【実施例】
【0033】
以下、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0034】
以下の合成例1〜6で使用するベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジル、4,4’−ジブロモベンジル、酢酸アンモニウム、酢酸、フェリシアン化カリウム、水酸化カリウムとしては、市販の試薬(東京化成工業株式会社製)を用いた。また、NMRによる測定は特別な記述が無い限り25℃で行った。
【0035】
<合成例1>
6,6’ジメチル−2,2’−ジホルミルビフェニル100mgと4,4’−ジメトキシベンジル270mgと酢酸アンモニウム960mgと酢酸4.0mlを混合し、110℃のオイルバスで16時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水8.0mlを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(I)を273mg得た。NMRの分析によって中間体(I)の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ8.92(2H s)、8.38(2H d)、7.53(2H t)、7.46(4H d)、7,40(2H d)、6.94(4H d)、6.80(4H d)、6.75(4H d)3.78(12H s)、1.99(6H s)
【化7】
【0036】
上記の中間体(I)120mgをベンゼン25mlに溶解させ、フェリシアン化カリウム4.1gと水酸化カリウム1.8gを30mlの水に溶解させた溶液を窒素下遮光条件で加えて、室温で2時間撹拌して反応させた後に水層を分離してベンゼンで抽出し、溶媒を濃縮して再結晶を行い、化合物[I]を含む混合物を102mg、化合物[I]として24mg得た。NMRの分析によって化合物[I]の生成を確認した。尚、NMRの分析は混合物について行ったものであり、化合物[I]単品のNMRの分析結果は得られていないが、メトキシ基とメチル基の特徴的なピークとUVスペクトルにおいて496nmに特徴的な吸収帯を示すことから混合物中の化合物[I]が下記構造式で表されることは明らかと考えられる。
【化8】
【0037】
続いて、化合物[I]に対し、重クロロホルムに溶解して可視光を25℃で300秒間照射した。その後、NMRの分析によって化合物[1]の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H-NMR(500MHz CDCl3);7.43(2H s)、7.41(4H d)、7.36(4H d)、7.13(2H t)、6.83(2H d)、6.80(4H d)、6.75(4H d)、3.81(6H s)、3.77(6H s)、2.48(6H s)
13C-NMR(500MHz CDCl3);169.9、164.9、161.14、161.09、136.1、135.4、134.9、131.2、130.6、128.3、126.7、125.4、125.0、121.6、113.5、113.3、106.7、55.3、55.2、21.3
【化9】
【0038】
<合成例2>
2,2’−ジホルミル−1,1’−ビナフタレン100mgと4,4’−ジメトキシベンジル183mgと酢酸アンモニウム750mgと酢酸4.0mlを混合し、110℃のオイルバスで14時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水8.0mlを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(II)を158mg得た。NMRの分析によって中間体(II)の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ8.78(2H d)、8.45(2H s)、8.19(2H d)、8.02(2H d)7.55-7.51(2H m)、7.42(4H d)、7.32-7.30(4H m)、6.78(4H d)6.69-6.64(8H m)、3.77(12H s)
【化10】
【0039】
上記の中間体(II)84mgをベンゼン25mlに溶解させ、フェリシアン化カリウム2.5gと水酸化カリウム1.1gを20mlの水に溶解させた溶液を窒素下遮光条件で加えて、室温で2時間撹拌して反応させた後に水層を分離してベンゼンで抽出し、溶媒を濃縮して再結晶を行い、化合物[II]を79mg得た。NMRの分析とX線結晶構造解析によって化合物[II]の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ8.24(1H d)、7.92(1H d)、7.90(1H d)、7.77(1H d)、7.50(2H d)、7.47-7.42(5H m)、7.30-7.20(4H m)、7.09-7.05(1H m)、6.93(1H d)、6.89(1H d)、6.85(2H d)、6.80(2H d)6.73(2H d)、6.54(2H d)、6.44(2H d)、3.82(3H s)、3.81(3H s)、3.73(3H s)、3.73(3H s)
【化11】
【0040】
