルクラッチの連結プレートにスプライン結合されるように前記ダンパーフライホイールのドライブプレートに結合されるコネクタと、前記コネクタに円周方向に沿って弾力的に相対回転自在に結合されて前記連結プレートと前記コネクタとの間のバックラッシュを補償するカバーと、前記コネクタ上に取り付けられて前記カバーを前記コネクタの円周方向に付勢する第1弾性部材と、を備え、前記セットダブルクラッチの第1クラッチディスクは、変速器に向かう前記第1クラッチディスク、及び前記第1ハブの内側面上に支持されて前記第1クラッチディスクと第1ハブとの境界部を包むストッパーリングと、エンジンに向かう前記第1クラッチディスク及び前記第1ハブの外側面上に支持され、前記第1クラッチディスクを介して対向する前記ストッパーリングと結合されることで前記境界部を包むリテーナーリングと、前記第1駆動板及び前記第1ハブの前記内側面と前記ストッパーリングとの間に介在されて前記第1ハブを弾力的に支持する弾性ワッシャーと、で構成された組立て構造を持つドライダブルクラッチを提供する。
【0013】
また、前記コネクタ上に取り付けられて前記カバーを前記コネクタの軸方向に付勢する第2弾性部材をさらに備えることが望ましい。
【0014】
また、前記第2弾性部材は、前記コネクタと前記カバーとの間に前記コネクタの円周方向に配列される複数のワッシャーであることが望ましい。
【0015】
また、前記第2弾性部材は、前記コネクタと前記カバーとの間に前記コネクタと同軸上に配列されるリングワッシャーであることが望ましい。
【0016】
また、前記リングワッシャーは、傾斜部の外周端に沿って円周方向に複数のノッチ部が凹設されることが望ましい。
【0017】
また、前記第2弾性部材は、前記カバーを軸方向に拘束して前記コネクタからの脱去を防止し、前記カバーの円周方向回転は許容して前記コネクタに対して相対回転自在にしつつ、前記カバーを貫通するリベットによって前記コネクタにそれぞれ結合されることが望ましい。
【0018】
また、前記カバーは、外周に垂直方向に少なくとも一つ以上の突起部が形成され、前記突起部は、前記コネクタ外周のスプラインギア歯面と整合自在に対向するように形成されることが望ましい。
【0019】
また、前記スプラインギアの歯幅のうち、前記突起部が覆われる歯の歯幅は、前記連結プレートの内周に形成されるギア歯の歯幅と同一か、またはそれより大きいことが望ましい。
【0020】
また、前記スプラインギアの歯と歯との距離のうち、前記突起部を介している歯間の距離は、前記突起部を介していない歯間の距離より大きいことが望ましい。
【0021】
また、前記突起部は、前記カバーのリング部の外周に等間隔で形成され、前記突起部で覆われる前記スプラインギアの歯も、前記コネクタの外周に等間隔で形成されることが望ましい。
【0022】
また、前記第1弾性部材は、コイルバネであり、前記カバーは、前記コイルバネに円周方向に弾性力を与えるようにバネ支持部が前記コネクタに向かって突設されることが望ましい。
【0023】
また、前記カバーに対して前記第1弾性部材が加える力と、前記第2弾性部材が加える力との和は、前記カバーに斜線方向に作用するようになっていることが望ましい。
【0024】
また、前記リテーナーリングと前記第1駆動板及び前記第1ハブの前記外側面との間にスナップ式で介在され、前記第1駆動板の開口部からの前記第1ハブの離脱を止めるスナップリングをさらに備えていることが望ましい。
【0025】
また、前記弾性ワッシャーは、内周縁が外周縁よりエンジン側に突出するように環状の胴体が傾いており、前記ストッパーリングは、変速器に向かって凹状に陥没された載置シートが内周縁に沿って形成され、前記弾性ワッシャーを載置させるようになっていることが望ましい。
【0026】
また、前記弾性ワッシャーは、前記外周縁に円周方向に複数の係止溝が形成されていることが望ましい。
【0027】
また、前記ストッパーリングは、前記弾性ワッシャーの前記係止溝に係止されて前記弾性ワッシャーの相対回転を止める一つ以上の係止手段が、前記載置シート上に突設していることが望ましい。
【0028】
