(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のゲートバルブは、改善の余地を残している。例えば、排出流路のうちの第2凸部よりも上流側には、注入孔が閉じられた状態において、樹脂が滞留することとなる。この滞留した樹脂が、型を加熱する熱によって硬化すると、ゲートバルブピンが移動不能になるなどのトラブルが生じるおそれがある。あるいは、ゲートバルブピンが注入孔を閉めるために下方に移動した際に、硬化していない状態で滞留した樹脂が、ゲートバルブピンに押し出されることによって排出流路側に移動し、ゲートバルブの外部の経路にまで漏れ出るおそれがある。漏れ出た樹脂が硬化すると、排出流路が閉塞するおそれがある。
【0007】
また、これらの事象を回避するために、樹脂を1回注入するたびに洗浄を行うと、複数回の樹脂の注入ごとに洗浄を行う場合と比べて、多量の洗浄液が必要となる。しかも、洗浄のたびに、滞留する樹脂が排出側に排出されるので、樹脂を無駄に廃棄する量が多くなる。
【0008】
また、樹脂の成形品に空気が混入することを抑制するために、通常、型の内部に存在する空気は、樹脂の注入前に吸引される。しかし、上述のゲートバルブでは、ゲートバルブピンの移動過程において、注入孔および排出流路が同時に開けられる期間が存在する。このため、樹脂の注入前に型の内部に存在する空気を吸引しても、注入孔を開ける瞬間に排出流路から空気が型の内部に流入することとなり、成形品への空気の混入を十分に抑制することができない。
【0009】
また、上述したゲートバルブに限らず、樹脂の成形に使用するゲートバルブは、樹脂の成形品の製造工程の効率化の観点から、洗浄回数を低減することが求められる。また、同様の観点から、型に注入された樹脂の硬化に要する時間を利用して、ゲートバルブの洗浄を行うことが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0011】
[適用例1]注入孔が形成され、該注入孔を通じた熱硬化性樹脂の流通の許容と遮断とを切り替えることができるゲートバルブであって、
一定の方向に沿って延びる空間が内部に形成されたケーシングと、
前記空間内を前記一定の方向に移動可能に構成されたゲートバルブピンと、
前記空間内で前記ゲートバルブピンの外方に設けられ、前記一定の方向に移動可能に構成されたスリーブとを備え、
前記ゲートバルブは、第1流体流路を有し、
前記ゲートバルブピンが第1ピン位置にあるときに、前記ゲートバルブピンの前記注入孔の側の先端部が前記注入孔を閉じることで、前記第1流体流路と前記注入孔との連通が遮断され、
前記ゲートバルブピンが、前記第1ピン位置よりも、前記注入孔と反対の側に位置する第2ピン位置にあるときに、前記先端部が前記注入孔を開くことで、前記第1流体流路と前記注入孔とが連通して、前記熱硬化樹脂の流通を許容するための樹脂供給ラインが形成され、
前記ゲートバルブには、前記スリーブが第1スリーブ位置にあり、かつ、前記ゲートバルブピンが前記第1ピン位置にあるときに、前記第1流体流路の前記注入孔側の端部から前記ゲートバルブの外部に通じる第2流体流路が形成されるとともに、前記第1流体流路と前記第2流体流路とが連通して、洗浄液の供給および排出を行うための洗浄ラインが形成され、
前記スリーブが前記第1スリーブ位置よりも前記注入孔の側に位置する第2スリーブ位置にあるときに、前記スリーブによって、前記第1流体流路と前記外部に通じる前記第2流体流路との連通が遮断される
ゲートバルブ。
【0012】
かかる構成のゲートバルブによれば、ゲートバルブピンが第1ピン位置にあり、スリーブが第2スリーブ位置にある状態から、ゲートバルブピンが第2ピン位置に移動することにより、樹脂供給ラインからの熱硬化性樹脂の流通を許容することができる。その後、ゲートバルブピンが第1ピン位置に移動することにより、樹脂供給ラインからの熱硬化性樹脂の流通を遮断することができる。さらに、その後、スリーブが第1スリーブ位置に移動することにより、樹脂供給ラインを遮断した状態で洗浄ラインを形成して、ゲートバルブを洗浄することができる。したがって、ゲートバルブから供給された熱硬化性樹脂の硬化に要する時間を利用して、ゲートバルブの洗浄を行うことができる。また、当該ゲートバルブによれば、洗浄ラインを利用したゲートバルブの洗浄が完了した後、スリーブが第2スリーブ位置に移動することによって洗浄ラインを遮断し、その後にゲートバルブピンが第2ピン位置に移動することにより、再度、樹脂供給ラインからの熱硬化性樹脂の流通を許容することができる。つまり、樹脂供給ラインと、洗浄ラインとが同時に形成される瞬間が生じないように制御することができる。その結果、洗浄ラインから樹脂供給ラインに空気が混入することを抑制できる。しかも、樹脂供給ラインを遮断する際に、樹脂供給ライン中に滞留する熱硬化樹脂が、洗浄ライン側に漏れ出すことがない。
【0013】
[適用例2]適用例1記載のゲートバルブであって、
前記第1流体流路は、前記第1流体流路の前記注入孔側と反対側に形成された第1孔部と、前記第1流体流路の前記注入孔側の前記端部に形成された第2孔部とを連通する流路として、前記ゲートバルブピンの内部に形成され、
前記第2流体流路は、前記第2孔部から前記ゲートバルブの外部に通じる流路として形成される
ゲートバルブ。
【0014】
かかる構成のゲートバルブによれば、第1流体流路がゲートバルブピンの内部に形成されることにより、シンプルな装置構成とすることができる。また、他の構成と比べて、ゲートバルブの外径を細径化することができる。その結果、ゲートバルブの中央部と外側部とを均等に冷却することができる。
【0015】
[適用例3]前記スリーブが前記第2スリーブ位置にあるときに、前記第2流体流路のうちの前記第2孔部側の端部が遮断される適用例2記載のゲートバルブ。
【0016】
かかる構成のゲートバルブによれば、スリーブが第2スリーブ位置にあるときに注入孔から熱硬化性樹脂を流通させれば、その後、樹脂供給ラインを遮断した際に、熱硬化性樹脂が第2流体流路に滞留することを抑制できる。つまり、樹脂供給ラインを構成する流路以外に熱硬化性樹脂が滞留することを抑制できる。したがって、滞留する熱硬化性樹脂が硬化して、ゲートバルブの動作に不具合を生じることを抑制できる。また、熱硬化性樹脂を1回流通させるたびに洗浄を行う必要がないので、洗浄回数を低減できるとともに、熱硬化樹脂の廃棄量や洗浄液の使用量を低減できる。
【0017】
[適用例4]適用例3記載のゲートバルブであって、
前記ゲートバルブピンは、前記ゲートバルブピンが前記第1ピン位置にあり、かつ、前記スリーブが前記第2スリーブ位置にあるときに、前記スリーブとの間をシールするシール部が設けられた第1ピン部位を備え、
前記第1スリーブ位置における前記スリーブの前記注入孔側の端面は、前記ゲートバルブピンが前記第1ピン位置にあるときの前記シール部のシール箇所よりも、前記注入孔と反対の側に位置し、
前記第2流体流路は、前記ゲートバルブピンが前記第1ピン位置にあるときに、前記スリーブが前記第2スリーブ位置から前記第1スリーブ位置に移動することにより生じる空間である先端側部分流路を含んで形成される
ゲートバルブ。
【0018】
