(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
最近では、各種の食材をつぶしたり、まぜ合わせたり、きざみ、おろすための調理手段として、底部に撹拌手段を備えた容器内に食材を入れて調理する従来型のミキサーに代って、回転式の撹拌手段そのものを手に持って使用するハンディタイプの調理用電動回転装置が提供されている(例えば特許文献1のものを参照)。
【0003】
この調理用電動回転装置は、例えば
図10に示されるように、ユーザーが把持する装置本体1と、該装置本体1に対して交換可能に装着される各種のアタッチメント(図示のものはブレンダーであるが、その他にも泡立てビーター、生地こねニーダー、チョッパーカッター、おろしカッターなどがある)2とからなり、上記装置本体1内には、上記アタッチメント2の駆動源であるモータ(図示省略)が内蔵されている。
【0004】
すなわち、装置本体1の下端側は、外径および長さの異なる多段突状構造のアタッチメント2の嵌合部Aに形成されており、同嵌合部Aに対して、アタッチメント2上端側の多段凹状構造の嵌合部Bが嵌合されるようになっている。
【0005】
装置本体1側の嵌合部Aは、装置本体1の胴体部よりも少し小径で長さが短かい第1の凸部1bと、該第1の凸部1bの中央部側にあって、該第1の凸部1bよりも小径で、突出する長さが長い第2の凸部1cとからなっている。第2の凸部1cは、筒状体に形成されていて、その内側には、上記装置本体1内に設けられているアタッチメント駆動用モータの出力軸である駆動軸の先端側に設けられているアタッチメント2側被駆動軸との連結係合部6aが設けられている。また、外周面側には、アタッチメント2側ヘリコイド片7bとの係合用のヘリコイド片7aが設けられている。
【0006】
一方、アタッチメント2側の嵌合部Bは、その最上端側にあって、上記装置本体1側嵌合部Aの第1の凸部1bに嵌合する第1の嵌合凹部2bと、該第1の嵌合凹部2bよりも小径で、長さも長く、上記装置本体1側嵌合部Aの第2の凸部1cに嵌合する第2の嵌合凹部2cとからなっている。
【0007】
そして、第2の嵌合凹部2cの内側下方には、上記駆動軸先端側の連結係合部6aに係合して従動するアタッチメント2側被駆動軸の連結係合部6bが、また側方の内周面部には、上記第2の凸部1c外周面部の軸回転方向に延びるヘリコイド片7aに係合する同じく軸回転方向に延びるヘリコイド片7bが設けられている。
【0008】
アタッチメント2は、上記上端側に嵌合部Bを有するアタッチメント本体2dの下端側に、上記被駆動軸を介して駆動される、例えば図示ブレンドカッター等必要な調理用ワーク2aおよび必要なガードカバー2eを備えて構成される。
【0009】
そして、使用時には、上記アタッチメント2の嵌合部Bの第1,第2の嵌合凹部2b,2cを上記装置本体1の嵌合部Aの第1,第2の凸部1b,1cに対して嵌合し、装置本体1のモータ側駆動軸と調理用ワーク2a側被駆動軸とを連結して、例えば右側に回転させることにより、上述した第1の凸部1bのヘリコイド片7aと第2の嵌合凹部2cのヘリコイド片7bとを相互に係合させることにより装置本体1に一体化する。
【0010】
一方、装置本体1の外周面部には当該モータの駆動制御を行う操作スイッチ3、回転速度調整手段4が設けられている。
【0011】
上記操作スイッチ3は、運転スイッチ3aとロック解除スイッチ3bとの2組のスイッチよりなり、例えばロック解除スイッチ3bを押しながら、運転スイッチ3aを押すと、内部の電気回路(モータ駆動回路)に電源が入り、上述のモータが駆動されて所定のアタッチメント(図示のものはブレンダー)2の先端側の所定の回転部(図示の例で言えば半球状のガードカバー2e内に設けられているブレンドカッター)2aが回転する。
【0012】
そして、このようにして一旦モータ駆動回路に電源が入ると、上記運転スイッチ3aを押したままで上記ロック解除スイッチ3bから指を離す(押圧を止める)と、そのまま運転、すなわち上述の所定の回転部を回転させて調理作業を継続することができる。一方、同状態から上記運転スイッチ3aから指を離すと、モータの駆動が停止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上記
