(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の計算装置の実施形態に係るグラフ関数電卓10の外観構成を示す正面図である。
【0018】
このグラフ関数電卓10は、その携帯性の必要からユーザが片手で十分把持し片手で操作可能な小型サイズからなり、この電卓10の本体正面にはキー入力部11および液晶ドットマトリクス型の表示部16が設けられる。
【0019】
この表示部16には、その表示画面上に透明タブレットのタッチパネル17が重ねて設けられる。
【0020】
キー入力部11には、数字・文字・各種算術記号を入力したり計算の実行を指示したりするための数字・文字・演算記号キー群12、各種の関数機能を設定したりメモリ機能を設定したりするための計算機能設定キー群13、各種の動作モードを設定したりメニュー画面を表示させたりするためのモード設定キー群14、表示部16に表示されたカーソルの移動操作やデータ項目の選択操作などを行うためのカーソルキー15、表示部16の下端に沿ってメニュー表示される各種の機能を選択的に指定するためのファンクションキー[F1]〜[F4]などが備えられる。
【0021】
前記数字・文字・演算記号キー群12としては、[0]〜[9](数字)キー、[+][−][×][÷](算術記号)キー、[DEL](削除)キー、[EXE](実行)キー、[AC](クリア)キーなどが配列される。
【0022】
前記計算機能設定キー群13としては、[log](対数)キー、「√」(平方根)キー、三角関数の[sin]キー、[cos]キー、[tan]キーなどが配列される。
【0023】
前記モード設定キー群14としては、[Menu](メニュー)キー、[Insert」(挿入)キー、[Graph](グラフ)キー、[Trac](トレース)キー、[EXIT](終了)キーなどが配列される。
【0024】
このグラフ関数電卓10は、タッチパネル表示部16(17)の式入力画面G上に表示された複数の数式うち、ある数式(h1)をペンタッチ(P)してドラッグ(x)し別の数式(h2)上でドロップすることで、当該各数式を任意の2項演算子(四則演算子)で結合して変形する機能(
図4参照)を備える。
【0025】
図2は、前記グラフ関数電卓10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0026】
このグラフ関数電卓10は、コンピュータである制御部(CPU)21を備えている。
【0027】
制御部(CPU)21は、記憶装置22に予め記憶されているシステムプログラムや計算機制御プログラム22a、あるいはメモリカードなどの外部記憶媒体23から記憶媒体読み込み部24を介して記憶装置22に読み込まれた計算機制御プログラム22a、あるいは通信ネットワークN上のWebサーバ(プログラムサーバ)30から通信制御部25を介してダウンロードされ前記記憶装置22に読み込まれた計算機制御プログラム22aに従い、RAM26を作業用メモリとして回路各部の動作を制御する。そして、前記記憶装置22に記憶されたシステムプログラムや計算機制御プログラム22aは、キー入力部11からのキー入力信号やタッチパネル表示部16(17)からのタッチ入力信号に応じて起動される。
【0028】
前記記憶装置22に記憶される計算機制御プログラム22aには、キー入力あるいはタッチ入力に応じた各種数式の四則演算処理、関数演算処理、グラフ描画処理等を制御するプログラムの他、式入力画面Gに入力されて表示された複数の数式のうち任意の数式をペンタッチ(P)によりドラッグ(x)して別の数式上にドロップし、当該各数式を任意の二項演算子(四則演算子)で結合して変形するペン操作演算処理を制御するプログラムが含まれる。
【0029】
前記制御部(CPU)21には、前記記憶装置22、記憶媒体読み込み部24、通信制御部25、RAM26、キー入力部11が接続される他に、液晶表示部(LCD)16およびタッチパネル17が接続される。
【0030】
RAM26には、表示データメモリ26a、選択数式データメモリ26b、対象数式データメモリ26c、ドラッグ軌跡座標メモリ26d、変形数式データメモリ26e、数式演算データメモリ26fの他、各種の計算処理に伴い制御部21に入出力される種々のデータが必要に応じて記憶されるデータメモリが確保される。
