(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記緊締部は、右の肩甲骨に相当する部位の下側から斜め下方の後中心線周辺に延在する第1緊締部と、左の肩甲骨に相当する部位の下側から斜め下方の後中心線周辺に延在し前記第1緊締部と重なるように形成された第2緊締部と、を有している、
請求項1又は2に記載の補整機能を有する衣類。
前記緊締部は、右の肩甲骨に相当する部位の下側から斜め下方の後中心線周辺を経由して腰部の左側周辺に至る第1緊締部と、左の肩甲骨に相当する部位の下側から前記後中心線周辺を経由して腰部の右側周辺に至る第2緊締部と、有し、
前記第1緊締部と前記第2緊締部は、後中心線周辺で重なるように形成されている、
請求項1又は2に記載の補整機能を有する衣類。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の補整機能を有する衣類の好適な実施形態として姿勢補整衣類について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る姿勢補整衣類の裏側を前面から示す正面図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図1及び2に示す姿勢補整衣類1は、本体部10と、前側緊締部20と、背側緊締部30と、下裾緊締部40とを備えている。
【0022】
本体部10は、いわゆるタンクトップ型の衣類であり、着用者にフィットするように形成されている。本体部10には、伸縮性を有する生地、例えば、パワーネット、サテンネット、トリコネット、ツーウェイトリコット、ツーウェイラッセル等の生地が適用可能である。本実施形態では、本体部10には、ツーウェイラッセルを用いることとする。本体部10は、前身頃と後身頃とを有し、これらを両脇側の縫合ラインL1に沿って縫合することにより形成されている。本体部10の前身頃において、着用者の乳房に対応する位置には、カップ部12が設けられている。また、本体部10の前身頃の肌側には、前側緊締部20が設けられている。前側緊締部20は、当て布を本体部10に取り付けることによって形成されている。また、本体部10の後身頃の肌側には、背側緊締部30が設けられている。また、本体部10の下裾部の肌側には、下裾緊締部40が設けられている。
【0023】
前側緊締部20の緊締力は、本体部10の緊締力よりも強くなるように、当て布220,240,260を本体部10に取り付けて形成されている。同様に、背側緊締部30は、本体部10よりも緊締力が強くなるように、当て布320,340を本体部10に取り付けて形成されている。下裾緊締部40の緊締力は、本体部10の緊締力よりも強くなるように、当て布400を本体部10に取り付けて形成されている。これらの当て布には、難伸縮性または伸縮性の生地、例えば、パワーネット、サテンネット、トリコネット、ツーウェイトリコット、ツーウェイラッセル等の生地が適用可能である。本実施形態では、前側緊締部20、背側緊締部30、及び、下裾緊締部40には、サテンネットを用いることとする。当て布320、340が、特許請求の範囲に記載の伸縮性調整部材及び布材に相当する。
【0024】
前側緊締部20は、第1の前側緊締部22と、第2の前側緊締部24と、第3の前側緊締部26とを有する。第1の前側緊締部22は、着用者の胸部中央から腹部中央に向かって上下方向に延在している。第1の前側緊締部22の腹部中央側の下端部は、略V字状をなしている。
【0025】
第2の前側緊締部24は、着用者胴体の脇部に配置され、着用者の体軸に対し左右対称に形成されている。第2の前側緊締部24は、第1の前側緊締部22の腹部中央部分から左右肋骨の下部に向かって斜め上方に延在している。
【0026】
第3の前側緊締部26は、着用者胴体の下部に配置され、着用者の体軸に対し左右対称に形成されている。第3の前側緊締部26は、着用者の腹部中央から左右の脇側に向かって斜め下方向に延在している。すなわち、第3の前側緊締部26の上辺部は、逆V字状をなしている。なお、第3の前側緊締部26は、後述する下裾緊締部40の一部をなしている。
【0027】
これらの第1〜第3の前側緊締部22〜26によって、着用者の腹部上部から腹部下部までに加え、腹部脇側をも引き締めることが可能となる。
【0028】
また、第1及び第3の前側緊締部22,26は、着用者の腹部中央に対応する部分で重ね合わされ、略ひし形形状の重ね合わせ領域28を形成する。この重ね合わせ領域28は、本体部10と、第1及び第3の前側緊締部22,26とからなり、三枚構造となっている。この重ね合わせ領域28によって、腹部中央周辺の腹筋群を強くサポートし、お腹を引き締める効果を向上させることができる。
【0029】