図10の従来の構成の場合、アタッチメント2側第1,第2の嵌合凹部2b,2cを装置本体1側第1,第2の凸部1b,1cに嵌合し、中心軸回りに平行に相対回転させてヘリコイド係合させるだけであるから、時として両者が確実に係合されていなくて、上記装置本体1側モータ駆動軸とアタッチメント2側被駆動軸各々の連結係合部6a,6b同士が係合不十分な状態での駆動により、それら連結係合部6a,6bが損傷してしまい、駆動不能になるなどの問題が生じていた。
【0015】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、装置本体に対して
調理用アタッチメントが確実に取り付けられていないと、
調理用アタッチメントの駆動を行えないようにすることによって、装置本体側駆動軸と
調理用アタッチメント側被駆動軸との連結係合部の損傷を生ぜしめないようにした調理用電動回転装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1)請求項1の発明
この発明の課題解決手段は、モータおよびモータにより回転される駆動軸を備えた装置本体と、
該装置本体
に対してヘリコイド係合され、
同装置本体の上記駆動軸によって回転駆動される被駆動軸を備えた交換可能な
調理用アタッチメントとからなり
、該調理用アタッチメント
の被駆動軸が上記装置本体の駆動軸
に適正に
連結係合されていない場合には
、上記調理用アタッチメン
トの被駆動軸
を駆動さ
せないよう
にしてなる調理用電動回転装置であって、上記調理用アタッチメントは、上記装置本体に対して軸方向に嵌合された後に周方向にへリコイド係合されるようになっており、上記軸方向への嵌合段階では上記装置本体側の駆動軸とアタッチメント側の被駆動軸とが相互に離間されていて連結係合されず、上記へリコイド係合段階において連結係合されるようになっていることを特徴としている。
【0017】
この発明では、調理用アタッチメントは、装置本体に対して、一旦軸方向の所定の位置まで嵌合された後に、改めて周方向に回転してへリコイド係合されるようになっており、しかも上記軸方向への嵌合段階では装置本体側の駆動軸とアタッチメント側の被駆動軸とが相互に離間されていて連結係合されず、上記へリコイド係合段階において初めて連結係合されるようになっている。
【0018】
したがって、各種の調理用ワークを備えた
調理用アタッチメントが
、装置本体に対して、単に軸方向に嵌合されただけだったり、軸方向には嵌合されていても、改めて周方向に回転して確実にヘリコイド係合されていなくて、当該調理用アタッチメントの被駆動軸が上記
モータにより回転される装置本体側の駆動
軸に対して適正に
連結係合されていないような場合には、
当該調理用アタッチメン
トの被駆動軸が駆動されな
くなる。
【0019】
その結果、従来のように、装置本体側のモータにより回転される駆動軸と
調理用アタッチメント側の調理用ワーク回動のための被駆動軸相互の連
結係合部が適正に
連結係合していない状態で、装置本体側のモータが駆動されたとしても、同連結係合部が損傷されるような事がなくなり、適正な装着時にのみ、適正な調理用ワークの駆動が可能となる。
(2)請求項2の発明
この発明の課題解決手段は、モータおよびモータにより回転される駆動軸を備えた装置本体と、
該装置本体
に対してヘリコイド係合され、
同装置本体の上記駆動軸によって回転駆動される被駆動軸を備えた交換可能な
調理用アタッチメントとからなり
、該調理用アタッチメント
の被駆動軸が上記装置本体の駆動軸
に適正に
連結係合されていない場合には
、上記調理用アタッチメン
トの被駆動軸
を駆動さ
せないよう
にしてなる調理用電動回転装置であって、上記調理用アタッチメントは、上記装置本体に対して軸方向に嵌合された後に周方向にヘリコイド係合されるようになっており、上記軸方向への嵌合段階では上記装置本体側の駆動軸とアタッチメント側の被駆動軸とが相互に離間されていて連結係合されず、上記へリコイド係合段階において連結係合されるようになっているとともに、上記ヘリコイド係合が完了していない間は、上記装置本体との間に所定の寸法以上の隙間が形成されるようになっていることを特徴としている。
