(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の切欠き部を設けた羽根を用いた場合、製品組み立て時や、運転時、または、修理・メンテナンスの時に、送風機の外周面に物が衝突するなどして、羽根に外力がかかると、支持部材の近傍に位置する切欠き部に応力が集中する。また、羽根に作用する遠心力によっても、支持部材の近傍に位置する切欠き部に応力集中が生じる。そのため、支持部材の近傍の切欠き部を起点に羽根に亀裂が生じて、羽根が破損する恐れがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、羽根の破損を防止できる送風機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る送風機は、周方向に配列された複数の羽根
と、前記複数の羽根を支持する支持部材を備えており、前記羽根の外周側翼端には、複数の切欠き部が軸方向に並んで形成されており、前記複数の切欠き部は、2つ以上の第1切欠き部と、大きさが前記第1切欠き部と略同じであって、厚みが前記第1切欠き部よりも厚い少なくとも1つ以上の第2切欠き部とを含んで
おり、前記第2切欠き部が、前記支持部材に隣接して配置されていることを特徴とする。
【0007】
この送風機では、複数の切欠き部のうちの一部の切欠き部(第2切欠き部)の厚みを、他の切欠き部(第1切欠き部)の厚みよりも厚くして、羽根の強度を高くしているため、羽根に外力がかかった場合に第2切欠き部に応力集中が生じても、羽根が破損するのを防止できる。
また、第2切欠き部の大きさを小さくすることで羽根の強度を高くした場合、騒音を低減する効果が低下するが、本発明では、第2切欠き部の大きさは、第1切欠き部の大きさと略同じであるため、騒音低減効果を低下させることなく、羽根の破損を防止できる。
【0008】
【0009】
また、この送風機では、羽根に外力がかかった場合、支持部材の近傍の切欠き部に応力が集中するため、厚みの厚い第2切欠き部を支持部材に隣接して配置することにより、羽根の破損を確実に防止できる。
【0010】
第
2の発明に係る送風機は、上記第
1の発明において、前記第1切欠き部の厚みが、当該第1切欠き部の軸方向両側に設けられた切欠きの無い部分の厚みよりも薄くなっており、前記第2切欠き部の厚みが、当該第2切欠き部の軸方向両側に設けられた切欠きの無い部分と略同じであることを特徴とする。
【0011】
この送風機では、第2切欠き部の厚みが、この第2切欠き部に隣接する非切欠き部の厚みと略同じであるため、第2切欠き部を形成しやすい。また、第1切欠き部の厚みが、この第1切欠き部に隣接する非切欠き部の厚みよりも薄くなっているため、羽根の外周側翼端に向かって流れる空気流が切欠き部と衝突することによるエネルギー損失を低減できる。
【0012】
第
3の発明に係る送風機は、上記第
1の発明において、前記第1切欠き部の厚みが、当該第1切欠き部の軸方向両側に設けられた切欠きの無い部分の厚みと略同じかそれより薄くなっており、前記第2切欠き部の厚みが、当該第2切欠き部の軸方向両側に設けられた切欠きの無い部分の厚みよりも厚いことを特徴とする。
【0013】
この送風機では、第2切欠き部の厚みが、この第2切欠き部に隣接する非切欠き部の厚みよりも厚いため、第2切欠き部の強度をより高くできる。
【0014】
なお、第
2の発明および第
3の発明において、切欠き部の厚みが、当該切欠き部の軸方向両側に設けられた切欠きの無い部分と略同じであるとは、羽根の厚みが全体として軸方向に変化しており、切欠きのない部分の厚みが一定でない場合には、切欠き部の厚みが、当該切欠き部の軸方向両側に設けられた切欠きの無い部分の厚みの中間の厚みと同じであることをいい、また、羽根の厚みが全体としてほぼ一定であって、切欠きのない部分の厚みが一定の場合には、切欠き部の厚みが、当該切欠き部の軸方向両側に設けられた切欠きの無い部分の厚みと同じであることをいう。
【0015】
第
4の発明に係る送風機は、上記第
1−第3のいずれかの発明において、前記羽根の外周側翼端のうち前記切欠き部が形成されていない部分の厚みが、前記支持部材に近づくほど厚くなっていることを特徴とする。
【0016】
この送風機では、羽根に外力がかかった場合に、支持部材に近い位置ほど負荷が大きくなるため、羽根の外周側翼端のうち切欠き部が形成されていない部分の厚みが、支持部材に近づくほど厚くなっていることにより、羽根の破損をより確実に防止できる。
