特許第5748037号(P5748037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748037
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】懸垂式燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/40 20100101AFI20150625BHJP
【FI】
   B67D7/40 C
【請求項の数】1
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2009-253266(P2009-253266)
(22)【出願日】2009年11月4日
(65)【公開番号】特開2011-98743(P2011-98743A)
(43)【公開日】2011年5月19日
【審査請求日】2012年10月1日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズメジャメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(72)【発明者】
【氏名】阿部 繁
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 栄三
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−175198(JP,U)
【文献】 特開2003−312798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送液手段から送液された燃料を計量手段により計測し、高所に設けられたデリベリユニットから昇降自在に吊下してなる給液ホース先端の給液ノズルを介して給液対象に供給する懸垂式燃料供給装置であって、
前記給液ホースの前記デリベリユニット内からの導出/前記デリベリユニット内への収納を行うホース導出/収納機構と、
該ホース導出/収納機構による前記給液ホースの導出/収納量を計測するホース導出/収納量計測手段と、
前記給液ノズルの所定の昇降位置が該ホース導出/収納量計測手段の計測出力に基づくデータで記憶されている昇降位置記憶手段と、
該昇降位置記憶手段に記憶されている所定の昇降位置へ前記給液ホース先端の前記給液ノズルの昇降を指示するための操作手段と、
該操作手段の操作入力により、当該操作入力に対応した所定の昇降位置に前記給液ノズルを位置させるべく、前記昇降位置記憶手段に記憶されている当該所定の昇降位置に対応するデータと前記ホース導出/収納量計測手段により計測される前記給液ホースの導出/収納量との比較に基づいて、前記ホース導出/収納機構を駆動制御するホース昇降制御手段と、
前記給液ノズルの昇降を含む前記給液対象に対する燃料供給作業の繰り返しに伴って増加する、前記給液ホースの長さの伸びによる前記給液ノズルの所定の昇降位置のずれを抑制するように、前記給液対象に対する燃料供給作業の繰り返しに伴った前記給液ホースの使用状態に応じて、前記ホース昇降制御手段によって比較される前記昇降位置記憶手段に記憶されている所定の昇降位置に対応するデータ、又は前記ホース導出/収納量計測手段により計測される前記給液ホースの導出/収納量を補正する昇降位置補正制御手段と
を備え
前記昇降位置補正制御手段は、前記燃料供給作業の繰り返しに伴った前記給液ホースの使用状態としての前記送液手段から送液された燃料の積算量、又は前記操作手段の操作入力に基づく前記給液ノズルの積算昇降回数のいずれかに対応させて、前記昇降位置記憶手段に記憶されている所定の昇降位置に対応するデータ、又は前記ホース導出/収納量計測手段により計測される前記給液ホースの導出/収納量の補正量を記憶する昇降位置補正データテーブルを含み、
前記計量手段により計測された前記送液手段から送液された燃料の積算量、又は前記操作手段の操作入力に基づく前記給液ノズルの積算昇降回数のいずれかに応じた補正量を前記昇降位置補正データテーブルから選択し、当該選択した補正量により、前記ホース昇降制御手段によって比較される前記昇降位置記憶手段に記憶されている所定の昇降位置に対応するデータ、又は前記ホース導出/収納量計測手段により計測される前記給液ホースの導出/収納量を補正する
ことを特徴とする懸垂式燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給液ノズルを高所から昇降自在に吊下した構成の懸垂式燃料供給装置に係り、特に給液作業の繰り返しに伴って給液ノズルの昇降位置(昇降高さ位置)が変化しないように構成した懸垂式燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガソリン給油所(ガソリンスタンド)に設置される懸垂式給油装置は、一端がタンクに連通し、途中にポンプ等の送液手段や流量計等の計量手段を介在させた配管通路の他端が、給油所高所に設けられたデリベリユニットに接続された構成になっている。デリベリユニットは、先端に給油ノズルが接続されている給油ホースを導出/収納可能な構成になっており、その給油ホースの基端は前述の配管通路の他端と連通した構成になっている。この種のデリベリユニットとしては、給油ホースを巻回するためのホースリールを内部に備えたものや、給油ホースの導出/収納を行うホース案内ローラを内部に備えたものがある。
【0003】
デリベリユニットは、昇降用モータによってホースリール又はホース案内ローラを正/逆回転することによって、給油ホースのデリベリユニットに対する導出/収納を行い、吊下されている給油ホース先端の給油ノズルを昇降させる。給油ノズルの昇降は、給油ノズル又はその近傍に設けられた手元スイッチのスイッチ操作、又は事務所壁面等に配置された昇降操作盤のスイッチ操作により行われる。給油ノズル及び給油ホースは、各スイッチの操作に応じて、所定の昇降位置間(例えば、給油位置,待機位置,格納位置からなる3つの昇降位置の中の2位置間)で昇降する。その際、装置各部を制御する制御装置は、各スイッチの操作に応じて、給油ノズルを移動先の昇降位置に位置させるべく、デリベリユニット内に設けられた位置検出手段の検出信号に基づいて、同じくデリベリユニット内の昇降用モータを駆動制御する構成になっている。
【0004】
このような懸垂式給油装置にあって給油ノズルの昇降位置(昇降高さ位置)の設定は、ガソリン給油所毎で、デリベリユニットの設置高さ位置や給油作業に適したデリベリユニットからの給油ホースの導出長も異なるため、設置時に、専門の設置工事業者によって、例えば特開昭55−107697号公報,特開平6−293398号公報に示されているようにして、各昇降位置に対応させて、ホースリールに対する給油ホースの導出量/収納量を調整設定することにより行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭55−107697号公報
【特許文献2】特開平6−293398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような構成の懸垂式燃料供給装置にあっては、給液ノズル及び給液ホースの昇降位置は、デリベリユニット内の位置検出手段から供給される、ホースリール又はホース案内ローラの正/逆回転量に対応する検出信号、すなわちデリベリユニットに対しての給液ホースの導出量/収納量に対応する検出信号に基づいて、制御装置によって管理されている。
【0007】
一方、給液ホースは、給液作業時における給液ホース自体の取り回し、ひいては先端の給液ノズルの操作性等を鑑み、一般に屈曲性を有する弾性部材によって形成されている。そのため、デリベリユニットに対する給液ホースの導出/収納(給液ホースのホースリールに対する繰り出し/巻き取り等),燃料供給作業時に作用する液圧,先端の給液ノズルの重量や内部流路が燃料で満たされた給液ホースの自重等によって、燃料供給作業での使用に伴い、給液ホースの長さに伸びが生じる。
【0008】
この結果、懸垂式燃料供給装置では、燃料供給作業での使用に伴い、給液ホースの長さに伸びが生じると、給液ノズルが当初調整設定した所定の昇降位置(例えば、給油位置、待機位置、格納位置)で昇降停止せず、給液ノズルの昇降位置(昇降高さ位置)に位置ずれが生じる。
【0009】
この昇降位置の位置ずれは、給液作業時における給液ノズル及び給液ホースの良好な操作性等に影響を及ぼすため、給油所管理者は、給液ノズルの昇降位置の位置ずれが顕著になった場合は、設置工事業者やメンテナンス業者に依頼して、各昇降位置に対応する給液ホースの導出量/収納量を調整設定し直さなればならなかった。特に、給液ホースが新しい場合は、いわゆるホースの初期伸びがあるので、使用開始から短期間の中に、例えば使用開始から1週間後に、この初期伸びに対応して、給液ノズルの昇降位置のメンテナンス作業を行わなければならなかった。
【0010】
本発明は、懸垂式燃料供給装置の上述した問題点を鑑みなされたものであって、燃料供給作業での使用で給液ホースの長さに伸びが生じても、これに伴う給液ノズルの昇降位置ずれを抑制することができる懸垂式燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するために、給液ホースの伸びによる給液ノズルの昇降位置のずれを抑制するために、燃料供給作業での懸垂式燃料供給装置の使用具合に応じて給液ノズルの各昇降位置に対応する給液ホースの導出量/収納量を自動的に補正することを特徴とする。
【0012】
