(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凹部(2206)は、前記Dカット穴部の平面部に対して前記回転方向に前記所定角度をなす径方向線(L)上において、複数の前記特定箇所に開口することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料ポンプ。
前記インペラ(20,2020)は、前記回転方向に沿って複数並ぶ羽根溝(202)により前記燃料を昇圧し、それら羽根溝よりも径方向内側に位置する前記特定箇所に、前記凹部(206,2206)が開口することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
前記インペラ(3020)は、前記回転方向に沿って複数並ぶ羽根溝(202)により前記燃料を昇圧し、それら羽根溝よりも径方向外側に位置する前記特定箇所に、前記凹部(3206)が開口することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータのモータ軸と共にインペラを一定の回転方向に回転駆動することで、燃料を昇圧する燃料ポンプが、知られている。
【0003】
例えば特許文献1に開示の燃料ポンプでは、内部にインペラを収容したケーシングにおいて当該インペラを軸方向に挟む両側には、吸入口を形成する吸入側収容壁部と、吐出口を形成する吐出側収容壁部とが、それぞれ設けられている。これにより、吸入口を通じて吸入される燃料は、吸入側収容壁部及び吐出側収容壁部の間においてインペラにより昇圧され、吐出口を通じて外部に吐出されることとなる。
【0004】
また、特許文献1に開示の燃料ポンプにおいてインペラの少なくとも裏面部、即ち吸入側収容壁部と軸方向に対向する裏面部には、回転方向に並ぶ複数の凹部が開口している。これによりインペラの回転駆動中は、各凹部内に流入する燃料の圧力により裏面部が吐出側収容壁部から離間することで、インペラ及びケーシング間の摺動抵抗を低減することが可能となるのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、特許文献1に開示の燃料ポンプでは、モータ軸のDカット軸部がインペラのDカット穴部に嵌合することで、それらモータ軸及びインペラが共に回転可能となっている。このような嵌合構造下、Dカット穴部がテーパ状等を呈している場合、回転駆動中のインペラは、軸方向に対して傾き易くなる。
【0007】
そこで、本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、Dカット穴部の平面部に対して所定角度をなす特定箇所が吸入側収容壁部へと接近するように、インペラの傾きが生じることを、知見したのである。故に、特許文献1に開示の燃料ポンプでは、Dカット穴部が製品仕様として又は製造公差に起因してテーパ状等になっていると、傾いたインペラ裏面部のうち吸入側収容壁部への接近箇所が当該吸入側収容壁部と接触して、摺動抵抗を発生させ易くなる。こうした摺動抵抗の発生は、電動モータの駆動電流を増大させることに繋がるため、望ましくない。
【0008】
本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、電動モータの駆動電流を低減する燃料ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、Dカット軸部(504)を有するモータ軸(501)を、一定の回転方向(R)に回転駆動する電動モータ(4)と、Dカット軸部と軸方向に嵌合するDカット穴部(204)を有し、モータ軸と共に回転方向に回転駆動されることにより燃料を昇圧するインペラ(20,2020,3020)と、内部に収容したインペラを軸方向に挟む両側にそれぞれ、吸入口(120)を形成する吸入側収容壁部(12)と、吐出口(144)を形成する吐出側収容壁部(14)とを有するケーシング(10)を、備え、吸入口を通じて吸入される燃料を、吸入側収容壁部及び吐出側収容壁部の間においてインペラにより昇圧し、吐出口を通じて外部に吐出する燃料ポンプであって、インペラは、吸入側収容壁部と軸方向に対向する吸入側対向面部(200)を有し、吸入側対向面部において回転駆動中のインペラの傾きにより吸入側収容壁部と接近する箇所は、Dカット穴部の平面部(204b)に対して回転方向に所定角度(θ)をなす特定箇所(S)であり、当該特定箇所に限定して凹部(206,2206,3206)が開口することを特徴とする。
