特許第5747336号(P5747336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747336
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-1253(P2013-1253)
(22)【出願日】2013年1月8日
(65)【公開番号】特開2014-132932(P2014-132932A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2013年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 忠
【審査官】 田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−055892(JP,A)
【文献】 特開2012−223225(JP,A)
【文献】 特開2009−011570(JP,A)
【文献】 特開2011−156179(JP,A)
【文献】 特開2011−092651(JP,A)
【文献】 特開2009−112659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一演出部材と第二演出部材の組み合わせにより演出体の少なくとも一部を形成する遊技機において、
前記第一演出部材と前記第二演出部材は、
前記第一演出部材と前記第二演出部材の少なくとも一方が移動することで、前記第一演出部材と前記第二演出部材が接近して前記演出体の少なくとも一部を形成する演出体形成状態と、前記演出体形成状態よりも前記第一演出部材と前記第二演出部材とが離間して前記演出体の少なくとも一部を形成しない演出体非形成状態とに変位するように構成され、
前記第一演出部材と前記第二演出部材の両方には、主装飾部が形成されるとともに、前記第一演出部材と前記第二演出部材の一方には、主装飾部の前方に位置し、前記演出体形成状態の際に前記第一演出部材と前記第二演出部材の主装飾部間の境目および前記第一演出部材と前記第二演出部材の他方の主装飾部の少なくとも一部を覆う補助装飾部が形成され、
前記演出体形成状態において、前記第一演出部材と前記第二演出部材の主装飾部同士は当接せずに両者の間に隙間が形成されるように規制されているとともに、当該隙間の全てが前方から視認できないように前記補助装飾部に覆われていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
少なくとも前記演出体形成状態において、前記第一演出部材および前記第二演出部材の主装飾部は同一平面上に位置することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第一演出部材と前記第二演出部材によって形成される演出体の少なくとも一部は、境目の中央を通る直線を対称軸として左右対称であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の位置に位置するときに演出体の少なくとも一部を構成する第一演出部材および第二演出部材を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、所定の位置に位置するときに仮面を象った演出体を構成する二つの演出部材(開閉部材)を備えた遊技機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−68614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1において、仮面を象った演出体が形成された状態では二つの演出部材の間に視認可能な繋ぎ目が生じる。このような繋ぎ目が生ずると演出体の一体感が失われてしまう。
【0005】
本発明は、複数の演出部材で形成される演出体の一体感を向上させることが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明にかかる遊技機は、第一演出部材と第二演出部材の組み合わせにより演出体の少なくとも一部を形成する遊技機において、前記第一演出部材と前記第二演出部材は、前記第一演出部材と前記第二演出部材の少なくとも一方が移動することで、前記第一演出部材と前記第二演出部材が接近して前記演出体の少なくとも一部を形成する演出体形成状態と、前記演出体形成状態よりも前記第一演出部材と前記第二演出部材とが離間して前記演出体の少なくとも一部を形成しない演出体非形成状態とに変位するように構成され、前記第一演出部材と前記第二演出部材の両方には、主装飾部が形成されるとともに、前記第一演出部材と前記第二演出部材の一方には、主装飾部の前方に位置し、前記演出体形成状態の際に前記第一演出部材と前記第二演出部材の主装飾部間の境目および前記第一演出部材と前記第二演出部材の他方の主装飾部の少なくとも一部を覆う補助装飾部が形成され