そのために、本発明は、送液手段から送液された燃料を計量手段により計測し、高所に設けられたデリベリユニットから昇降自在に吊下してなる給液ホース先端の給液ノズルを介して給液対象に供給する懸垂式燃料供給装置であって、前記給液ホースの前記デリベリユニット内からの導出/前記デリベリユニット内への収納を行うホース導出/収納機構と、該ホース導出/収納機構による前記給液ホースの導出/収納量を計測するホース導出/収納量計測手段と、前記給液ノズルの所定の昇降位置が該ホース導出/収納量計測手段の計測出力に基づくデータで記憶されている昇降位置記憶手段と、該昇降位置記憶手段に記憶されている所定の昇降位置へ前記給液ホース先端の前記給液ノズルの昇降を指示するための操作手段と、該操作手段の操作入力により、当該操作入力に対応した所定の昇降位置に前記給液ノズルを位置させるべく、前記昇降位置記憶手段に記憶されている当該所定の昇降位置に対応するデータと前記ホース導出/収納量計測手段により計測される前記給液ホースの導出/収納量との比較に基づいて、前記ホース導出/収納機構を駆動制御するホース昇降制御手段と、前記給液ノズルの昇降を含む前記給液対象に対する燃料供給作業の繰り返しに伴って増加する、前記給液ホースの長さの伸びによる前記給液ノズルの所定の昇降位置のずれを抑制するように、前記給液対象に対する燃料供給作業の繰り返しに伴った前記給液ホースの使用状態に応じて、前記ホース昇降制御手段によって比較される前記昇降位置記憶手段に記憶されている所定の昇降位置に対応するデータ、又は前記ホース導出/収納量計測手段により計測される前記給液ホースの導出/収納量を補正する昇降位置補正制御手段とを備え、前記昇降位置補正制御手段は、前記燃料供給作業の繰り返しに伴った前記給液ホースの使用状態としての前記送液手段から送液された燃料の積算量、又は前記操作手段の操作入力に基づく前記給液ノズルの積算昇降回数のいずれかに対応させて、前記昇降位置記憶手段に記憶されている所定の昇降位置に対応するデータ、又は前記ホース導出/収納量計測手段により計測される前記給液ホースの導出/収納量の補正量を記憶する昇降位置補正データテーブルを含み、前記計量手段により計測された前記送液手段から送液された燃料の積算量、又は前記操作手段の操作入力に基づく前記給液ノズルの積算昇降回数のいずれかに応じた補正量を前記昇降位置補正データテーブルから選択し、当該選択した補正量により、前記ホース昇降制御手段によって比較される前記昇降位置記憶手段に記憶されている所定の昇降位置に対応するデータ、又は前記ホース導出/収納量計測手段により計測される前記給液ホースの導出/収納量を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の懸垂式燃料供給装置によれば、燃料供給作業の使用で給液ホースの長さに伸びが生じても、これに伴う給液ノズルの昇降位置ずれを抑制することができ、給液ノズルの昇降位置の設定調整のためのメンテナンス作業を減少させ、給液ノズル及び給液ホースの給液作業時における操作性が変化するのを防ぎ、良好な操作性を長期に亘って維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の懸垂式燃料供給装置の一実施の形態としての懸垂式給油装置の構成図である。
図2】懸垂式給油装置を構成するデリベリユニットの一実施例の概略構成図である。
図3】昇降量検出器の実施例としての2相パルス列出力方式のロータリエンコーダの出力説明図である。
図4】懸垂式給油装置の制御装置に係り、制御装置と各部とのシステム構成図である。
図5】昇降位置設定テーブルの一実施例を示した図である。
図6】懸垂式給油装置をガソリン給油所に設置した当初の、給油ノズルの各昇降位置の一例の説明図である。
図7】懸垂式給油装置における設置当初状態と給油ホースが伸びた状態との昇降位置の比較対照図である。
図8】昇降位置補正データテーブルの一実施例を示した図である。
図9】制御装置が行う昇降位置補正データの取得処理の一実施例を示したフローチャートである。
図10】制御装置が行うホース昇降制御処理の一実施例を示したフローチャートである。
図11】昇降位置設定テーブルの他の実施例を示した図である。
図12】昇降位置補正データテーブルの他の実施例を示した図である。
図13】制御装置が行う昇降位置補正データの取得処理の他の実施例を示したフローチャートである。
図14】制御装置が行うホース昇降制御処理の他の実施例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の懸垂式燃料供給装置の一実施の形態について、図面に基づき説明する。
【0016】
図1は、本発明の懸垂式燃料供給装置の一実施の形態としての懸垂式給油装置の構成図である。
【0017】
図2は、懸垂式給油装置を構成するデリベリユニットの一実施例の概略構成図である。
【0018】
図中、給油所敷地1には、事務所等の建屋2,給油作業を行う給油エリア3等が設けられ、給油エリア3の上方には、例えば天井,キャノピ,又は梁等からなる高所4が形成されている。油液通路を構成する配管5は、一端側が地下タンク6に連通され、他端側が高所4を延び、デリベリユニット14に接続されている。また、この配管5を含む油液通路には、ポンプ用モータ7によって駆動されるポンプ8からなる送液手段や、流量発信器10が付設された流量計9からなる計量手段が設けられている。さらに、図示の例では、流量計9の流出側には、油液を予め設定された油量分だけ自動的に給油するプリセット給油等の給油停止に用いられる比例電磁弁11が設けられている。
【0019】
高所4には、ホース昇降機構としてのデリベリユニット14が設けられ、デリベリユニット14からは、先端に給油ノズル12を備えた給油ホース13が昇降可能に吊下されている。デリベリユニット14は、例えば図2に示すように、ホース導出口を備えた長箱状のケーシング15内に、ホースリール16が回転自在に軸支され、このホースリール16に給油ホース13がその基端側を固定されて巻回される構成になっている。給油ホース13の基端側は、高所4を延設された配管5の他端と連通し、給油ホース13及び給油ノズル12には、送液手段のポンプ8から吐出された油液が、計量手段の流量計9を介して供給されるようになっている。
【0020】
加えて、ケーシング15内には、ホースリール16を正/逆回転させるための昇降用モータ17が設けられている。昇降用モータ17は、正/逆回転可能なモータにより構成され、チェーン等の伝達機構18を介して、ホースリール16と接続され、ホースリール16を連動回転させる。デリベリユニット14は、この昇降用モータ17の駆動によりホースリール16を正回転或いは逆回転させ、ホースリール16から給油ホース13を繰り出してケーシング15内から給油ノズル12を導出させ、また、ホースリール16に給油ホース13を巻き取らせることにより給油ノズル12をケーシング15内に収納する。これにより、給油ノズル12を給油エリア3の地面に対して昇降させる。
【0021】
さらに、ケーシング15内には、この給油ノズル12及び給油ホース13を昇降制御する際の給油ノズル12の昇降位置を検出するための昇降位置検出手段として、昇降量検出器19が設けられている。昇降量検出器19は、チェーン等の伝達機構20を介して、ホースリール16又は昇降用モータ17に接続され、該ホースリール16の回転量を計測することによって、給油ホース13の繰り出し量(或いは巻き取り量)から給油ノズル12の昇降量を検出し、給油ノズル12の昇降位置を取得するためのものである。この昇降量検出器19は、例えば、2相パルス列出力方式のロータリエンコーダによって構成され、ホースリール16の回転量だけではなく、その回転方向(正回転/逆回転)も検出可能とされており、この回転方向からホースリール16からの給油ホース13の繰り出し、又はホースリール16への給油ホース13の巻き取りを判別するように構成されている。
【0022】
図3は、昇降量検出器の実施例としての2相パルス列出力方式のロータリエンコーダの出力説明図である。
【0023】
図3(a)は、ホースリール16の正転時、すなわち、ホースリール16からの給油ホース13の繰り出しによる、デリベリユニット14からの給油ノズル12の下降時における昇降量検出器19の検出出力である。この場合、A相パルス列出力はB相パルス列出力に対して位相が進んでいる。
【0024】
図3(b)は、ホースリール16の逆転時、すなわち、ホースリール16への給油ホース13の巻き取りによる、デリベリユニット14へ向けての給油ノズル12の上昇時における昇降量検出器19の検出出力である。この場合、A相パルス列出力はB相パルス列出力に対して位相が遅れている。
【0025】
さらに、ケーシング15内には、図2に示すように、給油ノズル12の昇降で、給油ノズル12の昇降量を計測する際の基準となる基準位置を検出するための基準位置検出用カムスイッチ機構21が設けられている。
【0026】
基準位置検出用カムスイッチ機構21は、周面の所定位置にノッチ22が形成された円板状カム23と、この円板状カム23の周面に対向して設けられた検出スイッチ24とから構成されている。検出スイッチ24は、その図示省略した作動片が円板状カム23の対向位置したノッチ22に係合することによりその出力状態が変化し、円板状カム23の所定の回転位置、すなわち基準位置を検出する。この円板状カム23は、図示せぬ減速機構を介して、ホースリール16の回転に比例して減速回転するようになっている。本実施の形態では、減速機構は、例えば、ホースリール16に巻き取られている給油ホース13を繰り出す場合のホースリール16の回転量(回転数)に対し、円板状カム23が1回転しないように、ホースリール16の回転を減速するようになっている。すなわち、下端位置と上端位置との間の給油ノズル12の昇降移動において、検出スイッチ24のスイッチ出力状態の変化が2度起きないように、ホースリール16の回転を減速して円板状カム23に伝達するようになっている。
【0027】
したがって、基準位置検出用カムスイッチ機構21は、給油所毎のデリベリユニット14の設置状況の違いに関係なく、ホースリール16の回転量範囲の中の1つの回転量位置を、そのノッチ22と検出スイッチ24の作動片との係合によって、基準位置として検出できるようになっている。
【0028】
懸垂式給油装置を工場から出荷する際は、先端に給油ノズル12を備えた給油ホース13は、設置場所まで輸送し易いようにホースリール16に巻回されてケーシング15内に収納された状態で出荷されることから、予め、この工場出荷の際に、基準位置検出用カムスイッチ機構21は、その検出スイッチ24の作動片が円板状カム23のノッチ22に係合している状態で出荷され、配送途中に、検出スイッチ24の作動片及びホースリール16と円板状カム23のノッチ22との相対位置がずれないようにしている。
【0029】
なお、この検出スイッチ24の作動片と円板状カム23のノッチ22との相対位置関係は、ホースリール16の回転位置とは独立して調整可能である。これにより、懸垂式給油装置の設置現場で、例えば、格納位置A、待機位置B、給油位置Cの中のいずれか1つの実際の給油ノズル12の昇降位置に合わせて、又はその格納位置Aよりも上方のデリベリユニット14近傍の給油ノズル12の上端位置Xに合わせて、検出スイッチ24の作動片が円板状カム23のノッチ22と係合し検出スイッチ24のスイッチ出力状態の変化が起きるように、両者の相対位置関係を変更調整することも可能になっている。
