(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カード回収箱の内部を、前記回収方向から見て八角以上の多角形に形成し、かつ、該カード回収箱内の多角形を成す最長辺の長さを前記カードの短辺未満となる長さに設定した
請求項1に記載の精算機のカード回収構造。
【背景技術】
【0002】
上述のパチンコ台が設置されたパチンコホールでは、パチンコ台に併設される台間機に高額紙幣を投入し、その有価価値を台間機内部に収納したカード等の記憶媒体(以下、カード)に対し磁気的に書き込んで、遊技媒体である玉の貸出を行っている。
遊技終了時に、カードに有価価値が残っている場合、パチンコホールに設置された精算機にて精算を行う。また、精算機にてカードを精算する際は、精算機内部のカード処理部にて、カードの有価価値を読取り、紙幣および硬貨払出装置にて有価価値分の貨幣を払出し、精算済みのカードは精算機内部に回収する。
精算機のカード回収構造は、カード処理部の後側下方に配置したカード回収箱に、精算済みのカードを自重による自由落下にて回収する。また、カード溢れを防止するための満杯検知センサーなどを設けている。
【0003】
上述のカード回収構造は、下記特許文献1の台間貸出機及び特許文献2のカード回収装置にも記載されているが、カードを自由落下にてカード回収箱内に回収する際、カードに例えば変形や折れ、剥離等が生じていると、カード回収箱内に自由落下させた際、カードが立つことがあり、その立った姿勢のカードと次のカードが積み重ねられることで、カードの間に空間が形成されてしまい、カード回収箱内に回収することが可能な想定枚数より少ない回収状態(以下、ブリッジ)が発生することがある。
【0004】
つまり、ブリッジが発生すると、想定枚数のカードをカード回収箱内に回収することが難しくなるため、カード回収箱内に収容されたカードを取り出す頻度が増え、これを行う係員の作業が繁忙になるという問題がある。
また、カード間に形成される空間が満杯検知センサーの検出位置にできると、満杯検知センサーによりカードの満杯を検知することができないので、満杯が検知されないまま、カード回収箱内にカードが積み重ねられてしまう。このため、カード回収箱からカードが溢れ出たり、カード回収箱からはみ出したカードが精算機内の部品に引っ掛かるなどして、カードが破損することがある。
【0005】
また、カード回収箱の内部は、矩形を有するカードの積み重ねが許容される形状に形成しているが、カード回収箱内の矩形を成す各壁部の横幅が、カードの短辺よりも長尺であるため、カード回収箱内の壁部とカードとの間に、該カードの挟み込みを許容するような空間が形成される。
このため、カード回収箱内の壁部とカードとの間に形成された空間に、自由落下するカードが挟み込まれやすく、カードが立った姿勢に保持されるため、その上に次のカードが積み重ねられることでブリッジに至る。また、カードの挟み込まれる部分の寸法が短辺以上になると、強固なブリッジとなる。
【0006】
また、カードを自由落下にて回収するので、カードの姿勢が落下時に不安定となりやすく、落下時の姿勢が水平姿勢から起立姿勢に変化するとブリッジが発生しやすいため、落下途中において、カードの姿勢を保持する機構も考えられるが、構造が複雑となるためコストが掛かる。
また、ブリッジが発生することを考慮して、想定枚数以上のカードを回収できるように、カード回収箱のサイズを大きくすることも考えられるが、カード回収箱の大型化に合わせて、精算機内部のスペース減少や精算機の大型化が必要となるため、小型化を求めるニーズに対応することができない。
【0007】
これらの問題は、カードの排出側であるカード処理部が変形カードの受付を許容して、処理および回収することや、回収時の向きを規制することなく自由落下させて回収する構造を採用した場合に起こる問題であるが、安価な装置やカード等の媒体再利用の需要が高まるなか、排出側や回収媒体に影響されずに確実に回収できる回収構造の需要は高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、上述の問題に鑑み、構造が簡単であり、かつ、低コストでカード回収が安定して行え、カード回収の信頼性が高い精算機のカード回収構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、カード処理部から排出されるカードを回収方向に向けて自由落下させ、該カード処理部の下方に配置したカード回収箱内に回収する精算機のカード回収構造であって、前記カード回収箱の内部を、