また、前記ストッパーリングは、一つ以上の係止突起が胴体から半径方向の内側に突設し て前記載置シートとの高さ差ほど前記載置シートから持ち上げられることで、前記弾性ワッシャーの前記係止溝に係止されて前記弾性ワッシャーの相対回転を止めるようになっていることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来のドライダブルクラッチを部分的に略して示す正断面図である。
図2図1に示された第1クルリチディスクの組立て構造を示す分解斜視図である。
図3】本発明によるドライダブルクラッチの正断面図である。
図4】本発明によるセットダブルクラッチ及びダンピングフライホイールにおいて、カバーが結合されたコネクタとダンピングフライホイールとを示す分解斜視図である。
図5】本発明によるカバーが結合されたコネクタを示す斜視図である。
図6】本発明によるカバーとコネクタとを分離して示す分解斜視図である。
図7】本発明によるコネクタに結合されるカバーを示す斜視図である。
図8】本発明の他の実施はいによるカバーとコネクタとを分離して示す分解斜視図である。
図9図3に示された第1クラッチディスクの斜視図である。
図10図3のA部の詳細図である。
図11図3に示された第1クラッチディスクの組立て構造を示す分解斜視図である。
図12図4に示された第1クラッチディスクの変形された組立て構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図3は、本発明によるドライダブルクラッチの断面を示す図面であり、図4は、本発明によるドライダブルクラッチのセットダブルクラッチとダンパーフライホイールとが分離されている態様を示す図面である。
【0032】
図3は、本発明によるドライダブルクラッチの断面である。ドライダブルクラッチ100は、セットダブルクラッチ200とダンパーフライホイール300とに大別される。先ず、ダンパーフライホイール300は、エンジン側に結合され、プライマリーホイール310、ドライブプレート320、プライマリーカバー330及びコネクタ600などで構成される。セットダブルクラッチ200は、トランスミッション側に連結される部分であり、第1圧力板210、第2圧力板220、中心プレート215、第1ダイヤフラムバネ230、第2ダイヤフラムバネ240、第1クラッチディスク250及び第2クラッチディスク260、スナップリング277、支持軸受268及び連結プレート400などで構成される。前記のように構成されるセットダブルクラッチ200とダンパーフライホイール300とは、それぞれトランスミッションとエンジン側とに結合した後、セットダブルクラッチ200側の連結プレート400と、ダンパーフライホイール300側のコネクタ600とが、スプライン結合を通じて連結する。
【0033】
ダンパーフライホイール300は、プライマリーホイール310及びプライマリーカバー330で外観を構成し、プライマリーホイール310は、エンジン側とボルトによって結合する。
【0034】
プライマリーホイール310とプライマリーカバー330との間にドライブプレート320が収容され、ドライブプレート320は環状であり、外周部からフランジ部(図示せず)が延び、フランジ部にトーションバネ(図示せず)が当接している。
【0035】
ドライブプレート320とコネクタ600とはリベット315によって連結し、ドライブプレート320の回転力を連結プレート400に伝達する。すなわち、ダンパーフライホイール300は、二重質量フライホイール(DMF)に類似した構造であるといえる。
【0036】
セットダブルクラッチ200の構成について説明すれば、セットダブルクラッチ200の中心プレート215が連結プレート400と、連結ボルト217によって結合され、中心プレート215は、第1圧力板210及び第2圧力板220がクラッチディスクのフェイシング257、267を圧着して回転可能にする。中心プレート215は、第2ハブ265に嵌め込まれるスナップリング277との間に、支持軸受268によって支持されて回転する。スナップリング277は、ダブルクラッチトランスミッション(図示せず)の2つのシャフトのうち中空軸を支持して抜け出ないようにする役割を行う。中心プレート215の下側には、中心に第1ハブ255が嵌め込まれた第1クラッチディスク250が位置しており、第1ハブ255には、トランスミッションのソリッド軸が結合される。中心プレート215の上側には、中心に第2ハブ265が嵌め込まれる第2クラッチディスク260が位置し、トランスミッションの2個のシャフトのうち中空軸が結合する。
