特許第5747367号(P5747367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5747367
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/00 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   A01K85/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-509649(P2015-509649)
(86)(22)【出願日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】JP2014082837
【審査請求日】2015年2月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502109267
【氏名又は名称】株式会社デュエル
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイエリックユンハ
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−121115(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3160473(JP,U)
【文献】 特開2005−95103(JP,A)
【文献】 特開2012−231699(JP,A)
【文献】 特開平10−248438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00−85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
前記ボディの内部に延設され且つ底部を有する移動通路と、
前記移動通路内に前後移動可能に収納された1つ又は独立した2つ以上の錘と、
磁気吸着力によって前記錘を吸着可能な保持部材であって、磁石又は磁性材料から形成された保持部材と、を有し、
前記移動通路の中途部には、ボディの前方に臨む係止面を有する段部が設けられ、前記保持部材が前記係止面の内側に設けられている又は前記保持部材の表面が前記係止面を構成している、ルアー。
【請求項2】
前記移動通路が、前記段部よりも前方にある第1通路と、前記段部よりも後方にある第2通路と、前記第1通路と第2通路を連通させる連通路と、を有し、
前記係止面が前記第1通路における底部に対して傾斜されている、請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記連通路が、1つの錘のみが通過可能な大きさに形成されている、請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
前記係止面の傾斜角度が前記底部に対して90度以上140度以下である、請求項2または3に記載のルアー。
【請求項5】
前記移動通路内に、独立した2つ以上の錘が前後に並んで収納されており、
それらの錘のうち少なくとも最後方の錘が磁性材料又は磁石から形成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディ内部に錘(おもり)が移動可能に収納され、その錘が前後に移動することによって重心が変化するルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
ルアーは、釣りに使用される釣り具の一種である。ルアーは、釣り方に応じて様々なタイプが知られている。これらのルアーの中で、重心が変化するルアーが知られている(特許文献1及び2)。このようなルアーは、重心移動式ルアーとも呼ばれている。
かかるルアーは、ボディの内部に形成された移動通路内を錘が移動することによって、その重心が前後に変化する。詳しくは、かかるルアーは、通常時には、錘が磁気吸着力によって移動通路の前方部に吸着保持されている。錘が前方部に保持されたルアーは、重心がその前方に偏っている。一方、このルアーをキャスティングすると、慣性により、錘が移動通路の前方部から離れて後方へ移動する。錘が移動通路の後方へ移動したルアーは、重心が後方へ偏るので、ルアーが安定的に飛行するようになる。そして、ルアーが着水すると、前記錘が前方に移動して再び移動通路の前方部に吸着保持される。着水後に、重心が前方に偏ったルアーをラインを通じて引き寄せると、そのルアーは、あたかも魚の如く泳動するようになる。なお、キャスティングとは、竿に取り付けられたリールに巻かれたラインの先端にルアーを連結し、その竿を振ることにより、ラインが繰り出されながらルアーを飛ばすことをいう。
【0003】
上述のように、この種のルアーは、着水後には錘が前方部に保持され且つキャスティング時には錘が後方へ移動するように構成されている。
例えば、特許文献1のルアーは、ボディと、ボディの内部において前後方向に延設された移動通路と、移動通路内に前後方向に移動自在に収納された球状の錘と、錘を磁気吸着力によって吸着する保持部材(磁石など)と、を有し、前記保持部材が、前記移動通路を構成する前端面に設けられている。
特許文献2のルアーは、ボディと、ボディの内部において前後方向に延設された移動通路と、移動通路内に前後方向に移動自在に収納された球状の錘と、錘を磁気吸着力によって吸着する保持部材(磁石など)と、を有し、前記保持部材が、移動通路を構成する周壁の前寄り位置に設けられている。
【0004】
特許文献1のルアーは、移動通路の前端面に設けられた保持部材に錘が吸着されることにより、錘が移動通路の前方部に保持される。しかしながら、かかるルアーは、磁気吸着力(磁力)が前後方向に作用するので、錘に生じる慣性力と磁気吸着力の作用する方向が同じとなり、キャスティング時に錘が保持部材から離れないことがある(つまり、キャスティング時に、錘が前方部から後方へ移動しないことがある)。また、移動通路の前端面に保持部材が設けられているので、錘が移動通路の前方に移動して前端面に当たった際に、保持部材が破損する場合がある。さらに、複数の錘を移動通路内に収納する場合、それらの全てが磁性材料で形成された錘を用いなければならず、タングステンなどの非磁性材料で形成された錘を使用できないという制限がある。
