【実施例】
【0025】
(第1の実施例)
図1は本発明アイリス面空間結像制御型画像表示装置の第1の実施例を示す斜視図である。
図において、2は光源であり、本例ではLED(発光ダイオード)が用いられている。4は上記光源2からの光を入射面にて受ける
ロッドライクインテグレータであり、この
ロッドライクインテグレータ4は光源2からの光の強度を空間的に均一にして出力面から出射する
手段を成す。
尚、
光の強度を空間的に均一にして出力面から出射する手段としては、フライアイレンズ2枚又はレンチキュラーレンズ2枚を互いにレンズの焦点距離だけ離して設置したレンズの組を二組互いに直交させたものを用いるようにしても良い。
6は
ロッドライクインテグレータ4の出力面側に配置された拡散フィルムで、角度的に均一にする役割を果たす。
【0026】
拡散フィルム6は、本例では、本願出願人(国立大学法人東北大学)で開発されたDiffuse Light Control−film(D.L.C.−film)を2枚拡散方向が互いに直交するように積層したものである。
その積層されたD.L.C.−filmは、入射角度無依存のトップハット的均一拡散特性を有するので、角度的に均一な
光強度を実現する手段としての役割を果たすことができる。従って、拡散フィルム6の出力面からは空間的にも角度的にも均一な光が出射される。
【0027】
8は上記拡散フィルム6の出力面に近接して設けられたレンズであり、その焦点距離はf1である。このレンズ8の働きにより、レンズ8から出射側へその焦点距離f1(=a)離れた面には、角度的情報と空間的位置情報が入れ換わり、空間的にも角度的にも均一な光の面が拡大して照射される。
10は上記レンズ8からこれの焦点距離f1(=a)だけ出射側へずれた上述の位置に配置されたフレネルレンズであり、その焦点距離はf2である。12はこのフレネルレンズ10の出射面に近接して配置された透過型の光変調手段であり、本例では、バックライトを有さず、光拡散特性のない液晶パネル(LCDパネル)を用いている。
【0028】
上記レンズ8からその焦点距離f1(=a)だけ離れた位置に上述したようにフレネルレンズ10と光変調手段12が配置されているので、フレネルレンズ8に入射した角度的にも空間的にも均一にされた光は、その面における光は光変調手段12により変調され、(1/a)+(1/b)=1/f2という条件を満たす距離bだけ光変調手段12から出射側へ離間したところに結像する面14ができる。
この面14は、ホモジェナイザー4の出射面に設けられた拡散フィルム6の出射面と共役関係にあり、そのため、空間的にも角度的にも均一な面になっている。そこで、本明細書では、この面14を空間結像アイリス面と呼ぶこととする。
【0029】
その空間結像アイリス面14内に人間の眼を入れると、眼の水晶体が角度情報である画像情報が位置情報として網膜に結像されるために空間的に均一な画像を視ることが可能になる。
更に、空間結像アイリス面14内で眼を動かしても、空間均一性はそのアイリス面14内において実現しているので、見ている画像全体の明るさも一定となる。
【0030】
このようなアイリス面空間結像制御型画像表示装置によれば、光変調手段としてバックライトがなく光拡散特性のない液晶パネル(LCDパネル)を用いているので、画像光が拡散することがない。従って、視野角を著しく狭くすることができ、延いては省エネ効果を得ることができる。
図2はその省エネ効果の説明図である。同図において、省エネ効果はS2/S1であり、そのS2/S1は次式で表される。尚、S1は通常の光拡散特性を有するようにした装置の光が拡散する立体角、S2は本実施例の装置の光が拡散する立体角、rは眼からスクリーンまでの距離である。
【0031】
S2/S1=π(r・tanθ)2/(2πr2)=(tanθ)2
人には両眼があるので、省エネ効果=2×(tanθ)2 /2=(tanθ)2となる。