【0030】
加えて、デリベリユニット14のケーシング15には、昇降操作器26からの各種操作指示に係る無線送信信号を受信する受信器25が設けられ、受信器25は受信した各種操作指示を制御装置40に供給する。
【0031】
昇降操作器26は、給油ノズル12及び給油ホース13の昇降位置(例えば、給油位置C、待機位置B、格納位置A)それぞれの調整設定,給油作業時における給油ノズル12の所定の昇降位置間(例えば、給油位置C、待機位置B、格納位置Aからなる3つの予め設定された昇降位置の中の2位置間)での昇降,プリセット給油時のプリセット値の設定,等といった各種操作指示が行える操作入力部27と、この操作入力部27の操作に応じた各種操作指示を、デリベリユニット14の受信器25に無線信号で送信するための送信器28とを備えている。
【0032】
この昇降操作器26の操作入力部27には、図2に示すように、給油ノズル12及び給油ホース13の各昇降位置(格納位置A,待機位置B,給油位置C)の調整設定モード,プリセット給油及びプリセット値の設定入力モード,等といった各種モードの切り換えを行うために操作するモード切換スイッチ29,このモード切換スイッチ29の操作に基づいて選択されたモードでの操作入力の確定操作を行うために操作する設定スイッチ30,緊急時に懸垂式給油装置の作動を停止させるために操作する緊急停止スイッチ31,給油ノズル12及び給油ホース13を調整設定された格納位置Cと待機位置Bとの間で昇降させるために操作する格納/待機昇降スイッチ32,調整設定された待機位置Bに位置する給油ノズル12を調整設定された給油位置Aに下降位置させるために操作する下降スイッチ33,調整設定された給油位置Aに位置する給油ノズル12を調整設定された待機位置Bに上昇位置させるために操作する上昇スイッチ34,等を含む各種操作スイッチが設けられている。なお、この下降スイッチ33及び上昇スイッチ34は、前述したモード切換スイッチ29の切り換え操作による、給油ノズル12及び給油ホース13の昇降位置の調整設定モードでは、給油ノズル12を所望の高さ位置に位置させるための、昇降用モータ17の逆転駆動/停止操作スイッチ及び正駆動/停止操作スイッチを兼ねる。
【0033】
また、建屋2の高所等、顧客の見易い位置には給油量表示器35が設けられている。給油量表示器35は、制御装置40に信号接続され、給油作業時における車両に対する給油量等の給油情報を表示する。さらに、本実施の形態では、給油量表示器35は、給油ノズル12の昇降位置の調整設定モードでは、格納位置A,待機位置B,給油位置Cといった各昇降位置の調整設定作業の案内表示も可能になっている。
【0034】
制御装置40は、マイクロコンピュータ等を含んで構成され、受信器25で受信した昇降操作器26からの各種操作指示,昇降量検出器19からの図3に示したようなホースリール16の回転量並びにその正/逆回転方向に対応した検出出力,流量計9に付設されている流量発信器10からの単位流量パルス,等の各種入力を受け、ポンプ用モータ7,比例電磁弁11,昇降用モータ17, 給油量表示器35を始めとした懸垂式給油装置の各部の制御を行う。
【0035】
図4は、懸垂式給油装置の制御装置に係り、制御装置と各部とのシステム構成図である。
【0036】
制御装置40は、懸垂式給油装置の各部の制御を行うため、昇降位置調整設定手段41,ホース昇降制御手段42,送液制御手段43,給油演算表示制御手段44,昇降位置補正制御手段45といった、各種の制御手段として機能する。
【0037】
例えば、昇降位置調整設定手段41として、制御装置40は、昇降操作器26のモード切換スイッチ29の操作によって給油ノズル12及び給油ホース13の昇降位置の調整設定モードが指示された状態で、給油ノズル12の格納位置A,待機位置B,給油位置Cの昇降位置毎に対応させて、下降スイッチ33又は上昇スイッチ34の操作指示に基づき昇降用モータ17を下降/上昇駆動制御して給油ノズル12を所望の昇降高さ位置に移動位置させた後、設定スイッチ30の操作指示により、対応する昇降位置(格納位置A,待機位置B,給油位置C)として現在の昇降高さ位置を、昇降量検出器19の検出出力を基に設定する。
【0038】
また、ホース昇降制御手段42として、制御装置40は、昇降操作器26のモード切換スイッチ29の操作によって上述した昇降位置の調整設定モード以外の、例えば給油作業モードが指示された状態で、昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32の操作指示により上記昇降位置調整設定手段41として設定した待機位置B−格納位置A間で、下降スイッチ33又は上昇スイッチ34の操作指示により上記昇降位置調整設定手段41として設定した待機位置B−給油位置C間で、給油ノズル12を昇降移動させるため、昇降量検出器19の検出出力に基づいて昇降用モータ17を駆動/停止制御する。
【0039】
また、送液制御手段43として、制御装置40は、上述した給油作業モード状態で、給油ノズル12が給油作業のために待機位置Bから給油位置Cに下降して給油作業が開始されるときには、ポンプ用モータ7や比例電磁弁11を送液駆動してポンプ8から給油ノズル12への送液を開始させ、プリセット値に対応する給油が完了したとき、又は昇降操作器26の緊急停止スイッチ31や上昇スイッチ34の操作指示が供給されて給油作業が終了又は中断されたときには、ポンプ用モータ7や比例電磁弁11を送液停止駆動して、給油ノズル12への油液の供給/供給停止を制御する。
【0040】
また、給油演算表示制御手段44として、制御装置40は、給油ノズル12の操作による給油対象への油液補給中、流量計9に付設されている流量発信器10から供給される単位流量パルスを基に給油量Qを演算し、この給油量Qを含む給油情報を給油量表示器35に表示制御する一方、またプリセット給油が設定されているときには演算した給油量Qを設定されたプリセット値と随時比較し、プリセット値に対応する給油の完了を判定する。加えて、制御装置40は、給油演算表示制御手段44として、このような給油対象への給油作業毎の給油量Qの演算表示と並行して、メンテナンス時期やタンク内の油液補給時期等の管理のために、流量計9に付設されている流量発信器10から供給される単位流量パルスを基に、設置当初から現在までの積算給油量Qtを演算して記憶しておく給油量積算カウンタとしても機能する。
【0041】
また、昇降位置補正制御手段45として、制御装置40は、前述の昇降位置調整設定手段41として設定した格納位置A,待機位置B,給油位置Cに対応する給油ノズル12の昇降高さ位置の補正を行い、給油作業での使用で給液ホースの長さに伸びが生じても、ホース昇降制御手段42として昇降移動させる給油ノズル12の昇降位置(格納位置A,待機位置B,給油位置C)の高さ位置変化を抑制する。
【0042】
次に、上述した各種手段41〜45として機能する制御装置40の、昇降位置調整設定手段41,ホース昇降制御手段42,昇降位置補正制御手段45としての構成について詳述する。
【0043】
マイクロコンピュータ等を含んで構成される制御装置40は、そのマイクロコンピュータのCPUが昇降位置調整設定手段41,ホース昇降制御手段42,昇降位置補正制御手段45のそれぞれ制御部として機能し、このCPUに付属のROMには、CPUを昇降位置調整設定手段41,ホース昇降制御手段42,昇降位置補正制御手段45として機能させるための制御プログラムが記憶されている。同じく付属の不揮発性のRAMには、これら制御で用いられる昇降パルスカウンタ51,昇降位置設定テーブル52,昇降位置補正データテーブル53,等が構成されるとともに、給油演算表示制御手段44の積算給油量Qtが演算記憶される給油量積算カウンタ54、ホース昇降制御手段42の現在の給油ノズル12の昇降位置(格納位置A,待機位置B,給油位置Cの中のいずれか)を記憶する昇降位置メモリ55、給油ホースの伸び分を補正した各昇降位置の目標昇降位置データを記憶しておくための目標昇降位置テーブル56、等も構成されている。
【0044】
昇降パルスカウンタ51は、基準位置検出用カムスイッチ機構21から供給される検出信号の変化によって、その計数値がリセットされる。すなわち、検出スイッチ24の作動片が円板状カム23のノッチ22に係合することにより検出スイッチ24の検出信号がOFFからONへの切り換わり、又は検出スイッチ24の作動片がその円板状カム23のノッチ22から離脱することにより検出スイッチ24の検出信号がONからOFFへの切り換わることによって、その計数値Pがゼロリセット(P=0)される。
【0045】
その上で、昇降パルスカウンタ51は、昇降量検出器19から検出出力される、図3に示したような2相のパルス列の、ホースリール16の単位回転量毎に対応した各パルスの入力毎に、ホースリール16の正/逆回転方向、すなわち給油ホース13の繰り出し(導出)/巻き取り(収納)が判別され、その判別結果に基づいてその計数値Pがインクリメント又はデクリメントされる。
【0046】
これにより、昇降パルスカウンタ51は、円板状カム23のノッチ22に検出スイッチ24の作動片が係合しているホースリール16の回転基準位置からのホースリール16の現在の回転量、すなわち給油ホース13の繰り出し/巻き取り量を、その計数値Pにより計測する。
【0047】
昇降位置設定テーブル52は、格納位置A,待機位置B,給油位置Cの昇降位置毎に対応した、ホースリール16の回転基準位置からのそれぞれ回転量、すなわち格納位置A,待機位置B,給油位置Cの昇降位置毎に対応した昇降パルスカウンタ51のそれぞれ計数値P(A),P(B),P(C)を、それぞれの高さ設定位置として記憶しておくための記憶部である。
【0048】
図5は、この昇降位置設定テーブルの一実施例を示した図である。
【0049】
そして、各ガソリン給油所での懸垂式給油装置の設置時における、これら格納位置A,待機位置B,給油位置Cそれぞれの昇降高さ位置の調整設定について、図6を参照しながら説明する。
【0050】
図6は、懸垂式給油装置をガソリン給油所に設置した当初の、給油ノズルの各昇降位置A,B,Cの一例の説明図である。
