(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747504
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】単相電力調整装置における二倍周波数リップル電力を最小にする方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20150625BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20150625BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20150625BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02J9/06 120
H02J7/00 303E
H02J7/35 A
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-529052(P2010-529052)
(86)(22)【出願日】2008年10月9日
(65)【公表番号】特表2011-501635(P2011-501635A)
(43)【公表日】2011年1月6日
(86)【国際出願番号】US2008079396
(87)【国際公開番号】WO2009049079
(87)【国際公開日】20090416
【審査請求日】2011年9月29日
(31)【優先権主張番号】11/871,015
(32)【優先日】2007年10月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クレイン,フィリップ,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】バログ,ロバート,エス.,ジュニア
【審査官】
松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−014108(JP,A)
【文献】
特開2006−271095(JP,A)
【文献】
特開平7−79567(JP,A)
【文献】
特開平7−322623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M7/00−7/98
H02J3/00−5/00
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H02J9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷とエネルギー源との間で交換される二倍周波数リップル電力を低減させる方法であって、前記エネルギー源は単相電力調整装置を介して出力電力を前記負荷に伝えるように構成され、前記方法は、
前記電力調整装置の出力の第1AC波形の(i)周波数および(ii)第1位相シフトを検出し、前記出力は前記負荷に電気的に接続され、
前記電力調整装置の平均AC出力電力を算出し、
前記電力調整装置に電気的に接続されたエネルギー貯蔵装置で第2AC波形を生成し、前記第2AC波形は、(i)前記第1AC波形の前記周波数と同じ周波数、(ii)前記平均AC出力電力に基づく振幅、および(iii)45°から前記第1AC波形の前記第1位相シフトに応じた量を減じたものに等しい位相シフトを有する、
方法。
【請求項2】
前記エネルギー貯蔵装置はフィルムコンデンサー、又はインダクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エネルギー貯蔵装置は、前記エネルギー貯蔵装置内へ及び外への電力の流れを制御するインターフェースを介して、前記電力調整装置に連結されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インターフェースは電力変換器、又は電力インバーターである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エネルギー源は光起電性配列、又は燃料電池である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2AC波形は、前記エネルギー貯蔵装置から前記電力調整装置へ流れる電力を調整する制御ユニットにより制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2AC波形の制御は、パルス幅変調(PWM)、デルタ変調、又はヒステリシス制御により実施される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記エネルギー貯蔵装置は前記電力調整装置と一体となっている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エネルギー源から供給されている前記電力は、前記電力調整装置の前記出力へ伝えられる電力と前記エネルギー貯蔵装置へ伝えられる前記電力との和である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