【0037】
トランスミッションハウジング500は、セットダブルクラッチ200及びダンパーフライホイール300を収容し、エンジンのシリンダーブロックまで連結される。トランスミッションハウジング500は、エンジン方向に第1及び第2クラッチリリース作動軸受510、520を案内するガイドチューブ515が結合される。ガイドチューブ515は、トランスミッションハウジング500とボルトによって結合され、中空ホールを通じてトランスミッションのシャフトが貫通する。この時、第1作動軸受510は、ガイドチューブ515の外径面上を摺動し、第2作動軸受520はガイドチューブ515の内径面上を摺動する。それぞれのクラッチリリース作動軸受510、520は、第1及び第2ダイヤフラムバネ230、240をストロークして圧力板210、220を中心プレート215側に引き寄せるか、または押して、クラッチディスクのフェイシング257、267が摩擦を起こして動力を伝達可能にする。ここで、第1作動軸受510は、第1ダイヤフラムバネ230を押せば、中心プレート215の下側にある第1圧力板210が引き寄せられ、フェイシング257を中心プレート215と圧着させる。一方、第2作動軸受520は、第2ダイヤフラムバネ240を押し、この時には、第2圧力板220を押してフェイシング267を中心プレート215と圧着させる。本発明のセットダブルクラッチ200は、エンジンの動力をトランスミッションに伝達する方式で、クラッチリリース作動軸受510、520がダイヤフラムバネ230、240を押してストロークする場合である。
【0038】
図4は、本発明によるセットダブルクラッチとダンパーフライホイールとの分離された態様を示す図面である。
【0039】
セットダブルクラッチ200において中空ホールを持つ連結プレート400は、半径方向に複数の延長部460を備え、延長部460が中心プレート215の外周に延びる締結部と連結されて固定される。また、連結プレートの中空ホールは、ハブ構造でスプライン結合を行うための歯が形成されているが、この時、歯部位461は、図3及び図4に示されたように、第1圧力板210に向かって内側へ90°折り曲げられ、コネクタ600の外周面との接触面積を増やすことでさらに安定して移動可能になる。
【0040】
ダンパーフライホイール300は、外周に、エンジンスタートモータ(図示せず)のエンジン始動時にダンパーフライホイールを回すためのリングギア340が結合されている。セットダブルクラッチ200とスプライン結合を行うための軸構造のコネクタ600が、図3に示されたように、リベット315を通じてドライブプレート320と結合される。したがって、ドライブプレート320の回転をコネクタ600が受け、コネクタ600を通じて回転力が連結プレート400に伝達される。
【0041】
図5は、本発明によるコネクタとカバーとが結合した態様を示す図面であり、図6は、コネクタとカバーとが分離された態様を示す図面である。図7は、本発明によるカバーを示す図面である。
【0042】
コネクタ600は、中空のリング状であり、リング部610で形成され、リング部610の外周面に、スプライン結合のためのスプラインギア620が形成される。リング部610には、ドライブプレート320及びリベット315を通じて結合するための締結孔619が円周方向に複数形成されている。また、コネクタ600の内周面650には、円周方向に複数の溝617が形成され、コネクタ600と連結プレート400とのスプライン結合時にバックラッシュを低減させるために、コイルバネ616のような第1弾性部材を収容するバネ座615が溝617の半径方向に形成される。よって、コネクタ600の上部に結合されるカバー700は、コイルバネ616によって円周方向に支持される。
【0043】
