【実施例】
【0043】
図5は本発明による送信機に関する例示的構成を表わす。
【0044】
前述のような送信されるべき情報は符号a(n)の連続の形をとり、ここで送信されるべき符号の値は、慣例により0、1、
−−−M−1に等しい。例えば、情報は一連のディラックパルスの形をとり得る。a(n)δ(t−nT)の連続は、一方でθ(n)=π[2a(n)−(M−1)]/Mの値を出力において生み出す、位相回転モジュール21に送信され、並行してデマルチプレクサー22に送信される。この値θ(n)から及び符号のシーケンスから、デマルチプレクサー22は送信されるべき情報の平行移動を構成する位相θ(n)を抽出する。各々の抽出された位相は、その伝達関数h
e(m,t)が、後で明細書内において詳しく述べられる構造を有する一揃いのMフィルター23内における所与のフィルターに送信される。この一揃いのフィルターの機能はとりわけ、変調された符号a’(n)を電圧制御発振器又はVCO25に、そして送信モジュール26に送信する以前に、それらの変調された符号a’(n)を結合する加算器24に符号を個々に送信する前に、その符号を変調することである。
【0045】
受信機は
図3に記載されているものと同じであるが、主な差異は符号D(nT)内に存在する符号間干渉が極めて低減されており、それは受信機を前記符号間干渉をもはや補償する必要がないように単純化するという事実である。
【0046】
予備的確認事項
本発明の以前の版において、(残留符号間干渉に関連付けられる)「固有の」SN比はおよそ20dBである。これは、接続の良し悪しにかかわらず、このノイズは存在するであろうことを意味する。
【0047】
例えば、外部ノイズが信号よりも20dB低い場合、それは無視し得ない性能低下の原因である:(同じ強さの)固有のノイズがそこに加えられ、従って性能レベルは、固有のノイズがない状態で17dBのSN比を伴う場合のようになる。それゆえ、このノイズを実質的に低減することが適切であり、それこそが本発明の目的である。
【0048】
送信機側において
本着想は:
【数8】
により与えられるK+1のガウス分布の結合に等しい関数h
e(t)を用いた、送信機部分の先行技術に従って、最初に変調器を変更することにある。
【0049】
従って、結合されたガウス分布の「重み付け」w(i)又は重み付け係数を選定するための、K個の自由度が存在した。
【0050】
本発明の背後にある主導的な着想は、最適化を完全にするために、自由度の数を増加させることである。
【0051】
本発明による方法及びシステムをより良く例証するために、基本の関数としてg(a,σ,t)と称されるガウス分布、すなわちaを中心とし、標準偏差σの標準ガウス分布を採ることにより、説明が与えられるであろう。本発明の枠組みから外れることなしに、本関数は所与の連続度の数を有する、調整可能な幅及び位置の任意の関数であり得る。
【0052】
関数h
e(t)は、最適化された平均値、標準偏差σ、及び重み付けw(i)の2K+1ガウス分布の対称な結合により置き換えられるであろう。そして、これは次の場合:
【数9】
に応じ、M=2、4、8、16において、送信されるべき符号の値m(0≦m<M)に従って行なわれるであろう。
【0053】
自由度の数は、次にM/2の周波数パルスの各々に対して3K+1に変化し、それはより入念な最適化を可能にする。M/2は、所与の位相変化に対する周波数パルスが、逆の位相変化に対する周波数パルスの反対のためである。
【0054】
指数mが、一般的に:
【数10】
により与えられるθ(n)の位相変化と関連しており、そしてh
e(m,t)の台がLT(T=符号の持続時間)である場合、瞬間τにおける瞬時的な周波数はそのとき:
【数11】
により与えられるであろう。
ここでm
nは、瞬間nTにおいて送信されるべき現在の符号の値である。
【0055】
このようにして得られる様々な波形の値は、例えば送信されるべき周波数パルスをデジタル的に生成するために、読み出し専用メモリ(ROM)内に記憶されるであろう。
【0056】
