(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,従来のテープ式の使い捨ておむつにおいて,止着テープは,伸縮性や展開性のないサイドフラップに取り付けられていた。このため,テープ式の使い捨ておむつを着用者の身体に装着するに際して,後身頃のサイドフラップに取り付けられた止着テープを摘み,前身頃まで回して貼り付けるまでの間の止着テープの可動域は限られたものであった。この点,使い捨ておむつの装着者の体型は千差万別であり,止着テープの可動域が限られたものである場合,着用者の体型に合わせて,テープ式の使い捨ておむつがフィットするように,止着テープを前身頃に貼り付ける位置や角度を適宜調節することは困難である。また,テープ式の使い捨ておむつの着用者の身体に対するフィット性が悪いと,おむつと身体の間に隙間が生じ,生じた隙間から尿などの液体が漏れ出すという事態も生じる。
【0007】
このような,問題を解決するために,例えば,サイドフラップに止着テープを予め傾斜させた状態で取り付けるという技術が提案されている。具体的に説明すると,このようなテープ式の使い捨ておむつは,例えば,サイドフラップに取り付けられた2つの止着テープのうちの一つを使い捨ておむつの幅方向と平行に取り付け,もう一方を予め所定角度傾斜させて取り付けることにより,止着テープを前身頃に貼り付け易くするというものである。
【0008】
しかしながら,上記のテープ式の使い捨ておむつのように止着テープを予め所定角度傾斜させて取り付けたとしても,装着に際し,着用者それぞれの体型に合せて,前身頃に止着テープを貼り付ける位置や角度を適宜調節することはできかった。また,着用者それぞれの体型に合わせて止着テープを所定角度傾斜させて取り付けたテープ式の使い捨ておむつを製造することは,極めて生産性が悪いものであった。
【0009】
このため,現在は,装着に際し,着用者の体型に合わせてフィットするように,前身頃に貼り付ける止着テープの位置や角度を適宜調節することができるテープ式の使い捨ておむつが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで,本発明の発明者は,上述したテープ式の使い捨ておむつに関する従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,サイドフラップにタックを形成した上で止着テープを取り付け,このタックの一部のみを固定し,その他の部分を展開可能とすることにより,展開可能となった遊び部分において,前身頃に貼り付ける止着テープの位置や角度を適宜調節することができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に本発明は,以下の構成を有する。
【0011】
本発明は,股下部と,前身頃と,後身頃に区分されるテープ式の使い捨ておむつに関するものである。テープ式の使い捨ておむつは,液透過性のトップシート1と,液不透過性のバックシート2と,トップシート1とバックシート2の間に介在する液吸収性の吸収体3と,前身頃と後見頃から吸収体3よりも幅方向外側へ延出するサイドフラップ4と,サイドフラップ4の側縁から幅方向外側へ突出するように後見頃のサイドフラップ4に取り付けられた一又は複数の止着テープ5を具備する。
サイドフラップ4は,まず,幅方向内方へ向かって折り返される内方折返線411と,幅方向外方へ向かって折り返される外方折返線422とにおいて折り返されることで形成されたタック41を有する。
また,サイドフラップ4は,このように折り返された状態を部分的に保持するための接合部42を,タック41を形成する内方折返線411と外方折返線412の間の領域に有する。
そして,一又は複数の止着テープ5は,サイドフラップ4のうち,接合部42より幅方向外側に取り付けられている。
【0012】
このように,サイドフラップ4にタック41を設け,このタック41を部分的に固定し,その他の部分を展開可能とすることとにより,展開可能となった遊び部分において,前身頃に貼り付ける止着テープ5の位置や角度を適宜調節することができる。
【0013】
また,本発明に係るテープ式の使い捨ておむつにおいては,一又は複数の止着テープ5には,接合部42が形成された位置から幅方向外方へ向かって延びる延長線から,幅方向と直交する方向に所定距離ずれた位置に取り付けられた止着テープ5が含まれることが好ましい。
【0014】
要するに,本発明の好ましい形態においては,止着テープ5が,タック41を部分的に接合する接合部42の延長線からずれた位置に取り付けられる。このため,接合部42の延長線からずれた止着テープ5の位置においては,タック41が接合部42を支点として部分的に展開可能となり,ある程度自由な位置や角度で,止着テープ5を前身頃に貼り付けることができる。従って,このような止着テープ5を用いて装着すれば,使い捨ておむつと着用者の身体のフィット性が向上する。
【0015】
また,一又は複数の止着テープ5には,少なくとも,第1の止着テープ5aと,第2の止着テープ5bが含まれていることが好ましい。そして,第1の止着テープ5aは,接合部42が形成された位置から幅方向外方へ向かって延びる延長線上に取り付けられ,第2の止着テープ5bは,接合部42が形成された位置から幅方向外方へ向かって延びる延長線から,幅方向と直交する方向に所定距離ずれた位置に取り付けられることが好ましい。
【0016】
要するに,本発明の好ましい形態においては,第1の止着テープ5aが,接合42部の延長線上に取り付けられ,第2の止着テープ5bが,接合部42の延長線からずれた位置に取り付けられる。このように,タックが展開できない位置に取り付けられた第1の止着テープ5aと,タック41が展開可能な位置に取り付けられた第2の止着テープ5bをそれぞれ設けることにより,例えば,まず展開できない第1の止着テープ5aを前身頃に貼りつけて,使い捨ておむつを着用者の身体に固定した後,展開可能な第2の止着テープ5bを貼り付ける位置や角度を調節することによって,使い捨ておむつと着用者の身体のフィット性を向上させることができる。