負荷とエネルギー源との間で交換される二倍周波数リップル電力を低減させる装置であって、前記エネルギー源は単相電力調整装置を介して電気エネルギーを前記負荷に伝えるように構成され、前記装置は、
前記エネルギー源に連結され、入力電量を前記エネルギー源から受け取り、前記負荷に電気的に接続されてAC出力電力を前記負荷に伝える電力調整装置と、
前記電力調整装置に電気的に接続されたエネルギー貯蔵装置と、
前記電力調整装置の出力の第1AC波形の(i)周波数および(ii)第1位相シフトを検出する検知部と、
前記エネルギー貯蔵装置と前記電力調整装置の出力とに電気的に接続された制御部と、
を備え、前記制御部は、
前記電力調整装置の平均AC出力電力を算出し、
前記エネルギー貯蔵装置にて第2AC波形を生成するためのものであり、前記第2AC波形は、(i)前記第1AC波形の前記周波数と同じ周波数、(ii)前記平均AC出力電力に基づく振幅、および(iii)45°から前記第1AC波形の前記第1位相シフトに応じた量を減じたものに等しい位相シフトを有する装置。
【請求項11】
前記エネルギー貯蔵装置はフィルムコンデンサー、又はインダクターである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記エネルギー貯蔵装置は、前記エネルギー貯蔵装置内へ及び外への電力の流れを制御するインターフェースを介して、前記電力調整装置に連結されている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記インターフェースは電力変換器、又は電力インバーターである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記エネルギー源は光起電性配列、燃料電池、又はあらゆる他のDCエネルギー源である、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記第2AC波形は、前記エネルギー貯蔵装置から前記電力調整装置へ流れる電力の伝導か妨害かを行うことにより制御される、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記第2AC波形の制御は、パルス幅変調(PWM)、デルタ変調、又はヒステリシス制御により行われる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
エネルギー貯蔵装置は前記電力調整装置と一体となっている、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記エネルギー源から供給されている前記電力は、前記電力調整装置の前記出力へ伝えられる電力と前記エネルギー貯蔵装置へ伝えられる前記電力との和である、請求項10に記載の装置。
【請求項19】
命令を有する有形のコンピュータ読取可能媒体であり、コンピュータシステムにより前記命令を実施する場合、コンピュータは、
負荷とエネルギー源との間で交換される二倍周波数リップル電力を低減させる方法であって、前記エネルギー源は単相電力調整装置を介して電力を前記負荷に伝えるように構成され、前記方法は、
前記電力調整装置の出力の第1AC波形の(i)周波数および(ii)第1位相シフトを検出し、前記出力は前記負荷と電気的に接続され、
前記電力調整装置の平均AC出力電力を算出し、
前記電力調整装置に電気的に接続されたエネルギー貯蔵装置の出力にて第2AC波形を生成し、前記第2AC波形は、(i)前記第1AC波形の前記周波数と同じ周波数、(ii)前記平均AC出力電力に基づく振幅、および(iii)45°から前記第1AC波形の前記第1位相シフトに応じた量を減じたものに等しい位相シフトを有する、
工程を備える方法を実施する、コンピュータ読取可能媒体。
【請求項20】
負荷とエネルギー源との間で交換される二倍周波数リップル電力を低減させる方法を実施するシステムであって、前記エネルギー源は単相電力調整装置を介して電力を前記負荷に伝えるように構成され、前記システムは、
前記電力調整装置の出力の第1AC波形の(i)周波数および(ii)第1位相シフトを検出するようにプログラムされている少なくとも一つのプロセッサであって、前記出力が前記負荷と電気的に接続されている少なくとも一つのプロセッサと、