また、コネクタ600は、リング部610の上側面にミスアライメントを補償するように軸方向の荷重を支持するワッシャー614のような第2弾性部材がカバー700との間に位置し、ワッシャー614が軸方向に弾性力を与えるようにワッシャー614を収容する載置溝630が形成される。載置溝630は、ワッシャー614の形態に沿って形成され、ワッシャー614は、軸方向の荷重さえ支持できれば、いかなる形状であっても構わないが、中部分が膨らんでいる形状が望ましい。本発明では、ワッシャー614がH状の4つの脚部及び凸部で構成され、中央の凸部が軸方向の荷重を支持できるようになる。ワッシャー614は、リベット613によってコネクタ600と結合され、リベット613がカバー700に形成されるカバー結合孔735及びワッシャー締結孔635を同時に貫通して、カバー、ワッシャー及びコネクタを同時に締結する。すなわち、コネクタ600の載置溝630にワッシャー614が収容され、カバー700をコネクタ600と締結するためのカバー結合孔735と、コネクタ600のワッシャー締結孔635とが互いに対応するように形成され、リベット613を通じて結合される。よって、簡単な方法でカバー700、ワッシャー614及びコネクタ600を連結する。
【0044】
カバー700は、中空のリング状であり、リング部710と、リング部の外周面に軸方向に延びる突起部740とで構成される。また、リング部710の内周面に、円周方向に沿って軸方向に延びる支持部730が形成されてもよい。リング部710は、コネクタ600とリベットを通じて結合される時にリベットが貫通するカバー結合孔735が形成され、リベット613によってカバー700を軸方向に拘束してカバー700のコネクタ600からの脱去を防止する。カバー結合孔735は、カバー700のコネクタ600への安定した締結のために、円周方向に複数形成される。また、リング部710の上面は、カバー700の相対回転時にリベットの頭によって回動が妨げられないように載置部720が形成される。この時、載置部720に形成されるカバー結合孔735は、リベット613の外径より大きく形成されることが望ましく、特に、楕円状に形成されてカバー700の動きを妨げないようにすることで、カバー700の円周方向回転を許容し、カバー700がコネクタ600に対して時計回り方向または逆時計回り方向に相対回転可能にする。一方、リング部710にはカバー700がコネクタ600に締結された後、コネクタ600が締結孔619を通じてドライブプレート320にリベット結合される時、リベット613が妨げられないように半円状の溝717が外周面側に形成される。
【0045】
また、カバー700とコネクタ600とが締結される時、半径方向にカバー700を支持するようにリング部710の内周面に円周方向に沿って延びた支持部730が形成される。支持部730は、コネクタ600の内周面650に対応するように形成され、コネクタの内周面の溝617に対応して半径方向に陥没された段付き部715が円周方向に沿って位置し、段付き部715は、コネクタ600のコイルバネ616の脱去を防ぐ。また、リング部710の上側面と段付き部715とにかけてコイルバネ616を支持するためのバネ支持部718が形成され、これは、カバー700の射出時に金型にエンボシング処理を施して形成する。
【0046】
また、コネクタ600の外周に形成されたスプラインギア620の歯面と対向する突起部740は、リング部710の外周面に軸方向に延びて等間隔で複数形成され、コネクタ外周のスプラインギア620の歯面640と整合自在に対向させつつ、ギアの歯面640と対応されるように方形の板状に形成することが望ましい。そして、突起部740と対向するコネクタ600の歯も円周方向に沿って複数形成する。よって、カバー700とコネクタ600とが結合される時、突起部740はスプラインギア620の歯面と対応して対向する。この時、カバー700は、突起部740とコネクタ600の歯面640との間に間隔を持つが、これは、コイルバネ616によってカバー700が円周方向に付勢されるためであり、スプライン結合時にバックラッシュが生じなくなる。
【0047】
一方、連結プレート400内周の歯の歯幅が”w”ならば、スプラインギア620の歯の歯幅w”は”w”より小さくて初めて組立てられる。この時、最大限きつく結合するためには、コネクタ600のスプラインギア620において、突起部740が覆われた歯の歯幅w’が”w”と同一か、またはそれより大きい寸法値を持たせ、したがって、組立て時にカバー700がコネクタ600に対して逆時計回り方向に相対回転するようにコイルバネ616を圧縮しつつ組立てられるので、バックラッシュを低減させられる。すなわち、カバー700がコネクタ600に結合される時、コイルバネ616によってカバー700を円周方向(時計回り方向)に弾性的に押すようになるため、セットダブルクラッチ200とダンパーフライホイール300とがスプライン結合する時にカバー700を逆時計回り方向に加圧しつつ結合を行う。