【0017】
また,本発明の好ましい形態においては,第1の止着テープ5aを,接合部42が形成された位置から幅方向外方へ向かって延びる延長線から,幅方向と直交する方向に第1の距離ずれた位置に取り付け,第2の止着テープ5bを,接合部42が形成された位置から幅方向外方へ向かって延びる延長線から,幅方向と直交する方向に第2の距離ずれた位置に取り付けることとしてもよい。なお,第1の距離と第2の距離は,同一の距離であってもよいし,異なる距離であってものであってもよい。
【0018】
要するに,本発明においては,第1の止着テープ5aと第2の止着テープ5bを,それぞれ,接合部の延長線からずれた位置に取り付けることとしてもよい。このように構成することで,第1の止着テープ5aと第2の止着テープ5bのそれぞれが前身頃に貼り付ける位置を,着用者の体型に合わせて適宜調節することができるため,使い捨ておむつと着用者の身体のフィット性をさらに向上させることができる。
【0019】
さらに,本発明の好ましい形態においては,第1の止着テープ5aを,接合部42が形成された位置から幅方向外方へ向かって延びる延長線から,幅方向と直交する上方向に向かって第1の距離ずれた位置に取り付け,第2の止着テープ5bを,接合部42が形成された位置から幅方向外方へ向かって延びる延長線から,幅方向と直交する下方向に向かって第2の距離ずれた位置に取り付けることとしてもよい。
【0020】
要するに,上部に設けられた第1の止着テープ5aと,下部に設けられた第2の止着テープ5bの間に相当する位置に,接合部42を設けることとしてもよい。このように構成することにより,上部に設けられた第1の止着テープ5aを,前身頃に貼りつけられるに際して下方へ傾斜させ,下部に設けられた第2の止着テープ5bを,前身頃に貼りつけられるに際して上方へ傾斜させることが可能となるため,使い捨ておむつと着用者の身体のフィット性をさらに向上させることができる。
【0021】
また,本発明に係るテープ式の使い捨ておむつにおいては,サイドフラップ4は,接合部42を複数有することとしてもよい。この場合において,一又は複数の止着テープ5には,複数の接合部42が形成されたそれぞれの位置から幅方向外方へ向かって延びる延長線から,幅方向と直交する方向に所定距離ずれた位置に取り付けられた止着テープ5が含まれることが好ましい。
【0022】
このように,接合部42が複数形成され,これらの接合部42の延長線からずれた位置に止着テープ5を取り付けることで,例えば,この止着テープ5は,複数の接合部42を支点として,前身頃に貼りつけられるに際して,複数の角度(例えば2段階の角度)で傾斜可能となる。
【0023】
さらに,サイドフラップ4には,タック41が,複数形成されており,複数のタック41のそれぞれには,折り返された状態を部分的に保持するための接合部42が,内方折返線411と外方折返線412の間の領域に形成されていることとしてもよい。
【0024】
このように,サイドフラップ4にはタック41を複数形成することとしてもよく,この場合,例えば,止着テープ5は,タック41のそれぞれを部分的に固定する複数の接合部42を支点として,前身頃に貼りつけられるに際し,複数の角度(例えば2段階の角度)で傾斜可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
なお,本明細書において,「使い捨ておむつの長手方向」というときは,使い捨ておむつの前身頃と後身頃を結ぶ方向(
図1の上下方向)を意味し,「使い捨ておむつの幅方向」というときは,使い捨ておむつの長手方向と直交する方向(
図1の左右方向)を意味するものとする。
【0027】
(1.第1の実施形態)
以下,本発明に係るテープ式の使い捨ておむつ10の第1の実施形態について説明する。
【0028】
(1−1.使い捨ておむつの全体構成)
まず,第1の実施形態の全体構成について説明する。
図1は,本発明に係るテープ式の使い捨ておむつ10(以下,単に,使い捨ておむつ10という)の展開図の例を示しており,トップシート1側から見た平面を示している。
【0029】
使い捨ておむつ10は,着用者の肌に接する面に設けられた液透過性のトップシート1と,トップシート1とは反対の面に設けられた液不透過性のバックシート2と,トップシート1とバックシート2の間に介在する吸収体3とを有する。また,使い捨ておむつ10の前身頃71と後身頃72には,それぞれ,吸収体3よりもおむつの幅方向の両外側へ延出するサイドフラップ4が形成されている。また,後身頃72に形成されたサイドフラップ4のそれぞれには,サイドフラップ4の側縁からおむつの幅方向外側へ突出するように,止着テープ5が取り付けられている。また,使い捨ておむつ10には,トップシート1との固定線において吸収体3の両縁部に沿って起立する一対の立体ギャザー6が設けられている。
【0030】
使い捨ておむつ10では,着用者が排泄した尿などの液体をトップシート1で受け,トップシート1を透過した液体をトップシート1とバックシート2間に配置された吸収体3により吸収し保持する。また,使い捨ておむつ10では,液体を受ける際において,吸収体3の両側縁部に沿って起立する立体ギャザー6によって,液体の横漏れを防止する。
【0031】
また,使い捨ておむつの幅方向に延出したサイドフラップ4は,使い捨ておむつの幅方向と直交する2本の折返線においてZ字状に2度折り返されることにより,タック41が形成されている。タック41は,Z字状となった領域において,接合部42により,幅方向と直交する方向に部分的に接合されている。サイドフラップ4のうち,接合部42により接合された部分はタック41が展開できず,その他の部分はタック41が展開可能となっている。
【0032】
図2は,使い捨ておむつ10の装着時における形態の例を示した斜視図であり,前身頃71から見た状態を示している。
図2は,基本的に,
図1に示された展開図の使い捨ておむつ10を,着用者に装着する際の形態としたものを示している。