前記電力調整装置の平均AC出力電力を算出するようにプログラムされている少なくとも一つのプロセッサと、
前記電力調整装置に電気的に接続されたエネルギー貯蔵装置の出力にて第2AC波形を生成するようにプログラムされている少なくとも一つのプロセッサであり、前記第2AC波形は、(i)前記第1AC波形の前記周波数と同じ周波数、(ii)前記平均AC出力電力に基づく振幅、および(iii)45°から前記第1AC波形の前記第1位相シフトに応じた量を減じたものに等しい位相シフトを有する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、スイッチング電力調整装置におけるリップル電力の打ち消しに関する。また特に、単相AC電力調整装置を介してAC負荷とDCエネルギー源との間で交換される二倍周波数リップル電力を最小にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの代替のエネルギー源はほぼ一定の電力を短い期間に亘り送る。その期間は、光電池のための太陽エネルギー利用可能度又は燃料電池からの燃料供給による出力電力などの操作条件に基づき、より長い期間に亘るように変動することがある。代替のエネルギー源とは、直流電流(DC)の電力を発生するソーラーパネル及び燃料電池と、風力又は他の回転又は往復運動する発電システムとを含む。風力又は他の回転又は往復運動する発電システムは、通常は可変周波数で電力を発生し、その後整流器を使用して電力調整用にDC電力を発生する。上記のDC電力は電力調整装置を介して処理され、通常は固定周波数で正弦波交流(AC)電力に変換され、従来の電気グリッドに送られるか又は“オフグリッド(off-grid)”の適用のための負荷に直接送られる。住居又は中小企業で使用されている典型的な変換システムは、固定公称周波数にて正弦波電圧及び電流の単相AC電力を発生する。
【0003】
単相AC電力系統の基本的な電気的性質では、電力の流れには平均電力部分(average power portion)と二倍周波数部分(double-frequency portion)とを両方有する。平均電力部分はエネルギー源から負荷へ有効なエネルギーを送り、二倍周波数部分は負荷と電源との間を行ったり来たり流れる。二倍周波数部分は、望ましくないリップル電力を表し、これはDC電源の動作を損なうことがある。代替エネルギーシステム用の電力調整装置は好ましくは電力調整装置の入力にてリップルなしで電源から電力を流して、そして代わりに平均電力及び二倍周波数リップル電力の両方を電力出力にてAC負荷に送る。エネルギー保存の原則では、上記の二倍周波数リップル電力を管理するために電力調整装置内で多少の物理的効果があることを必要とする。
【0004】
通常、光電池及び燃料電池などのDCエネルギー源に使用される電力調整装置はDC−AC変換器として構成されて、多くの場合インバーターと呼ばれている。単相代替エネルギーシステム用の実用的なインバーターは、二倍周波数リップル電力を管理するフィルターを含む。フィルターは、インバーターのAC出力にて二倍周波数リップル電力を通させるように構成されると同時に、同様のリップル電力がDCエネルギー源に戻るように流れるか又は別の方法でDCエネルギー源に課すことを最小にする又は防止するように構成される。
【0005】
二倍周波数のリップル電力を管理するには、エネルギーはAC周波数の二倍の周波数で貯蔵及び送る必要がある。必要なエネルギーを貯蓄するために必要な電気的部品は概ね大きく、パワーインバーターにおいては最も信頼性の低い部品であることは周知である。典型的なエネルギー貯蔵部品は大きな電解コンデンサーであり、電解コンデンサーには周知の故障及び磨耗モード(failure and wearout modes)があり、それらモードは長い耐用年数に亘り信頼性のある操作をすることを阻止する。典型的な電解コンデンサーは、その最高温度及び電圧で動作に2000時間(典型的なソーラーインバーターの適用では7ヶ月より少ない)のネームプレート評価(nameplate rating)を有することもある。インバーターは長い期間にわたり動作する必要があるため、アレニウスの式に基づく方法などの高価な負荷軽減方法は、装置の寿命を延長させるために、多くの場合動作温度及び動作電圧を限定する。さらに、当業者には周知である、現時点における最先端を行く最高技術の負荷軽減及び生産方法では、市場において確認されているように、インバーターの保証を約5年しかサポートしてない。長い期間の保証では、インバーターの寿命の間に電解コンデンサーが交換されることが通常推測される。
【0006】
