特許第5747854号(P5747854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747854
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】サイズ調節バンド及びヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/08 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
   A42B3/08
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-77286(P2012-77286)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-204213(P2013-204213A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2013年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】500272347
【氏名又は名称】DICプラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】上垣 徹志
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−050021(JP,U)
【文献】 実公昭31−003811(JP,Y1)
【文献】 特開2002−181161(JP,A)
【文献】 特開平09−007268(JP,A)
【文献】 実公昭41−013134(JP,Y1)
【文献】 特開平05−250821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/08
A42B 1/22
A41F 1/00
A41F 9/02
F16H 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両保持帯のうち一方の保持帯側にある第一可動部と他方の保持帯側にある第二可動部とを互いに並べて両保持帯が互いに離間する向きと互いに接近する向きとに移動可能に支持部材に対し支持するとともに、第一可動部に設けたラックと第二可動部に設けたラックとに噛み合うピニオンを支持部材に対し回転可能に支持し、ピニオンの回転に伴い第一可動部と第二可動部とをラックを介して互いに移動させて両保持帯の間隔を調節可能にした間隔調節機構を両保持帯間に設けたサイズ調節バンドにおいて、
両保持帯が最離間した最離間状態で互いに並ぶ第一可動部及び第二可動部の一端部と、両保持帯が最接近した最接近状態で互いに並ぶ第一可動部及び第二可動部の他端部とのうち、少なくとも第一可動部及び第二可動部の他端部には、ピニオンを支える弾性部として撓み許容孔により形成された両持ち梁状ばねを設け、
第一可動部及び第二可動部のラックにおいて、第一可動部及び第二可動部の移動方向に沿って並設された各歯部で、その移動方向の両側の端に位置する一または複数の端歯部のうち、少なくとも第一可動部及び第二可動部の他端部側の端歯部における全歯たけを、その端歯部以外の中間歯部の全歯たけより小さく設定し、
前記最接近状態でラックの他端部側の端歯部に噛み合ったピニオンが、前記弾性部の弾性変形に伴う端歯部との噛み合いの解除によりラックに対し空回りし得る
ことを特徴とするサイズ調節バンド。
【請求項2】
前記第一可動部及び第二可動部の一端部にも、ピニオンを支える前記弾性部を設け、
前記第一可動部及び第二可動部の一端部側の端歯部における全歯たけも、その端歯部以外の中間歯部の全歯たけより小さく設定し、
前記最離間状態でラックの一端部側の端歯部に噛み合ったピニオンも、前記弾性部の弾性変形に伴う端歯部との噛み合いの解除によりラックに対し空回りし得る
ことを特徴とする請求項1に記載のサイズ調節バンド。
【請求項3】
前記複数の端歯部における全歯たけは、中間歯部側から最端歯部側に向うに従い次第に中間歯部の全歯たけより小さく設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサイズ調節バンド。
【請求項4】