前記回収方向から見て前記カードと異なる形状で且つ、前記カードの積み重ねが許容される大きさ及び形状に形成し、前記カード回収箱内の壁部と、該カード回収箱内に積み重ねられるカードとの
最小の間を、該カードの挟み込みが不可となる間隔に隔てた精算機のカード回収構造であることを特徴とする。
【0011】
上述のカード回収箱内の壁部と、該カード回収箱内に積み重ねられるカードとの間に形成される空間が小さく、カード処理部から排出されるカードが挟み込まれることを防止できる。
これにより、カードが立った姿勢に保持されたり、想定枚数より少ない回収状態が発生したりすることを防止できる。また、カード回収箱内に回収されるカードの回収姿勢が安定しているため、カード回収箱内に対し積み重ねた状態に回収することができる。
この結果、カードを自由落下させて、カード回収箱内に回収するカード回収が確実且つ安定して行える。
【0012】
この発明の態様として、前記カード回収箱の内部を、前記回収方向から見て八角以上の多角形に形成し、かつ、該カード回収箱内の多角形を成す最長辺の長さを前記カードの短辺未満となる長さに設定することができる。
【0013】
上述のカード回収箱内の多角形を成す最長辺と、該カード回収箱内に積み重ねられるカードの短辺との間に形成される空間が最小となり、カード処理部から排出されるカードが挟み込まれることを防止できる。
これにより、カードが立った姿勢に保持されたり、想定枚数より少ない回収状態が発生したりすることを防止できる。
この結果、カードを自由落下させて、多角形を有するカード回収箱内に回収するカード回収が安定して行える。
【0014】
また、この発明の態様として、前記カード回収箱の内部を、該カード回収箱内の多角形を成す各辺の長さが同一となる正多角形に形成することができる。
上述のカード回収箱内の多角形を成す各辺の長さは同一であり、かつ、各辺はカードの短辺未満となる長さに設定しているので、カードを自由落下させてカード回収箱内に回収する際、カード回収箱内に積み重ねられるカードの向きが水平方向に変位しても、カードの向きが規制されることがなく、カードの積み重ねが許容される空間を確保することができる。
【0015】
これにより、カード回収箱内に回収されるカードの向きが水平方向に変位しても、カードが立った姿勢に保持されたり、想定枚数より少ない回収状態が発生したりすることを防止することができる。
この結果、カード回収箱内に積み重ねられるカードの水平方向の向きを規制することなく、カードを自由落下させて、カード回収箱内に回収するカード回収が安定して行える。
【0016】
また、この発明の態様として、前記カード回収箱の内部を、前記回収方向から見て円形に形成することができる。
上述のカード回収箱内の円形を成す壁部と、該カード回収箱内に積み重ねられるカードの辺部との間に形成される空間が小さく、カード処理部から排出されるカードが挟み込まれることを防止できる。すなわち、カード回収箱内の円形を有する壁部は曲面であるが、カードの短辺及び長辺は真っ直ぐであるため、カードが挟み込まれにくい。
【0017】
これにより、カードが立った姿勢に保持されたり、想定枚数より少ない回収状態が発生したりすることを防止できる。
この結果、カードを自由落下させて、円形を有するカード回収箱内に回収するカード回収が安定して行える。
【0018】
また、この発明の態様として、前記カード回収箱内の対向する壁部間を、前記カードの対角寸法以上となる間隔に隔てるとともに、前記カード回収箱内の対向する壁部と、前記カードの対角線上の角部との間を、前記カードの挟み込みが不可となる間隔に設定することができる。
上述のカードを自由落下させてカード回収箱内に回収する際、カード回収箱内に積み重ねられるカードの水平方向の向きが規制されず、カードの積み重ねが許容される空間を確保することができる。
【0019】
これにより、カード回収箱内に回収されるカードの向きが水平方向に変位しても、カードが立った姿勢に保持されたり、想定枚数より少ない回収状態が発生したりすることを防止することができる。
この結果、カード回収箱内に積み重ねられるカードの水平方向の向きを規制することなく、カードを自由落下させて、カード回収箱内に回収するカード回収が安定して行える。
【0020】
また、この発明の態様として、前記カード回収箱の開口側縁部に、該カード回収箱の外側から内側に向けて徐々に低くなるように傾斜する斜面部を形成することができる。