送信されるべき情報を形成する各符号a(n)と関連する位相変化は、加算器に送信され次にVCOに送信される前に、フィルターh
e(a(n),t)を通じてフィルタリングされる。
【0057】
受信機側において
導入部で引用した論文において、二元の場合、CPM信号は実際の位相変調された個々のパルスへと分解されることができ、C
0(t)と称されるそれらの第1番目は、信号のエネルギーの大部分を運ぶことが実証されている。変調の理論によれば、それが信号の全エネルギーを運んだ場合、それはSN比を最大化する、信号に適合したフィルターと一致するであろう。さもなければ、それは少なくともガウス分布に基づくCPMに対して、一般的に非常に良好なその近似である。変調フィルター及び、復調フィルターの係数の決定を可能にする方法のステップを説明するために選ばれるのは、この近似である。
【0058】
1/2に等しい平均指数hの変調の場合、本方法は次の近似を行なう:二元の信号に適合したフィルターはまた、同じ平均指数を有する4、8、16の状態を伴う変調にも適合するであろう。
【0059】
その結果として、受信の際に、適合したフィルターが、送信フィルター用に使われるものと類似の方程式により与えられる、関数h
r(t)に対して計算されるであろう:
【数12】
【0060】
ここでa
rはその周りをガウス分布gが中心とする点、σ
r,iは受信におけるこのガウス分布の標準偏差、そしてtは与えられた瞬間である。
【0061】
このような場合には、本方法はf
r(t)と称されるh
r(t)の積分:
【数13】
を最初に決定し、次に:
【数14】
により与えられる関数S
0(t)、そして最後に、適合したフィルターC
0(t)の構成要素:
【数15】
を決定する。
ここでΠは、LTが符号の持続時間である、Lにわたる関数S
0の積を表わす数学記号である。
【0062】
最適化手順及び結果
送信及び受信において介在する様々なガウス分布の、パラメータの理論的計算は殆ど不可能である。
【0063】
それはシステム設計段階で一度だけ行なわれることに注意されたい。
【0064】
むしろ、その原理が、適合したフィルターの出力においてSN比を最大化することにある制約を伴う、反復アルゴリズムが用いられる。
【0065】
そのアルゴリズムは、「妥当な」値の近傍においてランダムに引き出される値で始まり、パラメータはその結果を改善する修正を保つことにより、徐々に修正される。
【0066】
送信及び受信におけるパラメータ(係数a,σ,wi)は、最高のSN比を必要とする変調に対してのみ同時に最適化される。与えられた例において、8つの状態を有する変調が考えられる。
【0067】
その他全ての変調に関して、このようにして得られたフィルターC
0(t)は残して置かれ、送信パラメータのみが最適化される。
【0068】
このタイプの変調は従来のGMSKの帯域幅よりも大きい帯域幅を持っているので、その制約は、変調の状態の数に依存する、最大値B
maxよりも大きい「帯域幅」Bに導く、あらゆるパラメータの組を排斥することにあろう。
【0069】
h(f)が変調の周波数スペクトルである場合、その判断基準は従って次のようになるであろう:
【数16】
【0070】
システムの仕様による―実際に非常に僅かに異なる―幾つかの波形が、こうして定義され得る。
【0071】
前に説明されたステップは、例えばガウス分布を修正されたベッセル関数:
【数17】
によって置き換えることにより、十分な連続度を示す任意の基本関数に関して実行され得る。
【0072】
残りの記述は、その組合せがフィルターを形成する関数のパラメータの値を決定する方法の、幾つかの特有の実施例を与える。
【0073】
残りの記述例に関して、K=1の数が採られており、それは周波数パルスが、そこから2つの同じガウス分布が両側において差し引かれる、主なガウス分布の合計であることを意味する。
【0074】
例えば、−35dBの最大帯域外エネルギー及び27dBの最小SN比に対して、次の結果:
―
図6aに示される(ここでM=4に対して両端間に置かれている)変調関数h
e(m,t)と、
―
図6bに示される、受信側の適合したフィルターC
