(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747310
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】パターンド強化ガラス製造装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C03B 27/044 20060101AFI20150625BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20150625BHJP
F24C 15/10 20060101ALI20150625BHJP
C03C 17/00 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
C03B27/044
H05B6/12 305
F24C15/10 B
C03C17/00
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-289008(P2011-289008)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2012-140321(P2012-140321A)
(43)【公開日】2012年7月26日
【審査請求日】2014年1月10日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0139260
(32)【優先日】2010年12月30日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502411241
【氏名又は名称】コーニング精密素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】Corning Precision Materials Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】ホイクヮン イ
(72)【発明者】
【氏名】セオ−ヨン チョー
(72)【発明者】
【氏名】ゲナディ キゼヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ヤン クォン
(72)【発明者】
【氏名】キュングォック パク
(72)【発明者】
【氏名】キュンミン ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンサン イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェヨン チョイ
【審査官】
岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05967871(US,A)
【文献】
特表2006−500308(JP,A)
【文献】
特公昭45−003550(JP,B1)
【文献】
特開昭48−030721(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/058653(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 27/00−27/06
C03C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部においてガラス基板の表面温度を内部温度よりも高くなるように前記ガラス基板を加熱するステップ;
パターン形成部において前記加熱されたガラス基板の表面にパターンを形成するステップ;
誘電加熱部において前記パターンが形成されたガラス基板を誘電加熱するステップ;及び、
急冷却部において前記ガラス基板を急冷却するステップ;
を含み、
前記パターン形成部が、前記加熱部と前記誘電加熱部との間の空気の移動を遮断する遮断膜を含むことを特徴とするパターンド強化ガラス製造方法。
【請求項2】
前記誘電加熱ステップは、前記ガラス基板の内部温度を表面温度よりも上昇させるために前記ガラス基板を高周波誘電加熱することを特徴とする、請求項1記載のパターンド強化ガラス製造方法。
【請求項3】
前記ガラス基板を空中浮揚させて移送することを特徴とする、請求項1記載のパターンド強化ガラスの製造方法。
【請求項4】
前記加熱ステップは、前記加熱部において、赤外線(IR)ヒーター又は電気発熱体のうち少なくともいずれか一つによって前記ガラス基板を加熱するステップであることを特徴とする、請求項1記載のパターンド強化ガラスの製造方法。
【請求項5】
ガラス基板の表面温度を内部温度よりも高くなるように前記ガラス基板を加熱させる加熱部;
前記加熱部によって加熱された前記ガラス基板の表面にパターンを形成するパターン形成部;
前記パターン形成部によって前記パターンが形成された前記ガラス基板を誘電加熱する誘電加熱部;
前記誘電加熱部により誘電加熱された前記ガラス基板を急冷却させる急冷却部;
を含み、
前記パターン形成部が、前記加熱部と前記誘電加熱部との間の空気の移動を遮断する遮断膜を含むことを特徴とする請求項1記載のパターンド強化ガラスの製造に用いるパターンド強化ガラス製造装置。
【請求項6】
前記誘電加熱部は、前記ガラス基板の内部温度を表面温度よりも上昇させるための高周波誘電加熱部であることを特徴とする、請求項5記載のパターンド強化ガラス製造装置。
【請求項7】
前記パターンド強化ガラス製造装置は、前記ガラス基板を移送するための移送部を含み、
前記移送部は、ガラス基板を空中浮揚させる基板浮揚部;
を含むことを特徴とする、請求項5記載のパターンド強化ガラス製造装置。
【請求項8】
前記加熱部が、
赤外線(IR)ヒーター又は電気発熱体のうち少なくともいずれか一つにより具現されることを特徴とする、請求項5記載のパターンド強化ガラス製造装置。
【請求項9】
前記パターン形成部が、
パターンが形成されたパターン転写ローラー;