次に、背側緊締部30は、第1の背側緊締部32と、第2の背側緊締部34とを有する。第1の背側緊締部32は、当て布320を本体部10に取り付けて形成されている。第2の背側緊締部34は、当て布340を本体部10に取り付けて形成されている。第1及び第2の背側緊締部32,34は、着用者胴体の上部に配置され、着用者の体軸に対し左右対称に形成されている。第1の背側緊締部32は、左側の肩甲骨の中間部から反対側の右側の肋骨の下部に向かって斜め下方に延在している。一方、第2の背側緊締部34は、右側の肩甲骨の中間部から反対側の左側の肋骨の下部に向かって斜め下方の腰部周辺領域LBに向かって延在している。ここで、
図2、3の符号LBは、腰部周辺領域を示している。
【0030】
第1及び第2の背側緊締部32,34は、着用者の背部中央に対応する部分で重ね合わされ、重ね合わせ領域36を形成する。この重ね合わせ領域36は、本体部10と、第1及び第2の背側緊締部32,34とからなり、三枚構造となっている。このため、他の部分よりも大きな緊締力を着用者の背中中央部分に作用する。また、重ね合わせ領域36以外の部分では、第1及び第2の背側緊締部32,34は重ならないため、背中中央部分よりも作用する緊締力を小さなものとすることができる。このため、着用状態において背中中央部に大きな緊締力を作用させつつ、左右の脇側部分に作用する緊締力を低減することができる。
【0031】
また、重ね合わせ領域36は、略ひし形形状をなしており、
図3に示すように、左右の肩甲骨Aの下部に相当する位置から下後鋸筋Bの筋繊維に沿って斜め下方に延在することとなる。
【0032】
第1の背側緊締部32の上辺部32u、脇辺部32s、及び、脇側下辺部32slは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第1の背側緊締部32の下辺部32lは縫着されていない。同様に、第2の背側緊締部34の上辺部34u、脇辺部34s、及び、脇側下辺部34slは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第2の背側緊締部34の下辺部34lは縫着されていない。これにより、腰部周辺側(すなわち、腰部周辺に近接する側)の下辺部32l、34l側の方が、着用者の体の動きに追従して変位し易くしている。
【0033】
すなわち、この第1及び第2の背側緊締部32,34の重ね合わせ領域36の上辺部36uは本体部10に縫着されており、下辺部36lは縫着されていない。その結果、重ね合わせ領域36の下辺部36lは、上辺部36uよりも緊締力が作用し難くなっている。
【0034】
ここで、第1及び第2の背側緊締部32,34のうち、上辺部32u、上辺部34u、脇辺部34s、で囲まれた領域Pと、上辺部32u、上辺部34u、脇辺部32s、で囲まれた領域Qは、左右の肩甲骨の一部を覆うように形成されている。領域P、Qの上端34t、32tは、それぞれ本体部10に対して遊離している。このため、領域P、Qが作用させる緊締力を小さくしている。これにより、肩甲骨の動作が抑制されることを防止している。なお、この第1及び第2の背側緊締部32,34のうち、上記の領域Q、Pを除く領域が、特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0035】
次に、下裾緊締部40は、本体部10の下裾部に沿って周回して延在している。下裾緊締部40は、後身頃において着用者の臀部の丸みに合わせるように下方に略凸状に湾曲している。この場合には、姿勢補整衣類1が着用者の臀部の丸みに好適にフィットすることができると共に、姿勢補整衣類1のずりあがりを防止することができる。
【0036】
このように、本実施形態の姿勢補整衣類1によれば、第1及び第2の背側緊締部32,34の重ね合わせ領域36が、本体部10の背側において、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から腰部周辺に至る領域に設けられ、下後鋸筋を覆うように延在するので、下後鋸筋に沿って下向きの力を作用させ、背側の第9〜第12肋骨を降下させることができる。これにより、前側の肋骨が上がり、また、肩が体軸に対して背側に回転する、すなわち、肩が開く。このようにして、胸を張り、背筋を伸ばすように姿勢の補整を行うことができる。
【0037】
また、本実施形態の姿勢補整衣類1によれば、第1及び第2の背側緊締部32,34の重ね合わせ領域36における下辺部36lの緊締力が上辺部36uの緊締力よりも弱いので、体を捻るような着用者の動作に対して、第1及び第2の背側緊締部32,34の重ね合わせ領域36の下辺部36lを追従し易くすることができ、下辺部36lが突っ張り難くすることができる。その結果、着用者の窮屈感を低減することができる。
【0038】
