特許第5747636号(P5747636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747636
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】マット巻取り装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 18/22 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   B65H18/22
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-100614(P2011-100614)
(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公開番号】特開2012-12221(P2012-12221A)
(43)【公開日】2012年1月19日
【審査請求日】2014年1月27日
(31)【優先権主張番号】特願2010-127397(P2010-127397)
(32)【優先日】2010年6月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002200
【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145632
【弁理士】
【氏名又は名称】小出 誠
(72)【発明者】
【氏名】若尾 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和也
(72)【発明者】
【氏名】黒尾 進
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−280948(JP,A)
【文献】 実開昭57−203039(JP,U)
【文献】 特開昭61−140446(JP,A)
【文献】 特表平10−508565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/00−18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス短繊維マット(5)を巻取り、ロール状マット(6)を形成する搬送コンベア(1a)と巻取りコンベア(2a)とからなり、巻取りコンベア(2a)は、一方の回転体(21b)を軸にして、他方の回転体(21a)が、巻取りが完了したロール状マット(6)が通過搬送できる程度の大きさの円弧状に開くことができる構成となっている、マット巻取りコンベア装置(1)と、
ロール状マット(6)を収容する保持搬送具(4)と、
からなるマット巻取り装置(100)において、
マット巻取りコンベア装置(1)のロール状マット(6)搬出部と保持搬送具(4)との間に位置し、マット巻取りコンベア装置(1)から移動したロール状マット(6)の下面側の一部に接し、ロール状マットを支持した状態で巻き取り方向に回転させる一対の回転支持体(30a、30b)を有する巻取り成形装置(3)、を備え
一対の回転支持体(30a、30b)が、V字状に上下方向に傾けて配置された2つのコンベアであり、2つのコンベアは、下側の端部間の隙間を広げ、ロール状マット(6)を保持搬送具(4)に垂直に落下させ得ることを特徴とするマット巻取り装置。
【請求項2】
前記2つのコンベアは、エンドレスベルト(34)を回転させる回転体(31a、31b)、エンドレスベルト(35)を回転させる回転体(33a、33b)を備え、上側のそれぞれの回転体(31b、33b)の回転軸を軸にして、下側のそれぞれの回転体(31a、33a)が円弧状に可動な構成となっていることを特徴とする請求項1記載のマット巻取り装置。
【請求項3】
ロール状ガラス短繊維マットの製造方法であって、
ガラス短繊維マットを、コンベア装置を用いて巻き取りロール状マットを形成する第一工程と、
前記ロール状マットを、前記マット巻取りコンベア装置から移動させて前記マット巻取りコンベア装置のロール状マット搬出部近傍位置に設けられた一対の回転支持体を有する巻取り成形装置上に据え、前記一対の回転支持体を、前記ロール状マットの巻き取り方向に回転させることによって、前記ロール状マットを成形する第二工程と、
前記第二工程にて成形した前記ロール状マットを、垂直に落下させて、前記巻取り成形装置の下方向に設けられた保持搬送具に収容する第三工程、を含むことを特徴とするロール状マット製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス短繊維マットの巻き戻り、型崩れを防止したマットの巻取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グラスウール(ガラス短繊維)は断熱性が高く、吸音性にも優れ、軽く、施工しやすい特徴から、自動車のエンジン周りなどに装着されて使用される吸音断熱インシュレーター、住宅用の断熱材、ビルや建築等における配管用の保温材として使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1にはグラスウール製品の製造に用いられるグラスウールマット(ガラス繊維質マット)の製造工程が開示されている。
