(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記延し成形用パンチの押圧面は、前記延し成形用パンチの押圧方向に向けて凸状となる球面を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電池ケース用蓋の製造方法。
前記延し成形用パンチの外周側面の先端に、側方に突出した突出部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電池ケース用蓋の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、金属板にコイニング等のプレス加工を行って薄板部を成形した後、この薄板部に溝部を形成する場合、被成形金属板(ワーク)が加工硬化しているため、溝部を成形する際に割れてしまうという問題があった。特に、二次電池の小型化、薄型化が進んでいる近年においては、従来の製造方法ではこのようなニーズに対応できないという問題があった。また、特許文献1に係る成形方法では、被成形金属板が加工硬化しているため、焼鈍工程を行って被成形金属板を柔らかくして防爆弁の作動圧を調整しなければならない。そのため、製造作業が煩雑になるという問題があった。
【0007】
このような観点から、本発明は、被成形金属板の加工硬化を抑制するとともに、容易に製造することができる電池ケース用蓋の製造方法を提供することを課題とする。また、製造が容易であるとともに、防爆弁の周囲を補強することができる電池ケース用蓋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決する本発明は、防爆弁を備えた電池ケース用蓋を製造する方法であって、凹部を備えた延し成形用ダイに配置された金属板の一方側から延し成形用パンチを押し込んで、前記防爆弁を構成する薄板部及び当該薄板部から立ち上がる筒状壁部を成形する延し成形工程と、前記薄板部に溝部を成形する溝部成形工程と、を含み、前記凹部の内径は、前記延し成形用パンチの外径よりも大きくなっており、前記延し成形用ダイの凹部の側面と前記延し成形用パンチの外周側面の先端との隙間が、前記金属板の厚さよりも小さく設定されており、前記延し成形工程では、前記金属板を拘束しない状態で前記延し成形用パンチを押し込み、前記凹部の底面と前記延し成形用パンチの押圧面とで前記金属板を圧延することで、前記薄板部及び前記筒状壁部を成形するとともに、前記金属板と前記延し成形用パンチの外周側面の先端との間に隙間が生じるまで前記延し成形用パンチを押し込むことを特徴とする。
また、本発明は、防爆弁を備えた電池ケース用蓋を製造する方法であって、凹部を備えた延し成形用ダイに配置された金属板の一方側から延し成形用パンチを押し込んで、前記防爆弁を構成する薄板部及び当該薄板部から立ち上がる筒状壁部を成形する延し成形工程と、前記薄板部に溝部を成形する溝部成形工程と、を含み、前記凹部の内径は、前記延し成形用パンチの外径よりも大きくなっており、前記延し成形用ダイの凹部の側面と前記延し成形用パンチの外周側面の先端との隙間が、前記金属板の厚さよりも小さく設定されており、前記延し成形工程では、前記金属板を拘束しない状態で前記延し成形用パンチを押し込み、前記凹部の底面と前記延し成形用パンチの押圧面とで前記金属板を圧延することで、前記薄板部及び前記筒状壁部を成形するとともに、前記薄板部の厚みが前記凹部の側面と前記延し成形用パンチの外周側面の先端との隙間よりも小さくなるまで前記延し成形用パンチを押し込むことを特徴とする。
【0009】
かかる製造方法によれば、金属板を拘束しない状態で、延し成形用パンチで金属板を押し込むため、成形時の歪みの導入量が少なくなり被成形金属板の加工硬化を抑制することができる。これにより、薄板部に溝部を成形する際に、薄板部が割れるのを防ぐことができる。また、金属板に延し成形用パンチを押し込むだけでよいため、薄板部を成形する際の成形作業が容易である。また、被成形金属板の加工硬化を抑制できるため、焼鈍工程を省略することが可能となる。これにより、作業工程を少なくすることができる。
また、凹部の側面と延し成形用パンチとの隙間が、金属板の厚さと同等か、それよりも大きいと、被成形金属板が延し成形用ダイに引き込まれた後に、被成形金属板を圧延して薄板部を薄く成形する加工が行われる。そのため、被成形金属板のうち延し成形用ダイと延し成形用パンチとで挟まれていない部分に歪み(シワ)が発生する場合がある。
しかし、かかる製造方法によれば、凹部の側面と延し成形用パンチとの隙間が、金属板の厚さよりも小さいため、延し成形工程における被成形金属板の最初の動きだしは、延し成形用ダイと延し成形用パンチとで挟まれた部分になる。これにより、被成形金属板のうち延し成形用ダイと延し成形用パンチとで挟まれていない部分の歪みを少なくすることができ、製品の品質を高めることができる。
【0010】
