(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記異常把握手段は、前記下流側走行路の所定部に進入可と判断された前記走行車が前記所定部を所定時間通過しないときに前記異常を把握する、請求項1記載の走行車システム。
前記異常把握手段は、前記分岐部を直後に通過する前記走行車について前記第2走行路への進入可否の判断を行う対象となる前記分岐部と、前記異常を把握する対象となる前記所定部との組合せを予め記憶している、請求項2又は3記載の走行車システム。
前記異常把握手段は、前記第2走行路に進入した前記走行車が前記下流側走行路において所定時間車間停止したときに前記異常を把握する、請求項1〜4のいずれか一項記載の走行車システム。
前記走行車は、前記分岐部を通過して前記第2走行路又は前記第3走行路に進入するための進入許可の設定要求を行い、前記コントローラによって進入許可の設定が行われたときに、前記分岐部を通過して前記第2走行路又は前記第3走行路に進入するものであり、
前記走行車は、前記分岐部を通過して前記第2走行路に進入するための前記進入許可の設定要求を行った場合において、前記進入可否判断手段によって前記第2走行路に進入可と所定時間判断されないときには、前記分岐部を通過して前記第3走行路に進入するための前記進入許可の設定要求を行う、請求項1〜5のいずれか一項記載の走行車システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような走行車システムにおいては、分岐部の下流で何らかの異常が発生すると、異常が発生した位置から走行車の渋滞が拡大する場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、走行車の走行効率の向上を図りつつ、分岐部の下流で何らかの異常が発生しても、走行車の渋滞範囲の拡大を抑制することができる走行車システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の走行車システムは、第1走行路、並びに、分岐部において第1走行路から分岐する第2走行路及び第3走行路を含む走行路網と、走行路網を走行する複数の走行車と、走行車の走行を制御するコントローラと、を備え、コントローラは、少なくとも第2走行路を含む分岐部の下流側走行路での異常を把握する異常把握手段と、分岐部を直前に通過した走行車が第2走行路に進入し、分岐部を直後に通過する走行車が第2走行路に連続して進入しようとしている場合において、異常把握手段による異常の未把握時には、分岐部を直後に通過する走行車について第2走行路への進入可否の判断を省き、異常把握手段による異常の把握時には、分岐部を直後に通過する走行車について第2走行路への進入可否の判断を行う進入可否判断手段と、を有する。
【0007】
この走行車システムでは、分岐部を直前に通過した走行車が第2走行路に進入し、分岐部を直後に通過する走行車が第2走行路に連続して進入しようとしている場合において、第2走行路を含む分岐部の下流側走行路での異常が把握されていないときには、第2走行路に連続して進入しようとしている走行車について第2走行路への進入可否の判断が省かれる。これにより、走行車の走行効率を向上させることができる。一方、当該場合において、第2走行路を含む分岐部の下流側走行路での異常が把握されたときには、第2走行路に連続して進入しようとしている走行車について第2走行路への進入可否の判断が行われる。これにより、異常が発生した下流側走行路に含まれる第2走行路に走行車が連続して進入することに起因して、異常が発生した位置から走行車の渋滞範囲が拡大するのを抑制することができる。よって、この走行車システムによれば、走行車の走行効率の向上を図りつつ、分岐部の下流で何らかの異常が発生しても、走行車の渋滞範囲の拡大を抑制することが可能となる。
【0008】
異常把握手段は、下流側走行路の所定部に進入可と判断された走行車が所定部を所定時間通過しないときに異常を把握してもよい。所定部は、第2走行路が他の走行路と合流する下流側合流部であってもよい。これらの構成によれば、下流側走行路での異常を把握するためにセンサ等を新たに設ける必要がないため、簡易な構成で下流側走行路での異常を把握することができる。
