特許第5747511号(P5747511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747511
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】惰行制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/02 20060101AFI20150625BHJP
   F16H 61/21 20060101ALI20150625BHJP
   F16H 61/682 20060101ALI20150625BHJP
   F16D 48/02 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   F16H61/02
   F16H61/21
   F16H61/682
   F16D25/14 640H
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-2311(P2011-2311)
(22)【出願日】2011年1月7日
(65)【公開番号】特開2012-145143(P2012-145143A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2013年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】西村 伸之
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−226701(JP,A)
【文献】 特開平09−269063(JP,A)
【文献】 特開2005−351482(JP,A)
【文献】 特開2002−227885(JP,A)
【文献】 特開平09−100903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12
F16H 61/16−61/24
F16H 61/66−61/70
F16H 63/40−63/50
F16D 48/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両惰行時に、エンジンから駆動輪への動力の伝達を切断して燃料消費を低減させる惰行制御装置において、アクセル及びブレーキが踏まれていない状態で、且つ、前記動力が伝達されている車両惰行時に、前記動力を切断したときの車両加速度を求め、該車両加速度が予め設定した所定値以下のとき前記動力の伝達を切断するコントローラを備えたことを特徴とする惰行制御装置。
【請求項2】
車両惰行時に、エンジンから駆動輪への動力の伝達を切断して燃料消費を低減させる惰行制御装置において、トランスミッションのギヤが接続されていない、又は、クラッチが完全接続状態でないとき、前記トランスミッションのギヤをニュートラルとするギヤニュートラル制御を実施しないコントローラを備えたことを特徴とする惰行制御装置。
【請求項3】
現在の車両加速度と、現在の減速比と、現在のエンジンフリクショントルクと、現在の車両重量と、記動力を伝達する動力伝達系の回転ムーブメントの慣性と、を用いて前記動力の伝達を切断したときの車両加速度を算出する請求項1又は記載の惰行制御装置。
【請求項4】
エンジン回転数とエンジンフリクショントルクとの関係をマップとして記憶する記憶部を備え、前記記憶部の前記マップから現在のエンジンフリクショントルクを読み取る請求項3に記載の惰行制御装置。
【請求項5】
前記動力の伝達を切断するとき、前記エンジンからの動力を前記駆動輪に伝達するトランスミッションのギヤをニュートラルにする請求項1に記載の惰行制御装置。
【請求項6】
前記動力の伝達を切断するとき、前記エンジンからの動力を前記駆動輪に切断可能に伝達するクラッチで前記動力の伝達を切断する請求項1〜4のいずれかに記載の惰行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両惰行時にエンジンから駆動輪への動力の伝達を切断する惰行制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃費向上のため、車両惰行時にトランスミッションのギヤをニュートラル(もしくはクラッチを切断)とし、車両のエンジンブレーキによる減速を遮断し、車両加速時の燃料消費を低減させるシステムが考案されている。図5に示すように、平坦路では、車両を緩やかに減速させながら惰行走行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−227885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記システムにおいては、ギヤニュートラル時の車両加速が考慮されていないため、特に大型車両では降り坂で車両が加速し過ぎ、ドライバーに不安を与えてしまうという課題があった。
【0005】