、前記演出体形成状態において、前記第一演出部材と前記第二演出部材の主装飾部同士は当接せずに両者の間に隙間が形成されるように規制されているとともに、当該隙間の全てが前方から視認できないように前記補助装飾部に覆われていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、少なくとも前記演出体形成状態時に、前記第一演出部材および前記第二演出部材の主装飾部は同一平面上に位置することを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の遊技機において、前記第一演出部材と前記第二演出部材によって形成される演出体の少なくとも一部は、境目の中央を通る直線を対称軸として左右対称であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明では、第一演出部材と第二演出部材の少なくとも一方に設けられた補助装飾部によって、演出体形成状態の際に第一演出部材と第二演出部材の境目および演出部材の他方が覆われるから、両演出部材により少なくとも一部が形成される演出体の一体感を向上させること、すなわち両演出部材による演出効果を向上させることが可能となる。
また、複数の演出部材によって演出体が構成される場合、演出部材同士を接触させることにより、できるだけ当該演出体の一体感が損なわれないようにすることが考えられるが、演出部材同士を接触させることとすると、当該接触によって演出部材が損傷する、接触による騒音が発生する、といった問題が生ずる。請求項1の発明のように、第一演出部材と第二演出部材は当接せずに隙間が形成されるように規制される構成とすれば、このような問題が生じない。また、演出体形成状態において当該隙間は補助装飾部に覆われることになるから、隙間が存在することによる演出体の一体感の低下を抑制することも可能である。
【0011】
請求項2に記載の発明のように、演出体の少なくとも一部を構成する第一演出部材と第二演出部材が同一平面上に位置する場合でも、演出体の一体感を向上させることが可能となる。
【0013】
左右対称の演出体を形成する場合、上記特許文献1に記載のように単純に各演出部材を左右対称形状に形成するのが通常であるが、単純に各演出部材を左右対称形状にするのではなく、請求項に記載の発明のように一方の演出体に補助装飾部を設けた上で、第一演出部材と第二演出部材によって形成される演出体の少なくとも一部を左右対称形状にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一演出部材が第一位置に、第二演出部材が第二位置に位置する状態(演出体形成状態)時における遊技機の正面図である。
図2】センターベースおよびそれに取り付けられた演出部材(駆動装置)の正面図であり、第一演出部材および第二演出部材が原位置に位置する状態(演出体非形成状態)を示したものである。
図3】センターベースおよびそれに取り付けられた演出部材(駆動装置)の正面図であり、第一演出部材が原位置と第一位置の間に、第二演出部材が原位置と第二位置に位置する状態(演出体非形成状態から演出体形成状態に変化する途中の状態)を示したものである。
図4】センターベースおよびそれに取り付けられた演出部材(駆動装置)の正面図であり、第一演出部材が第一位置に、第二演出部材が第二位置に位置する状態(演出体形成状態)を示したものである。
図5】第一位置に位置する第一演出部材および第二位置に位置する第二演出部材(演出体)と、両演出体を駆動する駆動装置(駆動源および動力伝達機構)を前方から見た外観図である。
図6】センターベースおよびそれに取り付けられた演出部材(駆動装置)の背面図であり、第一演出部材が第一位置に、第二演出部材が第二位置に位置する状態(演出体形成状態)を示したものである。
図7図6における第一演出部材と第二演出部材の拡大図である。
図8】第一位置に位置する第一演出部材および第二位置に位置する第二演出部材(演出体)と、両演出体を駆動する駆動装置(駆動源および動力伝達機構)を後方から見た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技盤92の平面方向に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技盤92の平面方向に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、上下方向とは図1における上下方向を、幅方向(左右方向)とは図1における左右方向をいうものとする。
【0016】
まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は、額縁形状の機枠90を有し、この機枠90には前面枠91が回動自在に支持されている。前面枠91には、前側から遊技盤92を視認可能とする透明な板が設けられている。
【0017】