上述のカード処理部から排出されるカードをカード回収箱内に自由落下させる際、カードの落下位置がカード回収箱内の中央部よりも外側に変位しても、該カードが斜面部に沿って斜めに滑り落ちるように自由落下するので、カード回収箱の中央部に向けて落下ガイドすることができる。
この結果、カードがカード回収箱から飛び出したり、カードの一部がカード回収箱からはみ出したりすることを防止でき、カード回収箱内に対し確実に回収することができる。
【0021】
また、この発明の態様として、前記カード処理部と前記カード回収箱との間に、該カード処理部からカード回収箱に向けてカードを落下ガイドするカード回収通路を設け、前記カード回収通路の下流側端部と、前記カード回収箱内に積み重ねられた想定枚数に達する1枚手前の最上面のカードとの間を、前記カードの長辺長さ以上となる間隔に隔てることができる。
【0022】
上述のカード回収通路の下流側端部と、カード回収箱内に積み重ねられる満杯位置に達する1枚手前の最上面のカードとの間に、カードが垂直姿勢から水平姿勢に倒伏するのに必要な空間を確保することができる。
すなわち、満杯位置に達する1枚手前の最上面のカードに、カード処理部から排出される最後のカードが立った姿勢まま垂直に自由落下しても、カードの下端部がカード回収箱内に積み重ねられた最上面のカードに接触するまでに、カードの上端部がカード回収通路の下流側端部から離脱する。
【0023】
これにより、カード回収箱内に投入されるカードがカード回収通路に引っ掛かることがなく、その引っ掛かりによるブリッジが発生することを防止できる。
この結果、カード回収箱内に回収されるカードの回収姿勢が安定し、想定枚数のカードをカード回収箱内に対しスムースに回収することができる。
【0024】
また、この発明の態様として、前記カード回収箱に、該カード回収箱内の最上面に積み重ねられた満杯位置のカードを検知する満杯検知センサーを設け、
前記満杯検知センサーから出力される検知信号の出力時間に基づいて、前記カード回収箱内に積み重ねられたカードが満杯位置に到達したか否かを判定する判定手段を備えることができる。
【0025】
上述のカードを自由落下させてカード回収箱内に回収する際、カードの回収枚数が満杯位置に到達するまでは、満杯検知センサーによってカード回収箱内に投入されるカードの通過を1枚ずつ検知するとともに、その検知信号を判定手段に対し間欠的に出力する。
【0026】
また、カードの回収枚数が満杯位置に到達した際、満杯検知センサーによってカード回収箱内の最上面に積み重ねられた満杯位置のカードを検知するとともに、その検知信号を判定手段に対し連続的に出力する。
【0027】
すなわち、カード通過時よりもカード満杯時に出力される検知信号の出力時間が長くなるので、判定手段により満杯検知センサーから出力される検知信号の出力時間が、予め設定した一定時間(例えば2秒)を経過するか否かを比較して、カードが満杯位置に到達したか判定する。
【0028】
この結果、カード回収箱内に回収されたカードの回収枚数が満杯位置に到達したことを正確に判定することができる。
【0029】
上述のカード回収箱を八角形或いは円形に形成する理由として、例えば対向する壁部間がカードの対角寸法以上となる間隔に隔てられた四角形を有するカード回収箱は、カード回収が可能な形状であるが、1辺の長さがカードの短辺よりも長く、ブリッジが発生しやすい。
また、五角形の場合、カード回収に必要な対角寸法を確保しようとすると、1辺がカードの短辺より長くなるため、ブリッジが発生する可能性が高くなる。
また、六角形や七角形の場合、上述の五角形と同様に、カード回収に必要な空間を確保しようとすると、1辺がカードの短辺より長くなるため、ブリッジが発生しやすくなる。
【0030】
そこで、カード回収箱を、今回採用した八角形以上の多角形或いは円形に形成すれば、カード回収箱を大型化或いは構造を複雑にすることなく、ブリッジが発生しにくい、1辺の長さを設定できる。
上述の理由により、カード回収箱の内部形状は、正八角形〜正八角形以上の無限大角形(或いは円形)が望ましい。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、構造が簡単であり、かつ、低コストでカード回収が安定して行え、カード回収の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は精算機1の外観斜視図、
図2は精算機1の内部構造の斜視図、
図3は精算機1のカード回収構造の透過斜視図、
図4はカード回収構造の斜視図、