【0051】
前述したように、懸垂式給油装置の工場からの出荷時には、先端に給油ノズル12を備えた給油ホース13は、設置場所まで輸送し易いようにホースリール16に巻回されてケーシング11内に収納された状態で出荷される。その際、基準位置検出用カムスイッチ機構21は、その検出スイッチ24の作動片が円板状カム23のノッチ22に係合している状態で出荷され、配送途中に、検出スイッチ24の作動片と円板状カム23のノッチ22との相対位置がずれないようになっている。また、その際のホースリール16には、給油ホース13が、例えば、デリベリユニット14のホース導出口が形成されたケーシング11の下面との関係で規定される、格納位置Aよりも上方のデリベリユニット14近傍の給油ノズル12の上端位置Xに合わせて巻回されている。
【0052】
そのため、ガソリン給油所でのデリベリユニット14の設置時には、高所4に取り付けたデリベリユニット14のケーシング15内から、ホース先端の給油ノズル12をケーシング15の下面のホース導出口から現れるようにした際には、図6(1)に示すような、検出スイッチ24の作動片が円板状カム23のノッチ22と係合している基準位置状態、すなわち給油ノズル12が上端位置Xになる。
【0053】
そして、電気配線工事を含めた設置作業が終了した後、設置工事業者等は、地上からの昇降操作器26の操作により、当該ガソリン給油所固有のデリベリユニット14の設置状況や給油作業状況に合わせて、格納位置A,待機位置B,給油位置Cの各昇降位置を調整設定する。
【0054】
各昇降位置A,B,Cの調整設定は、懸垂式給油装置の通電後、昇降操作器26のモード切換スイッチ29を操作してその動作モードを給油ノズル12及び給油ホース13の昇降位置の調整設定モードに切り換えた後、制御装置40が昇降位置調整設定手段41として、例えば、格納位置A,待機位置B,給油位置Cの順で、昇降操作器26からの操作指示を基に各位置に対応する昇降高さ位置を順次設定していく。
【0055】
例えば、まず、この上端位置Xに位置する給油ノズル12を、下降スイッチ33又は上昇スイッチ34の操作によって昇降用モータによりホースリール16を正/逆回転させながら、図6(2)に示すように、この上端位置X下方の格納位置Aとして適切な敷地面から高さ位置Haになるように昇降位置させた後、設定スイッチ30を操作することにより格納位置Aを設定する。
【0056】
その際、上端位置Xから給油ノズル12を下降させるときのホースリール16の回転により基準位置検出用カムスイッチ機構21の検出信号はONからOFFへ切り換わるので、昇降パルスカウンタ51は、その計数値Pがゼロリセットされた後、上端位置X,すなわち、この場合は基準位置検出用カムスイッチ機構21が検出するホースリール16の回転基準位置からの給油ホース13の繰り出し量(繰り出し長さ)L(a0)を、図3に示した昇降量検出器19からの検出出力に基づいて、ホースリール16の単位回転量毎に対応したパルスの計数値Pで計測する。
【0057】
これにより、上述の設定スイッチ30の操作によって、昇降位置設定テーブル52には、設定スイッチ30が操作されたときの昇降パルスカウンタ51の計数値Pa0が、図5に示したように格納位置Aの昇降位置設定データP(A)として記憶される。
【0058】
続いて、この格納位置Aに続けて、待機位置B,給油位置Cが、下降スイッチ33又は上昇スイッチ34及び設定スイッチ30の同様操作により、順次、図6(3),(4)に示すようにして、適切な敷地面からの高さ位置をHb,Hcとして調整設定されると、昇降位置設定テーブル52には、待機位置B,給油位置Cそれぞれでのホースリール16の回転基準位置からの給油ホース13の繰り出し量(繰り出し長さ)L(b0),L(c0)に対応した、昇降パルスカウンタ51の計数値Pb0,Pc0が、図5に示したように待機位置B,給油位置Cそれぞれの昇降位置設定データP(B),P(C)として記憶される。
【0059】
ここで、各計数値Pa0,Pb0,Pc0の関係は、Pa0≦Pb0<Pc0である。そして、この調整設定時において、昇降位置設定テーブル52に記憶された昇降パルスカウンタ51の計数値Pa0,Pb0,Pc0で表されるホース13の繰り出し量L(a0),L(b0),L(c0)は、上端位置Xと格納位置Aとの間の高さ距離(Hx−Ha),上端位置Xと待機位置Bとの間の高さ距離(Hx−Hb),上端位置Xと給油位置Cとの間の高さ距離(Hx−Hc)と等しい。
【0060】
このようにして、懸垂式給油装置の設置時に、格納位置A,待機位置B,給油位置Cが調整設定された後は、昇降操作器26のモード切換スイッチ29を操作してその動作モードを給油ノズル12及び給油ホース13の昇降位置の調整設定モードから給油作業モードに切り換えた後、給油所営業開始時,給油作業開始時,給油作業終了時,給油所営業終了時に応じて、昇降操作器26の操作入力部27に含まれる格納/待機昇降スイッチ32,下降スイッチ33,上昇スイッチ34の操作指示(操作入力)を基に、制御装置40がホース昇降制御手段42として、昇降位置設定テーブル52から移動先の昇降位置A,B,Cに対応する昇降パルスカウンタ51の計数値Pa0,Pb0,Pc0を目標位置(目標値)として設定し、この目標位置の計数値Pa0,Pb0,Pc0と現在の昇降パルスカウンタ51の計数値Pとの比較に基づいて、給油ノズル12及び給油ホース13を2位置間で昇降させる。
【0061】
具体的には、給油ノズル12が格納位置Aに位置している給油所営業開始時、昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32の操作入力により、制御装置40は、格納位置Aの給油ノズル12を給油作業に備えた待機位置Bに下降位置させるため、昇降位置設定テーブル52から待機位置Bに対応して設定されている昇降パルスカウンタ51の計数値Pb0を読み出して、これを待機位置Bに対応する高さ位置Hbに給油ノズル12を位置させるための目標位置として設定する。そして、制御装置40は、昇降用モータ17を正転駆動してホースリール16を正転させて、給油ホース13をホースリール16から繰り出して、格納位置Aにある給油ノズル12を下降させる。
【0062】
この給油ノズル12の下降移動に伴い、昇降パルスカウンタ51の計数値Pは、制御装置40により、昇降量検出器19の検出出力を基にホースリール16の回転量、すなわち給油ホース13の繰り出し量Lに応じ、給油ノズル12が格納位置Aに位置していたときの計数値Pa0から、ホースリール16の単位回転量毎、すなわち給油ホース13の所定繰り出し量毎にインクリメントされる。その上で、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標位置としての計数値Pb0になった場合は、昇降用モータ17の正転駆動を停止してホースリール16を回転停止させて、給油ノズル12を待機位置Bに位置させる。このとき、昇降位置メモリ55に、格納位置Aに代えて待機位置Bを記憶する。
【0063】
また、反対に、給油所営業終了時に、給油ノズル12が給油作業の開始に備えて待機位置Bに位置している場合、昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32の操作入力により、制御装置40は、待機位置Bの給油ノズル12を格納位置Aに上昇位置させるため、昇降位置設定テーブル52から格納位置Aに対応して設定されている昇降パルスカウンタ51の計数値Pa0を読み出して、これを格納位置Aに対応する高さ位置Haに給油ノズル12を位置させるための目標位置として設定する。そして、制御装置40は、昇降用モータ17を逆転駆動してホースリール16を逆転させて、給油ホース13をホースリール16に巻き取って、待機位置Bにある給油ノズル12を上昇させる。
【0064】
この給油ノズル12の上昇移動に伴い、昇降パルスカウンタ51の計数値Pは、制御装置40により、昇降量検出器19の検出出力を基に、ホースリール16の回転量、すなわち給油ホース13の巻き取り量Lに応じ、給油ノズル12が待機位置Bに位置していたときの計数値Pb0から、ホースリール16の単位回転量毎、すなわち給油ホース13の所定巻き取り量毎にデクリメントされる。その上で、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標位置としての計数値Pa0になった場合は、昇降用モータ17の逆転駆動を停止してホースリール16を回転停止させて、給油ノズル12を格納位置Aに位置させる。このとき、昇降位置メモリ55に、待機位置Bに代えて格納位置Aを記憶する。
【0065】
一方、給油作業開始に備えて給油ノズル12が待機位置Bに位置している場合、給油作業実施のための昇降操作器26の下降スイッチ33の操作入力により、制御装置40は、待機位置Bの給油ノズル12を給油位置Cに下降位置させるため、昇降位置設定テーブル52から給油位置Cに対応して設定されている昇降パルスカウンタ51の計数値Pc0を読み出して、これを給油位置Cに対応する高さ位置Hcに給油ノズル12を位置させるための目標位置として設定する。そして、制御装置40は、昇降用モータ17を正転駆動してホースリール16を正転させて、給油ホース13をホースリール16から繰り出して、待機位置Bにある給油ノズル12を下降させる。
【0066】
この給油ノズル12の下降移動に伴い、昇降パルスカウンタ51の計数値Pは、制御装置40により、昇降量検出器19の検出出力を基に、ホースリール16の回転量、すなわち給油ホース13の繰り出し量Lに応じ、給油ノズル12が待機位置Bに位置していたときの計数値Pb0から、ホースリール16の単位回転量毎、すなわち給油ホース13の所定繰り出し量毎にインクリメントされる。その上で、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標位置としての計数値Pc0になった場合は、昇降用モータ17の正転駆動を停止してホースリール16を回転停止させて、給油ノズル12を給油位置Cに位置させる。このとき、昇降位置メモリ55に、待機位置Bに代えて給油位置Cを記憶する。
【0067】