【0033】
使い捨ておむつ10は,装着時に着用者の腹部に接する前身頃71と,装着時に着用者の背部を接する後身頃72と,装着時に着用者の股下に接する股下部73を含む。また,後身頃72の両側縁部から延在しているサイドフラップ4には,それぞれ,止着テープ5が取り付けられている。また,前身頃71のバックシート側2の面には,止着テープ5に対応した雄雌関係となり止着テープ5が貼り付けられる貼付部74が設けられている。そして,使い捨ておむつ10は,前身頃71,後身頃72及び股下部73を,それぞれ装着者の腹部,背部,及び股下にあてがった状態で,止着テープ5を,着用者の背部から腰周りを経由して腹部にまわし,貼付部74に貼り付けることにより,着用者の身体に装着される。また,使い捨ておむつ10の股下部73には,吸収体3の両側縁に沿って,使い捨ておむつの長手方向に脚周り伸縮部材75が配設されており,使い捨ておむつ10の着用時において,脚周り伸縮部材75は収縮し,脚周りギャザー76を形成する。
【0034】
また,サイドフラップ4のうち,接合部42が形成されておらずタック41が展開可能となっている位置に取り付けられた止着テープ5は,貼付部74に貼り付けられる際,ある程度自由に,貼り付けの位置及び角度を調節できる。すなわち,止着テープ5を引き延ばすと,タック41の一部が展開し,タック41の展開した部分が遊びとなって,接合部42を支点として,止着テープ5が取り付けられたサイドフラップ4が屈折したり湾曲したりするようになっている。
【0035】
(1−2.使い捨ておむつの具体的構成)
次に,
図1から
図5を参照して使い捨ておむつ10の具体的構成について説明する。
【0036】
(1−2−1.トップシート)
トップシート1は,着用者の股下の肌に直接接し,尿などの液体を吸収体3に透過させるための部材である。このため,トップシート1は,柔軟性が高い液透過性材料で構成されることが好ましい。トップシート1は,吸収体3の表面(着用者の肌と当接する面)を被覆するように配置される。
【0037】
トップシート1を構成する不透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,トップシート1には,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0038】
(1−2−2.バックシート)
バックシート2は,トップシート1を透過し,吸収体3に吸収された液体が,漏出することを防止するための部材である。このため,バックシート2は,液不透過性材料によって構成される。そして,バックシート2は,吸収体3の底面(着用者の肌と当接する面と反対の面)からの液漏れを防止するため,吸収体3の底面を被覆するように配置される。
【0039】
バックシート2を構成する不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,0.1〜4μm,又は2〜3μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
なお,本明細書において,「A〜B」とは,「A以上B以下」であることを意味する。
【0040】
バックシート2の外表面には,バックシート2を補強しその手触りを良くするために,カバーシート77を貼り合わせることとしても良い。カバーシート77を構成する材料としては,織布や不織布が用いられる。特に,カバーシート77を構成する材料として,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。
【0041】
(1−2−3.吸収体)
吸収体3は,尿などの液体を吸収し,吸収した液体を保持するための部材である。吸収体3は,液透過性のトップシート1と,液不透過性のバックシート2の間に配置される。吸収体3は,トップシートを透過した液体を吸収保持する機能を有し,吸収性材料により構成される。
【0042】
吸収体3を構成する吸収性材料には,公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては,例えば,フラップパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートを用いることとしても良い。また,吸収性材料には,フラップパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし,2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は,通常,単層又は複数層のマット状に形成され,用いられる。
【0043】
また,吸収体3は,トップシート1とバックシート2の間の少なくとも一部に挟持されることが好ましい。吸収体3は,トップシート1とバックシート2の間に挟み込まれ,その周縁部が封着されることによってトップシート1とバックシート2との間に固定される。
【0044】
吸収体3の形状は,適宜,使い捨ておむつの形状や,大きさ,用途に合せて設計することができる。例えば,吸収体3の形状は,砂時計型としてもよい。また,吸収体3の形状は,矩形型,楕円形型,又はひょうたん型とすることとしてもよい。
【0045】
(1−2−4.サイドフラップ)
サイドフラップ4は,吸収体3よりも使い捨ておむつの幅方向外側の両側へ延出するようにして形成されている。サイドフラップ4は,前身頃71と後身頃72のそれぞれの両側部に延在するように形成されており,使い捨ておむつ10の着用時において,前身頃71と後身頃72を繋ぐようにして着用者の両脇腰部をに接触する。
【0046】
サイドフラップ4は,例えば,トップシート1とバックシート2を,使い捨ておむつの幅方向外側へ延出する形状に形成し,これらを貼り合わせることにより形成することとしてもよい。また,サイドフラップ4は,例えば,トップシート1とカバーシート77を,使い捨ておむつの幅方向外側へ延出する形状に形成し,これらを貼り合わせることにより形成することとしてもよい。また,サイドフラップ4は,立体ギャザー6を形成するシート材とカバーシート77を,使い捨ておむつの幅方向外側へ延出する形状に形成し,これらを貼り合わせることにより形成することとしてもよい。特に,サイドフラップ4は,通気性を確保する観点から,不織布で形成された立体ギャザー6のシート材と,不織布で形成されたカバーシート77を貼り合わせることにより,形成することが好ましい。