遊技盤92は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠91に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤92には、発射装置94の操作によって発射された遊技球を遊技領域922に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール923が略円弧形状となるように設けられている。
【0018】
遊技領域922には、表示装置93、第一始動入賞口924、第二始動入賞口925、第一大入賞口926、第二大入賞口927、アウト口928などが設けられている。表示装置93は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置93の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置93の表示画面は、遊技盤92に形成された開口921を通じて視認可能である。
【0019】
また、遊技領域922には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域922を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0020】
遊技盤92の開口921より下側の後方には、遊技の興趣を向上させるための演出動作を行う第一演出部材10および第二演出部材20が設けられている。また、これら演出部材を動作させるための駆動装置(駆動源や動力伝達機構)なども設けられている。これらは遊技盤92の後方に設けられたセンターベース95に支持されている。これら演出部材や駆動装置の構成の詳細については後述する。
【0021】
このような遊技機1では、発射装置94(ハンドル)を操作することにより遊技領域922に向けて遊技球を発射する。遊技領域922を流下する遊技球が、始動入賞口924、925や大入賞口926、927等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法や演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。
【0022】
以下、遊技機1が備える演出部材およびこれらを動作させる駆動装置の構成について図1図8を用いて説明する。本実施形態にかかる遊技機1は、同一平面上に位置する第一演出部材10および第二演出部材20を備える。厳密には、詳細を後述する第一演出部材10の主装飾部10aと、第二演出部材20の主装飾部20aが同一平面上に位置する(同一平面上を移動する)。
【0023】
第一演出部材10は、遊技者に視認可能となる第一位置に位置することができる演出部材である。本実施形態では、第一演出部材10は、原位置と終端位置である第一位置との間を移動可能である。第二演出部材20は、遊技者に視認可能となる第二位置に位置することができる演出部材である。本実施形態では、第二演出部材20は、原位置と終端位置である第二位置との間を移動可能である。第一位置に位置する第一演出部材10と第二位置に位置する第二演出部材20は、互いに接近することにより詳細を後述する演出体を形成する。一方、原位置に位置する第一演出部材10と原位置に位置する第二演出部材20は、当該演出体を形成しない。つまり、第一演出部材10と第二演出部材20は、演出体を形成する演出体形成状態と、演出体を形成しない演出体非形成状態とに変位する(移動する)ように構成される。
【0024】
第一演出部材10は、主装飾部(以下、後述する第二演出部材20の主装飾部と区別するため第一主装飾部10aと称する)および補助装飾部10bを有する。本実施形態では、第一主装飾部10aは、「U」字の左半分を象ったような形状(第一位置に位置するとき)を有する。この第一主装飾部10aには、第一駆動軸11および第一支持軸12の一端が回転自在に接続されている。第一駆動軸11の他端側には歯車部111が形成されている。この第一駆動軸11の歯車部111には、二つの第一中継歯車311の一方が噛み合っている。第一中継歯車311の一方には第一中継歯車311の他方が噛み合っており、この第一中継歯車311の他方には、モータである第一駆動源313の出力軸に固定された第一出力歯車312(図5参照)が噛み合っている。つまり、第一駆動源313の動力は、第一出力歯車312および二つの第一中継歯車311を介して第一駆動軸11の歯車部111に伝達される。
【0025】
また、第一駆動軸11および第一支持軸12の他端は、上記第一中継歯車311や第一駆動源313が支持されるベース部材30(センターベース95に固定されている)に対して回転自在に接続されている。具体的には、第一演出部材10が第一位置に位置するときを基準とすれば、第一主装飾部10aに接続された第一駆動軸11の一端は、同じく第一主装飾部10aに接続された第一支持軸12の一端よりも幅方向外側かつ上方に位置する。また、ベース部材30に接続された第一駆動軸11の他端は、同じくベース部材30に接続された第一支持軸12の他端よりも幅方向内側に位置する。つまり、第一駆動軸11と第一支持軸12は、一端から他端にかけて互いに交差するように、一端が第一主装飾部10aに、他端がベース部材30に接続されている。
