(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5748049
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 9/02 20060101AFI20150625BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20150625BHJP
【FI】
F21S9/02 200
F21Y101:02
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-68964(P2011-68964)
(22)【出願日】2011年3月25日
(65)【公開番号】特開2012-204209(P2012-204209A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2014年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】辻 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】植田 兼子
(72)【発明者】
【氏名】植田 守
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 則雅
(72)【発明者】
【氏名】笹井 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】河野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陽介
【審査官】
栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−004005(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 8/02
F21S 9/02
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と;
器具本体に配置される光源取付部と;
半導体発光素子を用いた主光源と、外部電源により主光源を点灯させる主点灯回路と、主光源および主点灯回路を収納する筐体とを有し、光源取付部に着脱可能に取り付けられるランプ装置と;
器具本体に設けられる半導体発光素子を用いた非常用光源と;
器具本体に設けられるとともに、バッテリ、外部電源によりバッテリを充電する充電回路、バッテリの電源により非常用光源を点灯させる非常用点灯回路を有する非常用ユニットと;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
器具本体は、光照射方向に向けて開口する反射体を有し、反射体の内側に主光源とともに非常用光源が配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、非常灯対応の照明器
具を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常時に光源を商用交流電源などの外部電源で点灯させ、外部電源の停電時などの非常時にバッテリの電源により光源を点灯させるようにした非常灯対応の照明器具がある。
【0003】
また、LED素子およびこのLED発光素子を点灯させる点灯回路を備えたランプ装置である光源を交換可能とした照明器具がある。このような照明器具において、非常灯対応とするには、バッテリ、充電回路および非常用点灯回路を備えた非常用ユニットを用い、非常時に非常用ユニットにより光源を点灯させることになる。
【0004】
そして、光源にLED素子を用いた非常灯対応の照明器具では、非常用ユニットにより光源のLED素子を定電流制御して点灯させるため、光源のLED素子の個数や品種によって非常点灯時の明るさが変わってしまう。非常点灯時の床面照度を所定の明るさ以上とすることが規定されているため、光源の種類に対応した非常用ユニットを用い、非常点灯時に所定の明るさを確保する必要がある。
【0005】
そのため、光源の種類毎に対応した非常用ユニットを用いる必要があり、異なる種類の光源に交換する場合には非常用ユニットも光源の種類に対応する非常用ユニットに交換する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−129490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、非常灯対応の照明器具では、光源種類に対応した非常用ユニットを必要としている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、主光源の種類に応じた非常用光源および非常用ユニットを用意することを不要とする非常灯対応の照明器
具を用いた照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の照明
装置は、器具本体、この器具本体に配置される光源取付部、器具本体に設けられる非常用光源および非常用ユニットを備える。