【0047】
具体的に説明すると,立体ギャザー6のシート材とカバーシート77は,使い捨ておむつ10の股下部73においては,その間にトップシート1やバックシート2を挟みこむようにしてホットメルト接着剤等によって接着されている。また,使い捨ておむつ10の前身頃71と後身頃72においては,吸収体3より幅方向外側へ延出した部分で,立体ギャザー6のシート材とカバーシート77同士が接着され2層構造となっている。
【0048】
図3は,サイドフラップ4を拡大して示した例を示す拡大図である。具体的に,
図3は,基本的に,
図2に示された一点鎖線の部分におけるサイドフラップ4を拡大して示した図であり,使い捨ておむつ10の外表面側(カバーシート77側)から見た状態を示している。
図3(a)は,タック41が展開していない状態を示しており,
図3(b)は,タック41が部分的に展開した状態を示している。
【0049】
図1から
図3に示されるように,使い捨ておむつ10の後身頃72に形成されたサイドフラップ4には,タック41が形成されている。サイドフラップ4にタック41を形成するためには,まず,使い捨ておむつの幅方向外側へ延出しているサイドフラップ4を,使い捨ておむつの幅方向と直交する方向(長手方向)に形成された内方折返線411において,使い捨ておむつの内方へと折り返す。次に,内方折返線411において折り返されたサイドフラップ4を,使い捨ておむつの幅方向と直交する方向(長手方向)に形成された外方折返線412において,使い捨ておむつの外方へと折り返す。これにより,サイドフラップ4は,Z字状に折り畳まれ,折り畳まれた部分においてタック41が形成される。すなわち,
図3に示されるとおり,内方折返線411と外方折返線412の間に位置する領域においては,サイドフラップ4はZ字状に折り畳まれ,3層構造となっている。
【0050】
ここで,タック41の使い捨ておむつの幅方向における大きさは,内方折返線411と外方折返線412の間の距離に依存する。すなわち,内方折返線411から外方折返線412までの距離が大きければ,使い捨ておむつの幅方向に大きいタック41が形成され,一方で,方折返線411から外方折返線412までの距離が小さければ,使い捨ておむつの幅方向に小さいタック41が形成される。内方折返線411と外方折返線412の間の距離は,例えば,5mm〜50mm,10mm〜40mm,20mm〜30mm,又は25mmであってもよい。内方折返線411から外方折返線412までの距離が大きければ,タック41の展開時における展開幅も大きくなる。この点については,後述する。
【0051】
なお,
図3に示されたタック41は,内方折返線411において,使い捨ておむつの外表面側(カバーシート77側)に折り返され,外表面側に積層するように形成されている。ただし,タック41は,内方折返線411において,使い捨ておむつの内表面側(トップシート1側)に折り返され,内表面側に積層するように形成されたものであってもよい。
【0052】
このように,サイドフラップ4は,使い捨ておむつの長手方向に形成された折返線411,422において二度折り返されタック41を形成するものである。このため,タック41を形成する前の状態における,サイドフラップ4の使い捨ておむつの幅方向の長さ(延出した部分の長さ)は,例えば,60mm〜250mm,100mm〜200mm,又は120mm〜180mm程度設けられることが好ましい。そして,タック41を形成した後の状態における,サイドフラップ4の使い捨ておむつの幅方向の長さ(延出した部分の長さ)は,例えば,50mm〜200mm,80mm〜180mm,又は100〜150mm程度であることが好ましい。
【0053】
このようにして形成されたタック41は,内方折返線411と外方折返線412の間において3層構造となった領域が,接合部42によって,使い捨ておむつの幅方向と直交する方向に部分的に接合される。すなわち,
図1から
図3に示されるように,接合部42は,使い捨ておむつの幅方向と直交する方向(長手方向)には,内方折返線411と外方折返線412の間の領域を全て接合せず,部分的に折り返されたタック41を接合する。接合部42において,タック41を形成したサイドフラップを接合する手段としては,例えば,ホットメルト接着剤やその他流動性のある接着剤を用いた接合方法を用いてもよいし,ヒートシールのような熱溶着や超音波溶着により接合方法を用いても良い。
【0054】
例えば,接合部42は,サイドフラップ4のうち,使い捨ておむつの長手方向の長さの1/2,1/3〜2/3,1/4〜3/4,1/5〜4/5,又は1/6〜5/6を接合することが好ましい。具体的に説明すると,サイドフラップ4の使い捨ておむつの長手方向の長さは,その側縁部において,例えば,150mm〜400mm,又は200mm〜300mm程度であることが好ましく,そのうち接合部42によって接合される長さは,10mm〜60mm,20mm〜50mm,又は30mm〜40mmであることが好ましい。また,
図3に示されるように,止着テープ5のサイドフラップ4に取り付けられる部分の長さと同じ長さに,接合部42が接合する長さを設定することとしてもよい。止着テープのサイドフラップ4に取り付けられる部分の長さは,例えば,30mm〜200mm,40mm〜150mm,又は50mm〜100mmである。
【0055】
また,接合部42は,内方折返線411から外方折返線412までの幅と同一又は略同一の幅において,内方折返線411から外方折返線412の間の領域を接合することが好ましい。ただし,接合部42は,内方折返線411から外方折返線412までの幅の1/2,1/3〜1/3,又は1/4〜3/4を接合するものであってもよい。