また、反対に、給油作業終了時に、昇降操作器26の上昇スイッチ34の操作入力により、制御装置40は、給油位置Cの給油ノズル12を待機位置Bに上昇位置させるため、昇降位置設定テーブル52から待機位置Bに対応して設定されている昇降パルスカウンタ51の計数値Pb0を読み出して、これを待機位置Bに対応する高さ位置Hbに給油ノズル12を位置させるための目標位置として設定する。そして、制御装置40は、昇降用モータ17を逆転駆動してホースリール16を逆転させて、給油ホース13をホースリール16に巻き取って、給油位置Cにある給油ノズル12を上昇させる。
【0068】
この給油ノズル12の上昇移動に伴い、昇降パルスカウンタ51の計数値Pは、制御装置40により、昇降量検出器19の検出出力を基に、ホースリール16の回転量、すなわち給油ホース13の巻き取り量Lに応じ、給油ノズル12が給油位置Cに位置していたときの計数値Pc0から、ホースリール16の単位回転量毎、すなわち給油ホース13の所定巻き取り量毎にデクリメントされる。その上で、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標位置としての計数値Pb0になった場合は、昇降用モータ17の逆転駆動を停止してホースリール16を回転停止させて、給油ノズル12を待機位置Bに位置させる。このとき、昇降位置メモリ55に、給油位置Cに代えて待機位置Bを記憶する。
【0069】
ところで、このような懸垂式給油装置では、給油ホース13は、給油作業時における給油ホース13自体の取り回し、ひいては先端の給油ノズル12の操作性等を鑑み、屈曲性を有する弾性部材によって形成されている。そのため、デリベリユニット14に対しての給油ホース13の導出/収納(給油ホース13のホースリール16に対する繰り出し/巻き取り),給油作業時に作用する液圧,先端の給油ノズル12の重量や内部流路が油液で満たされた給油ホース13の自重等によって、給油作業での使用に伴い、給油ホース13はその長さに伸びが生じる。
【0070】
図7は、懸垂式給油装置における設置当初状態と給油ホースが伸びた状態との昇降位置の比較対照図である。
【0071】
具体的には、懸垂式給油装置の設置当初の、給油ホースの長さに伸びが未だ生じていない状態では、図7に示すように、基準位置検出用カムスイッチ機構21の検出スイッチ24の作動片が円板状カム23のノッチ22と係合している基準位置状態にあって、上端位置Xと格納位置Aとの間の高さ距離(Hx−Ha)に相当のホース長さLxaは、昇降パルスカウンタ51の計数値Pa0で表されるホース繰り出し/巻き取り長さLa0と等しく、格納位置Aと待機位置Bとの間の高さ距離(Ha−Hb)に相当のホース長さLabは、昇降パルスカウンタ51の計数値(Pb0−Pa0)で表されるホース繰り出し/巻き取り長さ(Lb0−La0)と等しく、待機位置Bと給油位置Cとの間の高さ距離(Hb−Hc)に相当のホース長さLbcは、昇降パルスカウンタ51の計数値(Pc0−Pb0)で表されるホース繰り出し/巻き取り長さ(Lc0−Lb0)と等しい。
【0072】
ところが、給油作業での使用に伴い、給油ホース13はその長さ全域に亘って伸びが生じることになる。そのため、図7に示すような給油ホース13の導出状態において、給油ホース13の基端側から昇降パルスカウンタ51の計数値開始位置に当たる上端位置Xまでのホース長さ位置も変位する。これにより、設置当初の基端側から上端位置Xまでに相当する給油ホース13の長さ位置部分は、設置当初の基端から上端位置Xまでの給油ホース13の長さの伸び分δ0だけ、上端位置Xから下降位置することになる。同様にして、設置当初の基端側から格納位置Aまでに相当する給油ホース13の長さ位置部分は、この伸び分δ0に加えて、上端位置Xと格納位置Aとの間の高さ距離(Hx−Ha)に相当のホース長さLxaの伸び分δaだけ、格納位置Aから下降位置することになる。設置当初の基端側から待機位置Bまでに相当する給油ホース13の長さ位置部分は、これら伸び分δ0,δaに加えて、格納位置Aと待機位置Bとの間の高さ距離(Ha−Hb)に相当のホース長さLabの伸び分δbだけ、待機位置Bから下降位置することになる。設置当初の基端側から給油位置Cまでに相当する給油ホース13の長さ位置部分は、これら伸び分δ0,δa,δbに加えて、待機位置Bと給油位置Cとの間の高さ距離(Hb−Hc)に相当のホース長さLbcの伸び分δcだけ、給油位置Cから下降位置することになる。
【0073】
したがって、給油ノズルの各昇降位置A,B,C間の昇降のための給油ホース13の繰り出し/巻き取り量(導出/収納量)は変わらないとすると、伸びた後の各昇降位置A,B,Cは、設置当初の高さ位置Ha,Hb,Hcよりも、長さ(δ0+δa+δb+δc)分だけそれぞれ下降し、この伸び分(δ0+δa+δb+δc)は、昇降パルスカウンタ51によりホース繰り出し/巻き取り長さとして計数されない、すなわち昇降量検出器19で検出できない長さ分である。
【0074】
さらに、ホースリール16に給油ホース13を重ね巻きして収納するホース昇降機構を採用するデリベリユニット14にあっては、ホースリール16に重ね巻きされた給油ホース13の断面も当初の円形から潰れて扁平するようになり、ホースリール16の回転量に対する給油ホース13の導出/収納量も低下し始めるようになり、昇降量検出器19で検出できない長さ分(δ0+δa+δb+δc)はさらに増加することになる。
【0075】
そのため、懸垂式給油装置において、給油作業での使用に伴い、給油ホース13の設置当初の長さに対して伸びが生じた場合でも、給油ノズル12の設置当初の各昇降位置A,B,Cの高さ位置Ha,Hb,Hcが変化しないようにするために、図5に示した昇降位置設定テーブル52の各昇降位置A,B,Cのそれぞれ目標位置(目標値)としての昇降位置設定データPa0,Pb0,Pc0を、上述の計数されないホース伸び分(δ0+δa+δb+δc)に対応する昇降パルスカウンタ51の計数分δpに基づいて補正する必要がある。
【0076】
そこで、図8に示すように、設置当初の長さに対する給油作業での使用に伴う給油ホース13の伸び度合いに応じて、目標位置としての昇降位置設定データPa0,Pb0,Pc0の補正のための昇降位置補正データδpが、昇降位置補正データテーブル53に記憶されている。
【0077】
図8は、この昇降位置補正データテーブルの一実施例を示した図である。
【0078】
図8に示す昇降位置補正データテーブル53では、設置当初の長さに対する給油作業での使用に伴う給油ホース13の伸び度合いが、予め実機実験やシミュレーションによって取得された、積算給油量の増加に伴う積算給油量の値範囲毎に対応した、昇降位置設定データPa0,Pb0,Pc0の補正のための昇降位置補正データδpとして記憶されている。
【0079】
すなわち、図8に示す昇降位置補正データテーブル53では、例えば、積算給油量が0〜4klの範囲の、設置当初の懸垂式給油装置の給油ホース13の使用では、各昇降位置A,B,Cの設置当初の高さ位置Ha,Hb,Hcに対する高さ位置変化は考慮する程ではないが、積算給油量が5〜9,10〜14,15〜19,20〜klの範囲の給油作業での給油ホース13の使用では、格納位置A,待機位置B,給油位置Cについては設置当初の目標位置としての昇降位置設定データPa0,Pb0,Pc0について昇降パルスカウンタ51の計数分で5,9,12,14パルス分の高さ位置が低下し、昇降位置補正データδp=5,9,12,14が記憶されていることを示している。
【0080】
次に、本実施の形態の懸垂式給油装置に係り、制御装置40が昇降位置補正制御手段45として行う昇降位置補正制御処理、並びにホース昇降制御手段42として行うホース昇降制御処理について、図9図10により説明する。
【0081】
図9は、制御装置が行う昇降位置補正データの取得処理の一実施例を示したフローチャートである。
【0082】
制御装置40は、例えば、下記1)〜7)に示される所定タイミングで昇降位置補正データの取得処理を行なう。
1) 格納位置A若しくは待機位置Bで格納/待機昇降スイッチ32が操作されたときのホース昇降制御前。
2) そのホース昇降制御により待機位置B若しくは格納位置Aに給油ノズル12が移動位置した以降。
3) 待機位置Bで下降スイッチ33が操作されたときのホース下降制御前。
4) そのホース下降制御により給油位置Cに給油ノズル12が移動位置した以降。
5) 給油位置Cで上昇スイッチ34が操作されたときのホース上昇制御前。
6) そのホース上昇制御により待機位置Bに給油ノズル12が移動位置した以降。
7) 懸垂式給油装置の装置電源の投入時。
【0083】
そして、制御装置40は、この取得処理において、まずは給油量積算カウンタ54に演算記憶されている積算給油量Qtを読み出し(ステップS11)、この積算給油量Qtを基に、昇降位置補正データテーブル53から対応する給油ノズル12の昇降位置補正データδpを取得する(ステップS12)。
【0084】
そして、制御装置40は、設置当初の各昇降位置A,B,Cのそれぞれ目標位置(目標値)としての昇降位置設定データPa0,Pb0,Pc0、及び取得した給油ノズル12の昇降位置補正データδpに基づいて、各昇降位置A,B,Cに対応した補正目標位置(目標値)Pa1,Pb1,Pc1を演算して取得する(ステップS13)。
【0085】
例えば、現在の積算給油量Qtが3klである場合は、図8に示した昇降位置補正データテーブル53を用いて、δp=0を取得する。したがって、この場合の各昇降位置A,B,Cに対応した目標昇降位置(目標値)データPa1,Pb1,Pc1は、設置当初の昇降位置設定データPa0,Pb0,Pc0のままであり、目標昇降位置テーブル56には、この設置当初の昇降位置設定データPa0,Pb0,Pc0がそのまま記憶される。同様に、現在の積算給油量Qtが11klである場合は、図8に示した昇降位置補正データテーブル53を用いて、δp=9を取得する。そして、各昇降位置A,B,Cに対応した補正目標位置(目標値)Pa1,Pb1,Pc1として、Pa1=Pa0−δp=Pa0−9,Pb1=Pa1+Lab=Pa0−9+(Pb0−Pa0) =Pb0−9,Pc1=Pa1+Lab+Lbc=Pc0−9を取得する。
【0086】
制御装置40は、各昇降位置A,B,Cに対応した目標昇降位置データPa1,Pb1,Pc1を取得すると、目標昇降位置テーブル56に更新記憶し、この目標昇降位置データPa1,Pb1,Pc1に基づいて、格納位置A若しくは待機位置Bでの格納/待機昇降スイッチ32,待機位置Bでの下降スイッチ33,給油位置Cでの上昇スイッチ34の各操作に基づく給油ノズル12及び給油ホース13の昇降制御を、図10に示すように行う。