【0031】
表示データメモリ26aには、表示部16に表示させるための表示画面サイズで生成されたビットマップパターンのデータが記憶される。
【0032】
選択数式データメモリ26bには、表示部16に表示された式入力画面Gにおいて、複数の数式のうち最初にペンタッチ(P)されて反転表示(h1)された数式が選択数式として記憶される。
【0033】
対象数式データメモリ26cには、前記反転表示(h1)された選択数式がドラッグ(x)されて重ねられることで反転表示(h2)された別の数式が対象数式として記憶される。
【0034】
ドラッグ軌跡座標メモリ26dには、タッチパネル表示部16(17)の画面上でペンタッチ(P)されてドラッグされたことに伴うタッチ位置の軌跡に対応した座標列が記憶される。
【0035】
変形数式データメモリ26eには、前記選択数式(h1)と対象数式(h2)との重ね合わせに応じて当該各数式が結合されて変形された数式が記憶される。
【0036】
数式演算データメモリ26fには、前記式入力画面Gに入力されて表示された各種の数式の演算処理に伴う経過および結果が記憶される。
【0037】
このように構成されたグラフ関数電卓10は、CPU21が前記計算機制御プログラム22aに記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる機能を実現する。
【0038】
次に、前記構成のグラフ関数電卓10の動作について説明する。
【0039】
(第1実施形態)
図3は、前記グラフ関数電卓10の第1実施形態のペン操作演算処理(1)を示すフローチャートである。
【0040】
図4は、前記グラフ関数電卓10の第1実施形態のペン操作演算処理(1)に伴う式入力画面Gの表示動作を示す図である。
【0041】
例えば、グラフ関数電卓10は、ユーザ操作により、xに「1」を代入した場合のxを含む式を計算させた表示状態にあるとする。この場合、
図4(A)に示すように、タッチパネル表示部16(17)の式入力画面Gには、「1→x」「2x+5」「x
2+3x+1」およびその演算結果「1」「7」「5」が表示されているものとする。
【0042】
ここで、前記数式「2x+5」と数式「x
2+3x+1」とを結合して変形した新たな数式を生成するために、その一方の数式「2x+5」がペンタッチ(P)されると、この数式「2x+5」は、選択数式データメモリ26bに記憶されて反転表示(h1)される(ステップS1(Yes))。
【0043】
そして、
図4(B)に示すように、ペンタッチ(P)された選択数式「2x+5」が同式入力画面G上でドラッグ(x)され、結合対象とする数式「x
2+3x+1」上でペンアップ(ドロップ)されると(ステップS2〜S4(Yes))、同数式「x
2+3x+1」は、対象数式データメモリ26cに記憶されて反転表示(h2)され、その近傍には、
図4(C)に示すように、二項演算子(四則演算子)を選択するための演算子選択ウインドウRSがポップアップされて表示される(ステップS5)。
【0044】
この演算子選択ウインドウRSにおいて、ペンタッチ(P)により任意の演算子“+”が選択されると(ステップS6(Yes))、選択された演算子“+”によって前記選択数式「2x+5」と対象数式「x
2+3x+1」とを結合して変形した数式「(2x+5)+(x
2+3x+1)」が生成され、変形数式データメモリ26eに記憶されると共に、
図4(D)に示すように、式入力画面G(16)上に表示される(ステップS7)。
【0045】
すると、前記変形数式データメモリ26eに記憶された数式「(2x+5)+(x
2+3x+1)」について演算可能か否か判断され(ステップS8)、演算可能と判断されると(ステップS8(Yes))、同変形された数式「(2x+5)+(x
2+3x+1)」のxに「1」を代入する演算処理がされると共にその演算結果「12」が数式演算データメモリ26fから読み出され、式入力画面G(16)上に共に表示される(ステップS9)。
【0046】