【0056】
図3に示されるように,サイドフラップ4の側縁部には,サイドフラップ4の側縁から使い捨ておむつの幅方向外側へ突出するようにして,一又は複数の止着テープ5が取り付けられている。
図3に示す例において,一又は複数の止着テープ5には,使い捨ておむつ10の展開時において,後身頃72の端部寄り(
図3中上部側)に取り付けられた第1の止着テープ5aと,前身頃71寄り(
図3中下部側)に取り付けられた第2の止着テープ5bを含む。
【0057】
また,
図3に示されるように,サイドフラップ4において接合部42が形成された位置に対して,第1の止着テープ5aは,接合部42が形成された位置から使い捨ておむつの幅方向外方へ向かって延びる延長線上に,取り付けられている。つまり,接合部42が形成された領域におけるどの位置から使い捨ておむつの幅方向外方へ向かって延長線を引いたとしても,その延長線上には,第1の止着テープ5aが存在していることが好ましい。一方,第2の止着テープ5bは,接合部42が形成された位置から使い捨ておむつの幅方向外方へ向かって延びる延長線から,幅方向と直交する方向に所定距離ずれた位置に取り付けられている。つまり,第2の止着テープ5bは,接合部42が形成された領域における位置から使い捨ておむつの幅方向外方へ向かって引かれたどの延長線からも所定距離ずれた位置に存在していることが好ましい。
【0058】
第2の止着テープ5bは,例えば,接合部42が形成された位置から使い捨ておむつの幅方向外方へ向かって延びる延長線(以下,単に,接合部42の延長線上ともいう)から,0.1mm〜100mm,20mm〜80mm,30mm〜70mm,又は50mm程度の距離で,使い捨ておむつの長手方向下方にずれていること好ましい。第2の止着テープ5bが,接合部の延長線上42からずれる距離は,サイドフラップ4の幅や長さに応じて適宜調節すればよい。また,第1の止着テープ5aと第2の止着テープ5bは,所定の間隔を空けて,サイドフラップ4の側縁部に取り付けられていることが好ましい。例えば,第1の止着テープ5aと第2の止着テープ5bの間の距離は,10mm〜100mm,20mm〜80mm,又は50mmであってもよい。
【0059】
止着テープ5(5a,5b)は,
図1に示されるように,少なくとも,平板状の基材シート51と,この基材シート51のうち着用時において前身頃71に当接する側に設けられたファスニング部52とから構成されている。基材シート51は,例えば,プラスチックや,ポリラミ不織布,不織布,紙から形成されており,その一端側がサイドフラップ4に取り付けられ,他端側にファスニング部53が解離不能に貼着されている。止着テープ5の基材シート51は,サイドフラップ4をなすシート材の間(例えば,立体ギャザー6を形成するシート材とカバーシートの間に挟持されるように取り付けられていてもよいし,サイドフラップ4の内表面側又外表面側に,ホットメルト接着剤などによって接着されていてもよい。
【0060】
ファスニング部52は,使い捨ておむつ10の装着時において,前身頃71の外表面に設けられた貼付部74と雌雄の関係となって貼り付けられるものであってもよいし,前身頃71の外表面を覆うカバーシート77に直接貼り付けられるものであってもよい。例えば,ファスニング部52は,機械係合式であって,その外面に多数の係合片を有し,貼付部74に係合する。係合片の形状としては,例えばレ字状,J字状,マッシュルーム状,又はT字状とすることができる。
【0061】
このように,本発明の第1の実施形態においては,サイドフラップ4にタック41が形成され,タック41の一部が接合部42によって固定され,接合部42の延長線上に第1の止着テープ5aが取り付けられ,接合部42の延長線からずれた位置に第2の止着テープ5bが取り付けられている。従って,第1の実施形態に係る使い捨ておむつ10は,着用者の身体に装着されるに際して,第2の止着テープ5bが前身頃71に貼り付けられるとき,
図3(b)に示されるように,タック41の接合部42によって固定されていない部分が部分的に展開して遊びが形成される。このため,本発明の第1の実施形態においては,第2の止着テープ5bの取り付け位置及び取り付け角度を適宜調節して,前身頃71に止着テープ5(5a,5b)取り付けることができる。具体的には,第2の止着テープ5bを,
図3(b)に示された矢印の方向に引き延ばし,かつ,湾曲させることができる。一方で,接合部42の延長線上に取り付けられた第1の止着テープ5aが,使い捨ておむつ10の着用時において摘まれたとしても,タック41は展開しない。このため,例えば,まずは展開できない第1の止着テープ5aを前身頃71に貼りつけて,使い捨ておむつを着用者の身体に固定させ,その後展開可能な第2の止着テープ5bを貼り付ける位置や角度を調節することによって,使い捨ておむつ10と着用者の身体のフィット性を向上させることができる。
【0062】
また,第1の止着テープ5aと第2の止着テープ5bは,
図3においては,同じ長さで形成されているが,例えば,第2の止着テープ5bを第1の止着テープ5aより長く形成することとしてもよい。つまり,第2の止着テープ5bは,サイドフラップ4の側縁から,上部着テープ5aより使い捨ておむつの幅方向外側へ,長く突出したものであってもよい。これにより,使い捨ておむつ10の着用時において,第2の止着テープ5bを,前身頃71に取り付け易くなる。
【0063】
次に,
図4を参照して,タック41を固定する接合部42について説明する。
図4は,接合部42が形成された位置において,サイドフラップ4を使い捨ておむつの幅方向に切断した断面形状の例を示す断面図である。
図4に示されるように,サイドフラップ4は,内方折返線411において使い捨ておむつの内方に,外方折返線412において使い捨ておむつの外方に折り返され,Z字状をなすタック41が形成されている。