を含むことを特徴とする、請求項5記載のパターンド強化ガラス製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化ガラス製造装置に関し、より詳細には、表面のパターン形成と共に加熱されたガラス基板の内外部の温度差を最大に大きくして、急冷却を通じて強化がより完全になされるようにするパターンド強化ガラス製造装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、強化ガラスは、通常のガラス基板に比べて圧力及び温度の変化に対する強度が格段に高く、小さな粒の形に割れて破片による危険性が少ないことにより、太陽電池やディスプレイ装置、自動車、建築物等に広く使用されている。
【0003】
強化ガラスは、通常のガラス基板をヒーティングチャンバで600〜900℃前後に加熱した後、移送手段を介して冷却チャンバへ移動させた後、加熱されたガラス基板の上下部から空冷装置のエアーノズルを介して空気を噴射させることにより、加熱されたガラスの表面温度を200〜400℃程度まで急速に冷却させる。これによって加熱されたガラスの表面層に圧縮応力を残留させることにより、強度が通常のガラス基板に比べて格段に強化される。
【0004】
しかし、従来の強化ガラス製造装置においては、大気の空気を直接吸引してガラスに噴射させる空冷装置を介して冷却させるために、強化ガラスの強度を高めるのにその限界がある。強化ガラスの強度は、加熱されたガラスを急速度で冷却させるほど高くなるが、従来は、常温の空気を介して冷却が行われるため、加熱されたガラスが徐々に冷却される。これにより、強化が不完全になされ、また製品の不良率が高くなるが、このような現象は、大気の温度が高くなる夏の季節により深刻に発生するという問題点があった。
【0005】
一方、強化ガラスのうち、ガラスの表面にパターンが転写された太陽電池のカバーガラスやプライバシーガラスの場合、従来は、パターンの形成工程と強化工程が別個に行われることにより、パターン形成後にガラス強化工程での運送及びガラス強化のための再加熱が必要となり、そうしたことによるエネルギー及び時間の損失や工程の複雑化という短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような問題点を解決しようとするために提案されたものであり、本発明の目的は、表面のパターン形成と共に加熱されたガラス基板の内外部の温度差を最大に大きくし、急冷却を通じて強化がより完全になされるようにするためのパターンド強化ガラスの製造装置及び方法を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、強化ガラスの製造時間と生産効率を高めることができる強化ガラスの製造装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記のような目的を達成するために、本発明の一様相に係る強化ガラス製造装置は、強化させようとするガラス基板を加熱させる加熱部と、加熱部によって加熱されたガラス基板の表面にパターンを形成するパターン形成部と、ガラス基板を冷却させる冷却部とを含む。また、さらに、パターン形成部でパターンが形成されたガラス基板の内部温度を上昇させる誘電加熱部を含むことができる。
【0009】
本発明の付加的な様相に係る強化ガラス製造装置は、移送部を含み、移送部は、ガラス基板の下から上へ空気を注入して、ガラス基板を上に浮上させる空気注入部を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
前記のような構成によれば、本発明の強化ガラス製造装置は、加熱部と、加熱部によって加熱されたガラス基板の表面にパターンを形成するパターン形成部と、誘電加熱部と、誘電加熱部によって内部温度が上昇したガラス基板を冷却させる冷却部とを含んで具現されることにより、表面のパターン形成と共に加熱されたガラス基板の内外部の温度差を最大に大きくし、急冷却を通じて強化がより完全になされるようにする有用な効果がある。
【0011】
また、本発明に係る強化ガラス製造装置は、加熱部、パターン形成部及び冷却部を含んで具現されることにより、表面のパターン形成と共にガラスの強化を同時に実行することができ、強化ガラスの製造時間と生産効率を高めることができる有用な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る強化ガラス製造装置を説明するための例示図である。
【
図2】
図1におけるパターン形成部を説明するための例示図である。
【
図3】本発明に係る強化ガラス製造装置において、ガラス基板の内部及び表面温度を、製造工程別に測定した結果である。
【
図4】本発明に係る強化ガラス製造方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付された図面を参照しつつ前述した、そして追加的な様相について、後述する好適な実施例を通じて、本発明を当業者が容易に理解し、再現することができるよう、詳細に説明することとする。
【0014】
図1は、本発明に係る強化ガラス製造装置を説明するための例示図であり、
図2は、
図1におけるパターン形成部を説明するための例示図である。
【0015】
図1に示したところのように、本発明に係る強化ガラス製造装置100は、大きく、加熱部120と、パターン形成部130と、冷却部150とを含んで具現される。
図1の強化ガラス製造装置は、移送部110及び誘電加熱部140をさらに含む。
【0016】
移送部110は、強化させようとするガラス基板1を移送する。
図1には、移送部110がローラーを含むものを例示しているが、本発明はこれに限定されず、本発明に係る強化ガラス製造装置100は、ガラス基板1の表面が非接触の方式によって移送されるように具現することができる。
【0017】
ローラーを使用したガラス基板移送装置の場合、ガラス基板1の表面とパターン転写ローラー面とが接触する過程において、ガラス基板1の表面が損傷するという問題点があった。たとえば、ヒーティングチャンバのように、高温環境でガラス基板1を移送する際にローラーを利用する場合、ガラス基板1の撓みや弛み、スクラッチ、波模様の溝(別名、ローラーウェーブ)等、外形の変形が生じ得る。