【0010】
このような本発明では、モータ軸のDカット軸部とインペラのDカット穴部とが軸方向に嵌合することで、それらモータ軸及びインペラが共に回転可能となっている。このような嵌合構造下、インペラにおいて吸入側収容壁部と軸方向に対向する吸入側対向面部では、Dカット穴部の平面部に対して回転方向に所定角度をなす特定箇所が、回転駆動中のインペラの傾きにより当該吸入側収容壁部と接近する。しかし、インペラの回転駆動中に、高圧の吐出口側から低圧の吸入口側へと流れ込む燃料は、吸入側対向面部のうち特定箇所に限定して開口する凹部へと流入し易くなる。こうした凹部への燃料流入によりインペラは、特定箇所を吸入側収容壁部から離間させる方向に力を受けることで、自身の傾きを小さくできる。その結果、特定箇所を含む吸入側対向面部と吸入側収容壁部との間では、流れ込んだ燃料により燃料膜が形成されて摺動抵抗が低減されるので、モータ軸を回転駆動する電動モータの駆動電流についても、低減が可能となるのである。
【0011】
また、本発明のさらなる特徴としては、Dカット穴部は、軸方向に沿う縦断面においてテーパ状を呈する。この特徴によると、軸方向に沿う縦断面にてテーパ状を呈するDカット穴部がDカット軸部と軸方向に嵌合することになるインペラは、回転駆動中に当該軸方向に対して傾き易くなる。しかし、Dカット穴部とDカット軸部との間における外周テーパ状の嵌合隙間を通じて、燃料が吐出口側から吸入口側へと流れ込むことで、インペラ特定箇所の凹部に燃料が流入し易くなるのみならず、吸入側対向面部及び吸入側収容壁部間での燃料膜形成が促進され得る。これによれば、摺動抵抗と共に駆動電流を低減する効果につき、信頼性を高めることが可能となる。
【0012】
また、本発明のさらなる特徴としては、凹部(2206)は、Dカット穴部の平面部に対して回転方向に所定角度をなす径方向線(L)上において、複数の特定箇所に開口する。この特徴によると、インペラの吸入側対向面部では、Dカット穴部の平面部に対して回転方向に所定角度をなす径方向線上の複数箇所を特定箇所として、凹部を開口させることで、傾きを小さくする方向の力が増大し得る。これによれば、吸入側対向面部及び吸入側収容壁部の間にて、燃料膜の形成を確実なものとして摺動抵抗を低減できるので、駆動電流を低減する効果につき、信頼性を高めることが可能となるのである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0015】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態による燃料ポンプ1を示している。燃料ポンプ1は、車両の燃料タンク内に装着される再生式ポンプであり、燃料タンク内の燃料を内燃機関の燃料噴射弁側へと供給する。
【0016】
(基本構成)
まず、燃料ポンプ1の基本構成を説明する。
図1に示すように燃料ポンプ1は、円筒状のハウジング2内部に収容されたポンプ本体3及び電動モータ4と、当該ハウジング2のうち軸方向の一端部に固定されたエンドカバー5とを、備えている。燃料ポンプ1は、ポンプ本体3を電動モータ4により駆動して燃料を昇圧し、電動モータ4及びエンドカバー5の内部を通じて当該昇圧燃料を外部に吐出する。
【0017】
ポンプ本体3は、ケーシング10及びインペラ20を有している。ケーシング10は、一対の収容壁部12,14を組み合わせて構成されている。吸入側収容壁部12は、金属により円盤状に形成され、ハウジング2のうちエンドカバー5とは軸方向反対側の端部に固定されている。
図1,2に示すように吸入側収容壁部12は、外部から内部に燃料を吸入するための吸入口120を、軸方向に貫通形成している。それと共に吸入側収容壁部12は、燃料を昇圧するために吸入口120と連通する吸入側ポンプ通路121を、インペラ20の回転方向R(