【0020】
この発明では、調理用アタッチメントは、装置本体に対して、一旦軸方向の所定の位置まで嵌合された後に、改めて周方向に回転してへリコイド係合されるようになっており、しかも該へリコイド係合段階において初めて上記装置本体の駆動軸に被駆動軸が連結されるようになっている。
【0021】
したがって、各種の調理用ワークを備えた調理用アタッチメントが、装置本体に対して、単に軸方向に嵌合されただけだったり、軸方向には嵌合されていても、改めて周方向に回転して確実にへリコイド係合されていなくて、当該調理用アタッチメントの被駆動軸が上記モータにより回転される装置本体側の駆動軸に対して適正に連結係合されていないような場合には、当該調理用アタッチメントの被駆動軸が駆動されなくなる。
【0022】
その結果、従来のように、装置本体側のモータにより回転される駆動軸と調理用アタッチメント側の調理用ワーク回動のための被駆動軸相互の連結係合部が適正に連結係合していない状態で、装置本体側のモータが駆動されたとしても、同連結係合部が損傷されるような事がなくなり、適正な装着時にのみ、適正な調理用ワークの駆動が可能となる。
【0023】
しかも、この発明の課題解決手段の場合、その場合において、上記調理用アタッチメントのヘリコイド係合が完了していない間は、上記調理用アタッチメントと装置本体との間に所定の寸法以上の隙間が形成されるようになっている。
【0024】
このような構成によると、上記
調理用アタッチメントが上記装置本体の駆動軸部分に対して適正に装着されていない場合には、上記装置本体とアタッチメントとのヘリコイド係合部分に所定寸法以上の大きな隙間が形成されることから
、予め適正に装着されていない
ことが判るようになる。
【0025】
その結果、誤って装置本体側駆動軸とアタッチメント側被駆動軸とが
連結係合されるようなことがなくなり、また上記装置本体とアタッチメントとのヘリコイド係合部分にできる隙間の大きさから、上記アタッチメントが上記装置本体の駆動軸部分に対して適正に装着されているか否かを一見して容易に判別できるようになる。
【0026】
したがって、ユーザーは、アタッチメントが装置本体に適正に装着されていない場合には、改めて装着しなおし、その上で必要な調理操作に進むことができる。
(3)請求項3の発明
この発明の課題解決手段は、モータおよびモータにより回転される駆動軸を備えた装置本体と、
該装置本体
に対してヘリコイド係合され、
同装置本体の上記駆動軸によって回転駆動される被駆動軸を備えた交換可能な
調理用アタッチメントとからなり
、該調理用アタッチメント
の被駆動軸が上記装置本体の駆動軸
に適正に
連結係合されていない場合には
、上記調理用アタッチメン
トの被駆動軸
を駆動さ
せないよう
にしてなる調理用電動回転装置であって、上記調理用アタッチメントは、上記装置本体に対して軸方向に嵌合された後に周方向にへリコイド係合されるようになっており、上記軸方向への嵌合段階では上記装置本体側の駆動軸とアタッチメント側の被駆動軸とが相互に離間されていて連結係合されず、上記へリコイド係合段階において連結係合されるようになっているとともに、上記装置本体および調理用アタッチメント相互のヘリコイド係合部には軸方向へのガイド機能が設けられており、同ヘリコイド係合時には相互に軸方向に近接しながら係合されるようになっていることを特徴としている。
【0027】
この発明では、調理用アタッチメントは、装置本体に対して、一旦軸方向の所定の位置まで嵌合された後に、改めて周方向に回転してへリコイド係合されるようになっており、しかも上記軸方向への嵌合段階では装置本体側の駆動軸とアタッチメント側の被駆動軸とが相互に離間されていて連結係合されず、上記へリコイド係合段階において初めて連結係合されるようになっている。
【0028】