図4に示された例においては,内方折返線411で折り返された部分と,外方折返線412において折り返された部分の両方に,例えばホットメルト接着剤のような流動性のある接着剤が塗布された接合部42が形成されている。ただし,接合部42は,内方折返線411で折り返された部分又は外方折返線412において折り返された部分のいずれか一方に形成されるものであってもよい。また,Z字状をなして3層構造となったタック41の全ての層を,例えば,ヒートシールのような熱溶着や超音波溶着により一貫して接合することにより,接合部42を形成することとしてもよい。
【0064】
次に,
図5を参照して,タック41における使い捨ておむつの幅方向の大きさを変更した例について説明する。具体的に説明すると,
図5(a)は,タック41における使い捨ておむつの幅方向の大きさを大きめに形成した場合の状態を示しており,
図5(b)は,タック41における使い捨ておむつの幅方向の大きさを小さめに形成した場合の状態を示している。
【0065】
図5(a)に示す例においては,内方折返線411においてサイドフラップ4を使い捨ておむつの内方へ折り返した後,大きめの間隔を空けて,外方折返線412を形成し,サイドフラップ4を使い捨ておむつの外方へ折り返している。内方折返線411から外方折返線412までの距離は,例えば,25mm〜50mm,35mm〜45mm,又は40mm程度である。このように,内方折返線411から外方折返線412までの間隔を大きめにとることにより,接合部42によって固定されていないタック41の部分は,着用時において第2の止着テープ5bが引き延ばされた際に大きく展開する。このため,より自由な位置に,より自由に角度をつけて,第2の止着テープ5bを前身頃71に貼り付けることができる。
【0066】
一方,
図5(b)に示す例においては,内方折返線411においてサイドフラップ4を使い捨ておむつの内方へ折り返した後,小さめの間隔で,外方折返線412を形成し,サイドフラップ4を使い捨ておむつの外方へ折り返している。内方折返線411から外方折返線412までの距離は,例えば,0.5mm〜25mm,10mm〜20mm,又は15mm程度である。このように,内方折返線411から外方折返線412までの間隔を小さめにすることにより,接合部42によって固定されていないタック41の部分は,着用時において第2の止着テープ5b摘まれた際に小さく展開する。従って,第2の止着テープ5bを前身頃71に貼り付ける際の位置や角度をある程度制限するように調節することも可能である。
【0067】
なお,
図1〜
図5には,サイドフラップ4に止着テープ5が2つ取り付けられた例が示されているが,サイドフラップ4に取り付けられる止着テープ5の数は,1つであってもよいし,3つ以上であってもよい。
【0068】
(1−2−5.立体ギャザー)
立体ギャザー6は,吸収体3の両側縁部に沿って起立し,着用者が排泄した尿の横漏れを防止するための部材である。立体ギャザー6は,起立した状態(上端縁部に配置された弾性伸縮部材が収縮した状態)において尿の防漏壁となるため,トップシート1を透過しなかった尿や,吸収体3により吸収しきれなった尿が,吸収体の脚部周り開口部などから漏出する横漏れを防止する。
【0069】
一対の立体ギャザー6のそれぞれは,トップシート1の側縁部に固定され,トップシート1及びバックシート2の両側縁部を挟みこむようにして,トップシート1及びバックシート2に固定される。また,立体ギャザーのそれぞれは,例えば不織布からなるシート材により形成される。
【0070】
立体ギャザー6を構成するシート材40としては,疎水性材料を用いることが好ましい。疎水性材料の例としては,疎水性が高くかつ通気性が良いという観点から,スパンボンドやカードエンボスのような不織布を用いることが好ましい。特に,疎水性,通気性,及び耐水圧が高くという理由から,SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)や,SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)のような目の詰まった不織布を用いることが好ましい。
【0071】
(2.第2の実施形態)
次に,
図6を参照して,本発明に係るテープ式の使い捨ておむつの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態においては,上述した第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し,異なる点を中心に説明する。
【0072】
本発明の第2の実施形態は,サイドフラップ4に一つのタック41が形成され,このタック41が一箇所の接合部42によって部分的に固定され,サイドフラップ4の側端から突出するように第1の止着テープ5a及び第2の止着テープ5bが取り付けられている点において,第1の実施形態と同様である。一方,第2の実施形態においては,第1の止着テープ5a及び第2の止着テープ5bのそれぞれが,接合部42が形成された位置から使い捨ておむつの幅方向に延びる延長線からずれた位置に取り付けられている点において,第1の実施形態と異なっている。
【0073】
すなわち,第1の止着テープ5aは,接合部42が形成された位置から幅方向外方へ向かって延びる延長線から,幅方向と直交する方向に第1の距離ずれた位置に取り付けられている。また,第2の止着テープ5bは,接合部42が形成された位置から幅方向外方へ向かって延びる延長線から,幅方向と直交する方向に第2の距離ずれた位置に取り付けられている。なお,第1の距離と第2の距離は,同一の距離であってもよいし,異なる距離であってものであってもよい。このため,第2の実施形態においては,接合部42が形成された位置から使い捨ておむつの幅方向に延びる延長線上には,第1の止着テープ5a及び第2の止着テープ5bが存在しない。
【0074】
図6(a)は,接合部42が,第1の止着テープ5a及び第2の止着テープ5bよりも,後身頃72の端部寄り(