【0017】
第
5の発明に係る送風機は、上記第
1−第4のいずれかの発明において、前記支持部材が、前記羽根の軸方向端部を支持する円環状または円盤状のプレートであることを特徴とする。
【0018】
この送風機では、第2切欠き部がプレートの近傍に配置されているため、プレートの近傍で羽根が破損するのを防止できる。
【0019】
第
6の発明に係る送風機は、上記第
1−第5のいずれかの発明において、前記支持部材が、前記羽根の軸方向途中部を支持する補助リングであることを特徴とする。
【0020】
この送風機では、第2切欠き部が補助リングの近傍に配置されているため、補助リングの近傍で羽根が破損するのを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0022】
第1の発明では、複数の切欠き部のうちの一部の切欠き部(第2切欠き部)の厚みを、他の切欠き部(第1切欠き部)の厚みよりも厚くして、羽根の強度を高くしているため、羽根に外力がかかった場合に第2切欠き部に応力集中が生じても、羽根が破損するのを防止できる。
また、第2切欠き部の大きさを小さくすることで羽根の強度を高くした場合、騒音を低減する効果が低下するが、本発明では、第2切欠き部の大きさは、第1切欠き部の大きさと略同じであるため、騒音低減効果を低下させることなく、羽根の破損を防止できる。
【0023】
また、羽根に外力がかかった場合、支持部材の近傍の切欠き部に応力が集中するため、厚みの厚い第2切欠き部を支持部材に隣接して配置することにより、羽根の破損を確実に防止できる。
【0024】
第
2の発明では、第2切欠き部の厚みが、この第2切欠き部に隣接する非切欠き部の厚みと略同じであるため、第2切欠き部を形成しやすい。また、第1切欠き部の厚みが、この第1切欠き部に隣接する非切欠き部の厚みよりも薄くなっているため、羽根の外周側翼端に向かって流れる空気流が切欠き部と衝突することによるエネルギー損失を低減できる。
【0025】
第
3の発明では、第2切欠き部の厚みが、この第2切欠き部に隣接する非切欠き部の厚みよりも厚いため、第2切欠き部の強度をより高くできる。
【0026】
第
4の発明では、羽根に外力がかかった場合に、支持部材に近い位置ほど負荷が大きくなるため、羽根の外周側翼端のうち切欠き部が形成されていない部分の厚みが、支持部材に近づくほど厚くなっていることにより、羽根の破損をより確実に防止できる。
【0027】
第
5の発明では、第2切欠き部がプレートの近傍に配置されているため、プレートの近傍で羽根が破損するのを防止できる。
【0028】
第
6の発明では、第2切欠き部が補助リングの近傍に配置されているため、補助リングの近傍で羽根が破損するのを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の送風機4は、空気調和機の室内機1に適用されている。室内機1は、図示しない室外機と共に空気調和機を構成しており、室内の冷暖房を行う。
図1に示すように、本実施形態の室内機1は、ケーシング2と、ケーシング2内に収容された熱交換器3、送風機4、フィルタ5および電装品箱(図示省略)などの内部機器を備えている。室内機1は、全体として一方向に細長い形状を有しており、その長手方向が水平となるように室内の壁面に据え付けられる。
【0031】
ケーシング2の上面には吸込口2aが形成されており、ケーシング2の下面には吹出口2bが形成されている。吹出口2bの近傍には、上下方向の風向きの調整と、吹出口2bの開閉を行う水平フラップ6が配置されている。送風機4は、クロスフローファンで構成されており、その軸方向が水平方向に沿うように配置されている。送風機4は、上前方から空気を吸い込んで、下後方に吹き出すように構成されている。熱交換器3は、送風機4の前方と上方とを取り囲むように配置されている。空調運転時には、送風機4の駆動により、室内空気が吸込口2aから吸い込まれて、吸い込まれた空気は、熱交換器3において加熱または冷却された後、吹出口2bから吹き出されるようになっている。
【0032】
図2に示すように、送風機4は、軸方向に間隔を空けて配置された複数のプレート(10、11、12)と、隣接する2枚のプレートの間にそれぞれ掛け渡された複数の羽根20と、羽根20の軸方向途中部に設けられた補助リング30とを備えている。この送風機4は、エンドプレート10と、複数の羽根車41と、羽根車42とを軸方向に並べて連結することで形成されている。なお、以下の説明において、