したがって、各種の調理用ワークを備えた調理用アタッチメントが、装置本体に対して、単に軸方向に嵌合されただけだったり、軸方向には嵌合されていても、改めて周方向に回転して確実にへリコイド係合されていなくて、当該調理用アタッチメントの被駆動軸が上記モータにより回転される装置本体側の駆動軸に対して適正に連結係合されていないような場合には、当該調理用アタッチメントの被駆動軸が駆動されなくなる。
【0029】
その結果、従来のように、装置本体側のモータにより回転される駆動軸と調理用アタッチメント側の調理用ワーク回動のための被駆動軸相互の連結係合部が適正に係合していない状態で、装置本体側のモータが駆動されたとしても、同連結係合部が損傷されるような事がなくなり、適正な装着時にのみ、適正な調理用ワークの駆動が可能となる。
【0030】
しかも、この発明の課題解決手段の場合、さらに上記装置本体および調理用アタッチメント相互のヘリコイド係合部には軸方向へのガイド機能が設けられており、同ヘリコイド係合時には相互に軸方向に近接しながら係合されるようになっている。
【0031】
したがって、このような構成の場合、上記
調理用アタッチメントを上記装置本体の駆動軸部分に対してヘリコイド係合する場合に、上記
調理用アタッチメントと装置本体との
間にある隙間が、初期係合位置から最終係合位置に向かうに従って次第に小さくな
り、適正に装着されていないにもかかわらず
、装置本体側駆動軸と
調理用アタッチメント側被駆動軸とが係合されるようなことがなくなり、また上記
調理用アタッチメントと装置本体との隙間が初期係合位置から最終係合位置に向って小さくなる寸法変化によって、
調理用アタッチメントが適正に装着されているか否かを、一見して容易に判定できるようになる。
【0032】
したがって、ユーザーは、
調理用アタッチメントが装置本体に適正に装着されていない場合には、改めて装着しなおし、その上で必要な調理操作に進むことができる。
【発明の効果】
【0033】
以上の結果、
上記の本願
各発明によれば、常に適切な
調理用アタッチメント装着状態での調理機能が確保される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<実施の形態1>
図1〜
図6は、本願発明の実施の形態1に係る調理用電動回転装置の全体および各部の構成を示している。
【0036】
この実施の形態の調理用電動回転装置は、モータおよびモータにより回転される駆動軸を備えた装置本体1と、この装置本体1の上記駆動軸部分に着脱可能に嵌合され、同嵌合状態において回転駆動される各種調理用のワーク2aを備えた交換可能なアタッチメント2とからなり、上記アタッチメント2が上記装置本体1の駆動軸部分に対して螺旋状のガイド部材8a,8bおよび螺旋状のガイド溝8cを介して、螺合状態でヘリコイド係合するようになっていて、相互に係合する場合には、上記アタッチメント2側嵌合部上端の当接面T2と装置本体1側嵌合部上端の当接面T1との隙間が、初期係合位置(最初の軸方向への突き当て位置)では大きく、同初期係合位置から最終係合位置に向かうに従って、次第に小さくなって行き、最終的に適正に係合された最終係合位置では、実質的に隙間がなくなるように構成されていることを特徴としている。
【0037】
そして、その結果として、適正な装着状態とそうでない場合との判別が容易になるとともに、上記アタッチメント2側の被駆動軸20が上記装置本体1の駆動軸に対して適正に係合(装着)され得ない係合初期から最終係合前までの係合途中の状態では、仮に装置本体1側のモータが駆動されたとしても、上記アタッチメント2側の被駆動軸20が駆動されないようになっている。
【0038】
図1および
図3中、符号1は、略円筒体状の胴体部1aの内部にモータおよびモータにより回転される駆動軸(図示省略)等を備えた装置本体を示している。
【0039】
この装置本体1の上端側には、上記内部のモータに駆動用のAC電源を供給するためのAC電源コード5が接続されている一方、下端側には、例えば
図2および
図4に示すような食品調理用のアタッチメント2を嵌合一体化するためのアタッチメント嵌合部Aが設けられている。
【0040】