かかる構成のゲートバルブによれば、洗浄ラインが形成された際に、シール部のシール箇所が先端側部分流路に露出することとなる。つまり、シール部のシール箇所を洗浄することができる。したがって、シール部に付着した熱硬化性樹脂が硬化し、ゲートバルブピンまたはスリーブが移動する際に、硬化した熱硬化性樹脂がシール部を損傷させることで、シール性能が劣化することを抑制できる。その結果、シール部の耐久性を向上することができる。また、シール部の交換頻度が低減するので、工数を低減することができる。
【0019】
[適用例5]適用例4記載のゲートバルブであって、
前記ゲートバルブピンは、前記第1ピン部位よりも、前記先端部と反対の側に位置し、前記スリーブの内面との間に内側部分流路としての空間が形成された第2ピン部位を備え、
前記第2流体流路は、前記先端側部分流路と前記内側部分流路とが連通して形成される流路を含んで形成される
ゲートバルブ。
【0020】
かかる構成のゲートバルブによれば、ゲートバルブピンとスリーブとの間の空間を利用して、第2流体流路を形成できる。したがって、ケーシング内に第2流体流路を形成するための流路を設ける場合と比べて、ゲートバルブを小型化することができる。
【0021】
[適用例6]適用例3記載のゲートバルブであって、
前記スリーブは、前記ケーシングのうちの前記空間の側の内面との間に外側部分流路としての空間が形成されたスリーブ部位を備え、
前記第2流体流路は、
前記外側部分流路と、
前記ゲートバルブピンが前記第1ピン位置にあるときに、前記スリーブが前記第2スリーブ位置から前記第1スリーブ位置に移動することにより生じる空間である先端側部分流路と
が連通して形成される流路を含んで形成される
ゲートバルブ。
【0022】
かかる構成のゲートバルブによれば、スリーブとケーシングとの間の空間を利用して、第2流体流路を形成できる。したがって、ケーシング内に第2流体流路を形成するための流路を設ける場合と比べて、ゲートバルブを小型化することができる。
【0023】
[適用例7]適用例6記載のゲートバルブであって、
前記ゲートバルブピンには、
前記スリーブとの間をシールする第1シール部と、
前記第1シール部よりも前記注入孔側に位置し、前記スリーブとの間をシールすることが可能な第2シール部と
が設けられ、
前記スリーブが前記第2スリーブ位置にあり、前記ゲートバルブピンが前記第1ピン位置にあるときに、前記ゲートバルブピンと前記スリーブとの間は、前記第1シール部と前記第2シール部とによってシールされ、
前記スリーブが前記第1スリーブ位置にあり、前記ゲートバルブピンが前記第1ピン位置にあるときに、前記ゲートバルブピンと前記スリーブとの間は、前記第1シール部および前記第2シール部のうちの前記第1シール部のみによってシールされ、
前記第2流体流路は、前記先端側部分流路を含んで形成される
ゲートバルブ。
【0024】
かかる構成のゲートバルブによれば、熱硬化性樹脂にさらされる第2シール部が、洗浄ラインが形成された際に先端側部分流路に露出することとなる。つまり、第2シール部を洗浄することができる。したがって、第2シール部に付着した熱硬化性樹脂が硬化し、ゲートバルブピンまたはスリーブが移動する際に、硬化した熱硬化性樹脂が第2シール部を損傷させることで、シール性能が劣化することを抑制できる。その結果、第2シール部の耐久性を向上することができる。また、第2シール部の交換頻度が低減するので、工数を低減することができる。
【0025】
[適用例8]適用例1記載のゲートバルブであって、
前記第1流体流路は、前記ケーシングの内部、または、前記ケーシングと前記スリーブとの間に形成され、
前記ゲートバルブピンは、該ゲートバルブピンが前記第1ピン位置にあり、かつ、前記スリーブが前記第2スリーブ位置にあるときに、前記スリーブとの間をシールするシール部が設けられた第3ピン部位を備え、
前記第1スリーブ位置における前記スリーブの前記注入孔の側の端面は、前記ゲートバルブピンが前記第1ピン位置にあるときの前記シール部のシール箇所よりも、前記注入孔と反対の側に位置し、
前記第2流体流路は、前記ゲートバルブピンが前記第1ピン位置にあるときに、前記スリーブが前記第2スリーブ位置から前記第1スリーブ位置に移動することにより生じる空間である先端側部分流路を含んで形成される
ゲートバルブ。
【0026】
かかる構成のゲートバルブによれば、適用例1のゲートバルブと同様の効果を奏する。また、洗浄ラインが形成された際に、シール部のシール箇所が先端側部分流路に露出するので、当該シール箇所を洗浄することができる。したがって、シール部に付着した熱硬化性樹脂が硬化し、ゲートバルブピンまたはスリーブが移動する際に、硬化した熱硬化性樹脂がシール部を損傷させることで、シール性能が劣化することを抑制できる。その結果、シール部の耐久性を向上することができる。また、シール部の交換頻度が低減するので、工数を低減することができる。なお、適用例5の構成を適用例8のゲートバルブに適用することも可能である。
【0027】
[適用例9]適用例1ないし適用例8のいずれか記載のゲートバルブを使用して、熱硬化性樹脂の成形品を製造する方法であって、
前記成形品の形状に対応する形状を有するキャビティが形成され、前記ゲートバルブが組み付けられた型を用意する第1工程と、
前記ゲートバルブピンが第1ピン位置にあり、前記スリーブが第2スリーブ位置にある状態で、前記キャビティ内の空気を吸引する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記ゲートバルブピンを第2ピン位置に移動させて、前記樹脂供給ラインを形成し、前記第1孔部から供給される前記熱硬化性樹脂を前記キャビティに注入する第3工程と、
前記第3工程の後に、前記ゲートバルブピンを第1ピン位置に移動させ、前記樹脂供給ラインを遮断する第4工程と、
前記キャビティに注入された前記熱硬化性樹脂が熱を受けて硬化するために予め定められた時間待機する第5工程と、
前記第5工程の途中において、前記スリーブを第1スリーブ位置に移動させて、前記洗浄ラインを形成し、前記第1流体流路から前記洗浄液を供給し、前記第2流体流路を介して、前記洗浄液を排出する第6工程と
を備えた熱硬化性樹脂の成形品製造方法。
【0028】
かかる熱硬化性樹脂の成形品製造方法によれば、適用例9が引用する適用例1〜8と同様の効果を奏する。
【0029】
[適用例10]前記第6工程は、複数回の前記第5工程のうちの1回の前記第5工程においてのみ実施される適用例9記載の熱硬化性樹脂の成形品製造方法。
【0030】
かかる熱硬化性樹脂の成形品製造方法によれば、洗浄回数が低減され、熱硬化樹脂の廃棄量や洗浄液の使用量を低減できる。
【0031】
本発明は、上述したゲートバルブおよび熱硬化性樹脂の成形品製造方法のほか、熱硬化性樹脂の成形品の製造装置、ゲートバルブの洗浄方法などとしても実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
A.第1実施例:
図1は、本発明のゲートバルブの第1実施例としてのゲートバルブ30の概略構成を示す。