なお、前記変形数式データメモリ26eに記憶され、式入力画面G(16)上に表示された変形数式について、演算不可能と判断された場合は(ステップS8(No))、演算不可能のエラーメッセージが表示される(ステップS10)。
【0047】
また、前記
図4(B)で示したように、ペンタッチ(P)されてドラッグされる選択数式(h1)について、ペンアップ(ドロップ)されたと判断された際に(ステップS1〜S3(Yes))、他の数式上に重ならないと判断された場合は(ステップS4(No))、当該ペンアップされた位置に同選択数式が表示される(ステップS11)。
【0048】
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10の第1実施形態のペン操作演算機能によれば、式入力画面G(16)に表示させた複数の数式のうち、任意の数式をペンタッチ(P)して選択し(選択数式)、他の任意の数式(対象数式)上までドラッグしてドロップすると、その近傍に二項演算子の選択ウインドウRSが表示される。そして、この演算子選択ウインドウRSをペンタッチ(P)して任意の演算子を選択すると、前記選択数式と対象数式とが、前記演算子選択ウインドウRSから選択された演算子により結合された変形数式が生成されて表示され、その演算結果も求められて表示される。
【0049】
このため、表示された複数の数式を任意の四則演算子により結合する式変形を、ポインティングデバイスによる選択数式を対象数式に重ねるという直感的な操作で素早く且つ簡単に(数式選択→重ね合わせ→演算子選択の3ステップで)行うことが可能になる。
【0050】
(第2実施形態)
図5は、前記グラフ関数電卓10の第2実施形態のペン操作演算処理(2)を示すフローチャートである。
【0051】
図6は、前記グラフ関数電卓10の第2実施形態のペン操作演算処理(2)に伴う式入力画面Gの表示動作を示す図である。
【0052】
図7は、前記グラフ関数電卓10の第2実施形態のペン操作演算処理(2)に伴い参照される数式配置決定テーブル22bを示す図である。
【0053】
この第2実施形態のペン操作演算処理(2)(
図5参照)において、そのステップA1,A2,A4〜A7,A9〜A12,A13に係る処理は、前記第1実施形態のペン操作演算処理(1)(
図3参照)でのステップS1,S2,S3〜S6,S7〜S10,S11に係る処理と同じでありその詳細な説明は省略する。
【0054】
この第2実施形態のペン操作演算処理(2)では、
図6に示すように、式入力画面G(16)に表示された選択数式B「2x+5」をペンタッチ(P)して反転表示(h1)させ、対象数式A「x
2+3x+1」の位置までドラッグしてドロップする際に(ステップA1〜A5)、当該ドラッグ中にタッチパネル17により検出されるタッチ位置の軌跡に対応する座標列がドラッグ軌跡座標メモリ26dに記録される(ステップA3)。
【0055】
そして、前記選択数式B「2x+5」を前記対象数式A「x
2+3x+1」に重ねた際にその近傍に表示される演算子選択ウインドウRSにおいて、任意の演算子がペンタッチ(P)されて選択されると(ステップA4(Yes)〜A7(Yes))、当該選択された演算子と前記ドラッグ軌跡座標メモリ26dに記録された座標列に応じて判定される前記選択数式B「2x+5」の前記対象数式A「x
2+3x+1」に対するドラッグ方向とに基づき、
図7に示すような数式配置決定テーブル22bに従い、前記選択数式B「2x+5」を演算数または被演算数とするか、前記対象数式A「x
2+3x+1」を被演算数または演算数とするかの数式配置が決定される(ステップA8)。
【0056】
具体的に、例えば、対象数式A「x
2+3x+1」に対して選択数式B「2x+5」が矢印(1)で示すように後方からドラッグされて重ねられ、演算子“−”が選択された場合は、前記対象数式Aを第1項、選択数式Bを第2項として配置し、選択された演算子“−”により結合して変形した数式「(x
2+3x+1)−(2x+5)」が生成され、変形数式データメモリ26eに記憶されると共に、式入力画面G(16)上に表示される(ステップA8,A9)。
【0057】
また、例えば、対象数式A「x