図5はカード処理部6とカード回収箱7を接続するカード回収通路20の斜視図、
図6はカード回収構造の縦断斜視図、
図7はカード回収箱7の透過斜視図、
図8はカード回収構造の正面図、
図9はカード回収時のカード回収箱7の平面図、
図10はカード回収構造の縦断側面図、
図11はカードAが垂直落下するカード回収構造の縦断側面図である。
【0034】
本実施形態の精算機1のカード回収構造は、有価価値の残ったカードAを精算機1にて精算処理した際、残価値データが磁気的に消去されたカードAを自由落下にて筐体2に内蔵されたカード回収箱7内に回収する構造である。
【0035】
精算機1は、前面側が開口された縦長形状の筐体2と、筐体2の前面側に対し左右開閉自在に連結された扉3とで構成している。
筐体2の内部には、紙幣処理部4、硬貨処理部5、カード処理部6、カード回収箱7、表示部8などを内蔵している。また、扉3の前面には、カード投入口9、紙幣払出口10、硬貨払出口11などを配置している(
図1〜
図4参照)。
【0036】
カード処理部6は、カード投入口9の直後に配置したカード搬送機構12と、カード搬送機構12のカード搬送通路19上に配置した読取りヘッド13及び書込みヘッド14と、書込みヘッド14の後方に配置した切換え部材15と、カード搬送機構12の後方に配置したカードストッカ16と、カード搬送機構12を駆動及び停止するモータ部17と、カード搬送通路19の下方に配置したカード受け板18とで構成している(
図6、
図10参照)。
【0037】
カード搬送機構12は、カード搬送通路19上に配置した複数のローラ12aによって、カードAを搬入方向或いは排出方向に向けて搬送する。また、ローラ12aは、モータ部17の駆動力によって回転される。
【0038】
読取りヘッド13は、カードAに対し磁気的に記録された残価値データを読取り、その読取った残価値データを筐体2に内蔵した制御部(図示せず)に出力する。また、書込みヘッド14は、読取りヘッド13にて読取った残価値データを、カードストッカ16から繰り出される未使用のカードAに書き込む。
【0039】
切換え部材15は、制御部から出力される指令信号に基づいて、上述のカード搬送通路19に沿ってカードAが搬送される
図10中実線で示す水平姿勢と、後述するカード回収通路20に対しカードAが振り分けられる
図10中仮想線で示す傾斜姿勢とに上下揺動される。
【0040】
カードストッカ16は、有価情報が記録されていない未使用のカードAを同一方向に揃えて多数枚積み重ね収容する。また、制御部から出力される指令信号に基づいて、未使用のカードAをカード搬送機構12によりカード搬送通路19上に1枚ずつ繰り出しする。
【0041】
カード受け板18は、カード搬送通路19の搬送途中に設けた切換え部材15の下方に配置している。また、カード受け板18は、カード搬送通路19から排出されるカードAの自由落下が許容される角度に傾斜している。
【0042】
また、カード受け板18は、切換え部材15の振り分け動作によってカード搬送通路19から排出されるカードAを一旦受け止め、該カード受け板18の下流側端部に近接して配置したカード回収通路20に向けて自由落下する。
【0043】
カード回収通路20は、第1の案内板20aと、第2の案内板20bと、第3の案内板20cとで構成している。また、案内板20a〜20cは、回収方向Dに向けて上流側から順に配列され、カード回収通路20の上流側から下流側に向けてカードAの自由落下が許容される角度に傾斜している(
図5、
図6、
図8、
図10参照)。
【0044】
案内板20aの上流側端部は、カード受け板18の下流側端部に対しカードAの落下が許容される間隔に近接している。
これにより、カード受け板18から排出されるカードAは、カード回収通路20の案内板20a〜20cに沿って回収方向Dに向けて落下ガイドされる。
また、カード回収通路20から排出されるカードAは、該カード回収通路20の下方に配置したカード回収箱7内の中央付近に向けて1枚ずつ自由落下される。
【0045】
次に、回収方向D(或いは上方から見て)から見て正八角形を有するカード回収箱7の回収構造を、
図5〜
図10に基づいて説明する。
カード回収箱7は、カード処理部6の後側下方で、かつ、カード回収通路20の下流側端部に対しカードAの投入が許容される間隔に近接して配置している。また、カード回収箱7は、上面側が開口された縦長の箱形状を有しており、カード処理部6の後方に対し取り外し可能に設けられている。
【0046】