また、前記筒状壁部の高さを前記延し成形用ダイの凹部の深さよりも大きくすることが好ましい。
【0011】
かかる製造方法によれば、成形時の歪みの導入量をより抑えることができる。
【0012】
また、前記延し成形用パンチの押圧面は、前記延し成形用パンチの押圧方向に向けて凸状となる球面を備えていることが好ましい。
【0013】
かかる製造方法によれば、被成形金属板の中央から放射状に被成形金属板を圧延することができるため、薄板部の厚さを均一にすることができる。
【0014】
また、前記延し成形用パンチの外周側面の先端に、側方に突出した突出部が形成されていることが好ましい。
【0015】
かかる製造方法によれば、加工時に延し成形用パンチの側面と被成形金属板との摩擦を回避することができる。これにより、摩擦抵抗によって被成形金属板が変形するのを防止することができる。
【0016】
また、前記延し成形工程の後に、前記薄板部を平坦に矯正する矯正工程を含むことが好ましい。
【0017】
延し成形工程の際に、薄板部がパンチの押し込み方向に向けてわずかに凸状となる場合があるが、かかる製造方法によれば、薄板部を平坦にすることができる。
また、溝部成形用ダイは、前記薄板部が載置される突設部を備え、前記溝部成形工程では、前記突設部に前記薄板部を載置して、前記金属板の他方側から溝部成形用パンチを押込むことが好ましい。
【0018】
また、本発明は、防爆弁を備えた電池ケース用蓋を製造する方法であって、凹部を備えた延し成形用ダイに配置された金属板の一方側から延し成形用パンチを押し込んで、前記防爆弁を構成する薄板部を成形する延し成形工程と、前記薄板部に溝部を成形する溝部成形工程と、を含み、前記凹部の内径は、前記延し成形用パンチの外径よりも大きくなっており、前記凹部の出隅部の周縁部は、断面円弧状となっており、前記延し成形用パンチの外周側面の先端は、側方に突出した断面円弧状の突出部が形成されているとともに、前記延し成形工程では、前記金属板を拘束しない状態で前記延し成形用パンチを押し込み、前記凹部の底面と前記延し成形用パンチの押圧面とで前記金属板を圧延することで、前記薄板部を成形するとともに、前記金属板が前記凹部の出隅部の断面円弧状の周縁部と前記延し成形用パンチの外周側面の先端側方に突出した断面円弧状の突出部とによって挟み込まれた状態で前記延し成形用パンチを押し込むことを特徴とする。
【0019】
かかる製造方法によれば、金属板を拘束しない状態で、延し成形用パンチで金属板を押し込むため、成形時の歪みの導入量が少なくなり被成形金属板の加工硬化を抑制することができる。これにより、薄板部に溝部を成形する際に、薄板部が割れるのを防ぐことができる。また、金属板に延し成形用パンチを押し込むだけでよいため、薄板部を成形する際の成形作業が容易である。また、被成形金属板の加工硬化を抑制できるため、焼鈍工程を省略することが可能となる。これにより、作業工程を少なくすることができる。
また、凹部の側面と延し成形用パンチとの隙間が、金属板の厚さと同等か、それよりも大きいと、被成形金属板が延し成形用ダイに引き込まれた後に、被成形金属板を圧延して薄板部を薄く成形する加工が行われる。そのため、被成形金属板のうち延し成形用ダイと延し成形用パンチとで挟まれていない部分に歪み(シワ)が発生する場合がある。
しかし、かかる製造方法によれば、凹部の側面と延し成形用パンチとの隙間が、金属板の厚さよりも小さいため、延し成形工程における被成形金属板の最初の動きだしは、延し成形用ダイと延し成形用パンチとで挟まれた部分になる。これにより、被成形金属板のうち延し成形用ダイと延し成形用パンチとで挟まれていない部分の歪みを少なくすることができ、製品の品質を高めることができる。
また、凹部の出隅部及び成形用パンチの突出部が断面円弧状になっているため、延し成形工程の際に金属をスムーズに流出させることができる。
【0020】
また、本発明は、一枚の金属板から成形された電池ケース用蓋であって、基板部と、前記基板部に設けられ前記基板部よりも薄い薄板部とこの薄板部に形成された溝部とを備えた防爆弁と、前記防爆弁の周囲に形成された折重ね部と、を有し、前記薄板部は、前記金属板を圧延して成形されており、前記折重ね部は、前記金属板を前記基板部に折重ねて成形されており、前記折重ね部を構成する前記金属板が前記基板部の板厚方向に積層されていることを特徴とする。
また、本発明は、一枚の金属板から成形された電池ケース用蓋であって、基板部と、前記基板部に設けられ前記基板部よりも薄い薄板部とこの薄板部に形成された溝部とを備えた防爆弁と、前記防爆弁の周囲に形成された折重ね部と、を有し、前記薄板部は、前記金属板を圧延して成形されており、前記折重ね部は、前記薄板部を成形する際に成形される筒状壁部を前記基板部に折重ねて成形されており、前記薄板部の厚さは、前記筒状壁部の基端部自体の厚さよりも薄く成形されていることを特徴とする。
【0021】