アタッチメント嵌合部Aは、上記装置本体1の胴体部1aの外径よりも少し小径で下方への突出長さ(突出幅)が短かい(小さい)第1の凸部1bと、該第1の凸部1bの中央部側にあって、該第1の凸部1bの外径よりも小径で、下方への突出長さ(突出幅)が長い(大きい)第2の凸部1cとからなっている。
【0041】
第2の凸部1cは、その内側に上下方向に延びる所定の深さの円筒状の空間を有する筒状体に形成されていて、当該空間部には、上記装置本体1内に設けられている図示しないモータからの駆動軸下端部分および同駆動軸の下端に設けられている後述するアタッチメント2側被駆動軸20側連結係合部6b(
図6の(a)〜(c)参照)との連結係合部6a(
図5の(a)〜(c)参照)が下方に向けて支持されている。他方、同第2の凸部1cの外周面側上端部分には、後述するアタッチメント2側嵌合部Bの螺旋方向の雄ネジ片(雄ネジ状のヘリコイド係合片)9aを軸方向に係合して螺旋方向にガイドする第1,第2の螺旋状のガイド部材8a,8bおよび螺旋状のガイド溝(ヘリコイド片係合溝)8cを備えた大径のガイド部材8が設けられている。
【0042】
この大径のガイド部材8は、周方向に一定の肉厚で、軸方向に所定の幅を有して形成されているが、その円周方向約1/2弱の円弧角範囲の前半1/2部分では、例えば
図3に拡大して示すように、その周方向一端側(
図3の左端側)から他端側(
図3の右端側)にかけて螺旋方向に上下方向の幅が小さくなって行く上記第1の螺旋状のガイド部材8aと、同第1の螺旋状のガイド部材8aの周方向他端側(
図3の右端側)約1/2部分との間に同じく螺旋方向に延びる上記雄ネジ片9a係合用のガイド溝8cを形成する形で、同じく螺旋方向に延びる第2の螺旋状のガイド部材8bとを備えて構成されており、その他の円周角部分は上記所定の幅で周方向に一体に連続している。また、上記第2の螺旋状のガイド部材8bの下方には、所定の深さの設置孔部内に突設可能なクリック音発生用の凸部10が設置されている。
【0043】
一方、
図2および
図4中、符号2は、上記装置本体1の嵌合部Aに対して嵌合一体化されて使用される各種調理用のワーク2aを備えた交換可能なアタッチメントを示している。
【0044】
図示の例では、該アタッチメント2の例として、例えば被調理物撹拌カッティング用のブレンダーカッター2aを備えたブレンダーの場合の構成が示されているが、該アタッチメント2としては、図示ブレンダー用のほか、例えば泡立てビーター用、生地こねニーダー用、チョッパーカッター用、おろしカッター用など、被駆動軸20の下端側調理用ワーク装着部に装着すべき調理用ワークの種類に応じて若干取付部の形態が異なる各種のものが準備されているが、少なくとも上記装置本体1の嵌合部Aに嵌合される嵌合部B、対応する調理用ワークを装着するための調理用ワーク装着部、上記装置本体1側の駆動軸に係合されて上記調理用ワーク装着部を回転させる被駆動軸20、それらの各々を具備するアタッチメント本体部2d等よりなる点では何れの場合にも共通している。
【0045】
そこで、本実施の形態では、図示ブレンダー用のアタッチメント2の場合を例として、その共通する構成について説明する。
【0046】
すなわち、上記アタッチメント2は、その本体部2d上端側に上記装置本体1側の嵌合部Aに嵌合する嵌合部Bを有するとともに、その本体部2d内に被駆動軸20、同本体部2d下端側(被駆動軸20下端側)に調理用ワーク(図示の例ではブレンダーカッター)2aの装着部が設けられている。
【0047】
上記アタッチメント2本体部2dの嵌合部Bは、最上端側にあって、上記装置本体1側嵌合部Aの大径側第1の凸部1bに嵌合する内径が大きく、上下方向の長さ(幅)が短かい(小さい)第1の嵌合凹部2bと、該第1の嵌合凹部2bよりも内径が小さくて、上下方向の長さ(幅)が長く(大きく)、上記装置本体1側嵌合部Aの第2の凸部1cに嵌合する第2の嵌合凹部2cとからなっている。
【0048】
そして、上記第2の嵌合凹部2c中央の内側下方部分には、上記装置本体1側駆動軸の先端側に設けられている連結係合部6aに係合して従動するアタッチメント2側被駆動軸20上端の連結係合部6bが設けられており、また内周面部には、上記第2の凸部1c外周面部の第1,第2の螺旋状のガイド部材8a,8bおよび螺旋状の雄ネジ片ガイド溝8cに係合(螺合)する所定の円弧幅の螺旋状の雄ネジ片9aが螺旋方向に傾斜して設けられている。