カード回収箱7の内部は、回収方向Dから見て正八角形を成す形状に形成している。また、カード回収箱7内の正八角形を成す1辺の壁部7aの幅方向の長さW
1は、カードAの短辺L
1未満となる長さに設定している。なお、8辺の壁部7aの長さW
1は同一に設定している。
さらに、カード回収箱7内の対向する壁部7a間の間隔W
2は、カードAの対角寸法L
2より約2mmだけ広くなる間隔に隔てている(
図9参照)。
【0047】
つまり、カード回収箱7内の壁部7aと、該カード回収箱7内に積み重ねられるカードAとの間に形成される空間は、カードAの挟み込みが許容されるような余分な空間が形成されない。
【0048】
このため、カード処理部6から排出されるカードAが挟み込まれることを防止できる。また、カード回収箱7内に回収されるカードAが立ち姿勢に保持されたり、想定枚数より少ない回収状態(ブリッジ)が発生したりすることを防止できる。
【0049】
さらに、カード回収箱7内の対向する壁部7a間を、カードAの対角寸法L
2以上となる間隔に隔てるとともに、その対向する壁部7aと、カードAの対角線上の角部との間を、カードAの挟み込みが不可となる間隔に設定している。
【0050】
つまり、カードAを自由落下させてカード回収箱7内に回収する際、カード回収箱7内に積み重ねられるカードAの向きが水平方向に変位しても、カードAの向きが規制されることがなく、カードAの積み重ねが許容される空間を確保することができる。
【0051】
このため、カード回収箱7内に回収されるカードAの向きが水平方向に変位しても、カードAが立った姿勢に保持されたり、想定枚数より少ない回収状態が発生したりすることがなく、カード回収箱7内に対し積み重ねた状態に回収することができる。
なお、カード回収箱7の内部は、想定枚数の一例である200枚のカードAが積み重ねた状態に回収が許容される大きさ及び形状に形成している。
【0052】
また、カード回収箱7内の角隅部と対応する壁部7aの上縁部には、カード回収通路20から排出されるカードAを該カード回収箱7の中央付近に向けて落下ガイドするための斜面部7bを形成している。
斜面部7bは、カード回収箱7の外側から内側に向けて徐々に低くなるように傾斜している(
図6、
図7、
図9参照)。
【0053】
これにより、カード回収通路20から排出されるカードAの落下位置がカード回収箱7内の中央付近よりも外側に変位しても、該カードAがカード回収箱7の斜面部7bに沿って斜めに滑り落ちるように自由落下するので、カード回収箱7の中央付近に向けて落下ガイドすることができる。
【0054】
この結果、カードAがカード回収箱7から飛び出したり、カードAの一部がカード回収箱7からはみ出したりすることを防止でき、カード回収箱7内に対し確実に回収することができる。
【0055】
また、カード回収通路20の下流側端部と、カード回収箱7内に積み重ねられた想定枚数に達する1枚手前の最上面のカードAとの間の距離W
3は、該カードAの長辺長さL
3以上の寸法(約90mm)に設定している(
図11参照)。
【0056】
すなわち、カード回収通路20の下流側端部と、カード回収箱7内に積み重ねられた満杯位置Eに達する1枚手前の最上面のカードAとの間に、カード回収通路20から自由落下するカードAが垂直姿勢から水平姿勢に倒伏するのに必要な空間を確保している。
【0057】
これにより、カード回収箱7内に積み重ねられた満杯位置Eに達する1枚手前の最上面のカードAに、カード回収通路20から排出される最後のカードAが垂直に立った姿勢のまま落下しても、カードAの下端部がカード回収箱7内に積み重ねられた最上面のカードAに接触するまでに、カードAの上端部がカード回収通路20の下流側端部から離脱する(
図11中の仮想線で示す)。
【0058】
つまり、カード回収箱7内に回収されるカードAがカード回収通路20に引っ掛かることがなく、その引っ掛かりによるブリッジが発生することを防止できる。
この結果、最上面のカードAに対し垂直に落下した最終枚のカードAが水平姿勢に倒伏するので、カード回収箱7内に回収されるカードAの回収姿勢が安定し、想定枚数のカードAをカード回収箱7内に対し確実に回収することができる。
【0059】
また、カード回収箱7の左右上部外壁には、該カード回収箱7内の最上面に積み重ねられた満杯位置EのカードAを検知するための満杯検知センサーSを設けている(
図5〜
図9参照)。
満杯検知センサーSは、赤外線や可視光線等の検出光を投光するための投光部S
1と、該投光部S