2+3x+1」に対して選択数式B「2x+5」が矢印(2)で示すように前方からドラッグされて重ねられ、演算子“−”が選択された場合は、前記対象数式Bを第1項、選択数式Aを第2項として配置し、選択された演算子“−”により結合して変形した数式「(2x+5)−(x
2+3x+1)」が生成され、変形数式データメモリ26eに記憶されると共に、式入力画面G(16)上に表示される(ステップA8,A9)。
【0058】
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10の第2実施形態のペン操作演算機能によれば、式入力画面G(16)に表示させた複数の数式のうち、任意の数式をペンタッチ(P)して選択し(選択数式B)、他の任意の数式(対象数式A)上にその後方または前方からドラッグしてドロップすると共に、近傍に表示される演算子選択ウインドウRSをペンタッチ(P)して任意の演算子を選択する。すると、前記選択数式Bを前記対象数式Aの後方からドラッグした場合は、「対象数式A(演算子)選択数式B」の配置で結合された変形数式が生成されて表示され、前方からドラッグした場合は、「選択数式B(演算子)対象数式A」の配置で結合された変形数式が生成されて表示される。
【0059】
このため、表示された複数の数式をその配置を考慮し任意の四則演算子により結合する式変形を、ポインティングデバイスによる選択数式を対象数式の前後何れかの方向から重ねるという直感的な操作で素早く且つ簡単に(数式選択→重ね合わせ→演算子選択の3ステップで)行うことが可能になる。
【0060】
(第3実施形態)
図8は、前記グラフ関数電卓10の第3実施形態のペン操作演算処理(3)を示すフローチャートである。
【0061】
図9は、前記グラフ関数電卓10の第3実施形態のペン操作演算処理(3)に伴う式入力画面Gの表示動作を示す図である。
【0062】
図10は、前記グラフ関数電卓10の第3実施形態のペン操作演算処理(3)に伴い参照される演算子決定テーブル22cを示す図である。
【0063】
この第3実施形態のペン操作演算処理(3)(
図8参照)において、そのステップB1,B2,B4,B5,B7〜B11に係る処理は、前記第1実施形態のペン操作演算処理(1)(
図3参照)でのステップS1,S2,S4,S5,S7〜S11に係る処理と同じでありその詳細な説明は省略する。
【0064】
この第3実施形態のペン操作演算処理(3)では、
図9に示すように、式入力画面G(16)に表示された選択数式B「2x+5」をペンタッチ(P)して反転表示(h1)させ、対象数式A「x
2+3x+1」の位置までドラッグしてドロップする際に(ステップB1〜B5)、当該ドラッグ中にタッチパネル17により検出されるタッチ位置の軌跡に対応する座標列がドラッグ軌跡座標メモリ26dに記録される(ステップB3)。
【0065】
そして、前記選択数式B「2x+5」を前記対象数式A「x
2+3x+1」に重ねた際に、前記ドラッグ軌跡座標メモリ26dに記録された座標列に応じて判定される前記選択数式B「2x+5」の前記対象数式A「x
2+3x+1」に対するドラッグ方向(1)〜(4)に基づき、
図10に示すような演算子決定テーブル22cに従い、前記対象数式Aに前記選択数式Bを結合するための二項演算子(四則演算子)が決定される(ステップB6)。
【0066】
具体的に、例えば、対象数式A「x
2+3x+1」に対して選択数式B「2x+5」が矢印(1)で示すように上方からドラッグされて重ねられた場合は、前記対象数式Aと選択数式Bとを演算子“×”により結合して変形した数式「(x
2+3x+1)×(2x+5)」が生成され、変形数式データメモリ26eに記憶されると共に、式入力画面G(16)上に表示される(ステップB6,B7)。
【0067】
また、例えば、対象数式A「x
2+3x+1」に対して選択数式B「2x+5」が矢印(2)で示すように後方からドラッグされて重ねられた場合は、前記対象数式Aと選択数式Bとを演算子“+”により結合して変形した数式「(x
2+3x+1)+(2x+5)」が生成され、変形数式データメモリ26eに記憶されると共に、式入力画面G(16)上に表示される(ステップB6,B7)。