一方、特許文献2のルアーは、移動通路の周壁に設けられた保持部材に錘が吸着されることによって、錘が移動通路の前方部に保持される。かかるルアーは、錘に生じる慣性力の方向が磁気吸着力の作用する方向に直交しているので、キャスティング時に、錘が保持部材から離れやすい。しかしながら、かかるルアーは、着水後、それを引き寄せて泳がせているうちに、錘が保持部材から離れ、重心が後方へ移動するおそれがある。特に、近年、ルアーを上下左右に激しくアクションさせる釣り方が流行っており、そのような激しいアクションを起こさせた際に、錘が保持部材から比較的簡単に離れてしまう。この点、比較的大きな保持部材を用いれば、それに応じて磁気吸着力も増すので、錘が保持部材から離れ難くなる。しかしながら、保持部材を大きくすると、保持部材の重量も大きくなり、その結果、錘が後方に移動してもルアーの重心が後方へ十分に偏らない場合がある。さらに、特許文献2のルアーは、保持部材が周壁に設けられているので、大きな保持部材に対応させて周壁の肉厚を分厚くしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平3−15021号公報
【特許文献2】特許第2747502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、キャスティング時に錘が移動通路の後方へと移動し、且つ、着水後に錘が移動通路の前方部に保持されるルアーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のルアーは、ボディと、前記ボディの内部に延設され且つ底部を有する移動通路と、前記移動通路内に前後移動可能に収納された1つ又は独立した2つ以上の錘と、磁気吸着力によって前記錘を吸着可能な保持部材であって、磁石又は磁性材料から形成された保持部材と、を有し、前記移動通路の中途部には、ボディの前方に臨む係止面を有する段部が設けられ、前記保持部材が前記係止面の内側に設けられている又は前記保持部材の表面が前記係止面を構成している。
【0008】
本発明の好ましいルアーは、前記移動通路が、前記段部よりも前方にある第1通路と、前記段部よりも後方にある第2通路と、前記第1通路と第2通路を連通させる連通路と、を有し、前記係止面が前記第1通路における底部に対して傾斜されている。
本発明の好ましいルアーは、前記連通路が、1つの錘のみが通過可能な大きさに形成されている。
本発明の好ましいルアーは、前記係止面の傾斜角度が前記底部に対して90度以上140度以下である。
本発明の好ましいルアーは、前記移動通路内に、独立した2つ以上の錘が前後に並んで収納されており、それらの錘のうち少なくとも最後方の錘が磁性材料又は磁石から形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のルアーは、キャスティング時には、錘が移動通路の後方へと確実に移動し、一方、着水後には、錘が移動通路の前方部に確実に保持される。かかるルアーは、安定的にキャスティングでき、水中において良好に泳動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るルアーの側面図。
図2】同ルアーを前方側から見た正面図。
図3図2のIII−III線で切断した側面断面図。
図4図3の要部を拡大した側面断面図。
図5図4から錘を不図示とした側面断面図。
図6図4のVI−VI線で切断した縦断面図。
図7図4のVII−VII線で切断した縦断面図。
図8図4のVIII−VIII線で切断した横断面図。
図9図7から錘を不図示とした縦断面図。
図10】ルアーを構成する各部材の分解斜視図。
図11】同ルアーにおいて、錘が移動通路の後方に移動した状態を示す側面断面図(図2のIII−III線と同様の箇所で切断)。
図12】第2実施形態に係るルアーの側面断面図(図2のIII−III線と同様の箇所で切断。以下、図13乃至図18も同様)。
図13】第3実施形態に係るルアーの側面断面図。
図14】第4実施形態に係るルアーの側面断面図であって、その要部を拡大した側面断面図(ただし、錘は不図示)。
図15】第5実施形態に係るルアーの側面断面図であって、その要部を拡大した側面断面図。
図16】第6実施形態の第1例に係るルアーの側面断面図。
図17】第6実施形態の第2例に係るルアーの側面断面図。
図18】第6実施形態の第3例に係るルアーの側面断面図。
図19】第7実施形態のルアーの縦断面図(第7実施形態のルアーを、図4のVII−VII線と同様の箇所で切断。ただし、錘は不図示)。
図20】第8実施形態に係るルアーの側面断面図。
図21】第10実施形態のルアーの横断面図(第10実施形態のルアーを、図4のVIII−VIII線と同様の箇所で切断)。
図22図21のXXII−XXIIで切断した縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照しつつ、本発明のルアーについて説明する。
ただし、本明細書において、方向性を示す用語として、「前」は、ラインを通じてルアーを水中で引き寄せた際にそのルアーが進む側を指し、「後」は、前記ルアーが進む側とは反対側を指し、「上」は、前後方向と直交する方向である鉛直方向の上側を指し、「下」は、その鉛直方向の下側を指す。また、各側面図及び側面断面図において、ルアーは、その前方を紙面左側に、その後方を紙面右側に、その前後方向を水平面と平行にした状態で表されている。なお、水平面は、ルアーへの重力が働く方向に対して垂直な面を指す。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るルアーの側面図であり、図2は、同ルアーを前方から見た正面図である。図3は、図2のIII−III線で切断した、側面側から見た断面図である。図4は、図3の必要な部分を拡大した図であり、図5は、図4の中から錘を省略した図である。図6及び図7は、図4のVI−VI線、VII−VII線で切断した、正面側から見た断面図である。図8は、図4のVIII−VIII線で切断した、上方側から見た断面図である。ただし、各断面図において、錘、ライン連結部、針及び針連結部に対応する箇所に、ハッチングは表していない。