かかる構成によれば、金属板が折り重ねられて肉厚となる折重ね部によって、防爆弁の周囲を補強することができる。また、肉厚の部分を成形する際には、金属板を折り重ねるだけでよいため、製造作業も容易である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電池ケース用蓋の製造方法によれば、被成形金属板の加工硬化を抑制するとともに電池ケース用蓋を容易に製造することができる。また、本発明に係る電池ケース用蓋によれば、容易に製造できるとともに防爆弁の周囲を補強することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。まずは、電池ケース用蓋1の構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る電池ケース用蓋1は、二次電池で用いられる電池ケースPの開口Qを塞ぐ金属製の板状部材である。電池ケースPの内部には電解質が充填される。開口Qと電池ケース用蓋1とを溶接することにより電池ケースPを密閉する。なお、説明における上下左右前後は
図1の矢印にしたがう。
【0025】
電池ケース用蓋1は、
図1に示すように、基板部2と、折重ね部3と、防爆弁4とで構成されている。電池ケース用蓋1は、一枚のアルミニウム合金板を加工して成形されている。電池ケース用蓋1の材料は、本実施形態ではアルミニウム合金を用いたが、例えば銅や鉄等の他の金属であってもよい。
【0026】
基板部2は、平坦な板状部材であって電池ケースPの開口Qを塞ぐ。基板部2の形状は、開口Qに対応して平面視矩形になっている。基板部2の板厚は一定になっており、例えば、1.2mm〜3.0mmに設定すればよい。基板部2の形状は、開口Qの形状に応じて適宜変更が可能である。なお、基板部2には、電極を取り付けるための貫通孔や電解質を注入するための注入孔等が形成されているが図示は省略する。
【0027】
折重ね部3は、
図2の(a)及び(b)に示すように、基板部2において金属板が三層に折り重なってリング状に成形された部位である。折重ね部3は、防爆弁4の外周の全長に亘って形成されている。折重ね部3は、基板部2よりも厚くなっており、防爆弁4の周囲を補強している。折重ね部3を構成する金属板の各層の厚さは、下層が最も厚く、上層に向けて徐々に薄くなっている。折重ね部3の厚さは、基板部2によりも肉厚であれば特に制限されないが、本実施形態では基板部2の二倍程度の厚さになっている。折重ね部3は、後記する折重ね工程によって成形される。
【0028】
防爆弁4は、
図2及び
図3に示すように、折重ね部3の内部に形成されており、電池ケースP内で所定以上の内圧が作用した際に破断して、内圧を開放するための弁である。防爆弁4は、薄板部41と、薄板部41にそれぞれ成形された中央凸部42、第一逃し部43、第二逃し部44、第一溝部45、第二溝部46とで構成されている。
【0029】
薄板部41は、平面視円形状を呈し、基板部2よりも薄く成形されている。薄板部41の厚さは、内圧を開放する際の作動圧に応じて適宜設定すればよく、例えば、0.1mm〜1.5mmに設定すればよい。薄板部41は、基板部2の上面と略同等の高さ位置に形成されている。
【0030】
中央凸部42は、薄板部41の中央部分に形成されている。中央凸部42は、平面視円形状を呈し、薄板部41から上方に向けて突出している。中央凸部42は、防爆弁4の中央に成形されるとともに上方に突出しているため、電池ケースPの内圧を受けやすくなっている。
【0031】
第一逃し部43及び第二逃し部44は、中央凸部42の周囲にリング状に形成されており、薄板部41から上方に向けて突出している。第一逃し部43及び第二逃し部44は、防爆弁4の中心と同心になっている。第一逃し部43は、第二逃し部44よりも内側に形成されている。第一逃し部43及び第二逃し部44は、第一溝部45及び第二溝部46を成形する際の余肉(押し退けられた金属)を逃すために成形された部位であるため、第一溝部45及び第二溝部46に沿って形成されている。
【0032】
逃し部は、本実施形態では二条設けたが設けなくてもよい。また、本実施形態では、二条の溝部(第一溝部45及び第二溝部46)が設けられているため、第二溝部46の外側にも逃し部を設けてもよい。また、逃し部は、本実施形態では、上方に突出させたが、下方に突出させてもよい。
【0033】
第一溝部45及び第二溝部46は、
図2の(a)及び(b)に示すように、薄板部41の上面にリング状に形成された溝である。第一溝部45及び第二溝部46は、防爆弁4の中心と同心になっている。第一溝部45は、第一逃し部43と第二逃し部44との間に形成されており、第二溝部46は、第二逃し部44の外側に形成されている。
【0034】
第一溝部45及び第二溝部46は、