図2に示す左右方向を単に「左右方向」と称する。
【0033】
図3に示すように、羽根車41は、周方向に配列された複数の羽根20と、複数の羽根20の軸方向端部(左端部)を支持する円環状の支持プレート11と、複数の羽根20の軸方向途中部を支持する略円環状の補助リング30とで構成される。複数の羽根20と支持プレートと補助リング30は、射出成形により一体成形されている。
【0034】
図4に示すように、支持プレート11の左側の面(羽根20が一体化されている面と反対側の面)には、複数の嵌合溝11aが周方向に並んで形成されている。嵌合溝11aには、隣接する羽根車41(または羽根車42)の複数の羽根20の右端部20a(以下、嵌合端部20aという)が嵌合されて支持される。
【0035】
図5に示すように、補助リング30は、その内周部が複数の羽根20の表面に連結されている。補助リング30は、左右方向に関して羽根20の中央部よりも若干右側に設けられている。羽根20の詳細については後述する。
【0036】
羽根車42は、支持プレート11に代えて円盤状のエンドプレート12を備えており、その他の構成は羽根車41と同じである。エンドプレート12の左側の面(羽根20が一体化されている面と反対側の面)の中央部には、軸12aが突設されている。この軸12aは、ケーシング2に設けられた軸受(図示省略)に回転自在に支持される。
【0037】
エンドプレート10は、円盤状の部材であって、その左側の面には、支持プレート11の嵌合溝11aと同様の嵌合溝(図示省略)が形成されている。エンドプレート10の右側の面の中央部には、送風機4を駆動するモータ(図示省略)の回転軸と連結されるボス部10aが突設されている。
【0038】
次に、羽根20の詳細について説明する。ここでは、羽根車41の羽根20について説明するが、羽根車42の羽根20も同様の構成である。
図3に示すように、複数の羽根20は、軸方向(左右方向)に沿って延びており、所定の翼角をもって前進翼構造で配設されている。羽根20は、軸方向に直交する断面形状が略円弧状であって、外側に膨らんだ面20bが、負圧面(静止状態から回転する際に圧力が小さくなる面)となっている。
【0039】
羽根20の外周側翼端には、複数の切欠き部21が等間隔に並んで形成されている。切欠き部21は、V字状に形成されている。複数の切欠き部21の大きさ(幅および深さ)は、全て同じである。羽根20の外周側翼端に切欠き部21を設けることで、送風機4の吹き出し側において発生する後流渦が低減されて、空力騒音(風切音)を低減できる。
【0040】
図6(a)に示すように、1つの羽根20の複数の切欠き部21のうち、嵌合端部(右端部)20aに最も近い位置の切欠き部21を、切欠き部(第2切欠き部)21Bとする。切欠き部21Bは、隣接する羽根車41の支持プレート11の左側の面に隣接する。また、補助リング30の右側の面に隣接する切欠き部21を、切欠き部(第2切欠き部)21Cとする。また、切欠き部21B、21C以外の切欠き部21を、切欠き部(第1切欠き部)21Aとする。
【0041】
また、
図6(a)に示すように、1つの羽根20において、切欠き部21A、21B、21Cが形成されている軸方向範囲を、それぞれ、切欠き領域22A、22B、22Cとする。切欠き領域22A、22B、22Cを総称して、切欠き領域22とする。また、切欠き部21が形成されていない軸方向範囲を、非切欠き領域23とする。切欠き領域22と非切欠き領域23は軸方向(左右方向)に交互に配置されている。
【0042】
図6(a)および
図7(a)に示すように、複数の非切欠き領域23のうち、補助リング30が連結されていない非切欠き領域23の負圧面20bの外周側翼端近傍部には、凹球面状の窪み24が複数形成されている。羽根20の負圧面20bに窪み24を設けることで、羽根20に向かって流れる空気流が羽根20から剥離するのを抑制でき、その結果、羽根20に働く圧力抵抗が小さくなるため、駆動エネルギーを低減できる。
【0043】
図6(b)に示すように、1つの羽根20において、複数の非切欠き領域23の厚みは、嵌合端部20aに近づくほど薄くなっている。また、羽根20の内周側略半分の厚みも、嵌合端部20aに近づくほど薄くなっている。つまり、羽根20は、全体として、嵌合端部20aに近づくほど厚みが薄くなっている。なお、非切欠き領域23の厚みとは、非切欠き領域23の窪み24が無い箇所の厚みを指しており、以下の説明でも同様の定義とする。
【0044】