図3参照)に沿う部分円環溝状に延伸形成してエンドカバー5側の軸方向端面122に開口させている。
【0018】
図1に示すように吐出側収容壁部14は、金属により逆有底円筒状に形成され、吸入側収容壁部12よりもエンドカバー5側においてハウジング2に固定されている。吐出側収容壁部14のうちエンドカバー5とは軸方向反対側の端面140は、吸入側収容壁部12の端面122と液密に当接している。
図1,2に示すように吐出側収容壁部14は、吸入燃料を昇圧するインペラ20を収容するために吸入側ポンプ通路121と連通するポンプ室141を、有底円筒穴状に形成して端面140に開口させている。それと共に吐出側収容壁部14は、燃料を昇圧するためにポンプ室141と連通する吐出側ポンプ通路142を、インペラ20の回転方向Rに沿う部分円環溝状に延伸形成してポンプ室141の内凹面143に開口させている。さらに吐出側収容壁部14は、昇圧した燃料を電動モータ4側へ吐出するために吐出側ポンプ通路142と連通する吐出口144を、軸方向に貫通形成している。
【0019】
インペラ20は、樹脂により円盤状に形成され、ポンプ室141内部に同軸上に収容されて軸方向両側の各面122,142と回転摺動可能に配置されている。
図2に示すインペラ20のうち軸方向一端面は、吸入側摺動隙間141a(
図5に模式的に示す)を挟んで吸入側収容壁部12の端面122と軸方向に対向する吸入側対向面部200を、形成している。インペラ20のうち軸方向他端面は、吐出側摺動隙間141b(
図5に模式的に示す)を挟んで吐出側収容壁部14の内凹面143と軸方向に対向する吐出側対向面部201を、形成している。
【0020】
図1〜4に示すようにインペラ20は、回転方向Rに等間隔に並ぶ複数の羽根溝202を、両対向面部200,201に開口させている。インペラ20の一定方向Rへの回転駆動時に吸入口120を通じて吸入される燃料は、当該方向前方の羽根溝202からポンプ通路121,142へと流出し、さらにポンプ通路121,142から当該方向後方の羽根溝202へ流入する。こうした流出及び流入が各羽根溝202間にて繰り返されることで旋回流となる燃料は、昇圧された状態で吐出口144に吐出され、さらに
図1に示す電動モータ4内部の燃料通路30とエンドカバー5の供給ポート31とを経由して外部に吐出される。このように本実施形態では、インペラ20を軸方向に挟む収容壁部12,14の間において昇圧された燃料が、吐出口144を通じて外部に吐出されるのである。
【0021】
図1に示すように電動モータ4は、永久磁石40、電機子50及び整流子60を有している。永久磁石40は、全体として円筒状に形成され、ハウジング2内部に同軸上に配置されている。永久磁石40は、互いに極性の異なる磁極を、インペラ20の回転方向Rに沿う周方向に交互に形成している。
【0022】
電機子50は、モータ軸501の外周側に装着された磁性コア502に複数のコイル503が巻き回されることで構成され、ハウジング2内部のうち永久磁石40の内周側において同軸上に収容されている。モータ軸501のうちエンドカバー5とは軸方向反対側、即ちポンプ本体3側の端部は、インペラ20と同軸上に連結されている。モータ軸501は、エンドカバー5及び吐出側収容壁部14にそれぞれ設けられた軸受部材52,53により軸受されることで、インペラ20と同一方向Rに回転可能となっている。
【0023】
整流子60は、ハウジング2内部のうち電機子50よりもエンドカバー5側に収容されている。整流子60は、各コイル503に電気接続されていると共に、エンドカバー5に設けられたブラシ(図示しない)と電気接触している。これにより、外部回路から各コイル503がブラシ及び整流子60を介して駆動電流を与えられることで、永久磁石40の磁気作用を受ける電機子50がインペラ20と共に回転駆動されることになる。
【0024】
(特徴的構成)
次に、第一実施形態の特徴的構成を説明する。
【0025】
図2,3に示すようにモータ軸501は、軸方向においてインペラ20の厚さよりも大きな軸方向長さをもって延伸するDカット軸部504を、インペラ20側の端部に有している。このDカット軸部504は、円弧面部504aの両縁部間に平面部504bが形成されることで、軸方向に垂直な横断面では円周上の一部がカットされたD字状を、呈している。また、本実施形態のDカット軸部504は、円弧面部504a及び平面部504bのいずれにおいても、軸方向に沿う縦断面では一定径のストレート状を呈している。