【0087】
図10は、制御装置が行うホース昇降制御処理の一実施例を示したフローチャートである。
【0088】
給油作業モード状態において、給油所作業者により昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32,下降スイッチ33,又は上昇スイッチ34のいずれかが操作され、その操作指示を受信器25が受信すると(ステップS31)、制御装置40は、給油ノズル12が現在位置している昇降位置を昇降位置メモリ55から読み出して(ステップS32)、その操作指示がホース昇降制御処理において有効であるか否かを判別する(ステップS33)。ここで、有効な操作指示とは、例えば、格納位置Aにおける格納/待機昇降スイッチ32の操作による操作指示や、待機位置Bにおける格納/待機昇降スイッチ32又は下降スイッチ33の操作による操作指示や、給油位置Cにおける上昇スイッチ34の操作による操作指示を指す。有効でない操作指示とは、例えば、格納位置Aにおける下降スイッチ33又は上昇スイッチ34の操作による操作指示や、待機位置Bにおける上昇スイッチ34の操作による操作指示、等を指す。
【0089】
制御装置40は、受信した操作指示が有効な操作指示である場合は、目標昇降位置テーブル56から、この操作指示に対応するデータPa1,Pb1,Pc1の中のいずれかを読み出し、目標昇降位置Ptとして設定する(ステップS34)。例えば、格納位置Aで格納/待機昇降スイッチ32が操作された場合はデータPb1を読み出し、待機位置Bで下降スイッチ33が操作された場合はデータPc1を読み出し、待機位置Bで格納/待機昇降スイッチ32が操作された場合はデータPa1を読み出し、給油位置Cで上昇スイッチ34が操作された場合はデータPb1を読み出し、目標昇降位置Ptとして設定する。これに対し、制御装置40は、受信した操作指示が無効な操作指示である場合は、ホース昇降制御処理を終了し、給油ノズル12の実際の昇降は行わない。
【0090】
制御装置40は、目標昇降位置Ptを設定すると、目標昇降位置Ptへの給油ノズル12の移動が現在の昇降位置からの上昇に当たるか又は下降に当たるかに応じて(ステップS35)、次のように各部を制御する。
【0091】
制御装置40は、給油ノズル12の現在の昇降位置からの移動が下降である場合は、昇降用モータ17を正転駆動して、給油ホース13のデリベリユニット14内部から導出(繰り出し)を開始させる(ステップS41)。
【0092】
その後、制御装置40は、基準位置検出用カムスイッチ機構21の検出出力状態に変化が起きているか否かを確認し(ステップS42)、基準位置検出用カムスイッチ機構21の検出出力状態に変化が起きている場合には、昇降パルスカウンタ51の計数値をゼロリセットするとともに(ステップS43)、昇降用モータ17の駆動を停止する(ステップS51)。なお、本実施の形態の場合は基準位置が格納位置Aよりも上方の上端位置Xに調整設定されているので、昇降位置メモリ55に記憶されている昇降開始時すなわち移動元の昇降位置データを、基準位置(上端位置X)に更新記憶する。制御装置40は、基準位置検出用カムスイッチ21の検出出力状態に変化が起きていない場合は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pを、昇降量検出器19から供給される、図3(a),(b)に示すようなパルス列出力を形成する昇降パルスの入力に基づいてインクリメントして、昇降パルスを計数する(ステップS44)。併せて、制御装置40は、給油ノズル12の昇降速度に対応する昇降パルスの入力周波数、及びこの昇降パルスのA相,B相の両パルス列出力間の位相関係に基づいたホースリール16の回転方向を算出し(ステップS45)、昇降パルスの入力周波数が予め定められている停止判別周波数(例えば、通常の給油ノズル12の昇降速度を9[mm/ハ゜ルス]とした場合に、70[Hz])を超えているか否か(ステップS46)、ホースリール16の回転方向が下降方向であるか否か(ステップS48)、について確認する。
【0093】
この確認の結果、昇降パルスの入力周波数が停止判別周波数を超えていない場合には、制御装置40は、昇降用モータ17,昇降量検出器19,伝達機構18,20に異常や故障が生じたものと判定して、給油量表示器35に対応するエラー通知を表示させて対応エラーモードを設定するとともに(ステップS47)、昇降用モータ17の駆動を即座に停止させる(ステップS51)。これにより、例えば、ホースリール16は回転しても、昇降量検出器19の故障により昇降パルス列出力が出力されない場合の、給油ノズル12が下降停止せず、さらにはホースリール16に逆巻きされてしまう、等といった故障被害を防ぐことができる。
【0094】
また、ホースリール16の回転方向が上昇方向である場合は(ステップS48)、昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32,下降スイッチ33,又は上昇スイッチ34と、各スイッチ32〜35の操作指示に基づくホースリール16の正/逆回転、すなわち給油ホース13の導出/収納が対応しておらず、設置現場での3相モータからなる昇降用モータ17の電源配線工事ミスや、昇降量検出器19から出力されるA相,B相のパルス列出力の配線取り違いミス等が生じているものと判定して、同様に、給油量表示器35に対応するエラー通知を表示させて対応エラーモードを設定するとともに(ステップS49)、昇降用モータ17の駆動を即座に停止させる(ステップS51)。これにより、昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32,下降スイッチ33,又は上昇スイッチ34の操作による給油ノズル12の昇降移動の誤動作を防止することができる。
【0095】
これに対して、制御装置40は、昇降パルスの入力周波数が予め定められている停止判別周波数を超えており、ホースリール16の回転方向も下降方向である場合は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達したか否かを判別する(ステップS50)。制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達していない場合(すなわち、P<Ptの場合)は、未だ給油ノズル12が目標昇降位置に到達していないものとして、上述したステップS42〜S50で説明した処理を繰り返す。このステップS42〜S50に示す処理の繰り返しにより、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達したことを判別すれば(ステップS50)、昇降用モータ17の駆動を停止して(ステップS51)、昇降位置メモリ55に記憶されている昇降開始時の移動元の昇降位置データを、昇降完了時すなわち目標昇降位置Ptに対応する昇降位置データに更新記憶して、ホース昇降制御処理を終了する。
【0096】
一方、前述したステップS34で、給油ノズル12の移動が現在の昇降位置からの上昇である場合は、昇降用モータ17を逆転駆動して、デリベリユニット14への給油ホース13の収納(巻き取り)を開始させる(ステップS61)。
【0097】
その後、制御装置40は、基準位置検出用カムスイッチ21の検出出力状態に変化が起きているか否かを確認し(ステップS62)、基準位置検出用カムスイッチ21の検出出力状態に変化が起きている場合には、昇降パルスカウンタ51の計数値をゼロリセットするとともに(ステップS63)、昇降用モータ17の駆動を停止する(ステップS71)。なお、本実施の形態の場合は基準位置が格納位置Aよりも上方の上端位置Xに調整設定されているので、昇降用モータ17の駆動を停止して、昇降位置メモリ55に記憶されている昇降開始時すなわち移動元の昇降位置データを、基準位置(上端位置X)に更新記憶する。制御装置40は、基準位置検出用カムスイッチ機構21の検出出力状態に変化が起きていない場合はそのまま、昇降パルスカウンタ51の計数値Pを昇降量検出器19から供給される、図3(a),(b)に示すようなパルス列出力を形成する昇降パルスの入力に基づいてデクリメントして、昇降パルスを計数する(ステップS64)。併せて、制御装置40は、給油ノズル12の昇降速度に対応するこの昇降パルスの入力周波数、及びこの昇降パルスのA相,B相の両パルス列出力間の位相関係に基づいたホースリール16の回転方向を算出し(ステップS65)、昇降パルスの入力周波数が予め定められている停止判別周波数を超えているか否か(ステップS66)、ホースリール16の回転方向が上昇方向であるか否か(ステップS68)、について確認する。
【0098】
この確認の結果、昇降パルスの入力周波数が停止判別周波数を超えていない場合には、制御装置40は、昇降用モータ17,昇降量検出器19,伝達機構18,20に異常や故障が生じたものと判定して、給油量表示器35に対応するエラー通知を表示させて対応エラーモードを設定するとともに(ステップS67)、昇降用モータ17の駆動を即座に停止させる(ステップS71)。これにより、例えば、昇降量検出器19の故障等を検出できる。
【0099】
また、ホースリール16の回転方向が下降方向である場合は、昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32,下降スイッチ33,又は上昇スイッチ34と、各スイッチ32〜35の操作指示に基づくホースリール16の正/逆回転、すなわち給油ホース13の導出/収納が対応していないものと判定して、給油量表示器35に対応するエラー通知を表示させて対応エラーモードを設定するとともに(ステップS69)、昇降用モータ17の駆動を即座に停止させる(ステップS71)。これにより、昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32,下降スイッチ33,又は上昇スイッチ34の操作による給油ノズル12の昇降移動の誤動作を防止することができる。
【0100】