換言すれば、本実施形態の姿勢補整衣類1によれば、腰部周辺側の方が肩甲骨側よりも易伸縮性を有するように当て布を本体部に取り付けて緊締部が形成されているので、着用者が体を捻る、屈むといった動作を行う際に、腰部側の緊締部が着用者の体の動きに追従して変位し易くなる。このため、姿勢補整力と運動追従性を両立させることができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、第1の背側緊締部32の下辺部32l、第2の背側緊締部34の下辺部34l、重ね合わせ領域36の下辺部36lが縫着されていない例を挙げて説明したが、例えば、下辺部36lについては本体部10に縫着するようにしても良い。また、下辺部36lと下辺部36lに近接する下辺部32l、34lの上側部分を縫着し、下辺部32l、34lの下側部分を縫着しないようにしても良い。
【0040】
また、本実施形態の姿勢補整衣類1によれば、下裾緊締部40が本体部10の下裾部に沿って周回して延在するので、本体部10のずり上がりを低減することができる。その結果、背側緊締部30による姿勢補整力、及び、前側緊締部20による腹部引き締め力を保持することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、姿勢補整衣類1は、本体部10と、前側緊締部20と、背側緊締部30と、下裾緊締部40とを備えている例を挙げて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、背側緊締部30だけを備えた姿勢補整衣類としても良い。また、領域P、Qを除く背側緊締部30を備えた補正衣類としても良い。
【0042】
また、上記実施形態では、姿勢補整機能を有する衣類を例に挙げて説明しているが、本発明は、これに限定されるものではない。本体部10と背側緊締部30とを備えた体型補整機能、いわゆるスムージング効果を有する補整衣類としても良い。この場合には、体型補整機能を有する衣類において、緊締部を突っ張り難くすることができる。
【0043】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、前側緊締部20、背側緊締部30、及び、下裾緊締部40の態様は本実施形態に限定されることなく様々に変形されてもよい。以下に、背側緊締部30のいくつかの変形例を例示する。
[第1の変形例]
【0044】
図4は、本発明の第1の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図4に示す姿勢補整衣類1Aは、姿勢補整衣類1において背側緊締部30に代えて背側緊締部30Aを備えている構成で第1の実施形態と異なっている。姿勢補整衣類1Aのその他の構成は、姿勢補整衣類1と同一である。
【0045】
背側緊締部30Aは、第1の背側緊締部32Aと、第2の背側緊締部34Aとを有する。第1及び第2の背側緊締部32A,34Aは、左右の肩甲骨の下部から斜め下方に延びている点で、第1及び第2の背側緊締部32,34と異なっている。第1及び第2の背側緊締部32A,34Aも、着用者の背部中央に対応する部分で重ね合わされ、重ね合わせ領域36Aを形成する。この重ね合わせ領域36Aも、略ひし形形状をなしており、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下後鋸筋を覆うように斜め下方に延在している。なお、この第1及び第2の背側緊締部32A,34Aが、特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0046】
第1の背側緊締部32Aの上辺部32u、脇辺部32s、及び、脇側下辺部32slは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第1の背側緊締部32Aの下辺部32lは縫着されていない。同様に、第2の背側緊締部34Aの上辺部34u、脇辺部34s、及び、脇側下辺部34slは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第2の背側緊締部34Aの下辺部34lは縫着されていない。
【0047】
すなわち、この第1及び第2の背側緊締部32A,34Aの重ね合わせ領域36Aの上辺部36uは本体部10に縫着されており、下辺部36lは縫着されていない。このため、着用者が体を捻る動作を行っても、着用者の動作に追随して下辺部36l周辺の背側緊締部32A、34Aが伸縮することができる。
【0048】
この第1の変形例の姿勢補整衣類1Aでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
[第2の変形例]
【0049】
図5は、本発明の第2の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図5に示す姿勢補整衣類1Bは、姿勢補整衣類1Aにおいて背側緊締部30Aに代えて背側緊締部30Bを備えている構成で第1の変形例と異なっている。姿勢補整衣類1Bのその他の構成は、姿勢補整衣類1Aと同一である。