【0004】
グラスウールマットの主な製造工程としては、図2の工程概略図に示されるように、順に、ガラス繊維の原料を調合する工程(原料調合工程)、溶融した原料を繊維化装置により繊維化する工程(繊維化工程)、繊維化後のガラス繊維に接着剤を塗布する工程(接着剤塗布工程)、接着剤塗布後の未硬化の繊維を平面状の堆積面上に順次落下させ層状に堆積せしめ未硬化の無機繊維質集合体とする工程(集綿化工程)を経て製造され、グラスウールマットの幅や長さなどの形状を整える(裁断工程)、巻き取り工程、搬送梱包工程を経て出荷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−181963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の工程によって製造されるグラスウールマットは、圧縮に対する復元性が高く、保形性が悪いため、ハンドリングが難しい。そのため、図3に示すような従来のグラスウールマットの巻き取り、搬送梱包工程において、一度ロール状に巻き取ったグラスウールマットが、コンベアから梱包ラインに搬送される際に、巻き戻りや型崩れを起こしてしまい、作業負担が大きくなるという問題点があった。
【0007】
図3に示すように、従来のグラスウールマットの巻き取り、搬送梱包工程において、ロール状のグラスウールマットの巻き戻りや型崩れ防止処置として、ロール状に巻いたグラスウールマットの外側に、クラフト紙などの包装紙70を巻き付ける方法が取られていた。
【0008】
具体的には、クラフト紙などの包装紙70を巻き付ける方法としては、グラスウールマットを搬送するコンベア1aの上方に、包装紙を供給し貼り付ける貼付装置7を設け、ロール状に巻いたグラスウールマット6の外側に、クラフト紙などの包装紙70を巻き付けるようにしていた。
【0009】
しかしながら、この貼付装置7を設け、ロール状に巻いたグラスウールマット6に包装紙70を供給する場合、貼付装置7の紙詰まりや、包装紙70が途中で切れてしまうことなどのトラブルによって、生産ラインを停止せざるを得ない状況になりグラスウールマットの生産性に影響を及ぼすという問題点があった。
【0010】
さらに、ロール状に巻いたグラスウールマットの巻き戻りや型崩れを防止するクラフト紙などの包装紙を用いると、包装紙が産業廃棄物となることから、顧客から包装紙の廃止することが望まれていた。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、グラスウールマットの巻き戻りや型崩れを防止したマットの巻取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、グラスウールマットを搬送し、ロール状に巻き取るコンベア装置の搬出部近傍に、一対の回転支持体を有する巻取り成形装置を設け、一対の回転支持体をマットの巻き取り方向に回転させることによって、ロール状グラスウールマットを成形することによって、巻き戻りや型崩れすることなくロール状に巻き取り成形し、作業負担なく梱包作業ができることを見出し、本発明に至った。
【0013】
すなわち、本発明は、ガラス短繊維マット(5)を巻取り、ロール状マット(6)を形成する搬送コンベア(1a)と巻取りコンベア(2a)とからなり、巻取りコンベア(2a)は、一方の回転体(21b)を軸にして、他方の回転体(21a)が、巻取りが完了したロール状マット(6)が通過搬送できる程度の大きさの円弧状に開くことができる構成となっているマット巻取りコンベア装置(1)と、ロール状マット(6)を収容する保持搬送具(4)とからなるマット巻取り装置(100)において、マット巻取りコンベア装置(1)のロール状マット(6)搬出部と保持搬送具(4)との間に位置し、マット巻取りコンベア装置(1)から移動したロール状マット(6)の下面側の一部に接し、ロール状マットを支持した状態で巻き取り方向に回転させる一対の回転支持体(30a、30b)を有する巻取り成形装置(3)、を備え、一対の回転支持体(30a、30b)が、V字状に上下方向に傾けて配置された2つのコンベアであり、2つのコンベアは、下側の端部間の隙間を広げ、ロール状マット(6)を保持搬送具(4)に垂直に落下させ得ることを特徴とするマット巻取り装置である。
【0014】
また、本発明は、前記2つのコンベアは、エンドレスベルト(34)を回転させる回転体(31a、31b)、エンドレスベルト(35)を回転させる回転体(33a、33b)を備え、上側のそれぞれの回転体(31b、33b)の回転軸を軸にして、下側のそれぞれの回転体(31a、33a)が円弧状に可動な構成となっていることを特徴とする請求項1記載のマット巻取り装置である。
【0015】
また、本発明は、ロール状ガラス短繊維マットの製造方法であって、ガラス短繊維マットを、コンベア装置を用いて巻き取り、ロール状マットを形成する第一工程と、前記ロール状マットを、前記マット巻取りコンベア装置から移動させて前記マット巻取りコンベア装置のロール状マット搬出部近傍位置に設けられた一対の回転支持体を有する巻取り成形装置上に据え、前記一対の回転支持体を、前記ロール状マットの巻き取り方向に回転させることによって、前記ロール状マットを成形する第二工程と、前記第二工程にて成形した前記ロール状マットを、垂直に落下させて、前記巻取り成形装置の下方向に設けられた保持搬送具に収容する第三工程、を含むことを特徴とするロール状マット製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成によれば、ロール状マットの巻き戻りや型崩れによる梱包作業負荷をなくした、巻き戻りや型崩れのないマット巻取り装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るグラスウールマット巻取り装置を示す概略説明図である。
図2】グラスウールマットの製造工程図を示すものである。
図3】従来のグラスウールマット巻取り装置の一例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のグラスウールマット巻取り装置は、グラスウールマットの巻き戻りや型崩れを防止するためクラフト紙等の包装紙を供給する包装紙貼付装置を備えることなく、マット巻取りコンベア装置でグラスウールを巻取った後、一対の回転支持体を回転させる巻取り成形装置によって、ロール状グラスウールマットの巻き戻り、型崩れを防止し、このロール状グラスウールマットを保持搬送具に垂直落下させ梱包する構成となっている。
【0019】
以下、本発明のグラスウールマット巻取り装置100について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るグラスウールマット巻取り装置の一例を示す概略説明図である。また、図3は、従来のグラスウールマット巻取り装置の一例を示す概略説明図である。なお、図3において、図1の本発明の巻取り装置と同じ構成、作用を有する部分については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0020】
本発明のグラスウールマット巻取り装置100は、グラスウールマットをロール状に巻き取る装置であって、グラスウールマット5を巻取り、ロール状のグラスウールマットを形成するマット巻取りコンベア装置1と、ロール状のグラスウールマット6の巻き戻り、型崩れを防止するための巻取り成形装置3を備えている。
【0021】
まず、マット巻き取りコンベア装置1について説明する。マット巻取りコンベア装置1は、従来技術と同様に、図1に示すように、グラスウールマット5をベルト上に載せ搬送する搬送コンベア1aと、搬送コンベア1aにて搬送されるグラスウールマット5をロール状に巻き取るための巻取りコンベア2aを備えている。
【0022】
搬送コンベア1aは、エンドレスベルト10と、2つの回転体11a、11bとを備え、2つの回転体11a、11bを回転させることによってエンドレスベルト10を回転させ、グラスウールマット5を搬送する。また、巻取りコンベア2aも同様な構成であり、エンドレスベルト20と、2つの回転体21a、21bとを備え、2つの回転体21a、21bを回転させることによってベルト20を回転させる。
【0023】
グラスウールマット5をロール状に巻くための巻取りコンベア2aの一方の回転体21aは、搬送コンベア1aのグラスウールマット搬送方向の末端部に位置する搬送コンベア1aの一方の回転体11aの近傍に設けられ、搬送コンベア1aの一方の回転体11aと巻取りコンベア2aの一方の回転体21aを支点にして、巻き取りに必要な角度を形成するように巻取りコンベア2aが配置される。
【0024】
巻取りコンベア2aは、搬送コンベア1aのエンドレスベルト上にて搬送されてきたグラスウールマット5をロール状に矢印A方向に巻き取ることができるように、エンドレスベルト20が回転する。さらに、巻取りコンベア2aは、一方の回転体21bを軸にして、他方の回転体21aが、巻取りが完了したロール状グラスウールマット6が通過搬送できる程度の大きさの円弧状に矢印B方向に開くことができる構成となっている。一方の回転体21bの回転軸を軸にして、他方の回転体21aが円弧状に可動な機構は、特に限定されないが、例えば、巻取りコンベア2aの適宜箇所にエアシリンダーを設け、その駆動力によって巻取りコンベア2aを円弧状に開閉させるとよい。
【0025】
さらに、巻取りコンベア2aに備えられた他方の回転体21aを矢印方向Bに円弧状に開くことによって、ロール状グラスウールマット6がベルト10上により移送され、搬送コンベア1aの搬送方向の末端部に位置するロール状マット搬出部近傍に配置された巻取り成形装置3に移動させることができる構成となっている。
【0026】
次に、巻取り成形装置3について説明する。巻取り成形装置3は、一対の回転支持体を有しており、一対の回転支持体30а、30bは、マット巻取りコンベア装置1のロール状マット搬出部の近傍位置に設けられる。図1に示すように、一対の回転支持体30а、30bは、マット巻取りコンベア装置1のロール状マット搬出部とロール状グラスウールマット6を収容する保持搬送具4との間に位置するように設けるとよい。また、一対の回転支持体30а、30bは、ロール状グラスウールマット6の下面側の一部A1、A2に接するように配置され、ロール状マットを支持した状態で巻き取り方向に回転させる。なお、一対の回転支持体30а、30bは、第一工程(後述にて説明)で製造した、巻き取られたマットを支持するのに十分な大きさを持つことが求められ、その大きさは該マットの大きさに応じて、当業者が適宜定めることができる。