前記複数の端歯部は、それぞれ、歯厚方向の両側の噛合面のうち、ピニオンの回転向きに対向する片側の噛合面に、ピニオンの回転向き側へ傾く逃げ面を有し、前記複数の端歯部において第一可動部及び第二可動部の移動方向に対する逃げ面の傾斜角度は、中間歯部側から最端歯部側に向うに従い次第に小さくなるように、中間歯部と最端歯部の間に位置する端歯部における逃げ面の傾斜角度θ32が35〜45°、最端歯部における逃げ面の傾斜角度θ31が25〜35°に設定されていることを特徴とする請求項3に記載のサイズ調節バンド。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一つの請求項に記載のサイズ調節バンドを帽体の頭挿入開口部に取り付け、このサイズ調節バンドの間隔調節機構を帽体の頭挿入開口部の後側に配設したことを特徴とするヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットやバッグなどの各使用に適したサイズ調節バンド、並びに、そのようなサイズ調節バンドを利用したヘルメットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9に示す従来のサイズ調節バンドにおいては、両保持帯5,6間に間隔調節機構が設けられている(例えば特許文献1を参照)。この間隔調節機構においては、一方の保持帯5側にある第一可動部7と他方の保持帯6側にある第二可動部8とが互いに並べられて両保持帯5,6が互いに離間する向きと互いに接近する向きとに移動可能に支持されているとともに、第一可動部7に設けられたラック10と第二可動部8に設けられたラック11とに噛み合うピニオン24が回転可能に支持され、ピニオン24の回転に伴い第一可動部7と第二可動部8とがラック10,11を介して互いに移動して両保持帯5,6の間隔が調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−50021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、両保持帯5,6の最接近状態Qまたは最離間状態Pで、ピニオン24に必要以上の回転力を加えると、ラック10,11とピニオン24との間の噛合部が欠損するおそれがあった。また、ラック10,11とピニオン24とを一旦組み立ててしまうと、両保持帯5,6の第一可動部7と第二可動部8との位置関係が決まるため、組み立て後にそれらの位置関係を変更することが難しくなり、組み立て時にピニオン24が両保持帯5,6間の中央に常に位置するように注意する必要があり、間隔調節機構Mの組立作業性が悪くなっていた。
【0005】
この発明は、各種用途のヘルメットなどに適したサイズ調節バンドの間隔調節機構において、ラックとピニオンとの間の噛合部の欠損を防止するとともに間隔調節機構の組立作業を容易に行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態(図1〜4に示す第1実施形態、図5〜6に示す第2実施形態、図7〜8に示す第3実施形態)の図面の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかるサイズ調節バンド(3)は、第1〜3実施形態に対応し、下記のように構成されている。
【0007】
両保持帯(5,6)間に設けた間隔調節機構(M)においては、両保持帯(5,6)のうち一方の保持帯(5)側にある第一可動部(7)と他方の保持帯(6)側にある第二可動部(8)とを互いに並べて両保持帯(5,6)が互いに離間する向きと互いに接近する向きとに移動可能に支持部材(13,14)に対し支持するとともに、第一可動部(7)に設けたラック(10)と第二可動部(8)に設けたラック(11)とに噛み合うピニオン(24)を支持部材(13,14)に対し回転可能に支持し、ピニオン(24)の回転に伴い第一可動部(7)と第二可動部(8)とをラック(10,11)を介して互いに移動させて両保持帯(5,6)の間隔を調節可能にしている。
【0008】
両保持帯(5,6)が最離間した状態(P)で互いに並ぶ第一可動部(7)及び第二可動部(8)の一端部(9c)と、両保持帯(5,6)が最接近した状態(Q)で互いに並ぶ第一可動部(7)及び第二可動部(8)の他端部(9d)とのうち、少なくとも第一可動部(7)及び第二可動部(8)の他端部(9d)には、ピニオン(24)を支える弾性部(35)として撓み許容孔(34)により形成された両持ち梁状ばね(35)を設けている。
【0009】
第一可動部(7)及び第二可動部(8)のラック(10,11)において、第一可動部(7)及び第二可動部(8)の移動方向(Y)に沿って並設された各歯部(31,32,33)で、その移動方向(Y)の両側の端に位置する一または複数の端歯部(31,32)のうち、少なくとも第一可動部(7)及び第二可動部(8)の他端部(9d)側の端歯部(31,32)における全歯たけ(H31,H32)を、その端歯部(31,32)以外の中間歯部(33)の全歯たけ(H33)より小さく設定している。
【0010】
前記最接近状態(Q)でラック(10,11)の他端部(9d)側の端歯部(31,32)に噛み合ったピニオン(24)が、弾性部(35)の弾性変形に伴う端歯部(31,32)との噛み合いの解除によりラック(10,11)に対し空回りし得る。
【0011】