0(t)のインパルス応答と
が得られる。
【0075】
「適合したフィルター」は、最適化の後で次のパラメータを有する:
【数18】
―
図6cにおける、二元の変調に対する周波数スペクトル(周波数の単位は変調速度、ボーである)と、
―
図6dにおける、M=4、8、16の状態に対する(3つの全ての場合に殆ど同じ)周波数スペクトルと、
―最後に
図7a、7b、7c及び7dにおける、M=2、4、8及び16の状態に対して得られる、(対の)配列。
【0076】
M=2に対して、h
e(1,t)=h
e(0,t)という事実を考慮に入れた、h
e(0,t)に関する最適化後のパラメータは:
【数19】
である。
【0077】
M=4に対して、h
e(3,t)=h
e(0,t)及びh
e(2,t)=h
e(1,t)という事実を考慮に入れた、h
e(0,t)及びh
e(1,t)に関する最適化後のパラメータは:
【数20】
である。
【0078】
M=8に対して、h
e(7,t)=h
e(0,t)、h
e(6,t)=h
e(1,t)、h
e(5,t)=h
e(2,t)、及びh
e(4,t)=h
e(3,t)という事実を考慮に入れた、h
e(0,t)、h
e(1,t)、h
e(2,t)及びh
e(3,t)に関する最適化後のパラメータは:
【数21】
である。
【0079】
得られた固有のSN比は、以前の特許において提案された解決策と比較して、少なくとも7dBの改善を示す。
M=2の状態: SNRi>47dB
M=4の状態: SNRi>33dB
M=8の状態: SNRi>28dB
M=16の状態: SNRi>27dB
【0080】
スペクトル特性
前節において示された周波数スペクトルは、搬送波からの距離が増加するにつれて強く連続的な減少を示し、それは全ての導関数が任意の順序で連続するガウス関数に基づく変調の特性である。しかしながら、使用された周波数パルスが単一のガウス分布よりも速い時間変化を示すという事実は、周波数スペクトルがより広いことを意味する。
【0081】
信号を変調器の直前でフィルタリングすることにより、周波数スペクトルをその中央部分に制限することができる。これは送信された信号の振幅が、もはや厳密には一定でないという事実に反映され、これはフィルターが正しく選定されている場合に、全く許容できる1〜1.5dBの間で変化する、「波高率」(送信されるべき最大出力と送信された平均出力との間の比率)により反映される。出力増幅器は「少し」線形であることが必要で、その非線形性を殆ど全体的に補償するために、変調された信号に事前ひずみを与えることが常に可能である。同じフィルターを受信において用いることにより、性能レベルは殆ど低下しない。
【0082】
図8は、8つの状態の場合の、フィルタリング後の周波数スペクトルを表わす(波高率は1.3dBである)。強力な干渉による隣接したチャンネルの汚染は以前よりもずっと低いであろうことが確認できる。
【0083】
図9は依然として8つの状態で得られた配列を示す。送信及び受信のパラメータが不変であるのに対して、フィルタリング無しの場合と比較した低下は僅かである。
【0084】
変調器の後で送信において使用されるフィルターと、適合したフィルターの前で受信において使用されるフィルターとがうまく特性化されている場合、様々な係数の最適化は、それらの存在を考慮に入れるために再度行なわれ得る。
【0085】
本発明による方法は、とりわけ次の利点を提供する:
【0086】
送信側において
一定の包絡線を伴う変調のおかげによる、送信効率の最大化。
【0087】
3つ以上の状態を有する変調のおかげによる、送信されるビットレートの最大化。
【0088】
良好な線形性を有する送信機を必要としないこと。
【0089】
受信側において
3以上の(4、8又は16の)状態を有する変調に対してであっても、出来る限り単純な受信機を持つこと。
【0090】
理論的な性能レベルに非常に近い性能レベルを得ること。
【0091】
例えば伝播の危険性に対抗するための、任意のタイプのイコライザーである、いわゆる「線形」変調に対して従来実施されているアルゴリズムを使用できること。