図3に示すように、断面視V字状に形成されている。つまり、第一溝部45及び第二溝部46は、上方に向けて徐々に拡開するようになっている。第一溝部45及び第二溝部46が形成された部分は、薄板部41の他の部位よりもさらに厚さが薄くなっている。これにより、電池ケースPの内圧を受けると、第一溝部45及び第二溝部46の少なくとも一方が破断しやすくなっている。第一溝部45が形成された部位の薄板部41の厚さ寸法M1及び第二溝部46が形成された部位の薄板部41の厚さ寸法M2は、設定する作動圧に応じて適宜設定すればよい。
【0035】
なお、第一溝部45と第二溝部46の断面形状及び平面形状は互いに異なってもよい。また、第一溝部45及び第二溝部46のいずれか一方の溝深さを他方より大きくしてもよい。また、第一溝部45及び第二溝部46の断面形状はV字状に限定するものではなく、他の形状であってもよい。また、本実施形態では二条の溝部を設けたが、1条であってもよいし、3条以上であってもよい。
【0036】
次に、電池ケース用蓋1の製造方法について説明する。
本実施形態に係る電池ケース用蓋1の製造方法は、
図4に示すように、延し成形工程と、第一矯正工程と、第二矯正工程と、折返し工程と、予備折重ね工程と、本折重ね工程と、溝部成形工程と、を行う。
【0037】
本実施形態に係る電池ケース用蓋1の製造方法では、
図5の(a)に示すように、一枚の金属板Kを加工して成形する。金属板Kは、本実施形態では、板状のアルミニウム合金を用いている。金属板Kの厚さtは、二次電池の用途に応じて、例えば1.0〜3.0mmで適宜設定すればよい。金属板Kの厚さtと電池ケース用蓋1の基板部2の厚さは同等になる。
【0038】
<延し成形工程>
延し成形工程では、
図5の(a)乃至(d)に示すように、金属板Kを加工して、被成形金属板(ワーク)K1に基板部2と筒状壁部31と薄板部41とを成形する。延し成形工程では、下型となる延し成形用ダイ101と、上型となる延し成形用パンチ102とを用いる。
【0039】
延し成形用ダイ101は、
図5の(a)に示すように、平坦な上面103に平面視円形状に窪んだ凹部104を備えた金型である。凹部104は、底面104aと底面104aに立設する側面104bとを有する。側面104bは、円筒状になっている。底面104aと側面104bとで構成される入隅部104cの周縁部は、断面視円弧状になっている。また、側面104bと上面103とで構成される出隅部104dの周縁部は、断面視円弧状になっている。凹部104の深さe(上面103から底面104aの最深部までの距離)は、本実施形態では金属板Kの厚さtよりも若干深くなっている。凹部104の底面104aは、平坦でもよいが、本実施形態では下方に向けてわずかに凸状となる球面で構成されている。底面104aの球面の曲率半径R1は例えば1000mm〜1500mmの間で設定すればよい。
【0040】
延し成形用パンチ102は、延し成形用ダイ101に対して上下方向に移動する金型であって、本体部105と突出部106とを有する。延し成形用パンチ102は、延し成形用ダイ101の凹部104と同心軸上で昇降する。本体部105は、円柱状を呈し、下端には押圧面102aが形成されている。押圧面102aは、平坦でもよいが、本実施形態では下方にわずかに凸状となる球面で構成されている。押圧面102aの球面の曲率半径R2は例えば1000mm〜1500mmの間で設定すればよい。押圧面102aの球面の曲率半径R2は、凹部104の底面104aの球面の曲率半径R1と同等か、底面104aの球面の曲率半径R1よりも小さく設定されることが好ましい。
【0041】
突出部106は、本体部105の先端において、本体部105の側面105aの全長に亘って側方にわずかに突出している。突出部106の断面形状は、外側に向けて凸状となる半円状になっている。本実施形態では、突出部106の断面の円弧と、入隅部104cの断面の円弧と、出隅部104dの断面の円弧は、同じ曲率半径で形成されている。
【0042】
図5の(a)に示すように、凹部104の側面104bと突出部106の外周(本実施形態では、頂点106aを含む外周)との間には、隙間cが形成されている。隙間cは、本実施形態では、金属板Kの板厚tよりも小さく設定されている。
【0043】
延し成形工程では、
図5の(a)乃至(d)に示すように、延し成形用ダイ101に金属板Kを配置して、金属板Kの一方面Ka側から延し成形用パンチ102を下方に移動させる。
図5の(b)に示すように、金属板Kが変形して底面104aに被成形金属板K1が当接したら、
図5の(c)及び(d)に示すように、延し成形用パンチ102をさらに下方に移動させる。本実施形態では、薄板部41を例えば0.3mmに成形するため、底面104aと延し成形用パンチ102の押圧面102aとの距離が0.3mmになるまで延し成形用パンチ102を下降させる。
【0044】