【0027】
また、ロール状グラスウールマット6をスムーズに搬送するために、一対の回転支持体30а、30bは、搬送コンベア1aの回転体11a、11bの高さに対して、同程度もしくは低い位置(搬送コンベア1аより下方)に設置することが好ましい。
【0028】
さらに、一対の回転支持体30а、30bは、ロール状グラスウールマット6のロール状巻き取り軸方向に1つずつ、互いに略水平に配置され、ロール状グラスウールマットを支持するに十分な程度、互いに隣接しており、一対の回転支持体30а、30bを、ロール状マグラスウーマット6が矢印Cで示す巻き取り方向に回転するように、回転させることによって、ロール状グラスウールマット6を成形する構成となっている。
【0029】
巻き取り成形装置3に備えられる、一対の回転支持体30а、30bの好ましい形態としては、例えば、図1に示すように、V字状に上下方向に傾けて配置される2つのコンベアを有する構成にするとよい。この構成にすることによって、第一工程にて形成されたロール状グラスウールマット6が転落しにくいこと、巻き取られたロール状グラスウールマット6がコンベアのベルトとたわみによって、面としての接触になるため、より効果的に成形が行えること、また、既存の一般的なベルト製コンベアをそのまま活用できること、などの利点がある。
【0030】
次に、一対の回転支持体30а、30bの好ましい形態であるV字状に上下方向に傾けて配置される2つのコンベアについて説明する。図1に示すように、V字状に上下方向に傾けて配置される2つのコンベアは、搬送コンベア1aや巻取りコンベア2aと同様に、それぞれ、エンドレスベルト34と2つの回転体31a、31bエンドレスベルト35と、2つの回転体33a、33b、とを備え、これらの回転体を回転させることによってエンドレスベルト34、35を回転させる構成となっており、2つのコンベアは、それぞれのエンドレスベルト34、35を回転させる、それぞれの回転体31a、33aを中心にして、V状になるように上下方向に傾けて2つのコンベアが配置される。
【0031】
V字状に上下方向に傾けて配置される2つのコンベアは、それぞれのエンドレスベルト34、35を回転させる、それぞれの一方の回転体31b、33bの回転軸を軸にして、矢印D、Eで示すように他方の回転体31a、33aが円弧状に可動な構成となっており、他方の回転体31a、33aを円弧状に開くことによって、V字状に上下方向に傾けて配置された2つのコンベアの下側の端部間の隙間を広げ、ロール状グラスウールマット6を落下させ、梱包ラインに搬送することができる。また、搬送されてくるロール状マットの転落防止のために、ホッパーのような転落防止壁を、V字状に上下方向に傾けて配置された2つのコンベアの周囲に適宜設けるようにしてもよい。
【0032】
巻取り成形装置3の下方には、ロール状グラスウールマット6を保持する保持搬送具4を設けるとよい。保持搬送具を設ける位置は、巻取り成形装置3の下方であれば特に限定されないが、ロール状グラスウールマット6が落下する垂直下に設けることが好ましい。垂直下に設けることによって、ロール状グラスウールマット6の巻き戻り、型崩れをより効果的に防止することができる。また、保持搬送具4の形状は、上部から落下してくるロール状グラスウールマット6を保持し、搬送できるものであれば、特に限定されず、適宜設計することができる。
【0033】
次に、上記説明のグラスウールマット巻取り装置100を用いたグラスウールマットの巻き取り、ロール状のグラスウールマットを製造する方法、手順について図1を参照して説明する。
【0034】
本発明のロール状グラスウールマット6を製造する方法は、グラスウールマット5を、コンベア装置を用いて巻き取り、ロール状グラスウールマット6を作成する工程(第一工程)と、ロール状グラスウールマット6を、マット巻取りコンベア装置のロール状マット搬出部近傍位置に設けられた一対の回転支持体を有する巻取り成形装置3上に据え、一対の回転支持体を、ロール状マットの巻き取り方向に回転させることによって、ロール状グラスウールマット6を成形する工程(第二工程)と、を含む。
【0035】
以下、本発明の製造方法の各工程について、一対の回転支持体として、V字状に上下方向に傾けて配置される2つのコンベアを例に説明する。
【0036】
第一工程は、搬送コンベア1aのベルト上にて搬送されるグラスウールマット5を、搬送コンベア1aの上方に設けられた巻取りコンベア2aを用いて、ロール状に巻き取る工程であり、搬送されてきたグラスウールマット5の先端部分の上面に、グラスウールマット5を巻き付けるためのロール芯(図示せず)を入れ、搬送コンベア1aのベルト10の回転と巻取りコンベア2aのエンドレスベルト20の回転によって、グラスウールマット5をロール状に巻き取るとよい。
【0037】
搬送コンベア1aのコンベア速度は、製造品種や装置の状況によって適宜設定されることが好ましく、一般的なグラスウールマットを用いる場合、2m/min〜20m/minとすることが好ましく、それに併せて、巻取りコンベア2aの回転速度を同期させることが好ましい。
