(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747303
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】露光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20150625BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
H01L21/30 515D
H01L21/30 529
G03F7/20 501
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-253416(P2010-253416)
(22)【出願日】2010年11月12日
(65)【公開番号】特開2012-104723(P2012-104723A)
(43)【公開日】2012年5月31日
【審査請求日】2013年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168608
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 大樹
(72)【発明者】
【氏名】水村 通伸
【審査官】
新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−310251(JP,A)
【文献】
特表2001−521672(JP,A)
【文献】
特開2010−204508(JP,A)
【文献】
特開2004−062149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学結晶材料からなる角柱状の部材の長軸に平行な対向面に夫々電極を設けて形成したスイッチング素子と、該スイッチング素子の長軸方向の両端面側に該スイッチング素子を間にしてクロスニコルに配置された一対の偏光素子とで構成した複数の光スイッチを被露光体の面に平行な面内に配置して有するパターンジェネレータを備え、前記複数の光スイッチを個別に駆動して一定の明暗模様の露光パターンを生成し、これを被露光体に照射して露光する露光装置であって、
前記パターンジェネレータの光射出面側に前記各スイッチング素子の長手中心軸に光軸を合致させて設けられ、個別に対応する前記スイッチング素子の光射出端面の像を前記被露光体上に縮小投影する複数のマイクロレンズを備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記一対の偏光素子は、前記光スイッチの光軸を中心に反射面が互いに90°回転した状態に配置された一対の偏光ビームスプリッタであることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記一対の偏光素子は、前記光スイッチの光軸を中心に偏光軸が互いに90°回転した状態に配置された一対の偏光板であることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項4】
前記被露光体を一定速度で一定方向に搬送する搬送手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記複数の光スイッチは、前記被露光体の搬送方向と交差する方向に一定の配列ピッチで少なくとも2列に並べて配置し、被露光体の搬送方向先頭側の前記複数の光スイッチによる露光パターンの間を後続の前記複数の光スイッチによる露光パターンで補完し得るようにしたことを特徴とする請求項4記載の露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンジェネレータにより光源光を光変調して明暗模様の露光パターンを生成し露光するマスクレスの露光装置に関し、特に露光領域の拡大を容易になし得る露光装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の露光装置は、反射角度を変更することができる複数のマイクロミラーを二次元に配列して有するパターンジェネレータとしてのデジタルマイクロミラーデバイスにより、光源光を光変調して明暗模様の露光パターンを生成し、対物レンズを介して被露光体上に照射して露光するようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−141245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の露光装置においては、被露光体上の露光領域を拡大する場合、マイクロミラーの数を増やした大面積のデジタルマイクロミラーデバイスを新たに製造する必要があり、また対物レンズの口径も大きくしなければならず、デジタルマイクロミラーデバイスの製造コストや、レンズの収差及びその製造コストを考慮すると露光領域を拡大することには制限があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、露光領域の拡大を容易になし得る露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による露光装置は、電気光学結晶材料からなる角柱状の部材の長軸に平行な対向面に夫々電極を設けて形成したスイッチング素子と、該スイッチング素子の長軸方向の両端面側に該スイッチング素子を間にしてクロスニコルに配置された一対の偏光素子とで構成した複数の光スイッチを被露光体の面に平行な面内に配置して有するパターンジェネレータを備え、前記複数の光スイッチを個別に駆動して一定の明暗模様の露光パターンを生成し、これを被露光体に照射して露光する露光装置であって、前記パターンジェネレータの光射出面側に前記各スイッチング素子の長手中心軸に光軸を合致させて設けられ、
個別に対応する前記スイッチング素子の光射出端面の像を前記被露光体上に縮小投影する複数のマイクロレンズを備えたものである。
【0007】
このような構成により、電気光学結晶材料からなる角柱状の部材の長軸に平行な対向面に夫々電極を設けて形成したスイッチング素子と、該スイッチング素子の長軸方向の両端面側に該スイッチング素子を間にしてクロスニコルに配置された一対の偏光素子とで構成した複数の光スイッチを被露光体の面に平行な面内に配置して有するパターンジェネレータの上記複数の光スイッチを個別に駆動し、一定の明暗模様の露光パターンを生成し、パターンジェネレータの光射出面側に各スイッチング素子の長手中心軸に光軸を合致させて設けられた複数のマイクロレンズにより、上記スイッチング素子の光射出端面の像を被露光体上に縮小投影して露光する。
【0008】
また、前記一対の偏光素子は、前記光スイッチの光軸を中心に反射面が互いに90°回転した状態に配置された一対の偏光ビームスプリッタである。これにより、スイッチング素子の光入射端面側に配置された偏光ビームスプリッタで直線偏光を抽出し、スイッチング素子の光射出端面側に配置された偏光ビームスプリッタでスイッチング素子のオン・オフ駆動状態に応じて光スイッチからの光の射出を制限する。
【0009】
さらに、前記一対の偏光素子は、前記光スイッチの光軸を中心に偏光軸が互いに90°回転した状態に配置された一対の偏光板である。これにより、スイッチング素子の光入射端面側に配置された偏光板で直線偏光を抽出し、スイッチング素子の光射出端面側に配置された偏光板でスイッチング素子のオン・オフ駆動状態に応じて光スイッチからの光の射出を制限する。
【0010】
さらにまた、前記被露光体を一定方向に一定速度で搬送する搬送手段を備えたものである。これにより、搬送手段で被露光体を一定方向に一定速度で搬送しながら露光する。
【0011】
そして、前記複数の光スイッチは、前記被露光体の搬送方向と交差する方向に一定の配列ピッチで少なくとも2列に並べて配置し、被露光体の搬送方向先頭側の前記複数の光スイッチによる露光パターンの間を後続の前記複数の光スイッチによる露光パターンで補完し得るようにしたものである。これにより、被露光体を一定方向に搬送しながら、被露光体の搬送方向と交差する方向に一定の配列ピッチで少なくとも2列に並べて配置した複数の光スイッチのうち、被露光体の搬送方向先頭側の複数の光スイッチによる露光パターンの間を後続の複数の光スイッチによる露光パターンで補完して露光する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、基板搬送方向と交差する方向に一定の大きさの複数のパターンジェネレータ及び複数のマイクロレンズ基板を並べて配置するだけで露光領域を拡大することができる。したがって、基板搬送方向と交差する方向に複数のパターンジェネレータを配置したとしても、従来技術のようにレンズの口径を大きくする必要がないので、レンズの収差の影響を受けることなく、露光領域の拡大を容易に図ることができる。また、規格化された一定の大きさのパターンジェネレータ及びマイクロレンズ基板を準備するだけでよいので、各要素の製造コストの増加を抑制することができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明によれば、光源光からP波及びS波の二つの直線偏光に分離する膜を無機物で形成することができ、熱エネルギーの高い光源光が照射されても上記分離膜の焼損を抑制することができる。したがって、輝度の高い光源を使用して露光工程のタクトを短縮することができる。
【0014】
さらに、請求項3に係る発明によれば、パターンジェネレータの厚みを薄くすることができると共に製造コストを安価にすることができる。