図1では、後述するゲートバルブピン50の軸線OLを含む切断面で切断したゲートバルブ30の断面を示している。ゲートバルブ30は、金型20に組み付けられる。ゲートバルブ30は、熱硬化性樹脂(以下、単に樹脂ともいう)を金型20に注入するためのバルブであり、樹脂の流通の許容と遮断とを切り替える。金型20は、樹脂を成形して、成形品を製造するための型である。本実施例では、1つの金型20に対して、1つのゲートバルブ30が組み付けられるが、1つの金型20に対して、複数のゲートバルブ30が組み付けられてもよい。本実施例では、RTM(Resin Transfer Molding)法を使用して、エポキシ樹脂を母材とする炭素繊維強化プラスチックの成形品を製造する場合を例示して説明する。
【0034】
金型20は、下型21と上型22とを備えている。下型21と上型22との間には、成形品の形状に対応する形状を有する空間としてのキャビティ23が形成されている。このキャビティ23にゲートバルブ30によって樹脂が注入され、加熱されることで樹脂が硬化し、成形品が得られる。加熱は、上型22の内部に設けられた熱媒体流路(
図1では図示を省略)に熱媒体を流通させることにより行われる。上型22の内部には、下型21と上型22とが並ぶ方向に貫通する貫通孔24が形成されている。この貫通孔24には、ゲートバルブ30が挿入される。貫通孔24の両端のうちの下型21側の端部は、キャビティ23に樹脂を注入するための樹脂入口25となる。以下の説明において、上型22が配置される側を上側ともいう。下型21が配置される側を下側ともいう。
【0035】
ゲートバルブ30は、ケーシング40とゲートバルブピン50とスリーブ60とを備えている。ケーシング40は、径が異なる複数の円筒を組み合わせた構成を有する。このケーシング40は、中空形状を有している。具体的には、ケーシング40の内部には、下型21と上型22とが並ぶ方向、換言すれば、後述するゲートバルブピン50の軸線OLの方向(以下、単に軸線方向ODともいう)に沿って延びる空間41が形成されている。空間41は、軸線方向ODにケーシング40を貫通して形成されている。つまり、ケーシング40は、環形状を有している。空間41の上側は、ストッパ90によって覆われる。ストッパ90の中央部には、軸線方向ODに貫通する貫通孔91が形成されている。貫通孔91は、本実施例では、円形断面を有している。この貫通孔91には、ゲートバルブピン50が挿入される。
【0036】
ケーシング40は、内径が最も大きい大内径部42と、内径が最も小さい小内径部44と、内径が大内径部42よりも小さく、小内径部44よりも大きい中内径部43とを備えている。大内径部42、中内径部43および小内径部44は、上側から下側に向かう方向に、大内径部42、中内径部43、小内径部44の順に形成されている。大内径部42および中内径部43の上側の外径は、中内径部43の下側および小内径部44の外径よりも大きい。
【0037】
ケーシング40の下側の端部には、空間41のうちの下側の端部を埋めるように導熱部83が挿入されている。導熱部83は、ケーシング40よりも熱伝導度が高い部材で形成される。本実施例では、ケーシング40の下側の端面と、導熱部83の下側の端面とは、軸線方向ODの位置が同一となる。ケーシング40および導熱部83の下側の端面には、断熱部84が設けられる。本実施例では、断熱部84は、導熱部83とキャビティ23(樹脂入口25)との間の距離の半分以上に亘って設けられている。導熱部83および断熱部84の内部には、軸線OLに直交する断面が円形形状を有する空間81が形成されている。空間81の下側の端部は、ゲートバルブ30側の樹脂の出口としての樹脂注入孔48となる。
【0038】
上型22と断熱部84とは、気密に接している。同様に、断熱部84と導熱部83とは、気密に接している。一方、上型22の貫通孔24にゲートバルブ30が挿入された状態において、上型22とケーシング40の外側の表面との間には、断熱部84と上型22との接触箇所を除き、わずかな空間が形成されている。このわずかな空間は、断熱層として機能する。なお、この空間に断熱材を配置してもよい。
【0039】
ゲートバルブピン50は、軸線OLに直交する断面が円形形状を有する棒形状の部材である。ここでの軸線OLとは、棒形状のゲートバルブピン50が延びる方向に平行な、ゲートバルブピン50の中心線として規定される。ゲートバルブピン50は、アクチュエータ、例えば、油圧シリンダと連結される(
図1では図示を省略)。ゲートバルブピン50は、アクチュエータによって、軸線方向ODに沿って移動可能に構成されている。ゲートバルブピン50は、上側から下側に向かって、後端部51、第1中径部52、小径部53、第2中径部54、傾斜部56および先端部55を備えている。後端部51は、最も外径が大きい。後端部51の外径は、ストッパ90に形成された貫通孔91の径よりも大きく形成されている。第1中径部52および第2中径部54は、後端部51よりも外径が小さく、小径部53よりも外径が大きい。第2中径部54と先端部55との間には、傾斜部56が形成されている。傾斜部56の外径は、上側の端部では、第2中径部54の外径と等しく、下側の端部では、先端部55の外径と等しい。つまり、傾斜部56は、下側に向かって次第に外径が小さくなる。
【0040】
先端部55は、本実施例では、小径部53とほぼ同じ外径を有している。この先端部55の外径は、導熱部83および断熱部84に形成された空間81よりもわずかに小さく形成されている。つまり、先端部55の外径は、空間81を形成する導熱部83および断熱部84の内側の面とほぼ接触した状態で先端部55が移動可能な大きさに設定されている。先端部55は、空間81に挿入されることにより、樹脂注入孔48を介した樹脂の流通を遮断する。先端部55の全てが空間81に挿入されたとき、つまり、傾斜部56の下側の端部が導熱部83の上側の端面と接触したとき、先端部55の下側の端面は、軸線方向ODにおいて樹脂入口25と同一の位置となる。
【0041】
第1中径部52の外径は、ストッパ90の貫通孔91の径よりも僅かに小さく形成されている。つまり、第1中径部52の外径は、ストッパ90の内径側の面とほぼ接触した状態で移動可能な大きさに設定されている。ストッパ90の内径側の面には、シール部材、例えば、Oリングが設けられる(
図1では図示省略)。空間41の上側は、ストッパ90、第1中径部52および上述のシール部材によって封止される。
【0042】
第2中径部54の外径は、後述するスリーブ60の内径よりも僅かに小さく形成されている。つまり、第2中径部54の外径は、スリーブ60の内径側の面とほぼ接触した状態で第2中径部54が移動可能な大きさに設定されている。第2中径部54には、シール部85が設けられる。具体的には、第2中径部54の中央部の表面には、周方向に溝が形成されている。この溝に、シール部85が挿入される。シール部85には、例えば、Oリングやピストンリングを使用することができる。シール部85は、第2中径部54とスリーブ60との間をシールする。かかるシール部85により、第2中径部54とスリーブ60との間を樹脂が上側に進入することを抑制する。
【0043】