今、3m離れた位置で空間結像アイリス面の直径を6cmとすると、tanθ=3cm/3m=1/100であるので、省エネ効果=(tanθ)2=1/10000となり、1/10000の超低消費電力が1人分について成立することになる。仮に、10人が見ていても1/1000の超低消費電力が実現する。液晶パネル.のバックライトの消費電力が液晶パネル全体の消費電力の90%〜95%を占めていることから考えても、上記技術の効果は大きい。
【0032】
(変形例1)
なお、上記第1の実施例において、透過型光変調手段、例えばバックライトがなく拡散特性を有しない液晶パネル12を、レンズ10と近接した位置ではなく、レンズ10から物体面側、即ちレンズ8側に、レンズ10の焦点距離f2以内の距離離間した位置に配置するようにしてもよい。
このようにすれば、観察者側からは透過型光変調手段12による虚像をレンズ(焦点距離f2のレンズ)10により拡大して視認することができる。
(変形例2)
また、光源2として、R(赤)、G(緑)、B(青)を発光する3個の発光手段を内蔵し、一定の順序でその発光する発光手段を切り換えることができるRGBシーケンシャル光源を用いると、画像変調手段として白黒用のものを用いてもカラーアイリス面空間結像制御型画像表示装置を実現することができる。
即ち、60秒間を3等分した180分の1秒間毎にRGBシーケンシャル光源2で発光する光の色を例えば赤(R)、緑(G)、青(B)、赤(R)、緑(G)、青(B)、・・・の順に切り換えるようにする。そして、それに同期して透過型光変調手段12の画像情報のカラー成分を赤(R)、緑(G)、青(B)、赤(R)、緑(G)、青(B)、・・・の順に切り換えるようにする。すると、画像変調手段として白黒用のものを用いてもカラーアイリス面空間結像制御型画像表示装置を実現することができる。
【0033】
(第2の実施例)
図3は本発明アイリス面空間結像制御型画像表示装置の第2の実施例を示す斜視図であり、この実施例は、
図1に示した第1の実施例とは、光源2、
ロッドライクインテグレータ4を複数個ずつ設けることによりそれぞれアレイ化したものである点で異なるが、それ以外の点では共通する。
本実施例が光源2、
ロッドライクインテグレータ4をアレイ化するのは、観察者が複数人存在し得る場合とか、一人或いは少数の観察者が眼の位置を変え得る場合において、実際に観察者(の眼)が存在するエリアのアイリス面14のみに画像が生じされるようにし、観察者(の眼)が存在しないエリアには画像を表示しないようにし、画像表示に費やすエネルギーに無駄が生じないようにするためである。
【0034】
図面において、2aは多数の光源2、2、・・・をアレイ化して配置した光源アレイであり、4aは光源アレイ2aの各光源2、2、・・・に対応して設けられた
ロッドライクインテグレータ4、4、・・・からなる
ロッドライクインテグレ−タアレイであり、その各
ロッドライクインテグレ−タ4、4、・・・はそれぞれ自己と対応する光源2からの光を入射面にて受け、出射面から出射する。
ロッドライクインテグレ−タアレイ
4aの出射面には拡散フィルム6が配置され、出力面からは空間的にも角度的にも均一な強度分布の光が出射されること、第1の実施例と同じである。
8は上記拡散フィルム6の出力面に近接して設けられたレンズであり、その焦点距離はf1である。そのレンズ8からその焦点距離f1と等しい距離a離れたところにフレネルレンズ10(その焦点距離がf2)が配置されており、そのフレネルレンズ10に近接して光変調手段(例えばバックライトがなく、拡散特性を有しない液晶パネル)12が配置されている。
【0035】
このような実施例によれば、フレネルレンズ10及び光変調手段12が近接して配置された位置から等式(1/a)+(1/b)=1/f2を満たす距離b出射側に離間した位置に、光源アレイ2aの各光源2、2、・・・から出射され
ロッドライクインテグレータアレイ4aの各