【0049】
また、上記第2の嵌合凹部2cの上記螺旋状の雄ネジ片9aの下方部分には、さらに周方向の一端(
図4の左端)9d側が高くて、他端(
図4の右端)9c側が低くなる2曲面形状の凸条部材9bが平行に設けられている。この凸条部材9bは、後述するように、上記アタッチメント2(その本体部2d)が上記装置本体1に対して嵌合一体化された時に上記装置本体1側第2の凸部1c外周面のクリック音発生用の凸部10を、そのバネ力に抗して押圧し、一旦、その設置孔部内に没入させた後、再び突出させることによって、最終係合位置において、しっかりとしたクリック音を発生させ、アタッチメント2が装置本体1の嵌合部Aに対して正確かつ確実に装着されたことを、ユーザーに分りやすく認識させる。
【0050】
そして、この状態では、軸方向に突き当てられた初期係合位置では大きかった、装置本体1側嵌合部A上端の当接面(第1の凸部1bの上端と胴体部1a外周縁との段差面)T1とアタッチメント2側嵌合部B上端の当接面(第1の嵌合凹部2bの上端面)T2との間の隙間が最小となり、それら当接面T1,T2同士が完全に接する状態となる。
【0051】
したがって、ユーザーは、同隙間の状態からも、アタッチメント2が装置本体1に対して適正に装着されたことを判別することができる。
【0052】
なお、上記装置本体1側駆動軸先端の連結係合部6aは、その上端側の駆動軸下端への取付孔61を介して駆動軸下端に連結固定されているとともに、下端側に十字状の係合溝62(
図5の(c)参照)を有し、同十字状の係合溝62内にアタッチメント2側被駆動軸20上端に取り付けられている中心側の筒部63の両側に蝶羽根状の係合片63a,63aを備えた連結係合部6b(平面:
図6の(a)、正面:
図6の(b)参照)が同軸状に挿入係合されるようになっている。また被駆動軸20側の連結係合部6bの下端側には、被駆動軸20上端側の正角柱部に嵌合固定される断面正方形状の嵌合孔64が設けられている。
【0053】
さらに、上述した装置本体1の胴体部1aの外周面には上記モータの駆動制御を行う操作スイッチ3が、また上端部外周にはダイヤル式の回転速度調整手段4が設けられている。
【0054】
上記操作スイッチ3は、例えば上方側運転スイッチ3aと下方側ロック解除スイッチ3bとの2組のスイッチよりなり、ロック解除スイッチ3bを押しながら、運転スイッチ3aを押すと、内部の電気回路(モータ駆動回路)に電源が入り、上記装置本体1内のモータが駆動されて直結する駆動軸が回転され、それに連結係合された被駆動軸20側所定の調理用ワーク(図示のものはブレンダーカッター)2aが回転する。
【0055】
そして、このようにして一旦モータ駆動回路に電源が入ると、上記運転スイッチ3aを押したままで上記ロック解除スイッチ3bから指を離す(押圧を止める)と、そのまま運転、すなわち上述の所定の調理用ワーク2aを回転させて調理作業を継続することができる。
【0056】
一方、同状態から上記運転スイッチ3aから指を離すと、上記モータの駆動が停止される。
【0057】
ところで、前述した
図10の従来の構成の場合、すでに述べたように、上記装置本体1の嵌合部Aに対して、アタッチメント2(本体部2d)側の嵌合部Bが、正確かつ確実に嵌合され、装置本体1側駆動軸の連結係合部6aに対してアタッチメント2(本体部2d)側被駆動軸20の連結係合部6bが確実に係合されていない場合には、上記モータの駆動により、それら相互の連結係合部6a,6bが損傷し、以後の調理用ワーク2aの駆動が不能となったり、場合によっては、装置本体1又はアタッチメント2自体の交換が必要となるなどの大きな問題があった。
【0058】
これは、