ゲートバルブピン50の内部には、中空形状によって第1流体流路57が形成される。この第1流体流路57は、後端部51、第1中径部52、小径部53、第2中径部54および傾斜部56の内部に形成される。ストッパ90によって封止される空間41の外方に位置する後端部51には、第1流体流路57の一方の端部としての第1孔部58が形成される。本実施例では、第1孔部58は、後端部51の上側の端面とは異なる面に形成される。具体的には、第1孔部58は、後端部51のうちの、軸線方向ODと平行な側面に形成される。傾斜部56には、第1流体流路57の他方の端部としての第2孔部59が形成される。換言すれば、ゲートバルブピン50において、第2孔部59は、先端部55の直前に形成されている。本実施例では、第1流体流路57は、第2中径部54の内部において、軸線OLに対して対称となるように2つの経路に分岐している。このため、第2孔部59は、2つ形成されている。
【0044】
第2孔部59の径は、
図1に示す断面における傾斜部56の長さよりも僅かに小さく形成されている。逆に言えば、傾斜部56の長さは、第2孔部59に必要な径が確保できる程度の長さに設定されている。本実施例では、傾斜部56の長さは、第2孔部59の径の2倍以下である。第2孔部59には、樹脂や洗浄液が流通する(詳細は後述)。このため、第2孔部59の径は、樹脂や洗浄液の流通速度および圧力が所望の範囲になるように設定される。
図1に示すように、先端部55の全てが空間81に挿入されたとき、ゲートバルブピン50を構成する傾斜部56と、後述するスリーブ60の下側の端部と、導熱部83との間には、空間45が形成される。空間45は、上述したように傾斜部56の長さが設定されることにより、極めて小さな空間となる。かかる効果は、例えば、傾斜部56の長さを、第2孔部59の径の5倍以下としても、ある程度得ることができる。
【0045】
スリーブ60は、空間41内でゲートバルブピン50の外方に設けられる。スリーブ60は、中央に貫通孔を有する環形状を有しており、当該貫通孔にゲートバルブピン50が挿入される。スリーブ60は、上側から下側に向かって、大径部61、中径部62および小径部63を備えている。大径部61は、外径が最も大きい。大径部61の外径は、ケーシング40を構成する中内径部43の内径よりも大きい。大径部61の中央部の外径は、ケーシング40を構成する大内径部42の内径よりも僅かに小さく形成されている。大径部61の内径は、ゲートバルブピン50を構成する第1中径部52の外径よりも僅かに大きく形成されている。大径部61と大内径部42の間、および、大径部61と第1中径部52との間は、シール部材、例えば、Oリングによってシールされる(
図1では、図示を省略)。
【0046】
中径部62は、外径が大径部61よりも小さく、小径部63よりも大きい。中径部62の外径は、ケーシング40を構成する中内径部43の内径よりも僅かに小さく形成されている。中径部62には、軸線方向ODに交わる方向に中径部62を貫通する貫通孔64が形成されている。ケーシング40を構成する中内径部43と、中径部62との間は、貫通孔64よりも上側において、シール部材、例えば、Oリングによってシールされる(
図1では、図示を省略)。小径部63の外径は、ケーシング40を構成する小内径部44の内径よりも僅かに小さく形成されている。大径部61、中径部62および小径部63の内径は、同一の寸法であり、ゲートバルブピン50を構成する第1中径部52の外径よりも僅かに大きく形成されている。
【0047】
かかるスリーブ60は、軸線方向ODに沿って、移動可能に構成される。かかるスリーブ60の移動は、空間41のうちの、スリーブ60を構成する大径部61と、ケーシング40を構成する大内径部42と、ストッパ90とによって囲まれた空間の気圧を制御することにより行われる。具体的には、ストッパ90には、軸線方向ODに貫通する貫通孔が形成され、当該貫通孔にチューブが挿入される(
図1では、図示を省略)。チューブには、ゲートバルブ30の外部で、切替弁を介して、吸引ポンプが接続される(
図1では、図示を省略)。当該切替弁の開閉と、吸引ポンプのON/OFFとを制御することにより、スリーブ60は、軸線方向ODに沿って移動する。
図1では、スリーブ60が最も下側に移動した状態を示している。この状態では、スリーブ60の下側の端面は、導熱部83の上側の端面と接触する。また、スリーブ60を構成する大径部61の下側の端面は、ケーシング40を構成する中内径部43の上側の端面と接触する。以上の説明からも明らかなように、ゲートバルブピン50とスリーブ60とは、それぞれ独立して、軸線方向ODに沿って移動することができる。
【0048】
上述したゲートバルブ30において、ゲートバルブピン50を構成する小径部53と、スリーブ60を構成する中径部62および小径部63との間には、軸線方向ODに延びる空間71が形成される。空間71は、本実施例では、小径部53の外径をゲートバルブピン50の他の箇所よりも小さくすることによって形成される。また、ケーシング40を構成する中内径部43と、スリーブ60を構成する小径部63との間には、空間82が形成されている。また、ケーシング40およびストッパ90の内部には、部分流路72が形成されている。部分流路72は、ケーシング40の内部の空間41と、ゲートバルブ30の外部とを連通している。具体的には、部分流路72は、中内径部43の内面のうちの上側の端部付近に設けられた孔部74から、ケーシング40およびストッパ90の内部を通って、孔部75によって、ストッパ90の外部に通じている。
【0049】
また、ケーシング40の内部には、軸線方向ODのほぼ全範囲にわたって、冷却流路46が形成されている。冷却流路46には、冷却媒体、例えば、水が供給される。ストッパ90側から供給された冷却媒体は、冷却流路46を上側から下側に流れ、導熱部83の付近で、
図1の断面以外の断面を軸線OLの周方向に迂回して、再び、下側から上側に流れ、ストッパ90の外方に排出される。冷却流路46に冷却媒体を流通させることにより、上型22の内部に設けられた熱媒体流路からの放熱が、ケーシング40に形成された冷却流路46の内部に伝熱することを抑制する。その結果、ゲートバルブ30の内部における樹脂の硬化や粘度の上昇を抑制できる。
【0050】
図2は、
図1に示したゲートバルブ30に対して、ゲートバルブピン50が上側に移動した状態を示す。スリーブ60は、
図1に示した状態から移動していない。ゲートバルブピン50は、軸線方向ODにおいて、先端部55の下側の端面が、導熱部83の上側の端面よりも上側に位置する位置まで移動されている。つまり、ゲートバルブピン50は、先端部55と導熱部83との間に隙間47aを生じる位置まで移動されている。かかるゲートバルブピン50の移動により、先端部55の周囲、つまり、周方向および下側には、空間47が生じている。かかるゲートバルブ30の位置では、ゲートバルブピン50に形成された第1流体流路57は、空間47および空間81を介して、樹脂注入孔48と連通する。このとき、第1流体流路57の外方側の端部である第1孔部58から樹脂を供給すれば、樹脂注入孔48を通じて、キャビティ23に樹脂を注入することができる。第1流体流路57、空間47および空間81によって形成される流体流路を樹脂供給ラインともいう。
【0051】
図3は、
図1に示したゲートバルブ30に対して、スリーブ60が上側に移動した状態を示す。ゲートバルブピン50は、