【0026】
第一駆動軸11の他端におけるベース部材30に対して接続された部分は、上記歯車部111の中心と一致する。つまり、第一駆動源313の動力が歯車部111に伝達されると、第一駆動軸11は当該他端におけるベース部材30に対して接続された部分を中心として回動する。この第一駆動軸11における第一主装飾部10aに接続された部分とベース部材30に接続された部分との間であって、第一主装飾部10aに接続された部分側には、第一主装飾部10aに接続された第一支持軸12の一端から離れる方向に屈曲した屈曲部112が形成されている。第一主装飾部10aに接続された第一支持軸12の一端には、後方に向かって突出した停止用突起121が形成されている。上記屈曲部112は、第一演出部材10が第一位置に位置するときに、停止用突起121が屈曲部112の内側に入り込む位置に形成される。
【0027】
第一演出部材10が有する補助装飾部10bは、第一演出部材10が第一位置に位置するときを基準とすれば、第一主装飾部10aにおける幅方向中央側に設けられた部分である。補助装飾部10bの具体的な形状は次の通りである。補助装飾部10bは、その平面形状がある軸を対称軸として左右対称の形状である。第一演出部材10は、第一主装飾部10aにおける幅方向中央側端部の前面に対し、補助装飾部10bにおける対称軸の一方側が固定されたような形状を有する。厳密には、平面方向で見て、補助装飾部10bの対称軸と第一主装飾部10aにおける幅方向中央側の側縁は略平行であって、第一主装飾部10aにおける幅方向中央側の側縁が補助装飾部10bの対称軸よりも若干幅方向外側に位置するように両者の位置関係が設定されている。第一演出部材10が第一位置に位置するとき、補助装飾部10bの対称軸と遊技機1の幅方向中央を通る軸(遊技機1を幅方向に二分する軸)とは略一致することになる。
【0028】
第二演出部材20は、主装飾部(以下、上記第一演出部材10の第一主装飾部10aと区別するため第二主装飾部20aと称する)を有する。本実施形態では、第二主装飾部20aは、「U」字の右半分を象ったような形状(第二位置に位置するとき)を有する。つまり、第一主装飾部10aと第二主装飾部20aは左右対称形状である。この第二主装飾部20aには、第二駆動軸21および第二支持軸22の一端が回転自在に接続されている。第二駆動軸21の他端側には歯車部211が形成されている。この第二駆動軸21の歯車部211には、二つの第二中継歯車321の一方が噛み合っている。第二中継歯車321の一方には第二中継歯車321の他方が噛み合っており、この第二中継歯車321の他方には、モータである第二駆動源323の出力軸に固定された第二出力歯車322(図5参照)が噛み合っている。つまり、第二駆動源323の動力は、第二出力歯車322および二つの第二中継歯車321を介して第二駆動軸21の歯車部211に伝達される。
【0029】
また、第二駆動軸21および第二支持軸22の他端は、上記第二中継歯車321や第二駆動源323が支持されるベース部材30に対して回転自在に接続されている。具体的には、第二演出部材20が第二位置に位置するときを基準とすれば、第二主装飾部20aに接続された第二駆動軸21の一端は、同じく第二主装飾部20aに接続された第二支持軸22の一端よりも幅方向外側かつ上方に位置する。また、ベース部材30に接続された第二駆動軸21の他端は、同じくベース部材30に接続された第二支持軸22の他端よりも幅方向内側に位置する。つまり、第二駆動軸21と第二支持軸22は、一端から他端にかけて互いに交差するように、一端が第二主装飾部20aに、他端がベース部材30に接続されている。
【0030】
第二駆動軸21の他端におけるベース部材30に対して接続された部分は、上記歯車部211の中心と一致する。つまり、第二駆動源323の動力が歯車部211に伝達されると、第二駆動軸21は当該他端におけるベース部材30に対して接続された部分を中心として回動する。この第二駆動軸21における第二主装飾部20aに接続された部分とベース部材30に接続された部分との間であって、第二主装飾部20aに接続された部分側には、第二主装飾部20aに接続された第二支持軸22の一端から離れる方向に屈曲した屈曲部212が形成されている。第二主装飾部20aに接続された第二支持軸22の一端には、後方に向かって突出した停止用突起221が形成されている。上記屈曲部212は、第二演出部材20が第二位置に位置するときに、停止用突起221が屈曲部212の内側に入り込む位置に形成される。
【0031】