【0009】
異常把握手段は、分岐部を直後に通過する走行車について第2走行路への進入可否の判断を行う対象となる分岐部と、異常を把握する対象となる所定部との組合せを予め記憶していてもよい。この構成によれば、分岐部に関連付けられた所定部を対象として下流側走行路での異常を把握するための処理を実行すれば済むため、処理負荷の増大を抑制しつつ下流側走行路での異常を把握することができる。
【0010】
異常把握手段は、第2走行路に進入した走行車が下流側走行路において所定時間車間停止したときに異常を把握してもよい。この構成によれば、下流側走行路での異常を把握するためにセンサ等を新たに設ける必要がないため、簡易な構成で下流側走行路での異常を把握することができる。なお、車間停止とは、何らかの理由で停止した走行車から所定の車間距離をとって後続の走行車が停止することをいう。
【0011】
走行車は、分岐部を通過して第2走行路又は第3走行路に進入するための進入許可の設定要求を行い、コントローラによって進入許可の設定が行われたときに、分岐部を通過して第2走行路又は第3走行路に進入するものであり、走行車は、分岐部を通過して第2走行路に進入するための進入許可の設定要求を行った場合において、進入可否判断手段によって第2走行路に進入可と所定時間判断されないときには、分岐部を通過して第3走行路に進入するための進入許可の設定要求を行ってもよい。この構成によれば、分岐部を通過して第2走行路に進入するための進入許可の設定要求を行った走行車が、第2の走行路を含む分岐部の下流側走行路で異常が発生した場合に、分岐部の手前で停止し続けることが回避されるため、分岐部から走行車の渋滞範囲が拡大するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、走行車の走行効率の向上を図りつつ、分岐部の下流で何らかの異常が発生しても、走行車の渋滞範囲の拡大を抑制することができる走行車システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[走行車システムの走行路網の構成]
【0015】
図1は、本発明の一実施形態の走行車システムの走行路網の平面図である。
図1に示されるように、走行車システム1は、直線状の走行路R1〜R16及び曲線状の走行路R21〜R26を含む走行路網2と、走行路網2を矢印方向に走行する複数の走行車3と、を備えている。各走行路R1〜R16,R21〜R26には、1つ又は複数のポイントPが設けられている。走行車3は、ポイントPから位置情報を読み取ることにより、走行路網2における自車の位置を把握する。
【0016】
このような走行車システム1は、半導体ウェハ及びガラス基板等の処理対象物を搬送元から搬送先に搬送するために、半導体装置及び液晶表示装置等の製造工場のクリーンルームに適用される。走行車3は、天井走行式無人搬送車であって、搬送元から搬送先への走行ルートを自車で作成し、走行路網2における自車の位置を把握しながら、処理対象物を搬送元から搬送先に搬送する。搬送元及び搬送先としては、処理対象物に各種処理を施すためのステーション等がある。なお、走行車3は、有軌道式無人搬送車等、他の形式の無人搬送車であってもよい。
【0017】
走行路網2において、走行路R2及び走行路R21は、分岐部S1において走行路R1から分岐している。走行路R6及び走行路R23は、分岐部S2において走行路R5から分岐している。走行路R8及び走行路R22は、分岐部S3において走行路R7から分岐している。走行路R11及び走行路R24は、分岐部S4において走行路R10から分岐している。走行路R13及び走行路R26は、分岐部S5において走行路R12から分岐している。走行路R15及び走行路R25は、分岐部S6において走行路R14から分岐している。
【0018】
走行路網2において、走行路R2及び走行路R22は、合流部C1において走行路R3に合流している。走行路R4及び走行路R21は、合流部C2において走行路R5に合流している。走行路R6及び走行路R24は、合流部C3において走行路R7に合流している。走行路R9及び走行路R25は、合流部C4において走行路R10に合流している。走行路R11及び走行路R23は、合流部C5において走行路R12に合流している。走行路R15及び走行路R26は、合流部C6において走行路R16に合流している。