図1乃至図8において、本発明のルアー1は、ボディ2と、前記ボディ2の内部に設けられた移動通路3と、前記移動通路3の中途部に設けられた段部4と、前記移動通路3内に前後に移動可能に収納された錘51と、錘51を吸着可能な保持部材6と、を有する。
移動通路3は、底部を有し、ボディ2の第1方向に延設されている。錘51は、前記移動通路3内に1つ又は独立した2つ以上(複数)収納される。保持部材6は、磁石又は磁性材料から形成され、磁気吸着力によって錘51を吸着可能なものである。段部4は、ボディ2の前方に臨む係止面を有する。第1実施形態においては、前記保持部材6の表面6aが前記係止面を構成している。
以下、各構成部材ごとに分けながら、第1実施形態のルアー1の詳細を説明する。
【0013】
[錘]
錘は、移動通路3内に前後に移動可能に収納されている。従って、錘は、移動通路3の前方から後方へ及び後方から前方へ移動可能である。錘は、移動通路3の前方に移動した際に移動通路3の前端面39aに当たり、後方に移動した際の移動通路3の後端面39bに当たる。錘は、移動通路3内に1つだけ収納されていてもよい。好ましくは、図示のように、移動通路3内に独立した2つ以上の錘51,52が収納される。図示例では、2つの独立した錘51,52が移動通路3に収納されている。2つ以上の錘51,52が移動通路3に収納されている場合には、最前方の錘52が移動通路3の前端面39aに当たり、最後方の錘51が移動通路3の後端面39bに当たるようになる。
錘51,52の形状は、移動通路3を移動できる形状であれば特に限定されず、代表的には、図示したような球状が挙げられる。もっとも、錘51,52の形状は、球状に限られず、円柱状、樽状などであってもよい。球状、円柱状又は樽状に形成された錘51,52は、移動通路3の底部上を転がりながら前後に移動する。
錘51,52の形成材料は特に限定されないが、比較的比重の大きい材料を用いることが好ましい。例えば、錘51,52の比重は、6以上であり、好ましくは7以上である。なお、本明細書において、比重は、大気圧下、4℃の水(基準物質)に対する比である。
【0014】
2つ以上の錘51,52が移動通路3に収納される場合、各錘51,52は、移動通路3の前後に並んで収納され、それぞれ独立して移動通路3を前後に移動可能である。それらの錘51,52のうち少なくとも最後方の錘51は磁性材料又は磁石から形成されている。最後方の錘51が磁性材料で形成される場合、最後方以外の錘52は、磁性材料又は非磁性材料から形成される。最後方の錘51が磁石で形成される場合、最後方以外の錘52は、非磁性材料から形成される。錘51が磁石で形成され且つ錘52が磁性材料で形成されている場合、又は、錘51が磁性材料で形成され且つ錘52が磁石で形成されている場合、錘同士(錘51と錘52)が吸着してしまい、それらの錘が移動通路3を円滑に移動しなくなる。
好ましくは、最後方以外の錘52は、非磁性材料、又は、磁性材料であって最後方の錘51よりも弱く磁化される材料(換言すると、最後方の錘が、最後方以外の錘よりも強く磁化される材料)から形成され、より好ましくは、最後方以外の錘52は、非磁性材料から形成される。なお、最後方以外の錘が2つ以上である場合(例えば、後述する図11などのルアー)、これらの錘は、全て非磁性材料から形成されていてもよく、或いは、そのうちの1つ以上が非磁性材料から形成され、残る1つ以上が磁性材料(好ましくは最後方の錘よりも弱く磁化される磁性材料)から形成されていてもよい。
なお、最後方以外の錘52は、移動通路3内において、最後方の錘51よりも前方に配置される錘を指す。なお、1つの錘51が移動通路3に収納されている場合、その錘51は、最後方の錘に相当し、それは磁性材料又は磁石から形成される。
【0015】
ここで、本明細書において、「磁性材料」は、磁石を近づけると磁化される性質を有する材料(つまり、磁石に付く材料)をいい、「磁石」は、外部から磁場や電流の供給を受けずに磁界を有するもの(磁性材料を引き付ける性質を有するもの)をいい、「非磁性材料」は、磁石を近づけても実質的に磁化されない材料(つまり、磁石に実質的に付かない材料)をいう。
磁性材料としては、特に限定されないが、代表的には、鉄、ニッケル、コバルトなどの鉄族金属、鉄族金属を含む合金、及び鉄族金属の酸化物などが挙げられる。その他、磁性材料として、タングステン合金を用いてもよい。タングステン合金の磁性材料は、タングステンと、ニッケル、鉄及び銅から選ばれる少なくとも1種と、からなる合金であり、主成分であるタングステンを70質量%以上含み、好ましくは80重量%以上含んでいる。タングステン合金の磁性材料は、タングステンと、ニッケル、鉄及び銅から選ばれる少なくとも1種とを所要量配合し、これを十分に混合した後、その合金の融点以下の高温で焼結することにより得られる。前記磁性材料は、比重が6以上であり且つ強磁性を有するので、錘51の形成材料として好ましい。
磁石(永久磁石)としては、例えば、フェライト磁石、アルニコ磁石、ネオジム磁石、サマコバ磁石(サマリウムコバルト磁石)、磁石鋼、樹脂磁石、ゴム磁石などが挙げられる。前記樹脂磁石は、金属などが混合された樹脂を成形することにより得られる磁石であり、前記ゴム磁石は、金属などが混合されたゴムを成形することにより得られる磁石である。前記磁石の残留磁束密度及び保磁力は、特に限定されないが、キャスティング時に錘が保持部材から離れ易く、且つ、着水後に錘が保持部材から離れ難くなることから、残留磁束密度が200〜420mTで且つその保磁力が220〜300A/mの磁石が好ましく、残留磁束密度が205〜400mTで且つその保磁力が230〜285A/mの磁石がより好ましい。ただし、前記残留磁束密度及び保磁力は、ガウスメーター(株式会社エーデーエス製、品番:MODEL HGM−8900S)を用いて測定できる。