【0050】
背側緊締部30Bは、第1の背側緊締部32Bと、第2の背側緊締部34Bとを有する。第1及び第2の背側緊締部32B,34Bは、幅が狭くなっており、略X字形状をなしている点で、第1及び第2の背側緊締部32A,34Aと異なっている。第1及び第2の背側緊締部32B,34Bも、着用者の背部中央に対応する部分で重ね合わされ、重ね合わせ領域36Bを形成する。この第2の変形例では、重ね合わせ領域36Bのみならず、第1及び第2の背側緊締部32B,34B全体によって、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下後鋸筋の筋繊維に沿って斜め下方に延在することとなる。よって、この第2の変形例では、第1及び第2の背側緊締部32B,34B全体が特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0051】
第1の背側緊締部32Bの上辺部32u、脇辺部32s、及び、脇側下辺部32slは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第1の背側緊締部32Bの下辺部32lは縫着されていない。同様に、第2の背側緊締部34Bの上辺部34u、脇辺部34s、及び、脇側下辺部34slは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第2の背側緊締部34Bの下辺部34lは縫着されていない。
【0052】
なお、第1の背側緊締部32Bの上辺部32k、第2の背側緊締部34Bの上辺部34kについては、姿勢補整衣類1Bの仕様に応じて本体部10に縫着するものとしてもよいし、縫着しないものとしてもよい。
【0053】
この第2の変形例の姿勢補整衣類1Bでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
[第3の変形例]
【0054】
図6は、本発明の第3の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図6に示す姿勢補整衣類1Cは、姿勢補整衣類1Bにおいて背側緊締部30Bに代えて背側緊締部30Cを備えている構成で第2の変形例と異なっている。姿勢補整衣類1Cのその他の構成は、姿勢補整衣類1Bと同一である。
【0055】
背側緊締部30Cは、第1の背側緊締部32Cと、第2の背側緊締部34Cとを有する。第1及び第2の背側緊締部32C,34Cは、更に幅が狭くなっている点で、第1及び第2の背側緊締部32B,34Bと異なっている。第1及び第2の背側緊締部32C,34Cも、着用者の背部中央に対応する部分で重ね合わされ、重ね合わせ領域36Cを形成する。この第3の変形例でも、重ね合わせ領域36Cのみならず、第1及び第2の背側緊締部32C,34C全体によって、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下後鋸筋の筋繊維に沿って斜め下方に延在することとなる。よって、この第3の変形例では、第1及び第2の背側緊締部32C,34C全体が特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0056】
第1の背側緊締部32Cの上辺部32u及び脇側下辺部32slは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第1の背側緊締部32Cの下辺部32lは縫着されていない。同様に、第2の背側緊締部34Cの上辺部34u及び脇側下辺部34slは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第2の背側緊締部34Cの下辺部34lは縫着されていない。
【0057】
なお、第1の背側緊締部32Cの上辺部32k、第2の背側緊締部34Cの上辺部34kについては、姿勢補整衣類1Cの仕様に応じて本体部10に縫着するものとしてもよいし、縫着しないものとしてもよい。
【0058】
この第3の変形例の姿勢補整衣類1Cでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
[第4の変形例]
【0059】
図7は、本発明の第4の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図7に示す姿勢補整衣類1Dは、姿勢補整衣類1Aにおいて背側緊締部30Aに代えて背側緊締部30Dを備えている構成で第1の変形例と異なっている。姿勢補整衣類1Dのその他の構成は、姿勢補整衣類1Aと同一である。
【0060】