延し成形用パンチ102を下降させると、底面104aと押圧面102aとの間の被成形金属板K1が圧延されて徐々に薄くなるとともに、金属が延し成形用パンチ102の中心から放射状に徐々に押し退けられる。押し退けられた金属は、凹部104の側面104bに当って鉛直方向に移動方向を変えられて鉛直方向上方に流出する。これにより、被成形金属板K1には、基板部2と基板部2に凹設された筒状壁部31と筒状壁部31の底面に成形された薄板部41が成形される。基板部2は、筒状壁部31が成形される際に、延し成形用ダイ101から浮き上がるように成形される。
【0045】
筒状壁部31の高さhは、本実施形態では例えば10mm程度になっている。高さhは、延し成形用ダイ101の凹部104の深さeよりも大きくなっている。また、延し成形用パンチ102の押込み距離f(押圧面102aが金属板Kに当接してから最下点までの距離)は、延し成形用ダイ101の凹部104の深さeよりも大きくなっている。
【0046】
仮に、凹部104の側面104bと延し成形用パンチ102(突出部106)との隙間cが、金属板Kの厚さtと同等か、それよりも大きいと、被成形金属板K1が延し成形用ダイ101に引き込まれた後に、被成形金属板K1を圧延して薄板部41を薄く成形する加工が行われる。そのため、被成形金属板K1のうち延し成形用ダイ101と延し成形用パンチ102(突出部106)とで挟まれていない部分、つまり、筒状壁部31を構成する部分に歪み(シワ)が発生してしまう。歪みが発生してしまうと、次工程移行で加工安定性に悪影響が出てしまう。
【0047】
しかし、本実施形態によれば、凹部104の側面104bと延し成形用パンチ102(突出部106)との隙間cが、金属板Kの厚さtよりも小さいため、延し成形工程における被成形金属板K1の最初の動きだしは、延し成形用ダイ101と延し成形用パンチ102とで挟まれた部分、つまり、薄板部41を構成する部分になる。これにより、被成形金属板K1のうち延し成形用ダイ101と延し成形用パンチ102(突出部106)とで挟まれていない部分の歪みを少なくすることができる。これにより、次工程移行での加工安定性を向上させることができ、製品の質を高めることができる。なお、隙間cと板厚tとの関係が、0.8t≒cの場合、筒状壁部31の高さhが10mm程度になる。
【0048】
図6は、延し成形工程で成形された被成形金属板である。
図6に示すように、被成形金属板K1の基板部2は、スプリングバックによって水平面に対して斜め上方に向けて傾斜している。筒状壁部31には比較的肉厚の基端部32と、基端部32の端部から薄板部41に向けて徐々に薄くなるテーパー部33とが形成されている。テーパー部33と薄板部41との入隅部33aの周縁部は断面視円弧状になっている。テーパー部33は、延し成形工程で薄板部41を成形する際に、薄板部41が薄くなるにつれて凹部104から流出される金属も徐々に少なくなるため徐々に薄くなっている。
【0049】
薄板部41の中央部分は、延し成形用パンチ102の押し込み方向(
図6では下方)に向けてわずかに凸状になっている。
【0050】
<第一矯正工程>
第一矯正工程では、
図7の(a)及び(b)に示すように、被成形金属板K1の薄板部41を平坦に矯正する。第一矯正工程では、下型となる第一矯正用ダイ111と、上型となる第一矯正用パンチ112とを用いる。
【0051】
第一矯正用ダイ111は、上面113に薄板部41の外径よりもやや大きく形成された平面視円形状の凹み部114を備えた金型である。凹み部114は、筒状壁部31の高さよりも浅くなっている。凹み部114の底面は平坦になっている。
【0052】
第一矯正用パンチ112は、円柱状を呈する金型である。第一矯正用パンチ112の外径は、筒状壁部31の内径よりも若干小さくなっている。第一矯正用パンチ112は、第一矯正用ダイ111の凹み部114と同心軸上で昇降する。第一矯正用パンチ112の押圧面112aは、平坦になっている。
【0053】
第一矯正工程では、被成形金属板K1の一方面Kaが上方を向くようにするとともに、薄板部41を凹み部114に配置する。そして、第一矯正用パンチ112で薄板部41を押圧し、
図7の(b)に示すように、薄板部41を平坦に矯正する。
【0054】
<第二矯正工程>
第二矯正工程では、
図8の(a)及び(b)に示すように、被成形金属板K1の基板部2に対して筒状壁部31が垂直になるように矯正する。第二矯正工程では、
図8の(a)に示すように、第二矯正用ダイ121と、第二矯正用パンチ122とを用いる。
【0055】
第二矯正用ダイ121は、平坦な上面123に突設部124を備えた金型である。突設部124は、円柱状を呈し、筒状壁部31の内径よりも若干小さい外径になっている。突設部124の上面は平坦になっている。突設部124の高さは、筒状壁部31の高さと略同等になっている。
【0056】
第二矯正用パンチ122は、円筒状を呈する金型である。第二矯正用パンチ122の内部は、中空になっており、その内径が筒状壁部31の外径よりも大きくなっている。第二矯正用パンチ122は、第二矯正用ダイ121の突設部124と同心軸上で昇降する。