【0048】
また、突起部740を介している歯間の距離1’は、そうではない歯間の距離1より大きいことが望ましい。突起部740が覆われる歯の歯面640と突起部740との間に一定間隔が必要であるからである。
【0049】
カバー700が結合されたコネクタ600の動作を説明すれば、エンジンで発生する動力がドライブプレートに結合されたコネクタ600に伝達され、コネクタ600とスプライン結合される連結プレート400に伝達される。この時、スプライン結合する歯の間にバックラッシュがあるが、コネクタ600にカバー700を結合し、カバー700の突起部740がコネクタ600のスプラインギア620の歯面640と対向しつつコイルバネ616によって円周方向に弾性力を与えるので、連結プレート400がコネクタ600と噛み合った時にバックラッシュを低減させる。エンジンの回転方向は一定であるが、車両が加速及び減速すれば、コネクタ600と連結プレート400とのスプライン結合においては、時計または逆時計回り方向に相対回転が発生する。よって、突起部740によってバックラッシュを低減させることで、スプライン結合されたコネクタ600と連結プレート400との間の衝撃、振動及びノイズなどを防止可能になり、これによって、車両の耐久寿命を延ばせる。また、コネクタ600とカバー700との間に設けられるワッシャー614は、カバー700に軸方向ダンピングを与え、エンジンとトランスミッションとの結合時に発生するミスアライメントを補償可能になる。またコイルバネ616の接線方向力とリベット613の垂直方向力との和は、対角線方向のような斜線方向にカバー700に力を加える。
【0050】
なお、本発明の他の実施形態を、添付した図面を参照して説明する。
【0051】
図8は、本発明の他の実施形態によるドライダブルクラッチのコネクタとカバーとが分離された態様を示す図面である。
【0052】
図8から分かるように、この実施形態のコネクタ600とカバー700及びコイルバネ616は、前記の第1実施形態のそれとほぼ同一なところ、同じ構成についてはその説明を省略し、違いを中心として説明すれば、次の通りである。
【0053】
本実施形態のドライダブルクラッチは、特に第2弾性部材が前記実施形態と異なるところ、ミスアライメントを補償するために、コネクタ600のリング部610の上側面でカバー700との間に、リングワッシャー614’が同軸上に配列されて取り付けられることで軸方向の荷重を支持する。
【0054】
このためにコネクタ600は、リング部610が半径方向内側に突設して環状の係止突起を形成し、コイルバネ616を円周方向に支持するためのバネ支持部718が、リング部610上に一定間隔を置いて半径方向内側に突設しているが、これ以外には前実施形態のコネクタ600とほぼ同一である。また、コイルバネ616によって円周方向に加圧されるカバー700も、コイルバネ616を収容するために、上方に突設したバネ座615を除いては同じ高さで平坦になっていること以外には、第1実施形態のカバー700と同じ構成を持つ。
【0055】
一方、リングワッシャー614’は、内周端が上方に膨らんでいて外周端に傾いて下る傾斜部621を形成することで、軸方向に弾性を持つようになっているところ、外周端に沿って円周方向に複数のノッチ部623が外周端内側に凹状に形成されることで軸荷重に対する傾斜部621の全体的な剛性を低減させ、ノッチ部623のない同じ形状の傾斜部621に比べて軸方向にさらに大きい弾力を持つようになっている。
【0056】
一方、本発明のドライダブルクラッチ100のクラッチ板227は、第1クラッチディスク250の摩擦面を形成する部分であり、図9に示されたように、中央に空洞のあるコイン形態の平板状になっており、前後面に摩擦パッドの役割を行うフェイシング257が取り付けられる。また、中間板215と第1圧力板210との間に介在され、フェイシング257を通じて中間板215及び第1圧力板210に接触または分離されることで変速時に動力を断続するようになっている。
【0057】