背側緊締部30Dは、1枚生地で形成されている点で、背側緊締部30Aと異なっている。背側緊締部30Dは、着用者の背部中央を覆うように、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下方に延在する。すなわち、背側緊締部30Dは、背部中央を全体的に覆うことによって、下後鋸筋を覆うように延在することとなる。なお、この背側緊締部30Dが、特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0061】
背側緊締部30Dの上辺部30u、脇辺部30s、及び、脇側下辺部30slは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、背側緊締部30Dの下辺部30lは縫着されていない。
【0062】
この第4の変形例の姿勢補整衣類1Dでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
[第5の変形例]
【0063】
図8は、本発明の第5の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図8に示す姿勢補整衣類1Eは、姿勢補整衣類1Dにおいて背側緊締部30Dに代えて背側緊締部30Eを備えている構成で第4の変形例と異なっている。姿勢補整衣類1Eのその他の構成は、姿勢補整衣類1Dと同一である。
【0064】
背側緊締部30Eも、1枚生地で形成されている。背側緊締部30Eは、着用者の背部中央において略ひし形形状をなしている点で背側緊締部30Dと異なっている。背側緊締部30Eも、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下後鋸筋を覆うように斜め下方に延在する。なお、この背側緊締部30Eが、特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0065】
背側緊締部30Eの上辺部30u、脇辺部30s、及び、後中心側下辺部30clは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、背側緊締部30Eの下辺部30lは縫着されていない。
【0066】
この第5の変形例の姿勢補整衣類1Eでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
[第6の変形例]
【0067】
図9は、本発明の第6の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図9に示す姿勢補整衣類1Fは、姿勢補整衣類1Eにおいて背側緊締部30Eに代えて背側緊締部30Fを備えている構成で第5の変形例と異なっている。姿勢補整衣類1Fのその他の構成は、姿勢補整衣類1Eと同一である。
【0068】
背側緊締部30Fは、着用者の背部中央において略V字形状をなしている点で、背側緊締部30Eと異なっている。背側緊締部30Fも、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下後鋸筋の筋繊維に沿って斜め下方に延在する。なお、この背側緊締部30Fが、特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0069】
背側緊締部30Fの上辺部30u及び後中心側下辺部30clは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、背側緊締部30Fの下辺部30lは縫着されていない。
【0070】
なお、背側緊締部30Fの上辺部30kについては、姿勢補整衣類1Fの仕様に応じて本体部10に縫着するものとしてもよいし、縫着しないものとしてもよい。
【0071】
この第6の変形例の姿勢補整衣類1Fでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
[第7の変形例]
【0072】
図10は、本発明の第7の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図10に示す姿勢補整衣類1Gは、姿勢補整衣類1Eにおいて背側緊締部30Eに代えて背側緊締部30Gを備えている構成で第5の変形例と異なっている。姿勢補整衣類1Gのその他の構成は、姿勢補整衣類1Eと同一である。
【0073】
姿勢補整衣類1Gは、第1の背側緊締部32Gと第2の背側緊締部34Gとの2枚生地で形成されている点で、背側緊締部30Eと異なっている。すなわち、第1の背側緊締部32Gは背側緊締部30Eの左半分を形成し、第2の背側緊締部34Gは背側緊締部30Eの右半分を形成する。第1及び第2の背側緊締部32G,34Gは、着用者の背部中央において略ひし形形状をなしており、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下後鋸筋の筋繊維を覆うように下方に延在する。なお、この第1及び第2の背側緊締部32G,34Gが、特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0074】