【0057】
第二矯正工程では、被成形金属板K1の表裏を逆にして他方面Kbが上方を向くようにするとともに、薄板部41が突設部124の上方に位置するように第二矯正用ダイ121に被成形金属板K1を配置する。そして、第二矯正用パンチ122で被成形金属板K1を押圧する。第二矯正工程を行うことにより、
図8の(b)に示すように、被成形金属板K1の基板部2に対して筒状壁部31が垂直になるように矯正される。
【0058】
<折返し工程>
折返し工程では、
図9の(a)及び(b)に示すように、被成形金属板K1の薄板部41を折り返す。折返し工程では、下型となる折返し用ダイ131と、折返し用パンチ132とを用いる。
【0059】
折返し用ダイ131は、平坦な上面133に突設部134が形成された金型である。突設部134は略円柱状を呈する。突設部134の外径は、筒状壁部31の内径よりも小さくなっている。突設部134の上面134aは平坦になっている。突設部134の高さは、筒状壁部31の高さの四分の一程度になっている。
【0060】
折返し用パンチ132は、略円柱状を呈する金型である。折返し用パンチ132は、本体部135と、本体部135の下端に形成された幅狭部136とを有する。幅狭部136は、下方に向けて徐々に幅狭になるように形成されている。折返し用パンチ132は、折返し用ダイ131の突設部134と同心軸上で昇降する。本体部135の外径は、筒状壁部31の内径よりも小さくなっている。幅狭部136の押圧面136aは、薄板部41の内径よりも小さくなっている。
【0061】
折返し工程では、被成形金属板K1の他方面Kbが上方を向くようにするとともに、薄板部41が突設部134の上方に位置するように折返し用ダイ131に被成形金属板K1を配置する。そして、
図9の(b)に示すように、突設部134に薄板部41が当接するまで、折返し用パンチ132で薄板部41を下方に押圧する。これにより、薄板部41の高さ位置は、折返し工程前に比べて、三分の二程度になる。また、筒状壁部31のテーパー部33が内側に折り返されるとともに、基端部32が外側に若干拡げられる。テーパー部33が折り返されて湾曲した部分を湾曲部34とする。湾曲部34は、平面視してリング状に形成される。
【0062】
<予備折重ね工程>
予備折重ね工程では、
図10の(a)及び(b)に示すように、被成形金属板K1の湾曲部34を外側に押し拡げつつ基板部2方向に途中まで折り重ねる。つまり、予備折重ね工程は、筒状壁部31を確実に折り重ねるために予備的に行う。予備折重ね工程では、下型となる予備折重ね用ダイ141と、上型となる予備折重ね用パンチ142と、挟持手段Gとを用いる。
【0063】
予備折重ね用ダイ141は、平坦な上面143を備えた金型である。挟持手段Gは、円筒状を呈する。挟持手段Gと上面143とで被成形金属板K1を挟持することができる。
【0064】
予備折重ね用パンチ142は、円柱状を呈する金型であって、予備折重ね用ダイ141に対して昇降する。予備折重ね用パンチ142は、本体部144と、本体部144の下端に形成された下端部145とを有する。本体部144は、筒状壁部31の基端部32の外径よりも大きくなっている。下端部145は、下方に向けて幅狭となる円錐台形状を呈する。下端部145の上端部145aの直径は、基端部32の外径よりも若干大きくなっており、下端部145の押圧面145bの直径は、薄板部41の直径と略同等になっている。
【0065】
予備折重ね工程では、被成形金属板K1の他方面Kbが上方を向くように被成形金属板K1を予備折重ね用ダイ141に配置して、上面143と挟持手段Gとで被成形金属板K1を移動不能に拘束する。そして、予備折重ね用パンチ142の下端部145のテーパー面145cで湾曲部34を外側に押し広げつつ、押圧面145bで薄板部41を下方に押し込む。これにより、
図10の(b)に示すように、基端部32とテーパー部33とが面接触するとともに、基板部2から湾曲部34の先端までの高さが、予備重ね工程を行う前に比べて半分程度の高さになる。また、薄板部41の下面の高さ位置は、基板部2の上面の高さと略同等になる。
【0066】
<本折重ね工程>
本折重ね工程では、
図11の(a)及び(b)に示すように、被成形金属板K1の湾曲部34をさらに外側に押し拡げつつ基板部2に完全に折り重ねる。本折重ね工程では、下型となる本折重ね用ダイ151と、上型となる本折重ね用パンチ152と、挟持手段Gとを用いる。
【0067】
本折重ね用ダイ151は、平坦な上面153を備えた金型である。挟持手段Gは、円筒状を呈する。挟持手段Gと上面153とで被成形金属板K1を挟持することができる。
【0068】
本折重ね用パンチ152は、略円柱状を呈する金型である。本折重ね用パンチ152は、本折重ね用ダイ151に対して昇降する。本折重ね用パンチ152は、本体部154と、本体部154の下面154aに形成された凸状部155とを有する。本体部154の外径は、基端部32の外径よりも大きくなっている。本体部154の下面154aは平坦になっている。