【0068】
また同様に、対象数式A「x
2+3x+1」に対して選択数式B「2x+5」が矢印(3)で示すように下方からドラッグされて重ねられた場合は、前記対象数式Aと選択数式Bとを演算子“÷”により結合して変形した数式「(x
2+3x+1)/(2x+5)」が生成され、さらに、矢印(4)で示すように前方からドラッグされて重ねられた場合は、前記対象数式Aと選択数式Bとを演算子“−”により結合して変形した数式「(x
2+3x+1)−(2x+5)」が生成される。
【0069】
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10の第3実施形態のペン操作演算機能によれば、式入力画面G(16)に表示させた複数の数式のうち、任意の数式をペンタッチ(P)して選択し(選択数式B)、他の任意の数式(対象数式A)上にその上下左右何れかの方向からドラッグしてドロップする。すると、前記選択数式Bを前記対象数式Aの上方からドラッグした場合は「対象数式A(×)選択数式B」の演算子で結合された変形数式が生成されて表示され、後方からドラッグした場合は「対象数式A(+)選択数式B」の演算子で結合された変形数式が生成されて表示され、下方からドラッグした場合は「対象数式A(÷)選択数式B」の演算子で結合された変形数式が生成されて表示され、前方からドラッグした場合は「対象数式A(−)選択数式B」の演算子で結合された変形数式が生成されて表示される。
【0070】
このため、表示された複数の数式を任意の四則演算子により結合する式変形を、ポインティングデバイスによる選択数式を対象数式の上下左右何れかの方向から重ねるという直感的な操作で素早く且つ簡単に(数式選択→重ね合わせの2ステップで)行うことが可能になる。
【0071】
(第4実施形態)
図11は、前記グラフ関数電卓10の第4実施形態のペン操作演算処理(4)を示すフローチャートである。
【0072】
図12は、前記グラフ関数電卓10の第4実施形態のペン操作演算処理(4)に伴う式入力画面Gの表示動作を示す図である。
【0073】
この第4実施形態のペン操作演算処理(4)(
図11参照)において、そのステップC1〜C3,C7,C8,C9〜C13に係る処理は、前記第3実施形態のペン操作演算処理(3)(
図8参照)でのステップB1〜B3,B4,B5,B7〜B11に係る処理と同じでありその詳細な説明は省略する。
【0074】
この第4実施形態のペン操作演算処理(4)でも、前記
図9で示した第3実施形態と同様に、式入力画面G(16)に表示された選択数式B「2x+5」をペンタッチ(P)して反転表示(h1)させ、対象数式A「x
2+3x+1」の位置までドラッグする際に(ステップC1,C2)、当該ドラッグ中にタッチパネル17により検出されるタッチ位置の軌跡に対応する座標列がドラッグ軌跡座標メモリ26dに記録される(ステップC3)。
【0075】
そして、
図12に示すように、ドラッグ中の選択数式Bが他の数式(この場合は、対象数式A)の近傍(所定範囲内)に位置すると判断された場合に(ステップC4(Yes))、前記ドラッグ軌跡座標メモリ26dに記録された座標列に応じて判定される前記選択数式Bの他の数式に対するドラッグ方向(1)〜(4)に基づいて、前記第3実施形態同様の演算子決定テーブル22c(
図10参照)に従い、当該他の数式に選択数式Bを結合するための二項演算子(四則演算子)が決定され(ステップC5)、決定された演算子のマークMnがポップアップ表示される(ステップC6)。
【0076】
具体的には、ペンタッチ(P)した選択数式B「2x+5」を、矢印(1)に示すように、対象数式A「x
2+3x+1」の上方からドラッグして近付けると、演算子決定テーブル22c(
図10参照)に従い決定された演算子(×)を示すマークM1がポップアップ表示され、また、矢印(2)に示すように、対象数式A「x
2+3x+1」の後方からドラッグして近付けると、決定された演算子(+)を示すマークM2がポップアップ表示される(ステップC2〜C6)。
【0077】