一方、制御装置40は、昇降パルスの入力周波数が予め定められている停止判別周波数を超えており、ホースリール16の回転方向も上昇方向である場合は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達したか否かを判別する(ステップS70)。そして、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達していない場合(すなわち、Pt<Pの場合)は、未だ給油ノズル12が目標昇降位置に到達していないものとして、上述したステップS62〜S70で説明した処理を繰り返す。このステップS62〜S70に示した処理の繰り返しにより、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達したことを判別すれば(ステップS70)、昇降用モータ17の駆動を停止して(ステップS71)、昇降位置メモリ55に記憶されている昇降開始時すなわち移動元の昇降位置データを、昇降完了時すなわち目標昇降位置Ptに対応する昇降位置データに更新記憶して、ホース昇降制御処理を終了する。
【0101】
このように、本実施の形態の懸垂式給油装置によれば、給油作業での使用で給油ホース13の長さに伸びが生じ、設置当初に調整設定した格納位置A,待機位置B,給油位置Cといった給油ノズル12の昇降位置の高さにずれが生じても、給油作業での使用で増加する積算給油量に対応させて、給油ホース13の伸びによる給油ノズル12の昇降位置の位置ずれの補正量δpを、予め昇降位置補正データテーブル53に記憶しておき、積算給油量の適宜時点において対応する補正量δpに基づき、給油ノズル12の昇降位置の高さ位置を自動的に補正するようにしたので、給油ホース13の長さに伸びが生じても、これに伴う給油ノズル12の昇降位置ずれを抑制することができ、給油ノズル12の昇降位置の設定調整のためのメンテナンス作業を減少させ、給油ノズル12及び給油ホース13の給油作業時における操作性が変化するのを防ぎ、良好な操作性を長期に亘って維持することができる。
【0102】
なお、上述した実施の形態の懸垂式給油装置では、そのホース昇降機構は、ホースリール16を正/逆回転してデリベリユニット14に対し給油ホース13を導出/収納する構成としたが、給油ホース13の導出/収納を行うホース案内ローラを内部に備え、このホース案内ローラをモータで正/逆回転駆動する構成であってもよい。また、給油ノズル12の昇降位置は、格納位置A,待機位置B,給油位置Cの3位置としたが、格納位置A及び待機位置Bは同位置であっても構わない。さらに、基準位置は、上端位置Xとして、これら昇降位置よりも上方に対応する給油ホース13の長さ位置として設定したが、給油ホース13の当初長さ範囲であれば、基準位置検出用カムスイッチ機構21の調整により適宜変更して設定することも可能である。この場合、設置当初の基端から上端位置Xまでの給油ホース13の長さの伸び分δ0が、格納位置Aと待機位置Bとの間の高さ距離(Ha−Hb)に相当のホース長さLabの伸び分δbや、待機位置Bと給油位置Cとの間の高さ距離(Hb−Hc)に相当のホース長さLbcの伸び分δcに比して小さく、格納位置Aの高さ変化が給油作業に与える影響が少ないことを考えると、設置当初、基準位置を格納位置Aに設定して、昇降パルスカウンタ51の計数値Pによらずに、基準位置検出用カムスイッチ21の検出出力によって昇降停止制御することも可能である。
【0103】
また、その制御装置40のホース昇降制御構成、並びに昇降位置補正制御構成についても、種々の変形例が可能であるが、その中の一実施例について、図11図13により、説明する。
【0104】
図11は、昇降位置設定テーブルの他の実施例を示した図である。
【0105】
図11に示す昇降位置設定テーブル152の昇降位置データは、図7に示した、給油ノズル12の上端位置X-昇降位置A間の高さ距離(Hx−Ha)に相当のホース長さLxa,昇降位置A-B間の高さ距離(Ha−Hb)に相当のホース長さLab,昇降位置B-C間の高さ距離(Hb−Hc)に相当のホース長さLbcを、それぞれ導出/収納するときに昇降量検出器19から供給される昇降パルス数Pa0,Pb0−Pa0,Pc0−Pb0が、昇降位置設定データP(A),P(B),P(C)として記憶されている。
【0106】
図12は、昇降位置補正データテーブルの他の実施例を示した図である。
【0107】
図12に示す昇降位置補正データテーブル153では、図8に示した昇降位置補正データテーブル53に、対応する積算給油量Qtの範囲について補正量δpが既に補正済みであるか否かを記憶しておくための補正済フラグFが追加された構成になっている。
【0108】
この補正済フラグFが ‘1(ON)’である場合は、対応する昇降位置補正データによる補正は完了済みであることを、‘0(OFF)’である場合は、対応する昇降位置補正データによる補正は未完了であることをそれぞれ示している。そして、懸垂式給油装置の設置当初は、この補正済フラグFは、全て補正未完‘0(OFF)’に設定されている。
【0109】
また、補正量パルスδpも、本実施例の場合は、各積算給油量のQtの範囲に対応した、図6に示す計数されないホース伸び分(δ0+δa+δb+δc)ではなく、前の補正時点に対するホース伸び増加分(Δδ0+Δδa+Δδb+Δδc)が記憶されている。
【0110】
図13は、制御装置が行う昇降位置補正データの取得処理の他の実施例を示したフローチャートである。なお、図13に示す昇降位置補正データの取得処理において、図9に示した昇降位置補正データの取得処理と同じ個別処理については、同一の符号で表す。
【0111】
さらに、本実施例では、説明簡便のため、給油ノズル12の昇降位置A-B間の昇降操作、すなわち格納位置A又は待機位置Bでの格納/待機昇降スイッチ32の操作に基づき、給油ホース13の伸びによる給油ノズル12の昇降高さ位置の補正処理を実行する場合を例に、以降、説明する。
【0112】
図13において、制御装置40は、例えば、下記1)〜7)に示される所定タイミングで昇降位置補正データの取得処理を行なう。
1) 格納位置A若しくは待機位置Bで格納/待機昇降スイッチ32が操作されたときのホース昇降制御前。
2) そのホース昇降制御により待機位置B若しくは格納位置Aに給油ノズル12が移動位置した以降。
3) 待機位置Bで下降スイッチ33が操作されたときのホース下降制御前。
4) そのホース下降制御により給油位置Cに給油ノズル12が移動位置した以降。
5) 給油位置Cで上昇スイッチ34が操作されたときのホース上昇制御前。
6) そのホース上昇制御により待機位置Bに給油ノズル12が移動位置した以降。
7) 懸垂式給油装置の装置電源の投入時。
【0113】
そして、制御装置40は、この取得処理において、まずは給油量積算カウンタ54に演算記憶されている積算給油量Qtを読み出し(ステップS12)、この現在の給油ノズル12の昇降位置及び積算給油量Qtを基に、昇降位置補正データテーブル153から対応する給油ノズル12の現在の昇降位置補正データδpを取得する(ステップS12)。
【0114】
そして、制御装置40は、対応する補正済フラグFが補正未完‘0(OFF)’である場合には(ステップS112)、昇降位置A-B間の昇降位置設定データP(B)=Pb0−Pa0、及び取得したδpに基づいて、格納位置Aで格納/待機昇降スイッチ32が操作されたときの補正昇降位置データPa(B)=(Pb0-Pa0)−δp、待機位置Bで格納/待機昇降スイッチ32が操作されたときの補正昇降位置データPb(B)=(Pb0-Pa0)+δpを演算して取得し(ステップS113)、補正済フラグFが補正完‘1(ON)’にしてセットするとともに、補正指示フラグFabを‘1(ON)’にしてセットする。なお、懸垂式給油装置の設置当初は、この補正指示フラグFabは、‘0(OFF)’にリセットされている。
【0115】
図14は、制御装置40が行うホース昇降制御処理の他の実施例を示したフローチャートである。なお、図14に示すホース昇降制御処理において、図10に示したホース昇降制御処理と同じ個別処理については、同一の符号で表す。
【0116】
給油作業モード状態において、給油所作業者により昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32,下降スイッチ33,又は上昇スイッチ34のいずれかが操作され、その操作指示を受信器25が受信すると(ステップS31)、制御装置40は、現在の給油ノズル12が現在位置している昇降位置を昇降位置メモリ55から読み出して(ステップS32)、その操作指示がホース昇降制御について有効であるか否かを判別する(ステップS33)。ここで、有効な操作指示とは、例えば、格納位置Aにおける格納/待機昇降スイッチ32の操作による操作指示や、待機位置Bにおける格納/待機昇降スイッチ32や下降スイッチ33の操作による操作指示や、給油位置Cにおける上昇スイッチ34の操作による操作指示を指す。また、有効でない操作指示とは、例えば、格納位置Aにおける下降スイッチ33又は上昇スイッチ34の操作による操作指示や、待機位置Bにおける上昇スイッチ34の操作による操作指示、等を指す。
【0117】
制御装置40は、受信した操作指示が有効な操作指示である場合は、この操作指示に対応するデータP(A)=Pa0,P(B)=Pb0−Pa0,P(C)=Pc0−Pb0,Pa(B)=(Pb0-Pa0) −δp,Pb(B)=(Pb0-Pa0)+δpの中のいずれかを、目標昇降位置テーブル56から読み出して目標昇降位置Ptとして設定する(ステップS134)。例えば、格納位置Aで格納/待機昇降スイッチ32が操作された場合は、補正指示フラグFabがセットされているか否かに応じてデータP(B)又はPa(B)を読み出し、待機位置Bで下降スイッチ33が操作された場合、又は給油位置Cで上昇スイッチ34が操作された場合は、データP(C)を読み出し、待機位置Bで格納/待機昇降スイッチ32が操作された場合は、補正指示フラグFabがセットされているか否かに応じてデータP(B)又はPb(B)を読み出し、目標昇降位置Ptとして設定する。その際、制御装置40は、Pa(B)=(Pb0-Pa0)−δp,又はPb(B)=(Pb0-Pa0)+δpを目標昇降位置Ptとして設定した場合は、セットされている補正指示フラグFabをリセットする。これにより、各積算給油量のQtの範囲で、格納/待機昇降スイッチ32の操作で重複して昇降位置が調整されるのを防いでいる。これに対し、制御装置40は、受信した操作指示が無効な操作指示である場合は、ホース昇降制御処理を終了し、給油ノズル12の実際の昇降は行わない。