ソーラーインバーターは、アウトドア用に評価されてソーラーパネルと同梱される場合には、多くの場合高い温度で動作し、それにより故障モードを促進して、インバーターに搭載されている電解コンデンサーの寿命を減らしてしまう。インバーターは毎日太陽が出ている間だけ動作するにもかかわらず、熱ストレスによりインバーターが25年以上持ちこたえることが阻止される。これに対して、ソーラーパネルは通常25年以上保証されている。実際に、ソーラーパワー用のインバーターの製造者は、インバーターの寿命を20年とすることは断固として不可能であり、それはこの部品に関する問題に大きく起因していると述べている。
【0007】
電解コンデンサーがインバーター(power inverter)の信頼性における最も大きな制限であることは周知であり、市場においても低い信頼性が予想されていることは明白である。高出力インバーター(high power inverters)は交換可能な(現場で修理しやすい)電解コンデンサーを有するように設計され、新しい低出力インバーター(lower-power inverters)の設計は修理又は交換を促進するように簡単に取外し可能なインバーターの電子部品を特徴としており、いくつかの市場ではインバーターと共にサービス契約が慣例的に売られている。電解コンデンサーは多くの故障モードを有しているとはいえ、主要な磨耗機構はリップル電流によって自己発熱して(self-heating)、それにより寿命が短くなる。自己発熱は内部から起こるため、実際の中心の温度は室温よりも高く、有効な冷却技術の効果を限定してしまう。典型的な解決策は、一般的な85℃と評価されているコンデンサーの代わりに105℃と評価されているコンデンサーを使用することであるが、これにより20%から50%も更に費用がかかり、これでは不完全な解決策である。
【0008】
多くの市販のインバーターは二倍周波数リップル電力を管理するために、電解コンデンサーという形の受動フィルタリングを使用し、電解コンデンサーはコンデンサーで二倍周波数電力がリップルに変換するDCバスに適用される。著しい電圧リップルを課すことなく必要なエネルギー交換はサポートされる必要があるから、この受動フィルタリングの構成は二倍周波数電力をフィルターするために大きな静電容量の値を必要とする。更に、コンデンサーは比較的一定の電圧を維持するので、コンデンサーの電流は二倍周波数で流れる必要がある。
【0009】
研究界では、アクティブフィルタリング回路は受動方法より更に効果的な代替として研究されている。アクティブフィルターの方法では、リップル電流は別の電力変換器を介して供給されている。ある一般的な方法では、コンデンサーは電力調整装置内の別の箇所にて比較的固定された電圧を維持するために使用され、いわゆる“内蔵型DCバス(internal DC bus)”である。コントローラは、このコンデンサーからインバーター回路へ補償電流(compensating current)を導入して、二倍周波数リップル電力を打ち消す。電圧はほぼ固定されているので、補償電流はAC電線の周波数の二倍の周波数で導入される。典型的な例では、この補償電流を光起電性(PV)配列の端子にて導入する。
【0010】
アクティブフィルター方法は、受動方法より二つの有利な点を提供する。(1)コンデンサー電圧はPV配列の電圧よりも高くてもよく、使用可能なエネルギーを増やすことができ、そして(2)PV配列よりもコンデンサーにおいて多くのリップル電力を許容できる。必要な静電容量は、下記のように示される。
ここで、Pは平均出力電力であり、fは基本グリッド周波数(fundamental grid frequency)であり、Vは平均コンデンサー電圧であり、及びΔVは許容されるピークツーピークリップル電圧(peak-to-peak ripple voltage)である。この方法は、受動フィルターの方法より著しい静電容量の低減を招く。例えば、200Vのコンデンサーバス電圧を有する1kWインバーターは、コンデンサーでリップルが15%許容されるならば、約440μFしか必要でない。これは受動フィルタリングよりほぼ20(20 reduction)の減少ではあるが、まだ大きな電解コンデンサーを必要とするほど充分に高い。
【0011】
従って、電力調整装置における二倍周波数リップル電力を最小にし、大きな電解コンデンサーの必要性を解消し、電力調整装置の寿命を増やし、費用を低減し、従来の他の問題を解決する制御技術が必要とされている。上記や他の必要性が、当業者には本明細書を読んだ後に明確になるだろう。
【発明の概要】
【0012】
本発明により、前述の問題は解決されて技術の進歩が実現される。本発明と一致する製造品及びシステムは、電力調整装置における二倍周波数リップル電力を最小にする方法を提供する。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