これと同様に、図示はしないが、選択数式Bを対象数式Aの下方から近付けると、決定された演算子(÷)を示すマークM3がポップアップ表示され、また、前方から近付けると、決定された演算子(−)を示すマークM4がポップアップ表示される(ステップC2〜C6)。
【0078】
この後、前記対象数式Aに対する選択数式Bのドラッグ方向に応じて決定される演算子をポップアップ表示により確認しながら、所望の演算子(例えば(+))がポップアップ表示された後方から前記選択数式Bをドラッグして対象数式A上にドロップすると(ステップC2〜C8(Yes))、当該対象数式Aと選択数式Bとを演算子“+”により結合して変形した数式「(x
2+3x+1)+(2x+5)」が生成され、変形数式データメモリ26eに記憶されると共に、式入力画面G(16)上に表示される(ステップC7〜C9)。
【0079】
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10の第4実施形態のペン操作演算機能によれば、式入力画面G(16)に表示させた複数の数式のうち、任意の数式をペンタッチ(P)して選択し(選択数式B)、他の任意の数式(対象数式A)に向けてドラッグし近付けて行くと、上方から近付けた場合は演算子(×)が、後方から近付けた場合は演算子(+)が、下方から栂付けた場合は演算子(÷)が、前方から近付けた場合は演算子(−)がそれぞれポップアップされてガイド表示される。そして、所望の演算子がガイド表示された方向から選択数式Bを近付けて対象数式A上でドロップすると、ガイド表示された演算子により結合された変形数式「対象数式A(演算子)選択数式B」が生成されて表示される。
【0080】
このため、表示された複数の数式を任意の四則演算子により結合する式変形を、ポインティングデバイスによる選択数式を対象数式の上下左右何れかの方向から前記演算子を確認しつつ重ねるという直感的な操作で素早く且つ簡単に(数式選択→重ね合わせ(同時演算子確認)の2ステップで)行うことが可能になる。
【0081】
なお、前記各実施形態では、式入力画面G(16)上でユーザにより指示した位置を検出したり数式をドラッグ&ドロップしたりするためのポインティングデバイスを、タッチパネル17を用いて構成したが、マウスを用いて同様に構成してもよい。また、ドラッグされる数式は、例えば「x
2+3x+1」の中の「3x+1」のように、入力された数式の一部を選択して、式変形の対象とするようにしても良い。
【0082】
前記各実施形態において記載したグラフ関数電卓10による各処理の手法、すなわち、
図3のフローチャートに示す第1実施形態のペン操作演算処理、
図5のフローチャートに示す第2実施形態のペン操作演算処理、
図8のフローチャートに示す第3実施形態のペン操作演算処理、
図11のフローチャートに示す第4実施形態のペン操作演算処理などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体23に格納して配布することができる。そして、タッチパネル表示部16(17)を有する電子式計算機(10)のコンピュータ(CPU21)は、この記憶媒体23に記憶されたプログラムを記憶装置22に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明したペン操作による数式変形演算機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0083】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワークN上を伝送させることができ、この通信ネットワークNに接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ30)から前記のプログラムデータをタッチパネル表示部16(17)を有する電子式計算機(10)に取り込んで記憶装置22に記憶させ、前述したペン操作による数式変形演算機能を実現することもできる。
【0084】
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0085】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0086】