【0069】
凸状部155は、本体部154の下面154aから下方に突出しており、略円柱状を呈する。凸状部155の押圧面155aは、平坦になっている。凸状部155の下端の周縁部は、断面視円弧状になっている。凸状部155の高さは、基板部2の板厚と略同等になっている。
【0070】
本折重ね工程では、被成形金属板K1の他方面Kbが上方を向くように本折重ね用ダイ151に配置して、上面153と挟持手段Gとで被成形金属板K1を移動不能に拘束する。そして、本折重ね用パンチ152の下面154aで湾曲部34を外側に押し広げつつ、凸状部155の押圧面155aで薄板部41を下方に押し込む。これにより、基端部32が基板部2に面接触する。また、薄板部41の上面と、基板部2の上面とが略同一面上になる。本折重ね工程によって、薄板部41の周囲に折重ね部3が形成される。
【0071】
<溝部成形工程>
溝部成形工程では、
図12の(a)及び(b)に示すように、薄板部41に溝部等を成形する。溝部成形工程では、下型となる溝部成形用ダイ161と、上型となる溝部成形用パンチ162とを用いる。
【0072】
溝部成形用ダイ161は、平坦な上面163に突設部164を備えた金型である。突設部164は、略円柱状を呈し、その上面には
図2を参照するように、中央凸部42、第一逃し部43、第二逃し部44、第一溝部45、第二溝部46を成形するための凸凹が形成されている。
【0073】
溝部成形用パンチ162は、溝部成形用ダイ161の突設部164と同心軸上で昇降する金型である。溝部成形用パンチ162の押圧面162aには
図2を参照するように、中央凸部42、第一逃し部43、第二逃し部44、第一溝部45、第二溝部46を成形するための凸凹が形成されている。
【0074】
溝部成形工程では、被成形金属板K1の他方面Kbが上方を向くようにするとともに、薄板部41を突設部164の上に配置する。そして、溝部成形用ダイ161に対して溝部成形用パンチ162を押圧して、薄板部41に中央凸部42、第一逃し部43、第二逃し部44、第一溝部45、第二溝部46を成形する。以上の工程によって、電池ケース用蓋1が形成される。
【0075】
以上説明した電池ケース用蓋1の製造方法によれば、金属板Kを拘束しない状態で、延し成形用パンチ102で金属板Kを押し込むため、成形時の歪みの導入量が少なくなり被成形金属板K1の加工硬化を抑制することができる。これにより、薄板部41に第一溝部45及び第二溝部46を成形する際に、薄板部41が割れるのを防ぐことができる。また、金属板Kに延し成形用パンチ102を押し込むだけでよいため、薄板部41を成形する際の成形作業が容易である。また、被成形金属板K1の加工硬化を抑制できるため、焼鈍工程を省略することが可能となる。これにより、作業工程を少なくすることができる。
【0076】
また、延し成形工程では、薄板部41を徐々に薄くしつつ、底面104aと延し成形用パンチ102とで押し退けられた金属を、凹部104の側面104bと延し成形用パンチ102との隙間cに流動させることにより、隙間cから流出した金属を鉛直方向に導くことができる。これにより、薄板部41に対して略垂直な筒状壁部31を成形することができる。また、本実施形態では、凹部104の入隅部104c及び延し成形用パンチ102の突出部106が円弧状になっているため、スムーズに金属を流出させることができる。
【0077】
また、延し成形用ダイ101の凹部104の側面104bと延し成形用パンチ102との隙間cが、金属板Kの厚さtよりも小さいため、延し成形工程における被成形金属板K1の最初の動きだしは、延し成形用ダイ101と延し成形用パンチ102とで挟まれた部分になる。これにより、被成形金属板K1のうち延し成形用ダイ101と延し成形用パンチ102とで挟まれていない部分、つまり、筒状壁部31を構成する部分の歪みを少なくすることができるため、加工安定性を高めることができる。
【0078】
また、延し成形用パンチ102の押圧面102aが押圧方向に向けて凸状を呈する球面になっているので被成形金属板K1の中央から放射状に被成形金属板K1を圧延することができるため、薄板部41の厚さを均一にすることができる。
【0079】
また、延し成形用パンチ102には、側面105aの先端に、側方に突出した突出部106が形成されているので、加工時に延し成形用パンチ102の側面105aと被成形金属板K1との摩擦を回避することができる。これにより、延し成形用パンチ102との摩擦抵抗によって被成形金属板K1が変形するのを防止することができる。
【0080】
また、折返し工程を行うことで、筒状壁部31の高さを低くすることができるため、電池ケース用蓋1の高さを低くすることができる。また、折重ね工程を行うことで、折重ね部3を形成できるとともに筒状壁部31の高さをより低くすることができる。
【0081】