【0018】
移送部110は、空気を利用してガラス基板1を空中浮揚させる基板浮揚部を含んで具現することができる。基板浮揚部は、ガラス基板1に空気を供給する空気供給部を含んで具現することができる。
【0019】
加熱部120は、移送部110によって移送されるガラス基板1を加熱させる。たとえば、加熱部は、ガラス基板を軟化点以上の温度にまで急速加熱することができる。加熱部120においてガラス基板1に熱を加えると、表面温度が内部温度よりも高い。これにより、ガラス基板1の表面にパターン転写が可能な程度の温度が形成される。
【0020】
加熱部120は、赤外線(IR)ヒーター又は電気発熱体により具現することができる。赤外線ヒーターは、一例として、近赤外(NIR)ランプ又は中赤外線(MIR)ランプにより具現することができる。近赤外線(NIR)ランプは、0.8〜1.5μmの有効波長帯のエネルギーのみを放射して乾燥するランプであり、空気を温めずに赤外線のみを提供する。中赤外線(MIR)ランプは、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、携帯電話等に用いられるフィルム及びガラス、塗料等の乾燥に使用される高効率ランプであり、乾燥時間及び効率が良い。中赤外線(MIR)ランプは、従来の温度制御方式とは異なり、実際に塗料や製品が効率的に吸収できる2〜6μmの有効波長帯のエネルギーのみを放射して乾燥する。
【0021】
パターン形成部130は、加熱部120によって加熱されたガラス基板1の表面にパターンを形成する。一例として、
図2に示したところのように、パターン形成部130は、パターンが形成されたパターン転写ローラー131,132と遮断膜133,134を含んで具現することができる。遮断膜133,134は、加熱部120と誘電加熱部140との間の空気の流入を遮断する役割をする。パターニング過程において、ガラス基板の表面及び内部の温度の均質化がなされる。
【0022】
誘電加熱部140は、ガラス基板1の内部温度を上昇させる。誘電加熱部140は、高周波電極141,142を具備する。誘電加熱部は、マイクロ波、ラジオ波等を利用してガラス基板を誘電加熱することができる。
【0023】
冷却部150は、誘電加熱部140によって内部温度が上昇したガラス基板を急冷却させる(500 ~ 800 w/m2K)。冷却部150は、一例として、冷却された圧縮空気を供給する空気圧縮部と、空気圧縮部から供給される圧縮空気を噴射ノズルへ案内する空気供給管と、微噴霧(water−mist)を発生させる微噴霧(water−mist)発生部と、微噴霧(water−mist)発生部で発生した微噴霧(water−mist)を噴霧ノズルへ案内する微噴霧供給管を含んで具現することができる。ここで、微噴霧(water−mist)発生部は、水槽から水を略超音波で振動分離して微噴霧(water−mist)を発生させることができる。
【0024】
図3は、本発明に係る強化ガラス製造装置において、ガラス基板の内部及び表面温度を、製造工程別に測定した結果である。
【0025】
図3において、Aは、ガラス基板をローディングする製造過程、Bは、ガラス基板を加熱する過程、Cは、ガラス基板の表面にパターンを形成する過程、Dは、ガラス基板に高周波誘電加熱をする過程、Eは、ガラス基板を急冷却させる過程である。
【0026】
BとCを見ると、ガラス基板の外側温度は、内部温度よりも高い。すなわち、ガラス基板表面にパターンの転写が可能な程度の温度が形成されることを知ることができる。これに対し、ガラス基板に高周波誘電加熱をする製造過程であるDを見ると、ガラス基板の内部温度は、外部温度よりも高い。これにより、ガラス基板の内外部の温度差を最大に大きくし、急冷却を通じて強化をより完全に行うことができる。
【0027】
図4は、本発明に係る強化ガラス製造方法に関するフローチャートである。
【0028】
図示したところのように、本発明に係る強化ガラス製造方法は、まず、ローディングされたガラス基板を移送する(S401)。ガラス基板は、移送ローラー、コンベヤーベルトのような接触方法により具現することもでき、空気を利用してガラス基板を空中浮上させて移送する非接触方式により具現することもできる。
【0029】
その後、移送されたガラス基板を加熱する(S402)。このとき、ガラス基板に熱を加えると、表面温度が内部温度よりも高い。これにより、ガラス基板表面にパターンの転写が可能な程度の温度が形成される。ガラス基板の加熱は、赤外線(IR)ヒーター又は電気発熱体により具現することができる。
【0030】
その後、加熱されたガラス基板の表面に、パターンが形成されたパターン転写ローラーを利用してパターンを形成する(S403)。
【0031】
その後、高周波誘電加熱を通じて、パターンが形成されたガラス基板の内部温度を表面温度よりも上昇させる(S404)。
【0032】
その後、ガラス基板をクエンチング(quenching)させる(S405)。
【0033】
これまで、本明細書においては、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に理解し、再現することができるよう、図面に示した実施例を参考に説明してきたが、これは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の実施例から多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解することができよう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付された特許請求の範囲によってのみ定められるべきであろう。
【符号の説明】
【0034】
100 強化ガラス製造装置
110 移送部
120 加熱部
130 パターン形成部
131,132 パターン転写ローラー
140 誘電加熱部
141,142 高周波電極
150 冷却部