第1背側緊締部32Gの上辺部32u、脇辺部32s、後中心側下辺部32cl、及び、第2の背側緊締部34Gの上辺部34u、脇辺部34s、後中心側下辺部34clは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第1及び第2の背側緊締部32G,34Gの下辺部32l,34lは縫着されていない。
【0075】
この第7の変形例の姿勢補整衣類1Gでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
[第8の変形例]
【0076】
図11は、本発明の第8の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図11に示す姿勢補整衣類1Hは、姿勢補整衣類1Gにおいて背側緊締部30Gに代えて背側緊締部30Hを備えている構成で第7の変形例と異なっている。姿勢補整衣類1Hのその他の構成は、姿勢補整衣類1Gと同一である。
【0077】
背側緊締部30Hも、第1の背側緊締部32Hと第2の背側緊締部34Hとの2枚生地で形成されている。第1及び第2の背側緊締部32H,34Hは、着用者の背部中央において略V字形状をなしている点で、背側緊締部30Gと異なっている。第1及び第2の背側緊締部32H,34Hは、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下後鋸筋の筋繊維に沿って斜め下方に延在する。なお、この第1及び第2の背側緊締部32H,34Hが、特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0078】
第1背側緊締部32Hの上辺部32u、後中心側下辺部32cl、及び、第2の背側緊締部34Hの上辺部34u、後中心側下辺部34clは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第1及び第2の背側緊締部32H,34Hの下辺部32l,34lは縫着されていない。
【0079】
なお、第1の背側緊締部32Hの上辺部32kと、第2の背側緊締部34Hの上辺部34kについては、姿勢補整衣類1Hの仕様に応じて本体部10に縫着するものとしても良いし、縫着しないものとしても良い。
【0080】
この第8の変形例の姿勢補整衣類1Hでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
[第9の変形例]
【0081】
図12は、本発明の第9の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図12に示す姿勢補整衣類1Iは、姿勢補整衣類1Gにおいて背側緊締部30Gに代えて背側緊締部30Iを備えている構成で第7の変形例と異なっている。姿勢補整衣類1Iのその他の構成は、姿勢補整衣類1Gと同一である。
【0082】
背側緊締部30Iも、第1の背側緊締部32Iと第2の背側緊締部34Iとの2枚生地で形成されている。第1及び第2の背側緊締部32I,34Iは、着用者の背部中央のみならず、背部中央及び腰部中央において略V字形状をなしている点で、背側緊締部30Gと異なっている。また、第1及び第2の背側緊締部32I,34Iは、着用者の背部中央及び腰部中央に対応する部分で重ね合わされ、重ね合わせ領域36Iを形成している点で、背側緊締部30Gと異なっている。この第9の変形例では、重ね合わせ領域36Iのみならず、第1及び第2の背側緊締部32I,34I全体によって、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下後鋸筋の筋繊維に沿って斜め下方に延在することとなる。よって、この第9の変形例では、第1及び第2の背側緊締部32I,34Iが特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0083】
第1背側緊締部32Iの上辺部32u、後中心側下辺部32cl、及び、第2の背側緊締部34Iの上辺部34u、後中心側下辺部34clは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、第1及び第2の背側緊締部32I,34Iの下辺部32l,34lは縫着されていない。
【0084】
なお、第1の背側緊締部32Iの上辺部32kと、第2の背側緊締部34Iの上辺部34kについては、姿勢補整衣類1Iの仕様に応じて本体部10に縫着するものとしても良いし、縫着しないものとしても良い。
【0085】