図1に示した状態から移動していない。スリーブ60は、大径部61の上側の端面が、ストッパ90の下側の端面と接触する位置まで移動している。つまり、ストッパ90は、スリーブ60の移動における停止位置を規定する。かかるスリーブ60の位置において、スリーブ60の下側の端面は、シール部85のシール箇所よりも軸線方向ODの上側に位置する。換言すれば、スリーブ60は、下側の端部とシール部85との間に隙間73aが生じる位置にある。このとき、ゲートバルブピン50を構成する第2中径部54の周方向には、スリーブ60が上側に移動したことにより、空間73が生じている。また、スリーブ60に形成された貫通孔64は、ケーシング40に形成された部分流路72と連通する位置にある。さらに、貫通孔64は、軸線方向ODにおいて、空間71と重複する位置にある。本実施例では、貫通孔64は、空間71の上側の端部と重複する位置にある。これらの位置関係により、ゲートバルブピン50およびスリーブ60が
図3に示す位置にあるとき、空間73、空間71、貫通孔64および部分流路72が連通する流路が形成される。かかる連通する流路を第2流体流路70ともいう。
【0052】
第2流体流路70が形成されたとき、
図3に示すように、ゲートバルブピン50に形成された第2孔部59は、第2流体流路70と連通する。つまり、ゲートバルブピン50に形成された第1流体流路57と、第2流体流路70とは、空間45を介して連通する。このとき、第1流体流路57の外方側の端部である第1孔部58から洗浄液を供給すれば、第1流体流路57を洗浄することができる。洗浄液には、通常、有機溶剤が使用される。また、シール部85は、第2流体流路70に露出した状態となるので、シール部85を洗浄することもできる。第1流体流路57、空間45および第2流体流路70によって形成される流体流路を洗浄ラインともいう。
【0053】
上述した
図1〜
図3におけるゲートバルブピン50の位置のうちの、
図1,3における位置を第1ピン位置ともいう。
図2におけるゲートバルブピン50の位置を第2ピン位置ともいう。第1ピン位置は、ゲートバルブピン50を構成する先端部55が樹脂注入孔48を閉じる位置である。第2ピン位置は、先端部55が樹脂注入孔48を開ける位置である。上述した
図1〜
図3におけるスリーブ60の位置のうちの、
図3における位置を第1スリーブ位置ともいう。
図1,2におけるスリーブ60の位置を第2スリーブ位置ともいう。第1スリーブ位置は、第2流体流路70が形成される位置である。第2スリーブ位置は、第2流体流路70が形成されない、すなわち、第1流体流路57と第2流体流路70との連通が遮断される位置である。以上の説明からも明らかなように、スリーブ60が第2スリーブ位置から第1スリーブ位置に移動した際に、第2流体流路70のうちの第2孔部59側の端部である空間73が、スリーブ60によって遮断される。
【0054】
図4は、上述したゲートバルブ30を使用した樹脂の成形品の製造手順を示す。本実施例では、成形品の製造工程は自動化されており、複数の成形品が所定のサイクル(例えば、20分)で連続的に繰り返し製造される。
図4では、1つの成形品を製造する1サイクルについて示している。成形品の製造においては、まず、金型20のキャビティ23内に炭素繊維を含む基材を配置する(ステップS110)。この基材は、成形品の形状に対応する形状に予め成形されている。基材を配置すると、次に、金型20の型締めを行う(ステップS120)。また、図示は、省略するが、ゲートバルブピン50に形成された第1孔部58には、チューブが気密に接続される。当該チューブの先には、切替弁を介して、樹脂を貯留する樹脂貯留槽と、洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽と、エアポンプとがそれぞれ並列に接続される。切替弁は、第1孔部58が、樹脂貯留槽、洗浄液貯留槽およびエアポンプのうちの、いずれか1つのみと連通した状態、および、いずれとも連通していない状態を選択的に切り替えることができる。
【0055】
型締めを行うと、次に、キャビティ23内を真空ポンプによって吸引する(ステップS130)。吸引により、キャビティ23内は、真空状態となり、成形品への空気の混入が抑制される。
【0056】
成形品を初めて成形する際(第1サイクル)には、吸引は、ゲートバルブピン50が第2ピン位置にあり、かつ、スリーブ60が第2スリーブ位置にある状態、つまり、
図2に示した状態(樹脂供給ラインが形成された状態)において行われる。このとき、第1孔部58の上流の切替弁は、閉じられている。このため、キャビティ23に加えて、樹脂供給ライン(第1流体流路57、空間47および空間81)内も真空状態となる。一方、第2サイクル以降では、吸引は、ゲートバルブピン50が第1ピン位置にあり、かつ、スリーブ60が第2スリーブ位置にある状態、つまり、
図1に示した状態(先端部55が樹脂注入孔48を閉じた状態)において行われる。このとき、後述するステップS140によって先端部55に付着した樹脂が、樹脂注入孔48と樹脂入口25との間において、上型22から伝わる熱によって硬化するので、先端部55と上型22との間は、シールされる。このため、キャビティ23のみが真空状態となる。なお、第1流体流路57および空間45には、後述する
図6に示すように、樹脂が充填された状態となる。
【0057】
吸引を行うと、次に、第1孔部58から樹脂を供給し、樹脂供給ラインを介して、キャビティ23に樹脂を注入する(ステップS140)。
図5は、樹脂を注入している際のゲートバルブ30の状態を示す。図示するように、樹脂の注入は、ゲートバルブピン50が第2ピン位置にあり、かつ、スリーブ60が第2スリーブ位置にある状態において行われる。この状態は、樹脂供給ライン(第1流体流路57、空間47および空間81)が形成され、洗浄ライン(
図3に示した第1流体流路57、空間45および第2流体流路70)は形成されていない状態である。ステップS130において、ゲートバルブピン50が第1ピン位置にあるときには、ゲートバルブピン50は、第1ピン位置から第2ピン位置まで移動される。
図5では、樹脂供給ラインを通じて、基材PFが配置されたキャビティ23に樹脂TRが注入されている様子を示している。樹脂TRは、基材PFに含浸し、キャビティ23の全体に行き渡るまで、所要量注入される。
【0058】
樹脂TRの注入が終了すると、樹脂供給ラインは遮断される。
図6は、樹脂TRの注入が終了し、樹脂供給ラインが遮断された状態を示している。ゲートバルブピン50は、第2ピン位置から第1ピン位置に移動している。第1流体流路57および空間45には、樹脂TRが充填された状態となっている。キャビティ23に注入された樹脂TRは、上型22からの伝熱による硬化に要する時間(以下、硬化時間ともいう)だけ、キャビティ23内に放置される。
【0059】
樹脂供給ラインが遮断されると、次に、洗浄周期に達したか否かが判断される(ステップS150)。この判断は、成形品の製造を制御する制御装置によって行われる。洗浄周期は、樹脂の流通経路に滞留、または、付着した樹脂の粘度の上昇により、ゲートバルブ30の機能に支障が生じない程度の時間として、予め定められている。洗浄周期は、例えば、4時間(12サイクル)として設定することができる。ステップS150において、洗浄周期に達していれば(ステップS150:YES)、ゲートバルブ30の洗浄を行う(ステップS160)。この洗浄工程は、硬化時間中に行われる。つまり、洗浄工程は、樹脂の硬化のために待機する時間を利用して行われる。