【0026】
図2〜4に示すようにインペラ20は、軸方向に貫通するDカット穴部204を、回転中心部に有している。このDカット穴部204は、円弧面部204aの両縁部間に平面部204bが形成されることで、軸方向に垂直な横断面では円周上の一部がカットされた内形D字状を、呈している。さらに、本実施形態のDカット穴部204は、円弧面部204a及び平面部204bのいずれにおいても、軸方向に沿う縦断面では吐出側対向面部201から吸入側対向面部200へ向かうほど拡径するテーパ状を、呈している。
【0027】
図2,3に示すようにDカット穴部204には、Dカット軸部504が軸方向に嵌合することで、インペラ20及びモータ軸501が共に回転可能となっている。このような嵌合状態下、ポンプ室141の内部においてDカット穴部204及びDカット軸部504の間には、外周テーパ状且つ内周ストレート状の嵌合隙間141cが軸方向に沿って確保される。故に、この嵌合隙間141cには、インペラ20を軸方向に挟む両側の摺動隙間141a,141bが、連通することになる。
【0028】
図2〜5に示すようにインペラ20は、吸入側対向面部200に開口する凹部206を、限定された特定箇所Sに有している。ここで特定箇所Sは、回転駆動中のインペラ20の軸方向に対する傾き(
図5(b)に模式的に示す)により吸入側収容壁部12の端面122と接近する箇所として、
図3の回転方向RではDカット穴部204の平面部204bのうち中央部Cに対して所定角度θをなす径方向線L上に、予設定されている。そして、特に本実施形態の特定箇所Sは、平面部204bと所定角度θをなす径方向線L上において、羽根溝202よりも径方向内側且つDカット穴部204よりも径方向外側となる一箇所に、限定されているのである。
【0029】
ここで、凹部206の形状については、適宜設定可能であるが、本実施形態では、軸方向視においてインペラ20と同軸の扇状に設定されている。また、凹部206の内法寸法についても、適宜設定可能であるが、本実施形態では、例えばインペラ20の
程度の軸方向厚さに対して5〜100μm程度の軸方向深さが設定されている。さらに、
図2〜5に示す本実施形態では、吸入側対向面部200のうち凹部206の径方向内側に隣接する箇所が逆有底円筒穴状に凹むことで、凹部206及びDカット穴部204の間を連通する連通通路207が形成されている。またさらに、
図5に示す本実施形態では、吸入側収容壁部12の端面122が径方向中間部122aの両側でテーパ状に凹むことで、吸入側対向面部200のうち凹部206より径方向外側且つ羽根溝202より径方向内側となる箇所と、当該中間部122bとの間でシールが形成される。尚、模式図としての
図5において、径方向中間部122a両側の凹みの軸方向深さや、摺動隙間141a,141bの軸方向幅等は、説明の理解を容易にするために大きく図示されている。
【0030】
以上説明した第一実施形態によると、軸方向に沿う縦断面にてテーパ状を呈するDカット穴部204がDカット軸部504と軸方向に嵌合するインペラ20は、当該軸方向に対して回転駆動中に傾き易くなる。ここで、インペラ20において吸入側収容壁部12と軸方向に対向する吸入側対向面部200では、Dカット穴部204の平面部204bに対して回転方向Rに所定角度θをなす特定箇所Sが、インペラ20の傾きにより当該吸入側収容壁部12と接近する。しかし、インペラ20の回転駆動中に、
図5(b)の一点鎖線矢印如くDカット要素204,504間の嵌合隙間141cを通じて高圧の吐出口144側から低圧の吸入口120側に流れ込む燃料は、吸入側対向面部200のうち特定箇所Sに限定して開口する凹部206へと流入し易くなる。こうした凹部206への燃料流入によりインペラ20は、特定箇所Sを吸入側収容壁部12から離間させる方向に力F(