図10の従来の構成の場合、装置本体1側嵌合部Aおよびアタッチメント2(本体部2d)側嵌合部B相互の嵌合が、最初から相互の間に全く隙間ができない突き当て状態で嵌合される関係(装置本体1側当接面T1とアタッチメント2側当接面T2が最初から当接する関係)にあり、同突き当て状態で、既に装置本体1側駆動軸の連結係合部6aとアタッチメント2側被駆動軸20の連結係合部6bとが相互に衝合する関係となっており、同状態において、相互の軸方向への移動なく、単に周方向に平行に(回転転方向に平行に)相互のヘリコイド片7a,7bが相対移動して係合されるだけであることから、軸心がズレていたり、ヘリコイド片7a,7b係合時の相対的な回動角が小さすぎて、相互の合わせ目(目印部)11a,11bが離れているような時には、上記連結係合部6a,6b同士が正しく係合されていないにも拘わらず、相互の当接面T1,T2同士の間には全く隙間がないことから、ユーザーが誤って適正に嵌合されていると判断しやすいことによる。
【0059】
ところが、本実施の形態の場合には、上述のように、アタッチメント2側嵌合部Bの第2の嵌合凹部2cのヘリコイド係合片が雄ネジ片9aとして螺旋方向に傾斜して設けられている一方、装置本体1側嵌合部Aの第2の凸部1cの外周面には、同螺旋方向に傾斜した雄ネジ片9aと係合して、同雄ネジ片9aを螺旋方向にガイドする第1の螺旋状のガイド部材8aと該第1の螺旋状のガイド部材8a後端部との間に同じく螺旋方向に延びる雄ネジ片係合溝8cを形成して、アタッチメント2側第2の嵌合凹部2c内周面の雄ネジ片9aを螺旋方向に螺合する状態で係合する第2の螺旋状のガイド部材8bが設けられている。
【0060】
したがって、このような構成では、装置本体1の嵌合部Aに対して、アタッチメント2の嵌合部Bを嵌合した最初の係合位置(最初の軸方向への突き当て係合状態)では、上記装置本体1側嵌合部Aの第2の凸部1cに設けられた大径で上下方向の幅広く周方向に長い第1の螺旋状のガイド部材8aの下部側ガイド面Gによって、上記アタッチメント2の第2の嵌合凹部2cの雄ネジ片9aが係止され、上記アタッチメント2の嵌合部Bの上端側当接面T2と上記装置本体1の嵌合部Aの上端側当接面T1とは大きく離間されて、相互の間には大きな隙間が形成された状態となる。
【0061】
一方、この状態から、上記アタッチメント2が右方向に回転されると、上記雄ネジ片9aは上記第1の螺旋状のガイド部材8a下部側の上記螺旋方向に延びるガイド面Gによって次第に上方側にガイドされて行き、やがて雄ネジ片ガイド溝8c内に侵入して、同雄ネジ片ガイド溝8c内に係合されるようになる。
【0062】
この状態になると、やがて上記雄ネジ片9a下方側の凸条部9bの前端側凸部9dがクリック音発生用の凸部10を乗り越えて、その設置孔部内に押圧没入させた後、さらに同前端側凸部9dよりも高さが低い後端側凸部9c部分に対応する状態となって安定する。
【0063】
そして、同状態では、上記雄ネジ片9aが雄ネジ片ガイド溝8c内最奥端(図示右端)まで係合すると同時に上述した装置本体1およびアタッチメント2の当接面(合わせ面)T1,T2間の隙間がなくなり、それらの間の目印11a,11bが同一位置に対応するようになる。
【0064】
そして、これらの結果、ユーザーは装置本体1にアタッチメント2が適切に嵌合装着されたことを、きわめて容易に認識することができるようになる。
【0065】
また、このような完全な装着状態になるまでは、上述のように装置本体1とアタッチメント2(本体部2d)が相互に離間していることから、それら各々の連結係合部6a,6b間も衝合する状態とはならない。したがって、初期係合位置から最終係合位置までの間の係合途中の状態で、誤って装置本体1側のモータが駆動されたとしても、それら各々の連結係合部6a,6bが不十分な係合状態で、無理に回転されることによる損傷が回避される。
【0066】
なお、
図3中の符号T3は、第1の凸部1bと第2の凸部1cとの間の段差面、また
図4中の符号T4は、第1の嵌合凹部2bと第2の嵌合凹部2cとの間の段差面である。
【0067】
<実施の形態2>
図7は、本願発明の実施の形態2に係る調理用電動回転装置の要部の構成を示している。
【0068】
この実施の形態の調理用電動回転装置は、上述した実施の形態1の構成において、上述した装置本体1側嵌合部A中間の第1の凸部1bと第2の凸部1cとの間の段差面T3(アタッチメント2側嵌合部B中間の上述した第1の嵌合凹部2bと第2の嵌合凹部2cとの段差面T4(