【0060】
図7は、洗浄を行っている際のゲートバルブ30の状態を示す。図示するように、洗浄工程は、ゲートバルブピン50が第1ピン位置にあり、かつ、スリーブ60が第1スリーブ位置にある状態において行われる。この状態は、洗浄ライン(
図3に示した第1流体流路57、空間45および第2流体流路70)が形成され、樹脂供給ライン(
図2に示した第1流体流路57、空間47および空間81)は形成されていない状態である。つまり、樹脂の注入の終了によって、ゲートバルブピン50が第1ピン位置に移動された後に、スリーブ60は、第2スリーブ位置から第1スリープ位置に移動される。
図7では、形成された洗浄ラインを通じて、ゲートバルブ30の洗浄が行われている様子を示している。洗浄工程は、第1孔部58から洗浄液を供給し、洗浄ラインに洗浄液が充填された状態で、所定時間保持される。その後、第1孔部58から空気を供給し、エアブローが行われる。かかる洗浄液の充填状態の保持と、エアブローとは、複数回、繰り返し行われてもよい。
図7からも明らかなように、洗浄工程では、樹脂供給ラインの一部として利用された第1流体流路57に加えて、シール部85についても洗浄が行われる。
【0061】
洗浄が終了すると、次に、硬化時間が経過するまで待機する(ステップS170)。そして、硬化時間を経過すると(ステップS170:YES)、脱型して、成形品を取り出す(ステップS180)。こうして、1つの成形品が完成する。なお、洗浄工程を実施した場合、次のサイクルのステップS130では、上述した第1サイクルと同様に、ゲートバルブピン50が第2ピン位置にあり、かつ、スリーブ60が第2スリーブ位置にある状態で吸引が行われる。
【0062】
上述したゲートバルブ30において、樹脂入口25は、請求項の注入孔に該当する。シール部85は、請求項のシール部に該当する。空間73は、請求項の先端側部分流路に該当する。空間71は、請求項の内側部分流路に該当する。第2中径部54は、請求項の第1ピン部位に該当する。小径部53は、請求項の第2ピン部位に該当する。
【0063】
上述したゲートバルブ30によれば、ゲートバルブピン50が第1ピン位置にあり、スリーブ60が第2スリーブ位置にある状態(
図1参照)から、ゲートバルブピン50が第2ピン位置に移動することにより(
図5参照)、樹脂供給ラインからキャビティ23への樹脂の流通を許容することができる。その後、ゲートバルブピン50が第1ピン位置に移動することにより(
図6参照)、樹脂供給ラインからキャビティ23への樹脂の流通を遮断することができる。さらに、その後、スリーブ60が第1スリーブ位置に移動することにより(
図7参照)、樹脂供給ラインを遮断した状態で洗浄ラインを形成して、ゲートバルブ30を洗浄することができる。したがって、キャビティ23に供給された樹脂の硬化時間を利用して、ゲートバルブ30の洗浄を行うことができる。
【0064】
また、ゲートバルブ30によれば、洗浄ラインを利用したゲートバルブ30の洗浄が完了した後、スリーブ60が第2スリーブ位置に移動することによって洗浄ラインを遮断し(
図1参照)、その後にゲートバルブピン50が第2ピン位置に移動することにより(
図2参照)、再度、樹脂供給ラインからキャビティ23への樹脂の流通を許容することができる。つまり、樹脂供給ラインと、洗浄ラインとが同時に形成されることがないように制御することができる。その結果、洗浄ラインから樹脂供給ラインに空気が混入することを抑制できる。しかも、樹脂供給ラインを遮断する際に、樹脂供給ライン中に滞留する熱硬化樹脂が、洗浄ライン側に漏れ出すことがない。
【0065】
また、ゲートバルブ30によれば、ゲートバルブピン50の内部に樹脂の供給流路、すなわち、第1流体流路57が形成されることにより、シンプルな装置構成とすることができる。また、他の構成、例えば、樹脂の供給経路がケーシング40の内部や、ケーシング40とスリーブ60との間に形成される構成と比べて、ゲートバルブ30の外径を細径化することができる。その結果、ゲートバルブ30の中央部と外側部とを均等に冷却することができる。
【0066】
また、ゲートバルブ30によれば、スリーブ60が第2スリーブ位置にあるときに、第2流体流路70のうちの上流側(第2孔部59側)の端部(空間73)が遮断される。したがって、スリーブ60が第2スリーブ位置にあるときに樹脂注入孔48から樹脂を流通させ、その後、樹脂供給ラインを遮断した際に、樹脂が第2流体流路70に滞留することを抑制できる。つまり、樹脂供給ラインを構成する流路以外に樹脂が滞留することを抑制できる。その結果、滞留する樹脂が硬化して、ゲートバルブ30の動作に不具合を生じることを抑制できる。また、第2流体流路70に樹脂が滞留して粘度が上昇することがないので、樹脂を1回流通させるたびに洗浄を行う必要がなく、洗浄回数を低減できるとともに、樹脂の廃棄量や洗浄液の使用量を低減できる。
【0067】
また、ゲートバルブ30によれば、シール部85は、ゲートバルブピン50およびスリーブ60のうちのゲートバルブピン50側に設けられる。そして、洗浄ラインが形成された際に、シール部85が、第2流体流路70の一部分を構成する空間73に露出する(
図7参照)。つまり、シール部85のシール箇所を洗浄することができる。したがって、シール部85に付着した樹脂が硬化し、ゲートバルブピン50またはスリーブ60が移動する際に、硬化した樹脂がシール部85を損傷させ、シール性能が劣化することを抑制できる。その結果、シール部85の耐久性を向上することができる。また、シール部85の交換頻度が低減するので、工数を低減することができる。
【0068】
また、ゲートバルブ30によれば、ゲートバルブピン50とスリーブ60との間の空間71を利用して、第2流体流路70を形成できる(
図3参照)。したがって、ケーシング40内に第2流体流路70を形成するための流路を設ける場合と比べて、ゲートバルブ30を小型化することができる。具体的には、軸線OLと交わる方向のケーシング40の幅を小さくすることができる。なお、本実施例では、空間71は、ゲートバルブピン50の小径部53の径を他の部分よりも小さくすることで、空間71を形成したが、かかる構成に限るものではない。例えば、空間71の一部分は、スリーブ60の一部分の内径を他の部分よりも大きくすることで形成してもよい。こうすれば、小径部53の範囲を小さくすることができ、ゲートバルブピン50の強度が向上する。
【0069】
また、ゲートバルブ30によれば、第2中径部54と先端部55との間に傾斜部56が形成され、傾斜部56に第2孔部59が形成される。したがって、樹脂供給ラインを遮断した後に樹脂が滞留する箇所は、第1流体流路57を除けば、空間45のみとなる。空間45は、極めて小さな空間であるから、樹脂の滞留量を低減することができる。
【0070】