ランプ装置は、半導体発光素子を用いた主光源と、外部電源により主光源を点灯させる主点灯回路と、主光源および主点灯回路を収納する筐体とを有し、光源取付部に着脱可能に取り付けられる。非常用光源は、半導体発光素子を用いる。非常用ユニットは、バッテリ、外部電源によりバッテリを充電する充電回路、バッテリの電源により非常用光源を点灯させる非常用点灯回路を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、主光源とは別に非常用光源および非常用ユニットを備えるため、主光源と非常用光源および非常用ユニットとを任意に組み合わせて使用することができ、組み合わせる主光源の種類に応じた非常用光源および非常用ユニットを用意することを不要とすることが期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態を、
図1および
図2を参照して説明する。
【0013】
図1および
図2に照明装置を示し、10は非常灯対応の照明器具で、天井に埋め込み設置するダウンライトなどの埋込形照明器具である。また、11はランプ装置で、照明器具10に着脱可能に取り付けられる。
【0014】
照明器具10は、器具本体12、この器具本体12に配置されていてランプ装置11が着脱可能に取り付けられる光源取付部13としてのソケット14、器具本体12に取り外し不可に取り付けられた非常用光源15、非常時に非常用光源15を点灯させる非常用ユニット16、およびこの非常用ユニット16による非常用光源15の点灯状況を点検するための点検スイッチ17などを備えている。
【0015】
器具本体12は、反射体20、この反射体20の上部に取り付けられた放熱体21、この放熱体21の上部に取り付けられた取付板22などを備えている。反射体20は、下方に向けて拡開開口する反射面部23、およびこの反射面部23の下部から周囲に向かって形成された縁部24を有している。放熱体21には、器具本体12を天井に設置するための複数の取付ばね25が取り付けられている。取付板22には、外部電源として商用交流電源Eを供給する電源線を接続する端子台26、および非常用ユニット16などが取り付けられている。
【0016】
また、ソケット14は、環状に形成され、下面には一対の接続孔29(
図2には一方のみが示され、他方は隠れている)が周方向に沿って長孔状に形成され、内周面にはランプ装置を回動させて着脱可能に取り付ける略L字形の取付溝30が形成されている。一対の接続孔29の内側には端子がそれぞれ配置され、これら一対の端子には端子台26を通じて商用交流電源Eが供給可能とされている。
【0017】
また、ランプ装置11は、主光源33、この主光源33を点灯させる主点灯回路34、およびこれら主光源33および主点灯回路34を収納する筐体35を有している。
【0018】
主光源33としては、例えばLED素子やEL素子などの半導体発光素子が用いられており、本実施形態ではLED素子33aが用いられている。これら複数のLED素子33aが主点灯回路34の出力部に対して直列に接続されている。
【0019】
主点灯回路34は、例えば、商用交流電源Eを整流平滑する回路、数kHz〜数百kHzの高周波でスイッチングするスイッチング素子を有するDC/DCコンバータなどを備え、定電流の直流電力を出力して主光源33(LED素子33a)を点灯させる。
【0020】
筐体35は、円筒状に形成されており、筐体35の下部に主光源33からの光が透光する透光カバー36が取り付けられ、筐体35の上部にソケット14に着脱可能に装着される口金部37が形成されている。口金部37の周辺部には主点灯回路34の商用交流電源入力部に接続された一対のランプピン38が突設され、口金部37の中央部には円筒状の突出部39が突設され、この突出部39の周面に複数の突起40が突出されている。
【0021】
そして、ランプ装置11をソケット14に装着する場合には、口金部37の突出部39をソケット14の内側空間に挿入しながら、各突起40をソケット14の各取付溝30に挿入するとともに、各ランプピン38をソケット14の各接続孔29に挿入し、その挿入後、ランプ装置11をソケット14に対して回動させ、各突起40をソケット14の各接続孔29に引っ掛けて取り付け、各ランプピン38を各接続孔29の内側の端子に接続し、各ランプピン38への商用交流電源Eの供給を可能とする。また、ランプ装置11をソケット14から取り外す場合には、装着時と逆の手順を行えばよい。
【0022】
また、非常用光源15としては、例えばLED素子やEL素子などの半導体発光素子が用いられており、本実施形態ではLED素子15aが用いられている。この非常用光源15は円筒状の支持部材43内に配置されており、この支持部材43が反射体20の反射面部23を貫通して反射体20の内側に取り付けられている。すなわち、非常用光源15は、反射体20の内側でランプ装置11の着脱に影響のない周辺部に配置されるとともに器具本体12に対して固着されており、反射体20の下面開口から光を放射可能とする。支持部材43の先端には、非常用光源15からの光の配光を制御するレンズなどの制光体44が取り付けられている。なお、非常用光源15が器具本体12に対して固着されているとは、器具本体12に対して簡単には取り外しできない状態であり、例えば、非常用光源15を保持した支持部材43が反射体20に対してねじ止めされたり、接着剤で接着されていることをいう。
【0023】
また、非常用ユニット16は、バッテリ47、商用交流電源Eによりバッテリ47を充電する充電回路48、バッテリ47の直流電源により非常用光源15を点灯させるDC/DC回路である非常用点灯回路49、および商用交流電源Eの通電および停電(断電)を監視する電源監視回路50を有している。
【0024】
また、点検スイッチ17は、反射体20の縁部24に配置され、外部から操作可能とする。この点検スイッチ17は、常時にはオンし、外部からの操作でオフするように構成されている。
【0025】