負荷とエネルギー源との間で交換される二倍周波数リップル電力を最小にする方法が提供され、前記エネルギー源は単相電力調整装置を介して電力を前記負荷に伝え、前記電力調整装置はエネルギー貯蔵装置に連結されている。前記方法は、負荷(又は単相電力グリッド)に送られているように、前記電力調整装置の出力にて第1AC波形を検出する。そして、前記方法は、前記エネルギー貯蔵装置に適用される第2AC波形を生成し、AC負荷及びエネルギー貯蔵装置に送られる電力が加算された場合に二倍周波数リップル電力が最小になるようになる。生成された前記第2AC波形は前記第1AC波形と同じ周波数であり、前記第2AC波形を電力調整装置出力にて前記AC波形に対してπ/4ラジアンと同等に位相シフトする。このような周波数及び位相の選択、及び振幅の適切な選択は、DCエネルギー源に課される二倍周波数リップル電力を最小にする。
【0014】
本発明の一側面において、前記エネルギー貯蔵装置は、前記エネルギー貯蔵装置内へ及び外への電力の好ましい流れを制御するインターフェースを介して、前記電力調整装置に連結されている。
【0015】
本発明の別の側面において、前記第2AC波形は、前記エネルギー貯蔵装置から前記電力調整装置へ流れる電力の伝導か妨害かを行うことにより生成される。つまり、電力工学の当業者には周知であるように、第2波形はスイッチング操作によってほとんど生成される。
【0016】
更なる有利な側面において、エネルギー貯蔵装置で第3AC波形を使用して、DCエネルギー源に課される二倍周波数リップル電力を最小にすることができる。前記第3AC波形は第2AC波形及びその逆(inverse)の部分的組合せ(piecewise combination)であるように適切に形成される。有利に、常に前記エネルギー貯蔵装置では正の電圧又は正の電流のどちらかを維持するように選択され得る。
【0017】
本発明の方法を実施する装置は単相電力調整装置という形で提供され、調整装置はDCエネルギー源からエネルギーを引き出し、出力にAC波形を送り、エネルギー貯蔵装置から第2AC波形を受信する。前記装置は、前記電力調整装置の出力にて第1AC波形を検出する検知部(sensing unit)と、前記エネルギー貯蔵装置の前記出力にて第2AC波形を生成し、前記第2AC波形は前記第1AC波形と同じ周波数であり、前記第2AC波形を前記第1AC波形の位相に対してπ/4ラジアンと同等に位相シフトして、それによって前記エネルギー源から供給されている前記電力における前記二倍周波数リップル電力を最小にする制御部(controlling unit)と、を備える。
【0018】
本発明の他のシステム、方法、特徴及び利点は、以下の図面及び詳細な記載を検討されると、当業者には明白になるであろう。このような全ての追加のシステム、方法、特徴及び利点は、本明細書の記載の範囲内に含まれ、本発明の範囲内に含まれ、添付の請求項により保護されることを意図する。
【0019】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本明細書の実施を例示し、明細書の記載と共に、本発明の利点及び趣旨を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は電力系統の一実施例を例示する概略図であり、本発明と一致している電力系統は電気ACグリッドに単相電力調整装置を介して接続されているDCエネルギー源と、エネルギー貯蔵部とを含む。
【
図2】
図2は本発明と一致している
図1のエネルギー貯蔵部を例示するブロック図であり、
図1のエネルギー貯蔵部は、二倍周波数リップル電力を管理するインターフェース部を介して電力調整装置に連結されていることを示す。
【
図3】
図3は、本発明と一致している、電力調整装置における二倍周波数リップル電力を最小にする制御方法を例示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで添付の図面に例示されているように、本発明と一致している実施を詳細に説明する。同様もしくは同一な部分に言及する場合には、可能な限り図面及び下記の記載では同じ参照番号を使用する。
【0022】