また、ゲートバルブ30によれば、樹脂注入孔48は、断熱部84によって形成される。したがって、樹脂注入孔48の上側においては、断熱部84がゲートバルブ30の内部への伝熱が抑制され、先端部55に付着した樹脂の硬化が抑制される。かかる効果は、断熱部84の上側に導熱部83を設けることにより、冷却流路46を流れる冷却媒体の冷却効果が促進されるので、より顕著となる。これらの構成により、先端部55と導熱部83および断熱部84との付着力が低減される。その結果、ゲートバルブピン50を第1ピン位置から第2ピン位置に好適に移動させることができる。
【0071】
また、ゲートバルブ30によれば、洗浄液を密閉系で扱うことができる。したがって、洗浄液に有機溶剤を使用する場合であっても、有機溶剤が空気に触れることを抑制でき、安全性が向上する。
【0072】
また、ゲートバルブ30によれば、スリーブ60とケーシング40との間に空間82が形成される。したがって、万一、スリーブ60とケーシング40との間に僅かな樹脂が進入し、硬化したとしても、硬化した樹脂は、スリーブ60の軸線方向ODに沿った移動によって上側に移動し、空間82に蓄積される。つまり、空間82は、硬化した樹脂のバッファとして機能する。その結果、ゲートバルブ30が空間82を有さない場合と比べて、スリーブ60とケーシング40との間に樹脂が進入することの許容度が向上する。また、硬化した樹脂を取り除くためのメンテナンス作業の頻度を低減できる。
【0073】
B.第2実施例:
図8は、本発明のゲートバルブの第2実施例としてのゲートバルブ130の概略構成を示す。
図8は、第1実施例の
図5に対応している。つまり、
図8は、樹脂がキャビティ23に注入されている際のゲートバルブ130の状態を示す。第2実施例としてのゲートバルブ130は、洗浄ラインの経路と、それに付随する構成のみが第1実施例としてのゲートバルブ30と異なり、その他の構成については、ゲートバルブ30と共通する。以下、第1実施例と異なる点についてのみ説明し、第1実施例と共通する点については、説明を省略する。
図8において、第1実施例(
図5)と同一の構成要素については、
図1と同一の符号を付している。
【0074】
ゲートバルブ130のゲートバルブピン150は、上側から下側に向かって、後端部51、中央部152、傾斜部56および先端部55を備えている。中央部152の外径は、スリーブ60の内径よりも僅かに小さく形成されている。つまり、ゲートバルブ130は、第1実施例の小径部63を備えておらず、後端部51と傾斜部56との間は、一定の径(第1実施例における第2中径部54の径)に形成されている。中央部152の下側の端部付近には、第1シール部185および第2シール部186が設けられる。第2シール部186は、第1シール部185よりも下側に設けられる。
【0075】
図8では、ゲートバルブピン150が、相対的に上側の第2ピン位置に位置し、スリーブ60が、相対的に下側の第2スリーブ位置に位置することで、第1流体流路57、空間47、空間81および樹脂注入孔48が連通し、樹脂供給ラインが形成されている。樹脂供給ラインの経路は、第1実施例と同様である。このとき、スリーブ60の下側の端面は、軸線方向ODにおいて、第1シール部185および第2シール部186よりも下側に位置する。つまり、ゲートバルブピン150とスリーブ60との間は、第1シール部185および第2シール部186によってシールされる。
【0076】
図9は、樹脂の注入が終了し、樹脂供給ラインが遮断された際のゲートバルブ130の状態を示している。
図9は、第1実施例の
図6に対応している。
図9に示すように、
図8に示した状態から、スリーブ60の位置が第2スリーブ位置に維持されたまま、ゲートバルブピン150が第2ピン位置(
図8参照)から、下側の第1ピン位置に移動している。その結果、樹脂供給ラインが遮断されている。
【0077】
図10は、洗浄を行っている際のゲートバルブ130の状態を示す。
図10は、第1実施例の
図7に対応している。
図10に示すように、
図9に示した状態と比べて、ゲートバルブピン150の位置が第1ピン位置に維持されたまま、スリーブ60は第2スリーブ位置から、上側の第1スリーブ位置に移動している。このとき、スリーブ60の下側の端面は、軸線方向ODにおいて、第2シール部186よりも上側に位置し、かつ、第1シール部185のシール箇所よりも下側に位置する。つまり、ゲートバルブピン150とスリーブ60との間は、第1シール部185および第2シール部186のうちの第1シール部185のみによってシールされる。その結果、第2シール部186は、空間73に露出する。
【0078】
また、スリーブ60が、空間82の下側の端部よりも上側に移動することによって、空間73が生じるとともに、空間73と空間82とが連通している。同様に、スリーブ60が上側に移動することによって、空間82が上側に延長され、空間82と部分流路72とが連通している。本実施例では、空間82の端部が部分流路72と連通する。これらの位置関係により、空間73、空間82および部分流路72が連通して、第2流体流路170が形成される。
図10では、第1流体流路57、空間45および第2流体流路170によって形成された洗浄ラインを利用して、ゲートバルブ130の洗浄を行っている様子を示している。
【0079】
上述したゲートバルブ130において、空間82は、請求項の外側部分流路に該当する。小径部63は、請求項のスリーブ部位に該当する。第1シール部185は、請求項の第1シール部に該当する。第2シール部186は、請求項の第2シール部に該当する。
【0080】
かかるゲートバルブ130によれば、第1実施例と同様に、成形品への空気の流入を抑制することができるとともに、硬化時間を利用して、ゲートバルブの洗浄を行うことができる。また、スリーブ60とケーシング40との空間82を利用して、第2流体流路170を形成できる。したがって、ケーシング40内に第2流体流路を形成するための流路を設ける場合と比べて、ゲートバルブ30を小型化することができる。しかも、樹脂にさらされる第2シール部186が第2流体流路170の一部分を構成する空間73に露出するので、第2シール部186のシール箇所を洗浄することができる。その結果、第2シール部186の耐久性を向上することができる。また、第2シール部186の交換頻度が低減するので、工数を低減することができる。
【0081】
C.第3実施例:
図11は、本発明のゲートバルブの第3実施例としてのゲートバルブ230の概略構成を示す。
図11は、第1実施例の
図5に対応している。つまり、
図11は、樹脂がキャビティ23に注入されている際のゲートバルブ230の状態を示す。第3実施例としてのゲートバルブ230は、樹脂供給ラインの経路と、それに付随する構成のみが第1実施例としてのゲートバルブ30と異なり、その他の構成については、ゲートバルブ30と共通する。以下、第1実施例と異なる点についてのみ説明し、第1実施例と共通する点については、説明を省略する。
図11において、第1実施例(
図5)と同一の構成要素については、
図1と同一の符号を付している。
【0082】