続いて、化合物[II]に対し、重クロロホルムに溶解して可視光を−78℃で300秒間照射した。その後、−50℃に冷却した条件のNMRの分析によって化合物[2]の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H-NMR(500MHz CDCl3);7.97(2H d)、7.87(2H d)、7.82(2H d)、7.56(2H t)、7.46-7.42(8H m)、7.41(2H t)、7.23(2H d)、6.89(4H d)、6.75(4H d)、3.88(6H s)、3.79(6H s)
13C-NMR(500MHz CDCl3);170.5、165.4、160.7、160.6、137.9、134.0、133.3、132.5、131.4、131.3、130.6、130.5、128.0、125.3、124.6、124.5、123.8、122.4、113.2、112.7、106.3、55.3、55.2
【化12】
【0041】
<合成例3>
2,2’−ジホルミル−1,1’−ビナフタレン100mgとベンジル149mgと酢酸アンモニウム750mgと酢酸4.0mlを混合し、110℃のオイルバスで14時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水8.0mlを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(III)を162mg得た。NMRの分析によって中間体(III)の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ8.76(2H d)、8.69(2H s)、8.20(2H d)、8.04(2H d)7.56-7.51(2H m)、7.51-7.49(4H m)、7.33-7.31(4H m)、7.24-7.14(12H m)6.75-6.73(4H m)
【化13】
【0042】
上記の中間体(III)87mgをベンゼン25mlに溶解させ、フェリシアン化カリウム2.9gと水酸化カリウム1.3gを20mlの水に溶解させた溶液を窒素下遮光条件で加えて、室温で2時間撹拌して反応させた後に水層を分離してベンゼンで抽出し、溶媒を濃縮して再結晶を行い、化合物[III]を75mg得た。NMRの分析によって化合物[III]の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ8.26(1H d)、7.93(2H d)、7.80(1H d)、7.57(2H d)、7.47(2H d)、7.47(2H d)、7.44(3H d)、7.40(1H d)、7.35-7.31(4H m)、7.30-7.21(3H m)、7.19-7.15(3H m)、7.13-7.07(2H m)、7.01(2H t)、6.98(1H d)、6.94(1H d)、6.55(2H d)
【化14】
【0043】
<合成例4>
2,2’−ジホルミル−1,1’−ビナフタレン100mgと4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジル210mgと酢酸アンモニウム750mgと酢酸4.0mlを混合し、110℃のオイルバスで18時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水8.0mlを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(IV)を114mg得た。NMRの分析によって中間体(IV)の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ8.84(2H br.s)、8.28(2H br.s)、8.18(2H d)、8.00(2H d)7.51-7.48(2H m)、7.43(4H br.s)、7.30-7.28(4H m)、6.63(8H br.s)6.49(4H br.s)、2.91(24H s)
【化15】
【0044】
上記の中間体(IV)80mgをベンゼン25mlに溶解させ、フェリシアン化カリウム2.3gと水酸化カリウム1.0gを20mlの水に溶解させた溶液を窒素下遮光条件で加えて、室温で2時間撹拌して反応させた後に水層を分離してベンゼンで抽出し、溶媒を濃縮して固体を析出させた。析出した固体をエタノールに溶解させて再結晶を行い、化合物[IV]を59mg得た。NMRの分析によって化合物[IV]の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ8.23(1H d)、7.91(1H d)、7.86(1H d)、7.74(1H d)、7.52-7.50(3H m)、7.47(4H d)、7.23(1H t)、7.19-7.17(3H m)、7.02-6.98(1H m)、6.89(1H d)、6.76(1H d)、6.62(2H d)、6.59-6.56(4H m)6.40(2H d)、6.33(2H d)、3.00(6H s)、2.99(6H s)、2.87(6H s)、2.86(6H s)
【化16】
【0045】
<合成例5>