また、防爆弁4の周囲に、金属板Kを折重ねて成形された肉厚の折重ね部3が形成されるため、防爆弁4の周囲を補強することができる。また、溶接等による熱を折重ね部3で遮断することができるため、防爆弁4への入熱を低減することができる。また、折重ね部3を成形する際は、被成形金属板K1を折重ねるだけでよいため、製造作業が容易である。
【0082】
また、電池ケース用蓋1の溝部(第一溝部45及び第二溝部46)は、電池ケースPの内圧が作用する方向(本実施形態では上方)に向かうにつれて、その溝幅が拡開するようになっている。これにより、内圧が作用すると、溝部の溝幅が開く方向に変形しやすいため、確実に破断することができる。また、電池ケース用蓋1には、逃し部(第一逃し部43及び第二逃し部44)を備えているため、溝部を成形する際の余肉を効率よく逃して歪みの発生を防ぐことができる。
【0083】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において、適宜設計変更が可能である。
図13は、防爆弁の溝部の変形例を示した拡大断面図である。
図13に示す薄板部41Aには、第一溝部45Aと第二溝部46Aとが形成されている。第一溝部45A及び第二溝部46Aは、幅広に形成された拡大部51と拡大部51の底面に形成された狭小部52とで構成されている。このように、溝部の深さを二段階で構成してもよい。
【0084】
また、防爆弁4は、本実施形態では平面視円形状に形成されているが、形状を制限するものではない。防爆弁4は、例えば、平面視して楕円状又は長円状であってもよい。また、実施形態で記載した寸法はあくまで例示であって、本発明を限定するものではない。
【0085】
また、本実施形態では、
図2で示すように、電池ケース用蓋1の外側(内圧が作用する面とは反対の面)に折重ね部3を形成したが、内側に折重ね部3を設けてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、
図4で示すように、本折重ね工程の後に凹溝成形工程を行ったがこれに限定されるものではない。凹溝成形工程は、延し成形工程、第一矯正工程、第二矯正工程、折返し工程、予備折重ね工程のいずれかの後に行ってもよい。
【0087】
図14は、電池ケース用蓋の第一変形例を示した断面図である。
図14に示すように、第一変形例に係る電池ケース用蓋1Aは、延し成形工程後の薄板部41に、前記した溝部成形工程を行うことにより、中央凸部42、第一逃し部43、第二逃し部44、第一溝部45及び第二溝部46を成形している。
図14の第一溝部45及び第二溝部46は、
図3に示すものと同等である。
【0088】
図15は、電池ケース用蓋の第二変形例を示した断面図である。
図15に示すように、第二変形例に係る電池ケース用蓋1Bは、第一矯正工程後の薄板部41に、前記した溝部成形工程を行うことにより、中央凸部42、第一逃し部43、第二逃し部44、第一溝部45及び第二溝部46を成形している。
図15の第一溝部45及び第二溝部46は、
図3に示すものと同等である。
【0089】
図16は、電池ケース用蓋の第三変形例を示した断面図である。
図16に示すように、第三変形例に係る電池ケース用蓋1Cは、第二矯正工程後の薄板部41に、前記した溝部成形工程を行うことにより、中央凸部42、第一逃し部43、第二逃し部44、第一溝部45及び第二溝部46を成形している。
図16の第一溝部45及び第二溝部46は、
図3に示すものと同等である。
【0090】
図17は、電池ケース用蓋の第四変形例を示した断面図である。
図17に示すように、第四変形例に係る電池ケース用蓋1Dは、折返し工程後の薄板部41に、前記した溝部成形工程を行うことにより、中央凸部42、第一逃し部43、第二逃し部44、第一溝部45及び第二溝部46を成形している。
図17の第一溝部45及び第二溝部46は、
図3に示すものと同等である。
【0091】
図18は、電池ケース用蓋の第五変形例を示した断面図である。
図18に示すように、第五変形例に係る電池ケース用蓋1Eは、予備折重ね工程後の薄板部41に、前記した溝部成形工程を行うことにより、中央凸部42、第一逃し部43、第二逃し部44、第一溝部45及び第二溝部46を成形している。
図18の第一溝部45及び第二溝部46は、
図3に示すものと同等である。
【0092】
前記した実施形態では折重ね部3を設けていたが、これに限定されるものではなく、第一変形例1A〜第4変形例1Dのように折重ね部3を備えていない形態を電池ケース用蓋として使用してもよい。第一変形例1A〜第四変形例1Dによれば、薄板部41よりも肉厚の筒状壁部31が形成されているため、薄板部41を保護することができる。また、第五変形例1Eによれば、薄板部41よりも肉厚の筒状壁部31が形成されるとともに、予備折重ね工程によって基端部32、テーパー部33及び湾曲部34が折り重なりさらに肉厚になるため、薄板部41を保護することができる。