第一演出部材10と第二演出部材20が原位置に位置するとき、または第一演出部材10が第一位置に位置するとともに第二演出部材20が第二位置に位置するとき(厳密には、原位置から第一位置にかけての第一演出部材10の移動量と、原位置から第二位置にかけての第二演出部材20の移動量が同じとき)には、第二演出部材20、第二駆動軸21、第二支持軸22、第二中継歯車321、および第二駆動源323(第二出力歯車322)は、上記第一演出部材10、第一駆動軸11、第一支持軸12、第一中継歯車311、および第一駆動源313(第一出力歯車312)と左右対称位置に位置する(左右対称形状に形成される)。当該対称軸は、遊技機1の幅方向中央を通る軸となる。第一演出部材10が第一位置に位置するとともに第二演出部材20が第二位置に位置するときには、上記補助装飾部10bの対称軸と一致する。
【0032】
以上の構成を備える第一演出部材10および第二演出部材20が合体するように組み合わされて「演出体」が形成される「演出体形成演出」について、一部上記説明と重複するが以下詳細に説明する。
【0033】
第一演出部材10および第二演出部材20は、通常時(演出体非形成状態時)には原位置に位置し、遊技盤92に覆われた状態にある。遊技機1が備える演出決定手段(図示されない制御基板)によって当該第一演出部材10および第二演出部材20を用いた演出を実行することが決定し、実行する段になったときには、第一駆動源313および第二駆動源323を駆動させる(正転させる)。
【0034】
第一駆動源313の動力は、第一出力歯車312や第一中継歯車311を介して第一駆動軸11から第一主装飾部10aに伝達される。第一駆動源313の動力が伝達された第一駆動軸11は、ベース部材30に対して回転自在に支持された他端を中心として時計回りに回動する。つまり、第一駆動軸11の一端が幅方向中央かつ上方に向かって移動する。第一駆動軸11の一端には第一主装飾部10aが接続されているため、第一主装飾部10aが当該方向に向かって移動する。
【0035】
当該方向に向かって移動する第一主装飾部10aには第一駆動軸11と交差するように設けられた第一支持軸12も接続されているため、当該方向に移動するにつれて第一主装飾部10aの姿勢が変化する。具体的には、第一主装飾部10aにおける補助装飾部10b側の反対側端部が起立するように姿勢が変化していく。そして、最終的には「U」字の左半分を象ったような姿勢となる位置である、第一位置に到達して停止する。本実施形態では、第一位置に到達した第一主装飾部10a(第一演出部材10)の移動を停止させるストッパ機構が設けられている。ストッパ機構は、第一駆動軸11の屈曲部112と第一支持軸12の停止用突起121とから構成される。原位置では、第一支持軸12の停止用突起121と第一駆動軸11の屈曲部112は離れた状態にある。第一主装飾部10aが第一位置に向かって移動していくにつれ、停止用突起121と屈曲部112は徐々に近づいていく。そして、第一主装飾部10aが第一位置に到達する直前で停止用突起121が屈曲部112の内側に入り込み、第一主装飾部10aが第一位置に到達した瞬間に停止用突起121が屈曲部112(凹形状である屈曲部112の底の部分)に接触する。停止用突起121と屈曲部112が接触すると、第一駆動軸11と第一支持軸12が互いに移動を阻止し合う状態となるから、第一主装飾部10a(第二演出部材20)は第一位置に到達した時点でそれ以上移動することができなくなる(図6図8参照)。
【0036】
第二主装飾部20aは、移動する第一主装飾部10aと同一平面(遊技盤92に平行な平面)に沿ってかつ左右対称の軌跡で次のように移動する。第二駆動源323の動力は、第二出力歯車322や第二中継歯車321を介して第二駆動軸21から第二主装飾部20aに伝達される。第二駆動源323の動力が伝達された第二駆動軸21は、ベース部材30に対して回転自在に支持された他端を中心として反時計回りに回動する。つまり、第二駆動軸21の一端が幅方向中央かつ上方に向かって移動する。第二駆動軸21の一端には第二主装飾部20aが接続されているため、第二主装飾部20aが当該方向に向かって移動する。
【0037】
当該方向に向かって移動する第二主装飾部20aには第二駆動軸21と交差するように設けられた第二支持軸22も接続されているため、当該方向に移動するにつれて第二主装飾部20aの姿勢が変化する。具体的には、第二主装飾部20aにおける補助装飾部10b側の反対側端部が起立するように姿勢が変化していく。そして、最終的には「U」字の右半分を象ったような姿勢となる位置である、第二位置に到達して停止する。本実施形態では、第二位置に到達した第二主装飾部20a(第二演出部材20)の移動を停止させる第一主装飾部10aと同様のストッパ機構が設けられている。ストッパ機構は、第二駆動軸21の屈曲部212と第二支持軸22の停止用突起221とから構成される。原位置では、第二支持軸22の停止用突起221と第二駆動軸21の屈曲部212は離れた状態にある。第二主装飾部20aが第二位置に向かって移動していくにつれ、停止用突起221と屈曲部212は徐々に近づいていく。そして、第二主装飾部20aが第二位置に到達する直前で停止用突起221が屈曲部212の内側に入り込み、第二主装飾部20aが第二位置に到達した瞬間に停止用突起221が屈曲部212(凹形状である屈曲部212の底の部分)に接触する。停止用突起221と屈曲部212が接触すると、第二駆動軸21と第二支持軸22が互いに移動を阻止し合う状態となるから、第二主装飾部20a(第二演出部材20)は第二位置に到達した時点でそれ以上移動することができなくなる(図6図8参照)。