2,2’−ジホルミル−1,1’−ビナフタレン100mgと4,4’−ジブロモベンジル261mgと酢酸アンモニウム750mgと酢酸4.0mlを混合し、110℃のオイルバスで18時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水8.0mlを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(V)を249mg得た。NMRの分析によって中間体(V)の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ8.82(2H s)、8.62(2H d)、8.19(2H d)、8.04(2H d)7.84-7.82(4H m)、7.69-7.67(4H m)、7.56(2H t)、7.35-7.29(8H m)、6.61(4H d)
【化17】
【0046】
上記の中間体(V)80mgをベンゼン10mlに溶解させ、フェリシアン化カリウム2.0gと水酸化カリウム0.90gを15mlの水に溶解させた溶液を窒素下遮光条件で加えて、室温で2時間撹拌して反応させた後に水層を分離してベンゼンで抽出し、溶媒を濃縮して固体を析出させた。析出した固体をエタノールに溶解させて再結晶を行い、化合物[V]を22mg得た。NMRの分析によって化合物[V]の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ8.21(1H d)、7.95(2H d)、7.83(1H d)、7.49(2H d)、7.43(2H d)、7.40-7.29(12H m)、7.23(2H d)、7.16(2H d)、7.08(1H d)、6.96(1H d)6.36(2H d)
【化18】
【0047】
<合成例6>
2,2’−ジホルミルビフェニル50mgと4,4’−ジメトキシベンジル142mgと酢酸アンモニウム550mgと酢酸3.0mlを混合し、110℃のオイルバスで24時間加熱攪拌を行い反応させた後に28%アンモニア水6.0mlを加えて固体を析出させながら中和して、固体を水洗浄後にろ過して真空乾燥機で乾燥した。乾燥した固体をシリカゲルカラムで分離精製した後に溶媒を濃縮して中間体(VI)を136mg得た。NMRの分析によって中間体(VI)の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ9.37(2H s)、8.31(2H d)、7.56(2H t)、7.48-7.38(8H m)、7,29(2H d)、7.00(2H br.s)、6.77(8H d)3.78(12H s)
【化19】
【0048】
上記の中間体(VI)89mgをベンゼン35mlに溶解させ、フェリシアン化カリウム3.2gと水酸化カリウム1.4gを25mlの水に溶解させた溶液を窒素下遮光条件で加えて、室温で2時間撹拌して反応させた後に水層を分離してベンゼンで抽出し、溶媒を濃縮して固体を析出させた。析出した固体をエタノールに溶解させて再結晶を行ったがフォトクロミズムを示さない化合物[6]を86mg得た。NMRの分析及びマススペクトルによって化合物[6]の生成を確認した。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。
1H‐NMR(500MHz CDCl3)δ8.06(2H d)、7.45(2H t)、7.42(8H d)、7,19(2H t)、6.99(2H d)、6.79(8H d)3.80(12H s)
FD-MS m/z=708(M
+)
【化20】
【0049】
<実施例1>
合成例1で合成した化合物[I]を含む混合物を用いて1.0×10
−3Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ、可視光を25℃で30秒時間照射した。
そして、可視光を引き続き照射したまま、紫外可視吸収スペクトル分析によって化合物[1](消色体)のスペクトルを測定した。結果を表1及び
図3に示す。尚、
図3において、実線は化合物[1]のスペクトルを示すものである。
続いて、上記化合物[1]を含むベンゼン溶液について、光照射を止め、遮光下、25℃で1日間放置した。そして、その状態のベンゼン溶液について、紫外可視吸収スペクトル分析によってスペクトルを測定した。結果を表1及び
図3に示す。尚、結果は、
図3において破線で示した。上記ベンゼン溶液は、NMR分析から、メトキシ基とメチル基の特徴的なピークを持ち、UVスペクトル分析から496nmに特徴的な吸収帯を持っていた。このことから、上記ベンゼン溶液が化合物[I]を含むことは明らかと考えられる。
表1及び
図3に示すように、発色体の最大吸収波長496nmにおける消色体の透過率は、遮光状態で放置することで、93%から60%まで低下することが分かった。
【0050】
<実施例2>
合成例2で合成した化合物[II]を用いて2.0×10
−4Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ、可視光を25℃で30秒時間照射した。
そして、可視光を引き続き照射したまま、紫外可視吸収スペクトル分析によって化合物[2](消色体)のスペクトルを測定した。結果を表1及び
図4に示す。尚、
図4において、実線は化合物[2]のスペクトルを示すものである。
続いて、上記化合物[2]を含むベンゼン溶液について、光照射を止め、遮光下、25℃で間10分間放置した。そして、その状態のベンゼン溶液について、紫外可視吸収スペクトル分析によってスペクトルを測定した。結果を表1及び
図4に示す。尚、結果は、
図4において破線で示した。
表1及び