【0038】
次いで、所定の厚さまでグラスウールマット5をロール状に巻き取ると、巻取りコンベア2aの一方の回転体21aが、他方の回転体21bの回転軸を軸にして、図1に点線で示すように、矢印B方向に、円弧状にロール状のマットが通過搬送できる程度に開き、ロール状グラスウールマット6が、エンドレスベルト10により移送され、巻取り成形コンベア装置3に運ばれる。
【0039】
第二工程は、第一工程において、一度ロール状に巻き取られたグラスウールマット6の巻き戻りや型崩れを防止し、ロール状グラスウールマット6の形状を整え成形する工程である。第一工程において、形成されたロール状グラスウールマット6は、従来の巻取装置200(図3参照)と違い、巻き戻りや型崩れを防止する包装紙70が貼り付けられていないため、グラスウールマット5の末端部は、固定されず、巻き戻りが起こりやすく、型崩れしやすい状態にある。
【0040】
そこで、第二工程において、一度ロール状に巻き取られたグラスウールマット6を、V字状に上下方向に傾けて配置された2つのコンベアを備えた巻取り成形装置3にて、再度、ロール状のグラスウールマット6を回転させ、形状を整えることが可能となる。なお、2つのコンベアのそれぞれの回転速度は同期させることが好ましい。
【0041】
さらに、形状が整えられる第二工程に次いで、V字状に上下方向に傾けて配置された2つのコンベアのそれぞれの一方の回転体31a、33aが、他方の回転体31b、33bの回転軸を軸に円弧状に開くことによって、V字状に上下方向に傾けて配置された2つのコンベアの下側の端部間の隙間が開き、ロール状グラスウールマット6が垂直に落下し、下方に設けられた搬送保持具4に収容されるようにする第三工程を設けるようにしてもよい。この際、ロール状のグラスウールマット6は垂直下に落下するため、ロール状グラスウールマット6は巻き戻りや型崩れすることがない状態で搬送保持具4に収容することができる。次いで、搬送保持具4に収容されたロール状のグラスウールマット6は、梱包ラインに搬送され梱包される。
【0042】
以上、本発明の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0043】
本発明の構成によれば、クラフト紙などの包装紙を用いることなく、グラスウールマットの巻き戻りや型崩れを防止することができ、包装紙貼付装置に由来する設備トラブルのないグラスウールマット巻取り装置を提供することが可能となる。
【0044】
さらに、本発明のグラスウールマット巻取り装置を用いると、グラスウールマットの巻き戻りや型崩れを防止するためクラフト紙等の包装紙を使用する必要がないため、産業廃棄物を増やすことなく、グラスウールマットを巻き取り、梱包することが可能となる。
【0045】
本発明は、上記の実施の形態に限定されずに、その技術思想の範囲内において種々の変更が可能なことは明白である。
【0046】
例えば、本発明の実施の形態ではマットとして、グラスウール(ガラス短繊維)マットを用いたが、グラスウールマットとして、ニードルパンチ加工を施したマット、接着剤などを塗布したマット、その他、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨンなどの合成繊維・化学繊維など他の繊維質マットにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のマット巻き取り装置によれば、巻き戻りや型崩れを防止することができ、例えば、圧縮に対する復元性の大きいグラスウールなどのマットを巻き取る装置に好適に利用することができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0049】
[実施例1]
図1に示す本発明に係るグラスウールマット巻取り装置100を用いて、目付け量(面重量)1000g/m〜1200g/m、幅5m、長さ25mのグラスウールマット5を、それぞれのコンベア1a、2a、30a、30bの搬送速度をすべて2m/minの条件に設定し、グラスウールマット5を搬送し、巻き取り、さらに巻取り成形装置3によって成形し、ロール状グラスウールマットを製造した。その結果、長さ25mのロール状グラスウールマットを5本以上連続しても、装置トラブルがなく、ロール状グラスウールマットを製造することができた。
【0050】
[比較例1]
図3に示す、ロール状に巻いたグラスウールマットに包装紙70を供給する貼付装置7を備えた、従来のグラスウールマット巻取り装置200を用いた以外は、実施例1と同様な条件で巻き取ったところ、長さ25mのロール状マットを連続して製造すると、クラフト紙を供給する際、貼付装置に紙詰まりが生じ、生産ラインを停止するトラブルが発生し、長さ25mのロール状マットを5本以上連続して、トラブルなく製造することができなかった。
【符号の説明】
【0051】
100 グラスウールマット巻取り装置
1 マット巻取りコンベア装置
1a 搬送コンベア
2a 巻取りコンベア
3 巻取り成形装置
30a、30b 回転支持体
4 保持搬送具
5 グラスウールマット
6 ロール状グラスウールマット
200 従来のグラスウール巻取り装置
7 貼付装置
70 包装紙
図1
図2
図3