【0038】
本実施形態では、第一駆動源313と第二駆動源323を同時に駆動開始させるため、第一演出部材10が第一位置に到達するのと、第二演出部材20が第二位置に到達するのはほぼ同時である。第一主装飾部10aと第二主装飾部20aは同一平面に沿って移動するため、第一位置に到達した第一演出部材10の第一主装飾部10aと第二位置に到達した第二演出部材20の第二主装飾部20aとによって平面形状が略「U」字(蹄鉄状)の一体的な形態が形成される。ただし、本実施形態では、当該一体的な形態が形成されたとき、第一位置に到達した第一主装飾部10aの一方側端部(最も第二主装飾部20aに近い補助装飾部10b側の端部)と第二位置に到達した第二主装飾部20aの一方側端部(最も第一主装飾部10aに近い端部)との間、つまり最も接近した箇所の間には上下方向に沿う細長い隙間Sが生ずる。すなわち、そのまま両主装飾部を移動させ続ければ同一平面に沿って移動する両主装飾部が互いに接触して移動が停止するところ(両主装飾部を幅方向中央で突き合わせることによって移動を停止させてもよいところ)、当該隙間Sが生ずる位置で上記ストッパ機構が作用し、第一演出部材10(第一主装飾部10a)および第二演出部材20(第二主装飾部20a)が停止するように設定されている。つまり、一体的な形態を形成する第一主装飾部10aと第二主装飾部20aの境目において、両演出部材(両主装飾部)は接触しない。
【0039】
この第一演出部材10(第一主装飾部10a)と第二演出部材20(第二主装飾部20a)の境目に生ずる隙間Sは、第一位置に到達した第一演出部材10の補助装飾部10bに覆われる。そのため、第一演出部材10が第一位置に到達するとともに第二演出部材20が第二位置に到達したとき、遊技者から(前方から)は第一主装飾部10aと第二主装飾部20aの境目に生ずる隙間Sは視認できない。つまり、第一演出部材10が第一位置に到達するとともに第二演出部材20が第二位置に到達したときには、この第一演出部材10および第二演出部材20の組み合わせによって、少なくとも正面から見て演出部材間(主装飾部間)に隙間のない左右対称の演出体(二つの主装飾部によって構成される略「U」字の形態における境目が補助装飾部10bに覆われたもの)が形成されているように見える。さらに、第一主装飾部10aと第二主装飾部20aを左右対称形状としているため、演出体形成状態となった際に第一演出部材10と第二演出部材20が一体的な演出体を形成していることをイメージし易い。すなわち、遊技者の視覚的に一体感のある演出体が形成される。上記のように各主装飾部を左右対称形状にすると、より演出体の一体感を高めることが可能となるが、必ずしも各主装飾部を左右対称とする必要はなく、第一演出部材10と第二演出部材20の境目に生じる隙間Sが覆われていれば演出体の一体感の低下を抑制することが可能である。
【0040】
本実施形態では、上下方向に細長い隙間S(境目)の全部が補助装飾部10bに覆われる(特に図7参照)。第一演出部材10が第一位置に到達すると、左右対称形状である補助装飾部10bの対称軸は、隙間S(境目)の幅方向中央を通る軸(隙間Sを幅方向に二分する軸)と一致する。上述した、第一主装飾部10a、第二主装飾部20a、および補助装飾部10bによって構成される左右対称形状の演出体の対称軸は、この補助装飾部10bの対称軸や隙間Sの幅方向中央を通る軸と一致する。
【0041】
以上説明した本実施形態にかかる遊技機1によれば、次のような作用効果が奏される。
【0042】
第一演出部材10と第二演出部材20によって演出体が形成された演出体形成状態時には、第一演出部材10に設けられた補助装飾部10bに両演出部材(両主装飾部)の境目および第二演出部材20が覆われるから、両演出部材が組み合わされて形成される演出体の一体感を向上させることが可能である。
【0043】
また、本実施形態では、第一位置に位置する第一演出部材10と第二位置に位置する第二演出部材20は接触しない。通常、複数の演出部材によって演出体が構成される場合、演出部材同士を接触させることにより、できるだけ当該演出体の一体感が損なわれないようにすることが考えられるが、演出部材同士を接触させることとすると、当該接触によって演出部材が損傷する、接触による騒音が発生する、といった問題が生ずる。本実施形態にかかる遊技機1によれば、第一位置に位置する第一演出部材10と第二位置に位置する第二演出部材20が接触しないため上記問題の発生を防止することが可能であるとともに、それによって生ずる隙間Sが補助装飾部10bに覆われるため、当該隙間Sの存在による演出体の一体感の低下を抑制することも可能である。