図4に示すように、発色体の最大吸収波長493nmにおける化合物[2](消色体)の透過率は88%から17%まで低下していることが分かった。また、
図4において破線で示すスペクトルは、化合物[II]のスペクトルと同様であった。このことから、化合物[2]は、遮光下で放置することにより、化合物[II]に変化することが分かった。
【0051】
<実施例3>
合成例3で合成した化合物[III]を用いて2.0×10
−4Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ、可視光を25℃で30秒時間照射した。このとき、実施例2と同様のUVスペクトル変化が見られたことから下記化合物[3]の生成が確認された。
【化21】
そして、可視光を引き続き照射したまま、紫外可視吸収スペクトル分析によって化合物[3](消色体)のスペクトルを測定した。結果を表1及び
図5に示す。尚、
図5において、実線は化合物[3]のスペクトルを示すものである。
続いて、上記化合物[3]を含むベンゼン溶液について、光照射を止め、遮光下、25℃で10分間放置した。そして、その状態のベンゼン溶液について、紫外可視吸収スペクトル分析によってスペクトルを測定した。結果を表1及び
図5に示す。尚、結果は、
図5において、破線で示した。
表1及び
図5に示すように、発色体の最大吸収波長475nmにおける化合物[3](消色体)の透過率は73%から16%まで低下していることが分かった。また、
図5において破線で示すスペクトルは、化合物[III]のスペクトルと同様であった。このことから、化合物[3]は、遮光下で放置することにより、化合物[III]に変化することが分かった。
【0052】
<実施例4>
合成例4で合成した化合物[IV]を用いて2.0×10
−4Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ、可視光を25℃で30秒時間照射した。このとき、合成例2と同様のUVスペクトル変化が見られたことから下記化合物[4]の生成が確認された。
【化22】
そして、可視光を引き続き照射したまま、紫外可視吸収スペクトル分析によって化合物[4](消色体)のスペクトルを測定した。結果を表1及び
図6示す。尚、
図6において、実線は化合物[4]のスペクトルを示すものである。
続いて、上記化合物[4]を含むベンゼン溶液について、光照射を止め、遮光下、25℃で10分間放置した。そして、その状態のベンゼン溶液について、紫外可視吸収スペクトル分析によってスペクトルを測定した。結果を表1及び
図6に示す。尚、結果は、
図6において、破線で示した。
表1及び
図6に示すように、発色体の最大吸収波長544nmにおける化合物[4](消色体)の透過率は74%から23%まで低下していることが分かった。また、
図5において破線で示すスペクトルは、化合物[IV]のスペクトルと同様であった。このことから、化合物[4]は、遮光下で放置することにより、化合物[IV]に変化することが分かった。
【0053】
<実施例5>
合成例5で合成した化合物[V]を用いて2.0×10
−4Mのベンゼン溶液を調製した。この溶液を四面石英セルに入れ、可視光を25℃で30秒時間照射した。このとき、合成例2と同様のUVスペクトル変化が見られたことから下記化合物[5]の生成が確認された。
【化23】
そして、可視光を引き続き照射したまま、紫外可視吸収スペクトル分析によって化合物[5](消色体)のスペクトルを測定した。結果を表1及び
図7に示す。尚、
図7において、実線は化合物[5]のスペクトルを示すものである。
続いて、上記化合物[5]を含むベンゼン溶液について、光照射を止め、遮光下、25℃で10分間放置した。そして、その状態のベンゼン溶液について、紫外可視吸収スペクトル分析によってスペクトルを測定した。結果を表1及び
図7に示す。尚、結果は、
図7において破線で示した。
表1及び
図7に示すように、発色体の最大吸収波長486nmにおける消色体の透過率は74%から39%まで低下していることが分かった。また、
図7において破線で示すスペクトルは、化合物[V]のスペクトルと同様であった。このことから、化合物[5]は、遮光下で放置することにより、化合物[V]に変化することが分かった。
【0054】
<比較例1>
合成例6で合成した化合物[6]を用いて2.0×10
−4Mのベンゼン溶液を調製した。このベンゼン溶液を四面石英セルに入れ、可視光を25℃で30秒時間照射した。
そして、可視光を引き続き照射したまま、紫外可視吸収スペクトル分析によって上記ベンゼン溶液についてスペクトルを測定した。結果を表1及び
図8に示す。尚、結果は、
図8において、実線で示した。
続いて、上記化合物[6]を含むベンゼン溶液について、光照射を止め、遮光下、25℃で10分間放置した。そして、その状態のベンゼン溶液について、紫外可視吸収スペクトル分析によってスペクトルを測定した。結果を表1及び
図8に示す。尚、結果は、
図8において破線で示した。
表1及び
図8に示すように、500nmにおける消色体の透過率は93%から変化しないことが分かった。このことから、化合物[6]は、遮光下で放置しても、何ら変化しないことが分かった。
【表1】
【0055】
表1に示す結果より、一般式(1)で表されるビイミダゾール化合物のR
4およびR
5に立体的に嵩高い置換基を導入することで、フォトクロミズムが発現する分子が得られた。