図7(b)に示すように、切欠き領域22Aの外周側略半分の厚みは、隣接する非切欠き領域23の外周側略半分の厚みよりも薄くなっている。
図6(a)および
図6(b)に示すように、切欠き領域22Aの外周側略半分の厚みは、切欠き部21Aの最も深い位置に向かって徐々に薄くなっている。したがって、切欠き部21Aの厚みは、非切欠き領域23の厚みよりも薄くなっている。切欠き部21Aの厚みを薄くすることで、切欠き部21Aの端面の面積が小さくなるため、羽根20の外周側翼端に向かって流れる空気流(
図7(b)中の矢印参照)が切欠き部21Aに衝突することによるエネルギー損失を低減できる。
【0045】
図7(c)に示すように、切欠き領域22Bの厚みは、隣接する非切欠き領域23の厚みとほぼ同じである。切欠き領域22Bの厚みは、切欠き領域22Bの軸方向両側にある2つの非切欠き領域23の厚みと略同じ(詳細には、その中間の厚み)であって、嵌合端部20aに近づくほど薄くなっている。また、切欠き領域22Cの厚みは、切欠き領域22Bと同様に、切欠き領域22Cの軸方向両側にある2つの非切欠き領域23の厚みと略同じ(詳細には、その中間の厚み)であって、嵌合端部20aに近づくほど薄くなっている。したがって、切欠き部21B、21Cの厚みは、切欠き部21Aの厚みよりも厚くなっている。
【0046】
室内機1の組み立て時や運転時などに、羽根20に外力がかかった場合、支持プレート11またはエンドプレート10、12に隣接する切欠き部21と、補助リング30に隣接する切欠き部21に応力が集中する。本実施形態の送風機4では、プレート10、11に隣接する切欠き部21Bと、補助リング30に隣接する切欠き部21Cの厚みを、切欠き部21Aの厚みよりも厚くして、羽根20の強度を高くしているため、プレート10、11および補助リング30の近傍で羽根20が破損するのを防止することができる。
【0047】
また、切欠き部21の大きさを小さくすることで羽根20の強度を高くした場合、空力騒音を低減する効果が低下するが、本実施形態では、切欠き部21B、21Cの大きさは、切欠き部21Aの大きさと同じであるため、騒音低減効果を低下させることなく、羽根20の破損を防止できる。
【0048】
また、本実施形態では、切欠き部21B、21Cの厚みが、それぞれ、隣接する非切欠き領域23の厚みとほぼ同じであるため、切欠き部21B、21Cを形成しやすい。また、切欠き部21Aの厚みが、隣接する非切欠き領域23の厚みよりも薄くなっているため、羽根20の外周側翼端に向かって流れる空気流が切欠き部21Aと衝突することによるエネルギー損失を低減できる。
【0049】
また、本実施形態では、プレート10、11の左側の面に隣接する切欠き部21Bと、補助リング30の右側の面に隣接する切欠き部21Cの厚みを、他の切欠き部21Aよりも厚くしているが、プレート11、12の右側の面に隣接する切欠き部21と、補助リング30の左側の面に隣接する切欠き部21の厚みは、隣接する非切欠き領域23の厚みよりも薄くなっている。上述したように、1つの羽根20の厚みは、全体として、嵌合端部20aから離れるほど(左側に向かうほど)厚くなっているため、プレート11、12の右側の面に隣接する切欠き部21、および、補助リング30の左側の面に隣接する切欠き部21は、切欠き部21B、21Cのように厚みが厚くなっていなくても、羽根20の破損が生じにくい。本実施形態では、プレート10、11の左側の面に隣接する切欠き部21Bと、補助リング30の右側の面に隣接する切欠き部21Cだけが、他の切欠き部21Aよりも厚みが厚くなっていることにより、騒音低減効果の低下を抑えつつ、効率的に羽根20の破損を防止できる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。なお、以下の変更形態は、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0051】
上記実施形態では、羽根車41、42は、羽根20の支持部材として補助リング30を備えているが、例えば
図10に示すように、補助リング30を設けなくてもよい。
【0052】
上記実施形態では、切欠き部21の形状は、V字状(三角形状)であるが、この形状に限定されるものではなく、円弧状や四角形状であってもよい。
【0053】
上記実施形態では、複数の切欠き部21の大きさ(幅および深さ)は、全て同じであるが、異なっていてもよい。
【0054】
上記実施形態では、1つの羽根20において、複数の切欠き部21A、21Bは、軸方向に等間隔で配置されているが、等間隔でなくてもよい。