1から投光された光を受光するための受光部S
2とで構成している。また、投光部S
1から受光部S
2に向けて投光される光は、カード回収箱7内の重心点P
1を通って照射される。
【0060】
投光部S
1は、正面から見てカード回収箱7の左側上部外壁に取り付けている。また、受光部S
2は、正面から見てカード回収箱7の右側上部外壁に取り付けている。その左側上部外壁及び右側上部外壁には、投光部S
1から受光部S
2に向けて光の投光が許容される投光孔7cをそれぞれ開口している(
図7、
図8参照)。
【0061】
投光部S
1及び受光部S
2は、
図7中に示す左右上部外壁の投光孔7cと、
図8中に示すカード回収箱7内の重心点P
1とを通って、図中の左側上方の投光部S
1から右側下方の受光部S
2に向けて光が斜め下向きに投光される角度に、該投光部S
1と受光部S
2の取付け位置をカード回収箱7の上下方向Bに対し所定高さずらして配置している。
かつ、
図9中に示す左側上方の投光部S
1から右側下方の受光部S
2に向けて光が斜めに投光される角度に、該投光部S
1と受光部S
2の取付け位置をカード回収箱7の前後方向Cに対し所定寸法をずらして対角線に配置している。
【0062】
満杯検知センサーSは、カード回収箱7内に投入されるカードAの通過を検知するとともに、そのカード通過時の検知信号を制御部に出力する(
図12参照)。
制御部は、満杯検知センサーSから出力される検知信号に基づいて、カード回収箱7内に回収されたカードAの回収枚数が想定枚数(満杯)であるか否かを判定する。
【0063】
カードAの回収枚数が想定枚数に到達するまでは、投光部S
1と受光部S
2との間をカードAが通過するたびに、満杯検知センサーSから検知信号が間欠的に出力される(
図12中のX部分)。
【0064】
カードAの回収枚数が想定枚数に到達した際、満杯検知センサーSが最上面に積み重ねられた満杯位置EのカードAを検知するとともに、満杯検知センサーSから検知信号が連続的に出力される(
図12中のY部分)。
また、満杯状態であると判定した場合、カード回収箱7が満杯状態であることを表示部8に表示し、かつ、カード回収箱7内に収容されたカードAの取り出しを行う係員に報知する。
【0065】
また、満杯検知センサーSの投光部S
1と受光部S
2を、上下方向Bの高さと合わせて、前後方向Cにも斜めにずらして配置しているので、カード回収箱7内に回収されるカードAの積重ね位置や回収姿勢、或いは、カードAに生じた変形や折れ等に影響されることなく満杯を確実に検知することができる。
【0066】
この結果、満杯検知センサーSの配置数を増やすことなく、必要最小限の配置数にてカード回収箱7内に回収される広い範囲のカードAを検知することができる。また、カード回収箱7内からカードAを取り出す頻度が少なくなり、その取り出しを行う係員の作業を簡略化することができる。
【0067】
次に、有価価値の残ったカードAを精算機1にて精算する処理動作と、残価値データが消去された精算済みのカードAをカード回収箱7内に向けて振り分ける動作を説明する。
先ず、顧客が所有する有価価値の残ったカードAを精算機1にて精算する場合、該カードAを精算機1のカード投入口9に投入すると、カード搬送機構12がカードAを受け取り、該カードAの一方の短辺側を先頭にしてカード搬送通路19に沿って回収方向Dに向けて搬送する(
図10参照)。
【0068】
回収途中にて、カード処理部6の読取りヘッド13がカードAに記録された残価値データを読取り、その読取った残価値データを制御部に出力する。この後、カードAに記録された残価値データを消去ヘッド(図示せず)によって消去する。
【0069】
残価値データが消去されたカードAは、切換え部材15の切換え動作(
図10中の実線で示す)によりカード搬送通路19からカード回収通路20に向けて振り分けられ、カード搬送通路19の下方に配置したカード受け板18上に排出される。
【0070】
カード受け板18上に排出されたカードAは、カード回収通路20上に配列した案内板20a〜20cに沿って回収方向Dの上流側から下流側に向けて自重により滑り落ちる。また、カード処理部6の後側下方に配置したカード回収箱7内に向けて自重により1枚ずつ自由落下される。
【0071】
制御部は、読取りヘッド13にて読取った残価値データと対応する金額を表示部8に表示する。もし、顧客が、表示部8に表示された金額の払い戻しを要求した場合、残価値データと対応する有価価値分の貨幣を紙幣払出口10及び硬貨払出口11に払い戻しする。
