【実施例1】
【0012】
次に、本発明の好ましい実施の例をブラジャーのバックベルトに装着するものとして図面を参照して説明する。図中1は受体を示している。この受体1は平坦なプラスチック板で成形されており、作用方向に直交する挿し込み部2、2が平行状態で形成されている。そして、この挿し込み部2、2はスリットとされており、その受け入れ側には凹んだアール面を有する、後述する挿し込み片の挿し込みガイドとなるテーパ面3、3が形成されている。
【0013】
また、前記した挿し込み部2、2と沿って形成されるテーパ面3、3の先端は下方へ屈曲突出(切り起こし)されて、後述する挿し込み片の係合部4、4となっている。
【0014】
一方、図中5は挿し込み体を示し、この挿し込み体5も受体1と同質の平坦なプラスチックによって成形されている。この挿し込み体5は、先端側に下方に向け断面が略L字状の挿し込み片6が一体に形成されているもので、この挿し込み片6を含め、全体としてクランク状となっている。また、この挿し込み片6の後面はやや鋭角とすることで滑りが抑制され、係合効率が向上する。
【0015】
ここで、挿し込み片6を受体1のテーパ面3に沿って挿し込み部2内に挿入し、挿し込み体5を受体1と平行状態とすることで、挿し込み片6の後壁が係合部4と係合し、連結状態が完了する。ここで、受体1、挿し込み体5のいずれも、あるいは一方が伸縮性のある素材の端部に装備されていると、その素材の引張力によって、この係合状態は良好に保持されることとなる。
【0016】
後に詳述する装着工程のように、受体1及び挿し込み体5は各々二折りして重合されたベース地7、7、特に、フレンチパイル(ラッチパイル)上に一体的に固定される。この一体化はインサート成形によっても行なわれる。特に、挿し込み体5はベース地7の折り目部分から、挿し込み片6が突出される状態で装着される。受体1にあっては、ベース地7の受体1と当接する一枚に挿し込み部2、2からカッター刃によりスリットカットを行ない。挿し込み片6が、その受体1と当接するベース地7の下方へ滑り込むことができる構成とする。
【0017】
また、前記したベース地7、7は各々、ブラジャーのバックベルトの両端部へ縫着固定されることとなり、使用者の背面になるべくフィットして沿うよう、緩やかなアールが付けられている。
【0018】
さらに、
図3、
図4として示すのは本発明に係る連結部材の別の実施例である。受体1aと挿し込み体5aとによる挿し込み部2aと挿し込み片6aとの係合構造は、前記した実施例と同様であるが、この場合は、挿し込み片6aの後面に係合を補強する補助部8が突片状として一体に形成されており、この補助部8によって、外圧、外衝による外れ防止の効果が向上する。
【0019】
そして、
図5乃至
図8として示すのは、各受体、挿し込み体にデザインを施し、使用者の趣味感も満足させることができるように図った例である。
図5乃至
図8にあっていずれもAは分離状態、Bは端部寄りの挿し込み部に挿し込み片を挿し込んだ状態、Cは二つ目の挿し込み部を使用した状態を示している。
【0020】
図5にあっては受体1b、挿し込み体5bともに正方形板を位置をずらせて重ねたような立体模様を施してあり、挿し込み片6bを挿し込み部2bに挿し込んで連結状態とした際に、前記正方形が連続するような外観となる。
図6にあっては受体1cの中央部分をくびらせた形状とし、挿し込み体5cは先端に向けて、徐々に幅狭のものとしてあり、特に、二つ目の挿し込み部2cに挿し込み片6cを挿し込んだ場合、全体としてX字状のような外観となる。
【0021】
また、
図7にあっては受体1dを、中程をくびれさせた二つの円が連続する形状とし、挿し込み体5dは略円形として、その端部に挿し込み片6dを突出させた形状としている。端部寄りの挿し込み部2dに挿し込み片6dを挿し込んだ場合は、あたかも三つの円形が連続する外観となり、二つ目の挿し込み部2dを使用した場合、二つの円が連続するダルマ状の外観となる。
図8にあっては、受体1e、挿し込み体5eともに半楕円形状に形成してあり、挿し込み片6eをいずれの挿し込み部2eに挿し込んでも全体として楕円形状の外観となる。
【0022】
図9として示すのは、受体1のベース地7への装着工程である。縫着の行ない易さからフレンチパイル(ラッチパイル)を使用したベース地7は平坦なまま、あるいは二重に折り返され、その上面に受体1を重ね、金型に挿入してインサート成形される。この成形は、接着材等の使用でも可能である。ベース地7を平坦として使用した時は、そのままで、又、折り返して使用した時は、そのベース地7を開いて平坦とし、挿し込み部2、2にカッターの刃先を入れ、ベース地7をスリットカット9する。そして、そのスリットカット9、9がなされたベース地7を二折りして重合し、その重合縁は溶着10を行なう。このベース地7をブラジャーのバックベルトに縫着する場合には、前記溶着10部分にはかがり縫いを施し、肌への接触感を和らげ、良好なものとする。