[走行車システムの制御系の構成]
【0019】
図2は、本発明の一実施形態の走行車システムの制御系の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、走行車システム1の制御系10は、走行車3の走行を制御する走行車コントローラ4に加え、搬送要求コントローラ11、物流コントローラ12及びストッカコントローラ13を有している。物流コントローラ12は、走行車コントローラ4及びストッカコントローラ13の上位コントローラであり、各コントローラ4,13と通信可能となっている。搬送要求コントローラ11は、処理対象物に各種処理を施すための複数のステーション14のそれぞれと通信可能となっている。ストッカコントローラ13は、処理対象物を一時保管するための複数のストッカ15のそれぞれと通信可能となっている。走行車コントローラ4は、各走行車3と通信可能となっている。
【0020】
搬送要求コントローラ11は、処理対象物の搬送要求(搬入要求及び搬出要求)をステーション14から受信すると、当該搬送要求を物流コントローラ12に送信する。当該搬送要求を受信した物流コントローラ12は、必要に応じて、処理対象物の入出庫要求をストッカコントローラ13に送信する。当該入出庫要求を受信したストッカコントローラ13は、入出庫指令をストッカ15に送信する。当該入出庫指令を受信したストッカ15は、所定のタイミングで走行車3に対して処理対象物の入出庫を行う。
【0021】
搬送要求コントローラ11から搬送要求を受信した物流コントローラ12は、当該搬送要求を走行車コントローラ4に送信する。当該搬送要求を受信した走行車コントローラ4は、搬送指令を走行車3に送信する。当該搬送指令を受信した走行車3は、搬送元のステーション14から搬送先のステーション14への走行ルートを自車で作成し、走行路網2における自車の位置を把握しながら、処理対象物を搬送元のステーション14から搬送先のステーション14に搬送する。このとき、走行車3は、走行路網2に設けられたポイントPから位置情報を読み取ることにより、走行路網2における自車の位置を把握し、自車の位置情報を走行車コントローラ4に随時送信する。
【0022】
図3は、
図2の走行車コントローラの構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、走行車コントローラ4は、CPU、ROM、RAM等からなる電子制御ユニットであって、少なくとも異常把握部(異常把握手段)5及び進入可否判断部(進入可否判断手段)6を有している。走行車コントローラ4は、ROMに格納されているプログラムをRAM上にロードし、CPUで実行することによって、異常把握部5及び進入可否判断部6をソフトウェアで構成する。なお、走行車コントローラ4の各処理部は、ハードウェアで構成されてもよい。
【0023】
異常把握部5は、各分岐部S1〜S6から分岐する走行路R2,R6,R8,R11,R13,R15,R21〜R26での異常を把握する。進入可否判断部6は、走行車3が各分岐部S1〜S6を通過しようとしている場合に、異常把握部5による異常の把握状態に応じて、各分岐部S1〜S6を通過しようとしている走行車3について走行路R2,R6,R8,R11,R13,R15,R21〜R26への進入可否の判断を行う。異常把握部5及び進入可否判断部6については、下記の[走行車コントローラにおける処理手順]において、より詳細に説明する。
[走行車における処理手順]
【0024】
図4に示される分岐部S2及び合流部C3の周辺領域を例として、
図5のフローチャートを参照しつつ、走行車3Aにおける処理手順について説明する。まず、走行路R6,R23の一方を用いる走行ルートを作成した走行車3Aは、走行路R5において分岐部S2に接近すると、走行車コントローラ4に進入許可の設定要求を送信する(ステップS51)。この進入許可の設定要求は、分岐部S2を通過して走行路R6,R23の一方に進入するための進入許可の設定を走行車コントローラ4に要求するものである。
【0025】