非磁性材料としては、特に限定されないが、代表的には、鉛、銅、オーステナイト系ステンレス、タングステンなどが挙げられる。このような非磁性材料の中でも、タングステンは、比重が大きいので、非磁性材料として好適である。
例えば、最後方の錘51は、鋼球(鉄球)からなり、最後方以外の錘52は、タングステンの球からなる。
また、錘51,52が球状、円柱状又は樽状である場合、錘51,52の直径は、それぞれ特に限定さないが、通常、2mm以上15mm以下程度であり、好ましくは、3mm以上10mm以下程度である。なお、複数の錘51,52が移動通路3に収納される場合、各錘51,52は、例えば、同形同大でもよく、或いは、同形且つ大きさが異なっていてもよい。
【0016】
[保持部材]
前記保持部材6は、磁気吸着力によって錘51を吸着し、錘51を移動通路3の前方部にて保持する部材である。保持部材6は、磁石又は磁性材料のいずれか一方から形成される。最後方の錘51が磁性材料から形成されている場合、保持部材6は、磁石から形成される。最後方の錘51が、磁石から形成されている場合、保持部材6は、磁石又は磁性材料のいずれか一方から形成されていればよいが、好ましくは、磁性材料から形成される。従って、好ましい組み合わせは、(1)最後方の錘51が磁性材料から形成され且つ保持部材6が磁石から形成されている、又は、(2)最後方の錘51が磁石から形成され且つ保持部材6が磁性材料から形成されている、の何れかである。
保持部材6の形状は、特に限定されず、例えば、その形状としては所定厚みの板状などが挙げられる。保持部材6は、移動通路3の段部4の係止面を構成又は係止面の内側に設けられているが、詳しくは後述する。
【0017】
[ボディ、段部及び移動通路並びに保持部材の取付け]
図示例のボディ2は、その外形が小魚を真似た形状とされている。もっとも、ボディ2の外形は、小魚に似た形状に限られず、例えば、様々な形状に変更してもよい。
さらに、ボディ2の外面に、無数の小さな窪み(ディンプル)が形成されていてもよい(図示せず)。ボディ2の外面が無数の小さな窪みを有することにより、ルアー1をキャスティングしたときに、ルアー1が空気抵抗を受け難くなる。従って、より遠くに投げ飛ばすことができるルアー1を提供できる。
ボディ2は、それ自体、水(淡水及び海水を含む)に浮くことが好ましい。ボディ2の比重は、特に限定されないが、例えば、1.1以下であり、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.9以下であり、特に好ましくは0.6以下である。ただし、前記ボディ2の比重は、ボディの形成材料の比重ではなく、ボディそのもの比重をいう。
前記ボディ2は、非磁性材料から形成されている。
【0018】
ボディ2の形成材料は、非磁性材料であれば特に限定されず、例えば、ABS樹脂などの硬質合成樹脂、ウレタンなどの軟質合成樹脂、発泡ウレタンなどの発泡合成樹脂、木、及び2以上の素材を組み合わせた材料などが挙げられる。好ましくは、ボディ2は、硬質合成樹脂、軟質合成樹脂、発泡合成樹脂及びこれらから2以上を組み合わせた材料から形成され、より好ましくは、硬質合成樹脂(硬質の発泡合成樹脂を含む)から形成される。ボディ2は、中空状であってもよいし、中実状であってもよい。なお、中実状のボディは、移動通路3が設けられていることを除いて、その内部に空間を有さないボディである。例えば、図示例のボディ2は、移動通路以外の空間として、その内部に空洞部38を有する。つまり、図示例のボディ2は、中空状である。ボディ2の内部に空洞部38を形成することにより、比重が1を超える材質(例えば、ABS樹脂など)を用いた場合でも、比重1未満、好ましくは比重0.9以下のボディ2を容易に作製できる。
【0019】
前記ボディ2の内部には、移動通路3がそのボディ2の第1方向に延設されている。なお、「移動通路が第1方向に延設されている」とは、その方向に概ね延びているという意味である。例えば、前記第1方向は、前後方向である。前記第1方向が前後方向である場合、移動通路3は、ボディ2の前方から後方へと延びている。
前記移動通路3は、錘51,52が接する底部を有する。移動通路3の底部は、ボディ2の下壁部の内面31aから形成され、第1方向(図示例では、前後方向)に延びている。
具体的には、移動通路3は、ボディ2を構成する上壁部の内面32a、第1側壁部の内面33a、第2側壁部の内面34a及び下壁部の内面31aから構成されている。換言すると、移動通路3は、ボディ2を構成する上壁部の内面32a、第1側壁部の内面33a、第2側壁部の内面34a及び下壁部の内面31aによって囲われた空間からなる。移動通路3は、ボディ2の前方部から後方部に延びて形成されている。
また、移動通路3を構成するボディ2の上壁部、第1側壁部、第2側壁部及び下壁部の各内面32a,33a,34a,31aは、それぞれ独立して、平滑状でもよく、或いは、内側に突出した部分を有していてもよい。図示例では、ボディ2の下壁部の内面31a(移動通路3の底部に相当)及びボディ2の上壁部の内面32a(移動通路3の上部に相当)は、それぞれ平滑状に形成されている。一方、ボディ2の第1側壁部及び第2側壁部には、内側に突出したガイドレール33,34がそれぞれ設けられている。この各ガイドレール33,34は、移動通路3に沿って前後方向に延びる長状の突部である。この各ガイドレール33,34の内面(突出頂面)は、第1側壁部の内面33a及び第2側壁部の内面34aである。第1側壁部の内面33a及び第2側壁部の内面34aは、移動通路3の第1側部及び第2側部に相当する。なお、後述するように、段部4が形成された移動通路3は、部分的に屈曲するため、この屈曲した移動通路3を構成するボディ2の上壁部、第1側壁部、第2側壁部、下壁部及びガイドレールも、それぞれ同様に屈曲されている。