この第9の変形例の姿勢補整衣類1Iでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
[第10の変形例]
【0086】
図13は、本発明の第10の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図13に示す姿勢補整衣類1Jは、姿勢補整衣類1Iにおいて背側緊締部30Iに代えて背側緊締部30Jを備えている構成で第9の変形例と異なっている。姿勢補整衣類1Jのその他の構成は、姿勢補整衣類1Iと同一である。
【0087】
背側緊締部30Jは、1枚生地で形成されており、また、幅が狭くなっている点で、背側緊締部30Iと異なっている。背側緊締部30Jは、着用者の背部中央及び腰部中央において略V字形状をなしており、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下後鋸筋の筋繊維に沿って斜め下方に延在する。なお、この背側緊締部30Jが、特許請求の範囲に記載の緊締部に相当する。
【0088】
背側緊締部30Jの上辺部30u及び後中心側下辺部30clは、本体部10に縫着されており、その他の部分は縫着されていない。すなわち、背側緊締部30Jの下辺部30lは縫着されていない。
【0089】
なお、背側緊締部30Jの上辺部30kについては、姿勢補整衣類1Iの仕様に応じて本体部10に縫着するものとしても良いし、縫着しないものとしても良い。
【0090】
この第10の変形例の姿勢補整衣類1Jでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
【0091】
ここで、本実施形態及び本変形例では、前側緊締部、背側緊締部、及び、下裾緊締部を本体部に当て布として縫着する一例を示したが、これらの緊締部の当て布は接着剤等で貼り付けてもよい。
【0092】
また、上記実施形態及び上記変形例では、本体部に当て布を取り付けて緊締部を形成する例を挙げているが、当て布を本体部に取り付ける代わりに、本体部に対してオパール加工(抜触加工)を施すことによって形成しても良い。具体的には、上記実施形態における緊締部に相当する部分の伸度を他の部分よりも小さくすることが考えられる。
【0093】
また、ポリエステルやウレタン等の樹脂を本体部に塗布することによって緊締部を形成しても良い(樹脂加工)。樹脂加工によって緊締部を形成する場合について、より具体的に説明すると以下の通りである。例えば、姿勢補整衣類1A〜1J、1L、1Mの背側緊締部が設けられている部分に樹脂材を塗布する。この際、背側緊締部各辺部のうち、本体部に縫着していない下辺部(例えば、姿勢補整衣類1Aの場合には下辺部32l、34l)周辺に対する樹脂材の単位面積当たりの塗布量を少なくする。これにより、背側緊締部の他の部分よりも下辺部周辺が伸び易くなる。一方、重ね合わせ領域(例えば、姿勢補整衣類1Aの場合には、重ね合わせ領域36)周辺に対する塗布量を他の緊締部の領域よりも多くする。これにより、背側緊締部の他の部分よりも重ね合わせ領域における伸度を低くすることができ、上記実施形態に係る姿勢補整衣類1Aと同様の効果を得ることができる。ここでは、姿勢補整衣類1Aを例に挙げて説明したが、姿勢補整衣類1B〜1Jについても、背側緊締部のうち、本体部10に縫着していない下辺部周辺における樹脂材の塗布量を少なくする。さらに、重ね合わせ領域が設けられている変形例については、上記のように、重ね合わせ領域周辺の樹脂材の塗布量を多くすることにより、当て布によって背側緊締部を形成する場合と同様の効果を得ることもできる。
【0094】
また、本実施形態及び本変形例では、緊締力が上辺部から下辺部へ向けて次第に弱くなるように、背側緊締部を形成してもよい。そのために、例えば、背側緊締部は、縦編素材や丸編素材の編組織を変化させたり、複数の生地により構成したり、オパール加工や樹脂加工においては伸度を調整したりしてもよい。以下では、樹脂加工において伸度を調整した背側緊締部の一例を示す。
[第11の変形例]
【0095】
図14は、本発明の第11の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図14に示す姿勢補整衣類1Kは、姿勢補整衣類1において背側緊締部30に代えて背側緊締部30Kを備えている構成で第1の変形例と異なっている。姿勢補整衣類1Kのその他の構成は、姿勢補整衣類1と同一である。
【0096】