請求項1の発明では、ラック(10,11)において、端歯部(31,32)の全歯たけ(H31,H32)をその端歯部(31,32)以外の中間歯部(33)の全歯たけ(H33)より小さく設定しているので、両保持帯(5,6)の最接近状態(Q)でピニオン(24)に必要以上の回転力が加わると、ピニオン(24)が弾性部(35)の弾性変形に伴いラック(10,11)に対し空回りし、ラック(10,11)とピニオン(24)との間の噛合部の欠損を防止することができる。また、両保持帯(5,6)の最接近状態(Q)でピニオン(24)を空回りさせた後に、ピニオン(24)に対する回転力を解除すると、弾性部(35)が変形前の形態に復帰してラック(10,11)がピニオン(24)と噛合した状態になるので、ピニオン(24)を空回りさせた後に逆方向に回転させれば、ピニオン(24)が両保持帯(5,6)間の中央に常に位置するようにそれらの位置関係を容易に変更することができ、ピニオン(24)に対する両保持帯(5,6)の位置を均等とすることができる。従って、組み立て時にピニオン(24)が両保持帯(5,6)間の中央に常に位置するように注意する必要がなくなり、間隔調節機構(M)の組立作業を容易に行うことができる。
【0012】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第1〜3実施形態に対応)において、前記第一可動部(7)及び第二可動部(8)の一端部(9c)にも、ピニオン(24)を支える弾性部(35)を設け、前記第一可動部(7)及び第二可動部(8)の一端部(9c)側の端歯部(31,32)における全歯たけ(H31,H32)も、その端歯部(31,32)以外の中間歯部(33)の全歯たけ(H33)より小さく設定し、前記最離間状態(P)でラック(10,11)の一端部(9c)側の端歯部(31,32)に噛み合ったピニオン(24)も、弾性部(35)の弾性変形に伴う端歯部(31,32)との噛み合いの解除によりラック(10,11)に対し空回りし得る。
【0013】
請求項2の発明では、ラック(10,11)において、端歯部(31,32)の全歯たけ(H31,H32)をその端歯部(31,32)以外の中間歯部(33)の全歯たけ(H33)より小さく設定しているので、両保持帯(5,6)の最離間状態(P)でピニオン(24)に必要以上の回転力が加わると、ピニオン(24)が弾性部(35)の弾性変形に伴いラック(10,11)に対し空回りし、ラック(10,11)とピニオン(24)との間の噛合部の欠損を防止することができる。また、両保持帯(5,6)の最離間状態(P)でピニオン(24)を空回りさせた後に、ピニオン(24)に対する回転力を解除すると、弾性部(35)が変形前の形態に復帰してラック(10,11)がピニオン(24)と噛合した状態になるので、ピニオン(24)を空回りさせた後に逆方向に回転させれば、ピニオン(24)が両保持帯(5,6)間の中央に常に位置するようにそれらの位置関係を容易に変更することができ、ピニオン(24)に対する両保持帯(5,6)の位置を均等とすることができる。従って、組み立て時にピニオン(24)が両保持帯(5,6)間の中央に常に位置するように注意する必要がなくなり、間隔調節機構(M)の組立作業を容易に行うことができる。
【0014】
下記の請求項3または請求項4の発明は、ラック(10,11)の端歯部(31,32)とピニオン(24)との噛み合いをより一層容易に解除させてピニオン(24)を空回りさせることができる。
【0016】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項の発明(第1実施形態に対応)において、前記複数の端歯部(31,32)における全歯たけ(H31,H32)は、中間歯部(33)側から最端歯部(31)側に向うに従い次第に中間歯部(33)の全歯たけ(H33)より小さく設定されている。
【0017】
請求項の発明を前提とする請求項の発明(第1実施形態に対応)において、前記複数の端歯部(31,32)は、それぞれ、歯厚方向の両側の噛合面のうち、ピニオン(24)の回転向き(L,R)に対向する片側の噛合面に、ピニオン(24)の回転向き(L,R)側へ傾く逃げ面(31a,32a)を有し、前記複数の端歯部(31,32)において第一可動部(7)及び第二可動部(8)の移動方向に対する逃げ面(31a,32a)の傾斜角度は、中間歯部(33)側から最端歯部(31)側に向うに従い次第に小さくなるように、中間歯部(33)と最端歯部(31)の間に位置する端歯部(32)における逃げ面(32a)の傾斜角度θ32が35〜45°、最端歯部(31)における逃げ面(31a)の傾斜角度θ31が25〜35°に設定されている
【0020】
請求項の発明(第1〜3実施形態に対応)にかかるヘルメット(1)においては、請求項1〜のうちいずれか一つの請求項の発明にかかるサイズ調節バンド(3)を帽体(2)の頭挿入開口部(2a)に取り付け、このサイズ調節バンド(3)の間隔調節機構(M)を帽体(2)の頭挿入開口部(2a)の後側に配設している。請求項の発明では、請求項1〜のうちいずれか一つの請求項の発明の効果をヘルメット(1)において発揮させることができる。