【0020】
移動通路3内に収納された錘51,52がボディ2の前後方向に円滑に移動できることを条件にして、移動通路3の縦断面形状は特に限定されない。移動通路3の底部に錘51,52が接している状態において、その錘51,52と移動通路3の上部との間に僅かな隙間を生じるように(図4参照)、前記移動通路3は形成されている。同様に、移動通路3の底部に錘51,52が接している状態において、その錘51,52と移動通路3の第1及び第2側部との間に僅かな隙間を生じるように(図6乃至図8参照)、前記移動通路3は形成されている。このような移動通路3を有するルアー1は、2つ以上の錘51,52が上下に重なった状態で移動通路3を移動することがなく、2つ以上の錘51,52は、前後に並んだ状態で移動通路3内をそれぞれ前後に移動可能である。
【0021】
移動通路3の中途部には、段部4が形成されている。段部4は、移動通路3の底部の一部分を上方に突出させることにより形成されている。段部4は、前方に臨む係止面を有する。この係止面は、移動通路3の前端面39aに向かい合っている。
前記段部4を基準にして移動通路3を概念上区分けすると、移動通路3は、段部4よりも前方にある第1通路71と、第2通路72と、第1通路71と第2通路72とを連通させる連通路73と、からなる。第1通路71及び第2通路72は、第1方向(図示例では、前後方向)に延びている。第1通路71は、移動通路3の前端面39aから係止面までの間の空間であり、第2通路72は、それ以外(連通路73を除く)の空間である。第1通路71及び第2通路72は、いずれも、複数の錘51,52の全てを収納できる大きさである。特に、第1通路71は、複数の錘51,52の全てが収納された状態で、前端面39aと最前方の錘52の間に僅かな隙間を有する程度の大きさである。連通路73は、段部4の上端41において第1通路71の上後方と第2通路72の下前方とを結ぶ開口である。この連通路73は、1つの錘のみ通過できる大きさに形成されている。なお、段部4が形成された移動通路3は、厳密には段部4において屈曲し且つ第1通路71と第2通路72が上下にずれているが、全体として見るとボディ2の前方から後方に延びている。段部4は、第1通路71の底部よりも上方に突出した部分である。第1通路71の底部と第2通路72の底部は、移動通路3の底部31aを構成している(換言すると、移動通路3の底部31aは、第1通路71の底部と第2通路72の底部とから構成される)。つまり、第1通路71の底部は、移動通路3の底部31aの一部であり、第2通路72の底部は、移動通路の底部31aの残部である。
【0022】
段部4の突出高さ4H(図5参照)は、特に限定されないが、余りに小さいと、ルアー1の着水後に、最後方の錘51を後方へずれることを抑制するという係止面の機能を十分に発揮できないおそれがある。かかる観点から、段部4の突出高さ4Hは、最後方の錘51の直径の1/3倍以上が好ましく、錘51の直径の1/2倍以上(錘51の半径以上)がより好ましく、錘51の直径以上がさらに好ましく、錘51の直径の6/5倍以上が特に好ましい。段部4の突出高さ4Hの上限は、特に限定されないが、余りに段部4の突出高さ4Hを大きくすると、それに応じてボディ2の外形も大きくなる上、保持された錘51が後方へ移動し難くなるおそれがある。かかる観点から、段部4の突出高さ4Hは、最後方の錘51の直径の2倍以下が好ましく、錘51の直径の3/2倍以下がより好ましく、錘51の直径の4/3以下がさらに好ましい。なお、段部4の突出高さ4Hは、第1通路71の底部31aと段部4の上端41までの長さをいう。
【0023】
前記係止面は、前記保持部材6の表面6aから構成されている。なお、「係止面が保持部材6の表面6aから構成されている」とは、係止面が保持部材6の表面6aのみから構成されているという意味ではなく、少なくとも保持部材の表面が係止面を構成しているという意味である。
具体的には、段部4には、保持部材6を収容できる凹部42が形成されている。この凹部42に収容された保持部材6が前記凹部42から脱落しないように、凹部42の前方には、中央部に孔部43を有する仕切壁部44が設けられている。つまり、段部4は、仕切壁部44を有する。仕切壁部44の肉厚は、均一である。従って、仕切壁部44の表面44aは、保持部材6の表面6aとほぼ平行な平坦状となっている。この仕切壁部44は、磁気吸着力の透過を阻害しない材料で形成されていることが好ましい。仕切壁部44は、例えば、ボディ2の形成材料にて形成されている。この仕切壁部44の孔部43の直径は、保持部材6の最大長さよりも小さい。この凹部42と仕切壁部44とで囲われる空間内に保持部材6が入れられている。凹部42に嵌め入れられた保持部材6は、その周縁部が仕切壁部44によって支持されているので、凹部42から外れることがない。
前記仕切壁部44は孔部43を有するので、前記凹部42に嵌め入れられた保持部材6の表面6aの一部は、その孔部43を通じて移動通路3に露出されている。本実施形態では、係止面は、保持部材6の表面6aと仕切壁部44の表面44aとから構成されている。
図9は、仕切壁部44、孔部43及び保持部材6を判り易くするための図であって、図7の断面図から、錘を省略した図である。
【0024】
前記係止面は、ボディ2の前方に臨んでいる。この係止面は、第1通路71における底部31aに対して傾斜されている。この係止面は、底部31aに対して傾斜された傾斜面である。係止面の傾斜角度α(図5の一点鎖線で示す箇所を参照)は、特に限定されず、鋭角、90度、又は鈍角のいずれかである。なお、係止面の傾斜角度は、孔部43から露出した保持部材6の表面6aと第1通路71の底部31aとの成す角をいう。従って、傾斜角度が鋭角な係止面は(図示せず)、係止面の上方部が係止面の下方部よりも前方側に倒れた形態である。傾斜角度が鈍角な係止面は、係止面の上方部が係止面の下方部よりも後方側に倒れた形態である。図4及び図5の例では、係止面の傾斜角度は第1通路71の底部31aに対して略90度とされている。