また、降り坂での加速を制限するために道路勾配を制御の実施条件としている例はあるが、勾配条件を用いても車速、車両重量によりニュートラル時の車両加速度は異なるため、一義的には制御の可否を判断することはできないという課題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、車両の過度な加速を防ぐことのできる惰行制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、車両惰行時に、エンジンから駆動輪への動力の伝達を切断して燃料消費を低減させる惰行制御装置において、車両惰行時であり、且つ、エンジンから駆動輪への動力が伝達されているときに、前記動力の伝達を切断したときの車両加速度を推定し、該車両加速度が予め設定した所定値以下のとき前記動力の伝達を切断するコントローラを備えたものである。
【0008】
現在の車両加速度と、現在の減速比と、現在のエンジンフリクショントルクと、現在の車両重量とを用いてエンジンから駆動輪への動力の伝達を切断したときの車両加速度を算出するとよい。
【0009】
前記エンジンから前記駆動輪に動力を伝達する動力伝達系の回転ムーブメントの慣性も加味してエンジンから駆動輪への動力の伝達を切断したときの車両加速度を算出してもよい。
【0010】
また、エンジン回転数とエンジンフリクショントルクとの関係をマップとして記憶する記憶部を備え、前記記憶部の前記マップから現在のエンジンフリクショントルクを読み取るとよい。
【0011】
前記動力の伝達を切断するとき、前記エンジンからの動力を前記駆動輪に伝達するトランスミッションのギヤをニュートラルにするとよい。
【0012】
また、前記動力の伝達を切断するとき、前記エンジンからの動力を前記駆動輪に切断可能に伝達するクラッチで前記動力の伝達を切断してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両の過度な加速を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態に係るギヤニュートラル時の推定加速度を算出する流れ図である。
図2】本実施の形態に係るギヤニュートラル制御突入の可否を判断する流れ図である。
図3】降り坂における車両抗力の説明図である。
図4】本実施の形態に係る惰行制御装置の説明図である。
図5】空車、平坦路でニュートラル惰行したときの車両減速度差の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図4に示すように、惰行制御装置1は、トランスミッション2のスプリッタ部3を駆動するトランスミッション駆動部4と、トランスミッション駆動部4を制御するコントローラ5と、コントローラ5に接続されコントローラ5に車両等の各種情報を提供するための記憶部6と、コントローラ5に接続され車速を検出する車速センサ7と、コントローラ5に接続されサービスブレーキ(フットブレーキ)の状態を検出する第一ブレーキスイッチ8と、コントローラ5に接続されリターダ、排気ブレーキ等からなる補助ブレーキの状態を検出する第二ブレーキスイッチ9と、コントローラ5に接続されステアリング角度を検出する舵角センサ10と、コントローラ5に接続されギヤ位置を検出するシフトセンサ11a、セレクトセンサ11b及びニュートラルスイッチ11cと、コントローラ5に接続されクラッチ位置を検出するクラッチセンサ12と、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ13と、車高を検出する車高センサ14とを備える。
【0017】
トランスミッション駆動部4は、空気圧で駆動されスプリッタ部3の入力軸15に副軸16又は出力軸17を接続し、或いは入力軸15に副軸16又は出力軸17のいずれも接続しないニュートラル状態にするスプリッタ制御アクチュエータ18と、スプリッタ制御アクチュエータ18に空気圧を供給するためのエアタンク19と、エアタンク19に接続されると共にスプリッタ制御アクチュエータ18の各部に接続されたエア配管20と、エア配管20に設けられると共にコントローラ5に接続されコントローラ5からの命令でエアタンク19からのエアの流路を切り換える電磁弁21とを備える。
【0018】
記憶部6は、エンジン回転数とエンジンフリクショントルクとの関係を表した第一のマップと、ギヤ位置と総減速比との関係を表した第二のマップと、エンジンから駆動輪に伝達される動力の伝達効率と、駆動輪の半径(タイヤ半径)と、車両重量に応じて車高を変化させるサスペンション(図示せず)のバネ定数と、後述する各種設定値とを記憶する。
【0019】
コントローラ5は、車両惰行時であり、且つ、エンジンから駆動輪への動力が伝達されているときに、エンジンから駆動輪への動力の伝達を切断したときの車両加速度を推定し、この車両加速度が予め設定した所定値以下のとき上記動力の伝達を切断する制御(ギヤニュートラル制御)を行うようになっている。
【0020】