図1は単相AC電力系統100の一実施例を表し、電力系統100はエネルギー源ユニット102と、単相AC負荷106及びエネルギー貯蔵部108に接続されている電力調整装置104とを有する。AC負荷106は、公共電源網(utility power grid)と単相接続されていても良い。電源部102は、あらゆるDC電力又はDCエネルギー生産システムでも良く、例えば、ソーラーパネル、太陽電池、燃料電池、整流器を有する風力又は回転式発電機等でもよい。エネルギー貯蔵部108は、コンデンサー、インダクター、超コンデンサー等であってもよい。電力調整装置104と一体になっている制御装置(control)は、電力が使用可能で有効な場合には、いつでもエネルギー源102から最大電力を引き出すことができる。制御装置は、特定のエネルギー源技術のために選択された最適な電力点(optimum power point)で動作を維持するように作用する。電力調整装置104は、スイッチング電力変換器、インバーターなどでも良い。電力調整装置104は、動作説明がプログラムされたプロセッサーを含んでも良い。
【0023】
前述のように、この単相AC電力系統100において、エネルギーの流れは、DCエネルギー源102からAC負荷106へ有効なエネルギーを送る平均電力部分と、AC負荷106とDC電源102との間を前後に流れる二倍周波数部分との両方を含む。二倍周波数部分は、電力調整装置104の性能を損なう可能性がある望ましくないリップル電力を表している。
【0024】
ここで
図2を参照すると、エネルギー貯蔵部208は制御部210に結合されている。この二倍周波数リップル電力を管理するには、エネルギー貯蔵部208と制御部210との連結は、負荷206とエネルギー源202との間で交換されるリップル電力に正弦波の補償(sinusoidal compensation)を提供するように構成されている。電力調整装置204とエネルギー貯蔵部208とを連結するインターフェース部212は、エネルギー貯蔵部208内へ及び外へ流れる電力を制御するように構成されている。代わりに、インターフェース部212は、電力調整装置204又はエネルギー貯蔵部208と一体としても良い。代わりに、インターフェース部212及びエネルギー貯蔵部208は、電力調整装置204と一体としても良い。制御部210は、電力変換機、インバーター等であるインターフェース部212と一体でも良い。
【0025】
二倍周波数リップル電力に必要な静電容量を最小にするためには、コンデンサーのエネルギー貯蔵の最大範囲を使用することが必須である。上記のことは、インダクター又は他のエネルギー貯蔵装置が使用されている場合にも適用され、最小の部品又はコンデンサー値を使用するのであれば、使用可能な全容量を用いる必要がある。必要事項は簡単に算出され、インダクター用の同様の算出は文献に提示されている。単相の適用で、平均出力電力P
0及びAC周波数がω=2πfの場合を考える。電流と電圧との間のあらゆる位相ずれを考慮せず、電力調整装置204からAC負荷206への瞬時のAC出力電力は、下記の通りである。
【0026】
一般性を無くさず、出力電力の平均部分、P
0、だけがエネルギー源202により供給される。従って、貯蔵ユニット208は、P
0(t)>P
0のたびに二倍周波数の項、P
0cos(2ωt)、を供給し、P
0(t)<P
0のたびに二倍周波数の項を貯蔵することが必要とされている。リップル電力を貯蔵及び送るのに必要なエネルギー貯蔵容量は、二倍周波数リップル電力の時間積分(time integral)である。
【0027】
ここで、t
1<t
2<t
1+π/ωとなるように、t1及びt2は二倍周波数リップルの半期を画定し、P
0(t)=P
0を満たし、その間エネルギー貯蔵部208内の時間エネルギー(time energy)は貯蔵されるか供給されている。
従って、二倍周波数リップルの期間の間に必要な貯蔵エネルギーは下記と同等である。
【0028】
60Hzシステムでは、ジュールでのエネルギー必要量はワットの平均電力の0.00265倍である。100W変換器のエネルギー貯蔵の必要条件は0.265Jであり、1kWのインバーターの必要条件は2.65Jである。コンデンサーの電圧及び電流の波形は両方とも基本的な60HzAC周波数で振幅しているにもかかわらず、貯蔵された瞬時電力(instantaneous energy)は120Hz、又は基本的なAC周波数の二倍の周波数で、正弦波の波形に従う。
【0029】
本発明の一実施例においてコンデンサーがエネルギー貯蔵装置208として使用されている場合、エネルギー貯蔵の必要条件はコンデンサーの必要条件と解釈される。定義上、コンデンサーはエネルギーを下記に従い貯蔵する。
【0030】
任意のピークコンデンサー電圧及び必要なエネルギーにより必要なコンデンサーが決定されるが、これは電圧が必要なエネルギー波形を従うように時間の経過と共に調整されると仮定した場合である。
【0031】
さらに、電力調整装置204は、
図1に示すように、下記となるように単相正弦波電圧を生成できる。
単相電気負荷206に送られる電流は、通常、位相のずれがあり、下記の形をとる。
それにより、AC負荷206への出力電力は下記のようになる。