図6中上部寄り)に形成されている例を示している。つまり,第1の止着テープ5a及び第2の止着テープ5bは,接合部42の延長線から使い捨ておむつの長手方向下方にずれている。また,第1の止着テープ5aと第2の止着テープ5bの間も所定間隔空けてサイドフラップ4の側縁部に取り付けられている。第1の止着テープ5aが,接合部42の延長線からずれる距離は,例えば,0.1mm〜20mm,1mm〜15mm,又は5mm〜10mmである。一方,第2の止着テープ5bが,接合部42の延長線からずれる距離は,例えば,25mm〜150mm,40mm〜100mm,又は60mm〜80mmである。このように,接合部42の延長線から第2の止着テープ5bまでの距離は,接合部42の延長線から上部子爵テープ5aまでの距離よりも大きくなることが好ましい。
【0075】
上述したように,接合部42の延長線から,第1の止着テープ5a及び第2の止着テープ5bが,使い捨ておむつの長手方向下方へずれることで,使い捨ておむつ10を着用者の身体に装着されるに際して,第1の止着テープ5a及び第2の止着テープ5bの取り付け位置や取り付け角度を適宜調節して,前身頃71に取り付けることができる。特に,第1の止着テープ5aは,接合部42の延長線に比較的近い位置に配置されているため,前身頃71に貼り付けられる際に,傾斜可能な角度も比較的小さくなる。また,第2の止着テープ5bは,接合部42の延長線から比較的離間した位置に配置されているため,前身頃71に貼り付けられる際に,傾斜可能な角度が比較的大きくなる。このように,第1の止着テープ5aと第2の止着テープ5bは,それぞれ前身頃71に貼り付けられる際に傾斜可能な角度が異なる。従って,使い捨ておむつ10の装着に際し,着用者の体型に合わせて,使い捨ておむつ10がフィットするように,前身頃71に貼り付ける第1の止着テープ5aと第2の止着テープ5bの位置や角度を微調整することができる。
【0076】
図6(b)は,接合部42が形成された位置から使い捨ておむつの幅方向外方へむかって延びる延長線が,第1の止着テープ5aと第2の止着テープ5bの間を通るように形成された例を示している。つまり,第1の止着テープ5aは,接合部42の延長線から使い捨ておむつの長手方向上方にずれ,第2の止着テープ5bは,接合部42の延長線から使い捨ておむつの長手方向下方にずれている。言い換えると,接合部42が,第1の止着テープ5a及び第2の止着テープ5bが取り付けられたそれぞれの位置から使い捨ておむつの幅方向内方へ向かって延びる延長線の間に形成されている。第1の止着テープ5aが,接合部42の延長線から上方に向かってずれる距離は,例えば,0.1mm〜20mm,1mm〜15mm,又は5mm〜10mmである。また,第2の止着テープ5bが,接合部42の延長線から下方に向かってずれる距離は,例えば,0.1mm〜20mm,1mm〜15mm,又は5mm〜10mmである。第1の止着テープ5a及び第2の止着テープ5bが接合部42の延長線からずれる距離は,それぞれ異なる距離であってもよいし,同一の距離であってもよい。例えば,接合部42は,比較的第1の止着テープ5aに近く,第2の止着テープ5bから離間した位置に形成することとしてもよい。
【0077】
このように,第1の止着テープ5aは,接合部42の延長線から,使い捨ておむつの長手方向上方へずれて取り付けられている。このため,使い捨ておむつ10を着用者の身体に装着されるに際して,
図6(b)において矢印で示されるように,第1の止着テープ5aを,使い捨ておむつの長手方向下方へ傾斜させて,前身頃71に取り付けることができる。一方,第2の止着テープ5aは,接合部42の延長線から,使い捨ておむつの長手方向下方へずれて取り付けられている。このため,使い捨ておむつ10を着用者の身体に装着されるに際して,
図6(b)において矢印で示されるように,第1の止着テープ5aを,使い捨ておむつの長手方向上方へ傾斜させて,前身頃71に取り付けることができる。このように,第1の止着テープ5aと第2の止着テープ5bは,それぞれ異なる方向に傾斜して前身頃71に取り付けられるため,使い捨ておむつ10の装着時におけるがフィット性が向上する。
【0078】
(3.第3の実施形態)
次に,
図7を参照して,本発明に係るテープ式の使い捨ておむつの第3の実施形態について説明する。第3実施形態においても,上述した第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し,異なる点を中心に説明する。
【0079】
第3の実施形態は,サイドフラップ4の側端に2つの止着テープ5(5a,5b)が取り付けられている点においては第1の実施形態と同様であるが,サイドフラップ4に接合部42が複数設けられている点において異なる。
【0080】
図7(a)は,サイドフラップ4に1つのタック41が形成され,タック41を形成する内方折返線411と外方折返線412の間に,接合部42が2箇所形成された例を示している。また,この2箇所に形成された接合部42は,後身頃72の端部までの距離がそれぞれ異なっている。2箇所の接合部42のうち,後身頃72の端部に近い方(
図7中上部側)が上部接合部42aであり,後身頃72の端部から遠い方(
図7中下部側)が下部接合部42bである。また,下部接合部42bは,
図7(a)に示されるように,サイドフラップ4のうち,使い捨ておむつの長手方向の幅の中間部付近に形成されていることが好ましい。
【0081】
また,上部接合部42aと下部接合部42bは,使い捨ておむつの幅方向における位置も異なるものであることが好ましい。つまり,上部接合部42aは,外方折返線412により近い位置に形成され,下部接合部42bは,内方折返線411により近い位置に形成されていることが好ましい。
【0082】
また,
図7(a)に示されるように,上部接合部42aが形成された位置から使い捨ておむつの幅方向外方へ向かって延びる延長線上には,第1の止着テープ5aが取り付けられている。一方,下部接合部42b形成された位置から使い捨ておむつの幅方向外方へ向かって延びる延長線上には,止着テープ5(5a,5b)が存在しない。また,上部接合部42aの延長線,及び下部接合部42bの延長線のいずれからも使い捨ておむつの長手方向に所定距離ずれた位置に,第2の止着テープ5bが取り付けられている。更に付言すると,第1の止着テープ5aは,下部接合部42bの延長線上から使い捨ておむつの長手方向上方に所定距離ずれており,第2の止着テープ5bは,下部接合部42の延長線上から使い捨ておむつの長手方向下方に所定距離ずれている。