【0021】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項の発明を前提とする第の発明(第1〜3実施形態に対応)において、前記両持ち梁状ばね(35)は、第一可動部(7)及び第二可動部(8)の一端部(9c)または第一可動部(7)及び第二可動部(8)の他端部(9d)で、第一可動部(7)及び第二可動部(8)のラック(10,11)の端歯部(31,32)に隣接して配設されている。第の発明では、各持ち梁状ばね(35)をラック(10,11)の端歯部(31,32)に隣接して配設することにより、ラック(10,11)の端歯部(31,32)とピニオン(24)との噛み合いを容易に解除させることができる。
【0022】
の発明を前提とする第の発明(第1実施形態に対応)において、前記両持ち梁状ばね(35)は、第一可動部(7)及び第二可動部(8)のラック(10,11)の端歯部(31,32)に隣接する中間位置から、そのラック(10,11)の中間歯部(33)に隣接する端位置と、第一可動部(7)のラック(10)と第二可動部(8)のラック(11)との間に設けたピニオン相対移動溝(9)に対しピニオン(24)の相対移動方向(Y)で隣接する端位置とにわたり延設されている。第の発明では、ピニオン(24)による押圧により両持ち梁状ばね(35)を容易に撓ませることができる。
【0023】
の発明を前提とする第の発明(第2〜3実施形態に対応)において、前記両持ち梁状ばね(35)は、第一可動部(7)及び第二可動部(8)の一端部(9c)または第一可動部(7)及び第二可動部(8)の他端部(9d)で、第一可動部(7)のラック(10)と第二可動部(8)のラック(11)との間に設けたピニオン相対移動溝(9)に対しピニオン(24)の相対移動方向(Y)で隣接して配設されて、第一可動部(7)のラック(10)の端歯部(31)及び第二可動部(8)のラック(11)の端歯部(31)に隣接する位置から延設されている。第の発明では、ピニオン(24)による押圧により両持ち梁状ばね(35)を容易に撓ませることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、各種用途のヘルメット(1)などに適したサイズ調節バンド(3)において、両保持帯(5,6)の最接近状態(Q)または最離間状態(P)で、ピニオン(24)に必要以上の回転力を加えてもラック(10,11)とピニオン(24)との間の噛合部の欠損を防止することができる。また、ピニオン(24)をラック(10,11)に対し空回りさせた後に、ピニオン(24)に対する回転力の解除により、ラック(10,11)がピニオン(24)と噛合した状態に自ずと設定されるので、ピニオン(24)を空回りさせた後に逆方向に回転させれば、ピニオン(24)が両保持帯(5,6)間の中央に常に位置するようにそれらの位置関係を容易に変更することができ、ピニオン(24)に対する両保持帯(5,6)の位置を均等とすることができる。従って、組み立て時にピニオン(24)が両保持帯(5,6)間の中央に常に位置するように注意する必要がなくなり、間隔調節機構(M)の組立作業を容易に行うことができる。さらに、このサイズ調節バンド(3)をヘルメット(1)の頭保持バンドとして利用すれば、ピニオン(24)に対する両保持帯(5,6)の位置を均等とすることができるため、美観に優れ、しかも頭部へのフィット感にも優れたヘルメット(1)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(a)は第1実施形態にかかるサイズ調節バンド(頭保持バンド)を取り付けたヘルメットを示す側面図であり、(b)は(a)の部分背面図であり、(c)は(b)のA−A線部分拡大断面図であり、(d)(e)はそれぞれ(b)の一部切欠き拡大背面図である。
図2】第1実施形態にかかるサイズ調節バンドを示す分解斜視図である。
図3】(a)は第1実施形態にかかるサイズ調節バンドにおいて間隔調節機構の最離間状態を示す一部切欠き背面図であり、(b)は(a)の一部切欠き拡大背面図であり、(c)は(b)でピニオンの空回り可能状態を示す一部切欠き拡大背面図である。
図4】(a)は第1実施形態にかかるサイズ調節バンドにおいて間隔調節機構の最接近状態を示す一部切欠き背面図であり、(b)は(a)の一部切欠き拡大背面図であり、(c)は(b)でピニオンの空回り可能状態を示す一部切欠き拡大背面図である。
図5】(a)は第2実施形態にかかるサイズ調節バンドにおいて間隔調節機構の最離間状態を示す一部切欠き背面図であり、(b)は(a)の一部切欠き拡大背面図であり、(c)は(b)でピニオンの空回り可能状態を示す一部切欠き拡大背面図である。
図6】(a)は第2実施形態にかかるサイズ調節バンドにおいて間隔調節機構の最接近状態を示す一部切欠き背面図であり、(b)は(a)の一部切欠き拡大背面図であり、(c)は(b)でピニオンの空回り可能状態を示す一部切欠き拡大背面図である。
図7】(a)は第3実施形態にかかるサイズ調節バンドにおいて間隔調節機構の最離間状態を示す一部切欠き背面図であり、(b)は(a)の一部切欠き拡大背面図であり、(c)は(b)でピニオンの空回り可能状態を示す一部切欠き拡大背面図である。