【0032】
エネルギー貯蔵部208に注目すると、下記のように対応するコンデンサー電圧は波形を従うように制御することができる。
そして対応するコンデンサー電流はコンデンサー電圧から引き出した時間に比例する。
コンデンサーの瞬時電力(instantaneous capacitor power)Pc(t)は下記の通りである。
【0033】
更に、コンデンサー電力は二倍周波数リップル電力と同等にすることができ、これにより電力調整装置の出力電力とコンデンサー電力との和が、負荷電力の平均部分しか含まないようにできる。必要な関係は、下記の通りであり。
ここで、P
0は負荷に供給される平均電力である。
【0034】
エネルギー源ユニット202及びコンデンサーに基づくエネルギー貯蔵装置208により送られる電力の和が負荷P
0(t)に供給される電力と全く同等になるように、Vc及びθには適切な値が選択される。適当な三角恒等式(trigonometric identities)から、上記の同等は、下記のとき満たされることが示される。
これは、もしAC電線と同じ周波数の制御された電圧がエネルギー貯蔵部208のコンデンサーに送られることができれば、上記のθの項の位相ずれは二倍周波数リップル電力を完全に相殺し、必要な結果をもたらすことができる。好都合に、最小量の静電容量、すなわち最小のコンデンサー、を使用して、二倍周波数リップルは相殺され、これによりフィルムコンデンサーなどのより信頼性の高い装置の使用が可能になる。例えば、100Wインバーターは、ピークコンデンサー電圧が100Vであり正しい位相が適用される場合、26.5μFのエネルギー貯蔵又は静電容量を必要とする。
【0035】
典型的なグリッドに接続されている単相太陽エネルギーインバーターは位相ずれ(力率1)なしでグリッドに電流を伝え、その場合φ=0である。コンデンサー電圧に必要な位相はθ=45°であることが容易に見いだされる。エネルギー貯蔵部208のコンデンサーへの実際の時間変動電圧(time-varying voltage)は、パルス幅変調(PWM)などのあらゆる都合の良い手段により制御できる。一実施例では、エネルギー貯蔵部208は、所望のピーク値Vcにて動作するように、自身の電圧で動作する別のインバーターと動作させることができる。PWM処理は、エネルギー貯蔵部208のコンデンサーに課される実際の電圧の時間変動制御をもたらす。PWM処理は、エネルギー貯蔵部208のコンデンサーに有効電圧値(effective voltage value)
を課すように制御できるが、それはエネルギー貯蔵部208の別のインバーターが電圧V
1から動作して、下記を満たす前提である。
これらの式は平方根を含むが、根の下の項は既知のパラメータであり、電力レベルはエネルギー源202の容量により予め設定されている。根は高速時間変動関数(rapid time varying functions)を含まず、実施は容易である。
【0036】
最後の式は、設計者がコンデンサー値を指定することも可能にする。例えば、100W評価の60Hzシステムでは、326Vのピーク電圧が使用可能な場合、5μFのコンデンサーを使用できる。ピーク電圧が515Vを超える場合、2μFのコンデンサーを使用できる。
下記の式で決まる電圧は、全く同じ一連の結果をもたらすことを指摘することは重要である。
上記の電圧は、θ及びV
1に同じ瞬時電力及び同じ必要条件を生成する。最小のインダクターとインダクターによるフィルター(inductor-based filter)の構成の必要条件とは、コンデンサーと同様であることを認識することも有用である。これを示すために、純粋な誘導性フィルターは適用電流でも駆動することができることを検討する。
【0037】
上記の応対により、もし
の場合、適切な瞬時電力を送り変動を打ち消すことになる。
【0038】
当業者には、電流波形で駆動されるコンデンサー又は電圧波形で駆動されるインダクターは、別の解決策をもたらすことは当業者には明白である。エネルギー貯蔵部208のコンデンサーには、下記の電流が適用される。
そして、
の場合、瞬時リップル電力が伝えられる。電圧の場合と同様に、この電流はPWM処理又は他の適切な方法により制御できる。
【0039】
更に、インダクターとコンデンサーとの組合せも可能である。このような組合せでは、L、C、及びθの所定の値を変更できるが、基本的な分析はまだ有効であり、必要な値を算出するために使用できる。
【0040】
上記の検討では、特定の時間変動電圧が、AC出力と同じ周波数で、エネルギー貯蔵部208に課されて、二倍周波数リップル電力をその出力へ伝える。分析では、その結果は静電容量の最小の必要な値につながることを示す。所定の電圧はあらゆる適切な方法で課すことができるが、特に有利な方法は電圧を伝えるために低損失スイッチング電力変換器を使用することである。代わりに、電圧は周知のPWMインバーター制御処理により調整することができる。