そして、走行車コントローラ4によって進入許可の設定が行われた場合には(ステップS52)、走行車3Aは、分岐部S2を通過して、進入許可の設定が行われた走行路R6又は走行路R23に進入する(ステップS53)。続いて、分岐部S2を通過した走行車3Aは、走行車コントローラ4に進入許可の解除要求を送信する(ステップS54)。
【0026】
一方、走行車コントローラ4によって進入許可の設定が行われない場合には(ステップS52)、走行車3Aは、分岐部S2の手前で停止し、所定時間(例えば、進入許可の設定要求を送信してからの所定時間)経過していないときには(ステップS55)、ステップS52の処理を実行する。そして、所定時間経過したときには(ステップS55)、走行車3Aは、走行路R6,R23の他方を用いる走行ルートを作成し直して、走行車コントローラ4に別の進入許可の設定要求を送信し(ステップS51)、ステップS52以降の処理を実行する。この別の進入許可の設定要求は、分岐部S2を通過して走行路R6,R23の他方に進入するための進入許可の設定を走行車コントローラ4に要求するものである。
【0027】
以上のように、走行車3Aは、分岐部S2を通過して走行路R6,R23の一方に進入するための進入許可の設定が走行車コントローラ4によって行われない場合には、分岐部S2を通過して走行路R6,R23の他方に進入するための進入許可の設定を走行車コントローラ4に要求する。
[走行車コントローラにおける処理手順]
【0028】
図4に示される分岐部S2及び合流部C3の周辺領域を例として、
図6のフローチャートを参照しつつ、走行車コントローラ4における処理手順について説明する。前提として、走行車コントローラ4の異常把握部5は、各走行路R6,R23での異常の有無を監視している。この前提の下に、走行路R5において分岐部S2に接近する走行車3Aから進入許可の設定要求を走行車コントローラ4が受信すると(ステップS61)、走行車コントローラ4の進入可否判断部6は、走行車3A(分岐部S2を直後に通過する走行車3)が進入しようとしている走行路R6,R23の一方が、走行車3B(分岐部S2を直前に通過した走行車3)が進入した走行路R6又は走行路R23と同じか否かを判断する(ステップS62)。この判断処理は、走行車3Bから最終的に受信した進入許可の設定要求、及び走行車3Aから受信した進入許可の設定要求に基づいて行われる。
【0029】
ステップS62の判断処理の結果、走行車3Aが進入しようとしている走行路R6,R23の一方が、走行車3Bが進入した走行路R6又は走行路R23と異なる場合(例えば、走行車3Bが走行路R23に進入した後に(
図4の二点鎖線参照)、走行車3Aが走行路R6に進入しようとしている場合)には、進入可否判断部6は、走行路R6,R23の一方について進入許可の解除が行われているか否かを判断する(ステップS63)。その結果、進入許可の解除が行われていない場合には、ステップS62の処理に戻り、進入許可の解除が行われている場合には、進入可否判断部6は、走行路R6,R23の一方について進入許可の設定を行う(ステップS64)。
【0030】
このように、進入可否判断部6は、走行車3Aが進入しようとしている走行路R6,R23の一方が、走行車3Bが進入した走行路R6又は走行路R23と異なる場合には、異常把握部5による異常の把握状態に依らず、走行車3Aについて走行路R6,R23の一方への進入可否の判断(ここでは、ステップS63の判断処理)を行う。
【0031】
一方、ステップS62の判断処理の結果、走行車3Aが進入しようとしている走行路R6,R23の一方が、走行車3Bが進入した走行路R6又は走行路R23と同じ場合(例えば、走行車3Bが走行路R6に進入した後に(
図4の実線参照)、走行車3Aが走行路R6に進入しようとしている場合)には、進入可否判断部6は、異常把握部5によって走行路R6,R23の一方での異常が把握されているか否かを判断する(ステップS65)。その結果、異常が把握されていない場合には、進入可否判断部6は、進入許可の解除が行われているか否かを判断することなく、走行路R6,R23の一方について進入許可の設定を行う(ステップS64)。
【0032】
このように、進入可否判断部6は、走行車3Aが進入しようとしている走行路R6,R23の一方が、走行車3Bが進入した走行路R6又は走行路R23と同じ場合において、異常把握部5による異常の未把握時には、走行車3Aについて走行路R6,R23の一方への進入可否の判断(ここでは、ステップS63の判断処理)を省く。
