【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態(
図1〜4に示す第1実施形態、
図5〜6に示す第2実施形態、
図7〜8に示す第3実施形態)の図面の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかるサイズ調節バンド(3)は、第1〜3実施形態に対応し、下記のように構成されている。
【0007】
両保持帯(5,6)間に設けた間隔調節機構(M)においては、両保持帯(5,6)のうち一方の保持帯(5)側にある第一可動部(7)と他方の保持帯(6)側にある第二可動部(8)とを互いに並べて両保持帯(5,6)が互いに離間する向きと互いに接近する向きとに移動可能に支持部材(13,14)に対し支持するとともに、第一可動部(7)に設けたラック(10)と第二可動部(8)に設けたラック(11)とに噛み合うピニオン(24)を支持部材(13,14)に対し回転可能に支持し、ピニオン(24)の回転に伴い第一可動部(7)と第二可動部(8)とをラック(10,11)を介して互いに移動させて両保持帯(5,6)の間隔を調節可能にしている。
【0008】
両保持帯(5,6)が最離間した状態(P)で互いに並ぶ第一可動部(7)及び第二可動部(8)の一端部(9c)と、両保持帯(5,6)が最接近した状態(Q)で互いに並ぶ第一可動部(7)及び第二可動部(8)の他端部(9d)とのうち、少なくとも第一可動部(7)及び第二可動部(8)の他端部(9d)には、ピニオン(24)を支える弾性部(35)
として撓み許容孔(34)により形成された両持ち梁状ばね(35)を設けている。
【0009】
第一可動部(7)及び第二可動部(8)のラック(10,11)において、第一可動部(7)及び第二可動部(8)の移動方向(Y)に沿って並設された各歯部(31,32,33)で、その移動方向(Y)の両側の端に位置する一または複数の端歯部(31,32)のうち、少なくとも第一可動部(7)及び第二可動部(8)の他端部(9d)側の端歯部(31,32)における全歯たけ(H31,H32)を、その端歯部(31,32)以外の中間歯部(33)の全歯たけ(H33)より小さく設定している。
【0010】
前記最接近状態(Q)でラック(10,11)の他端部(9d)側の端歯部(31,32)に噛み合ったピニオン(24)が、弾性部(35)の弾性変形に伴う端歯部(31,32)との噛み合いの解除によりラック(10,11)に対し空回りし得る。
【0011】
請求項1の発明では、ラック(10,11)において、端歯部(31,32)の全歯たけ(H31,H32)をその端歯部(31,32)以外の中間歯部(33)の全歯たけ(H33)より小さく設定しているので、両保持帯(5,6)の最接近状態(Q)でピニオン(24)に必要以上の回転力が加わると、ピニオン(24)が弾性部(35)の弾性変形に伴いラック(10,11)に対し空回りし、ラック(10,11)とピニオン(24)との間の噛合部の欠損を防止することができる。また、両保持帯(5,6)の最接近状態(Q)でピニオン(24)を空回りさせた後に、ピニオン(24)に対する回転力を解除すると、弾性部(35)が変形前の形態に復帰してラック(10,11)がピニオン(24)と噛合した状態になるので、ピニオン(24)を空回りさせた後に逆方向に回転させれば、ピニオン(24)が両保持帯(5,6)間の中央に常に位置するようにそれらの位置関係を容易に変更することができ、ピニオン(24)に対する両保持帯(5,6)の位置を均等とすることができる。従って、組み立て時にピニオン(24)が両保持帯(5,6)間の中央に常に位置するように注意する必要がなくなり、間隔調節機構(M)の組立作業を容易に行うことができる。
【0012】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第1〜3実施形態に対応)において、前記第一可動部(7)及び第二可動部(8)の一端部(9c)にも、ピニオン(24)を支える弾性部(35)を設け、前記第一可動部(7)及び第二可動部(8)の一端部(9c)側の端歯部(31,32)における全歯たけ(H31,H32)も、その端歯部(31,32)以外の中間歯部(33)の全歯たけ(H33)より小さく設定し、前記最離間状態(P)でラック(10,11)の一端部(9c)側の端歯部(31,32)に噛み合ったピニオン(24)も、弾性部(35)の弾性変形に伴う端歯部(31,32)との噛み合いの解除によりラック(10,11)に対し空回りし得る。
【0013】