係止面の傾斜角度を鋭角に設定する場合、その具体的な角度は特に限定されないが、余りに角度が小さいと、係止面に磁気吸着力にて保持された錘51が、着水後に係止面から離れるおそれがある。かかる観点から、係止面の傾斜角度を鋭角に設定する場合には、その傾斜角度は、60度以上90度未満が好ましく、70度以上90度未満がより好ましい。また、係止面の傾斜角度を鈍角に設定する場合、その具体的な角度は特に限定されないが、余りに角度が大きいと、係止面に磁気吸着力にて保持された錘51が、着水後に係止面から離れるおそれがある。かかる観点から、係止面の傾斜角度を鈍角に設定する場合には、その傾斜角度は、90度を越え150度以下が好ましく、90度を越え140度以下がより好ましい。これらの中でも、錘の保持効果に優れていることから、係止面の傾斜角度は、好ましくは80度以上150度以下であり、より好ましくは90度以上140度以下であり、さらに好ましくは90度以上120度以下である。
【0025】
なお、ボディ2の前方部には、ライン(釣り糸)を締結するための環状のライン連結部81が外側に突設されている。ライン連結部81は、例えば、両端にそれぞれ環部を有する略8の字状の金属線材の、一方の環部から構成されている。その金属線材の一方の環部をボディ2から突出させつつ、他方の環部をボディ2内の支持軸に嵌め入れ且つ金属線材の中途部をボディ2内のハウジングによって固定することにより、ライン連結部81がボディ2の外側へと突設されている。
また、ボディ2の後方部には、針を取り付けるための環状の第1針連結部82が外側に突設されている。この第1針連結部82もライン連結部81と同様に、略8の字状の金属線材から構成され、同様な構造にてボディ2に固定されている。
さらに、ボディ2の前後方向中途部の下方部には、針を取り付けるための環状の第2針連結部83が外側に突設されている。この第2針連結部83もライン連結部81と同様に略8の字状の金属線材から構成されている。
前記第1針連結部82及び第2針連結部83に取り付ける針84,85は、特に限定されず、例えば、図示したような、複数本のフックからなる複合針(例えばトレブルフックなど)、1本のフックからなる単一針などが挙げられる。
【0026】
さらに、ボディ2の前方下端部には、水流抵抗板86が外側に突設されている。この水流抵抗板86は、ボディ2と一体的に形成されている。水流抵抗板86は、ルアー1を揺れ動かす機能を有する。つまり、水中でルアー1を引っ張ったときに水流抵抗板86に水流が当たることによって、ルアー1が揺れ動く。もっとも、本発明のルアー1は、このような水流抵抗板を有さないものでもよい。
【0027】
前記ボディ2は、通常、複数の成形品を接合することによって形成される。例えば、ボディ2は、図10に示すように、左右対称一対の半割成形品A,Bを接着剤などを用いて接合することによって形成されている。このような一対の半割成形品を接合して形成されるボディ2は、その内部に移動通路3を容易に形成でき且つその移動通路3に保持部材6及び錘51,52などを容易に収納できるので好ましい。なお、図10には、第1実施形態のルアー1を構成する全ての部材(半割成形品A,B、錘51,52、保持部材6、ライン連結部81、針連結部82,83及び針84,85)が示されている。
【0028】
本発明のルアー1は、従前と同様に、ライン連結部81にラインを締結して使用される。
ルアー1は、通常時には、図3及び図4に示すように、係止面を構成する保持部材6の表面6aに最後方の錘51が吸着保持されている。最後方の錘51が保持部材6に保持された状態では、最後方以外の錘52も第1通路71内に保持される。この状態で、ルアー1の重心は前方に偏っている。このルアー1をキャスティングすると、遠心力によって、最後方の錘51が係止面から上方にずれ、最後方の錘51が保持部材6から離れて移動通路3の後方へ移動する。同時に、最後方以外の錘52も、最後方の錘51と同様に移動通路3の後方に移動する(図11参照)。なお、最後方以外の錘52が非磁性材料から形成されている場合には、その錘52は、第1通路71から段部4を越えて第2通路72へと円滑に移動する。また、最後方以外の錘52が弱く磁化される磁性材料からなる場合でも、キャスティング時の遠心力によって、保持部材6に吸着されることなく、全ての錘51,52は後方へ円滑に移動する。図11は、全ての錘51,52が移動通路3の後方に移動したときのルアー1の断面図である。全ての錘51,52が後方へ移動したルアー1は、その重心が後方に偏るので、安定的に飛行するようになる。そして、ルアー1が着水すると、第2通路72には保持部材6が設けられていないので、前記錘51,52が、移動通路3の前方に移動し、連通路73から第1通路71へと入り込む。第1通路71に最後方の錘51が入ると、その錘51が磁気吸着力によって保持部材6に吸着され、係止面に保持される(図3参照)。この際、非磁性材料からなる最後方以外の錘52は、保持部材6に吸着されないが、連通路73が1つの錘のみが通過可能な大きさに形成されているので、最後方の錘51が連通路73を塞いだ状態となって最後方以外の錘52は第1通路71内に保持される。全ての錘51,52が第1通路71内に保持されることにより(つまり、全ての錘51,52がルアー1の前方部に保持されることにより)、着水後のルアー1の重心は、前方に偏るようになる。
【0029】
本発明のルアー1は、移動通路3の中途部に、保持部材6を含む係止面を有する段部4が形成されている。この係止面は移動通路3の前方に臨む傾斜面であるため、キャスティング時にルアー1に加わる遠心力によって、その係止面に吸着された最後方の錘51は、係止面上を転がって位置ずれする。このため、本発明のルアー1は、キャスティング時に、錘51,52が移動通路3の後方へと確実に移動する。一方、ルアー1の着水後、最後方の錘51は、保持部材6の磁気吸着力によって係止面に保持されている上、その錘51は、第1通路71の底部に対して傾斜して立ち上げられている係止面によって後方へずれることが抑制される。このため、本発明のルアー1は、着水後に、錘51,52が移動通路3の前方部に確実に保持される。