[1]
複数の数式を表示部に表示させる数式表示手段と、
ユーザ操作に応じて、前記表示部に表示された数式を選択してドラッグする数式ドラッグ手段と、
この数式ドラッグ手段により選択された数式が前記表示部に表示された他の数式までドラッグされた場合に、二項演算子の選択メニューを前記表示部に表示させる演算子メニュー表示手段と、
この演算子メニュー表示手段により表示された二項演算子の選択メニューからユーザ操作に応じて任意の演算子が選択された場合に、前記ドラッグされた数式と他の数式とを、前記選択された演算子により結合し前記表示部に表示させる数式結合手段と、
を備えたことを特徴とする計算装置。
【0087】
[2]
前記数式ドラッグ手段により数式がドラッグされた方向を判定するドラッグ方向判定手段を備え、
前記数式結合手段は、
前記演算子メニュー表示手段により表示された二項演算子の選択メニューからユーザ操作に応じて任意の演算子が選択された場合に、前記ドラッグされた数式と他の数式とを、前記ドラッグ方向判定手段により判定された方向に応じた各数式の項配置にして前記選択された演算子により結合し前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする[1]に記載の計算装置。
【0088】
[3]
複数の数式を表示部に表示させる数式表示手段と、
ユーザ操作に応じて、前記数式表示手段により表示された数式を選択してドラッグする数式ドラッグ手段と、
この数式ドラッグ手段により数式がドラッグされた方向を判定するドラッグ方向判定手段と、
このドラッグ方向判定手段により判定された前記数式のドラッグされた方向に応じて演算子を決定する演算子決定手段と、
前記数式ドラッグ手段により選択された数式が前記表示部に表示された他の数式までドラッグされた場合に、当該ドラッグされた数式と他の数式とを、前記演算子決定手段により決定された演算子により結合し前記表示部に表示させる数式結合手段と、
を備えたことを特徴とする計算装置。
【0089】
[4]
前記数式ドラッグ手段によりドラッグされた数式が前記表示部に表示された他の数式と一定範囲内に近付いたか判断する数式近付き判断手段と、
この数式近付き判断手段により前記ドラッグされた数式が前記表示部に表示された他の数式と一定範囲内に近付いたと判断された場合に、前記演算子決定手段により決定された演算子を前記表示部に表示させる演算子表示手段と、
を備えたことを特徴とする[3]に記載の計算装置。
【0090】
[5]
表示部を備えたコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
複数の数式を前記表示部に表示させる数式表示手段、
ユーザ操作に応じて、前記表示部に表示された数式を選択してドラッグする数式ドラッグ手段、
この数式ドラッグ手段により選択された数式が前記表示部に表示された他の数式までドラッグされた場合に、二項演算子の選択メニューを前記表示部に表示させる演算子メニュー表示手段、
この演算子メニュー表示手段により表示された二項演算子の選択メニューからユーザ操作に応じて任意の演算子が選択された場合に、前記ドラッグされた数式と他の数式とを、前記選択された演算子により結合し前記表示部に表示させる数式結合手段、
として機能させるためのプログラム。
【0091】
[6]
表示部を備えたコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
複数の数式を前記表示部に表示させる数式表示手段、
ユーザ操作に応じて、前記数式表示手段により表示された数式を選択してドラッグする数式ドラッグ手段、
この数式ドラッグ手段により数式がドラッグされた方向を判定するドラッグ方向判定手段、
このドラッグ方向判定手段により判定された前記数式のドラッグされた方向に応じて演算子を決定する演算子決定手段、
前記数式ドラッグ手段により選択された数式が前記表示部に表示された他の数式までドラッグされた場合に、当該ドラッグされた数式と他の数式とを、前記演算子決定手段により決定された演算子により結合し前記表示部に表示させる数式結合手段、
として機能させるためのプログラム。