(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のグラスウールマット巻取り装置は、グラスウールマットの巻き戻りや型崩れを防止するためクラフト紙等の包装紙を供給する包装紙貼付装置を備えることなく、
マット巻取りコンベア装置でグラスウールを巻取った後、一対の回転支持体を回転させる
巻取り成形装置によって、ロール状グラスウールマットの巻き
戻り、型崩れを防止し、このロール状グラスウールマットを保持搬送具に垂直落下させ梱包する構成となっている。
【0019】
以下、本発明のグラスウールマット巻取り装置100について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るグラスウールマット巻取り装置の一例を示す概略説明図である。また、
図3は、従来のグラスウールマット巻取り装置の一例を示す概略説明図である。なお、
図3において、
図1の本発明の巻取り装置と同じ構成、作用を有する部分については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0020】
本発明のグラスウールマット巻取り装置100は、グラスウールマットをロール状に巻き取る装置であって、グラスウールマット5を巻取り、ロール状のグラスウールマット
6を形成するマット巻取りコンベア装置1と、ロール状のグラスウールマット6の巻き戻り、型崩れを防止するための巻取り成形装置3を備えている。
【0021】
まず、マット巻き取りコンベア装置1について説明する。マット巻取りコンベア装置1は、従来技術と同様に、
図1に示すように、グラスウールマット5をベルト上に載せ搬送する搬送コンベア1aと、搬送コンベア1aにて搬送されるグラスウールマット5をロール状に巻き取るための巻取りコンベア2aを備えている。
【0022】
搬送コンベア1aは、エンドレスベルト10と、2つの回転体11a、11bとを備え、2つの回転体11a、11bを回転させることによってエンドレスベルト10を回転させ、グラスウールマット5を搬送する。また、巻取りコンベア2aも同様な構成であり、エンドレスベルト20と、2つの回転体21a、21bとを備え、2つの回転体21a、21bを回転させることによってベルト20を回転させる。
【0023】
グラスウールマット5をロール状に巻くための巻取りコンベア2aの一方の回転体21aは、搬送コンベア1aのグラスウールマット搬送方向の末端部に位置する搬送コンベア1aの一方の回転体11aの近傍に設けられ、搬送コンベア1aの一方の回転体11aと巻取りコンベア2aの一方の回転体21aを支点にして、巻き取りに必要な角度を形成するように巻取りコンベア2aが配置される。
【0024】
巻取りコンベア2aは、搬送コンベア1aのエンドレスベルト上にて搬送されてきたグラスウールマット5をロール状に矢印A方向に巻き取ることができるように、エンドレスベルト20が回転する。さらに、巻取りコンベア2aは、一方の回転体21bを軸にして、他方の回転体21aが、巻取りが完了したロール状グラスウールマット6が通過搬送できる程度の大きさの円弧状に矢印B方向に開くことができる構成となっている。一方の回転体21bの回転軸を軸にして、他方の回転体21aが円弧状に可動な機構は、特に限定されないが、例えば、巻取りコンベア2aの適宜箇所にエアシリンダーを設け、その駆動力によって巻取りコンベア2aを円弧状に開閉させるとよい。
【0025】
さらに、巻取りコンベア2aに備えられた他方の回転体21aを矢印方向Bに円弧状に開くことによって、ロール状グラスウールマット6がベルト10上により移送され、搬送コンベア1aの搬送方向の末端部に位置するロール状マット搬出部近傍に配置された巻取り成形装置3に移動させることができる構成となっている。
【0026】
次に、巻取り成形装置3について説明する。巻取り成形装置3は、一対の回転支持体を有しており、一対の回転支持体30а、30bは、マット巻取りコンベア装置1のロール状マット搬出部の近傍位置に設けられる。
図1に示すように、一対の回転支持体30а、30bは、マット巻取りコンベア装置1のロール状マット搬出部とロール状グラスウールマット6を収容する保持搬送具4との間に位置するように設けるとよい。また、一対の回転支持体30а、30bは、ロール状グラスウールマット6の下面側の一部A1、A2に接するように配置され、ロール状マットを支持した状態で巻き取り方向に回転させる。なお、一対の回転支持体30а、30bは、第一工程(後述にて説明)で製造した、巻き取られたマットを支持するのに十分な大きさを持つことが求められ、その大きさは該マットの大きさに応じて、当業者が適宜定めることができる。