【0030】
本発明のルアーは、上記実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で、様々に設計変更できる。以下に他の実施形態を説明するが、その説明において、上記実施形態と同様の構成及び効果に関する説明は、(それを説明したものとして)省略し、用語及び符号をそのまま援用する。
【0031】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、移動通路3に2つの錘51,52が収納されたルアーを例示したが、例えば、移動通路に3つの錘が収納されていてもよく、或いは、4つ以上の錘が収納されていてもよい。
図12は、例えば、4つの錘51,52,53,54が移動通路3に収納されたルアーを示している。
これらの錘のうち、最後方の錘51は磁性材料又は磁石から形成され、且つ、最後方以外の錘52,53,54は、いずれも非磁性材料又は弱く磁化される磁性材料で形成されていることが好ましいことは、上記第1実施形態と同様である。錘の数に応じて、全ての錘を第1通路71内に収納できるように、移動通路3の第1通路71の前後方向長さが設定される。
本実施形態のルアー1も、移動通路3の中途部に、ボディ2の前方に臨む係止面を有する段部4が設けられ、保持部材6の表面6aが前記係止面を構成している。もっとも、本実施形態のルアー1について、後述する第5実施形態のように、移動通路3の中途部に、ボディ2の前方に臨む係止面を有する段部4が設けられ、保持部材6が前記係止面の内側に設けられていてもよい。
【0032】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、小魚を真似た形状のボディ2を有するルアー1を例示したが、例えば、図13に示すように、ボディ2がエビを真似た形状に形成されていてもよい。このようなボディ形状を有するルアー1は、烏賊釣り用のルアーとして使用することもできる。
また、上記第1実施形態では、ボディ2に針連結部82,83が設けられているルアー1を例示したが、図13に示すように、針連結部を有さないルアー1でもよい。この場合、針87がボディ2に直接固着される。図13のルアー1は、複数のフックからなる傘状の針87がボディ2の後方部に差し込まれ且つ接着剤を用いて固着されている。なお、図示例では、ボディ2に1つの傘状の針87が取り付けられているが、2つ以上の傘状の針がボディに取り付けられていてもよい(図示せず)。
本実施形態のルアー1も、移動通路3の中途部に、ボディ2の前方に臨む係止面を有する段部4が設けられ、保持部材6の表面6aが前記係止面を構成している。もっとも、本実施形態のルアー1について、後述する第5実施形態のように、移動通路3の中途部に、ボディ2の前方に臨む係止面を有する段部4が設けられ、保持部材6が前記係止面の内側に設けられていてもよい。
【0033】
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、仕切壁部44の肉厚は均一であるが、これに限定されず、図14に示すように、孔部43に向かうに従って肉厚が徐々に小さくなった仕切壁部44でもよい。かかる仕切壁部44の表面44aは、孔部43に向かうに従って、テーパー状に傾斜したものである。仕切壁部44の表面44aがテーパー状に傾斜していることにより、係止面に吸着された錘51が孔部43に嵌まり込み且つ前記仕切壁部44の表面44aに接するようになる。このため、ルアー1を泳がしている途中に、係止面に吸着された錘51が横ぶれ及び/又は縦ぶれすることを防止できる。
本実施形態のルアー1も、移動通路3の中途部に、ボディ2の前方に臨む係止面を有する段部4が設けられ、保持部材6の表面6aが前記係止面を構成している。もっとも、本実施形態のルアー1について、後述する第5実施形態のように、移動通路3の中途部に、ボディ2の前方に臨む係止面を有する段部4が設けられ、保持部材6が前記係止面の内側に設けられていてもよい。
【0034】
<第5実施形態>
さらに、上記第1実施形態では、係止面が保持部材6の表面6aから構成されたルアー1を例示したが、移動通路3の中途部に、ボディ2の前方に臨む係止面を有する段部4が設けられ、その保持部材6が係止面の内側に設けられていてもよい。
例えば、図15に示すように、保持部材6が係止面の内側に設けられていてもよい。
具体的には、移動通路3には、ボディ2の前方に臨む係止面を有する段部4が突設されている。この段部4には、第1実施形態と同様に、保持部材6を収容できる凹部42が形成されている。この凹部42の前方全体を塞ぐように、板状の仕切壁部45が設けられている。つまり、第1実施形態の仕切壁部44は孔部43を有するが、第5実施形態では、孔部を有さない仕切壁部45が凹部42の前方に設けられている。仕切壁部45は、磁気吸着力の透過を阻害しない材料及び肉厚で形成されている。この凹部42と仕切壁部45とで囲われる空間内に保持部材6が入れられている。従って、第5実施形態では、保持部材6は移動通路3に露出しておらず、係止面は、仕切壁部45の表面45aで構成されている。なお、前記仕切壁部は、段部4の一部分でもある。この仕切壁部45の表面45a(つまり、係止面)の内側には、保持部材6が設けられているので、係止面に接した最後方の錘51は、保持部材6の磁気吸着力によって、係止面に吸着保持される。
第5実施形態のルアー1も、第1実施形態のルアーと同様に、キャスティング時には、錘51,52が移動通路3の後方へと確実に移動し、一方、着水後には、最後方の錘51が係止面に確実に保持される。
【0035】
<第6実施形態>
第6実施形態は、上記第1実施形態で説明した、係止面が第1通路の底部に対して傾斜されたルアーの様々なバリエーションである。