【0023】
さらに、
図10として示すのは、挿し込み体5のベース地7への装着工程である。フレンチパイル(ラッチパイル)を使用したベース地7を二折りして重合し、その重合端縁から挿し込み片6が突出する状態で挿し込み体5を重ね、これを金型に挿入してインサート成形される。この成形も接着材等の使用でも可能である。こうして成形後はベース地7の重合縁は溶着10を行なう。このベース地7をブラジャーのバックベルトに縫着する際には、溶着10部分にかがり縫いを行なうことは受体1の装着工程と同様である。
【0024】
図11として示すのは、受体1fと挿し込み体5fからなる連結部材であって、
図3、
図4として示した実施例と同様に、挿し込み体5fの挿し込み片6fの後面に係合を補強する補助部8fを突片状として一体に形成したものであり、補助部8fの後方への張り出しが、
図3、
図4として示した実施例よりも大きく形成されている。このように補助部8fの後方への張り出しを大きくすることにより、受体1fと挿し込み体5fの係合をより強固なものとすることができる。
【0025】
そして、前記受体1fの裏面には、前記補助部8fの後端が挿入できる窪み11を設けており、
図11(b)に示すように、前記挿し込み片6fを前記受体1fの挿し込み部2fに挿し込んだ状態で前記挿し込み体5fを直立状態とした時に、前記補助部8fの後端部分が前記窪み11に挿入されて直立状態が保たれる。
【0026】
さらに、
図11に示す前記挿し込み体5fの前記挿し込み片6fには、断面形状が先端に向かって細くなるテーパー形状を用いている。このようなテーパー形状を用いることにより、前記挿し込み片6fをスムーズに挿し込み部2fに挿し込むことができる。また、前記挿し込み片6fの平面形状を先端に向かって幅が狭くなるテーパー形状とすることによって、同じ効果をもたらすことも可能である。
【0027】
図12として示すのは、受体1gと挿し込み体5gからなる連結部材であって、受体1gと挿し込み体5gにそれぞれ複数の通気孔12を設けた実施例である。前記通気孔12は円形で、受体1gに4個、挿し込み体5gに5個設けている。このような通気孔12を設けることにより、ベース地の乾燥を容易にすることが可能となる。前記通気孔12の形状は円形に限定するものではなく、また個数や大きさについても本実施例に限定するものはなく、受体1gと挿し込み体5gの強度を損なわない範囲で、形状、大きさおよび個数を適宜決定することができる。
【0028】
そして、
図12に示している挿し込み体5gの挿し込み片6gの平面形状は先端が先細りのテーパー形状を用いている。このようなテーパー形状を用いることで、前記挿し込み片6gをスムーズに挿し込み部2gに挿し込むことができる。
【0029】
図13として示すのは、受体1hと挿し込み体5hからなる連結部材であって、受体1hの挿し込み部2hであるスリットを補強リブ13によって2つに分割したものである。これに伴い、前記挿し込み体5hの挿し込み片6hも2つに分割しており、分割された2つの挿し込み片6hが分割された挿し込み部2hのそれぞれに挿入されて結合される。補強リブ13を設けることにより、連結部材を繰り返し使用した場合に挿し込み部2hのスリットが広がり結合状態が弱くなるのを防ぐことが可能となる。1つの挿し込み部に補強リブを複数設けることも可能である。
【0030】
図14として示すのは、受体1iと挿し込み体5iからなる連結部材であって、挿し込み体5iの挿し込み片6iの後面に係合を補強する補助部8iを突片状として一体に形成したものであり、補助部8iの上面に勾配を設けてはずれを防止したものである。さらに、前記受体1iの裏面には、前記補助部8iの後端の勾配に合わせた窪み11iを設けることにより、さらに外れ難くしたものである。
【0031】
ここまで、様々な形態の連結部材について述べてきたが、連結部材に使用する材質としては、弾性良好な樹脂を用いることが好ましい。このような材質を用いることで折り曲げても復元する性質を有することが繰り返し使用する連結部材には求められる。さらに、受体と挿し込み体の外周には、肌触りをよくするために軟質材を用い、さらに、受体のスリット周辺と挿し込み片には、強度が必要となるので硬質材を用いた複合材質を使用することが好ましい。