【0118】
制御装置40は、目標昇降位置Ptを設定すると、目標昇降位置Ptへの給油ノズル12の移動が上昇か又は下降かに応じて(ステップS35)、次のように各部を制御する。
【0119】
制御装置40は、給油ノズル12の現在の昇降位置からの移動が下降である場合は、昇降パルスカウンタ51をゼロリセットした上で(ステップS141)、昇降用モータ17を正転駆動して、デリベリユニット14からの給油ホース13の導出(繰り出し)を開始させる(ステップS41)。
【0120】
その後、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pを昇降量検出器19から供給される、図3(a),(b)に示すようなパルス列出力を形成する昇降パルスの入力に基づいてインクリメントして、昇降パルスを計数する(ステップS44)。そして、制御装置40は、給油ノズル12の昇降速度に対応するこの昇降パルスの入力周波数、及びこの昇降パルスのA相,B相の両パルス列出力間の位相関係に基づいたホースリール16の回転方向を算出し(ステップS45)、昇降パルスの入力周波数が予め定められている停止判別周波数を超えているか否か(ステップS46)、ホースリール16の回転方向が下降方向であるか否か(ステップS48)、について確認する。
【0121】
この確認の結果、昇降パルスの入力周波数が停止判別周波数を超えていない場合には、制御装置40は、昇降用モータ17,昇降量検出器19,伝達機構18,20に異常や故障が生じたものと判定して、給油量表示器35に対応するエラー通知を表示させて対応エラーモードを設定するとともに(ステップS47)、昇降用モータ17の駆動を即座に停止させる(ステップS51)。
【0122】
また、ホースリール16の回転方向が下降方向である場合は、昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32,下降スイッチ33,又は上昇スイッチ34と、各スイッチ32〜35の操作指示に基づくホースリール16の正/逆回転、すなわち給油ホース13の導出/収納が対応していないものと判定して、同様に、給油量表示器35に対応するエラー通知を表示させて対応エラーモードを設定するとともに(ステップS49)、昇降用モータ17の駆動を即座に停止させる(ステップS51)。
【0123】
そして、制御装置40は、昇降パルスの入力周波数が予め定められている停止判別周波数を超えており、ホースリール16の回転方向も正転方向(下降方向)である場合は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達したか否かを判別する(ステップS50)。そして、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達していない場合(すなわち、P<Ptの場合)は、未だ給油ノズル12が目標昇降位置Ptに到達していないものとして、上述したステップS44〜S50で説明した処理を繰り返す。このステップS42〜S50に示した処理の繰り返しにより、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達したことを判別すれば(ステップS50)、昇降用モータ17の駆動を停止して(ステップS51)、昇降位置メモリ55に記憶されている昇降開始時すなわち移動元の昇降位置データを、昇降完了時すなわち目標昇降位置Ptに対応する昇降位置データに更新記憶して、ホース昇降制御処理を終了する。
【0124】
一方、前述したステップS34で、給油ノズル12の現在の昇降位置からの移動が上昇である場合は、昇降パルスカウンタ51をゼロリセットした上で(ステップS161)、昇降用モータ17を逆転駆動して、デリベリユニット14への給油ホース13の収納(巻き取り)を開始させる(ステップS61)。
【0125】
その後、制御装置40は、基準位置検出用カムスイッチ21の検出出力状態に変化が起きているか否かを確認し(ステップS62)、基準位置検出用カムスイッチ21の検出出力状態に変化が起きている場合には、昇降パルスカウンタ51の計数値をゼロリセットするとともに(ステップS63)、昇降用モータ17の駆動を停止する(ステップS71)。なお、本実施の形態の場合は基準位置が格納位置Aよりも上方の上端位置Xに調整設定されているので、昇降用モータ17の駆動を停止して、昇降位置メモリ55に記憶されている昇降開始時すなわち移動元の昇降位置データを、昇降完了時すなわち目標昇降位置Ptに対応する基準位置(上端位置X)に更新記憶する。制御装置40は、検出出力状態に変化が起きていない場合はそのまま、昇降パルスカウンタ51の計数値Pを昇降量検出器19から供給される、図3(a),(b)に示すようなパルス列出力を形成する昇降パルスの入力に基づいてインクリメントして、昇降パルスを計数する(ステップS64)。併せて、制御装置40は、給油ノズル12の昇降速度に対応するこの昇降パルスの入力周波数、及びこの昇降パルスのA相,B相の両パルス列出力間の位相関係に基づいたホースリール16の回転方向を算出し(ステップS65)、昇降パルスの入力周波数が予め定められている停止判別周波数を超えているか否か(ステップS66)、ホースリール16の回転方向が上昇方向であるか否か(ステップS68)、について確認する。
【0126】
この確認の結果、昇降パルスの入力周波数が停止判別周波数を超えていない場合には、制御装置40は、昇降用モータ17,昇降量検出器19,伝達機構18,20に異常や故障が生じたものと判定して、給油量表示器35に対応するエラー通知を表示させて対応エラーモードを設定するとともに(ステップS67)、昇降用モータ17の駆動を即座に停止させる(ステップS71)。
【0127】
また、ホースリール16の回転方向が正転方向(下降方向)である場合は、昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32,下降スイッチ33,又は上昇スイッチ34と、各スイッチ32〜35の操作指示に基づくホースリール16の正/逆回転、すなわち給油ホース13の導出/収納が対応していないものと判定して、同様に、給油量表示器35に対応するエラー通知を表示させて対応エラーモードを設定するとともに(ステップS69)、昇降用モータ17の駆動を即座に停止させる(ステップS71)。これにより、昇降操作器26の格納/待機昇降スイッチ32,下降スイッチ33,又は上昇スイッチ34の操作による給油ノズル12の昇降移動の誤動作を防止することができる。
【0128】
一方、制御装置40は、昇降パルスの入力周波数が予め定められている停止判別周波数を超えており、ホースリール16の回転方向も上昇方向である場合は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達したか否かを判別する(ステップS70)。そして、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達していない場合(すなわち、P<Ptの場合)は、未だ給油ノズル12が目標昇降位置に到達していないものとして、上述したステップS62〜S70で説明した処理を繰り返す。このステップS62〜S70に示した処理の繰り返しにより、制御装置40は、昇降パルスカウンタ51の計数値Pが目標昇降位置Ptに達したことを判別すれば(ステップS70)、昇降用モータ17の駆動を停止して(ステップS71)、昇降位置メモリ55に記憶されている昇降開始時すなわち移動元の昇降位置データを、昇降完了時すなわち目標昇降位置Ptに対応する昇降位置データに更新記憶して、ホース昇降制御処理を終了する。
【0129】
したがって、本実施の形態の懸垂式給油装置でも、給油ホース13の長さに伸びが生じても、これに伴う給油ノズル12の昇降位置ずれを抑制することができ、給油ノズル12の昇降位置の設定調整のためのメンテナンス作業を減少させ、給油ノズル12及び給油ホース13の給油作業時における操作性が変化するのを防ぎ、良好な操作性を長期に亘って維持することができる。
【0130】
このように、制御装置40のホース昇降制御構成、並びに昇降位置補正制御構成についても、種々の変形例が可能である。また、昇降位置補正データテーブル53,153では、設置当初の長さに対する給油作業での使用に伴う給油ホース13の伸び度合いが、予め実機実験やシミュレーションによって取得された、積算給油量の増加に伴う積算給油量の値範囲毎に対応した、昇降位置設定データの補正のための昇降位置補正データδpとして記憶されている構成としたが、給油ノズル12の所定の昇降位置間の昇降回数を積算計数するカウンタを設けるようにし、積算給油量の増加に伴う積算給油量の値範囲毎に代えて、この計数した積昇降回数の増加に伴う範囲毎に対応して、昇降位置設定データの補正のための昇降位置補正データδpを記憶する又は変えること等も可能である。
【符号の説明】
【0131】
1 給油所敷地、 2 建屋、 3 給油エリア、 4 高所、 5 配管、
6 地下タンク、 7 ポンプ用モータ、 8 ポンプ、 9 流量計、
10 流量発信器、 11 比例電磁弁、 12 給油ノズル、 13 給油ホース、
14 デリベリユニット、 15 ケーシング、 16 ホースリール、
17 昇降用モータ、 18 伝達機構、 19 昇降量検出器、 20 伝達機構、
21 基準位置検出用カムスイッチ機構、 22 ノッチ、 23 円板状カム、
24 検出スイッチ、 25 受信器、 26 昇降操作器、 27 操作入力部、
28 送信器、 29 モード切換スイッチ、 30 設定スイッチ、
31 緊急停止スイッチ、 32 格納/待機昇降スイッチ、 33 下降スイッチ、
34 上昇スイッチ、 35 給油量表示器、 40 制御装置、
41 昇降位置調整設定手段、 42 ホース昇降制御手段、 43 送液制御手段、
44 給油演算表示制御手段、 45 昇降位置補正制御手段、
51 昇降パルスカウンタ、 52 昇降位置設定テーブル、
53 昇降位置補正データテーブル、 54 給油量積算カウンタ、
55 昇降位置メモリ、 56 補正目標位置テーブル
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