ロッドライクインテグレータ4、4、・・・に入射し光変調手段12によって変調された光によるアイリス面14、14、・・・がアレイ状に形成される。14aはアイリス面アレイである。
そして、カメラ技術で普及している顔認識システムやアイトラッキンングに関する既知の技術によって、観察者の位置を検出し、検出した観察者に対応する光源2のみをオンする(点灯させる)ことにより、必要なエリアには画像表示をするが、観察者がおらず、従って画像表示を必要としないエリアには画像表示をしないようにすることができる。
以て、画像表示に費やすエネルギーに無駄が生じないようにすることができる。
尚、本例では、光源2、2、・・・及び
ロッドライクインテグレータ4、4、・・・が二次元アレイ状に配置されていたが、一次元アレイ状に配置されるようにしても良い。
【0036】
(第3の実施例)
図4は本発明アイリス面空間結像制御型画像表示装置の第3の実施例を示す斜視図である。
本実施例は、
図3に示したリア型アイリス面空間結像制御型画像表示装置である第2の実施例をフロント型の画像表示装置に変形させたものであり、装置の薄型化、小型化を図ることができる。
なお、本実施例は、
図3に示した実施例とは、フロント型にするために必要な手段が講じられている点で相違するが、それ以外の点では共通する。
【0037】
同図において、2aは複数の光源2、2、・・・からなる光源アレイ、4aは各光源2、2、・・・に対応して設けられた
ロッドライクインテグレータ4、4、・・・からなる
ロッドライクインテグレータアレイである。6は拡散フィルムであり、例えば第1、第2の実施例の拡散フィルムと同じものが使用されており、
ロッドライクインテグレータアレイ4aからの光を入射角度無依存のトップハット的均一拡散特性を有する。従って、拡散フィルム6の出射面からは、空間的にも角度的にも均一な光強度の光が出射される。
【0038】
16は上記拡散フィルム6の出射面に近接して配置されたレンズであり、第2の実施例或いは第1の実施例のレンズ8に相当する役割を果たし、本例では非球面非軸レンズが用いられている。このレンズ16の焦点距離はf1である。
18はレンズ16からの光を反射する非軸非球面反射鏡ミラーであり、本例では非球面非軸ミラーが設けられており、表示装置をリア型からフロント型にするのに一つの役割を果たす。
10rは非軸非球面フレネル反射鏡であり、第1、第2の実施例のフレネルレンズ10に相当する役割を果たすが、透過性を有さず、反射性を有する点で、第1、第2の実施例のフレネルレンズ10とは異なる。
【0039】
12は光変調手段であり、非軸非球面フレネル反射鏡10rの前方(観察者側)に近接して配置されており、その反射鏡10rで反射された光を変調する。
この近接して配置された光変調手段12及び非軸非球面フレネル反射鏡10rは、レンズ16からミラー18を経て自身12、10rに達する光路長がレンズ16の焦点距離f1と同じ距離aになるところに配置されている。
そして、光変調手段12及び非軸非球面フレネル反射鏡10rから光出射側に等式(1/a)+(1/b)=1/f2を満たす距離b出射側に離間した位置に、光源アレイ2aの各光源2、2、・・・から出射され
ロッドライクインテグレータアレイ4aの各
ロッドライクインテグレータ4、4、・・・に入射し光変調手段12によって変調された光によるアイリス面14、14、・・・がアレイ状に形成される。
【0040】
このようにすれば、光源アレイ2aや
ロッドライクインテグレータアレイ4aを光変調手段12及び非軸非球面フレネル反射鏡10rよりも観察者側にすることができ、延いてはアイリス面空間結像制御型画像表示装置の薄型化、小型化を図ることができる。
尚、本実施例は、光源2及び
ロッドライクインテグレータ4をアレイ化した第2の実施例をフロント型化したものであるが、第1の実施例のように光源2及び
ロッドライクインテグレータ4をアレイ化しないタイプのリア型画像表示装置をフロント型化するという態様でも本発明を実施することができる。