ゲートバルブ230のゲートバルブピン250は、傾斜部56を備えていない点が第1実施例のゲートバルブピン50と異なる。第2中径部54の下側の端部は、軸線方向ODに垂直に径が細くなり、先端部55と連結されている。換言すれば、第2中径部54の下側の端面は、導熱部83の上側の端面と平行に形成されている。また、ゲートバルブピン250は、中実に形成されている点が第1実施例のゲートバルブピン50と異なる。つまり、ゲートバルブピン250は、第1実施例としての第1流体流路57、第1孔部58および第2孔部59を有していない。
【0083】
ゲートバルブピン250のケーシング240は、その内部に第1流体流路249を備えている点が第1実施例のケーシング40と異なる。第1流体流路249は、冷却流路46の内側(ゲートバルブピン50の側)に軸線方向ODに沿って形成される。また、第1流体流路249は、第2スリーブ位置にあるスリーブ60の下方、かつ、断熱部84の上方で、軸線方向ODに交わる方向に形成され、空間47と連通している。つまり、
図11では、ゲートバルブピン250が上側の第2ピン位置に位置し、スリーブ60が下側の第2スリーブ位置に位置することで、第1流体流路57、空間47、空間81および樹脂注入孔48が連通し、樹脂供給ラインが形成されている。
【0084】
図12は、樹脂の注入が終了し、樹脂供給ラインが遮断された際のゲートバルブ230の状態を示している。
図12は、第1実施例の
図6に対応している。
図12に示すように、
図11に示した状態から、スリーブ60の位置が第2スリーブ位置に維持されたまま、ゲートバルブピン250が第2ピン位置(
図11参照)から下側の第1ピン位置に移動している。その結果、樹脂供給ラインが遮断されている。
【0085】
図13は、洗浄を行っている際のゲートバルブ230の状態を示す。
図13は、第1実施例の
図7に対応している。
図13に示すように、
図12に示した状態と比べて、ゲートバルブピン250の位置が第1ピン位置に維持されたまま、スリーブ60は第2スリーブ位置から上側の第1スリーブ位置に移動している。スリーブ60の移動に伴い、空間273が生じるとともに、空間273、空間71、貫通孔64および部分流路72が連通して、第2流体流路270が形成される。このとき、シール部85は、第1実施例と同様に、空間273に露出する。
図13では、第1流体流路249および第2流体流路170によって形成された洗浄ラインを利用して、ゲートバルブ230の洗浄を行っている様子を示している。
【0086】
上述したゲートバルブ230において、第2中径部54は、請求項の第3ピン部位に該当する。なお、第1流体流路249の一部分は、ケーシング240と、スリーブ60を構成する小径部63との間に設けてもよい。
【0087】
かかるゲートバルブ230によれば、第1実施例と同様に、成形品への空気の流入を抑制することができるとともに、硬化時間を利用して、ゲートバルブの洗浄を行うことができる。しかも、シール部85が第2流体流路270の一部分を構成する空間273に露出するので、シール部85のシール箇所を洗浄することができる。その結果、シール部85の耐久性を向上することができる。また、シール部85の交換頻度が低減するので、工数を低減することができる。
【0088】
D:変形例:
D−1.変形例1:
上述の実施例においては、第2流体流路70,170,270は、ゲートバルブピン50もしくはゲートバルブピン250と、スリーブ60との間に形成された空間、または、スリーブ60とケーシング40との間に形成された空間を利用して形成されるが、第2流体流路は、これらの空間を利用して形成されなくてもよい。例えば、ケーシングの内部に第2流体流路の大部分を占める流路(以下、主要流路ともいう)が固定的に形成され、主要流路と、スリーブ60が第2スリーブ位置から第1スリーブ位置に移動することによって生じる空間(上述の実施例では、空間73または空間273)とが連通して、第2流体流路が形成されてもよい。かかる場合、主要流路の上流側(洗浄液の流れの上流側)の端部の孔部は、軸線方向ODにおいて、シール部85(あるいは、第2シール部186)よりも上側に形成されていてもよい。かかる構成によれば、上述した実施例と同様に、シール部85(あるいは、第2シール部186)を洗浄することができる。
【0089】
D−2.変形例2:
上述の実施例では、ゲートバルブピン50,150,250と、スリーブ60とは、それぞれ独立して軸線方向ODに沿って移動できる構成としたが、両者は、任意の位置に対して独立して移動できなくてもよい。少なくとも、ゲートバルブピン50,150,250は、スリーブ60が第2スリーブ位置にあるときに、第1ピン位置および第2ピン位置に移動可能であり、スリーブ60は、ゲートバルブピン50,150,250が第1ピン位置および第2ピン位置のうちのいずれの位置にあるかに関係なく、第2スリーブ位置に移動可能な構成であればよい。
【0090】
D−3.変形例3:
上述の実施例では、スリーブ60が第2スリーブ位置にあるときに、第2流体流路70,170,270のうちの上流側の端部(上述の実施例では、空間73または空間273)が遮断される構成としたが、第2流体流路70,170,270のうちの途中が遮断される構成であってもよい。例えば、以下のような構成としてもよい。スリーブ60の中央部に、軸線方向ODに交わる方向に突出する凸部を設ける。第2流体流路は、例えば、
図11のスリーブ60の下側から、スリーブ60とケーシング40との間に軸線方向ODに沿って形成され、途中で、軸線方向ODと直行する方向に屈曲する。この屈曲点を、スリーブ60の凸部が開閉する。かかる構成としても、成形品への空気の流入を抑制することができる。また、硬化時間を利用して、ゲートバルブの洗浄を行うことができる。
【0091】
D−4.変形例4:
上述の実施例では、ゲートバルブピン50,150,250の移動をアクチュエータで実現し、スリーブ60の移動をストッパ90および空間41内の気圧の制御により実現したが、これらの移動方法は、任意に設定すればよい。例えば、ゲートバルブピン50の後端部51の外方を気密に覆い、後端部51が収容された空間内の気圧を制御して、ゲートバルブピン50を移動させてもよい。
【0092】
D−5.変形例5:
第2流体流路70,170,270は、2系統以上で構成してもよい。例えば、
図3において、第2流体流路70は、ゲートバルブピン50を挟んで両側に対称的に2系統で形成されてもよい。かかる構成とすれば、1つの第2流体流路70の断面積を小さくすることができる。その結果、ゲートバルブ30を小型化することができる。また、複数箇所から洗浄液を排出することで、洗浄液とともに樹脂を排出する効果を高めることができる。
【0093】
D−6.変形例6:
ゲートバルブ30を使用して製造する成形品は、基材と母材とを含む複合材料に限らず、基材を含まない単一材料であってもよい。また、樹脂は、エポキシ樹脂に限らず、種々の熱硬化性樹脂とすることができる。こうした熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを例示できる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、上述した各適用例の構成要素や、実施形態中の要素は、本願の課題の少なくとも一部を解決可能な態様、または、上述した各効果の少なくとも一部を奏する態様において、適宜、組み合わせ、省略、上位概念化を行うことが可能である。