図8】(a)は第3実施形態にかかるサイズ調節バンドにおいて間隔調節機構の最接近状態を示す一部切欠き背面図であり、(b)は(a)の一部切欠き拡大背面図であり、(c)は(b)でピニオンの空回り可能状態を示す一部切欠き拡大背面図である。
図9】(a)は従来のサイズ調節バンドにおいて間隔調節機構の最離間状態を示す一部切欠き背面図であり、(b)は従来のサイズ調節バンドにおいて間隔調節機構の最接近状態を示す一部切欠き背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、本発明の第1実施形態にかかるサイズ調節バンドを取り付けたヘルメットについて図1〜4を参照して説明する。
図1(a)に示すヘルメット1において、帽体2の下側に設けられた頭挿入開口部2aには、頭部の外周に保持される頭保持バンド3(サイズ調節バンド)が取り付けられているとともに、頭部の左右両側で顎に保持される顎保持バンド4が取り付けられている。頭保持バンド3は、図1(b)に示すように、左右両側の保持帯5,6を有している。帽体2の頭挿入開口部2aの後側で左右両側の保持帯5,6間には図1(b)及び図2に示す間隔調節機構Mが配設されている。ちなみに、頭保持バンド3の保持帯5,6や顎保持バンド4の材質については、比較的容易に撓む性質を持っていれば特に限定されるものではないため、樹脂一般を採用することができる。特に、ポリエチレンやポリアセタールやナイロンなどが望ましい。また、ポリエチレンを採用する場合には、高密度ポリエチレンが耐摩耗性及び形状復元性のバランスからみてより望ましい。
【0027】
この間隔調節機構Mを詳述する。
左側の保持帯5に対し連続して一体に形成された左側の可動部7(第一可動部)と、右側の保持帯6に対し連続して一体に形成された右側の可動部8(第二可動部)とには、それぞれ、保持帯5,6の長手方向に沿って長孔9が前後方向Xへ貫設されている。それらの可動部7,8の長孔9は、それぞれ、上下方向Zで互いに相対向する上縁部9a及び下縁部9bと、左右方向Yで互いに相対向する一端縁部9c(一端部)及び他端縁部9d(他端部)とにより囲まれて細長い環状に形成されている。左側の長孔9において下縁部9bに対しほぼ平行に延びる上縁部9aにはラック10が一端縁部9cと他端縁部9dとの間で形成されている。右側の長孔9において上縁部9aに対しほぼ平行に延びる下縁部9bにはラック11が一端縁部9cと他端縁部9dとの間で形成されている。
【0028】
支持部材としてのケース12は、帽体2の頭挿入開口部2a側(前側)に配設された台部材13と、その台部材13の外側(後側)に被せられる蓋部材14とからなる。台部材13の外側で左右方向Yの中央部には筒壁16で囲まれた円筒状の支持筒部15が形成されている。筒壁16の左右両側には左側の可動部7及び右側の可動部8が挿入される開口16aが形成されている。図2に示すように、それらの開口16aから支持筒部15内に挿入された左側の可動部7と右側の可動部8とは前後方向Xで互いに重合して並ぶ。支持筒部15内にはそれらの可動部7,8より後方で係止歯17が円周方向全体に形成されている。また、蓋部材14には支持筒部15が嵌め込まれる円形状の窓孔18が形成されている。
【0029】
摘み19の内側(前側)には中心軸20の外周で4個の係止突起21,22が周方向へ90度の等間隔で配設されている。ピニオン24と係止板25とが一体に形成された回転部材23の中心孔26が摘み19の内側で中心軸20に挿嵌されている。図1(d)に示すように、係止板25には中心孔26の外周で4個の係止孔27,28が周方向へ90度の等間隔で配設されている。摘み19の各係止突起21,22はそれぞれ係止板25の各係止孔27,28に係入されている。各係止孔27,28のうち180度の間隔の両係止孔28が切り欠かれて弾性を有する片持ち梁状の係止腕29が形成され、その両係止腕29の外周には爪部30が形成されている。摘み19に支持された回転部材23は蓋部材14の窓孔18から支持筒部15内に挿入され、回転部材23のピニオン24が左側の可動部7の長孔9及び右側の可動部8の長孔9に嵌め込まれてそれらのラック10,11に噛み合っているとともに、回転部材23の係止板25が支持筒部15の内側に嵌め込まれて両係止腕29の爪部30が係止歯17に係止可能に面している。摘み19は蓋部材14に対し窓孔18を塞ぐように回転可能に支持されている。なお、ピニオン24の材質については、樹脂一般を採用することができる。特に、前述した頭保持バンド3の保持帯5,6の材質と同等かそれ以上の剛性を持ち、耐摩耗性に優れていることが必要なことから、ポリアセタールやナイロンなどが望ましい。
【0030】
図1(d)に示すように爪部30が係止歯17に係止されている回り止め状態で、摘み19を右向きRに回転させることができる。摘み19を右向きRに回転させると、摘み19の係止突起21が係止板25を押して回転部材23もピニオン24とともに右向きRに回転する。従って、左側の可動部7と右側の可動部8とがラック10,11を介して互いに移動するため、左側の保持帯5と右側の保持帯6とが互いに接近する向きに移動して両保持帯5,6の間隔を狭くするように調節することができる。