【0055】
上記実施形態では、非切欠き領域23の負圧面20bに、窪み24が形成されているが、窪み24は設けなくてもよい。
【0056】
上記実施形態の羽根20は、薄肉化されている軸方向範囲が、切欠き領域22Aだけであるが、例えば
図8に示す羽根120のように、薄肉化されている範囲が、切欠き領域22Aだけでなく、非切欠き領域23に若干及んでいてもよい。この構成によると、羽根20の厚みが急激に変化する箇所を設けることなく、切欠き部(第1切欠き部)121Aの厚みを、上記実施形態の切欠き部21Aの厚みよりも薄くすることができる。
【0057】
上記実施形態では、プレート10、11の左側の面に隣接する切欠き部21Bと、補助リング30の右側の面に隣接する切欠き部21Cだけを、他の切欠き部21Aよりも厚みを厚くしているが、厚みを厚くする切欠き部21の数および位置は、これに限定されるものではない。但し、羽根が外力を受けたときに破損しやすい箇所の切欠き部の厚みを厚くすることが好ましい。
例えば
図9に示す羽根220のように、切欠き部21B、21Cに加えて、支持プレート11(またはエンドプレート12)の右側の面に隣接する切欠き部221Dと、補助リング30の左側の面に隣接する切欠き部221Eの厚みを、他の切欠き部21Aよりも厚くしてもよい。
また例えば
図10に示す羽根320のように、支持プレート11(またはエンドプレート10)の左側の面に隣接する切欠き部21Bと、この切欠き部21Bの左側に隣接する切欠き部321Cと、支持プレート11(またはエンドプレート12)の右側の面に隣接する切欠き部321Dと、この切欠き部321Dの右側に隣接する切欠き部321Eの厚みを、他の切欠き部21Aよりも厚くしてもよい。
なお、厚みの厚い2以上の切欠き部が、支持部材(プレート10〜12、補助リング30)を挟まずに隣接する場合(例えば
図10の場合)、当該2つ以上の切欠き部の厚みはほぼ同じであってもよく、支持部材に近いほど厚みを厚くしてもよい。
【0058】
上記実施形態では、1つの羽根20において、複数の非切欠き領域23の厚みは、嵌合端部20aに近づくほど薄くなっており、羽根20の厚みは、全体として、嵌合端部20aに近づくほど薄くなっているが、この構成に限定されるものではない。
【0059】
例えば、複数の非切欠き領域23の厚みが全て同じであって、羽根20の厚みが、全体として、軸方向にわたって一定であってもよい。
【0060】
また例えば、複数の非切欠き領域23の外周側翼端の厚みが、羽根20を支持する支持部材(プレート10〜12、補助リング30)に近づくほど厚くなっていてもよい。具体例を挙げると、補助リング30と嵌合端部20aの軸方向略中央の位置から、補助リング30および嵌合端部20aに向かって厚みが厚くなっていてもよい。また、支持プレート11と補助リング30との軸方向略中央の位置から、支持プレート11および補助リング30に向かって厚みが厚くなっていてもよい。この変更例では、羽根20に外力がかかった場合に負荷が大きくなる箇所の厚みが厚いため、羽根20の破損をより確実に防止できる。
【0061】
上記実施形態では、切欠き部21B、21Cの厚みは、隣接する非切欠き領域23の厚みとほぼ同じであるが、例えば
図11に示す羽根420のように、切欠き部421Bの厚みが、隣接する非切欠き領域23の厚みより厚くなっていてもよい。この変更例の場合、他の切欠き部421Aの厚みは、隣接する非切欠き領域23の厚みとほぼ同じであってもよい。この構成によると、切欠き部421A、421Bの強度を、上記第1実施形態の切欠き部21A、21Bよりも高くできる。
なお、
図11では、羽根420の肉厚化されている軸方向範囲は、切欠き領域22Aだけであるが、肉厚化されている範囲が、切欠き領域22Aだけでなく、非切欠き領域23に若干及んでいてもよい。
【0062】
上記実施形態では、空気調和機の室内機に本発明の送風機を適用した例を挙げて説明したが、本発明の送風機が用いられる装置は、空気調和機の室内機に限定されるものではない。
【0063】
上記実施形態では、クロスフローファンに本発明を適用した例を挙げて説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。本発明は、周方向に配列された複数の羽根を備え、且つ、羽根の外周側翼端に複数の切欠き部が形成されたファンであれば、クロスフローファン以外のファン(例えば、シロッコファンやターボファン)にも適用可能である。