【0041】
電源網に接続されている単相電力調整装置204では、位相ずれφは制御される。システム周波数及び静電容量の所定のパラメータ値では、分からない量は平均入力電力P
0だけである。この電力は出力にて検知でき、又は太陽電池から流れている実際の指示電力(commanded power)として扱うことができる。二つの可能な制御モードが使用可能であるという影響がある。第1の制御モードでは、P
0の値は外部の、既知の、所定の値として扱われる。適用される適当な時間変動電圧又は電流は、これら又は他の周知のパラメータにより容易に算出され、そしてコンデンサー又はインダクターに課される。これはフィードフォワードアクティブフィルター技術(feed-forward active filter technique)を表している。第2の制御モードでは、電力は電力調整装置204の出力にて検出され、測定された電圧及び電流の平均又は検出及び乗法により検出される。エネルギー貯蔵部208に課される時間変動波形は、電流及び電圧の間の中間にある波形から45°位相ずれの方法によって(角度φ/2をもたらして)生成される。これは、本質的には、フィードバックアクティブフィルター方法(feedback active filter method)を表し、これはこの場合は伝えられる実際の電流又は電圧は従来とは異なるが、比較的従来の実施方法である。
【0042】
ここで
図3を参照すると、電力系統100における二倍周波数リップル電力を最小にする方法を図示するフロー
図300が示されている。この方法は工程302で始まり、そこで系統100は第1AC波形を電力調整装置204の出力にて検出する。そしてこの方法は工程304へと進み、そこで第2波形はエネルギー貯蔵部208で生成されて、第2AC波形は第1AC波形と同じ周波数である。工程306では、第2波形は第1AC波形の位相に対してπ/4ラジアンと同等に位相をずらして、それによってエネルギー源202により供給される電力の二倍周波数リップル電力を最小にする。工程308では、エネルギー貯蔵部208内へまたは外へ流れている電気エネルギーは、インターフェース部212の適当なスイッチング動作により制御され、ずれた第2波形を追跡し、それによって二倍周波数リップル電力を補償する。
【0043】
従って、単相適用の代替エネルギー電力調整装置の大容量フィルター部品(bulk filtering components)としての電解コンデンサーを取り除くように、エネルギー最小戦略を使用できる。この方法では、エネルギー貯蔵部品として、フィルムコンデンサー又はインダクターを使用することを支持する。本発明の新しい側面は下記の通りである。
【0044】
・分析により与えられるインダクター及びコンデンサーの値は、実は必要な二倍周波数リップル電力を伝えることができる最小値であるとの証明。ここで提示される戦略は、全てのリップル電力を送りながら、最低限のエネルギー貯蔵必要条件をもたらすことが厳密に証明される。
・所望のリップル電力を伝えるように、エネルギー貯蔵部品に課されなくてはならない特定の波形の例。つまり、AC出力と同じ周波数の電圧(又は電流)波形が使用され、余分に45°の位相ずれがある。
・PWM又は他の周知の電力変換処理による低損失形式の時間変動波形の実施。PWMを使用して時間変動波形を課すことの通常の処理は周知であるが、使用する特定の波形は周知ではない。
・最小サイズのエネルギー貯蔵部品を使用し、電流又は電圧の適切な選択により、電解コンデンサーを回避できる。
・高い信頼性のあるエネルギー貯蔵部を使用して構成できる代替エネルギー用の高い信頼性のある電力調整装置。
【0045】
要約すると、もしエネルギー貯蔵部の全容量を使用できれば、代替エネルギーシステム用の単相電力調整装置に必要なフィルター部品を最小限の値に減少させられる。コンデンサーが一度約50μFより低い値を達成すると、手頃な費用でフィルムコンデンサーをそれらに実装することが可能になる。このことは、現在代替エネルギーシステムにて信頼性の主要なリミッターである電解コンデンサーの除去を支持する。フィルムコンデンサーは、電解コンデンサーより約1000長い(1000 longer)動作寿命がある。これは、典型的な太陽インバーター及び他の代替エネルギー適用での、何十年もの動作寿命をもたらす。
【0046】
本発明の様々な実施形態が記載されているが、本発明の範囲内であれば、当業者には更なる実施形態及び実施は可能であることは明白であるだろう。従って、本発明は、添付の請求項及びその均等物を除いて、制限されるべきではない。