【0031】
図1(d)に示すように爪部30が係止歯17に係止されている回り止め状態で、摘み19を左向きLに回転させると、図1(e)に示すように摘み19の係止突起22が係止腕29を押して、係止歯17に対する爪部30の係止を解除するとともに、摘み19の係止突起21,22が係止板25を押して回転部材23もピニオン24とともに左向きLに回転する。従って、左側の可動部7と右側の可動部8とがラック10,11を介して互いに移動するため、左側の保持帯5と右側の保持帯6とが互いに離間する向きに移動して両保持帯5,6の間隔を広くするように調節することができる。
【0032】
図3(a)(b)に示すように、左側のラック10及び右側のラック11において、長孔9の一端縁部9cに隣接して互いに並ぶ二本の端歯部31,32の全歯たけH31,H32と、長孔9の他端縁部9dに隣接して互いに並ぶ二本の端歯部31,32の全歯たけH31,H32とは、一端縁部9c側の両端歯部31,32と他端縁部9d側の両端歯部31,32との間の複数本の中間歯部33の全歯たけH33より小さく設定されている。しかも、これらの両端歯部31,32における全歯たけH31,H32は中間歯部33側から一端縁部9c側または他端縁部9d側に向うに従い次第に小さく設定され、最端歯部31の全歯たけH31がそれに並ぶ端歯部32の全歯たけH32より小さく設定されている。また、これらの両端歯部31,32は、それぞれ、歯厚方向の両側の噛合面のうち、図3(a)(b)に示す最離間状態Pにおけるピニオン24の回転向きLに対向する片側の噛合面、または、図4(a)(b)に示す最接近状態Qにおけるピニオン24の回転向きRに対向する片側の噛合面に、ピニオン24の回転向きL,R側へ傾く逃げ面31a,32aを有している。左側の可動部7及び右側の可動部8の移動方向Yに対する逃げ面31a,32aの傾斜角度θ31,θ32は、中間歯部33側から一端縁部9c側または他端縁部9d側に向うに従い次第に小さく設定され、最端歯部31の逃げ面31aの傾斜角度θ31がそれに並ぶ端歯部32の逃げ面32aの傾斜角度θ32より小さく設定されている。
【0033】
左側の可動部7における長孔9の一端縁部9c及び他端縁部9dと、右側の可動部8における長孔9の一端縁部9c及び他端縁部9dとには、それぞれ、撓み許容孔34により形成された両持ち梁状ばね35(弾性部)がラック10,11の両端歯部31,32に隣接して配設されている。両持ち梁状ばね35は、ラック10,11の両端歯部31,32に隣接する中間位置から、そのラック10,11の中間歯部33に隣接する端位置と、左側のラック10と右側のラック11との間の長孔9(ピニオン相対移動溝)に対しピニオン24の相対移動方向Yで隣接する端位置とにわたり延設されている。
【0034】
ちなみに、ピニオン24とラック10,11との噛合代を少なくした方が、ピニオン24がラック10,11に対してよりスムーズに空回りするため、端歯部31,32の全歯たけH31,H32は中間歯部33の全歯たけH33より小さいことが好ましいが、一方、ピニオン24を逆回転させた際に、ピニオン24が端歯部31,32に確実に噛合するためには、適切な全歯たけH31,H32を端歯部31,32に設定する必要がある。また、ラック10,11の端歯部31,32においてピニオン24が噛合する逃げ面31a,32aの傾斜角度θ31,θ32を緩やかにした方が、ピニオン24がラック10,11に対してよりスムーズに空回りするため、その逃げ面31a,32aの傾斜角度θ31,θ32を緩やかにした方が好ましい。一方、ピニオン24を逆回転させた際に、ピニオン24が端歯部31,32に確実に噛合するためには、ピニオン24が噛合する端歯部31,32の逃げ面31a,32aの傾斜角度θ31,θ32は、中間歯部33と同じ傾斜角度に設定する必要がある。具体的には、H31(≦H32)=0.5〜0.7×H33、θ31(≦θ32)=25〜35°、H32(≧H31)=0.7〜0.9×H33、θ32(≧θ31)=35〜45°に設定することが好ましい。なお、両持ち梁状ばね35の長手方向に沿う撓み許容孔34の長手方向距離については、両持ち梁状ばね35が確実に撓み、ピニオン24に対する回転力を解除した際に確実に復元するように、端歯部31,32の歯底から撓み許容孔34までの距離の8〜13倍に設定し、最端歯部31は撓み許容孔34の長手方向中央位置に配置し、撓み許容孔34の端位置は中間歯部33の真下まで達していることが好ましい。また、撓み許容孔34の幅方向距離≧H31に設定することが好ましい。
【0035】
次に、この間隔調節機構Mの作用について説明する。
図3(a)(b)に示すように、左側の保持帯5と右側の保持帯6とが最離間した状態Pでは、ピニオン24がこれらの可動部7,8における長孔9の一端縁部9cに位置する。その最離間状態Pで、摘み19をさらに左向きLに回転させると、図3(c)に示すように、ラック10,11の一端部側の両端歯部31,32に噛み合ったピニオン24が、両持ち梁状ばね35の弾性変形に伴う両端歯部31,32との噛み合いの解除によりラック10,11に対し空回りする。その後、ピニオン24に対する回転力を解除すると、両持ち梁状ばね35が変形前の形態に復帰してラック10,11がピニオン24と噛合した状態になる。