【0027】
また、ロール状グラスウールマット6をスムーズに搬送するために、一対の回転支持体30а、30bは、搬送コンベア1aの回転体11a、11bの高さに対して、同程度もしくは低い位置(搬送コンベア1аより下方)に設置することが好ましい。
【0028】
さらに、一対の回転支持体30а、30bは、ロール状グラスウールマット6のロール状巻き取り軸方向に1つずつ、互いに略水平に配置され、ロール状グラスウールマットを支持するに十分な程度、互いに隣接しており、一対の回転支持体30а、30bを、ロール状マグラスウーマット6が矢印Cで示す巻き取り方向に回転するように、回転させることによって、ロール状グラスウールマット6を成形する構成となっている。
【0029】
巻き取り成形装置3に備えられる、一対の回転支持体30а、30bの好ましい形態としては、例えば、
図1に示すように、V字状に
上下方向に傾けて配置される2つのコンベアを有する構成にするとよい。この構成にすることによって、第一工程にて形成されたロール状グラスウールマット6が転落しにくいこと、巻き取られたロール状グラスウールマット6がコンベアのベルトとたわみによって、面としての接触になるため、より効果的に成形が行えること、また、既存の一般的なベルト製コンベアをそのまま活用できること、などの利点がある。
【0030】
次に、一対の回転支持体30а、30bの好ましい形態であるV字状に
上下方向に傾けて配置される2つのコンベアについて説明する。
図1に示すように、V字状に
上下方向に傾けて配置される2つのコンベアは、搬送コンベア1aや巻取りコンベア2aと同様に、それぞれ、エンドレスベルト34と2つの回転体31a、31bエンドレスベルト
35と、2つの回転体33a、33b、とを備え、これらの回転体を回転させることによってエンドレスベルト34、35を回転させる構成となっており、2つのコンベアは、それぞれのエンドレスベルト34、35を回転させる、それぞれの回転体31a、33aを中心にして、V状になるように
上下方向に傾けて2つのコンベアが配置される。
【0031】
V字状に
上下方向に傾けて配置される2つのコンベアは、それぞれのエンドレスベルト34、35を回転させる、それぞれの一方の回転体31b、33bの回転軸を軸にして、矢印D、Eで示すように他方の回転体31a、33aが円弧状に可動な構成となっており、他方の回転体31a、33aを円弧状に開くことによって、V字状に
上下方向に傾けて配置された2つのコンベアの
下側の端部間の隙間を広げ、ロール状グラスウールマット6を落下させ、梱包ラインに搬送することができる。また、搬送されてくるロール状マットの転落防止のために、ホッパーのような転落防止壁を、V字状に
上下方向に傾けて配置された2つのコンベアの周囲に適宜設けるようにしてもよい。
【0032】
巻取り成形装置3の下方には、ロール状グラスウールマット6を保持する保持搬送具4を設けるとよい。保持搬送具を設ける位置は、巻取り成形装置3の下方であれば特に限定されないが、ロール状グラスウールマット6が落下する垂直下に設けることが好ましい。垂直下に設けることによって、ロール状グラスウールマット6の巻き戻り、型崩れをより効果的に防止することができる。また、保持搬送具4の形状は、上部から落下してくるロール状グラスウールマット6を保持し、搬送できるものであれば、特に限定されず、適宜設計することができる。
【0033】
次に、上記説明のグラスウールマット巻取り装置100を用いたグラスウールマットの巻き取り、ロール状のグラスウールマットを製造する方法、手順について
図1を参照して説明する。
【0034】
本発明のロール状グラスウールマット6を製造する方法は、グラスウールマット5を、コンベア装置を用いて巻き取り、ロール状グラスウールマット6を作成する工程(第一工程)と、ロール状グラスウールマット6を、マット巻取りコンベア装置のロール状マット搬出部近傍位置に設けられた一対の回転支持体を有する巻取り成形装置3上に据え、一対の回転支持体を、ロール状マットの巻き取り方向に回転させることによって、ロール状グラスウールマット6を成形する工程(第二工程)と、を含む。