図4参照)との当接面部分に、上方から下方に向けて、例えば
図7に示すようなマイクロスイッチ15を設け、装置本体1の嵌合部Aに対して、上述したアタッチメント2が適正に嵌合装着された時にのみ、アタッチメント2の嵌合部B中間の段差面T4により、同マイクロスイッチ15の作動ロッド15a部分が上方に押圧されて、そのスイッチ部分(接点部分)がON作動し、モータへの通電を可能とするようにしたことを特徴とするものである。
【0069】
このような構成の場合、さらに例えば上述した装置本体1側のモータ駆動回路中の操作スイッチ3の運転スイッチ3aと直列に上述のマイクロスイッチ15のスイッチ部分を入れて置くと、同マイクロスイッチ15がON状態になっていない限り、すなわちアタッチメント2が装置本体1に対して適正に装着されていない限り、運転スイッチ3aをON操作してもモータ自体を駆動することができないようになる。
【0070】
したがって、より確実に駆動軸と被駆動軸相互の連結係合部6a,6b部分の損傷を回避することができる。
【0071】
(変形例1)
また、この実施の形態の調理用電動回転装置は、さらに上述した実施の形態1の構成において、装置本体1側嵌合部A上端のアタッチメント2側第1の嵌合凹部2b上端との当接面(胴体部1aと第1の凸部1bとの段差面)T1部分に、上方から下方に向けて、例えば
図7に示すものと同様のマイクロスイッチ15を設け、装置本体1の嵌合部Aに対して、上述したアタッチメント2が適正に嵌合装着された時にのみ、アタッチメント2の嵌合部B上端の当接面T2により、同マイクロスイッチ15の作動ロッド15a部分が上方に押圧されて、そのスイッチ部分(接点部分)がON作動し、モータへの通電を可能とするようにしてもよい。
【0072】
このような構成の場合にも、上述した装置本体1側のモータ駆動回路中の操作スイッチ3の運転スイッチ3aと直列に上述のマイクロスイッチ15のスイッチ部分を入れて置くと、同マイクロスイッチ15がON状態になっていない限り、すなわちアタッチメント2が装置本体1に対して適正に装着されていない限り、運転スイッチ3aをON操作してもモータ自体を駆動することができないようにすることができる。
【0073】
(変形例2)
なお、上述のマイクロスイッチ15は、例えば上記アタッチメント2側に磁気発生手段としてのマグネットを設けることにより、リードスイッチ(近接スイッチ)で構成するようにしても良く、各種の変形が可能である。
【0074】
<実施の形態3>
図8および
図9は、それぞれ本願発明の実施の形態3に係る調理用電動回転装置の要部の構成を示している。
【0075】
この実施の形態の調理用電動回転装置は、上述した実施の形態1の構成における螺旋状のガイド部材8a,8bおよびガイド溝8cと雄ネジ片9aによる嵌合構造に変えて、上記装置本体1およびアタッチメント2相互の嵌合端部部分(当接面T1,T2部分)を、例えば
図8および
図9に示すように、円弧状の凸部20aと円弧状の凹部20bとを備えた凹凸形のカップリング構造とし、それらが
図9のように適正に嵌合されていない場合には、上述した装置本体1側駆動軸19の連結係合部6aとアタッチメント2側被駆動軸20の連結係合部6bとの距離が離れ、相互に全く係合しないように構成したことを特徴とするものである。その他の構成は、上述した実施の形態1のものと同一である。
【0076】
このような構成の場合、上記装置本体1側嵌合部A上端の当接面T1とアタッチメント2本体側嵌合部B上端の当接面T2部分を相互に嵌合し合う円弧状の凹凸部20a,20bとするだけの極めて簡単かつ低コストな構成で、上述の実施の形態1と略同様の作用効果を実現することができる。
【0077】
また、装置本体1およびアタッチメント2が適正に装着されている場合には、
図8のように相互の間の隙間がなく、略一体に連続した状態となるのに対し、それらが適正に装着されていない時には、
図9のように全体に亘って相互の間に大きな隙間ができるので、一見して直に装着状態が適正でないことを判別することができる。
【0078】
したがって、誤ってモータを駆動するということ自体が起りにくくなる。