【0036】
図4(a)(b)に示すように、左側の保持帯5と右側の保持帯6とが最接近した状態Qでは、ピニオン24がこれらの可動部7,8における長孔9の他端縁部9dに位置する。その最接近状態Qで、摘み19をさらに右向きRに回転させると、図4(c)に示すように、ラック10,11の他端部側の両端歯部31,32に噛み合ったピニオン24が、両持ち梁状ばね35の弾性変形に伴う両端歯部31,32との噛み合いの解除によりラック10,11に対し空回りする。その後、ピニオン24に対する回転力を解除すると、両持ち梁状ばね35が変形前の形態に復帰してラック10,11がピニオン24と噛合した状態になる。
【0037】
ちなみに、左右両保持帯5,6がピニオン24に対し左右不均等に組立ててあると、ピニオン24に対し一方の保持帯5の端部(左右両可動部7,8の一端縁部9cまたは他端縁部9d)が到達するタイミングと他方の保持帯6の端部(左右両可動部7,8の一端縁部9cまたは他端縁部9d)が到達するタイミングとが互いにずれるが、左右両保持帯5,6の端部(一端縁部9cまたは他端縁部9d)のうちピニオン24に対し先に到達した端部でピニオン24が空回りを続けているうちに、別の端部がピニオン24に到達するため、左右両保持帯5,6がピニオン24に対し左右均等に組付けられた状態になる。その後は、ピニオン24を左右のどちらに回転させても、その状態は保持される。よって、ピニオン24に対する左右両保持帯5,6の位置関係がずれて組み立てられたとしても、ピニオン24を一度空回りさせることにより、ピニオン24に対する左右両保持帯5,6の位置を左右均等とすることができる。
【0038】
次に、図5〜6に示す第2実施形態にかかるサイズ調節バンドを取り付けたヘルメットについては、両持ち梁状ばね35及び撓み許容孔34を変更した点で、第1実施形態と主に下記のように異なる。両持ち梁状ばね35及び撓み許容孔34は、左側の可動部7及び右側の可動部8の一端縁部9c、並びに、左側の可動部7及び右側の可動部8の他端縁部9dでそれぞれ、左側のラック10と右側のラック11との間の長孔9に対しピニオン24の相対移動方向(左右方向Y)で隣接して配設されて、左側のラック10の端歯部31及び右側のラック11の端歯部31に隣接する位置から下縁部9bまたは上縁部9aまで延設されている。ちなみに、ピニオン24とラック10,11との噛合代を少なくした方が、ピニオン24がラック10,11に対してよりスムーズに空回りするため、最端歯部31の全歯たけH31は中間歯部33の全歯たけH33より小さいことが好ましいが、一方、ピニオン24を逆回転させた際に、ピニオン24が最端歯部31に確実に噛合するためには、適切な全歯たけH31を最端歯部31に設定する必要がある。また、ラック10,11の最端歯部31においてピニオン24が噛合する逃げ面31aの傾斜角度θ31を緩やかにした方が、ピニオン24がラック10,11に対してよりスムーズに空回りするため、その逃げ面31aの傾斜角度θ31を緩やかにした方が好ましい。一方、ピニオン24を逆回転させた際に、ピニオン24が最端歯部31に確実に噛合するためには、ピニオン24が噛合する最端歯部31の逃げ面31aの傾斜角度θ31は、中間歯部33と同じ傾斜角度に設定する必要がある。具体的には、H31=0.7〜0.9×H33、θ31=35〜45°に設定することが好ましい。なお、両持ち梁状ばね35の長手方向に沿う撓み許容孔34の長手方向距離については、両持ち梁状ばね35が確実に撓み、ピニオン24に対する回転力を解除した際に確実に復元するように、両持ち梁状ばね35の幅方向距離の8〜13倍に設定し、また、ピニオン24が空回りする状態まで両持ち梁状ばね35が撓むためには、撓み許容孔34の幅方向距離は端歯部31の歯元の歯厚方向距離と端歯部31に隣接する歯底の歯厚方向距離との和の0.5倍以上に設定することが好ましい。
【0039】
また、図7〜8に示す第3実施形態にかかるサイズ調節バンドを取り付けたヘルメットについては、撓み許容孔34の幅方向距離を大きくして撓み易くした点で、第2実施形態と主に異なる。
【0040】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) 第1実施形態にかかるヘルメット1の頭保持バンド3の間隔調節機構Mにおいて、ラック10,11の端歯部31,32の全歯たけH31,H32をその端歯部31,32以外の中間歯部33の全歯たけH33より小さく設定したので、頭保持バンド3の左右両保持帯5,6の最接近状態Qまたは最離間状態Pで、ピニオン24に必要以上の回転力が加わると、ピニオン24を両持ち梁状ばね35の弾性変形に伴いラック10,11に対し空回りさせることができる。また、その端歯部31,32は、それぞれ、逃げ面31a,32aを有しているので、ラック10,11の端歯部31,32とピニオン24との噛み合いをより一層容易に解除させてピニオン24を空回りさせることができる。従って、ラック10,11とピニオン24との間の噛合部の欠損を防止することができる。なお、一本の最端歯部31のみを有する第2〜3実施形態も、第1実施形態と同様に、ピニオン24を両持ち梁状ばね35の弾性変形に伴いラック10,11に対し空回りさせて、ラック10,11とピニオン24との間の噛合部の欠損を防止することができる。