【0015】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、被露光体を連続して供給しながら露光することができ、露光工程のタクトをより短縮することができる。
【0016】
そして、請求項5に係る発明によれば、緻密な露光パターンを形成することができる。したがって、複雑な形状の露光パターンも精度よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による露光装置の実施形態を示す正面図である。
【
図2】本発明の露光装置に使用するパターンジェネレータの光スイッチの構成を示す斜視図である。
【
図3】上記パターンジェネレータを構成するスイッチング素子の一配置例を示す平面図である。
【
図4】上記スイッチング素子の駆動を示す説明図であり、(a)はオン駆動を示し、(b)はオフ駆動を示す。
【
図6】本発明の露光装置による露光を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による露光装置の実施形態を示す正面図である。この露光装置は、パターンジェネレータにより光源光を光変調して明暗模様の露光パターンを生成し露光するもので、搬送手段1と、光源2と、パターンジェネレータ3と、マイクロレンズ基板4と、を備えて成る。
【0019】
上記搬送手段1は、ステージ5の上面に被露光体6を載置して矢印Aで示す方向に一定の速度で搬送するものであり、例えばステージ5の上面からエアを噴出及び吸引して被露光体6をステージ5の上面に一定量だけ浮上させた状態で、矢印Aに平行な被露光体6の両縁部を図示省略の移動機構により保持して被露光体6を搬送するようになっている。
【0020】
上記搬送手段1の上方には、光源2が設けられている。この光源2は、光源光Lとして紫外線を放射するものであり、例えば超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、紫外線放射のレーザ等である。そして、光源2から放射された光源光Lを例えばフライアイレンズ、ロッドレンズ等のオプティカルインテグレータ7により光軸に直交する断面内の輝度分布を均一にした後、コンデンサーレンズ8により平行光にして後述のパターンジェネレータ3に照射させるようになっている。
【0021】
上記光源2の光放射方向前方には、パターンジェネレータ3が設けられている。このパターンジェネレータ3は、被露光体6上に照射する明暗模様の露光パターンを生成するもので、
図2に示すように電気光学結晶材料からなる角柱状の部材20の長軸に平行な対向面に夫々電極10A,10Bを設けて形成されたスイッチング素子9と、スイッチング素子9の長軸方向の両端面、即ち光入射端面9a及び光射出端面9b側に該スイッチング素子9を間にしてクロスニコルに配置された一対の偏光素子、例えば一対の偏光ビームスプリッタ又は一対の偏光板とで構成した複数の光スイッチ11を被露光体6の面に平行な面内に配置したものである。本実施形態においては、偏光板12A,12Bを使用した場合について説明する。
【0022】
図3は複数のスイッチング素子9の一配置例を示す平面図である。複数のスイッチング素子9は、端面形状が縦横の幅がWの正方形に形成され、透明な基板、例えば同じ電気光学結晶材料から成り駆動配線13及び接地配線14が形成された配線基板15上に、電極10Aが接地配線14に、電極10Bが駆動配線13に電気的に接続するようにして矢印Aで示す被露光体6の搬送方向(以下「基板搬送方向」という)と交差する方向に配列ピッチ2Wで1列に並べて配置されスイッチング素子列16を形成し、該スイッチング素子列16を基板搬送方向に配列ピッチ2Wで4列平行に設けると共に、隣接するスイッチング素子列16の各スイッチング素子9が互いにnW/2(nは1以上の整数)だけ基板搬送方向と交差する方向にずれるように設け、基板搬送方向先頭側の複数のスイッチング素子9による露光パターンの間を後続の複数のスイッチング素子9による露光パターンで補完し得るようにしている。
図3においては、一例として基板搬送方向先頭側のスイッチング素子列16aに対して後続のスイッチング素子列16b,16c,16dが夫々W,W/2,3W/2だけ基板搬送方向と交差する方向にずれている場合について示している。
【0023】
このように構成されたパターンジェネレータ3の各光スイッチ11は、
図4(a)に示すように、電極10Bにオン駆動電圧が印加されてオン駆動されると、光入射側の偏光板12Aを透過した直線偏光がスイッチング素子9内を通過する途中で、該直線偏光の偏波面を90°回転させる。したがって、この場合、上記スイッチング素子9を通過した直線偏光は、上記偏光板12Aとクロスニコルに配置された光射出側の偏光板12Bを透過することができ、被露光体6に照射して被露光体6を露光することができる。