請求項2の発明では、ラック(10,11)において、端歯部(31,32)の全歯たけ(H31,H32)をその端歯部(31,32)以外の中間歯部(33)の全歯たけ(H33)より小さく設定しているので、両保持帯(5,6)の最離間状態(P)でピニオン(24)に必要以上の回転力が加わると、ピニオン(24)が弾性部(35)の弾性変形に伴いラック(10,11)に対し空回りし、ラック(10,11)とピニオン(24)との間の噛合部の欠損を防止することができる。また、両保持帯(5,6)の最離間状態(P)でピニオン(24)を空回りさせた後に、ピニオン(24)に対する回転力を解除すると、弾性部(35)が変形前の形態に復帰してラック(10,11)がピニオン(24)と噛合した状態になるので、ピニオン(24)を空回りさせた後に逆方向に回転させれば、ピニオン(24)が両保持帯(5,6)間の中央に常に位置するようにそれらの位置関係を容易に変更することができ、ピニオン(24)に対する両保持帯(5,6)の位置を均等とすることができる。従って、組み立て時にピニオン(24)が両保持帯(5,6)間の中央に常に位置するように注意する必要がなくなり、間隔調節機構(M)の組立作業を容易に行うことができる。
【0014】
下記の請求項3
または請求項4の発明は、ラック(10,11)の端歯部(31,32)とピニオン(24)との噛み合いをより一層容易に解除させてピニオン(24)を空回りさせることができる。
【0016】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項
3の発明(第1実施形態に対応)において、前記複数の端歯部(31,32)における全歯たけ(H31,H32)は、中間歯部(33)側から最端歯部(31)側に向うに従い次第に中間歯部(33)の全歯たけ(H33)より小さく設定されている。
【0017】
請求項
3の発明を前提とする請求項
4の発明(第1実施形態に対応)において、前記複数の端歯部(31,32)は、それぞれ、歯厚方向の両側の噛合面のうち、ピニオン(24)の回転向き(L,R)に対向する片側の噛合面に、ピニオン(24)の回転向き(L,R)側へ傾く逃げ面(31a,32a)を有し
、前記複数の端歯部(31,32)において第一可動部(7)及び第二可動部(8)の移動方向に対する逃げ面(31a,32a)の傾斜角度は、中間歯部(33)側から最端歯部(31)側に向うに従い次第に小さくなるように、中間歯部(33)と最端歯部(31)の間に位置する端歯部(32)における逃げ面(32a)の傾斜角度θ32が35〜45°、最端歯部(31)における逃げ面(31a)の傾斜角度θ31が25〜35°に設定されている。
【0020】
請求項
5の発明(第1〜3実施形態に対応)にかかるヘルメット(1)においては、請求項1〜
4のうちいずれか一つの請求項の発明にかかるサイズ調節バンド(3)を帽体(2)の頭挿入開口部(2a)に取り付け、このサイズ調節バンド(3)の間隔調節機構(M)を帽体(2)の頭挿入開口部(2a)の後側に配設している。請求項
5の発明では、請求項1〜
4のうちいずれか一つの請求項の発明の効果をヘルメット(1)において発揮させることができる。
【0021】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項
1の発明を前提とする第
6の発明(第1〜3実施形態に対応)において、前記両持ち梁状ばね(35)は、第一可動部(7)及び第二可動部(8)の一端部(9c)または第一可動部(7)及び第二可動部(8)の他端部(9d)で、第一可動部(7)及び第二可動部(8)のラック(10,11)の端歯部(31,32)に隣接して配設されている。第
6の発明では、各
両持ち梁状ばね(35)をラック(10,11)の端歯部(31,32)に隣接して配設することにより、ラック(10,11)の端歯部(31,32)とピニオン(24)との噛み合いを容易に解除させることができる。
【0022】
第
6の発明を前提とする第
7の発明(第1実施形態に対応)において、前記両持ち梁状ばね(35)は、第一可動部(7)及び第二可動部(8)のラック(10,11)の端歯部(31,32)に隣接する中間位置から、そのラック(10,11)の中間歯部(33)に隣接する端位置と、第一可動部(7)のラック(10)と第二可動部(8)のラック(11)との間に設けたピニオン相対移動溝(9)に対しピニオン(24)の相対移動方向(Y)で隣接する端位置とにわたり延設されている。第
7の発明では、ピニオン(24)による押圧により両持ち梁状ばね(35)を容易に撓ませることができる。
【0023】
第
6の発明を前提とする第
8の発明(第2〜3実施形態に対応)において、前記両持ち梁状ばね(35)は、第一可動部(7)及び第二可動部(8)の一端部(9c)または第一可動部(7)及び第二可動部(8)の他端部(9d)で、第一可動部(7)のラック(10)と第二可動部(8)のラック(11)との間に設けたピニオン相対移動溝(9)に対しピニオン(24)の相対移動方向(Y)で隣接して配設されて、第一可動部(7)のラック(10)の端歯部(31)及び第二可動部(8)のラック(11)の端歯部(31)に隣接する位置から延設されている。第
8の発明では、ピニオン(24)による押圧により両持ち梁状ばね(35)を容易に撓ませることができる。