前記第1駆動板251は、第1クラッチディスク250の胴体をなす部分であり、図3及び図9ないし図12に示されたように、全体的にエンジンに向かって緩く突設した中空の円錐台状になっており、外周縁297がクラッチ板227の内周縁にリベット315を通じて結合され、中央には第1ハブ255を嵌め込むための開口部258が貫設されている。この時、開口部258は、内周縁に嵌め込まれる第1ハブ255が相対回転できないように、内周面上に雌型スプライン253が加工されている。
【0058】
前記第1ハブ255は、半径方向に連続して配列される第1駆動板251及びクラッチ板227を、変速器内側入力軸S上に軸移動自在に支持する部分であり、図3及び図9ないし図12に示されたように、前記第1駆動板251の開口部258に取り付けられるところ、このために開口部258内周面の雌型スプライン253と対応する雄型スプライン259が外周面上に加工されている。また、第1ハブ255は、図3及び図9ないし図12に示されたように、中心部分に変速器内側入力軸Sの挿入される軸孔261が貫設されており、この軸孔261内周面上には雌型スプライン263が加工されて変速器内側入力軸にスプライン結合されることで、内側入力軸上に軸方向移動自在に支持される。
【0059】
このように、第1ハブ255を通じて変速器内側入力軸上に軸支持される第1クラッチディスク250は、図3及び図9ないし図12に示されたように、ストッパーリング271、リテーナーリング273、及び弾性ワッシャー275で形成された組立て構造によって、第1ハブ255を第1駆動板251の中心に結合する。
【0060】
ここで、前記ストッパーリング271は、図10及び図11に示されたように、第1駆動板251及び第1ハブ255の内側面、すなわち、変速器に向かう面上に支持されて第1駆動板251と第1ハブ255との境界部256を包むようになっている。この時、ストッパーリング271は、変速器に向かって凹状に陥没された載置シート287が内周縁289に沿って形成され、弾性ワッシャー275を載置させるようになっている。
【0061】
前記リテーナーリング273は、図10及び図11に示されたように、同様にリング体になっており、第1駆動板251及び第1ハブ255の外側面、すなわち、エンジンに向かう面上に支持されて第1駆動板251と第1ハブ255との境界部256を包むようになっている。この時、リテーナーリング273は、図10に示されたように、第1駆動板251を貫通して締結されるリベット266によって対向するストッパーリング271に結合されるところ、このために、ストッパーリング271、第1駆動板251、そしてリテーナーリング273には、同一線上にリベット266を締結するための複数の貫通孔292が形成される。
【0062】
よって、リテーナーリング273は、自ら第1駆動板251の開口部258からの第1ハブ255の離脱を止めることができ、さらに望ましくは、図10及び図11に示されたように、リテーナーリング273と第1駆動板251及び第1ハブ255の外側面との間にスナップリング277をスナップ式で挟めることで、このスナップリング277によって第1駆動板251の開口部258からの離脱を止める。
【0063】
前記弾性ワッシャー275は、第1駆動板251を軸方向に緩衝するリング状の弾性体であり、図3図10及び図11に示されたように、第1駆動板251及び第1ハブ255の内側面、すなわち、変速器に向かう面とストッパーリング271との間に介在されることで第1ハブ255を軸方向に弾力支持する。このために、弾性ワッシャー275は、図10及び図11に示されたように、内周縁281が外周縁283よりエンジン側に突出するように環状の胴体285が円錐台状に傾いている。また、この弾性ワッシャー275を支持するストッパーリング271には、前述したように弾性ワッシャー275を載置させるための載置シート287が形成されている。
【0064】
この時、本発明の望ましい実施形態として、弾性ワッシャー275は、図12に示されたように、外周縁283に円周方向に複数の係止溝291がノッチ形成され、また、ストッパーリング271には、弾性ワッシャー275の相対回転を止めるために、弾性ワッシャー275の係止溝291にかかるように載置シート287上に一つ以上の係止手段が突設されるところ、この係止手段としては、図12に示されたように、ストッパーリング271の胴体293から半径方向内側に突設し、載置シート287との高さ差ほど載置シート287から上方に持ち上げられた一つ以上の係止突起295を使うことがさらに望ましい。
【0065】