背側緊締部30Kは、樹脂加工によって本体部10に形成されている。背側緊締部30Kは、背側緊締部30Kは、着用者の背部中央に対応する部分において略ひし形形状をなしており、左右の肩甲骨の下部に相当する位置から下後鋸筋を覆うように下方に延在することとなる。背側緊締部30Kでは、上辺部30uから下辺部30lに向けて所定の間隔毎に領域P1、P2、P3というように複数の領域に区画されており、各領域毎に樹脂材の塗布量を変更し、上辺部30uから下辺部30lに向けて次第に伸び易くなるように形成されている。これにより、下辺側の緊締力を小さくしている。なお、本実施形態では、上下方向に8つの領域Pに背側緊締部が区画されている例を挙げているが、領域Pの個数については、姿勢補整衣類の仕様に応じて領域Pの個数が2つ以上となるように適宜設定すればよい。
【0097】
この第11の変形例の姿勢補整衣類1Kでも、本実施形態の姿勢補整衣類1と同様の効果を得ることができる。
[第12の変形例]
【0098】
図15は、本発明の第12の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を前面から示す正面図であり、
図16は、本発明の第12の変形例に係る姿勢補整衣類の裏側を背面から示す背面図である。
図15及び
図16に示す姿勢補整衣類1Lは、姿勢補整衣類1の前側緊締部20、下裾緊締部40を備えないものとし、本体部10の丈長さを短くした本体部10Aを備えたものである。姿勢補整衣類1Lのその他の構成は、姿勢補整衣類1と同一である。
[第13の変形例]
【0099】
図17は、本発明の第13の変形例に係る姿勢補整衣類1Mの裏側を背面から示す背面図である。
図18に示す姿勢補整衣類1Mは、第12の変形例に係る姿勢補整衣類1Lよりも丈長さをさらに短くした本体部10Bを備えたものである。その他の構成は、姿勢補整衣類1Lと同様である。
【0100】
第12の変形例の姿勢補整衣類1L、及び、第13の変形例の姿勢補整衣類1Mのように、丈長さが短い場合には、背側緊締部のみを備える形態であってもよい。
【0101】
なお、本実施形態及び本変形例では、タンクトップ形状の本体部を備える衣類を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、身頃付きのカップ部を有する衣類にも適用することができる。具体的には、例えば、ボディースーツや、ロングブラジャー等の身頃部分を有するブラジャー、または、スポーツタイプのブラジャーとしても良い。
【実施例1】
【0102】
図1及び2に示す本発明の実施形態の姿勢補整衣類1を実施例として製作し、比較例との対比評価を行った。
【0103】
ここで、本実施例に対して対比を行った比較例は、本実施例において第1の背側緊締部32の下辺部32l、及び、第2の背側緊締部34の下辺部34lが縫着されている点で本実施例と異なるものである。
【0104】
本評価では、本発明の実施例と比較例とをそれぞれ着用した状態を脇側から撮影した。この撮影結果を
図18に忠実に示す。
図18には、本実施例の姿勢補整衣類1の着用状態の撮影結果を実線で示し、比較例の着用状態の撮影結果を点線で示す。
【0105】
図18によれば、本実施例の姿勢補整衣類1を着用した場合、比較例を着用した場合に比べて、胸を張り、背筋を伸ばすように姿勢の補整を行うことができた。
【0106】
また、本評価では、本発明の実施例と比較例とをそれぞれ着用した状態を背側から撮影した。この撮影結果を
図19及び
図20に忠実に示す。
図19(a)は、比較例を着用して直立した状態の撮影結果を示す図であり、
図19(b)は、比較例を着用して体を捻った状態の撮影結果を示す図である。同様に、
図20(a)は、本実施例の姿勢補整衣類1を着用して直立した状態の撮影結果を示す図であり、
図20(b)は、本実施例の姿勢補整衣類1を着用して体を捻った状態の撮影結果を示す図である。
【0107】
図19(b)によれば、比較例では、第1の背側緊締部32の下辺部32l、及び、第2の背側緊締部34の下辺部34lが縫着されており緊締力が比較的強いので、部分Cにしめすように、体を捻るような着用者の動作に対して第1及び第2の背側緊締部32,34の下辺部32l,34lの縫着部分が追従し難く、この縫着部分が突っ張ってしまっている(縦線マーカーが屈曲しているのがわかる。)。その結果、着用者に窮屈感を与えてしまう。
【0108】
一方、
図20(b)によれば、第1の背側緊締部32の下辺部32l、及び、第2の背側緊締部34の下辺部34lが縫着されておらず緊締力が比較的弱いので、体を捻るような着用者の動作に対して第1及び第2の背側緊締部32,34の下辺部32l,34lが追従し易く、下辺部32l,34lが突っ張り難い。その結果、着用者の窮屈感を低減することができた。
【0109】
このように、本実施例の姿勢補整衣類1を着用した場合、比較例を着用した場合に比べて、運動追従性を高めることができた。
【0110】
なお、
図19(a)、
図20(a)に示すように、本実施例の姿勢補整衣類1を着用した場合、比較例を着用した場合に比べて、静止状態においても第1及び第2の背側緊締部32,34の下辺部32l,34lが突っ張り難く、着用者の窮屈感を低減することができた。