図1及び図4に示すように、車両惰行時か否かの判断は、アクセル開度センサ13で検出されるアクセル開度からアクセルOFFであることを判断(ステップS1)し、第一ブレーキスイッチ8で検出されるブレーキ状態情報からサービスブレーキがOFFであることを判断(ステップS3)し、第二ブレーキスイッチ9で検出されるブレーキ状態情報から補助ブレーキがOFFであることを判断(ステップS4)することで行う。アクセルON時にはドライバーの加速意思を優先するためギヤニュートラル制御を実施せず、サービスブレーキ又は補助ブレーキ作動時にはドライバーの減速意思を優先するためギヤニュートラル制御を実施しない。
【0021】
また、コントローラ5は、ギヤニュートラル制御を実施すると運転に不都合を生じる場合にはギヤニュートラル制御を実施しないように他の実施条件を判断する。他の実施条件の判断は、舵角センサ10で検出されるステアリング角度からステアリング角度が所定値以内であることを判断(ステップS2)し、シフトセンサ11a、セレクトセンサ11b及びニュートラルスイッチ11cで検出されるギヤ位置からギヤイン状態であることを判断(ステップS5)し、クラッチセンサ12で検出されるクラッチ位置からクラッチ完全接続状態であることを判断(ステップS6)することで行う。車両旋回中は、ギヤニュートラル制御によるステア特性の変化を防止するため、ステアリング操作時にはギヤニュートラル制御を実施しない。また、ギヤニュートラル状態、クラッチ完全切断状態又はクラッチ半切断状態(半クラッチ状態)であるとき、すなわち、エンジンから駆動輪への動力が伝達されているとはいえないときは、ドライバーに変速意思があるものとみなし、ギヤニュートラル制御を実施しない。
【0022】
ギヤニュートラル時の車両加速度の推定は、現在の車両加速度、現在の減速比、現在のエンジンフリクショントルク及び現在の車両重量等からギヤニュートラル時の推定加速度a’を算出(ステップS7)することで行う。
【0023】
図3に示すように、車両22が降り坂23にてアクセルオフで惰行(サービスブレーキ、補助ブレーキ非作動)するときの車両22にかかる力の釣り合いを以下に記す。
【0024】
車両22の加速度をa、エンジン(図示せず)から駆動輪24への動力の伝達を切断したとき(ギヤニュートラル時)の車両加速度をa’とすると、

(m+m’)a=mgsinθ−i・η・Te/r−mgμ−1/2ρ・V2・S・Cd …(1)

(m+m’)a’=mgsinθ−mgμ−1/2ρ・V2・S・Cd …(2)

(1)、(2)式よりギヤニュートラル時の車両加速度を推定すると、以下の(3)式となる。
【0025】
コントローラ5は、(3)式の算出結果を用いてギヤニュートラル時の車両加速度を算出し、ギヤニュートラル制御の実施可否を決定するようになっている。

a’=a+i・η・Te/(r・(m+m’)) …(3)

m’= (ΣI×f2)/r2 …(4)

m 車両重量(kgf)、
m’回転部等価質量(kgf)
a 車両加速度(m/s2
a’ギヤニュートラル時の車両加速度(m/s2
r タイヤ半径(m)
i 総減速比(−)
η 伝達効率(−)
Te エンジンフリクショントルク(Nm)
Cd 抗力係数
S 車両前面投影面積(m2
V 車両と空気の相対速度(m/s)
ρ 空気密度(kg/m3
μ ころがり抵抗係数
g 重力加速度(m/s2
I 回転部の慣性モーメント(kgf・m・s2
f 対象回転部の回転速度/駆動輪の回転速度(−)
【0026】
ステップS7にてコントローラ5は、車速センサ7から逐次得られる車速から現在の車両加速度aを算出し、シフトセンサ11a、セレクトセンサ11b及びニュートラルスイッチ11cからギヤ位置を取得し、このギヤ位置に基づいて記憶部6の第二のマップから総減速比iを読み取り、記憶部6から伝達効率η、タイヤ半径r及びサスペンションのバネ定数を取得し、このバネ定数と車高センサ14から得られる現在の車高とから車両重量mを算出し、現在の車速と総減速比iからエンジン回転数を算出し、このエンジン回転数に基づいて記憶部6の第一のマップからエンジンフリクショントルクTeを読み取り、回転部等価質量m’をゼロ又は所定値として(3)式からギヤニュートラル時の車両加速度a’を算出する。
【0027】
回転部等価質量m’をゼロ又は所定値とする理由は、本実施の形態では高速ギヤ段で走行中にのみギヤニュートラル制御を実施するため、回転部等価質量m’が計算精度に与える影響が少なく無視できるからである。回転部等価質量m’をゼロ又は所定値とすることにより、計算を簡略化できる。
【0028】
車両惰行時でないとき、また、他の実施条件で条件非成立のとき、ステップS8にてコントローラ5は、ギヤニュートラル時の車両加速度a’に無効値を代入する。この無効値とは、後述する図2のステップS11でギヤニュートラル制御とならない値(第3設定値より大きな値)である。
【0029】
このようにしてギヤニュートラル時の車両加速度a’が決定したら、図2に示すステップS9に進む。
【0030】
図2及び図4に示すように、ステップS9にてコントローラ5は、記憶部6から第一設定値を取得し、現ギヤ段が第一設定値以上であるか否かを判断する。第一設定値は、高速ギヤ段であり、例えば12(段)である。条件成立のとき、ステップS10に進み、条件非成立のとき、ギヤニュートラル制御を実施することなく終了する。
【0031】