図5(b)参照)を受けることで、自身の傾きを小さくできる。その結果、特定箇所Sを含む吸入側対向面部200と吸入側収容壁部12との間では、嵌合隙間141c及び連通通路207を通じて吸入側摺動隙間141aへと流れ込んだ燃料による燃料膜の形成が促進されて、摺動抵抗が低減される。故に、モータ軸501を回転駆動する電動モータ4の駆動電流についても、例えば
図6に示す如き低減効果の発揮が可能となるのである。尚、
図6は、凹部206が存在しない場合の比較例に対して、駆動電流の低減効果を示している。
【0031】
さらに第一実施形態によると、インペラ20の吸入側対向面部200において凹部206の開口する特定箇所Sは、回転方向Rに沿って並ぶ複数の羽根溝202よりも径方向内側に位置する。これによれば、各羽根溝202により昇圧される燃料のシール機能と燃料膜の形成機能とを、吸入側対向面部200及び吸入側収容壁部12の間のうち各羽根溝202よりも径方向内側にて、確実に発揮し得る。故に、凹部206を通じた昇圧燃料の漏出に起因する吐出圧変動を抑制しつつ、摺動抵抗及び駆動電流の低減効果を発揮することが、可能となるのである。
【0032】
(第二実施形態)
図7,8に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態のインペラ2020において吸入側対向面部200に開口する凹部2206は、複数の特定箇所Sにそれぞれ設けられている。ここで特定箇所Sは、Dカット穴部204の平面部204bと所定角度θをなす径方向線L上において、羽根溝202よりも径方向内側且つDカット穴部204よりも径方向外側となる複数箇所に、限定されている。
【0033】
このような第二実施形態によると、インペラ2020の吸入側対向面部200では、Dカット穴部204の平面部204bに対して回転方向Rに所定角度θをなす径方向線L上の複数箇所Sに、凹部2206を開口させることで、傾きを小さくする方向の力Fが増大し得る。これによれば、吸入側対向面部200及び吸入側収容壁部12の間にて、燃料膜の形成を確実なものとして摺動抵抗を低減できるので、駆動電流を低減する効果につき、信頼性を高めることが可能となるのである。
【0034】
(第三実施形態)
図9,10に示すように、本発明の第三実施形態は第一実施形態の変形例である。第三実施形態のインペラ3020において吸入側対向面部200の特定箇所Sに開口する凹部3206は、各羽根溝202よりも径方向外側において最外周縁を形成するリング部3208に、設けられている。ここで特定箇所Sは、Dカット穴部204の平面部204bと所定角度θをなす径方向線L上において、羽根溝202よりも径方向外側となる一箇所に、限定されている。尚、吸入側対向面部200のうち径方向両側が凹む中間部122bについて本実施形態では、図示はしないが、凹部3206及び羽根溝202の双方よりも径方向内側箇所との間において、シールを形成する。
【0035】
このような第三実施形態によると、インペラ3020の吸入側対向面部200において凹部3206の開口する特定箇所Sは、回転方向Rに沿って並ぶ複数の羽根溝202よりも径方向外側に位置する。これによれば、各羽根溝202により昇圧される燃料のシール機能と燃料膜の形成機能とを、吸入側対向面部200及び吸入側収容壁部12間のうち各羽根溝202よりも径方向外側にて、確実に発揮し得る。故に、凹部3206を通じた昇圧燃料の漏出に起因する吐出圧変動を抑制しつつ、摺動抵抗及び駆動電流の低減効果を発揮することが、可能となるのである。
【0036】
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0037】
具体的に第一〜第三実施形態では、軸方向に沿う縦断面において吸入側対向面部200から吐出側対向面部201へ向かうほど拡径するテーパ状や、他の形状に、Dカット穴部204を形成してもよい。また、第一〜第三実施形態では、連通通路207を吸入側対向面部200に設けなくてもよい。さらに、第一及び第二実施形態では、第三実施形態の凹部3206を吸入側対向面部200に設けてもよい。またさらに、第二実施形態に準じて第三実施形態では、吸入側対向面部200のうち径方向線L上において羽根溝202よりも径方向外側に位置する複数の特定箇所Sに、凹部3206を開口させてもよい。