よって、本発明のドライダブルクラッチ100は、図3に示されたように、中間板215と第1圧力板210との間に介在された第1クラッチディスク250が、変速操作によって第1圧力板210によって加圧または解除されつつ中間板215と接触または分離されることで動力伝達を断続するようになっているところ、ドライダブルクラッチ100を組立てる時に変速器内側入力軸に軸受290を圧入して中間板215を固定させた後、その外側に一体に結合されたクラッチ板227及び第1駆動板251を先ず載せた後、第1駆動板251の開口部258に第1ハブ255を締結する。次いで、第1ハブ255をリテーナーリング273やスナップリング277によって固定させることで組立てを完了する。
【0066】
この時、図10に示されたように、ストッパーリング271によって包まれている弾性ワッシャー275が、第1ハブ255を内側から弾力的に支持しているので、組立て作業時に第1ハブ255からストッパーリング271に加えられる衝撃を緩和でき、組立て後に車両に取り付けられた時にも、変速動作時に第1ハブ255またはストッパーリング271に伝えられる軸方向振動を減衰させる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、ダンピングフライホイールのコネクタにカバーを結合することでスプライン結合時にバックラッシュを低減させることで、コネクタ及び連結プレート間の歯に衝撃、ノイズ及び振動などを低減させる。
【0068】
また、バックラッシュを低減させることで歯が割れてしまう恐れをなくし、車両の耐久寿命を延ばす。
【0069】
また、コネクタにワッシャーを結合して軸方向でダンピング性能を与え、コイルバネによって円周方向にトルクを構成することでエンジン軸とトランスミッション軸とのミスアライメントを補償する。
【0070】
また、このような軸方向及び円周方向に荷重を与えることで、エンジンクランクシャフトのベンディング及びパンピング振動を吸収する。
【0071】
また、セットダブルクラッチとダンピングフライホイールとの間をスプライン結合で連結することで、エンジンとトランスミッションとの組立てを容易にして組立て時間は短縮させ、組立て性を向上させる。
【0072】
また、本発明は、リングワッシャーによってコネクタに軸方向ダンピング性能を与えることで、第1実施形態の一般ワッシャーのように、重心の異なるワッシャーが高速回転時に遠心力の影響で間違って配列されるか、または変形を引き起こす恐れがなく、組立て時に失われる恐れもなく、組立て作業をさらに容易かつ正確に行える。
【0073】
また、本発明によれば、第1クラッチディスクの第1駆動板と第1ハブとを結合させる組立て構造をなすストッパーリングと第1駆動板及び第1ハブとの間に弾性ワッシャーを介在させることで、変速時に第1ハブを通じてストッパーリングに伝達される軸方向振動が弾性ワッシャーによって減衰されるので、振動によるストッパーリングの耐久性低下を防止する。
【0074】
また、第1クラッチディスクを組立てる時、第1駆動板に最終的に結合される第1ハブの結合時にストッパーリングに加える衝撃を弾性ワッシャーが緩衝するので、第1クラッチディスクの組立て、分解が頻繁に発生しても、それによるストッパーリングの損傷を予め防止でき、したがって、全体的な組立て便利性もさらに向上させる。
【0075】
また、弾性ワッシャーの軸方向変位量ほど第1駆動板に結合される第1ハブに軸方向に変位のマージンが生じるので、クラッチディスク組立て体が変速器入力軸の軸方向誤整列を吸収する。
【符号の説明】
【0076】
100:ドライダブルクラッチ
200:セットダブルクラッチ
210:第1圧力板
215:中間板
227:クラッチ板
250:第1クラッチディスク
251:第1駆動板
255:第1ハブ
258:開口部
271:ストッパーリング
273:リテーナーリング
275:弾性ワッシャー
277:スナップリング
287:載置シート
291:係止溝
295:係止突起
300:ダンパーフライホイール
400:連結プレート
500:トランスミッションハウジング
600:コネクタ
614:ワッシャー
614’:リングワッシャー
616:コイルバネ
700:カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12