【0083】
第1の止着テープ5a,第2の止着テープ5b,上部接合部42a,及び下部接合部42bをそれぞれ上述したような相対的位置に形成することにより,使い捨ておむつ10の装着時において,第2の止着テープ5bが前身頃71に貼り付けられる際の位置や角度を細かく設定することができる。例えば,第2の止着テープ5bが摘まれ,タック41が展開すると,まず下部接合部42aを支点として,第2の止着テープ5bは傾斜する。そして,第2の止着テープ5bがさらに引き延ばされると,次に上部接合部42bを支点として,第2の止着テープ5bが傾斜する。このように,第2の止着テープ5bの傾斜可能な角度を2段階とすることもできる。このため,着用者の体型に合わせて使い捨ておむつ10がフィットするように,止着テープを取り付ける角度を細かく設定することができるため,装着時におけるフィット性を向上させることができる。
【0084】
図7(b)は,サイドフラップ4に2つのタック41を形成し,各タック41を形成する内方折返線411と外方折返線412の間に,それぞれ,接合部42を1箇所ずつ形成した例を示している。まず,使い捨ておむつの幅方向外側に延出するサイドフラップ4は,第1の内方折返線411aにおいて,使い捨ておむつの幅方向内方へ向かって折り返される。第1の内包折返線411aにおいて折り返されたサイドフラップ4は,次に第1の外方折返線412aにおいて,使い捨ておむつの幅方向外方へ向かって折り返される。このように,第1の内方折返線411aと第1の外方折返線412aによって,第1のタック41aが形成される。続いて,第1の外方折返線412aにおいて折り返されたサイドフラップ4は,第2の内方折返線411bにおいて,再び,使い捨ておむつの幅方向内方に向かって折り返される。さらに,第2の内方折返線411bにおいて折り返されたサイドフラップ4は,第2の外方折返線412bにおいて,再び,使い捨ておむつの幅方向外方に向かって折り返される。このようにして,第2の内方折返線411bと第2の外方折返線412bによって,第2のタック41bが形成される。
【0085】
ここで,第1のタック41a及び第2のタック41bでは,それぞれサイドフラップ4がZ字状となり3層構造となる。ただし,第1のタック41aと第2のタック41bは,サイドフラップ4が6層の構造とならないよう,使い捨ておむつの幅方向において並列して形成されることが好ましい。この場合において,第1の外方折返線412aから第2の内方折返線411bまでのサイドフラップ4の長さは,第1の内方折返線411aから第1の外方折返線412aまでの長さ(若しくは,第2の内方折返線411bから第2の外方折返線412bまでの長さ)の2倍〜3倍に形成すればよい。
【0086】
また,
図7(b)に示されるように。第1のタック41aと第2のタック41bのそれぞれに1つずつ形成された接合部42は,後身頃72の端部までの距離がそれぞれ異なっている。これらの接合部42のうち,後身頃72の端部の近くに位置し,第1のタック41aを部分的に固定する接合部が上部接合部42aであり,後身頃72の端部から遠くに位置し,第2のタック41bを部分的に固定する接合部が下部接合部42bである。
【0087】
さらに,
図7(b)に示されるように,上部接合部42aが形成された位置から使い捨ておむつの幅方向外方へ向かって延びる延長線上には,第1の止着テープ5aが取り付けられている。一方,下部接合部42b形成された位置から使い捨ておむつの幅方向外方へ向かって延びる延長線上には,止着テープ5(5a,5b)は存在しない。また,上部接合部42aの延長線,及び下部接合部42bの延長線のいずれからも使い捨ておむつの長手方向に所定距離ずれた位置に,第2の止着テープ5bが取り付けられている。更に付言すると,第1の止着テープ5aは,下部接合部42bの延長線上から使い捨ておむつの長手方向上方に所定距離ずれており,第2の止着テープ5bは,下部接合部42の延長線上から使い捨ておむつの長手方向下方に所定距離ずれている。
【0088】
このように,サイドフラップ4にタック41を複数形成し,第1の止着テープ5a,第2の止着テープ5b,上部接合部42a,及び下部接合部42bをそれぞれ上述したような相対的位置に形成することにより,使い捨ておむつ10の装着時において,第2の止着テープ5bが前身頃71に貼り付けられる際の位置や角度を細かく設定することができる。例えば,第2の止着テープ5bが摘まれると,まず,第2のタック41bが展開し,下部接合部42bを支点として,第2の止着テープ5bが傾斜する。そして,第2の止着テープ5bがさらに引き延ばされると,次に,第2のタック41aが展開し,上部接合部42aを支点として,第2の止着テープ5bがさらに傾斜する。このように,第2の止着テープ5bの傾斜可能な角度を2段階とすることもできる。このため,着用者の体型に合わせて使い捨ておむつ10がフィットするように,止着テープを取り付ける角度を細かく設定することができるため,装着時におけるフィット性を向上させることができる。
【0089】
なお,上述した第3の実施形態においては,複数の接合部42として,2つの接合部42(42a,42b)が設けられた例について説明したが,接合部42は,3つ以上設けることとしてもよい。この場合,止着テープ5が傾斜する角度を3段階以上とすることができる。
また,
図7(b)を参照して説明した実施の形態においては,複数のタック41として,2のタック(41a,41b)が形成された例について説明したが,タック41は,3つ以上設けることとしてもよい。また,各タック41には,2つ以上の接合部42が設けられることとしてもよい。この場合も,止着テープ5が傾斜する角度を3段階以上とすることができる。