【0033】
一方、ステップS65の判断処理の結果、異常が把握されている場合には、進入可否判断部6は、走行路R6,R23の一方について進入許可の解除が行われているか否かを判断する(ステップS63)。その結果、進入許可の解除が行われていない場合には、ステップS62の処理に戻り、進入許可の解除が行われている場合には、進入可否判断部6は、走行路R6,R23の一方について進入許可の設定を行う(ステップS64)。
【0034】
このように、進入可否判断部6は、走行車3Aが進入しようとしている走行路R6,R23の一方が、走行車3Bが進入した走行路R6又は走行路R23と同じ場合において、異常把握部5による異常の把握時には、走行車3Aについて走行路R6,R23の一方への進入可否の判断(ここでは、ステップS63の判断処理)を行う。
【0035】
そして、走行路R6,R23の一方について進入許可の設定を行った走行車コントローラ4は、分岐部S2を通過した走行車3Aから進入許可の解除要求を受信すると(ステップS66)、進入許可の解除を行う(ステップS67)。
【0036】
次に、異常把握部5における異常の把握処理について説明する。前提として、異常把握部5は、進入可否の判断を行う対象となる分岐部S1〜S6と、異常を把握する対象となる合流部C1〜C6との組合せを予め記憶している。
図1に示されるように、分岐部S1には、その下流側において最初に設けられた合流部C1,C2が関連付けられており、異常把握部5は、関連付けられた分岐部S1と合流部C1,C2との組合せを記憶している。同様に、異常把握部5は、分岐部S2と合流部C3,C5との組合せ、分岐部S3と合流部C1との組合せ、分岐部S4と合流部C3,C5との組合せ、分岐部S5と合流部C6との組合せ及び分岐部S6と合流部C4,C6との組合せを記憶している。
【0037】
この前提の下に、異常把握部5は、次のように、異常の把握処理を実行する。例えば、
図4に示されるように、走行路R6を走行する走行車3Cについて合流部C3への進入許可の設定が行われた状態で、走行車3Cに異常が発生して走行車3Cが停止してしまった場合には、異常把握部5は、走行車3Cが合流部C3を所定時間通過しないときに、走行路R6で異常が発生したことを把握する。
【0038】
更に、上述したような状態で、走行車3Cに異常が発生して走行車3Cが停止してしまった場合には、異常把握部5は、走行路R6に進入した走行車3Bが走行路R6において所定時間車間停止したときに、走行路R6で異常が発生したことを把握する。つまり、異常把握部5は、走行路R6に進入した走行車3Bが、停止している走行車3Cから所定の車間距離をとって停止し、その状態で所定時間経過したときに、走行車3Bとの通信によって、走行路R6で異常が発生したことを把握する。
【0039】
以上の走行路R6での異常の把握情報は、合流部C3との組合せとして記憶された分岐部S2を通過しようとしている走行車3Aについて、走行路R6,R23の一方への進入可否の判断を行うときに(上述した進入可否判断部6によるステップS65の判断処理において)利用される。
[作用及び効果]
【0040】
以上のように構成された走行車システム1によれば、次に述べるように、走行車3の走行効率の向上を図りつつ、分岐部S1〜S6の下流で何らかの異常が発生しても、走行車3の渋滞範囲の拡大を抑制することが可能となる。
【0041】
すなわち、走行車システム1では、分岐部S2を直前に通過した走行車3Bが走行路R6に進入し、分岐部S2を直後に通過する走行車3Aが走行路R6に連続して進入しようとしている場合において、走行路R6での異常が把握されていないときには、走行路R6に連続して進入しようとしている走行車3Aについて走行路R6への進入可否の判断が省かれる。同様に、分岐部S2を直前に通過した走行車3Bが走行路R23に進入し、分岐部S2を直後に通過する走行車3Aが走行路R23に連続して進入しようとしている場合において、走行路R23での異常が把握されていないときには、走行路R23に連続して進入しようとしている走行車3Aについて走行路R23への進入可否の判断が省かれる。以上の作用は、分岐部S1,S3〜S6に関しても同様である。これにより、走行車3の走行効率を向上させることができる。
