特許第5747422号(P5747422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許57474222段階射出成形工程を利用して同じ樹脂層で成形された厚レンズ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747422
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】2段階射出成形工程を利用して同じ樹脂層で成形された厚レンズ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20150625BHJP
   B29C 45/56 20060101ALI20150625BHJP
   B29C 45/70 20060101ALI20150625BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20150625BHJP
   B29L 11/00 20060101ALN20150625BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B29C45/56
   B29C45/70
   G02B3/00 Z
   B29L11:00
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-550279(P2012-550279)
(86)(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公表番号】特表2013-517963(P2013-517963A)
(43)【公表日】2013年5月20日
(86)【国際出願番号】CA2011000129
(87)【国際公開番号】WO2011091529
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2013年8月2日
(31)【優先権主張番号】61/300,201
(32)【優先日】2010年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512195809
【氏名又は名称】ディビーエムレフレックス エンタプライズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ショケー,エリック
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−238653(JP,A)
【文献】 特開2008−107490(JP,A)
【文献】 国際公開第94/023929(WO,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02691219(CA,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01857246(EP,A1)
【文献】 米国特許第06290882(US,B1)
【文献】 特開平09−225961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
B29C 45/70
G02B 3/00
B29L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モールドキャップとモールドコアの間に第1モールド空間を形成し、このとき、前記第1モールドキャップはキャップ射出面を有し、前記モールドコアはコア射出面と2つ以上の互いに離れた凹形状の窪みを有し、それぞれの凹形状の窪みは所定の深さと幅と長さを有する2つの側壁を有する段階;
第1モールドゲートを通じて第1モールド空間に溶融光学材料を注入し、このとき、前記モールドゲートは凹形状の窪みの反対側に位置し、凹形状の窪みの側壁に沿って並んだ方向に凹形状の窪みの長さに沿って第1モールド空間に成形材料が流れる段階;
第1モールド空間の光学材料を冷却し、このとき、光学材料が凹形状の窪みの側壁と冷間接触し、冷却が終わるときに光学要素の第1区間が形成され、この第1区間は凹形状の窪み内に位置する成形材料で形成される少なくとも2つの長いバッフルを含み、それぞれのバッフルが正面、背面、および2つの側面を有する段階;
光学要素の第1区間と第2モールドキャップの間に第2モールド空間を形成する段階;および
第2モールドゲートを通じて第2モールド空間に光学材料を注入し、このとき、第2モールドゲートがバッフルの2側面と整列して生じた2つの隙間を通じて溶融光学材料が流れる段階;
を含むことを特徴とする、光学要素の射出成形方法。
【請求項2】
2段階過程の2回注入を通じて1つの溶融材料を注入してモールドで射出成形法によって製作された光学レンズであって、
第1輪郭を有する第1表面、
第2輪郭を有する第2表面、
第1表面と第2表面の間に形成され、光が第1表面に入射して第2表面から出射し、第1表面で1回目注入がなされて第2表面で2回目注入がなされるレンズ本体、
第1輪郭に位置する第1モールドゲート、
第2輪郭に位置する第2モールドゲート、
1回目注入時、第1モールドゲートを通じて第1輪郭内に注入される2つ以上の互いに離隔した連続流れを含む第1溶融物パターン、および
2回目注入時、第2モールドゲートを通じて第2輪郭内に注入される2つ以上の互いに離隔した連続流れを含む第2溶融物パターン、
を含ことを特徴とする、光学レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体状態光源と射出成形レンズを有する照明装置に関し、より詳しくは、射出成形工程によって歪曲なく製作された厚い射出成形レンズとLED光源を有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱灯を光源として採択しながら光学レンズを利用する照明装置が多く存在する。白熱灯で生じた熱は、赤外線スペクトルを除去したり減らしたりするIRフィルタとコールドミラー(coldmirror)を使用して減らす。この方式は、ガラスレンズに生じる熱を低め、レンズが適切に作動するようにする。