【0072】
また、貨幣を払い戻しせずに、残価値データが書き込まれた新しいカードAを発行する場合、カード搬送機構12の繰り出し動作によってカードストッカ16に収容された未使用のカードAを1枚繰り出すとともに、その繰り出されたカードAに、上述の読取りヘッド13にて読取った残価値データを書込みヘッド14により磁気的に書き込んだ後、カード投入口9から送り出して発行する。
【0073】
次に、上述のカード処理部6にて精算された精算済みのカードAを自由落下にてカード回収箱7内に回収する際の処理動作を説明する。
図12はカード検知時に出力される検知信号の波形図、
図13は満杯判定時のフローチャートである。
【0074】
精算済みのカードAをカード回収箱7内に回収する際、該カード回収箱7内に回収されるカードAの満杯状態を判定する処理動作をスタートする(ステップS1)。
カード処理部6にて精算処理されたカードAを自由落下させてカード回収箱7内に回収する際、カード回収箱7内に投入されるカードAの通過を満杯検知センサーSにより1枚ずつ検知するとともに、その検知した検知信号を制御部に出力する。
【0075】
制御部は、満杯検知センサーSが出力する検知信号の有無によって、該満杯検知センサーSがON状態であるかOFF状態であるかを判定する(ステップS2)。
つまり、投光部S
1と受光部S
2との間をカードAが通過するか、その間にカードAが存在する場合、満杯検知センサーSから検知信号が出力されるので、制御部は、満杯検知センサーSがON状態であると判定する。
投光部S
1と受光部S
2との間をカードAが通過しないか、その間にカードAが存在しない場合、満杯検知センサーSから検知信号が出力されないため、制御部は、満杯検知センサーSがOFF状態であると判定する。
【0076】
次に、満杯検知センサーSがON状態であると判定された場合、制御部に内蔵したタイマーにより計時を開始し(ステップS3)、満杯検知センサーSから検知信号が連続的に出力されている間は、タイマーによる計時を継続する。
【0077】
また、満杯検知センサーSがOFF状態であると判定された場合、タイマーによる計時を開始せず、カードAの満杯状態を判定する処理動作(ステップS1)にリターンする。
【0078】
次に、制御部は、タイマーによる計時に基づいて、満杯検知センサーSのON状態が一定時間以上(2秒以上)であるか否かを判定する。すなわち、ON状態が2秒以上保持されたか否かを判定する(ステップS4)。
【0079】
すなわち、カードAの回収枚数が想定枚数に到達するまでは、満杯検知センサーSの投光部S
1と受光部S
2との間をカードAが1枚ずつ通過するので、満杯検知センサーSから出力される検知信号の出力時間が短く、カードAが通過するたびに、検知信号が間欠的に出力される(
図12中のX部分)。
【0080】
しかし、カードAの回収枚数が想定枚数に到達した際、最上面に積み重ねられた満杯位置EのカードAによって投光部S
1から受光部S
2に向けて投光される光が遮光されるため、満杯検知センサーSが最上面に積み重ねられたカードAを検知する。
【0081】
また、投光部S
1と受光部S
2との間にカードAが存在する間、カードAによる遮光が継続されているので、満杯検知センサーSから出力される検知信号の出力時間が長く、検知信号が連続的に出力される(
図12中のY部分)。
【0082】
次に、制御部は、満杯検知センサーSのON状態が一定時間以上であるならば、カード回収箱7内に回収されたカードAが想定枚数に到達し、カード回収箱7内が満杯状態であると判定する(ステップS5)。
【0083】
制御部は、満杯状態であると判定した際、精算機1の表示部8に、カード回収箱7が「満杯」であることを表示する(ステップS6)。また、カード処理部6によりカードAを精算する処理動作と、カード回収箱7内にカードAを回収する回収動作とを停止する。
【0084】
満杯検知センサーSのON状態が一定時間以内(2秒以下)であるならば、カード回収箱7内に回収されたカードAが想定枚数に到達していないので、制御部は、カード回収箱7内へのカードAの回収が継続可能であると判定する。また、タイマーの計時をリセット(ステップS7)し、カードAの満杯状態を判定する処理動作(ステップS1)にリターンする。
【0085】
なお、カード回収箱7が「満杯」であると表示された際、カード回収を行う係員は、精算機1の筐体2内からカード回収箱7を取り出し、カード回収箱7内から多数枚のカードAを回収した後、空のカード回収箱7を筐体2内に再装填する。