図16に示すルアーは、係止面が第1通路71の底部31aに対して鈍角に傾斜されている(係止面の上方部が係止面の下方部よりも後方側に倒れた形態である)。さらに、第2通路72が後方に向かうに従って緩やかに下方に傾斜している。また、段部4の突出高さは、錘51の直径の1/2倍以上且つ錘51の直径以下である。なお、仕切壁部は設けられておらず、係止面は、ほとんど実質的に保持部材6の表面6aのみから構成されている。
図17に示すルアーは、係止面が第1通路71の底部31aに対して鈍角に傾斜されている。さらに、第2通路72が後方に向かうに従って緩やかに下方に傾斜している。また、段部4の突出高さは、錘51の直径以上且つ錘51の5/4倍以下である。なお、仕切壁部は設けられておらず、係止面は、保持部材6の表面6aと段部4の表面とから構成されている。
図18に示すルアーは、係止面が第1通路71の底部31aに対して鈍角に傾斜されている。さらに、上記第1実施形態では、第1通路71と第2通路72が上下にずれて配置されているルアー1を例示したが、図18の例では、第1通路71と第2通路72が第1方向に直線状に配置されている。この場合、段部4は移動通路3の中途部の一部を突出させることによって形成される。なお、仕切壁部は設けられておらず、係止面は、ほとんど実質的に保持部材6の表面6aのみから構成されている。
【0036】
図16乃至図18に示す各例のルアー1は、仕切壁部が設けられていないため、保持部材6の表面6aの全部が移動通路3内に露出している。仕切壁部を有さないルアー1にあっては、保持部材6は、固定手段(例えば、接着剤など)を用いて段部4に固定される。
なお、第6実施形態の各例のルアー1についても、係止面が保持部材6の表面6aから構成される場合に限定されず、これに代えて、移動通路3の中途部にボディ2の前方に臨む係止面を有する段部4が設けられていてもよい(第5実施形態参照)。
また、第6実施形態の各例のルアー1ついても、第1実施形態などと同様に、保持部材6の表面6aに仕切壁部が被さっていてもよい。
【0037】
<第7実施形態>
第7実施形態のルアーは、図19に示すように、仕切壁部46が正面視略U字状の切り欠き部47を有する。すなわち、上記第1実施形態のルアー1は、図9などに示すように、仕切壁部44に孔部43が設けられ且つその孔部43から保持部材6の表面6aの一部が露出されている。第7実施形態のルアー1は、仕切壁部46に切り欠き部47が設けられ且つその切り欠き部47から保持部材6の表面6aの一部が露出されている。第7実施形態のルアー1も、係止面は、保持部材6の表面6aと仕切壁部46の表面46aとから構成されている。
【0038】
<第8実施形態>
上記各実施形態における、2つ以上の錘が移動通路に収納されたルアーについて、全ての錘は同形同大であったが、複数の錘から選ばれる少なくとも2つの錘が異形異大でもよく、或いは、大きさの異なる相似形であってもよい。この場合、最後方の錘は、最も小さい錘(最も重量の小さい錘)とすることが好ましい。
例えば、図20は、2つの錘51,52が移動通路3に収納されたルアー1であって、最後方の錘51は、それ以外の錘52よりも小さく且つ低重量である。かかるルアー1は、最後方の錘51が係止面の保持部材6に吸着保持された状態では、それ以外の錘52は、第1通路71内に保持される。かかるルアー1は、最後方の錘以外の錘52が、最後方の錘51よりも重量が大きいので、全ての錘51,52が第1通路71内に保持された際、ルアー1の重心が特に前方に寄るので好ましい。図20の二点鎖線は、錘51,52が後方に移動したときの状態を示している。
なお、図20では、エビを真似た形状のボディ2を有するルアー1を例示しているが、ボディ2が小魚を真似た形状でもよい。また、2つの傘状の針87は、1つでもよく、さらに、傘状の針87に代えてフック状の針を用いてもよい。
【0039】
<第9実施形態>
上記各実施形態のルアー1は、第1通路71の底部が前後方向とほぼ平行に延設されているが、例えば、第1通路71の底部31aが前後方向に対して傾斜する部分を有していてもよい(図示せず)。また、第1通路71の底部31aの全体が前後方向に対して傾斜していてもよい(図示せず)。
【0040】
<第10実施形態>
上記各実施形態のルアー1は、第1通路71の幅(第1通路71の左右方向の長さ)が錘52の直径よりも僅かに大きかったが、例えば、図21及び図22に示すように、第1通路71の幅が、錘52の直径よりも随分と大きくてもよい。例えば、第1通路71の幅が、錘52の直径の1.5倍〜4倍であり、好ましくは錘52の直径の2倍〜3倍である。このような第1通路71を有するルアー1は、最後方の錘51が保持部材6に保持された状態で、第1通路71内に保持された最後方以外の錘52が第1通路71内において左右方向に移動可能である。錘52が左右方向に移動することにより、本実施形態のルアー1は、上記各実施形態とは異なるアクションで泳がすことが可能となる。
【0041】
<他の実施形態>
上記第1乃至第10実施形態において様々な構成を説明したが、これらの実施形態から選ばれる1つ又は複数の特徴を、他の実施形態の特徴に置換、組み合わせなどしてもよい。
また、本発明のルアーは、上記各実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々に設計変更できる。
【符号の説明】
【0042】
1 ルアー
2 ボディ
3 移動通路
31a 底部
4 段部
51,52、53,54 錘
6 保持部材
6a,44a,45a,46a 係止面
71 第1通路
72 第2通路
73 連通路
【要約】
本発明に係るルアー1は、ボディ2と、前記ボディ2の内部に延設され且つ底部を有する移動通路3と、前記移動通路3内に前後に移動可能に収納された1つ又は独立した2つ以上の錘51,52と、磁気吸着力によって前記錘51を吸着可能な保持部材6であって、磁石又は磁性材料から形成された保持部材6と、を有し、前記移動通路3の中途部には、ボディ2の前方に臨む係止面を有する段部4が設けられ、前記保持部材6の表面が前記係止面を構成している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22