【0003】
固体状態光源とこのような光源を使用する光学装置は、バーコードリーダ(reader)、光通信装置、平板ディスプレイ、CD/DVDプレーヤ、自動車、医療装備などに広く使用されてきた。
【0004】
最近では、白色LEDと特殊設計されたレンズを自動車ヘッドライトに適用している。このようなレンズは相対的に厚くなければならず、LEDが白熱灯のように熱を出さないため、プラスチックでレンズを製作することもできる。
【0005】
しかし、厚い射出成形レンズは、冷却過程において縮小しながら精密度と性能が低下するため、製作が容易でない。
【0006】
既存の射出成形法を利用しようとすれば、高価な装備とより精密な調整装置が必要となり、生産一貫性や表面精密度のようなレンズの品質を害する射出成形上の問題点が生じる。
【0007】
2つ以上の樹脂層を重ねて射出するロータリモールドやシャトルモールドのような多段射出法も数年に渡って利用されてきた。レンズの形状と曲律においてより厳格な誤差が求められる場合、この方法では厚レンズの許容誤差を保障することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するために案出されたものであって、注入空間の溶融材料の流量を最適化して冷却を改善することによってサイクル時間の競争力を改善する射出成形装備と方法を利用することにより、厚いプラスチック成形レンズの寸法と機能上の許容誤差をより一貫性を有するように保障することを目的とする。このために、レンズの主要寸法比を規定する標準規格の厚レンズを形成する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、同じ樹脂を2つの空間に注入する2段射出工程を利用して製作された厚い射出成形レンズを利用する新たな固体状態照明装置に関する。1次注入時、所定量の溶融樹脂を注入して厚レンズの1番目層を生成する。この層は、モールドゲートと一致する少なくとも2つの長いバッフルを含む。2次注入時、1番目層がモールド空間の一部分となり、同じ材料を1番目層上に注入するが、このとき、他のモールドゲートを通じて前記バッフルの間に注入する。このモールドゲートはバッフルと整列状態をなすため、バッフルに沿って2次注入のための充填経路が形成される。また、モールドの換気を適切にして気体を取り除くことにより、レンズ内部に気泡が全く生じない。
【0010】
また、1番目層の前記バッフルは、形状や大きさが類似するか相違することができる。
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1LED光源と厚いガラスレンズを利用する自動車ヘッドランプの断面図である。
図2回注入によって製作された本発明の厚いプラスチックレンズの断面図である。
図3回注入によって製作された本発明の厚いプラスチックレンズとLED光源を使用する自動車ヘッドランプの断面図である。
図4本発明の厚いプラスチックレンズを製作するための射出成型装置の斜視図である。
図5本発明の厚いプラスチックレンズを製作するための射出成型装置の断面図である。
図6図6aは、本発明の射出成形法によって1回注入して成形された成形材料の断面図である。図6bは、本発明の射出成形法によって2回注入して成形された成形材料の断面図である。
図7図7aは、多次注入法によって多数の層を重ねて成形した本発明の厚いプラスチックレンズの1番目層の斜視図であって、レンズに6つの長いバッフルが付いている。図7bは、多次注入法によって多数の層を重ねて成形した本発明の厚いプラスチックレンズ斜視図である。
図8図7厚いプラスチックレンズの写真である
図9】2回の注入によって厚レンズを製作する過程を示す断面図である。
図10】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
図11】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
図12】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
図13】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
図14】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
図15】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
図16】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
図17】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
図18】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
図19】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
図20】長いバッフルを使用して厚レンズを生成する過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、LED11を使用する車用ランプ10を示している。本発明によって同じ樹脂を2段階射出を利用して製作された新たな内蔵型厚レンズ、このようなレンズと射出成形要素を利用する新たなLED型照明システム、およびこのようなレンズを製作する装備が図〜20に示されている。

図1
図2
図3
図4
図5
図6a-6b】
図6c
図6d
図7
図8a
図8b
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図9