【0044】
また、左右対称の演出体を形成する場合、単純に各演出部材を左右対称形状に形成するのが通常であるところ、本実施形態にかかる遊技機1は第一演出部材10と第二演出部材20を左右対称形状としていない。つまり、単純に各演出部材を左右対称形状に形成するのではなく、一方の演出部材(本実施形態では第一演出部材10)にのみ補助装飾部10bを設けた構成とすることにより、見た目上は境目のない一体感のある演出体が形成されるようにした点で本実施形態にかかる遊技機1は優れるものである。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0046】
上記実施形態では、第一演出部材10および第二演出部材20の両方が移動可能な部材であることを説明したが、少なくとも一方が移動可能な構成であってもよい。つまり、両演出部材の少なくとも一方が移動することで演出体が形成される構成であればよい。
【0047】
上記実施形態は、第一演出部材10と第二演出部材20によって演出体の全体が形成される構成であることを説明したが、第一演出部材10と第二演出部材20によって演出体の一部が形成される構成にも上記と同様の技術思想が適用できる。つまり、第一演出部材および第二演出部材以外の演出部材が設けられ、これら全ての(三つ以上の)演出部材によって演出体の全体が形成される構成にも上記と同様の技術思想が適用できる。つまり、このように三つ以上の演出部材によって演出体が形成される場合には、このうちの二つの演出部材が接近することによって「演出体の一部」が形成されるということになる。
【0048】
上記実施形態では、演出部材同士の接触による破損や騒音の発生を防止するため、第一位置に到達した第一演出部材10(第一主装飾部10a)と第二位置に到達した第二演出部材20(第二主装飾部20a)は接触しない(最も接近する箇所の間には隙間Sが生ずる)ことを説明したが、上記演出部材同士の接触による破損や騒音の発生を防止するという効果を求めないのであれば、第一位置に到達した第一演出部材10(第一主装飾部10a)と第二位置に到達した第二演出部材20(第二主装飾部20a)が最も接近する箇所において接触するように構成してもよい。このような場合であっても、両演出部材(両主装飾部)が接触する箇所である境目は補助装飾部10bに覆われるから、形成される演出体の一体感の向上という効果が奏される。
【0049】
上記実施形態では、第一演出部材10に補助装飾部10bが設けられていることを説明したが、第一演出部材に補助装飾部が設けられず、第二演出部材に補助装飾部が設けられた構成(第一演出部材が第一主装飾部のみを有し、第二演出部材が第二主装飾部と補助装飾部を有する構成)としてもよい。
【0050】
上記実施形態では第一演出部材10と第二演出部材20が合体するように組み合わされることによって演出体が形成されることを説明したが、このように合体するように組み合わされるものに限られず、少なくとも視覚的に一体的に見えるようなものであればよい。すなわち、「第一演出部材と第二演出部材の組み合わせによって形成される演出体」には、第一演出部材と第二演出部材が接近して合体してなる形態が形成されるものだけでなく、遠く離れていても視覚的に一体的に見えるようなものも含む。
【0051】
上記実施形態では、第一演出部材10および第二演出部材20を移動させる駆動源(第一駆動源313および第二駆動源323)としてモータを用い、駆動軸(第一駆動軸11および第二駆動軸21)と支持軸(第一支持軸12および第二支持軸22)によって構成されるストッパ機構によって、第一演出部材10を第一位置で、第二演出部材20を第二位置で停止させる構成であることを説明したが、第一演出部材10を第一位置で、第二演出部材20を第二位置で停止させることができるものであれば、このような構成に限られない。例えば、位置制御可能なステッピングモータ等のサーボモータを用いてもよいし、第一位置に到達した第一演出部材および第二位置に到達した第二演出部材がそれ以上他方の演出部材に近づかないよう、両演出部材を物理的に停止させるストッパ部材を別に設けた構成(ストッパ部材によって停止したことが検出された時点で駆動源を停止させる構成)としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 第一演出部材
10a 第一主装飾部
10b 補助装飾部
20 第二演出部材
20a 第二主装飾部
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8