そして、ランプ装置11の主点灯回路34は、点検スイッチ17、およびランプ装置11の点灯と消灯とを切換操作する壁スイッチ53を介して商用交流電源Eに接続されており、壁スイッチ53のオン時に商用交流電源Eが供給され、オフ時に商用交流電源Eの供給が遮断されるように配線されている。また、非常用ユニット16は、点検スイッチ17を介して商用交流電源Eに接続され、常に商用交流電源Eが供給されるように配線されている。
【0026】
次に、非常灯対応の照明器具10の動作を説明する。
【0027】
壁スイッチ53のオン時には、ランプ装置11に商用交流電源Eが供給され、ランプ装置11の主光源33が点灯する。また、非常用ユニット16に商用交流電源Eが常に供給されており、電源監視回路50が商用交流電源Eの供給を確認し、充電回路48が商用交流電源Eによってバッテリ47を充電しており、非常用点灯回路49は非動作状態にあって非常用光源15は消灯している。
【0028】
壁スイッチ53のオフ時には、ランプ装置11への商用交流電源Eの供給が遮断され、ランプ装置11の主光源33が消灯する。また、非常用ユニット16に商用交流電源Eが常に供給されており、電源監視回路50が商用交流電源Eの供給を確認し、充電回路48が商用交流電源Eによってバッテリ47を充電しており、非常用点灯回路49は非動作状態にあって非常用光源15は消灯している。
【0029】
また、点検スイッチ17の操作時には、非常用ユニット16への商用交流電源Eの供給が遮断されるため、電源監視回路50が商用交流電源Eの遮断を確認し、バッテリ47の直流電源により非常用点灯回路49が動作して非常用光源15を点灯させる。仮に、バッテリ47の寿命や非常用ユニット16の故障などが発生している場合には、点検スイッチ17を操作しても非常用光源15が点灯せず、不具合を確認できる。また、点検スイッチ17の操作を解除することにより、非常用ユニット16への商用交流電源Eの供給が再開され、電源監視回路50が商用交流電源Eの供給再開を確認し、充電回路48が商用交流電源Eによってバッテリ47を充電し、非常用点灯回路49が非動作状態となって非常用光源15が消灯する。
【0030】
また、商用交流電源Eの停電時には、壁スイッチ53がオンしていてランプ装置11の主光源33が点灯していた場合、主光源33は消灯する。この停電により、非常用ユニット16への商用交流電源Eの供給が遮断されるため、電源監視回路50が商用交流電源Eの遮断を確認し、バッテリ47の直流電源により非常用点灯回路49が動作して非常用光源15を点灯させる。
【0031】
また、照明器具10においては、主光源33と非常用光源15とを別に備えるとともに、これらを点灯させる主点灯回路34と非常用ユニット16とも別に備えるため、主光源33および主点灯回路34を備えたランプ装置11の明るさの違いや調光対応といった種類と、非常用光源15および非常用ユニット16の種類とを任意に組み合わせて構成することができる。
【0032】
さらに、ランプ装置11は、器具本体12のソケット14に対して着脱可能に構成されており、必要に応じて交換することができる。このときにも、主点灯回路34と非常用ユニット16に関係なく、明るさの違いや調光対応といった種類の異なるランプ装置11に交換することができ、組み合わせる主光源33および主点灯回路34の種類に応じた非常用光源15および非常用ユニット16を用意することを不要とすることができる。
【0033】
このように、本実施形態の照明器具10によれば、主光源33と非常用光源15とを別に備えるとともに、これらを点灯させる主点灯回路34と非常用ユニット16とも別に備えるため、主光源33および主点灯回路34と非常用光源15および非常用ユニット16とを任意に組み合わせて使用することができ、主光源33および主点灯回路34の種類に関係なく、非常用光源15および非常用ユニット16を共用できる。
【0034】
また、主光源33および主点灯回路34を有するランプ装置11が、器具本体12に対して着脱可能である場合、明るさの違いや調光対応といった種類の異なるランプ装置11に交換することができ、この場合でも非常灯機能に変わりはない。
【0035】
また、非常用光源15および非常用ユニット16は、器具本体12に対して固着されているため、非常用光源15を誤って取り外してしまうのを防止でき、非常灯対応の照明器具10の機能を維持できる。
【0036】
また、非常用光源15を反射体20の内側に配置するため、天井などの設置場所への器具本体12の設置に支障となることがなく、主光源33と同様に反射体20の開口から非常用光源15の光を照射することができる。しかも、非常用光源15を反射体20の内側に配置することで、非常用光源15を目立ち難くできる。
【0037】
また、非常用光源15を器具本体12側に設けることにより、ランプ装置11のコストを低減することができる。
【0038】
なお、非常用光源15は、反射体20の内側に限らず、反射体20の縁部24に配置してもよいし、反射体20とは別の場所で例えば天井面に設置してもよく、非常用ユニット16に対して点灯可能に配線されていればよい。
【0039】
また、非常用ユニット16についても、器具本体12に取り付けてもよいし、器具本体12とは別の場所に配置するようにしてもよく、照明器具10の電源回路に対して電気的に配線されていればよい。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
11 ランプ装置
12 器具本体
13 光源取付部
15 非常用光源
16 非常用ユニット
20 反射体
33 主光源
34 主点灯回路
35 筐体
47 バッテリ
48 充電回路
49 非常用点灯回路