【0042】
走行車システム1では、分岐部S2を直前に通過した走行車3Bが走行路R6に進入し、分岐部S2を直後に通過する走行車3Aが走行路R6に連続して進入しようとしている場合において、走行路R6での異常が把握されたときには、走行路R6に連続して進入しようとしている走行車3Aについて走行路R6への進入可否の判断が行われる。同様に、分岐部S2を直前に通過した走行車3Bが走行路R23に進入し、分岐部S2を直後に通過する走行車3Aが走行路R23に連続して進入しようとしている場合において、走行路R23での異常が把握されたときには、走行路R23に連続して進入しようとしている走行車3Aについて走行路R23への進入可否の判断が行われる。以上の作用は、分岐部S1,S3〜S6に関しても同様である。これにより、異常が発生した分岐部S1〜S6の下流側の走行路R2,R6,R8,R11,R13,R15,R21〜R26(以下、「走行路R2等」という)に走行車3が連続して進入することに起因して、異常が発生した位置から走行車3の渋滞範囲が拡大するのを抑制することができる。
【0043】
走行車コントローラ4の異常把握部5は、分岐部S2の下流側の合流部C3に進入可と判断された走行車3Cが合流部C3を所定時間通過しないときに走行路R6での異常を把握する。同様に、異常把握部5は、分岐部S2の下流側の合流部C5に進入可と判断された走行車3が合流部C5を所定時間通過しないときに走行路R23での異常を把握する。以上の作用は、分岐部S1,S3〜S6に関しても同様である。これにより、分岐部S1〜S6の下流側の走行路R2等での異常を把握するためにセンサ等を新たに設ける必要がないため、簡易な構成で走行路R2等での異常を把握することができる。
【0044】
異常把握部5は、進入可否の判断を行う対象となる分岐部S1〜S6と、異常を把握する対象となる合流部C1〜C6との組合せを予め記憶している。これにより、分岐部S1〜S6に関連付けられた合流部C1〜C6を対象として走行路R2等での異常を把握するための処理を実行すれば済むため、処理負荷の増大を抑制しつつ走行路R2等での異常を把握することができる。
【0045】
異常把握部5は、分岐部S1〜S6の下流側の走行路R2等に進入した走行車3Bが走行路R2等において所定時間車間停止したときに異常を把握する。これにより、分岐部S1〜S6の下流側の走行路R2等での異常を把握するためにセンサ等を新たに設ける必要がないため、簡易な構成で走行路R2等での異常を把握することができる。
【0046】
走行車3Aは、分岐部S2を通過して走行路R6,R23の一方に進入するための進入許可の設定要求を行った場合において、走行車コントローラ4の進入可否判断部6によって走行路R6,R23の一方に進入可と所定時間判断されないときには、分岐部S2を通過して走行路R6,R23の他方に進入するための進入許可の設定要求を行う。これにより、分岐部S2を通過して走行路R6,R23の一方に進入するための進入許可の設定要求を行った走行車3Aが、走行路R6,R23の一方で異常が発生した場合に、分岐部S2の手前で停止し続けることが回避される。以上の作用は、分岐部S1,S3〜S6に関しても同様である。従って、分岐部S1〜S6から走行車3の渋滞範囲が拡大するのを抑制することができる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、走行車コントローラ4の異常把握部5は、走行路R2等(例えば、分岐部S1に対して、走行路R2又は走行路R21)での異常を把握するものに限定されず、少なくとも走行路R2等を含む分岐部S1〜S6の下流側走行路(例えば、分岐部S1に対して、走行路R2,R3又は走行路R21,R5)での異常を把握するものであってもよい。そして、異常把握部5は、少なくとも走行路R2等を含む分岐部S1〜S6の下流側走行路の所定部(合流部C1〜C6の他、走行路R2等が複数の他の走行路に分岐する場合におけるその分岐部や、ポイントPが設けられた部分等)に進入可と判断された走行車3が当該所定部を所定時間通過しないときに、当該下流側走行路での異常を把握してもよい。