これにより、精算済みのカードAをカード回収箱7内に回収するカード回収を継続して行うことができる。
【0086】
以上のように、構造が簡単でありながら、かつ、低コストでカード回収が安定して行え、カード回収の信頼性を高めることができる。また、カードAを回収する際の回収姿勢、或いは、カードAの変形や折れ等に影響されることなく、カード回収が確実に行える。
また、カードの姿勢を保持する機構を設けたり、構造を複雑にすることなく、カードAの回収姿勢を安定させることができる。
【0087】
また、カードAの向きを規制することなく自由落下させて、正八角形を有するカード回収箱7内に回収する際、カードAを回収するためのスペースが小さくて済むので、省スペース化を図ることができる。
【0088】
さらに、精算機1による精算時において、精算機1が一時停止するか、エラーが発生することがなく、精算機1にて精算処理されたカードAをカード回収箱7に対し確実に回収することができる。
【0089】
次に、上述のカード回収構造の他の例として、回収方向D(或いは上方から見て)から見て円形を有するカード回収箱27内にカードAを回収するカード回収構造を説明する。
図14はカード回収構造の他の例を示す断斜視図、
図15は
図14に示すカード回収構造の透過斜視図、
図16は
図14に示すカード回収時のカード回収箱27の平面図である。
【0090】
カード回収箱27の内部は、カードAの回収方向Dから見て円形を成す形状に形成している。また、カード回収箱27内の対向する壁部27a間の間隔W
2は、カードAの対角寸法L
2より約2mmだけ大径となる寸法に設定している。
すなわち、カード回収箱27内の対向する壁部27a間と、該カード回収箱27内に積み重ねられるカードAの対角線上の角部との間に形成される空間が小さく、カード処理部6から排出されるカードAが挟み込まれることを防止できる。
【0091】
また、カード回収箱27内の円形を有する壁部27aは曲面であるが、カードAの短辺及び長辺は真っ直ぐであるため、カードAが挟み込まれにくく、カード回収箱27内に回収されるカードAが立ち姿勢に保持されることを防止できる。
【0092】
この結果、カード回収箱27内に回収されるカードAの回収姿勢が安定し、想定枚数のカードAを積み重ねた状態に回収することができる。したがって、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0093】
また、カード回収箱27の壁部27aの上縁部には、カード回収通路20から排出されるカードAを該カード回収箱27の中央付近に向けて落下ガイドする滑らかな斜面部27bを形成している。
つまり、カード回収箱27の斜面部27bによってカード回収通路20から排出されるカードAを中央付近に向けて落下ガイドするので、カード回収箱27内に対し確実に回収することができる。
【0094】
また、カード回収箱27の上部外壁に取り付けた満杯検知センサーSは、カード回収箱27の左右上部外壁に開口した投光孔27cと、該カード回収箱27内の中心点P
2とを通って、図中の左側上方の投光部S
1から右側下方の受光部S
2に向けて光を投光する(
図15、
図16参照)。
なお、他の例において、前記実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0095】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明のカード回収箱は、カード回収箱7,27に対応し、
以下同様に、
判定手段は、制御部に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
上述のカード回収箱7の内部形状は、実施形態の正八角形や円形のみに限定されるものではなく、例えば正十角形、正十二角形等の八角形以上の正多角形に形成してもよい。なお、カードAの水平方向の向きを規制することなくカード回収箱7内に積み重ね回収することが可能であれば、カード回収箱7の内部形状を正多角形に限るものではない。
【0096】
また、カードAの挟み込みを防止することが可能であれば、カード回収箱7,27の壁部7a,27aと、該カード回収箱7,27に回収されるカードAの角部との間を2mm以下或いは2mm以上の間隔に変更してもよい。
また、実施形態において200枚を想定枚数として設定しているが、カード回収箱7内に対し収容される枚数であれば、適宜枚数のカードAを想定枚数として設定することも可能である。