【0024】
一方、
図4(b)に示すように、電極10Bにオフ駆動電圧が印加されて各光スイッチ11がオフ駆動された場合、光入射側の偏光板12Aを透過した直線偏光は、スイッチング素子9内を通過する途中で偏波面の回転がなされず、光射出側の偏光板12Bで遮断される。したがって、この場合、直線偏光は、被露光体6に到達できず、被露光体6を露光できない。このように、複数の光スイッチ11を適宜オン・オフ駆動することにより、所望の明暗模様の露光パターンを生成して被露光体6を露光することができる。
【0025】
上記パターンジェネレータ3の光射出面側には、マイクロレンズ基板4が近接して設けられている。このマイクロレンズ基板4は、
図5に示すように、各光スイッチ11のスイッチング素子9の長手中心軸に光軸を合致させて複数のマイクロレンズ17を設けたものであり、各マイクロレンズ17により
、個別に対応する上記スイッチング素子9の光射出端面9bの像を被露光体6上に縮小投影するようになっている。
【0026】
図6は、各マイクロレンズ17による各光スイッチ11のスイッチング素子9の端面の縮小投影像を示す説明図である。本実施形態においては、マイクロレンズ17により上記スイッチング素子9の光射出端面9bを1/4に縮小投影した投影像18を示している。これにより、同図に示すように、矢印Aで示す基板搬送方向先頭側のスイッチング素子列16aによる露光パターン19aの間の部分を後続の3列のスイッチング素子列16b,16c,16dによる露光パターン19b,19c,19dで補完し得ることが分かる。
【0027】
次に、このように構成された露光装置の動作について説明する。
搬送手段1がステージ5上に被露光体6を載置して矢印Aで示す基板搬送方向に一定速度で搬送している。このとき、基板搬送方向に向かってパターンジェネレータ3の手前側に配置され、基板搬送方向と交差する方向に複数の受光素子を一直線状に並べて有する図示省略のラインカメラにより被露光体6上を撮像し、図示省略の制御手段によりこの撮像画像を処理して被露光体6上に予め設けられたアライメント基準を検出する。
【0028】
次いで、上記アライメント基準の基板搬送方向と交差する方向の位置を検出し、これとラインカメラの撮像中心との間の距離を計測し、目標値と比較してその位置ずれ量を算出する。そして、上記位置ずれ量を補正するようにパターンジェネレータ3を基板搬送方向と交差する方向に移動しパターンジェネレータ3と被露光体6との位置合わせをする。このとき、基板搬送方向と交差する方向におけるラインカメラの撮像中心とパターンジェネレータ3のアライメント基準との間の水平距離は予め記憶されているので、上記算出された位置ずれ量に基づいて被露光体6とパターンジェネレータ3との位置合わせは可能である。このようにして、左右に振れながら移動中の被露光体6にパターンジェネレータ3を追従させることができる。
【0029】
被露光体6が移動して露光領域の基板搬送方向先頭側の領域がパターンジェネレータ3のスイッチング素子列16dの真下に達すると、パターンジェネレータ3の各光スイッチ9が予め記憶されたCADデータに基づいてオン・オフ駆動され、一定の明暗模様の露光パターンが生成される。この露光パターンは、マイクロレンズ基板4の各マイクロレンズ17を介して被露光体6上に投影され、被露光体6上には、
図6に示すように各スイッチング素子9の射出端面9bの縮小投影像18が形成される。
【0030】
以降、パターンジェネレータ3の各光スイッチ9が一定の時間間隔でCADデータに基づいて適切に駆動され、矢印A方向に移動中の被露光体6に露光光を照射して、
図6に示すように、基板搬送方向先頭側のスイッチング素子列16aによる露光パターン19aの間の部分を後続の3列のスイッチング素子列16b,16c,16dによる露光パターン19b,19c,19dで補完しながら露光が実行される。
【0031】
この場合、基板搬送方向と交差する方向の露光領域の幅を拡張するときには、複数個のパターンジェネレータ3及びマイクロレンズ基板4を基板搬送方向と交差する方向に一直線に又は互い違いに二列に並べて配置すればよい。したがって、光スイッチ9の数が増加してもレンズの口径を大きくする必要がなく、レンズの収差の影響を受けることなく、露光領域の拡張を図ることができる。また、一定の大きさのパターンジェネレータ3及びマイクロレンズ基板4を準備するだけでよいので、各要素の製造コストの増加を抑制することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…搬送手段
3…パターンジェネレータ
6…被露光体
9…スイッチング素子
10A,10B…電極
11…光スイッチ
12A,12B…偏光板
17…マイクロレンズ
19a,19b,19c,19d…露光パターン