ステップS10にてコントローラ5は、記憶部6から第二設定値を取得し、車速が第二設定値以上であるか否かを判断する。第二設定値は、一般的に高速道路を走行する速度であり、例えば60(km/h)である。条件成立のとき、ステップS11に進み、条件非成立のとき、ギヤニュートラル制御を実施することなく終了する。
【0032】
ステップS11にてコントローラ5は、記憶部6から第三設定値を取得し、ギヤニュートラル時の車両加速度a’が第三設定値以下であるか否かを判断する。第三設定値はドライバーに不安を与えることのない加速度であり、例えば0.01Gである。条件成立のとき、ステップS12に進み、条件非成立のとき、ギヤニュートラル制御を実施することなく終了する。
【0033】
ステップS12にてコントローラ5は、電磁弁21を制御することでスプリッタ制御アクチュエータ18を駆動させ、トランスミッション2のスプリッタ部3をニュートラル状態にすることでギヤニュートラル制御を実施する。
【0034】
このように、車両惰行時であり、且つ、エンジンから駆動輪への動力が伝達されているときに、エンジンから駆動輪への動力の伝達を切断したときの車両加速度a’を推定し、この車両加速度a’が予め設定した第三設定値以下のとき前記動力の伝達を切断するコントローラ5を備えるものとしたため、降り坂での車両の過度な加速を防ぐことができ、ドライバーに不安を与えることなくギヤニュートラル制御を実施することができる。
【0035】
また、現在の車両加速度と、現在の減速比と、現在のエンジンフリクショントルクと、現在の車両重量とを用いてエンジンから駆動輪への動力の伝達を切断したときの車両加速度a’を算出するものとしたため、道路勾配、空気抵抗、転がり抵抗の値に依存せずに算出でき、計算誤差を最小限にすることができ、車両の過度な加速を精度良く防ぐことができる。そして、制御実施条件、道路勾配条件を有するシステムと比較した場合でも、勾配、車両重量によりその条件をきめ細かく設定する必要がなく、容易に制御の実施条件が設定できる。
【0036】
エンジン回転数とエンジンフリクショントルクとの関係を第一のマップとして記憶する記憶部6を備え、記憶部6の第一のマップから現在のエンジンフリクショントルクを読み取るものとしたため、車両加速度a’を精度良く算出できる。
【0037】
エンジンから駆動輪への動力の伝達を切断するとき、エンジンからの動力を駆動輪に伝達するトランスミッション2をニュートラルにするものとしたため、トランスミッション2を自動で変速できる既存のアクチュエータを用いて安価に惰行制御装置1を構成できる。
【0038】
なお、ステアリング角度が所定値以内であることを判断(ステップS2)することで車両旋回中か否かを判断するものとしたが、横Gまたはヨーレイトを検出し、この検出値が所定値以内であることを判断することで車両旋回中か否かを判断するものとしてもよい。
【0039】
エンジンから駆動輪への動力の伝達を切断する制御は、トランスミッション2のギヤをニュートラルにすることで行うものとしたが、エンジンからの動力を駆動輪に切断可能に伝達するクラッチで前記動力の伝達を切断するものとしてもよい。クラッチを自動断接できる既存のアクチュエータを用いて安価に惰行制御装置1を構成できる。
【0040】
また、ギヤニュートラル時(エンジンから駆動輪への動力の伝達を切断したとき)の車両加速度a’を算出するとき、エンジンから駆動輪に動力を伝達する動力伝達系の回転ムーブメントの慣性も加味して算出してもよい。このとき、回転部等価質量m’を(4)式で算出し、(3)式に代入するとよい。ギヤニュートラル制御の可否をさらに精度良く判断することができる。
【0041】
ニュートラル制御は、高速道路等を定速走行中に行うことで顕著な燃費低減効果が期待できるため、高速ギヤ段で走行中にのみ行うものとしたが、中速ギヤ段、低速ギヤ段で走行中に行うことも可能である。この場合、回転部等価質量m’は無視できない値となるため、ギヤニュートラル時の車両加速度a’を算出するとき(4)式から回転部等価質量m’を算出し、(3)式に代入するとよい。
【0042】
また、図1に示すステップS1〜ステップS6は順序を入れ替えてもよく、図2に示すステップS9〜ステップS11は順序を入れ替えてもよい。またさらに、図1に示すステップS1〜ステップS8は、図2に示すステップS11より前で行えばよく、ステップS10とステップS11の間のタイミングで行ってもよく、ステップ9とステップ10の間のタイミングで行ってもよい。
【0043】
惰行制御装置1は、車高センサ14を備えるものとしたが、これに限るものではない。例えばサスペンションが空気バネを備え、車高を一定にするように空気バネの圧力を制御するものである場合、惰行制御装置1は空気バネの圧力を検出する圧力センサ(図示せず)を備えるものとしてもよい。圧力センサの検出値から車両重量mを算出できる。また、惰行制御装置1は積荷等の重量を検出するセンサを備えるものとしてもよい。空荷車両の重量と上記センサの検出値から車両重量mを算出できる。
【符号の説明】
【0044】
1 惰行制御装置
2 トランスミッション
5 コントローラ
6 記憶部
22 車両
24 駆動輪
図1
図2
図3
図4
図5