【0035】
以下、本発明の製造方法の各工程について、一対の回転支持体として、V字状に
上下方向に傾けて配置される2つのコンベアを例に説明する。
【0036】
第一工程は、搬送コンベア1aのベルト上にて搬送されるグラスウールマット5を、搬送コンベア1aの上方に設けられた巻取りコンベア2aを用いて、ロール状に巻き取る工程であり、搬送されてきたグラスウールマット5の先端部分の上面に、グラスウールマット5を巻き付けるためのロール芯(図示せず)を入れ、搬送コンベア1aのベルト10の回転と巻取りコンベア2aのエンドレスベルト20の回転によって、グラスウールマット5をロール状に巻き取るとよい。
【0037】
搬送コンベア1aのコンベア速度は、製造品種や装置の状況によって適宜設定されることが好ましく、一般的なグラスウールマットを用いる場合、2m/min〜20m/minとすることが好ましく、それに併せて、巻取りコンベア2aの回転速度を同期させることが好ましい。
【0038】
次いで、所定の厚さまでグラスウールマット5をロール状に巻き取ると、巻取りコンベア2aの一方の回転体21aが、他方の回転体21bの回転軸を軸にして、
図1に点線で示すように、矢印B方向に、円弧状にロール状のマットが通過搬送できる程度に開き、ロール状グラスウールマット6が、エンドレスベルト10により移送され、巻取り成形コンベア装置3に運ばれる。
【0039】
第二工程は、第一工程において、一度ロール状に巻き取られたグラスウールマット6の巻き戻りや型崩れを防止し、ロール状グラスウールマット6の形状を整え成形する工程である。第一工程において、形成されたロール状グラスウールマット6は、従来の巻取装置200(
図3参照)と違い、巻き戻りや型崩れを防止する包装紙70が貼り付けられていないため、グラスウールマット5の末端部は、固定されず、巻き戻りが起こりやすく、型崩れしやすい状態にある。
【0040】
そこで、第二工程において、一度ロール状に巻き取られたグラスウールマット6を、V字状に
上下方向に傾けて配置された2つのコンベアを備えた巻取り成形装置3にて、再度、ロール状のグラスウールマット6を回転させ、形状を整えることが可能となる。なお、2つのコンベアのそれぞれの回転速度は同期させることが好ましい。
【0041】
さらに、形状が整えられる第二工程に次いで、V字状に
上下方向に傾けて配置された2つのコンベアのそれぞれの一方の回転体31a、33aが、他方の回転体31b、33bの回転軸を軸に円弧状に開くことによって、V字状に
上下方向に傾けて配置された2つのコンベアの
下側の端部間の隙間が開き、ロール状グラスウールマット6が垂直に落下し、下方に設けられた搬送保持具4に収容されるようにする第三工程を設けるようにしてもよい。この際、ロール状のグラスウールマット6は垂直下に落下するため、ロール状グラスウールマット6は巻き戻りや型崩れすることがない状態で搬送保持具4に収容することができる。次いで、搬送保持具4に収容されたロール状のグラスウールマット6は、梱包ラインに搬送され梱包される。
【0042】
以上、本発明の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0043】
本発明の構成によれば、クラフト紙などの包装紙を用いることなく、グラスウールマットの巻き戻りや型崩れを防止することができ、包装紙貼付装置に由来する設備トラブルのないグラスウールマット巻取り装置を提供することが可能となる。
【0044】
さらに、本発明のグラスウールマット巻取り装置を用いると、グラスウールマットの巻き戻りや型崩れを防止するためクラフト紙等の包装紙を使用する必要がないため、産業廃棄物を増やすことなく、グラスウールマットを巻き取り、梱包することが可能となる。
【0045】
本発明は、上記の実施の形態に限定されずに、その技術思想の範囲内において種々の変更が可能なことは明白である。
【0046】
例えば、本発明の実施の形態ではマットとして、グラスウール(ガラス短繊維)マットを用いたが、グラスウールマットとして、ニードルパンチ加工を施したマット、接着剤などを塗布したマット、その他、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨンなどの合成繊維・化学繊維など他の繊維質マットにも適用可能である。