【0041】
(2) 第1実施形態において、端歯部31,32の全歯たけH31,H32は、中間歯部33側から最端歯部31側に向うに従い次第に中間歯部33の全歯たけH33より小さく設定されているとともに、端歯部31,32の逃げ面31a,32aの傾斜角度θ31,θ32は、中間歯部33側から最端歯部31側に向うに従い次第に小さく設定されている。従って、ラック10,11の端歯部31,32とピニオン24との噛み合いをより一層容易に解除させてピニオン24を空回りさせることができる。なお、一本の最端歯部31のみを有する第2〜3実施形態も、第1実施形態と同様に、ラック10,11の最端歯部31とピニオン24との噛み合いをより一層容易に解除させてピニオン24を空回りさせることができる。
【0042】
(3) 第1〜3実施形態にかかるヘルメット1の頭保持バンド3の間隔調節機構Mにおいて、左右両保持帯5,6の最接近状態Qまたは最離間状態Pでピニオン24を空回りさせた後に、ピニオン24に対する回転力を解除すると、ラック10,11が両持ち梁状ばね35の変形前の形態に復帰してピニオン24と噛合した状態になる。そのため、ラック10,11とピニオン24とを一旦組み立てた後に、左右両保持帯5,6の最接近状態Qまたは最離間状態Pでピニオン24を空回りさせ、その後、ピニオン24を逆方向に回転させれば、ピニオン24に対する左右両保持帯5,6の位置を左右均等とすることができる。従って、組み立て時にピニオン24が左右両保持帯5,6間の中央に常に位置するように注意する必要がなくなり、間隔調節機構Mの組立作業を容易に行うことができる。
【0043】
(4) 第1〜3実施形態において、ピニオン24の空回りを許容する弾性部を両持ち梁状ばね35としたので、弾性部を容易に形成することができる。
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
【0044】
・ 第1〜3実施形態において、第一可動部7及び第二可動部8の一端縁部9c側に設けた両持ち梁状ばね35を省略するとともに、第一可動部7及び第二可動部8の一端縁部9c側に設けた端歯部31,32における全歯たけH31,H32をその端歯部31,32以外の中間歯部33の全歯たけH33と同一にしてもよい。従って、最離間状態Pでラック10,11の一端縁部9c側の端歯部31,32に噛み合ったピニオン24は空回りせず、最接近状態Qでラック10,11の他端縁部9d側の端歯部31,32に噛み合ったピニオン24のみが、両持ち梁状ばね35の弾性変形に伴う端歯部31,32との噛み合いの解除によりラック10,11に対し空回りし得るようにしてもよい。
【0045】
・ 第1〜3実施形態において、弾性部としては両持ち梁状ばね35以外に片持ち梁状ばねを採用してもよい。
・ 第1実施形態において、逃げ面31a,32aを省略してもよい。また、第2〜3実施形態において、逃げ面31aを省略してもよい。
【0046】
・ 第1実施形態において、端歯部31,32の全歯たけH31,H32を互いに同一にしてもよい。
・ 第1実施形態において、端歯部31,32の逃げ面31a,32aの傾斜角度θ31,θ32を互いに同一にしてもよい。
【0047】
・ 第1実施形態において、端歯部31,32の全歯たけと中間歯部33の全歯たけとを同一にし、端歯部31,32にのみ逃げ面31a,32aを設けてもよい。また、第2〜3実施形態において、最端歯部31の全歯たけと中間歯部33の全歯たけとを同一にし、最端歯部31にのみ逃げ面31aを設けてもよい。
【0048】
・ 第1実施形態において複数の端歯部として二本以外に三本以上設けてもよい。
・ ヘルメット1以外の各種の用途にサイズ調節バンドを採用することができる。
【符号の説明】
【0049】
M…間隔調節機構、1…ヘルメット、2…帽体、2a…頭挿入開口部、3…頭保持バンド(サイズ調節バンド)、5,6…保持帯、7,8…可動部、10,11…ラック、13…台部材(支持部材)、14…蓋部材(支持部材)、24…ピニオン、31…端歯部(最端歯部)、31a…逃げ面、32…端歯部、32a…逃げ面、33…中間歯部、34…撓み許容孔、35…両持ち梁状ばね(弾性部)、P…最離間状態、Q…最接近状態、H31,H32…端歯部の全歯たけ、H33…中間歯部の全歯たけ、θ31,θ32…逃げ面の傾斜角度、L,R…ピニオンの回転向き、Y…可動部の移動方向。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9